考古学のおやつ/NEWSLINK

2019年11月20日（水）

群馬県: 吉岡町・デ・レイケ堰堤のうち、自害沢9号堰堤を試掘調査。袖石垣が現存。堰堤の高さは2m以上。[上毛新聞]
奈良県: 御所市・中西遺跡で、弥生時代前期後半の水田3500m2。奈良県立橿原考古学研究所11/20発表。11/23現地説明会。[朝日新聞]
韓国: ソウル・景福宮の後苑にあった六角形の二層亭子「香遠亭」の地下にオンドル構造があった。周囲に沿ってドーナツ型の構造。また、礎石が沈下し、傾斜の原因になっていることが判明。[聯合ニュース]
韓国: 「新羅王京核心遺跡復元・整備に関する特別法」が11/19国会本会議を通過。[中央ニュース]
中国: 内モンゴル自治区呼和浩特市清水河県・後城咀竜山時代石城で、大規模な先史時代・4300年前～4000年前の都市。[新華社]
中国: 甘粛省天水市張家川県・馬家塬遺跡で、墳墓70基、豪華に装飾された車両60両。戦国時代晩期の西戎の首長に関連した高級貴族墓地。[中国新聞網]
オマーン: 千年前に、15mにおよぶ巨大津波が襲った証拠。津波で内陸に移動した巨岩41個を確認。
英語リリース：Huge tsunami hit Oman 1,000 years ago
ドイツ語リリース：Gewaltiger Tsunami traf vor 1.000 Jahren Oman[ボン大学（Universität Bonn）]
論文　Gösta Hoffmann, Christoph Grützner, Bastian Schneider, Frank Preusser and Klaus Reicherter "Large Holocene tsunamis in the northern Arabian Sea". Marine Geology. Volume 419 [ScienceDirect]
トルコ: ディヤルバクル県（Diyarbakır）チュナル郡（Çınar）のゼルゼヴァン城（Zerzevan Kalesi；Zerzevan Castle）で、1500年前のオイルランプ48個。[Daily Sabah]
ブルガリア: ブルガス州（Област Бургас；Oblast Burgas）デベルト（Дебелт；Debelt）にある黒海沿岸のローマ植民市デウルトゥム（Deultum）で、4～6世紀の鎖かたびら（Chainmail Armor）。
Unknown chainmail armors discovered in Roman colony Deultum near Bulgaria’s Black Sea coast[Archaeology in Bulgaria]
ドイツ: テューリンゲン州（Freistaat Thüringen）エアフルト（Erfurt）のペータースブルク（Petersberg）で中世後期・15世紀の地下室。16～17世紀に埋没。近隣で墓地も見つかり、人骨60体出土。[Thüringen im Blick]
フランス: ボルドー（Bordeaux）のアキテーヌ美術館（Musée d'Aquitaine）の地下で発見された、16世紀の哲学者ミシェル・ド・モンテーニュ（Michel de Montaigne）の可能性ある遺体を調査。木棺には「M. de Montaigne」と「24/12/80」の文字。[Sciences et Avenir]
スペイン: コスタデルソル（Costa del Sol）のミハス（Mijas）でローマ時代・2000年前の大型建物や、1世紀の青銅製スプーンや宝飾品、硬貨、土器など。建物跡は浴場の可能性。[Euro Weekly News]
カナダ: ブリティッシュコロンビア州（British Columbia；Colombie-Britannique）バビーン湖（Lake Babine）の岩絵に用いられている黄土の特性を最新技術で再現。黄土絵の具の製作者は、湖から水生で鉄を好むバクテリアを橙褐色の堆積物として採取。750℃～850度に加熱して色を変える。//ミズーリ大学コロンビア校（University of Missouri-Columbia）の調査。
Modern technology reconstructs properties of ochre, commonly found in ancient rock art[University of Missouri-Columbia]
論文　Brandi Lee MacDonald, David Stalla, Xiaoqing He, Farid Rahemtulla, David Emerson, Paul A. Dube, Matthew R. Maschmann, Catherine E. Klesner & Tommi A. White "Hunter-Gatherers Harvested and Heated Microbial Biogenic Iron Oxides to Produce Rock Art Pigment" Scientific Reports volume 9, Article number: 17070 [Scientific Reports]
USA: ウィスコンシン州（State of Wisconsin）・フォート・マッコイ（Fort McCoy）でドイツのフリードリヒ・ホルツ社（Friedrich Hotz）のハーモニカ出土。コロラド州立大学（Colorado State University）の調査。[dvids]
ペルー: アンカシュ県（Departamento de Áncash）カスマ市（Casma）のセチン遺跡（Sechín）で、5000年前のピラミッド形の遺構。階段状で、高さ3.20m以上、幅5m。儀式に使用か。大人と子供の頭蓋骨や、解体された遺体も発見。[Andina]

2019年11月19日（火）

トルコ: チョルム県（Çorum）で、ローマ時代・2000年前の石棺。内部に女性の人骨、ガラス片と、土製の香油壺。チョルム博物館（Çorum Museum）の調査。[Daily Sabah]
ブルガリア: ブルガス州（Област Бургас；Oblast Burgas）ソゾポル（Созопол；Sozopol）のチェルノモレツ（Черноморец；Chernomorets）で、ビザンティン時代初期・5～7世紀の都市フリソソティラ（Хрисосотира；Chrisosotira）の地下から、アルカイック時代・紀元前7～前6世紀のギリシャ人の最初の痕跡。ブルガリア国立歴史博物館（Национален исторически музей：National Museum of History）の調査。
Traces of first ancient Greek colonists in 7th century bc found under Byzantine city at Bulgaria’s Chernomorets on Black Sea coast[Archaeology in Bulgaria]
ポーランド: ポモージェ県（Województwo pomorskie）のプツク湾（Zatoka Pucka；Bay of Puck）にあるジュツェヴォ（Rzucewo）で出土した4500年前の狩猟民の土器に残る脂質を分析。魚、アザラシ、ネズミイルカを調理するために用いた。
Archaeologists Know Which Vessels Were Used 4.5 Thousand Years Ago to Prepare Seal and Fish Dishes[Nauka w Polsce]
▼ポモージェ県（Województwo pomorskie）プツク郡（powiat pucki；Puck County）
フランス: グラン・テスト地域圏（Grand Est）マルヌ県（le département de la Marne）サン＝ムミー（Saint-Memmie）で新石器時代・紀元前3500年～前3000年の地下墓地（hypogée；hypogeum）。長さ3.80mの傾斜路を墓道とし、前室と玄室からなる。老若男女の人骨約50体と副葬品を納める。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Un hypogée du Néolithique à Saint-Memmie (Marne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
ノルウェー: ヴィニェーラ（Vinjeøra）にあるSkeiet農場で、同じ場所に100年違いで重なって造営された船葬墓（boat grave）。8世紀の武器を持った男性の船葬墓の上に、9世紀後半の重要なヴァイキング（Viking）女性の墓。女性は金銅のブローチと十字形のブローチで衣服を留める。女性を納めた船は、より大きな男性の船の中に注意深く納め、全体を埋める。ノルウェー科学技術大学（Norges teknisk-naturvitenskapelige universitet）の調査。
Mysterious Viking boat graves unearthed in central Norway[Norges teknisk-naturvitenskapelige universitet]
メキシコ: ユカタン州（Estado de Yucatán）のバランカンチェ洞窟（Grutas de Balancanché；Balamkanché cave）で出土した炭化物からみて、マヤ文明の遺跡、チチェン・イッツァ遺跡（Chichén Itzá）は100年ごろに建設。従来説の525年ごろよりも、400年古い。[Mexico News Daily]
▼チチェン・イッツァ遺跡関連記事→2019年8月10日
ペルー: ランバイエケ県（Departamento de Lambayeque；Lambayeque Region）のワカ・エル・トロ遺跡（Huaca El Toro）で水を用いた豊穣の儀式を行なう3000年前の神殿。長さ131フィート。近隣の泉の水をささげるための方形の祭壇。ランバイエケで唯一の巨石建築。サニャ流域（Zaña Valley）の水源。[The Sun]
▼ワカ・エル・トロ遺跡関連記事→2019年11月15日

2019年11月18日（月）

福島県: 南相馬市・泉官衙遺跡（いずみかんがいせき）で正倉を囲む溝や塀の跡。焼けたコメの痕跡は「続日本紀」に記載の2万5400石が焼失した火災に関連か。また、一気に埋没した可能性があり、貞観地震（869年）の津波との関連も想定。南相馬市教育委員会の調査。泉官衙は陸奥国行方郡の役所跡。[河北新報]
▼泉官衙遺跡関連記事→2018年12月6日
三重県: 津市香良洲歴史資料館で展示品を盗んだ男を逮捕。軍隊関連のコレクターで、他の展示施設でも窃盗を繰り返していた。[CBC]
韓国: 忠清南道泰安で、国立泰安海洋遺物展示館11/18開館。[ハンギョレ]
中国: 山西省朔州市朔城区窯子頭郷後寨村で、戦国時代から遼・金時代に及ぶ墳墓215基。[新華社]
スイス: バーゼル＝ラント準州（Basel-Landschaft）プラッテルン（Pratteln）の森の中から、ローマ時代の銀貨293枚。180年の直後に埋納か。ローマの軍団兵士の年収の半分。最古のものはネロ帝（Nero）の治世・54～68年。多くは2世紀。[RTS]
最も新しいものはコンモドゥス帝（Commodus）・181～182年のもの。[SRF]
UK（ウェールズ）: グラモーガン（Glamorgan）にあるクウム・ナッシュの崖（Cwm Nash）で、海岸の浸食により人骨6体を回収。以前に出土した人骨は放射性炭素年代測定で16世紀後半～17世紀前半とされており、テューダー朝かスチュアート朝の難破船の犠牲者とみられる。カーディフ大学（Cardiff University）の調査。[BBC]
エジプト: エジプトのサッカラ遺跡で初めてローマ支配期のカタコンベ（集団墓地）を発見！[金沢大学]
授賞: 第20回宮坂英弌記念尖石縄文文化賞に、上條信彦・弘前大学准教授。全国各地の縄文遺跡から出土した石臼やすり石の形、付着物を調査し、縄文時代の「粉食」に迫った。11/17授賞式。[信濃毎日新聞]

2019年11月17日（日）

インドネシア: 東ジャワ州（Jawa Timur；East Java）モジョケルト（Mojokerto）クミティル村（Kumitir）にある長さ200m、高さ1.4mのレンガ積みの壁状の遺構は、ケン・アロク（Ken Arok）の孫ナラシンガムルティ（Narasinghamurti）の墓の一部か。Trowulan Heritage Conservation Agencyの調査。ナラシンガムルティの祖父ケン・アロクはシンガサリ王国（Singasari kingdom）の建国者。またナラシンガムルティの孫ウィジャヤ（Raden Wijaya）はマジャパヒト王国（Majapahit kingdom）の建国者。[The Jakarta Post]

2019年11月16日（土）

三重県: 津市・香良洲歴史資料館3階の三重海軍航空隊展示室にあったマネキンが着けていた飛行手袋とゴーグルが盗難。津市11/16発表。[共同通信]
島根県: 津和野町・津和野城跡で、国史跡でありながら国の許可なく三の丸跡周辺の土砂を削って作業道を作り、中世のものとみられる曲輪跡2か所が壊れる。津和野町11/15発表。[朝日新聞]
福岡県: 行橋市・長井遺跡で、弥生時代の箱式石棺墓29基。行橋市教育委員会の調査。[西日本新聞]
ブルガリア: ヴァルナ（Варна；Varna）にある古代都市オデソス（Одесос；Odessos）から、ビザンティン時代・5世紀の浴場テルマエ（thermae）。
5th century ad Byzantine thermae (public baths) discovered in downtown of Bulgarian Black Sea city Varna[Archaeology in Bulgaria]
イタリア: レッチェ県（Provincia di Lecce）ポルト・チェザーレオ自治体（Porto Cesareo）のトッレ･キアンカ海岸（Torre Chianca）で、11/12-11/13の嵐により石棺と人骨が露出。ローマ時代と推定。以前から墓地の存在が推定されていた地域。[ANSA]
▼プッリャ州（Regione Puglia）レッチェ県（Provincia di Lecce）
ポーランド: シフィェンティクシシュ県（Województwo Świętokrzyskie）ベイスツェ（Bejsce）で、約1ヘクタールの2000年前の墓地。火葬骨や剣4振が出土。特別な氏族や家族の墓地を区切ったと思われる方形の遺構も。被葬者は、紀元前100年～紀元後300年ごろにポーランド中南部にいたルギイ族（Lugii）の可能性。ヤギェウォ大学（Uniwersytet Jagielloński w Krakowie；Jagiellonian University）の調査。[The First News]
ポーランド: トレブリンカ強制収容所（Treblinka）跡で、第二次世界大戦中の大規模墓地。人骨とともに、ピストルやマシンガンの薬莢が出土。[The First News]
フランス: グラン・テスト地域圏（Grand Est）マルヌ県（le département de la Marne）サン＝ムミー（Saint-Memmie）で新石器時代・紀元前3000年の老若男女の人骨約50体。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[Franceinfo]
フィンランド: 4～19世紀、主に鉄器時代と中世の人骨100体以上のミトコンドリアDNA（Mitochondrial DNA）を分析。鉄器時代・300～1300年、中世・1200～1500年とも、遺伝的な特徴は現代人と共通。しかし鉄器時代には墓地遺跡ごとの遺伝子の違いが大きく、狩猟採集民に近いもの、ヨーロッパの農耕民に近いもの、現代サーミ人（Sámi）に近いものがあるが、現代とは分布が異なる。
Early DNA lineages from Finland shed light on the diverse origins of the contemporary population[Helsingin Yliopisto]
論文　Sanni Översti, Kerttu Majander, Elina Salmela, Kati Salo, Laura Arppe, Stanislav Belskiy, Heli Etu-Sihvola, Ville Laakso, Esa Mikkola, Saskia Pfrengle, Mikko Putkonen, Jussi-Pekka Taavitsainen, Katja Vuoristo, Anna Wessman, Antti Sajantila, Markku Oinonen, Wolfgang Haak, Verena J. Schuenemann, Johannes Krause, Jukka U. Palo & Päivi Onkamo. "Human mitochondrial DNA lineages in Iron-Age Fennoscandia suggest incipient admixture and eastern introduction of farming-related maternal ancestry" Scientific Reports. volume 9, Article number: 16883 [Scientific Reports]
UK（イングランド）: ケント州（the county of Kent）カンタベリー（Canterbury）にある、カンタベリー・クライスト・チャーチ大学（Canterbury Christ Church University）のキャンパス内で、アングロ・サクソン（Anglo-Saxon）のケント王国・580～600年の20代女性の墓。スリランカ産の柘榴石（garnet）をあしらった豪華な装身具とナイフを副葬。ケント王エゼルベルト1世（Ethelbert）や王妃ベルタ（Bertha）と同時代。Canterbury Archaeological Trustの調査。
Bones and jewel-encrusted brooch of Anglo-Saxon woman found on campus[Canterbury Christ Church University]
エクアドル: サランゴ（Salango）のグアンガラ文化（Cultura Guangala；Guangala culture）・紀元前100年ごろの墓で、子供の頭蓋骨で作ったヘルメットをかぶった赤ん坊の埋葬。
Ecuadorian Infants Discovered Wearing Child Skull ‘Helmets’[Ancient Origins]
論文　Sara L. Juengst, Richard Lunniss, Abigail Bythell and Juan José Ortiz Aguilu "Unique Infant Mortuary Ritual at Salango, Ecuador, 100 BC" Latin American Antiquity [Cambridge Core]

2019年11月15日（金）

史跡: 埼玉県行田市・埼玉古墳群（さきたまこふんぐん）を特別史跡に、沖縄県石垣市・白保竿根田原洞穴遺跡など15件を史跡に指定するよう、文化審議会が11/15答申。[共同通信]
▼埼玉古墳群関連記事→2012年11月22日
韓国: 蔚山市中区で、朝鮮時代の蔚山邑城の遺構を初めて確認。蔚山発展研究院の調査。蔚山邑城は成宗王が1477年に築造。慶長の役の1597年に破壊され石材は蔚山倭城に使われたとされる。[聯合ニュース]
北朝鮮: 開城満月台で2017年に金属活字が新たに1個出土。人偏に扇を書く「傓」。高麗・12～13世紀の青磁菊花文皿に入った状態。[聯合ニュース]
北朝鮮: 南浦市温泉郡松峴里で、高麗初期・10世紀初めの石仏。花崗岩製。像と台座に分かれ、ほぞでつなぐ。像高235cm。高麗時代・朝鮮時代の瓦や各種の磁器も出土。高麗が西北に勢力を広げる過程で作られたか。[朝鮮新報]
中国: 陝西省・劉家窪遺跡の諸侯クラスの墓から、春秋時代の芮国の金製の権杖と、山形簋。この地は周と戎人の境界に近く、権杖は芮国が戎人から得た戦利品の可能性。[新華社]
▼劉家窪遺跡関連記事→2019年1月2日
パキスタン: カイバル・パクトゥンクワ州（Khyber Pakhtunkhwa）スワト（Swat）のバリコット（Barikot）で3000年前の都市バジラ（Bazira；Bazeera）。ヒンドゥー教の寺院や硬貨、ストゥーパなど出土。アレクサンドロス大王が訪れた場所。[Financial Express]
▼バジラ関連記事→2019年4月30日
トルコ: チャタル・ヒュユク遺跡（Çatalhöyük）で、ヒトの歯に穿孔して作った新石器時代・紀元前6500年ごろの装身具3点。歯の損耗から、中高年の人物に由来。病気の痕跡はなく、死後に抜歯したものか。[Forbes]
論文　Scott D. Haddow, Christina Tsoraki, Milena Vasić, Irene Dori, Christopher J. Knüsel, Marco Milella "An analysis of modified human teeth at Neolithic Çatalhöyük, Turkey" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 28 [ScienceDirect]
トルコ: クルッカレ県（Kırıkkale il）バルシェイ郡（Balışeyh）コチュババ村（Koçubaba）で、ビザンティン時代の巨大な甕ピトス（πίθος；pithos）。[Daily Sabah]
ポーランド: ベイスツェ（Bejsce）2000年前の戦士の墓地。[The First News]
ドイツ: ザクセン州（Freistaat Sachsen）ドレスデン（Dresden）のアウグストゥス橋（Augustusbrücke）で、エルベ川にかかる最初の石造りの橋の痕跡を調査。800年前。[sächsische.de]
ドイツ: ザクセン州（Freistaat Sachsen）シュレーエンハイン炭鉱（Tagebau Vereinigtes Schleenhain）で2014年に発見された、新石器時代・線帯文土器文化（Linienbandkeramik；Linear Pottery culture）の木製井戸は、年輪年代測定で紀元前5134年と判明。Landesamt für Archäologie Sachsenの調査。
7.000 Jahre alte Sensationen aus Steinzeitbrunnen[Archaeologie Online]
UK（イングランド）: ハートフォードシャー州（the county of Hertfordshire）ビショップス・ストートフォード（Bishop's Stortford）でローマ時代の街道ステイン・ストリート（Stane Street）に沿う集落。サミアン土器、ハダム土器、石鏃など出土。Oxford Archaeology Eastの調査。ステイン・ストリートはローマ時代の都市ウェルラミウム（Verulamium）＝現在のセント・オールバンズ（St Albans）とカムロドゥヌム（Camulodunum）＝現在のコルチェスター（Colchester）を結ぶ街道。[Bishop's Storford Independent]
UK（スコットランド）: ]ハイランド・カウンシル・エリア（Highland Council area）ケイスネス（Caithness）のヘルムズデール（Helmsdale）にある紀元前2世紀の塔Ousdale Broch Burnを保存、公開へ。地域首長の居所だったとみられる。[The Scotsman]
ヴィクトリア朝の考古学者の発掘によって損傷していた。[BBC]
USA: ミシガン湖（Lake Michigan）サウス・マニトゥー島（South Manitou Island）近くの湖底で1891年の沈没船「W.C. Kimball」を無傷で発見。[FOX News]
ペルー: ランバイエケ県（Departamento de Lambayeque；Lambayeque Region）のワカ・エル・トロ（Huaca El Toro）で水を用いた豊穣の儀式を行う、紀元前1500年～後292年の間の神殿。長さ131フィート以上。[Metro]
ペルー: ナスカ台地とその周辺で新たに143点の地上絵。うち1点はAIを活用して発見。山形大学11/15発表。
ナスカ台地とその周辺部で143点の新たな地上絵を発見
 143 New Geoglyphs Discovered on the Nasca Pampa and Surrounding Area[山形大学]

2019年11月14日（木）

茨城県: 石岡市・中津川遺跡で、室町時代の屋敷跡。ウマの墓壙や、馬小屋と考えられる施設を伴う。ウマの骨が1体分まとめて出土。公益財団法人茨城県教育財団11/12発表。11/17現地説明会。[茨城新聞]
東京都: 前田耕地遺跡の年代と古環境を再検討。寒冷期に内陸漁業を強化したことが、定住化と土器づくりを促した。
論文　Kazuki Morisaki, Noriyoshi Oda, Dai Kunikita, Yuka Sasaki, Yasuko Kuronuma, Akira Iwase, Takeshi Yamazaki, Naoichiro Ichida and Hiroyuki Sato "Sedentism, pottery and inland fishing in Late Glacial Japan: a reassessment of the Maedakochi site" Antiquity: 13 November 2019 [Cambridge Core]
カザフスタン: 北カザフスタン州（Солтүстік Қазақстан облысы；North Kazakhstan Region）ウアリハノフ（Уәлиханов ауданы；Ualikhanov）でジョチ・ウルス（キプチャク・ハン国；Алтын Орда；Golden Horde）・14世紀後半の墓廟。高さ20mで、青釉で装飾したドームを持つ。レンガには工人を表す印や、信仰にかかわる印。[Archaeology News Network]
イラク: クナ・バ洞窟（Kuna Ba cave）の石筍（stalagmite）を分析。洞窟内を流れる水に含まれる酸素とウランの同位体比が層になって記録される。酸素の同位体比は降水量を反映し、ウラニウムは時間の経過でトリウムに変化するのでウランの同位体比が年代の手がかりとなる。歴史記録と対比し、新アッシリア帝国（Neo-Assyrian Empire）の滅亡のころに60年にわたる大旱魃（megadrought）が起こっており、これが滅亡の理由と推定。
What felled the great Assyrian Empire? A Yale professor weighs in[Yale University]
論文　Ashish Sinha, Gayatri Kathayat, Harvey Weiss, Hanying Li, Hai Cheng, Justin Reuter, Adam W. Schneider, Max Berkelhammer, Selim F. Adalı, Lowell D. Stott and R. Lawrence Edwards "Role of climate in the rise and fall of the Neo-Assyrian Empire" Science Advances. Vol. 5, no. 11 [Science Advances]
ドイツ: マインツ（Mainz）の聖ヨハニス教会（Johanniskirche）でみつかった石棺の被葬者は、11世紀のマインツ大司教エルカンバルト（Erkanbald）と確認。衣服と履物を分析。石棺内の被葬者は一人。[WELT]
スペイン: バレンシア自治州（Comunitat Valenciana）アリカンテ県（Provincia de Alicante）カステル・デ・カステルス（Castell de Castells）にあるサンタ・マイラ洞窟（coves de Santa Maira）で、旧石器時代・13000年前の植物繊維でロープや籠を製作した証拠。編んだ植物繊維は単子葉植物（monocotiledónea；monocotyledonus）で、直接に年代測定され12700年前。籠の圧痕のついた焼け粘土は、籠を粘土で覆った容器が存在したことを示す。地中海西部での土器の登場より5000年古い。バレンシア大学（Universitat de València）とCSICの調査。
Una investigación demuestra la elaboración de cuerdas y cestos durante el Paleolítico[Asociación RUVID]
論文　J. Emili Aura Tortosa, Guillem Pérez-Jordà, Yolanda Carrión Marco, Joan R. Seguí Seguí, Jesús F. Jordá Pardo, Carles Miret i Estruch, C. Carlos Verdasco Cebrián "Cordage, basketry and containers at the Pleistocene-Holocene boundary in southwest Europe. Evidence from Coves de Santa Maira (Valencian region, Spain)" Vegetation History and Archaeobotany. pp. 1-14 [SpringerLink]
バーチタール: シラカバの樹皮から作った接着剤バーチタール（birch tar）は旧石器時代・5万年前からガリアまで用いられた。従来、西ヨーロッパでは鉄器時代の（紀元前800～前25年）末に廃れ、ローマ時代に本格的に生産された針葉樹の樹脂に置き換わったと考えられていたが、1～6世紀の遺物に対する化学・考古学・文献学の分析により、古代末まで使用が継続していたことが明らかに。
World’s oldest glue used from prehistoric times till the days of the Gauls[Centre National de la Recherche Scientifique]
論文　Martine Regert, Isabelle Rodet-Belarbi, Arnaud Mazuy, Gaëlle Le Dantec, Rosa Maria Dessì, Stéphanie Le Briz, Auréade Henry and Maxime Rageot "Birch-bark tar in the Roman world: the persistence of an ancient craft tradition?" Antiquity, 13 November 2019 [Cambridge Core]
エジプト: 古代エジプト人は、野生のトキ（Ibis）を集めてミイラとした。2500年前ごろの6つの地下墓地からトキのミイラ40羽と、現代のアフリカのトキ26羽のミトコンドリアDNAを分析。養殖のトキならば遺伝子の多様性は乏しいはずだが、同一地下墓地内でも、地下墓地間でも、ミイラ化したトキの遺伝的な多様性は現在の野生のトキと同程度。紀元前664年～後250年の地下墓地では大量のトキが捧げられていたが、それらの由来は不明だった。
Ancient Egyptians gathered birds from the wild for sacrifice and mummification[ScienceDaily]
論文　Sally Wasef, Sankar Subramanian, Richard O’Rorke, Leon Huynen, Samia El-Marghani, Caitlin Curtis, Alex Popinga, Barbara Holland, Salima Ikram, Craig Millar, Eske Willerslev, David Lambert. "Mitogenomic diversity in Sacred Ibis Mummies sheds light on early Egyptian practices". PLOS ONE 14 (11) [PLOS One]
タンザニア: オルドバイ渓谷（Olduvai Gorge）のThiongo Korongo遺跡（TK）で、アシュール文化（Acheuléen；Acheulean）・130万年前の人類の活動を空間分析、地球統計学、化石生成論から分析。Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEHの調査。
A study assesses the activities of humans 1.3 million years ago at Olduvai[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
論文　Joaquín Panera, Susana Rubio-Jara, Manuel Domínguez-Rodrigo, José Yravedra, Eduardo Méndez-Quintas, Alfredo Pérez-González, Patricia Bello-Alonso, Abel Moclán, Enrique Baquedano, Manuel Santonja "Assessing functionality during the early Acheulean in level TKSF at Thiongo Korongo site (Olduvai Gorge, Tanzania)" Quaternary International Volume 526, Pages 77-98 [ScienceDirect]

2019年11月13日（水）

三重県: いなべ市・空畑遺跡（そらばたいせき）で、縄文時代前期の竪穴建物3棟と楕円形の穴28基、弥生時代中期の竪穴建物1棟。縄文時代前期の玦状耳飾出土。三重県埋蔵文化財センターの調査。11/16現地説明会。[三重県]
▼空畑遺跡関連記事→2018年7月27日
島根県: 松江市・出雲国府跡の政庁域で、正殿南東側から東脇殿（35・36号建物跡）を確認。掘立柱建物2時期、礎石建物1時期の2度の建て替え。また、正殿と脇殿に囲まれた広場を飾った石敷き遺構。島根県埋蔵文化財調査センターの調査。11/16現地説明会。[島根県]
韓国: 忠清南道洪城郡洪城邑上下里の龍鳳山頂上にある上下里寺跡から、統一新羅時代・9世紀の金銅仏出土。また、統一新羅時代から朝鮮時代の建物跡12棟。仏教文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）ティルヴァンナーマライ県（Tiruvannamalai）のヴァンダヴァーシ区（Vandavasi）のDesurで、4～5世紀のヒーローストーン。一部のものにタミル語の銘文。[Deccan Chronicle]
スイス: ツーク州（Kanton Zug）の森林で、ローマ時代・241～255年のアントニニアヌス銀貨（antoninianus；Antoninian）12枚がまとまって出土。皇帝ゴルディアヌス3世（Gordianus III；Gordian III）、ウォルシアヌス（Volusianus；Volusian）、ウァレリアヌス（Valerianus；Valerian I）や皇后オタキリア・セウェラ（Otacilia Severa）の姿を現す。アントニニアヌスはカラカラ帝（Caracalla）が215年導入し、3世紀のうちに粗悪化が進んだ貨幣。[Blick]
ポーランド: 西ポモージェ県（Województwo zachodniopomorskie；West Pomeranian）ノヴェ・オビエジェジェ（Nowe Objezierze）で2017年に発見された、ソースパンに似た新石器時代の遺構「ラウンデル（Roundel）」は、放射性炭素年代で紀元前4800年以前に築造され、200～250年間にわたって使用されたと判明。直径110mで、4重の円形の溝に囲まれ、中央は3つの塀で守り、門は3か所。
Scientists uncover sensational findings at neolithic site of worship[Nauka w Polsce]
▼西ポモージェ県（Województwo zachodniopomorskie；West Pomeranian）グルィフィノ郡（Powiat gryfiński；Gryfino County）モリン（Gmina Moryń）
USA: ニューヨーク州（State of New York）フォートエドワード（Fort Edward）のロジャーズ島（Rogers Island）で、フレンチ・インディアン戦争（French and Indian War）の時に英国軍将校が滞在したとされる建物跡を調査。18世紀の真鍮製の筆記用具、動物の顎の骨、鉛のインゴットなど出土。インゴットはマスケット弾の材料か。出土品から見て、将校は新鮮な肉を食べることができた。当時の一般人は干し肉を食べていたころ。[The Post Star]
▼ニューヨーク州（State of New York）ワシントン郡（Washington County）

2019年11月12日（火）

静岡県: 沼津市・興国寺城跡（こうこくじじょうあと）の本丸跡中央部で、戦国末期の石造りの階段や水路、石垣、土塀とみられる建造物の基礎。従来、石垣を使わずに土塁などで防備を固めた東日本の城郭の特徴を反映していると考えられてきた。沼津市教育委員会の調査。11/10現地説明会。[静岡新聞]
奈良県: 大和郡山市の文化財などを保管している倉庫から江戸時代の火縄銃や槍など18点が盗まれる。[NHK]
徳島県: 三好郡東みよし町・加茂東原遺跡で、古墳時代初頭・3世紀ごろと飛鳥時代・7世紀の集落。公益財団法人徳島県埋蔵文化財センターの調査。11/16現地説明会。[公益財団法人徳島県埋蔵文化財センター]
沖縄県: 沖縄の沖合の海底1427フィートで第二次世界大戦中の1944年2月26日に沈没した潜水艦グレイバック（USS Grayback）を発見。記録されていた経度は誤っており、記録とは100マイル離れた場所。[WFAA]
北朝鮮: 南浦市温泉郡松峴里で高麗初期の石仏。[朝鮮新報]
ブルガリア: ヴェリコ・タルノヴォ（ВеликоТърново；Veliko Turnovo）のトラペジツァ砦（Трапезица；Trapezitsa Fortress）近くで2014年に見つかった、第二次ブルガリア帝国（Втората Българска Държава）13世紀半ばの教会とみられていた遺構「21号教会」は、シナゴーグ（Synagogue）の可能性。東西21m、南北11.5m。かつてのユダヤ人地区に位置し、パレオロゴス朝のビザンティン帝国・13～14世紀の硬貨が出土。[The Sofia Globe]
ドイツ: アウフハウゼン（Aufhausen）で出土した土偶「アウフハウゼンのヴィーナス」（Venus von Aufhausen）を紛失。2012年にミュンヘン（München）で複製を製作して以降、存在を確認できず。収蔵庫の中にはレプリカしか残っていないことが8月に発覚。11/12発表。ドイツで過去25年間の最も重要な考古学的発見の一つ。[idowa]
▼バイエルン州（Freistaat Bayern）ディンゴルフィング＝ランダウ郡（Landkreis Dingolfing-Landau）
UK（イングランド）: サセックス（Susssex）のルイス城（Lewes Castle）の城壁のうち、個人所蔵の部分が11/11崩壊。1000年前の城。[Sussex Express]
UK（ウェールズ）: カーディフ（Cardiff）のスランダフ（Llandaff）にあるオールド・ビショップ城（Old Bishop's Castle）の近くで、中世・1450年ごろの地位の高い建物。長さ10mで、バスストーン（Bath stone）造り。厚さ1m、高さ2mの壁。14世紀のジェトン（jeton）出土。[BBC]
アイスランド: アイスランド近海の浅海底に1200年～1920年の大型の沈没船400隻を確認。エイラルバッキ（Eyrarbakki）沖に大量の沈没船があり、20世紀まで、アイスランド最大、レイキャヴィーク（Reykjavík）以上の貿易拠点だったことを示す。Ragnar Edvardsson氏の研究。[Iceland Review]
エジプト: サッカラ（Saqqara）で、ライオンとみられる大型動物のミイラ。[The Associated Press]

2019年11月11日（月）

北海道: 北見市・トコロチャシ跡遺跡群を北見市教育委員会が整備へ。[北海道新聞]
千葉県: 横芝光町・木戸台遺跡で、縄文時代と古墳時代の遺構。公益財団法人千葉県教育振興財団文化財センターの調査。12/7現地説明会。[公益財団法人千葉県教育振興財団文化財センター]
フランス: オー＝ド＝セーヌ県（Hauts-de-Seine）ナンテール（Nanterre）で、ガロ＝ローマ時代・1世紀～5世紀半ばの墓地。墓壙73基、うち小児墓28基。人骨のうち17体の性別を特定。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[Le Parisien]
▼イル＝ド＝フランス地域圏（Île-de-France）オー＝ド＝セーヌ県（Hauts-de-Seine）
ペルー: クスコ県（Región Cusco）のアンデス山脈の高度13000フィートにあるワタ（Wat'a）で、最先端技術LiDarによりプレ・インカ時代の大規模集落を発見。マチュピチュ（Machu Picchu）よりも古く、高度も5000フィート高い。[Express]

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