考古学のおやつ/NEWSLINK

2021年1月10日（日）

ヨルダン: アンマン（Amman）で、ローマ時代・紀元前2～3世紀の浴場を埋め戻し。[The National]
▼アンマンのローマ時代の浴場関連記事→2020年12月14日
▽ヨルダンのローマ時代の遺跡で紀元前3～前2世紀は古すぎないか？
UK（イングランド）: マンチェスター（Manchester）のメイフィールド（Mayfield）でヴィクトリア朝・1857年に開業したタイル張り浴場跡。[The Guardian]
メキシコ: ベラクルス州（Veracruz de Ignacio de la Llave）・イダルゴ・アマハック（Hidalgo Amajac）で、高さ6フィートの女性像。高位の女性を表す。1450～1521年。アステカの影響を示す。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。[The Associated Press]

2021年1月9日（土）

中国: 貴州省畢節市赫章県可楽イ族ミャオ族郷にある戦国～秦漢時代の墓地で、套頭葬の墓25基。死者の頭部に銅釜や銅鼓、鉄釜を被せる埋葬風習。[AFPBB]
キプロス: ラルナカ（Λάρνακα；Larnaca）のペトラキス・キプリアヌ（Πετράκης Κυπριανού；Petrakis Kyprianou）で紀元前12世紀からローマ時代までの墓地。[Greek Reporter]
オランダ: リンブルフ州（Provincie Limburg）マーストリヒト（Maastricht）のクライスドンク（Kruisdonk）で、ローマ時代の墓と中世・14世紀の庭園。[De Linburger]
フランス: イル＝ド＝フランス地域圏（Île-de-France）セーヌ＝エ＝マルヌ県（Seine-et-Marne）シャミニー（Chamigny）で、後期新石器時代（Néolithique récent；Late Neolithic）・紀元前4千年紀後半～前3千年紀前半の墓地から2017年に出土した石材に、擬人像の線刻。
Retour sur une découverte mégalithique hors norme à Chamigny (Seine-et-Marne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
チュニジア: チュニス（Tunis）にあるカルタゴ（Carthage）のテオドシウスの城壁墓地で出土したヴァンダル王国・5～6世紀の人骨の同位体による食生活を復元。C3陸生植物を主食とし、ヒツジ・ヤギ、ウシ、ブタなどの家畜から動物性タンパク質を得る。性別、年齢、時代による違いはない。カルタゴ南方のレプティミヌス（Leptiminus）と比較して、海洋性の食品が少ないのがカルタゴの特徴。
cf. Ying Ma, Ralf Bockmann, Susan T. Stevens, Sihem Roudesli‐Chebbi, Alessio Amaro, Anastasia Brozou, Benjamin T. Fuller, Marcello A. Mannino "Isotopic reconstruction of diet at the Vandalic period (c. 5th – 6th centuries AD) Theodosian Wall cemetery at Carthage, Tunisia" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]
エクアドル: コトパクシ県（Provincia de Cotopaxi）ラタクンガ郡（Latacunga）ムラロ（Mulaló）のサラティリン遺跡（Salatilín）で、インカ時代～スペイン植民地時代・1450～1540年の人骨12体。[Efe]

2021年1月8日（金）

中国: 山西省臨汾市隰県・五里后墓地で、唐、宋、元、明の墓。元時代の金剛杵出土。
山西隰県五里后墓地発現元代金剛杵[中国社会科学院考古研究所]
中国: 陝西省西咸新区で、唐代の紀年壁画墓2基。うち1基の墓主は康善達。671年死去。もう1基の墓主は楊知什夫婦。739年合葬。陝西省考古研究院の調査。[中国新聞網]
中国: 新疆ウイグル自治区哈密市バルクル・カザフ自治県（巴里坤自治県）・キョルヤカ遺跡（海子沿遺跡）で3300年前の大型住居跡。[AFPBB]
イタリア: プッリャ州（Regione Puglia）レッチェ県（Provincia di Lecce）アレーツィオ（Alezio）のモンテ・デリア墓地（Monte d'Elia）で、紀元前4世紀～前3世紀のメサピ人（Messapii）12人の埋葬と、儀式のための広場。子供の墓には、オリーブやおもちゃなどとともにアスリートが用いるストリギル（strigile）を副葬。[ANSA]
フランス: オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏（Auvergne-Rhône-Alpes）リヨン（Lyon）のポワン＝デュ＝ジュール（Point du Jour）で、ローマ時代の水道の一部。アウグストゥスの硬貨や、放射性炭素年代から、1世紀の築造と推定。イズロン（Yzeron）とリヨンをむすぶ。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Une double conduite en bois, probable segment de l’aqueduc romain de l’Yzeron à Lyon[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
フランス: コルシカ島（Corse；Corsica）のオート＝コルス県（Haute-Corse）プルネッリディフィウモルボ（Prunelli-Di-Fiumorbo）のキアラタ（Chiarata）で紀元前1世紀～紀元後3世紀の集落。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Nouvelles découvertes archéologiques à Prunelli-Di-Fiumorbo (Haute-Corse)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
タンザニア: オルドヴァイ渓谷（Olduvai Gorge；Oldupai Gorge）で、200万年前の石器。当時の人類が環境に適応していったさまを示す。[News Wise]
cf. Julio Mercader, Pam Akuku, Nicole Boivin, Revocatus Bugumba, Pastory Bushozi, Alfredo Camacho, Tristan Carter, Siobhán Clarke, Arturo Cueva-Temprana, Paul Durkin, Julien Favreau, Kelvin Fella, Simon Haberle, Stephen Hubbard, Jamie Inwood, Makarius Itambu, Samson Koromo, Patrick Lee, Abdallah Mohammed, Aloyce Mwambwiga, Lucas Olesilau, Robert Patalano, Patrick Roberts, Susan Rule, Palmira Saladie, Gunnar Siljedal, María Soto, Jonathan Umbsaar & Michael Petraglia (2021) Earliest Olduvai hominins exploited unstable environments ~ 2 million years ago. Nature Communications, volume 12, Article number: 3 [Nature]
イヌの家畜化: 最終氷期に、厳しい冬の間にヒトが食べ残しの赤身肉をオオカミに与えたことが、イヌの家畜化の初期段階に関係していた可能性。
考古学：ヒトが食べ残しの肉をオオカミに与えたことがイヌの家畜化の初期段階に寄与したかもしれない[Natureasia]
cf. Maria Lahtinen, David Clinnick, Kristiina Mannermaa, J. Sakari Salonen & Suvi Viranta "Excess protein enabled dog domestication during severe Ice Age winters" Scientific Reports volume 11, Article number: 7 (2021) [Scientific Reports]

2021年1月7日（木）

イスラエル: ネゲヴ砂漠（Negev）で、ビザンティン時代・6世紀後半～7世紀初めの、ギリシャ語銘文の入った石。墓石として使われた。直径25cm。[The Jerusalem Post]
トルコ: トカト県（Tokat ili）のコマナ・ポンティカ（Κόμανα Ποντική；Comana Pontica）で、古代エジプト・3000年前のスカラベ印章。ヒエログリフを表し、エジプト第18王朝のファラオ・トトメス3世（Thutmose III：在位紀元前1479年～前1429年）の名を記す。紀元前5～前4世紀まで用いられたと推定。[Daily Sabah]
トルコ: ブルドゥル県（Burdur il）ギョルヒサル郡（Gölhisar）の古代都市キビュラ（Κιβύρα；Kibyra）で、神殿カイサリオン（Kaisarion）から、2世紀の医神アスクレピオス（Ἀσκληπιός；Asklepios）の小像や、セラピス神（Σάραπις；Serapis）の胸像。キビュラは医学の分野で著名な都市だった。アスクレピオス小像の出土で評判を実証。[Hürriyet Daily News]
トルコ: エラズー県（Elazığ）ケバン郡（keban）の1794年建立のモスク「ユースフ・ズィヤー・パシャ・モスク」（Yusuf Ziya Pasha Mosque）で、修復の過程で漆喰層の下の壁からオスマン朝のオリジナルの手書きモチーフが露わに。オスマン帝国の大宰相（grand vizier）ユースフ・ズィヤー・パシャにちなんで命名されたモスク。[Daily Sabah]
ロシア: 東シベリアの40体のDNAを分析。ペスト菌（Yersinia pestis）を2人（4400年前と3800年前）から検出。4700年前から4400年前に遺伝的多様性が急激に減少しており、古代のシベリアは4400年前に持ち込まれた伝染病で絶滅した可能性。[ScienceNews]
cf. He Yu, Maria A. Spyrou, Marina Karapetian, Svetlana Shnaider, Rita Radzevičiūtė, Kathrin Nägele, Gunnar U. Neumann, Sandra Penske, Jana Zech, Mary Lucas, Petrus LeRoux, Patrick Roberts, Galina Pavlenok, Alexandra Buzhilova, Cosimo Posth, Choongwon Jeong, Johannes Krause (2020) Paleolithic to Bronze Age Siberians Reveal Connections with First Americans and across Eurasia. Cell, Volume 181, Issue 6, P1232-1245 [Cell]
cf. Gülşah Merve Kılınç, Natalija Kashuba, Dilek Koptekin, Nora Bergfeldt, Handan Melike Dönertaş, Ricardo Rodríguez-Varela, Dmitrij Shergin, Grigorij Ivanov, Dmitrii Kichigin, Kjunnej Pestereva, Denis Volkov, Pavel Mandryka, Artur Kharinskii, Alexey Tishkin, Evgenij Ineshin, Evgeniy Kovychev, Aleksandr Stepanov, Love Dalén, Torsten Günther, Emrah Kırdök, Mattias Jakobsson, Mehmet Somel, Maja Krzewińska, Jan Storå, and Anders Götherström (2021) Human population dynamics and Yersinia pestis in ancient northeast Asia, Science Advances, Vol. 7, no. 2, eabc4587 [Science Advances]
オーストリア: フォアアールベルク州（Vorarlberg）ブレゲンツ（Bregenz）で、ローマ時代の劇場。石造りの壁と木製の座席を持ち、直径50m以上。2000人以上を収容。当地のローマ都市ブリガンティウム（Brigantium）の人口よりも多くを収容できた。[ORF]
スペイン: ウエスカ県（Huesca）ビサウーリ（Bisaurri）のエルス・トロクス洞窟（Cova de Els Trocs）の中から新石器時代・紀元前5312年～前2913年（cal. BC）を通じて4000頭以上のヤギ亜科の遺体。酸素（δ18O）と炭素（δ13C）の安定同位体分析により、ヒツジの群れが定期的に高地を移動し、ヒツジの季節が延長。紀元前5千年紀後半から、秋にも出産するようになり、乳幼児死亡率は低下。ヒトによる飼育・管理を示す。
cf. Cristina Tejedor-Rodríguez, Marta Moreno-García, Carlos Tornero, Alizé Hoffmann, Íñigo García-Martínez de Lagrán, Héctor Arcusa-Magallón, Rafael Garrido-Pena, José Ignacio Royo-Guillén, Sonia Díaz-Navarro, Leonor Peña-Chocarro, Kurt. W. Alt, Manuel Rojo-Guerra (2021) Investigating Neolithic caprine husbandry in the Central Pyrenees: Insights from a multi-proxy study at Els Trocs cave (Bisaurri, Spain). PLoS ONE, 16(1): e0244139. [PLOS ONE]
▼アラゴン州（Aragón）
スペイン: カナリア諸島（Islas Canarias；Canary Islands）のラ・ゴメラ（La Gomera）で、先住民53人と動物19頭について食生活を安定同位体（δ13Cおよびδ15N）で調査（うち52試料について放射性炭素分析）。ヒトは3～15世紀、動物は1～17世紀。ヒトは海と陸の双方からたんぱく質を摂取し、C3植物を多く摂取。環境変化によると思われる経時的な変化。
cf. Elías Sánchez‐Cañadillas, Jared Carballo, Eleazar Padrón, Juan Carlos Hernández, Gladys V. Melián, Juan Francisco Navarro Mederos, Nemesio M. Pérez, Matilde Arnay‐de‐la‐Rosa "Dietary changes across time: Studying the indigenous period of La Gomera using δ13C and δ15N stable isotope analysis and radiocarbon dating" American Journal of Physical Anthropology [Wiley Online Library]
USA: ケンタッキー州（Commonwealth of Kentucky）レキシントン（Lexington）のトライアングル・パーク（Triangle Park）で、古いレンガの壁。骨製の梳き櫛（lice comb）、1863年の硬貨など出土。1871年に駅ができる以前の様相を示す。[Lexington Herald Leader]

2021年1月6日（水）

高知県: 高知市・高知城の天守などで、12月25日以降、合計27箇所の固いもので彫ったひっかき傷が見つかる。1/6高地警察署に通報。
高知城の天守などにおけるいたずら被害について[高知県]
松山城の天守などで見つかった傷に類似。[読売新聞]
パレスチナ: ゲッセマネ（Gethsemane）で、ビザンティン帝国・1500年前の教会に、2000年前の儀式用の浴槽ミクワー（Mikveh）。
Ritual bath unearthed at site where Judas betrayed Jesus[LiveScience]
UK（イングランド）: イングランド東部で40～50年のケルトの硬貨1300枚以上。ケルトの女王ブーディカ（Boudicca）のローマに対する反乱に関連。[Express]

2021年1月5日（火）

愛媛県: 松山市・松山城の天守などで、尖ったもので彫ったひっかき傷。1/4発見し、松山東警察署に通報。原因は調査中。重要文化財の天守に6か所、復興建造物（内門、玄関多聞櫓、十間廊下、多聞櫓、小天守）に11か所。
松山城の天守などでひっかき傷が見つかりました[松山市]
鹿児島県: 鹿児島市・鹿児島城（鶴丸城）御楼門前から、江戸時代前期・17世紀の「犬追物馬場」跡とみられる遺構。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。[南日本新聞]
学会: 日本考古学協会が日本中国考古学会・東南アジア考古学会・日本西アジア考古学会と共催で1月に開催を予定していた「第14回アジア考古学四学会合同講演会」は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止。
アジア考古学四学会合同講演会開催中止のお知らせ[日本考古学協会]
韓国: 全羅北道鎮安郡銅郷面大良里・大良里製銅遺跡で、銅鉱石から銅を抽出する製銅炉。周囲では銅滓と炉壁の破片。9世紀中ごろ。[聯合ニュース]
▼大良里製銅遺跡関連記事→2018年7月30日
エストニア: タルトゥ（Tartu）の中心地にあるタルトゥ大学（Tartu Ülikool；University of Tartu）敷地内で、中世と近世の遺物。大北方戦争（Great Northern War）当時の建物の壁。大北方戦争中の1708年に破壊。[Eesti Rahvusringhääling]
フランス: オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏（Auvergne-Rhône-Alpes）アルデシュ県（Ardèche）クリュア（Cruas）にあるサント・マリ修道院教会（abbatiale Sainte-Marie）近くで、地下室に用途不明の石積み
Un site abbatial enfoui dans les limons à Cruas (Ardèche)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2021年1月4日（月）

岡山市: 東区で2000年に宅地造成中出土した白鳳時代・7世紀後半の鬼瓦が、郷土史家・浦上宏さんから岡山県立博物館に寄贈された。倉敷市・箭田廃寺出土の「蓮華文鬼瓦」と同笵と判明。[山陽新聞]
韓国: 公州市・武寧王陵で出土した、王妃の銀釧（ブレスレット）に刻まれた銘文「庚子年二月多利作大夫人分二百卅主耳」のうち「多利」は、王妃の本名または美称である可能性が続々指摘されている。従来、「多利」は銀釧を製作した工人の名前とみられていた。[忠清新聞]
インド: ビハール州（Bihar）ラキーサラーイ県（Lakhisarai district）Lal Pahariのガンジス川流域で、丘の上に11～12世紀の僧院。尼僧Vijayashree Bhadraが長を務めた。[The Times of India]
ヨルダン: マケラス（Machaerus）で、洗礼者ヨハネが29年ごろに死刑を宣告された舞踏場を特定。領主ヘロデ・アンティパス（Ἡρῴδης Ἀντίπατρος；Herod Antipas）の座所。
Dance floor where John the Baptist was condemned to death discovered, archaeologist says[LiveScience]
トルコ: バルケスィル県（Balıkesir il）アイワルク郡（Ayvalık）のジュンダ島（Cunda Adası）で、Ai Dimitri修道院にあるオスマン朝・1766年の礼拝堂がトレジャーハンターによる違法発掘がきっかけに破壊される。[Hürriyet Daily News]
イタリア: アクイーノ（Aquino）で、市営墓地近くとサン・トンマーゾ広場（piazza San Tommaso）で、ローマ時代の墓が各1基。[ArcheoMedia]
▼ラツィオ州（Regione Lazio）フロジノーネ県（Provincia di Frosinone）
UK（イングランド）: ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）ホワイトパリッシュ（Whiteparish）の庭園で20年前に掘り出され、オーナーがウマに騎乗するとき踏み台に使っていた石材は、ローマ時代・2世紀の大理石製の石碑。ギリシャまたは中東で製作。18世紀後半～19世紀に富裕な貴族のグランド・ツアー（Grand Tour）の際にもたらされたか。[Daily Mail]

2021年1月3日（日）

青森県: 八戸市・是川遺跡（これかわいせき）に関する大正時代の貴重な資料が、東京都の板橋区立郷土資料館が所蔵する人類学者石田収蔵（1879～1940年）の資料の中に含まれていることを確認。[東奥日報]
岐阜県: 加茂郡富加町・堂洞城跡（どうほらじょうあと）で、焼けた米のような黒い炭化物。「信長公記」や「堂洞軍記」に記される、火攻めを裏付ける証拠か。[岐阜新聞]
中国: 河北省武安市南関街で、宋三彩の塔式磁器罐。[AFPBB]
トルコ: イズミル県（İzmir）チェシュメ郡（Çeşme）ウルラ（Urla）で紀元前6世紀のアフロディテ女神（Ἀφροδίτη；Aphrodite）の神殿。[Anadolu Ajansı]
ロシア: クラスノヤルスク（Красноярск；Krasnoyarsk）のエニセイ川（Енисей；Yenisey）沿いのアフォントヴァ・ゴラ2遺跡（Афонтова гора II；Afontova Gora-2）から、旧石器時代・12000年前の象牙を軟らかくして作った細長い棒12本と、マンモスの牙のスポンジ状の部分を加工して作った動物像。12000以上前、道具や装飾を作るため、マンモスの牙を子ども用の粘土（playdough）のように軟らかくする未知の技術があった。[The Siberian Times]
セントクリストファー・ネーヴィス: 小アンティル諸島（Lesser Antilles）のネーヴィス島（Nevis）にあるココナット・ウォーク（Coconut Walk）で出土したコロンブス以前（Pre-Columbian）・後期土器時代（Late Ceramic Age）・600～1500年の土器20点を岩石学的に分析し、混和材（temper）を島周辺の11か所の海岸の砂と比較。珪長質（Felsitic）と火山性（Volcanic）の2グループがあり、2種の混和材を用いて在地で生産。
cf. John Lawrence, Scott M. Fitzpatrick, Christina M. Giovas "Petrographic analysis of Pre-Columbian pottery from Nevis, Eastern Caribbean" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 35 [ScienceDirect]

2021年1月2日（土）

熊本県: 菊池市・菊之城跡（きくのじょうあと）で13世紀後半～14世紀前半ごろの建物遺構。柱穴3基。中世の豪族・菊地一族初期の館跡の可能性。菊之城跡で建物遺構が見つかるのは初めて。菊之城跡では、菊池氏初代の藤原（菊池）則隆が1070年に拠点を構えたと伝わり、16代武政（1342～1374年）が守山城（隈府城）移るまで使っていたとみられる。菊池市教育委員会の調査。[熊本日日新聞]
中国: 敦煌（Dunhuang）の莫高窟（Mogao Caves）の第465窟で、洞窟壁画を12～13世紀と特定。壁画の顔料を同定。天井に貼られた紙にサンスクリットの文章を確認。ノッティンガム・トレント大学（Nottingham Trent University）の調査。[Nottinghamshire Live]
ポーランド: ルブリン県（Województwo lubelskie；Lublin）プワヴィ（Puławy）の教会の秘密の空間から、テレサ・チャルトリスカ（Teresa Czartoryska）の記念品。テレサ・チャルトリスカは、チャルトリスキ美術館の創始者イザベラ・チャルトリスカ公爵夫人（Princess Izabela Czartoryska）の長女。1780年に15歳で焼死。遺品のいくつかには火を受けたものがある。教会は1801年に改修されており、そのときに遺品が納められた可能性。発見後に一部の遺品が行方不明となり、作業員に容疑がかかっている。[The First News]
フィンランド: レヴェンルータ遺跡（Levänluhta）の鉄器時代（Iron Age）の水中埋葬の遺体を再分析し、性別が女性に偏っていることは確認されたが、栄養不足による低身長という仮説は検証できなかった。
cf. Heli Maijanen, Juho‐Antti Junno, Kristiina Mannermaa, Markku Niskanen, Anna Wessman "Re‐analysis of the Levänluhta skeletal material: Sex and stature estimation of individuals in an Iron Age water burial in Finland" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]
▼ポフヤンマー県（Pohjanmaa）キュロンマー郡（Kyrönmaa）イソキューロ市（Isokyrö）
▼レヴェンルータ遺跡関連記事→2020年4月23日
USA: ノースカロライナ州（State of North Carolina）のアウタアーバンクス（Outer Banks）のオクラコーク島（Ocracoke）の沈没船は、1837年の蒸気船ホーム号（Steamship Home）や、1935年のノミス号（Nomis）の可能性。[The News & Observer]

2021年1月1日（金）

トルコ: アダナ県（Adana il）コザン郡（Kozan）に所在する古代都市アナバルザ（Anavarza）で，各時代の出土品に加え、銅石器時代（Chalcolithic Period）の石斧。儀式などに使用されたと推定。[Hürriyet Daily News]
トルコ: トラブゾン県（Trabzon il）で、後期銅石器時代（late chalcolithic period）～初期青銅器時代（early bronze age）・紀元前4000年ごろ槍先2本。1本はオルタヒサル郡（Ortahisar）のトンネル工事現場での発掘品。もう1本は市内の中古品ショップでみつかる。[Hürriyet Daily News]
トルコ: ズィヤーレット・テペ（Ziyaret Tepe）で出土した新アッシリア帝国（Neo-Assyrian Empire）の銅鏃（bronze arrowhead）の貫通力に関して研究。青銅の両翼鏃（bilobate arrowhead）と三翼鏃（trilobate arrowhead）では、両翼鏃の貫通力が有意に高い。複雑な形態のためコストが高く技術的にも困難な三翼鏃は、機能においても優れているとは言えない。
cf. Damon Mullen, Timothy Matney, Alex Morrison, Michael Fisch, Briggs Buchanan, Michelle R. Bebber "Experimental assessment of Neo-Assyrian bronze arrowhead penetration: An initial study comparing bilobate versus trilobate morphologies" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 35 [ScienceDirect]
▼ディヤルバクル県（Diyarbakır）
キプロス: レフコシア（Λευκωσία；Lefkosia、ニコシア）のペラ・オリニス（Πέρα Ορεινής；Pera Oreinis）で、古代タマソス（Ταμασσός；Tamassos）の近くからアポロンの神殿（Sanctuary of Apollo）の場所を発見。[Greek Reporter]
ポーランド、ウクライナ: キビ（broomcorn millet）の東欧・中央への導入時期を特定するため、ポーランドとウクライナ西部の13遺跡から出土した青銅器時代の人骨のコラーゲンについて、放射性炭素年代と安定同位体（δ13Cとδ15N）を分析。紀元前15世紀半ばにδ13Cの値が顕著に上昇し、キビの消費開始を示す。同時期の動物にキビで飼育された形跡はなく、ヒトがキビを直接食べたと推定。キビを食べた人はもっぱら高地に住んでいるが、高地の住民すべてがキビを食べたわけではない。ポーランド、ウクライナにはカルパチア山脈を経由してキビがもたらされた。キビの消費のピークは紀元前13世紀半ば。キビ生産の増加は人口増加と関連。キビ（broomcorn millet）は中国で栽培化され、ユーラシアに広まった。ヨーロッパには新石器時代に到着したとみられていたが、最近の放射性炭素年代測定により、新石器時代の炭化アワとみられていたものは青銅器時代中期だった。
cf. Łukasz Pospieszny, Przemysław Makarowicz, Jamie Lewis, Jacek Górski, Halina Taras, Piotr Włodarczak, Anita Szczepanek, Vasy lIlchyshyn, Marina O. Jagodinska, Janusz Czebreszuk, Przemysław Muzolf, Marek Nowak, Marta Polańska, Anna Juras, Maciej Chyleński, Irena Wójcik, Anna Lasota-Kuś, Jan Romaniszyn, Krzysztof Tunia, Marcin M. Przybyła, Ryszard Grygiel, Andrzej Matoga, Daniel Makowiecki, Tomasz Goslar "Isotopic evidence of millet consumption in the Middle Bronze Age of East-Central Europe" Journal of Archaeological Science. Volume 126 [ScienceDirect]
オランダ: ユトレヒト州（Provincie Utrecht）ブニク自治体（Bunnik）のオデイク（Odijk）にあるヨヘム・ヤンスプラントスーン（Jochem Janszplantsoen）で、鉄器時代（IJzertijd）とローマ時代（Romeinse Tijd）の集落跡。建物跡や井戸。ラ・テーヌ文化のガラス製ブレスレット、ローマ時代の硬貨など出土。[Gemeente Bunnik]
フランス: ノルマンディー地域圏（Normandie）カルヴァドス県（Calvados）ジベルヴィル（Giberville）で、初期青銅器時代（Early Bronze Age）・紀元前1800年～前1400年の首長墓。[Archaeology News Network]
UK（イングランド）: イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー（East Riding of Yorkshire）のビーフォード（Beeford）で、ローマ時代の環濠と、環濠に捨てられた大量のローマ時代の土器。集落の存在を示す。また、青銅器時代～ローマ時代とみられる円形住居1基。ウルローム（Ulrome）で、紀元前7000年以降の鉄器時代とローマ時代に、土器を捨てるために用いられた円形の池。AOC Archaeology Groupの調査。[The Yorkshire Post]
メキシコ: カンペチェ州（Estado de Campeche）・チャクトゥン遺跡（Chactún）で、Lidarにより、マヤ文明（Maya）の考古学的景観が明らかに。
cf. Ivan Šprajc, Nicholas P. Dunning, Jasmina Štajdohar, Quintin Hernández Gómez, Israel Chato López, Aleš Marsetič, Joseph W. Ball, Sara Dzul Góngora, Octavio Q. Esparza Olguín, Atasta Flores Esquivel, Žiga Kokalj "Ancient Maya water management, agriculture, and society in the area of Chactún, Campeche, Mexico" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 61 [ScienceDirect]

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