考古学のおやつ/NEWSLINK

2020年12月20日（日）

福岡県: 春日市・須玖遺跡群（すぐいせきぐん）で、弥生時代中期前半・紀元前2世紀ごろの計量用の重り「権」。重さの規格は韓国出土の権と共通。[読売新聞]
韓国: 釜山市東莱区の新庁舎敷地で発見された朝鮮時代の東莱邑城の遺跡は移転保存することに。[釜山日報]
▼東莱邑城関連記事→2020年10月18日
中国: 陝西省西安市閻良区の櫟陽城遺跡の3号古城から、多数の大型宮殿建築。浴室、カマドなど。秦漢時代の後宮の生活区域。[新華社]
▼櫟陽城遺跡関連記事→2017年11月6日
中国: 河南省洛陽市孟津県会盟鎮李家庄村で、新たに大規模な漢代の墳墓100基あまり。洛陽市文物考古研究院の調査。[新華社]
スペイン: イベリア半島北東部のボビラ・マドゥレイ（Bòbila Madurell）、カン・ガンブス（Can Gambús）、プイグ・デン・ロカ（Puig d'en Roca）の新石器時代・紀元前5千年紀後半～前4千年紀前半の埋葬人骨について、ストロンチウム、酸素、炭素の同位体分析。低い移動性のパターンを示す。地元の資源を利用し、ある程度社会組織が発展して、中央ヨーロッパや地中海との原材料の交易にも従事。
cf. M. Díaz-Zorita Bonilla, M. E. Subirá, M. Fontanals-Coll, K. J. Knudson, E. Alonzi, K. Bolhofner, B. Morell, G. Remolins, J. Roig, A. Martín, P. González Marcén, J. Plasencia, J. M. Coll, J. F. Gibaja "Neolithic networking and mobility during the 5th and 4th millennia BC in north-eastern Iberia" Journal of Archaeological Science. Volume 125 [ScienceDirect]
UK（イングランド）: エセックス州（the county of Essex）クレッシング（Cressing）のタイ・グリーン（Tye Green）で、鉄器時代（Iron Age）の集落。円形住居17基以上と土塁があるが、1世紀に焼き払われて破壊されており、61年のブーディカ（Boudicca）の乱に地元のトリノヴァンテス族（Trinovantes）が参加したことに対するローマ側の報復の証拠。続く時期にはローマ時代の墓がなく、集落が放棄されたことを示す。なお、ローマのメルクリウス神（Mercurius；Mercury）への奉納は4世紀のローマ支配の終焉まで続く。[BBC]

2020年12月19日（土）

鳥取県: 西伯郡大山町・妻木晩田遺跡（むきばんだいせき）の仙谷1号墓（せんたにいちごうぼ）で墳丘の側面に貼られた貼石を良好な状態で確認。弥生時代後期の四隅突出型墳丘墓。鳥取県の調査。12/4現地説明会。
史跡妻木晩田（むきばんだ）遺跡発掘調査記者公開・現地説明会を開催します[鳥取県]
鹿児島県: 和泊町・城当遺跡（ぐすくどういせき）で、古墳時代～古代併行期の遺物。和泊町教育委員会12/18発表。[南海日日新聞]
日本学術会議: 東南アジア考古学会運営委員会が、菅内閣による日本学術会議会員任命拒否に対して、「多様な価値観と政治見解を認めながら、真理を求めて学術研究を推進する立場から、」学問に対する不当な介入に反対し、日本学術会議が2020年10月2日付で内閣総理大臣あてに提出した「第25期新会員任命に関する要望書」に賛意を表明。
日本学術会議会員任命拒否に関する声明[東南アジア考古学会]
インド: ウッタル・プラデーシュ州（Uttar Pradesh）マウー県（Mau District）GondhwakotのMahpur村で、土製の仏像の頭部や土器、銅貨など。[The Times of India]
ブルガリア: ブルガス州（Област Бургас；Oblast Burgas）カメノ（Камено；Kameno）のルソカストロ砦（Русокастро；Rusokastro）でズグラッフィート技法（Sgraffito）で作られた容器の底に、それぞれモノグラム「МИХАИЛ」（MICHAEL）、「ПАЛЕОЛОГ」（PALEOLOGIST）を表す。ПАЛЕОЛОГは皇室を示す。これらの容器はおそらくコンスタンティノープル（Constantinople）で作られた。
ブルガリア語Нови важни находки са открити при проучването на крепостта Русокастро
英語New important finds were discovered during the study of Rusokastro fortress [Регионален исторически музей Бургас]
▼ルソカストロ砦関連記事→2020年11月20日
スロバキア: ザーホリエ（Záhorie）のラドショフツェ村（Radošovce）で、青銅器時代・ヴェラティツェ文化（Velatická kultúra；Velatic culture）・紀元前1250年～前1000年の集落。穀物貯蔵穴や、粘土採掘坑を確認。青銅製のピン、土器、織物の時に使う重りが出土。ヴェラティツェ文化は墳丘墓を築造し、スロバキアのドゥツォヴェー（Ducové）、ポハンスカー（Pohanská）、デヴィーン（Devín）に居住した。[The Slovak Spectator]
▼ブラチスラヴァ県（Bratislavský kraj）マラツキ郡（Okres Malacky）
フランス: ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）フィニステール県（Finistère）プルゴンヴラン（Plougonvelin）で初期青銅器時代・紀元前2000年～前1600年の大規模な墓地。構造が多様で、時間による変遷を示す可能性。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Une nécropole à coffres du début de l’âge du Bronze à Plougonvelin (Finistère)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
フランス: ノルマンディー地域圏（Normandie）オルヌ県（Orne）フレール（Flers）のサン・ジェルマン広場で、17～18世紀の鉛棺2基、内部には頭部を切り取られた遺体。うち一つにはハート形の容器カルディオタフ（cardiotaphe）。フレール伯爵家の人物と推定。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
À cœur ouvert, le cardiotaphe de Flers (Orne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
メキシコ: 形成期前期（Early Formative Period）の土器の鉛（Pb）とストロンチウム（St）の同位体を分析して産地推定し、土器の交換を分析。
cf. Virginie Renson, Hector Neff, Antonio Martínez-Cortizas, Jeffrey P. Blomster, David Cheetham, Michael D. Glascock "Lead and strontium isotopes as tracers for Early Formative pottery exchange in ancient Mexico" Journal of Archaeological Science. Volume 126 [ScienceDirect]

2020年12月18日（金）

福島県: 二本松市・二本松城跡（にほんまつじょうあと：第31次調査）で、三ノ丸上段から江戸時代の礎石新たに60基。トイレ遺構や、敷地北側の山裾に東西方向に設置された4段の石積みも発見。二本松市教育委員会の調査。[福島民友新聞]
▼二本松城跡関連記事→2019年8月25日
長野県: 茅野市・尖石遺跡（とがりいしいせき）で1942年に出土し、発掘直後から東京帝室博物館（現東京国立博物館）に長年保管されていた縄文時代中期後半の土器が、所蔵者から茅野市尖石縄文考古館に寄託された。[長野日報]
香川県: 丸亀市・丸亀城の石垣が2018年の豪雨や台風で崩落したのは、石垣の内側を通る雨水の水圧が影響した可能性。今後は地表面の雨水を適切に排水する仕組みが必要。丸亀市教育委員会の調査。[朝日新聞]
中国: 湖南省永州市藍山県塔峰鎮牛承村で、磚室墓20基、土坑墓27基。後漢代と隋代の紀年墓を含む。
湖南藍山県考古發現東漢、隋代紀年墓 [中国社会科学院考古研究所]
中国: 重慶市九竜坡区冬笋壩遺跡で、戦国時代晩期から前漢時代早期の巴文化の墓。[中国新聞網]
中国: 新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州（伊犁哈薩克自治州；Kazak）ニルカ県（尼勒克県；Nilka）キョクホトコル・モンゴル族郷（科克浩特浩爾蒙古族郷）恰勒格爾村・吉仁台溝口遺跡（Jiren Taigoukou）で、青銅器時代晩期・3500年前の太陽崇拝にかかわる大型墓。[新華社]
▼吉仁台溝口遺跡関連記事→2020年6月28日
トルコ: デニズリ県（Denizli il）の古代都市トリポリス（Τρίπολις；Tripolis）から出土したガラス容器ウンゲンタリウム（Unguentarium）の分析。資料はすべて地元産。古代都市トリポリスでキリスト教が活動していたことを示す考古資料。古代末にはチュリュスク流域（Çürüksu）のほかの遺跡でもウンゲンタリウムが普及。
cf. Barış Semiz "Petrographic and geochemical investigations of the late antiquity unguentaria from the archaeological site of Tripolis, Denizli (southwestern Turkey)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 35 [ScienceDirect]
ナミビア: ナミビア沖に1533年に沈んだポルトガルの貿易船「ボン・ジェズス」（Bom Jesus）に積まれていた象牙100本以上を分析。核DNAからみて象牙の起源地はアフリカの森林地帯（Loxodonta cyclotis）であり、サバンナ（Loxodonta africana）ではない。ミトコンドリアDNAからみて、西アフリカの17以上の集団であり、中央アフリカではない。うち4集団を除いて、象牙狩りなどにより現在は絶滅したとみられる。炭素と窒素の安定同位体からみて、ギニアの森林周辺の西アフリカであり、当時のポルトガルの貿易港に近い。当時の海洋貿易の実態を示す。
▶ Alida de Flamingh, Ashley Coutu, Judith Sealy, Shadreck Chirikure, Armanda D.S. Bastos, Nzila M. Libanda-Mubusisi, Ripan S. Malhi, Alfred L. Roca (2021) Sourcing Elephant Ivory from a Sixteenth-Century Portuguese Shipwreck. Current Biology, Volume 31, ISSUE 3, P621-628. [Cell]

2020年12月17日（木）

三重県: 伊賀市・成瀬平馬家跡地で、江戸時代末期の屋敷の遺構。礎石やかまどの痕跡から当時の間取りがうかがえる。伊賀市教育委員会12/16発表。[中日新聞]
滋賀県: 栗東市・霊仙寺・綣遺跡（りょうせんじ・へそいせき）から、「廣津」と記された奈良時代の土器。「廣津」は現在の大阪府八尾市付近を指す地名か、氏族の名。栗東市教育委員会12/17発表。12/20現地説明会。[毎日新聞]
京都市: 中京区・平安京左京二条二坊二町で、平安京造営当初から10世紀中ごろまで存在した水路跡。平安宮の東端を東西に走る大宮大路を横断。物資の運搬に使われたと推定。古代文化調査会12/17発表。[産経新聞]
京都市: 墨書は「古今和歌集」収録の一首に該当する可能性が高いことが判明－京都大学医学部附属病院東構内出土の和歌墨書土器について－
墨書は『古今和歌集』収録の一首に該当する可能性が高いことが判明－京都大学病院東構内出土の和歌墨書土器について－（pdf）[京都大学]
鹿児島県: 鹿児島市・鹿児島城（鶴丸城）の一部だった城山で、江戸時代の建物跡や鬼瓦。城山で江戸時代の遺構が発見されるのは初。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。[南日本新聞]
沖縄県: 那覇市・末吉宮跡で、石垣3か所にスプレーのようなもので落書き。末吉宮は琉球王国時代に建てられたとされる神社。[NHK]
韓国: 慶尚北道慶山陽地里遺跡1号木棺墓で2017年に発掘された、辰韓・2000年前の人骨と歯は、成長期に栄養状態がよくなかった20代の男性のものと推定。[聯合ニュース]
フランス: オー＝ド＝フランス地域圏（Hauts-de-France）ノール県（Nord）ダンケルク（Dunkerque）で、13世紀末～16世紀の農地。16世紀中ごろの郊外集落。また、17世紀後半にフランス領になって以降、ルイ14世（Louis XIV）が設置し、20世紀前半に破壊された海軍の武器庫跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Sur les traces d'un ancien faubourg et de l'arsenal royal de Dunkerque (Nord)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
スペイン: アラゴン州（Aragón）ファラスドゥエス（Farasdués）で、スペイン内戦（Guerra Civil Española；Spanish Civil War）初期の1936年8月31日にファシストに銃殺された女性10人の遺体。女性たちは前夜に近隣のウンカスティージョ（Uncastillo）にある自宅から拉致された。[Reuters]
▼アラゴン州（Aragón）サラゴサ県（Provincia de Zaragoza）
スウェーデン: フンヌスタ遺跡（Hunnestadsmonumentet；Hunnestad Monument）のヴァイキング時代・10世紀のルーンストーン（runestone）のうち、18世紀以来行方不明だった6号石を、ユースタード（Ystad）で300年ぶりに再発見。[Sputnik]
エジプト: 古代エジプトで葬送の際に用いられた黒色物質の含まれるアスファルトを非破壊分析する方法を開発。紀元前744年～前40年の棺1点、ヒトのミイラ2体、動物のミイラ4体を分析。海洋由来のアスファルトと陸地由来のアスファルトを識別可能に。1837年にフランスの博物館が購入した人のミイラは防腐剤成分を含まない純粋なアスファルトが使用されており、個人収集家が修復したものとみられる。
A non-destructive method for analyzing Ancient Egyptian embalming materials[EurekAlert]
cf. Charles E. Dutoit, Laurent Binet, Hitomi Fujii, Agnes Lattuati-Derieux, and Didier Gourier (2020) Nondestructive Analysis of Mummification Balms in Ancient Egypt Based on EPR of Vanadyl and Organic Radical Markers of Bitumen. Analytical Chemistry, Volume 92, Issue 23. 15445–1545. [ACS Publications]

2020年12月16日（水）

神奈川県: 座間市・下谷遺跡で、縄文時代中期の竪穴住居跡付近から、翡翠の大珠。吾妻考古学研究所の調査。座間市教育委員会発表。[神奈川新聞]
京都市: 左京区・聖護院川原町遺跡の井戸跡から出土した平安時代後期・12世紀初めの土師器の小皿の内面に、「古今和歌集」収録の一首とみられる墨書。京都大学文学研究科の研究グループ12/15発表。[産経新聞]
▽なぜ、共同通信も朝日新聞も、遺跡名を明記しないのだろう？遺跡名を出してはいけない事情でもあるのか？
中国: 浙江省杭州市粛山区進化鎮裘家塢村で、春秋時代の古窯跡。印文陶や原始磁器が出土。[中国新聞網]
トルコ: イスタンブル（İstanbul）のカドゥキョイ地区（Kadıköy）にあるハイダルパシャ駅（Haydarpaşa Garı；Haydarpaşa railway station）で、用途不明の大理石造りの遺構。下層には大規模墓地。[Hürriyet Daily News]
▼ハイダルパシャ駅関連記事→2020年3月7日
UK（イングランド）: ロンドン（London）のスピタルフィールズ（Spitalfields）で、21年前に発見されたローマ時代・1600年前の女性の遺体は、中国産の絹と純度97%の金糸で作った衣装をまとっていた。毛織物の帯は地中海の貝紫で染める。歯の同位体分析から、彼女はローマで育った。鉛棺に納め、大型の石棺内に安置。豪華なガラス容器を副葬。ローマ時代のロンディニウム（Londinium）＝ロンドンで見つかった最も高位の人物で、ローマの元老院のエリートだったとみられ、フラウィア・カエサリエンシス属州（Flavia Caesariensis）の総督の妻や、ローマ末期のブリタンニア総督（vicarius Britanniarum）の妻である可能性。[The Independent]
UK（イングランド）: ポーツマス（Portsmouth）のサウスシー（Southsea）の防波堤で、17世紀の石工の署名を表す刻印バンカーマーク（banker mark）を発見。[The News, Portsmouth]
UK（イングランド）: サマセット州（the county of Somerset）・グラストンベリー・レイク・ヴィレッジ（Glastonbury Lake Village）の鉄器時代集落について、放射性炭素年代と年輪年代。集落は紀元前2世紀前半に建設が始まり、紀元前1世紀中ごろに最後の建物が建設された。
A new chronology for Glastonbury Lake Village[Current Archaeology]
cf. Peter Marshall, Richard Brunning, Stephen Minnitt, Christopher Bronk Ramsey, Elaine Dunbar and Paula J. Reimer (2020) The chronology of Glastonbury Lake Village. Antiquity, Volume 94, Issue 378, December 2020 , pp. 1464 - 1481 [Cambridge Core]
エジプト: 大ピラミッド（Great Pyramid）の女王の間（Queens Chamber）で1872年に発掘され、行方不明だった5000年前のスギ材製の遺物が、アバディーン（Aberdeen）で発見された。ピラミッド建設にかかわる遺物と推定。1946年にアバディーン大学（the University of Aberdeen）に寄贈されたが、その後行方不明になっていた。[BBC]

2020年12月15日（火）

韓国: 全羅北道茂朱郡茂朱邑龍浦里の老姑山の山頂で、三国時代の烽燧台（のろし台）。基壇2か所と関連遺構。[聯合ニュース]
中国: 北京市・円明園の澹泊寧静跡で、清朝皇室の稲田跡。[中国新聞網]
中国: 河南省平頂山市魯山地区で、旧石器の出土地点40余か所、洞窟60か所。[中国新聞網]
チェコ: ボヘミアン・パラダイス（Český ráj；Bohemian Paradise）にあるコスト城（Kost Castle）で、13世紀の塔跡。ヴァルテンベルク伯ベネシュ（Count Beneš of Vartemberk）が城を築造したのは100年後と考えられていた。[Radio Praha]
リトアニア: カウナス（Kaunas）にある杉原記念館の存続危機に対し、日本の有志が募った寄付金1050万円の贈呈式が12/15オンラインで開催された。[共同通信]
▼杉原記念館関連記事→2020年10月10日
ポーランド: カリシュ（Kalisz）モラヴィン村（Morawin）の森で、隠されたナチスの銃。第二次世界大戦末期に国民突撃隊（Volkssturm）が使用したもの。第二次世界大戦末期～1950年代にかけてソヴィエトや共産主義政権に抵抗した「呪われた兵士」（Żołnierze wyklęci；Cursed Soldiers）が押収・使用し隠匿した可能性。[The First News]
▼ヴィエルコポルスカ県（Województwo wielkopolskie）
ドイツ: シェーニンゲン（Schöningen）13 II-4遺跡から出土した前期旧石器時代（Lower Palaeolithic）の加工されたウマの後足の骨について、実験的な研究により、骨髄を得るためにほかの骨を折るためのハンマーであると推定。石器を加工する道具にしては、フリントの小片が確認されていないため、骨髄を得るためのハンマーという仮説が立てられていた。
cf. Wouter J. Bonhof, Thijs van Kolfschoten "The metapodial hammers from the Lower Palaeolithic site of Schöningen 13 II-4 (Germany): The results of experimental research" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 35 [ScienceDirect]
スーダン: 洪水後の遺跡調査を、ユネスコ遺産緊急基金（UNESCO Heritage Emergency Fund）で支援へ。[UNESCO]
USA: テキサス州（State of Texas）ロウワー・ペコス・キャニオンランズ（Lower Pecos Canyonlands）で、1937年に発見された、1000年前のミイラ化した男性は、シャーガス病（Chagas disease）による便秘（constipation）で死亡。最後の数か月間、食べ物としてバッタを与えられていた。
Man who died of constipation 1,000 years ago ate grasshoppers for months[LiveScience]
ペルー: ペルー北部海岸部の先土器時代（Preceramic）・7500年前～4000年前の2つの墳墓遺跡を調査。近接しているが、食生活は異なる。ワカ・プリエタ遺跡（Huaca Prieta）は海洋資源、パレドネス遺跡（Paredones）はトウモロコシなどの農産物に依存。相互に食料品を交換し、専門化したグループ間の協力を示す。パレドネスでは6500年前～6000年前にはトウモロコシが常食化。5000年前～4500年前には離乳食などでトウモロコシが主食に。
Analysis of ancient teeth reveal clues about how sociopolitical systems grow[Vanderbilt University]
cf. Tiffiny A. Tung, Tom D. Dillehay, Robert S. Feranec and Larisa R. G. DeSantis "Early specialized maritime and maize economies on the north coast of Peru" Proceedings of the National Academy. first published December 7, 2020 [PNAS]

2020年12月14日（月）

長野県: 佐久市・香坂山遺跡（こうさかやまいせき）で、3万年前の火山灰層の下から石器800点。大型石刃、小石刃、尖頭器が、日本の旧石器時代の遺跡としては初めてそろって出土。ユーラシア大陸の各地で見つかった、初期の現生人類が持つ石器の組み合わせと共通。[日本経済新聞]
▼香坂山遺跡関連記事→2020年8月21日
韓国: 全羅北道高敞郡盤岩里青磁窯跡で、初期青磁の窯。塼築窯1基と土築窯3基。土築窯の地下に塼築窯。財団法人湖南文化財研究院の調査。[Todayan]
中国: 内モンゴル自治区通遼市科左中旗・小呼和格勒遺跡で、住居跡2基、灰坑10余基。馬の蹄の釘など出土。鮮卑初期に馬蹄釘が使われ始めたことがわかる。国内最古の馬蹄釘。[中国新聞網]
中国: 浙江省寧波市余姚市三七市鎮相嶴村・施嶴遺跡で、河姆渡文化早期・晩期、良渚文化・7000年前～4500年前の稲田跡。「井」の字形に区画されて広がり、世界最古・最大規模。浙江省文物考古研究所の調査。[中国新聞網]
ヨルダン: アンマン（Amman）で、ローマ時代・2世紀のタイル張りの浴場跡と火葬場（crematorium）が出土。[Gulf News]
イスラエル: ラマト・ベト・シェメシュ（Ramat Beit Shemesh）で、後期ローマ時代（Late Roman period）・3～4世紀のオイルランプの工房。土製のオイルランプ数百点が出土、うち2点に燭台メノーラー（Menorah）の図像。また、オイルランプを作るための石製の型。[The Jerusalem Post]

2020年12月13日（日）

長野県: 松本市・弘法山古墳（こうぼうやまこふん）で、丁寧に突き固められた盛り土を確認。3世紀末・東日本最古級の前方後方墳。66m。松本市教育委員会の調査。[市民タイムスWEB]
▼弘法山古墳関連記事→2020年2月25日
UK（スコットランド）: 2014年に発見された「ガロウェイ埋納品」（Galloway Hoard）に、ヴァイキングの宝物に交じって、アングロ・サクソンの銀の十字架。後期アングロサクソン様式の装飾があり、聖マタイ（Saint Matthew）、福音記者マルコ（Mark）＝ライオン、福音記者ルカ（Luke）＝ウシ、福音記者ヨハネ（John）＝ワシのように、福音書記者を象徴する図像で飾る。9世紀後半にノーサンブリアで、高位の聖職者のために作られたもので、ヴァイキングとアングロサクソンの交流を示す。クリーニングにより判明。[The Scotsman]
科学と女性: 物理、化学、機械工学、情報科学、数学、生物といった科学のイメージは男性的だという印象を持つ人が多く、特に女性でその傾向が強い。科学の分野に進む女性が少ないのは、イメージが障壁の一つになっている可能性。[朝日新聞]
cf. Yuko Ikkatai, Azusa Minamizaki, Kei Kano, Atsushi Inoue, Euan McKay and Hiromi M. Yokoyama "Masculine public image of six scientific fields in Japan: physics, chemistry, mechanical engineering, information science, mathematics, and biology" Journal of Science Communication, Volume 19, Issue 06, A02. [JCOM]

2020年12月12日（土）

神奈川県: 横須賀市・住友重機械工業旧浦賀工場に残るれんが造りの「浦賀ドック」とその周辺部を、同社が横須賀市に無償で寄付へ。横須賀市12/11発表。浦賀ドックはれんが造りの大型ドライドックとして日本最古級。[神奈川新聞]
2020年12月11日プレスリリース浦賀レンガドック周辺部の寄付について[横須賀市]
2020年12月11日プレスリリース横須賀市への当社保有土地の寄付について [住友重機械工業]
岐阜県: 山県市・大桑城跡（おおがじょうあと）で、「岩門」と伝えられる城門に巨石が使われていたことを確認。美濃国守護の土岐頼芸が1535年ごろに築いたとみられる城。織田信長が金華山山麓の居館を巨石を用いて整備したことよりもさかのぼる。山県市12/11発表。12/18-20一般公開。[岐阜新聞]
▼大桑城跡関連記事→2020年9月7日
高知県: 南国市・土佐国分寺跡で、伽藍の南西側から8世紀前後の建物跡群。寺域が従来調査より3倍程度の可能性。南国市教育委員会12/11発表。[高知新聞]
▼土佐国分寺跡関連記事→2016年11月19日
イタリア: ヴィチェンツァ県（Provincia di Vicenza）マーロ（Malo）のバッサーノ通り（via Bassano）でローマ時代・2世紀末～3世紀初めの墓7基。[ArcheoMedia]
スロバキア: ヴラーブレ（Vráble）で新石器時代・線帯文土器文化（Linearbandkeramik；LBK）末期の墳墓を分析。埋葬風習の多様化は、共同体間の戦いのためではなく、共同体内の紛争の蓄積と、遺体処理方法の多様化を反映。
cf. Nils Müller-Scheeßel, Zuzana Hukeľová, John Meadows, Ivan Cheben, Johannes Müller and Martin Furholt (2020) New burial rites at the end of the Linearbandkeramik in south-west Slovakia. Antiquity, First View, pp. 1 - 20. [Cambridge Core]
ドイツ: バイエルン州（Freistaat Bayern）・アウクスブルク大聖堂（Augsburger Dom）で、オットー朝・11世紀初めの壁画。
1000 Jahre alte Wandmalereien im Augsburger Dom[Archaeologie Online]
メキシコ: メキシコシティ（Ciudad de México；Mexico City）のフエイ・ツォンパントリ（Huey Tzompantli）で、アステカ時代・1400年前のヒトの頭蓋骨の塔。新たに頭蓋骨119個確認。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）12/11発表。[The Guardian]

2020年12月11日（金）

福島県: 喜多方市・藤権現遺跡（ふじごんげんいせき）で、縄文時代後期の大規模な墓地群。土偶、墓石、埋甕など多数出土。喜多方市の調査。[福島民報]
京都府: 木津川市・恭仁宮跡（くにきゅうせき）で、朝堂院と大極殿院をつなぐ北門の大きさは東西10.8m。南門の想定規模よりも小規模。京都府教育委員会の調査。[産経新聞]
北朝鮮: 南浦市龍岡郡恩徳地区で高句麗・6世紀の壁画古墳。羨道と石室からなり、花崗岩の石扉には鉄製の環が付く。壁画は四神図を主題とする。支石墓の多い地域に築かれた古墳であることから、古朝鮮との文化的な継承性に確証。[朝鮮新報]
中国: 河北省石家庄市欒城区・周家庄墓地で、商代後期の墓17基。青銅器や玉器が出土。冀中南地区では最高レベルの墓。[中国新聞網]
ソロモン諸島: ソロモン諸島東部のタウマコ島（Taumako）にあるナム遺跡（Namu）で出土した、ナム期・1510～1800年の人骨58体について、歯のエナメル質のストロンチウム同位体分析。女性は男性に比べて87Sr/86Srの値が大きい。ナム期のタウマコ島は父系社会（patrilocal）で、女性は近隣のサンタクルズ諸島やリーフ諸島から移住してきたと推定。女性が婚姻のため島の間を移動したという史料上の証拠を裏付け。
cf. Robyn T. Kramer, Charlotte L. King Hallie R. Buckley Klervia Jaouen Derek A. Boyd Lawrence Kiko Manuel Trost Fiona Petchey Rebecca L. Kinaston "Strontium (87Sr/86Sr) isotope analysis of the Namu skeletal assemblage: A study of past human migration on Taumako, a Polynesian Outlier in the eastern Solomon Islands" American Journal of Physical Anthropology. First published: 11 December 2020 [Wiley Online Library]
デンマーク: ジュールスラン半島（peninsula of Djursland）のカインスバッケ遺跡（Kainsbakke）で見つかった、中期新石器時代（Middle Neolithic）・刺突文土器文化（Pitted Ware Culture）・紀元前3000年ごろの土坑から出土した動物遺体の一部について、同位体分析で由来を推定。一部はスウェーデン西部から輸入。新石器時代にカテガット海峡（Kattegat）を通じたスウェーデンとデンマークの接触があったことを示す。刺突文土器文化（Pitted Ware Culture）は紀元前3400年ごろに東・中部スウェーデンに始まって南と西に拡散し、紀元前3100年以降、デンマークに到達。その後農業よりも狩猟採集に回帰した。
cf. T. Douglas Price, Lutz Klassen, Karl-Göran Sjögren "Pitted ware culture: Isotopic evidence for contact between Sweden and Denmark across the Kattegat in the Middle Neolithic, ca. 3000 BC" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 61 [ScienceDirect]

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