2022年4月10日(日)
- トルコ
- イスタンブル(İstanbul)のカドゥキョイ地区(Kadıköy)にあるハイダルパシャ駅(Haydarpaşa Garı;Haydarpaşa railway station)で、ヘレニズム時代のレンガ積みの火葬墓。墓の中で火葬。焼けた土製ゴブレットや香油壺も遺体のそばから出土。古代都市カルケドン(Χαλκηδών:Khalkedon)に当たる遺跡。[Anadolu Ajansı]
▼ハイダルパシャ駅関連記事→2021年10月12日 - オランダ
- 北ブラバント州(Provincie Noord-Brabant)ハプス(Haps)で、炭化物と、9歳程度の子供の骨。紀元前7582年〜前7566年に火葬。ヘーゼルナッツとフリント石材が副葬されており、ヘーゼルナッツは来世の食事のため、フリントは来世での石器づくりのためとみられる。オランダ最古の墓。従来、最古とみられていたのはロッテルダムの9000年前の墓。[NL Times]
2022年4月9日(土)
- イラン
- スィースターン・バルーチェスターン州(Ostān-e Sīstān-o Balūchestān)で、先史時代の土器、ラピスラズリ、石製容器、青銅器など。工房があった可能性。[Tehran Times]
- エジプト
- 西部砂漠(Western Desert)のアル・サラム遺跡(Al-Salam)でグレコローマン時代の神殿。男性像の頭部と石灰岩製のライオン像など出土。[Greek City Times]
2022年4月8日(金)
- 新潟市
- 北区・新潟医療福祉大学に「自然人類学研究所」を設置。遺跡から出土した人骨や白骨死体の鑑定を受託。[新潟日報]
4/7開所式では、阿賀野市・土橋遺跡で2021年11月に発見された縄文時代・4000年前の人骨や、長岡藩牧野家の藩主と正室の復顔模型4個体など、展示資料を解説。
跡出土人骨や白骨死体の法医鑑定を受託する『自然人類学研究所』の開所式を実施![新潟医療福祉大学] - 愛知県
- 長久手市・床机石(しょうぎいし)に、ペンキと思われる青や緑の塗料により落書き被害13か所。長久手市4/7発表。[朝日新聞]
- 韓国
- 慶尚北道 浦項市 南区 大岑洞古墳群 で新羅・5〜6世紀の有蓋高杯や台付長頸壺、耳飾、鉄矛、鉄剣など埋蔵文化財1200点。[NEWSIS]
- 韓国
- 慶尚南道 河東郡 玉宗面 大谷里・亀岩台の岩肌に、先史時代の円形の穴「性穴」を発見。[聯合ニュース]
- オーストラリア
- 西オーストラリア州(Western Australia)ピルバラ地域(Pilbara)イラ(Yirra)の岩陰遺跡で石器、炭化物、骨。50000年以上前にヒトが居住していたことを示す。イラとアボリジニのインハワンカ人(Yinhawangka)との結びつきを確認。リオ・ティント社(Rio Tinto)の鉄鉱山の近く。[The North West Star]
- コーカサスとユーラシアのステップ地帯
- ポントス・カスピ海草原(Pontic–Caspian Steppe)、南コーカサス(South Caucasus)、オカ・ヴォルガ・ドン地域、東ウラルで出土した新石器時代〜グレコローマン時代の45人の歯石の食物蛋白質を分析。北コーカサスでは銅石器時代の牧畜にヒツジの酪農を伴う。紀元前4千年紀のマイコープ文化(Maykop culture)や初期ヤムナ文化(Yamnaya culture)もヒツジを中心とした酪農。後期ヤムナ文化や北コーカサス文化(North Caucasus Culture)で乾燥化が進むと、酪農の対象が多様化。牧草地を求める必要から中期青銅器時代・後期青銅器時代には移動性が高まる。
cf. Ashley Scott, Sabine Reinhold, Taylor Hermes, Alexey A. Kalmykov, Andrey Belinskiy, Alexandra Buzhilova, Natalia Berezina, Anatoliy R. Kantorovich, Vladimir E. Maslov, Farhad Guliyev, Bertille Lyonnet, Parviz Gasimov, Bakhtiyar Jalilov, Jeyhun Eminli, Emil Iskandarov, Emily Hammer, Selin E. Nugent, Richard Hagan, Kerttu Majander, Päivi Onkamo, Kerkko Nordqvist, Natalia Shishlina, Elena Kaverzneva, Arkadiy I. Korolev, Aleksandr A. Khokhlov, Roman V. Smolyaninov, Svetlana V. Sharapova, Rüdiger Krause, Marina Karapetian, Eliza Stolarczyk, Johannes Krause, Svend Hansen, Wolfgang Haak & Christina Warinner (2022) Emergence and intensification of dairying in the Caucasus and Eurasian steppes. Nature Ecology & Evolution [Nature Ecology & Evolution] - フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne) コート=ダルモール県(Côtes-d'Armor)ランバル=アルモール(Lamballe-Armor)で、新石器時代の土器・石器。青銅器時代の溝で囲んだ区画。ガリア時代や中世の道路跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
5000 ans d’occupation à Lamballe-Armor (Côtes-d'Armor)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- バリャドリッド(Valladolid)の聖フランシスコ修道院(Convento de San Francisco)で、コロンブス(Cristoforo Colombo;Cristóbal Colón;1451ごろ〜1506年)の最初の墓所となった礼拝堂の位置を特定。遺体は3年後にセビリア(Sevilla;Seville)に移され、サントドミンゴ(Santo Domingo)、ハバナ(La Habana)を経て1898年にセビリア大聖堂におさまった。バリャドリッドの聖フランシスコ修道院自体は1837年に取り壊された。[El Español]
- ノルウェー
- ノルウェーの石で積んだ丘塞(hillfort)450か所の大半はローマ時代後期(Late Roman Period)から民族移動時代(Migration Period)末・200〜600年とされており、防御の機能だけでなく、一部のものは要塞化された農場。そのほか、交易、信仰など多様な機能を持っていた。永続的に居住された大規模な丘塞に対し、小規模なものは古い交通路に沿って立地しており、交通路上のチェックポイントだった。
This pile of rubble is actually an ancient fort. Historians have discovered 450 of them around Norway[Science Norway] - チリ
- アタカマ海岸(Atacama)で3800年前にマグニチュード9.5の巨大地震による津波が起こり、当時のコミュニティを破壊。回復まで2000年かかる。古期IV期(Archaic IV;5700年前〜4000年前)と古期V期(Archaic V)の境界に合致し、古期V期には集落は少なくなり、住居や墓地が高台に作られる傾向がある。顔料としての酸化鉄も、この時期を境に採掘を放棄。ただし人の生活は継続し、災害以前の動物種を含む多様な食物を摂取し適応。[ars technica]
cf. Diego Salazar, Gabriel Easton, James Goff, Jean L. Guendon, José González-Alfaro, Pedro Andrade, Ximena Villagrán, Mauricio Fuentes, Tomás León, Manuel Abad, Tatiana Izquierdo, Ximena Power, Luca Sitzia, Gabriel Álvarez, Angelo Villalobos, Laura Olguín, Sebastián Yrarrázaval, Gabriel González, Carola Flores, César Borie, Victoria Castro and Jaime Campos (2022) Did a 3800-year-old Mw ~9.5 earthquake trigger major social disruption in the Atacama Desert? Science Advances, Vol 8, Issue 14. [Science Advances]
2022年4月7日(木)
- 韓国
- 慶尚南道 金海市 酒村面 仙池里で、丘陵頂上と斜面から青銅器時代の墓39基。高麗墓1基。青銅器時代の墓のうち13基は区画支石墓で、石で墓域を区画。[聯合ニュース]
- インド
- 東インドの熱帯地域とデカン高原の半乾燥地帯で、新石器時代・銅石器時代から初期歴史時代までの炭化した穀物に対し炭素と窒素の安定同位体分析し、初期農耕民の穀物管理を研究。環境条件に対応するため、栽培する穀物に合わせて戦略的に水を管理し、肥料として糞や焼いた糞を利用。
cf. Ayushi Nayak, Kishor K. Basa, Nicole L. Boivin, Dorian Q. Fuller, Rabindra K. Mohanty, Eleanor Kingwell-Banham, Charlene Murphy, Patrick J. Roberts, Julia Lee-Thorp, Amy Bogaard (2022) A stable isotope perspective on archaeological agricultural variability and Neolithic experimentation in India. Journal of Archaeological Science, Volume 141, May 2022, 105591. [ScienceDirect] - イスラエル
- ネゲヴ砂漠(Negev desert)で、「香料の道」(Incense Route)の経路上にある、ナバテアとローマ帝国のころのキャラバンサライ(caravanserai)3か所を発掘調査。「香料の道」は、アラビア半島や紅海と、地中海をつないでおり、その最盛期はナバテアとローマの時代であった。
cf. Guy Bar-Oz, Roy Galili, Daniel Fuks, Tali Erickson-Gini, Yotam Tepper, Nofar Shamir and Gideon Avni (2022) Caravanserai middens on desert roads: a new perspective on the Nabataean–Roman trade network across the Negev. Antiquity, First View, pp. 1 - 19. [Cambridge Core] - ローマ時代
- ローマ時代のデナリウス銀貨を分析。想定以上に大幅に品位が低下していた。紀元前90年以前には純銀だったが、5年後には10%の銅を含むように。通貨への信頼が損なわれたと推定。キケロ(Marcus Tullius Cicero)が彼の著作『義務について』(De Officiis)で簡略に触れていた紀元前86年の経済危機について明らかに。
Research team sheds light on Roman financial crisis[University of Warwick] - ポーランド
- プシェチツェ(Przeczyce)にある後期青銅器時代・紀元前900年〜前750年のいわゆる「シャーマンの墓」で出土したイノシシの牙のペンダント、骨製の円板や円筒について、加工痕を顕微鏡で分析。もっぱら金属器で加工されていた。骨製の円筒は、複数の管を組み合わせて使う楽器と推定。
cf. Justyna Baron, Marcin Diakowski and Beata Badura (2022) Manufacture and use: bone and tooth objects from the Late Bronze Age ‘shaman's grave’ at Przeczyce, Poland. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core]
▼シロンスク県(Województwo śląskie;Śląsk;Silesia)ベンジン郡(powiat będziński)グミナ・ミェジェンチツェ(Mierzęcice) - USA
- ニューメキシコ州(State of New Mexico;Estado de Nuevo México) ホワイトサンズ国定公園(White Sands National Park)で、11500年前の子供の足跡。ナマケモノの足跡にできた水たまりで水しぶきを上げて遊ぶような様子。[New Scientist]
▼ホワイトサンズ国定公園関連記事→2021年9月24日
2022年4月6日(水)
- 長崎県
- 東彼杵郡波佐見町の窯元「高山」で、敷地内に埋められた昭和10年代の波佐見焼約4000個。戦時中の経済統制下、何らかの理由で隠されたものと推定。[長崎新聞]
- 中国
- 山西省 朔州市 窯子頭郷 後寨村・後寨墓地で、唐時代中晩期の庶人墓3基。馬邑漢墓群の一角に当たる。[中国新聞網]
- オーストリア
- ブルゲンラント州(Burgenland) ポーダースドルフ・アム・ゼー(Podersdorf am See)のノイジードル湖(Lake Neusiedl;Fertő tó)の東岸にある遺跡で出土した古代後期・4〜6世紀の動物遺体904体を調査。メスのヒツジやヤギを多く出土した生産地とみられる遺跡もあるが、多様な動物種を持つ遺跡もあり、家畜を輸入した可能性もある。主要な家畜(ウシ、ヒツジ/ヤギ、ブタ)は年齢・性別の分布からみて食用に供されたとみられ、また、ウマやイヌの骨にもカットマークが見られ、これらも食べられたと考えられる。
cf. Konstantina Saliari, Bendeguz Tobias & Erich Draganits (2022) Animal Husbandry During Late Antiquity: Archaeozoological Analysis and Regional Comparison of the 4th to 6th Century AD Small Rural Settlement in Podersdorf am See (Burgenland, Austria). Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online] - ドイツ
- ニーダーザクセン州(Land Niedersachsen)グラーフシャフト・ベントハイム郡(Landkreis Grafschaft Bentheim)ホオクシュテーデ(Hoogstede)のシェールホルン(Scheerhorn)で新石器時代・紀元前2000年ごろの集落跡。ロングハウス、井戸、竪穴建物、円形溝、土器、紡錘車。[Ems-Vechte-Surfer]
- スペイン
- アンダルシア州(Andalucía) グラナダ県(Provincia de Granada)ダッロ(Darro)のパノリア墓地(Panoría)で、先史時代・紀元前3600年〜前2100年の墓から、古代末期・5世紀の18〜25歳程度のローマ人女性の頭蓋骨。埋葬のピークは紀元前3600年〜前3500年で、空白期間の後、紀元前25世紀〜前21世紀に1〜4世代にわたって再利用し、紀元前2100年ごろ放棄されていた。[El Español]
- UK(イングランド)
- ウィルトシャー州(the county of Wiltshire)で、青銅器時代・紀元前2200年〜前1800年の斧。[BBC]
- UK(イングランド)
- グロスターシャー州(the county of Gloucestershire)のアングロ・サクソン・5〜6世紀の墓地で、70基のうち7基から、銅合金に鍍金された円盤状ブローチ出土。Cotswold Archaeologyの調査。[Arkeonews]
2022年4月5日(火)
- 京都府
- 宇治市・任天堂資料館建設予定地で、弥生時代後期の土器など出土。宇治市教育委員会の調査。[NHK]
- マレーシア
- サラワク州(Sarawak)ビントゥル省(Bahagian Bintulu)タタウ(Tatau)のスンガイ・プニャライ川(Sungai Penyarai)で、長さ7mの葬柱(burial pole)「クリリエン」(klirieng)。[The Borneo Post]
- インド
- テランガーナ州(Telangana State)ジャヤシャンカル・ブーポルパリー県(Jayashankar-Bhupalpally)ブーポルパリー(Bhupalpally)の洞窟で、新石器時代〜巨石時代の岩絵(petroglyphs)。[Deccan Chronicle]
- イラン
- スィースターン・バルーチェスターン州(Ostān-e Sīstān-o Balūchestān)バンプール(Bampur)のバンプール14遺跡(Bampur 14)で、紀元前4千年紀後半〜前2千年紀前半の墓10基。銅や青銅の印章、石柱が出土し、北東イランや中央アジアとの交流を示す。
cf. Yazdan Saeidpour, Sajjad Alibaigi and Mehdi Rahbar (2022) Bampur 14: a late fourth- to early-second millennium BC cemetery in south-eastern Iran. Antiquity, First View, pp. 1 - 10 [Cambridge Core] - ポーランド
- クラクフ(Kraków)のヴァヴェル大聖堂(Katedra Wawelska;Wawel Cathedral)のヤン1世オルブラフトの礼拝堂の南壁近くの地下で、ポーランド王ヤン1世オルブラフト(Jan I Olbracht;在位1492〜1501年;ヤギェウオ朝)の埋葬場所を発見。これまで正確な位置まではわかっていなかった。[The First News]
- ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)の北フリースラント(Nordfriesland;North Frisia)沖のワッデン海(Wattenmeer;Wadden Sea)で、中世集落ルングホルト(Rungholt)と、その南側の堤防ニーダム堤防(Niedam dyke)の位置を確定し保存状態を明らかにするための探査を実施。ルングホルトは1362年の第1回グローテ・マンドレンケ(聖マルセルスの洪水)で大部分が沈んだ。
cf. Dennis Wilken, Hanna Hadler, Tina Wunderlich, Bente Majchczack, Michaela Schwardt, Annika Fediuk, Peter Fischer, Timo Willershäuser, Stefanie Klooß, Andreas Vött, Wolfgang Rabbel (2022) Lost in the North Sea—Geophysical and geoarchaeological prospection of the Rungholt medieval dyke system (North Frisia, Germany). PLoS ONE, 17(4): e0265463. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- ケンブリッジ大学図書館(Cambridge University Library)から盗まれていたチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)のノート2冊が、謎のメッセージとともに返還される。
Missing Darwin notebooks returned to Cambridge University Library[Cambridge University Library]
▼チャールズ・ダーウィンのノート関連記事→2020年11月24日 - メキシコ
- プエブラ(Puebla)にあるサン・フランシスコ・ハビエル教会(Saint Francisco Javier Temple)で、出土した人骨20体のうち、男性1人の骨盤に銃による孔と銃弾。フランスのメキシコ出兵(Segunda intervención francesa en México;second French intervention in Mexico;1862〜1867年)のときに戦闘で死亡したと見られる。ほかの大半の人骨は伝染病で死亡。戦争中、この教会は要塞・病院・牢獄として利用された。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Mexico News Daily]
- コスタリカ
- プンタレーナス州(Provincia de Puntarenas)オサ郡(Cantón de Osa)のディキス・デルタ(delta del Diquís)にあるフィンカ6遺跡(Finca 6)で、チリキ文化(Chiriquí)・800〜1550年の石球(esferas de piedra;stone spheres)6個を調査。
Proyecto de conservación-restauración de México y Costa Rica recupera milenarias esferas de piedra del delta del Diquís[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
2022年4月4日(月)
- 兵庫県
- 明石市・明石城跡が所在する兵庫県立明石公園で、樹木の伐採計画が一時中止。[MBS毎日放送]
- モンゴル
- ゴビ砂漠(Gobi Desert)で突厥のものとみられる洞窟絵画。[Hürriyet Daily News]
- オーストラリア
- クイーンズランド州(Queensland)のミタカ・カントリー(Mithaka Country)で、2100年前の砂岩の採石場。[Australian Broadcasting Corporation]
- トルコ
- ムーラ県(Muğla il)ダッチャ郡(Datça)の古代都市クニドス(Κνίδος;Knidos)で、大理石や石灰岩に書かれたウマイヤ朝(Umayyad)の銘文。クニドスは685年から711年までウマイヤ朝に支配されていたが、銘文にはイスタンブル遠征に加わった民族名、や軍指揮官、行政官の名も刻む。。[Hürriyet Daily News]
2022年4月3日(日)
- 栃木県
- 大田原市・下侍塚古墳(しもさむらいづかこふん)と上侍塚古墳(かみさむらいづかこふん)の墳頂部の電磁探査では、地下に鉄製品や鏡の存在を示す反応なし。徳川光圀の発掘調査では、出土品を記録して墳丘に再埋納したとする。[下野新聞]
▼下侍塚古墳関連記事→2011年3月29日
▼上侍塚古墳関連記事→2022年3月7日 - 中国
- 安徽省 ・尉遅寺遺跡(Yuchisi)で出土した新石器時代・大汶口文化(Dawenkou)晩期・紀元前4千年紀の大口缸(dakougang)といくつかの飲用とみられる器種について遺存物の澱粉、植物珪酸体、菌類を分析。これらの器は発酵飲料の製造と消費のために用いられた。材料はコメ、アワ、ジュズダマ、カラスウリの根で、紅麹により赤いビールを作った。新石器時代・紀元前4千年紀に、地域を超えて土器など遺物の共通性が強まり、地域間交流の活発化が想定されていたが、黄河流域・長江流域にわたってエリートの墓で出土する大口缸の機能は、従来明らかでなかった。
cf. Li Liu, Jiajing Wang, Ran Chen, Xingcan Chen & Zhonghe Liang (2022) The quest for red rice beer: transregional interactions and development of competitive feasting in Neolithic China. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 14, Article number: 78. [SpringerLink]
2022年4月2日(土)
- 神奈川県
- 藤沢市・片瀬宮畑遺跡で、縄文時代晩期・2900年前の、高潮もしくは津波と考えられる堆積物。藤沢市の調査。[毎日新聞]
- インド
- マッディヤ・プラデーシュ州(Madhya Pradesh) のナルマダー川(Narmada)中流域にあるパンダド遺跡(Pandado)で初期アシュール文化(Acheulean)の石器。
cf. Vivek Singh & Shantanu Katiyar (2022) Introducing Pandado: a newly discovered Acheulean site in the central Narmada Valley (CNV), India. Lithic Technology. [Taylor & Francis Online] - イラク
- ウルク遺跡(Uruk)で、4000年前の船。有機質の材料は失われ、表面に塗布されたアスファルトのみ遺存。
4.000 Jahre altes Boot bei der antiken Stadt Uruk notgeborgen[Archaeologie Online] - レヴァント地域
- 十字軍国家エルサレム王国(Kingdom of Jerusalem)のトランスヨルダン領(Lordship of Transjordan:1100〜1189年)について、集落の形態と動態を研究。トランスヨルダン領はエルサレム王国全体にとって緊密なつながりがあり、重要な意味を持っていた。従来、トランスヨルダン地域はエルサレム王国の辺境で、孤立した地域とみなされていた。
cf. Micaela Sinibaldi (2022) The Crusader Lordship of Transjordan (1100–1189): settlement forms, dynamics and significance. Levant. [Taylor & Francis Online] - ハンガリー
- カルパチア盆地(Carpathian Basin)で出土した66体の人骨を分析。アヴァール人(Avars)エリートの人骨8体を含む。アヴァールはモンゴルからコーカサスまで数年で5000km以上移動し、さらに10年後にハンガリーに定住したと判明。大規模で急速な移住。柔然帝国(Rouran)の崩壊に関連すると推定。また、7世紀には北コーカサス(Сискавказ;Ciscaucasia)や西アジアに由来する遺伝子も20〜30%程度含む。アヴァールは560年代に帝国を形成し、カルパチア盆地を中心に200年間支配した。
Origins of the Avars elucidated with ancient DNA[Max-Planck-Gesellschaft]
cf. Guido Alberto Gnecchi-Ruscone, Anna Szécsényi-Nagy, István Koncz, Gergely Csiky, Zsófia Rácz, A. B. Rohrlach, Guido Brandt, Nadin Rohland, Veronika Csáky, Olivia Cheronet, Bea Szeifert, Tibor Ákos Rácz, András Benedek, Zsolt Bernert, Norbert Berta, Szabolcs Czifra, János Dani, Zoltán Farkas, Tamara Hága, Tamás Hajdu, Mónika Jászberényi, Viktória Kisjuhász, Barbara Kolozsi, Péter Major, Antónia Marcsik, Bernadett Ny. Kovacsóczy, Csilla Balogh, Gabriella M. Lezsák, János Gábor Ódor, Márta Szelekovszky, Tamás Szeniczey, Judit Tárnoki, Zoltán Tóth, Eszter K. Tutkovics, Balázs G. Mende, Patrick Geary, Walter Pohl, Tivadar Vida, Ron Pinhasi, David Reich, Zuzana Hofmanová, Choongwon Jeong, Johannes Krause (2022) Ancient genomes reveal origin and rapid trans-Eurasian migration of 7th century Avar elites. Cell. [Cell] - ドイツ
- ザクセン州(Freistaat Sachsen)ドレスデン(Dresden)のツヴィンガー宮殿(Zwinger)の中庭で、1719年以前の建設初期に築かれた池。
Wasserbecken aus der frühesten Bauphase im Dresdner Zwinger entdeckt[Archaeologie Online] - ドイツ
- マックス・プランク人類史学研究所(Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte;Max Planck Institute for the Science of Human History)の所長を務める考古学者がいじめと研究不正(他人の業績を自分のものとして発表)の疑いで更迭。[Science]
- フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie)ガール県(Gard)ユゼス(Uzès)のサン=フェレオル地区(Saint-Ferréol)で、古代末〜中世・7〜12世紀の岩に掘りこまれた大規模な墓地。墓200基を確認また、ローマ共和政時代・紀元前2世紀末〜前27年の複数の建物。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Les uzétiens du quartier Saint-Ferréol, de la fin de l’Antiquité au Moyen Âge (Gard)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- オックスフォードシャー州(the county of Oxfordshire)ノース・リー(Noeth Leigh)のローマ時代の邸宅は、英国内で最大級。[Oxfordshire Live]
- ペルー
- アンパト火山(Ampato)でインカ時代・500年以上前にカパコチャ(capacocha)の儀式で生贄にされた2人のミイラの髪と爪を分析。生贄は生前最後の数週間コカ(coca)の葉をかみ、アヤワスカ(ayahuasca;Banisteriopsis caapi)を飲んで酔っていた。生贄の不安や抑うつ状態を軽減するため、アヤワスカの抗うつ作用を意図的に利用した可能性。
cf. Dagmara M. Socha, Marzena Sykutera, Johan Reinhard, Ruddy Chávez Perea (2022) Ritual drug use during Inca human sacrifices on Ampato mountain (Peru): Results of a toxicological analysis. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 43, June 2022, 103415 [ScienceDirect]
2022年4月1日(金)
- 新潟県
- 長岡市・姥ヶ入南遺跡(うばがいりみなみいせき)で出土した弥生時代後期後半〜終末期・2世紀後半〜3世紀前半の墓に副葬されていた鉄斧について、断面構造を分析。断面円形の袋部をもつ鍛造鉄斧で、朝鮮半島南部の原三国時代に作られたものと推定。
cf. 森 貴教・村田友輝・古川 貢 (2022) 「姥ヶ入南遺跡出土鉄斧の X 線 CT 調査」『長岡市立科学博物館研究報告』No.57、長岡市立科学博物館。
さびで覆われた鉄斧の内部構造をX線CT調査で解明(超域学術院・森貴教助教)
さびで覆われた鉄斧の内部構造をX線CT調査で解明(pdf)[新潟大学] - 韓国
- 春川・中島遺跡で行われたレゴランド建設工事にかかわる文化財保護法違反などの容疑で、春川中島先史遺跡地保存本部が告発。警察が捜査開始。[ヘラルド経済]
▼レゴランド関連記事→2021年2月20日 - 中国
- 新疆ウイグル自治区(Xinjiang)で、青銅器時代・5000年前〜3000年前、鉄器時代・3000年前〜2000年前、歴史時代・2000年前以降のヒトのゲノムを分析。古くはステップ地帯の文化の祖先に当たるヒトが住んでいたが、青銅器時代末〜鉄器時代初めには東アジアや中央アジアからヒトが流入。歴史時代にも混血が進むが、ステップ地帯の人々とのつながりは失われず。
cf. Vikas Kumar, Wenjun Wang, Jie Zhang, Yongqiang Wang, Qiurong Ruan, Jianjun Yu, Xiaohong Wu, Xingjun Hu, Xinhua Wu, Wu Guo, Bo Wang, Alipujiang Niyazi, Enguo Lv, Zihua Tang, Peng Cao, Feng Liu, Qingyan Dai, Ruowei Yang, Xiaotian Feng, Wanjing Ping, Lizhao Zhang, Ming Zhang, Weihong Hou, Yichen Liu, E. Andrew Bennett, and Qiaomei Fu (2022) Bronze and Iron Age population movements underlie Xinjiang population history. Science, Vol. 376, Issue 6588, pp. 62-69. [Science] - ジョージア
- ドマニシ洞窟(Dmanisi)で出土した5人の初期ホモ属のうち、177万年前の成人D2280の頭蓋骨を検討。4つの楕円形の陥没がある。うち3つは個人間の暴力の可能性が高い。1つは病気と見られる。さらに肉食動物に捕食された可能性。
cf. Ann Margvelashvili, Martha Tappen, G. Philip Rightmire, Nikoloz Tsikaridze, David Lordkipanidze (2022) An ancient cranium from Dmanisi: Evidence for interpersonal violence, disease, and possible predation by carnivores on Early Pleistocene Homo. Journal of Human Evolution, Volume 166, May 2022, 103180. [ScienceDirect] - スペイン
- ムルシア州(Murcia)アギラス(Águilas)でローマ時代・2〜5世紀の墓。竈や土器も発見。[Murcia Today]
- エジプト
- ルクソール(Luxor)のディール・エル=メディナ(Deir el-Medina)の墓地で1906年に発見されたカー(Kha)とメリト(Merit)の墓から出土し、エジプト博物館(Museo Egizio)が保管する3400年前の土器の内容物について、揮発性の物質を分析。魚や果物、蜜蝋が入っていたことを示す。
Ancient smells reveal secrets of Egyptian tomb[Nature]
発見者でエジプト博物館の館長エルネスト・スキアパレッリ(Ernesto Schiaparelli)が、多くの遺物を未調査で保存させたために可能になった研究。
cf. Jacopo La Nasa, Ilaria Degano, Francesca Modugno, Camilla Guerrini, Federica Facchetti, Valentina Turina, Andrea Carretta, Christian Greco, Enrico Ferraris, Maria Perla Colombini, Erika Ribechini (2022) Archaeology of the invisible: The scent of Kha and Merit. Journal of Archaeological Science, Volume 141, May 2022, 105577. [ScienceDirect]
▼ディール・エル=メディナ関連記事→2019年12月2日 - エジプト
- サッカラ(Saqqara)北西部で出土した新王国時代(New Kingdom)の青色彩文土器(blue painted pottery)を研究。第18王朝中期のアメンホテプ2世(Amenophis II)の治世から、第18王朝後期のアマルナ時代(Amarna Period)にかけて、素地、モチーフ、装飾技法に変化を認識。素地は、入手困難で焼成温度の高い泥灰土(Marl clay)から、ナイルの沖積層で得られ焼成温度の低いナイルシルトに変化。モチーフや製作技法は精巧なものからシンプルなものに変化。こうした変化は青色彩文土器の生産を容易にし、生産量と生産地の増加をもたらした。
cf. 高橋寿光 (2019) 古代エジプト,新王国時代の青色彩文土器にみられる 製作技術の簡略化について. オリエント, 61巻 2号 pp. 135-150. [J-STAGE] - USA
- ヴァージニア州(Commonwealth of Virginia) ジェームズタウン(Jamestown)で2007〜2010年に出土した、1609年〜1610年の冬の飢饉(Starving Time)のとき食べられたとみられるイヌの骨からミトコンドリアDNAを抽出し分析。ヨーロッパから持ち込まれたイヌとはまったく一致せず。イリノイ州やオハイオ州のイヌと母系で血縁関係がある一方、北極圏のイヌと遠縁。また、50km離れたWeyanokeの1000年〜1400年のイヌとも一致せず。[Science]
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