考古学のおやつ/NEWSLINK

2020年5月10日（日）

台湾: 台南市赤崁楼の東側で、清時代と日本統治時代の建物跡、移動跡。また、先史時代の灰坑。予定されていた地下駐車場について、計画変更へ。[聯合新聞網]
中国: 四川省達州市達州区大樹鎮明星村で、宋代の石室墓。[中国新聞網]
イラン: ゴレスターン州（Golestān）トルキャマーン郡（Torkaman）カラ・テペ（Qarah Tappeh）で後期イスラーム時代の人骨2体。豪雨で洗い出されてアガ＝イマーム・イスラーム墓地（Agha-Imam Islamic cemetery）から流出した可能性。[Tehran Times]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ベルデ郡（Landkreis Börde）イェルスレーベン（Jersleben）で、初期中世・1000年以上前の墓地。人骨、鉄器、土器が出土。異教を示すものはなく、初期キリスト教の墓地と推定。Landesamt für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhaltの調査。[Volksstimme]
UK（スコットランド）: ハイランド地方（Highlands）のポートマホマック村（Portmahomack）にある聖コルマン教会（St Colman Church；Tarbat Old Parish Church）に埋葬された人骨137体について、炭素と窒素の安定同位体分析。550年ごろ～700年ごろのピクト人（Picts）は海辺に住み、航海技術も持っていたが、魚を食べなかった。むしろ大麦などの植物と、ウシ、ヒツジ、ブタなどの肉を食べていた。男性の方が女性より肉を多く食べる。サケなどの魚を崇敬していたためか。ブラッドフォード大学（University of Bradford）の研究。[John O'Groat Journal and Caithness Courier]
文献 Shirley Curtis-Summers, Jessica A. Pearson, Angela L. Lamb "From Picts to Parish: Stable isotope evidence of dietary change at medieval Portmahomack, Scotland" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 31 [ScienceDirect]

2020年5月9日（土）

中国: 安徽省合肥市肥東県で清時代晩期の土坑竪穴墓から、セメント製棺を発見。李鴻章の家族の墓と推定。[新華社]
中国: 湖南省澧県孫家崗遺跡の4000年前の土壙墓で、独特の埋葬方式「墊器葬」。墓の底に破砕した土器を敷き詰め、遺体と副葬品を置き、さらに土器片で覆う。[新華社]
▼湖南省常徳市澧県
▼孫家崗遺跡関連記事→2019年1月16日
中国: 新疆ウィグル自治区奇台県・石城子遺跡で、磚、瓦、五銖銭など、前漢・後漢の遺物が出土。電磁探査や放射性炭素年代も前漢・後漢時代を示す。後漢・75年に戊校尉・耿恭が匈奴から守ったという「疏勒城」の遺跡と確認。『後漢書』に記載。[新華社]
▼石城子遺跡関連記事→2020年1月23日
カンボジア: ・アンコール遺跡群（Angkor）のスラ・スラン遺跡（Kandal Srah Srang）で、建物の基礎部分に2基目の石造りのカメの像。アプサラ機構（Apsara National Authority）の調査。[Khmer Times]
▼シェムリアップ州（Siem Reap）
▼スラ・スラン遺跡関連記事→2020年5月8日
イラン: メシュギーンシャフル郡（Meshginshahr）、新たに岩絵10000以上や石彫。[Tehran Times]
▼アルダビール州（Ostān-e Ardabīl）
フランス: 中期旧石器時代（Middle Paleolithic）の2遺跡で皮なめし用とされる骨器「lissoirs」5点を認識。バイソンやオーロックスなど中型有蹄動物の肋骨で作る。ネアンデルタール人による戦略的な素材選択を示す。
文献 Naomi L. Martisius, Frido Welker, Tamara Dogandžić, Mark N. Grote, William Rendu, Virginie Sinet-Mathiot, Arndt Wilcke, Shannon J. P. McPherron, Marie Soressi & Teresa E. Steele "Non-destructive ZooMS identification reveals strategic bone tool raw material selection by Neandertals" Scientific Reports, volume 10, Article number: 7746 [Scientific Reports]
従来、道具の摩耗が著しく、材料となった動物の種の同定が困難だった。バイソンやオーロックスなどウシの類を選択する一方、食用にしばしば狩っていたトナカイは用いず。皮なめしの道具として特定の素材を選択。
Neandertals Were Choosy About Making Bone Tools[University of California, Davis]
スペイン: マドリード州（Madrid）のアルカラ・ラ・ビエハ（Alcalá la Vieja）の12世紀の攻囲戦での、キリスト教勢力の投石器トレビュシェ（Trebuchet）の推定位置を調査。砦近くで発見した石弾（stone projectiles）から射程を計算し、地理情報と照合。従来、スカラ・ラ・ビエハの攻囲戦については、信頼の薄い二次資料しか根拠がなかった。
文献 M. Ramírez Galán, M. Benítez Galán "Stone Projectiles from the Siege of Alcalá la Vieja (Spain) and Likely Trebuchet Placement" Archaeometry [Wiley Online Library]
エジプト: デル・エル・バハリ（Deir el-Bahari）にあるハトシェプスト女王（Hatszepsut；Hatshepsut）の葬祭殿近くで見つかった3500年前の石櫃は、包装に第18王朝の第4代ファラオ・トトメス2世（Thutmose II、紀元前1493年～前1479年）の名の銘文。付近に同王の息子トトメス3世（Tuthmose III）の神殿跡もあり、TT320号墓に改装される以前の同王の最初の墓が付近にある可能性。ワルシャワ大学考古学研究所（Instytut Archeologii UW；Institute of Archaeology UW）の調査。
3500-year-old Ancient Egyptian stone chest could lead archaeologists to royal tomb[Heritage Daily]

2020年5月8日（金）

カンボジア: シェムリアップ州（Siem Reap）・アンコール遺跡群（Angkor）のスラ・スラン遺跡（Kandal Srah Srang）で、新たに巨大な石造りのカメの像。建物の基礎部分に置かれた。ヴィシュヌ神（Vishnu）の化身としてカメの像が置かれた可能性。スラ・スラン遺跡のカメの像は、ほかの遺跡での例に比べて大きい。スラ・スラン遺跡は10世紀に建立され、12世紀後半と13世紀前半に増築された。[Khmer Times]
▼スラ・スラン遺跡関連記事→2020年5月7日
オーストリア: タスマニア州（Tasmania）ローンセストン（Launceston）で出土した190年以上前の土製パイプにフクロオオカミ（thylacine；Tasmanian tiger）の表現。ヨーロッパ人がフクロオオカミを記録した最古の例。地元の粘土で製作。一方で、ワライカワセミ（kookaburra）の描写もあるが、ワライカワセミは1902年までタスマニア島には紹介されておらず、謎が残る。[Australian Broadcasting Corporation]
タジキスタン: ハトロン州（Khatlon Province；province de Khatlon）ハルカジャル（Khalkajar）で、クシャーン朝・3世紀の貴族墓。ヴァースデーヴァ王（Vasudeva、在位191～232年）の硬貨を副葬。[Novastan]
イラン: ケルマーンシャー州（Ostān-e Kermānshāh）ターク・イ・ブスタン遺跡（Taq-e Bostan）近くで、ヒジュラ暦6世紀（西暦1106～1203年に相当）とみられるクーフィー体（Kufic script）の碑石。[Iran Front Page]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya il）カシュ郡（Kaş）の古代都市パタラ（Πάταρα；Patara）で、古代の劇場から銘文（inscription）。パタラの重要な市民をたたえる内容。パタラは古代リュキア（Λυκία；Lycia）の首都。[Anadolu Ajansı]
スペイン: オリウエラ（Orihuela）のデエサ・デ・カンポアモール（Dehesa de Campoamor）で、ナシミエント川（Río Nacimiento）の底から、ローマ時代・3～4世紀の石灰岩製の里程標（miliary）。[The Leader]
UK（イングランド）: ウスターシャー州（Worcestershire）ブリードン（Bredon）のオーク・レーン（Oak Lane）で、ローマ時代・3世紀の井戸から祭祀にかかわるとみられる人骨、皮をはいだイヌ、カラス、革靴、土器、植物、昆虫、花粉など大量の遺物。その後、放牧場となり、4世紀には廃絶。Cotswold Archaeologyの調査。
Cotswold Archaeology (2019) Land at Oak Lane, Bredon, Worcestershire. Excavation [Archaeology Data Service]
エジプト: ルクソール（Luxor）のカルナク神殿（Karnak Temple）のスフィンクス像（sphinx）4体をカイロ（Cairo）のタハリール広場（Tahrir Square）に移動。この場所に置くとスフィンクス像を熱や大気汚染のため汚染の危険にさらすとして考古学者らが抗議。[The Guardian]
エジプト: 紅海（Red Sea）のスエズ湾（Gulf of Suez）、ラス・ガリブ（Ras Gharib）沖1.5kmの海底で、大量の人骨とともに、武器、鎧、武器ケペシュ（khopesh）の刃、戦争用のチャリオット（chariot）など。ケペシュやチャリオットの存在は、王族や貴族もいたことを示す。一方、船の痕跡はなく、兵士らは乾いた土地で死亡したとみられる。大量の岩石とともに発見され、土砂崩れや津波で死亡したと推定。紀元前24世紀の出エジプト（Exodus）の時のエジプト軍の遺体か。モーセらを追って紅海を横断していたエジプト軍が大量に溺れ死んだとして旧約聖書に記す。[Reportweb]
USA: ニューハンプシャー州（State of New Hampshire）コーアス郡（Coös County）スターク（Stark）のブレイク墓地（Blake Cemetery）で、アッパー・アモヌサック川（Upper Ammonoosuc River.）が遺跡の下の崖を浸食。ブレイク墓地は1802年から1900年代まで使われ、アメリカ独立戦争（American Revolutionary War）の兵士も葬る。[FOX News]

2020年5月7日（木）

徳島県: 鳴門市・大谷秋尾谷遺跡で古墳時代の石室や副葬品。鳴門市教育委員会の調査。5/16現地説明会。
5月16日（土）大谷秋尾谷遺跡の発掘調査現場の見学会を行います。[鳴門市]
▽久しぶりに現地説明会情報が、……と思ったら、県外からの参加お断り。▽コロナ予防を重視するなら、ほかの自治体のように、現地説明会は控えて、別の情報発信を模索する手もあったのでは？▽現地に立って直接見ていただくのが普及の方法として最適とは思うが、市民と考古学が最接近する場を、差別の最前線にするのだろうか？
韓国: 全羅北道長水郡渓南面砧谷里の山の頂上で烽燧台（のろし台）1基、集水施設1基、発火痕跡、石積み、土器など。[聯合ニュース]
中国: 河南省鄭州市鞏義市・双槐樹遺跡で「古国時代」・5300年前の都市。専門家は「河洛古国」と命名。[中国新聞網]
中国: 寧夏回族自治区中衛市で岩絵のある集落遺跡。[新華社]
カンボジア: シェムリアップ州（Siem Reap）・アンコール遺跡群（Angkor）のスラ・スラン遺跡（Kandal Srah Srang）で、金属製三叉矛（Trident）、水晶、竜の頭部の像など。アプサラ機構（Apsara National Authority）の調査。[Khmer Times]
タジキスタン: フラサン地区（Хуросон；Khuroson District）の古代都市遺跡ハルカジャル（Halkajar）で、ケンタウロス（Κένταυρος；centaurs）をあしらった金製装身具。クシャーン朝・ヴァースデーヴァ王・300年ごろの硬貨など。[Khovar]
▼ハトロン州（Хатлон；Khatlon Province）
イラン: ロレスターン州（Ostān-e Lorestān；Luristan）ホラマーバード（Khorramabad）・ファラーコルアフラーク城塞（Falak-ol-Aflak）に、5月6日のマグニチュード5.1の地震による目立った損傷なし。サーサーン朝（Sassanid；224～651年）の砦。[Tehran Times]
オーストリア: オーバーエスターライヒ州（Oberösterreich）ワイレック・アム・アターゼー（Weyregg am Attersee）で、ローマ時代の大規模なモザイク。オーバーエスターライヒ州（Oberösterreich）では最大規模。[Salzburg24]
USA: ミシシッピ州（State of Mississippi）ヴィクスバーグ国立墓地（Vicksburg National Cemetery）で、山崩れの断面から、南北戦争（Civil War）の兵士の遺体。[Magnolia State Live]
メキシコ: キンタナ・ロー州（Estado de Quintana Roo）トゥルム（Tulúm）のアクトゥン・ハ・セノーテ（Aktun Ha cenote）で、アメリカ大陸で最古、10500年前の焚火跡。[The Yucatan Times]

2020年5月6日（水）

中国: 吉林省東部の長白山地域で旧石器時代の遺跡30か所近くを確認。[中国新聞網]
オーストラリア: ヴィクトリア州（Victoria）インヴァーロック（Inverloch）の難破船アマゾン号（Amazon）の船体のうち、これまでキール（keel）と思われていた部分は舳先（stem）と確認。Heritage Victoriaの調査。アマゾン号は、1863年12月にメルボルン（Melbourne）からモーリシャス（Mauritius）への航海の途中で嵐により難破。[9News]
シリア: デリゾール（Deir ez-Zor）近くのテル・エス・シン遺跡（Tell es-Sin）にあるビザンティン時代・5～7世紀の墓地で、71体を分析。ISによる攪乱にもかかわらず、被葬者の特徴が明らかに。テル・エス・シン遺跡はユーフラテス川左岸にあり、アクロポリス、市街地、墓地からなる遺跡。サーサーン朝（Sassanid；224～651年）とイスラーム勢力が争った7世紀第1四半期に廃絶。
カタルーニャ語 Noves descobertes sobre la necròpolis del jaciment bizantí de Tell es-Sin, a Síria
英語 New findings on the Byzantine necropolis Tell es-Sin in Syria[Universitat de Barcelona]
文献 Laura M. Martínez, Ferran Estebaranz-Sánchez, Rima Khawam, Josep Anfruns, Mohammad Alrousan, Paulo Pereira, Alejandro Pérez-Pérez, Juan-Luis Montero-Fenollós "Human remains from Tell es-Sin, Syria, 2006-2007" Bioarchaeology of the Near East, 13:60-77 (2019) [Bioarchaeology of the Near East]
クロアチア: クルカ国立公園（Krka National Park）のネチュヴェン砦（Nečven fortress）の入り口近くで、六角形の塔の防護壁の中から、17～18世紀の青銅製の火器マチュクラ（mačkula）。ネチュヴェン砦は14世紀に建造。16世紀にはオスマン帝国が占領。1688年にはスクラディン（Skradin）の住民が奪う。[Croatia Week]
チェコ: プラハ（Praha；Prague）のヴァーツラフ広場（Václavské náměstí；Wenceslas Square）で、ユダヤ人の墓石が道路の敷石として使われていた。旧共産主義政権がシナゴーグや墓地を破壊して建材にしていた証拠。[The Guardian]
チェコ: 南ボヘミア州（Jihočeský kraj；South Bohemian Region）ミレフスコ（Milevsko）の修道院で秘密の通路。中世の巨大な壁の向こうにつながる。フス派（Hussites）から貴重品を守る金庫につながる可能性。[Radio Praha]
ポーランド: ヴィエルコポルスカ県（Województwo wielkopolskie）南東部で、航空写真や磁気測定により、新たに砦10か所を発見。一部は歴史資料に言及があるが、農業のため削平されて場所がわかっていなかった。グルジェレツ（Grudzielec）で見つかった砦は火災を受けた証拠。
Archaeologists have discovered unknown forts in Greater Poland[Heritage Daily]
スペイン: カペリャデス（Capellades）のアブリック・ロマニ遺跡（Abric Romaní）で出土した石材のうち8割を占めるチャートについて、ネアンデルタール人（Neanderthals）による石材獲得を研究。半径30kmの範囲のうち、10km以内の地元の石材はあまり利用されていない。チャートの主たる調達範囲は16km地点と24km地点にあり、遺跡の層ごとにも石材の獲得戦略は異なる。
cf. Bruno Gómez de Soler, María Soto, Josep Vallverdú, Manuel Vaquero, Amèlia Bargalló, María Gema Chacón, Francesca Romagnoli, Eudald Carbonell (2020) Neanderthal lithic procurement and mobility patterns through a multi-level study in the Abric Romaní site (Capellades, Spain) Quaternary Science Reviews, Volume 237. [ScienceDirect]
▼アブリック・ロマニ遺跡関連記事→2020年4月4日
UK（イングランド）: デヴォン州（county of Devon）エクセター（Exeter）プリンセスヘイ（Princesshay）のドミニコ会修道院（Dominican friary）墓地で出土した中世・13世紀の人骨に長弓（longbow）による矢が貫通した傷。現代の銃の威力に匹敵。矢は時計回りに回転。中世の長弓の威力を示すとともに、考古資料から矢傷を認識する場合にも役立つ。
文献 Oliver H Creighton, Laura Evis, Mandy Kingdom, Catriona J McKenzie, Iain Watt and Alan K Outram "The face of battle? debating arrow trauma on medieval human remains from Princesshay, Exeter" The Antiquaries Journal [Cambridge Core]
UK（スコットランド）: ロックマーベン（Lochmaben）で、ウィリアム・ウォレス（William Wallace）が築いたとされる砦「ウォレスの家」（Wallace’s House）を調査。砦は1834～1845年に出版された「New Statistical Account of Scotland」で初めて記録された。ウィリアム・ウォレスは第一次スコットランド独立戦争（First War of Scottish Independence）で活躍した騎士。スターリング・ブリッジの戦い（Battle of Stirling Bridge）でイングランド軍に勝利し、スコットランド守護官（Guardian of Scotland）に任ぜられた。Forestry and Land Scotlandの調査。
Archaeological Survey of William Wallace’s Fort[Heritage Daily]
▼ダンフリーズ・アンド・ガロウェイ（Dumfries and Galloway）

2020年5月5日（火）

韓国: 忠清北道清州市月午洞で青銅器時代の支石墓20基あまり。テーブル式、碁盤式、蓋石式など多様な様式。人骨、磨製石剣、石鏃、丹塗磨研土器出土。支石墓群の地下にも別の支石墓群が埋もれている可能性。大韓文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
ルーマニア: ティミシュ県（Județul Timiș）ティミショアラ（Timișoara）のオイトゥズ通り（Strada Oituz）で、ハプスブルク帝国治下・1773～1740年のペスト流行時の集団墓。フランシスコ会の聖デルフィナ（Sfânta Delphina）を表した十字架が出土したことから、デルフィナの列聖（1694）以後であることは確実。ティミショアラ西大学（Universitatea de Vest din Timișoara；UVT）の調査。[AGEPRESS]
イタリア: ローマのパンテオン（Pantheon）前のロトンダ広場（Piazza della Rotonda）で、ローマ時代の床面を発見。[Wanted in Rome]
フランス: ヌーヴェル＝アキテーヌ地域圏（Nouvelle-Aquitaine）ドルドーニュ県（Dordogne）ブラザック（Boulazac）のランドリ遺跡（Landry）で、ソリュートレ文化（Solutréen；Solutrean culture）の幾何学文が彫刻された片岩の板。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Des plaquettes de schiste gravées par des chasseurs solutréens à Boulazac (Dordogne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
デンマーク: ロラン島（Lolland）で、ローマ時代の長さ1400mにおよぶ防御用の溝や穴。長さ1.5kmだった可能性。Museum Lolland-Falsterの調査。[The Copenhagen Post]

2020年5月4日（月）

韓国: 国立中央博物館が、5月6日の再開に向けてウェブサイトで公表した感染症対策と、（同館とは直接関係ないですが）韓国・文化財庁の5月1日発表資料を日本語訳で紹介します。感染症対策か、文化かの二項対立ではなく、こんなときこそ文化が国民を癒す、という立場が表明されています。両者の調整を経済閣僚が発表する日本とは、違いますね。
韓国国立中央博物館再開関係情報[考古学のおやつ]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
韓国: 釜山博物館では、新型コロナウィルス蔓延のため開幕が遅れていた特別展「加耶本性」を5月6日から開催。5月31日まで。[NEWSIS]
タイ: ムックダーハーン県（Mukdahan）で、過去最大級の銅鼓（bronze drum）がほぼ完形で出土。[Southeast Asian Archaeology]
トルコ: イスタンブル（İstanbul；Constantinople）のトプカプ（Topkapı）で、テオドシウスの城壁（Tεῖχος Θεοδοσιακόν；Theodosian Walls）が崩壊。死傷者なし。テオドシウスの城壁はビザンティン時代・5世紀に建造。[Greek City Times]
フランス: パリ盆地のパンスヴァン（Pincevent）の、マドレーヌ文化（Magdalenian）に当たるIV0層とIV20層について、トナカイ（Rangifer tarandus）の歯を分析。層によってトナカイの食生活は異なっており、トナカイを狩ったヒトの戦略的行動の変化を示す。
文献 Natacha Catz, Olivier Bignon‐Lau, Gildas Merceron "Reindeer Feeding ecology and Hunting strategies by Magdalenians from Pincevent (Paris Basin, France): New Insights from Dental Microwear Textural Analyses" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]
UK（イングランド）: デヴォン州（county of Devon）のペイントン（Paignton）とベリー・ポメロイ（Berry Pomeroy）で、それぞれ丘砦（hillfort）の可能性ある遺跡。鉄器時代からサクソン時代まで、この地を支配したドゥムノニイ族（Dumnonii）が建設したと推定。[Heritage Daily]
アイルランド: クレア州（County Clare；Contae an Chláir）ラヒンチ（Lahinch）の断崖で、ドローンによりリングフォートを発見。[The Journal]

2020年5月3日（日）

奈良県: 平城宮・平城京から出土する「麦」と書かれた土器は、正倉院文書に記載される、写経所職員が要求した「麦垸（むぎまり）」に相当。ムギを原料とした「索餅（さくべい）」を入れた容器と推定。土器の深い器形や、索餅とともに醤油や味噌が要求された記述から、索餅はこうした調味料を使った汁気の少ない混ぜそばのような食品だった可能性。森川実・奈良文化財研究所主任研究員の研究。[朝日新聞]
岡山県: 津山市・桑山3号墳で箱式石棺から、多くの副葬品を伴う子どもの人骨。古墳築造時に埋葬されており、集団の後継者と見なされた人物か。佐良山古墳群に属する6世紀半ばの円墳、10m。岡山県古代吉備文化財センターの調査。[山陽新聞]
北朝鮮: 平壌市江東郡香木里で、旧石器時代、新石器時代、青銅器時代の遺跡。旧石器時代の文化層は36000年前～34000年前。[聯合ニュース]
ノルウェー: イトレフォッセ古墳（Ytre Fosse）から、鉄器時代初期・300年ごろのボードゲームの駒とさいころを発見。[NRK] https://www.nrk.no/vestland/fant-1700-ar-gammelt-spill-i-gravhaug-1.15002850
UK（イングランド）: コヴェントリー（Coventry）のチャーターハウス（The Charterhouse）の修復中、1385年創立のカルトジオ会修道院（Carthusian monastery）の跡。ヘンリー8世（Henry III）の時に解体。[CoventryLive]
▼ウェスト・ミッドランズ州（West Midlands）
UK: 英国の1856年から2013年までのヴィクトリア十字勲章（Victoria Cross；VC）を蛍光X線分析。第一次世界大戦と第二次世界大戦のときに材質が変化。現在の材料は1860年アロー戦争で捕獲した中国軍の銃についていた鈴。青銅不足に悩んだ製造元ハンコックス社（Hancocks）が戦争省（War Office）から得た。VCの青銅素材は、クリミア戦争（Crimean war）のセヴァストポリ攻囲戦（Siege of Sevastopol）でロシアから捕獲した銃とされてきたが、根拠は新聞報道のみ。[The Guardian]
文献 Andrew Marriott "Manufactured tradition? - the Victoria Cross" Post-Medieval Archaeology [Taylor & Francis Online]
エジプト: カイロ（Cairo）のタハリール広場（Tahrir Square）にルクソール（Luxor）カルナク神殿（Karnak Temple）のスフィンクス像（sphinx）4体が到着。[Ahram Online]
エジプト: サッカラ（Saqqara）で、第26王朝のミイラ作り工房から、新たに墓室を発見。内部に木棺4基。[Ahram Online]

2020年5月2日（土）

北朝鮮: 平壌市江東郡香木里で、旧石器時代、新石器時代、青銅器時代の洞窟遺跡。旧石器時代の文化層は36000年前～34000年前。[朝鮮新報]
インドネシア: バリ島（Bali）北岸・スンビラン遺跡（Sembiran）の8～9世紀の港湾施設を復元。また、8～12世紀の貿易陶磁の分析から、スンビランでの貿易の再開が、中国が東南アジア島嶼部との貿易を活発化したことによると推定。
文献 Ambra Calo, Ian Moffat, David Bulbeck, Marie France Dupoizat, Kleanthis Simyrdanis, Chester P. Walker, Rochtri Agung Bawono & Bagyo Prasetyo "Reconstruction of the late first millennium AD harbor site of Sembiran and analysis of its tradeware" The Journal of Island and Coastal Archaeology [Taylor & Francis Online]
ドイツ: バイエルン州（Freistaat Bayern）ヴァッサーブルク（Wasserburg）のボーデン湖（Bodensee）の湖畔集落から出土したヒトの頭蓋骨は後期青銅器時代・紀元前10～前9世紀。女性のもの。従来は、出土地周辺の木材の放射性炭素年代から、初期中世・6～7世紀のものと考えられていた。
Menschliche Schädelkalotte aus dem Bodensee ist jetzt datiert[Archaeologie Online]
USA: フロリダ州（Florida）ロバーツ島（Roberts Island）とクリスタル・リバー（Crystal River）で、貝塚から出土した動物骨を比較研究。クリスタッル・リバーではあらゆる動物骨が出土したが、ロバーツ島ではカキ（oyster）に偏重。クリスタッル・リバーでは50年ごろに小規模な儀式が始まり、200年ごろから定住し発展、長距離交易も行った。650年に放棄。その後はロバーツ島（Roberts Island）でカキにより饗宴の伝統を1050年まで保持した。
During tough times, ancient ‘tourists’ sought solace in Florida oyster feasts[Florida Museum]
文献 C. Trevor Duke, Thomas J. Pluckhahn & J. Matthew Compton "Intensification revisited: assessing resource specialization at Crystal River (8CI1) and Roberts Island (8CI41), Florida" Southeastern Archaeology [Taylor & Francis Online]
メキシコ: ハリスコ州（Estado de Jalisco）グアチモントネス遺跡（Guachimontones）で2008年に出土した、スペイン人到来以前・700年前～500年前の100kgの巨大土器は、トウモロコシを発酵させたアルコール飲料テフイーノ（Tejuíno）を作り、貯蔵するためのもの。内面からトウモロコシ（Zea mays）由来の炭水化物や澱粉を検出。発酵を早めるためのサツマイモ成分も。[Mexico News Daily]

2020年5月1日（金）

長野県: 朝日村・氏神遺跡で縄文時代中期や古代の住居跡。長野県埋蔵文化財センターの調査。[市民タイムスWEB]
沖縄県: 那覇市・首里城の地下にある旧日本陸軍第32軍司令部壕について、平和の拠点として公開を求める声。[西日本新聞]
▼第32軍司令部壕関連記事→2019年12月1日
中国: 内モンゴル自治区赤峰市敖漢旗四家子鎮で、遼時代中晩期の壁画墓。[中国新聞網]
中国: 雲南省臨滄市で、明～清時代の器物1万件以上出土。[新華社]
地中海: エーゲ海からポルトガルまでの地中海地域に、紀元前7000年～前5000年に、新石器時代の文化が伝播する過程での収穫技術の変化を研究。新たな居住地での適応と技術革新を明らかに。
文献　Niccolò Mazzucco, Juan José Ibáñez, Giacomo Capuzzo, Bernard Gassin, Mario Mineo, Juan Francisco Gibaja "Migration, adaptation, innovation: The spread of Neolithic harvesting technologies in the Mediterranean" PLOS ONE, Published: April 30, 2020 [PLOS ONE]
ポーランド: ポーランド南部の新石器時代から青銅器時代への転換期の人骨150体のうち80体からミトコンドリアDNAの試料を得て分析。青銅器時代・紀元前2400年～前1100年のポーランド南部の3集団、ミエジャノビツェ文化（Kultura mierzanowicka；Mierzanowice culture）、ストシジュフ文化（Kultura strzyżowska；Strzyżów culture）、トシュチニェツ文化（Kultura trzciniecka；Trzciniec culture）は、遺伝的に紀元前3000年ごろの黒海ステップ地帯やにつながり。青銅器時代・4000年前のDNAは、現在の同地の住民との間につながり。[The First News]
ミエジャノビツェ文化、トシュチニェツ文化は、後期新石器時代の縄文土器文化（Corded Ware culture；Corded Ware culture）につながり、ストシジュフ文化はヤムナ文化（Jamnaja-Kultur；Yamnaya culture）、横穴墓文化（Katakombengrab-Kultur；Catacomb culture）、スキタイ（Scythians）につながる。
文献 Anna Juras, Przemysław Makarowicz, Maciej Chyleński, Edvard Ehler, Helena Malmström, Maja Krzewińska, Łukasz Pospieszny, Jacek Górski, Halina Taras, Anita Szczepanek, Marta Polańska, Piotr Włodarczak, Agnieszka Szyca, Anna Lasota‐Kuś, Irena Wójcik, Mattias Jakobsson, Miroslawa Dabert "Mitochondrial genomes from Bronze Age Poland reveal genetic continuity from the Late Neolithic and additional genetic affinities with the steppe populations" American Journal of Physical Anthropology, First published:15 April 2020 [Wiley Online Library]
ドイツ: ブルゲンラント郡（Burgenlandkreis）バート・ケーゼン（Bad Kösen）で石器時代・線帯文土器文化（Linienbandkeramik；Linear Pottery culture）・7200年前の祭祀場。偶像の破片出土。[Süddeutsche Zeitung]
デンマーク: コペンハーゲン（København；Copenhagen）のオスタポート駅（Østerport Station）で、19世紀の木造の避難用トンネル。1874年に伐採された木材を使用。地下鉄との接続工事で判明。コペンハーゲン博物館（Københavns Museum；Museum of Copenhagen）の調査。[The Copenhagen Post]
USA: テキサス州（State of Texas）ヒューストン（Houston）のヒューストン樹木園 & 自然センター（Houston Arboretum & Nature Center）の地下に第一次世界大戦のときの訓練キャンプ、キャンプ・ローガン（Camp Logan）の跡。[Houstonia]
メキシコ: メキシコシティで1980年代に発見された西アフリカ出身とされる16世紀の人骨について、同位体やDNAの分析により、アフリカからアメリカ大陸に渡った最初期の世代の奴隷と確認。3人ともに死亡時に20代後半から30代前半で、暴力の痕跡がある。1人には数回にわたる銃創。この人物を含む2名には栄養不足と貧血。残る1名には重労働の痕跡。
Three men were buried in Mexico 500 years ago. DNA and bones reveal their stories of enslavement[Science]
メキシコシティのサン・ホセ・デ・ロス・ナトゥラレス王立病院（Hospital Real de San José de los Naturales）で出土した16世紀の人骨に関する研究。
文献 Rodrigo Barquera, Thiseas C. Lamnidis, Aditya Kumar Lankapalli, Arthur Kocher, Diana I. Hernández-Zaragoza, Elizabeth A. Nelson, Adriana C. Zamora-Herrera, Patxi Ramallo, Natalia Bernal-Felipe, Alexander Immel, Kirsten Bos, Víctor Acuña-Alonzo, Chiara Barbieri, Patrick Roberts, Alexander Herbig, Denise Kühnert, Lourdes Márquez-Morfín, Johannes Krause "Origin and Health Status of First-Generation Africans from Early Colonial Mexico" Current Biology, Published: April 30, 2020 [Cell]

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