2019年8月31日(土)
- 埼玉県
- 白岡市・新屋敷遺跡(あらやしきいせき・第2地点)で、近世の土坑や溝跡、井戸跡など。旧石器時代・20,000年前のフリント製ナイフ形石器が攪乱土から出土。[白岡市]
- 長崎県
- 長崎県・長崎県庁跡地で、江戸初期のキリシタン建築に使われた「花十字紋瓦」の破片2点。長崎県教育委員会8/30発表。[長崎新聞]
- ヨルダン
- ワディ・アガル遺跡(Wadi Aghar)で、45000年前〜40000年前の小型の貝殻。55km離れた紅海の貝殻であるは、食用としては価値なし。現生人類が象徴品として用いていた証拠。近い時期、同地域にいたネアンデルタール人には見られない行動。[財経新聞]
論文 Seiji Kadowaki, Toru Tamura, Katsuhiro Sano, Taiji Kurozumi, Lisa A. Maher, Joe Yuichiro Wakano, Takayuki Omori, Risako Kida, Masato Hirose, Sate Massadeh, Donald O. Henry. "Lithic technology, chronology, and marine shells from Wadi Aghar, southern Jordan, and Initial Upper Paleolithic behaviors in the southern inland Levant" Journal of Human Evolution Volume 135, October 2019, 102646 [ScienceDirect] - トルコ
- エルズルム県(Erzurum ili)で700〜800年前の水道パイプラインを発見。大半はマラズギルトの戦いの後にアナトリアを支配したサルトゥク朝(Saltuklu Beyliği;Saltuklu Beylic)、そのほかはビザンティン時代。エルズルム博物館(Erzurum Müzesi;Erzurum Museum)の調査。[Daily Sabah]
- イタリア
- ローマのフォーラムでは、1400人がスピーチを聞くことができた。音響分析により推定。
Researchers: 1,400 people could listen to speeches at the Roman Forum[Nauka w Polsce] - スペイン
- グラナダ県(Provincia de Granada)サラル(Salar)にあるローマ時代の邸宅で、新たにモザイクを発見。[Graada Hoy]
▼アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía) - UK(イングランド)
- バークシャー州(the county of Berkshire)ウェスト・バークシャー(West Berkshire)のボックスフォード(Boxford)で、ローマ時代のモザイク。ギリシャ神話のペロプス(Πέλοψ;Pelops)とオイノマオス(Οἰνόμαος;Oenomaus)の馬車競争を描く。この地域でローマ時代の遺跡を確認したのは初。Boxford History Projectの調査。[BBC]
- USA
- フロリダ州(State of Florida)タンパ(Tampa)のロブルズ・パーク・ビレッジ(Robles Park Village)で、3Dレーザースキャンにより棺120か所以上を発見。この場所が、長く所在のわからなかったジオン墓地(Zion Cemetery)と判明。1901年に設立された、タンパ初のアフリカ系アメリカ人のための墓地。[Tampa Bay Times]
2019年8月30日(金)
- 京都府
- 城陽市・久津川車塚古墳(くつかわくるまづかこふん)の後円部下段の直径は110m。城陽市教育委員会8/28発表。8/31現地説明会。[京都新聞]
- 沖縄県
- 金武町・金武鍾乳洞遺跡(きんしょうにゅうどういせき)で、ほぼ完全な形のカムィヤキ。沖縄国際大学の調査。[沖縄タイムス]
- モンゴル
- フブスグル県(Хөвсгөл;Khubsugul)のUrd Khyar 1遺跡で、丸太をくり抜いた木棺の中から、14世紀の女性兵士の墓。30〜40歳で、身長180cm。武器や馬具を副葬。骨盤や顎の形で女性と推定。DNAで検証予定。近隣のUrd Khyar 2遺跡では裕福な女性の墓。ヨーロッパ由来の金製装飾板や花文様を彫り出した琥珀などを副葬。ヨーロッパ征服に参加した夫またはフィアンセからの贈り物か。龍文の鏡も副葬。[The Siberian Times]
▼なんだか夢を見すぎな気が。特にUrd Khyar 1遺跡の方。女性と推定する根拠が弱くないか? - トルコ
- アンタルヤ県(Antalya ili) デムレ郡(Demre)の古代都市ミュラ(Myra)の地下に、沖積層に埋もれた巨大都市。古代リュキア(Λυκία;Lycia)のクラシック時代・ローマ時代・ビザンティン時代の重要都市のひとつ。11000人収容のローマ時代の円形競技場などを含む。サンタクロースのモデル、聖ニコラオスがいたとされる都市。アクデニズ大学(Akdeniz Üniversitesi;Akdeniz University)の調査。[Daily Sabah]
- トルコ
- ズィンジルリ(Zincirli)の古代都市サム・アル遺跡(Sam'al)で、紀元前1650年に焼失したままの状態の建物2棟など、破壊に伴う層を発見。同遺跡はメソポタミアと地中海の主要貿易ルート上に所在。シカゴ大学東洋研究所(The Oriental Institute of the University of Chicago)の調査。[The University of Chicago]
- トルコ
- キュタヒヤ県(Kütahya il)チャウダルヒサール郡(Çavdarhisar)の古代都市アイザノイ遺跡(Αιζανοι;Aizanoi)で、古代の墓。神話に登場するアイザノイの建設者アザーン(Ἀζᾶν;Azan)の墓か。都市の建設者の墓はアゴラに設けられることが多い。都市の中心部とゼウス神(Ζεύς;Zeus)の神殿をつなぐ道路も発見。[Anadolu Ajansı]
- トルコ
- エルズルム県(Erzurum ili)トルトゥム郡(Tortum)キレチュリ村(Kireçli)で、スキタイ・紀元前600年ごろの墓石。ヒツジの頭を表す。古いトルコのモチーフも見つかり、アナトリア最古のトルコ人の痕跡である可能性も。エルズルム博物館(Erzurum Müzesi;Erzurum Museum)の調査。スキタイがトルコ人の先祖か、インド・ヨーロッパ人かについては論争がある。[Daily Sabah]
▼記事や、記事に登場する専門家は、スキタイをトルコ人の先祖と考えたいらしい。 - ルーマニア
- ティミシュ県(Județul Timiș)イグリシュ(Igriș)で、イグリシュ修道院(Mănăstirea Igriș;Egres Cistercian Monastery)の遺構を発見。1179年創立。ハンガリーのアールパード朝(Árpádok;Árpád dynasty)の王アンドラーシュ2世(Jeruzsálemi II András;Andrew II)とその妻ヨランド・ド・クルトネー(Yolande de Courtenay;Yolanda de Courtenay)の墓所の可能性。[Hungary Today]
- オーストリア
- チロル州(Tirol)インスブルック(Innsbruck)のザンクト・ニクラウス(St. Nikolaus)で、屋根裏部屋から初期中世・7世紀後半の剣と槍先。[derStandard.at]
- ドイツ
- ヘッセン州(Land Hessen)マイン=タウヌス郡(Main-Taunus-Kreis)ホーフハイム・アム・タウヌス(Hofheim am Taunus)のカペレンベルク(Kapellenberg)で、新石器時代・ミヒェルスブルク文化(Michelsberger Kultur)・紀元前3600年の4m×6mの竪穴建物跡。ローマ・ゲルマン中央博物館(Römisch-Germanisches Zentralmuseum)とマインツ大学(Johannes Gutenberg-Universität Mainz)の調査。[Frankfurter Rundschau]
- ドイツ
- テューリンゲン州(Freistaat Thüringen) ゼメルダ郡(Landkreis Sömmerda)で、ローマ以前の鉄器時代・ラテーヌ文化の集落。竪穴住居跡や、テューリンゲンでは珍しい型式の青銅製留針出土。Thüringer Landesamt für Denkmalpflege und Archäologieの調査。[Thüringer Allgemeine]
- ノルウェー
- トロンハイム(Trondheim)のKjøpmannsgataで、1つの墓壙に中世の人骨200体。粗雑に重ねられているが、木棺と思われるものも見られ、17〜18世紀ごろに改葬されている可能性。[Life in Norway]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)ラウジー島(island of Rousay)スワンドロ(Swandro)で、アシカの歯で作った紀元前500年ごろの頸飾。骨製の櫛、土器片、ローマのガラスも。紀元前1世紀〜後1世紀の一連の土器は、同遺跡で以前出土したものとは異質。遺跡は海の浸食で消滅の危機。ブラッドフォード大学(University of Bradford)の調査。[The Scotsman]
- USA
- テキサス州(State of Texas)サンアントニオ(San Antonio)のアラモ砦(Alamo)で、プエブラ彩色土器(Puebla Polychrome)など、1700年代のスペイン人植民者の時代の遺物。[San Antonio Express-News]
- USA
- アイダホ州(State of Idaho)クーパーズ・フェリー(Cooper's Ferry)で、後期旧石器時代後半の有舌尖頭器。放射性炭素年代とベイズ推定で16,560年前〜15,280年前。アメリカ大陸に最初にに到達した人類は、陸地で氷河の間にできた回廊ではなく、太平洋岸を利用した可能性。有舌尖頭器は日本のものに似る。
論文 Loren G. Davis, David B. Madsen, Lorena Becerra-Valdivia, Thomas Higham, David A. Sisson, Sarah M. Skinner, Daniel Stueber, Alexander J. Nyers, Amanda Keen-Zebert, Christina Neudorf, Melissa Cheyney, Masami Izuho, Fumie Iizuka, Samuel R. Burns, Clinton W. Epps, Samuel C. Willis, Ian Buvit "Late Upper Paleolithic occupation at Cooper’s Ferry, Idaho, USA, ~16,000 years ago" Science. Vol. 365, Issue 6456, pp. 891-897 [Science] - ペルー
- ラ・リベルター県(Región La Libertad;La Libertad region)トルヒージョ郡(Provincia de Trujillo;Trujillo Province) ワンチャコ(Huanchaco)のパンパ・ラ・クルス地域(Pampa La Cruz)で、新たにチムー時代(Chimú)の墓。被葬者の胴には赤や黄の羽を用いた衣服、頭には青、白、緑、黒、黄の羽を用いた頭飾。[Andina]
- 授乳
- 人類の歯の化石40個から、エナメル質が含むカルシウムの安定同位体を分析し、母乳の授乳期間を推定。猿人パラントロプスロブストゥス(Paranthropus robustus)とアウストラロピテクスアフリカヌス(Australopithecus africanus)では生後1月で母乳が激減。一方、初期のホモ属(Homo)は、猿人よりも母乳の授乳期間が長く、3〜4歳まで授乳。長い授乳期間が知能の発達や社会構造の形成を促した可能性。[聯合ニュース]
論文 Théo Tacail, Jeremy E. Martin, Florent Arnaud-Godet, J. Francis Thackeray, Thure E. Cerling, José Braga and Vincent Balter, "Calcium isotopic patterns in enamel reflect different nursing behaviors among South African early hominins" Science Advances. Vol. 5, no. 8 [Science Advances]
2019年8月29日(木)
- 京都府
- 城陽市・芝山遺跡(しばやまいせき:第19次調査)で新たに5世紀後半〜6世紀前半の古墳6基。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター8/28発表。[毎日新聞]
- 熊本県
- 阿蘇市・阿蘇神社で、熊本地震で全壊した楼門の組み立て工事着手。2023年12月の完成目指す。[熊本日日新聞]
- 中国
- 浙江省 台州市 路橋区 桐嶼街道で、東晋時代の窯跡9か所。[中国新聞網]
- インド
- マハーラーシュトラ州(Maharashtra)ヴィダルバ(Vidarbha)で鉄器時代・紀元前800〜前400年の集落。貝殻、凍石、瑪瑙、碧玉、石英、方ソーダ石、紅玉髄など、玉作りの痕跡も。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[Hindustan Times]
- トルコ
- アダナ県(Adana il)ジェイハン郡(Ceyhan)で、ローマ時代の青銅製の小児用棺が密輸犯から押収される。ギリシャ神話の怪物メドゥーサ(Μέδουσα;Medusa)の文様を持つ。[Daily Sabah]
- ブルガリア
- クルジャリ州(Област Кърджали;Oblast Kardzhali)ペルペリコン遺跡(Перперикон;Perperikon)で、大バシリカの近くから墓地を発見。60基を調査し、十字架などを発見。青銅製の聖遺物箱のうち一つには、一方の側面に聖母マリア、他方にキリストを表す。[Novinite]
- ドイツ
- バイエルン自由州(Freistaat Bayern) バイルングリース(Beilngries)で、後期新石器時代・14000年前の狩猟の遺跡。中石器時代・紀元前9600年〜前5500年のフリント製石器。鉄器時代・紀元前1000年〜前750年の竪穴住居跡。Bayerische Landesamt für Denkmalpflegeの調査。[Donaukurier]
▼バイエルン自由州(Freistaat Bayern) アイヒシュテット郡(Landkreis Eichstätt) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)クレーフェルト(Krefeld)のユーアーディンゲン(Uerdingen)で鉄器時代・紀元前700年〜前450年の墳丘墓。[Westdeutsche Zeitung]
- スペイン
- セビリア県(Provincia de Sevilla)カルモナ(Carmona)のセルビア通り(la calle Sevilla)でローマ時代・紀元前1世紀末〜後1世紀初めの霊廟。竪坑と墓室からなる。墓室には壁龕8か所があり、うち6か所に、さまざまな材質・型式の蔵骨器を納める。[ABC de Sevilla]
▼アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía) - フランス
- ニーム(Nîmes)で、ローマ時代の城壁のそばの公共墓地跡から、ローマ時代・1〜2世紀の墓60基。うち50基から6か月未満の赤ん坊や胎児の遺体。石組みや土器の中に遺体を納める。ローマ時代、3歳未満の子供には法的権利は与えられていなかったが、幼児死亡率が低かった当時、子供の墓を丁寧に営んだ。イヌの墓4基と成人の墓7基も発見。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[Franceinfo]
▼オクシタニー地域圏(Occitanie) ガール県(Gard) - 英王室属領ガーンジー
- オルダニー島(Alderney)のロンギス(Longis Common)で、鉄器時代・紀元前2〜前1世紀の人骨2体。一方は16歳くらい、他方は青銅や鉄の装身具をまとう。ローマ時代の装身具やガラス片、フランク人の坏も出土。同遺跡はチャンネル諸島最大のローマ時代集落。 [itv]
- UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland)でオッターバーン(Otterburn)で、後期鉄器時代とローマ時代の農村。土器、砥石、磨石、鉄滓、色ガラス玉出土。また、大規模な石敷きがあり、小石を敷いた上に大きな板石が置かれた場所もあることから、数世代にわたり改修しながら継続的に居住したことがわかる。Tynedale North of the Wall Archaeology Group (NOWTAG)の調査。[The Chronicle]
- エチオピア
- アファール地域(Afar)で380万年前の人類アウストラロピテクス・アナメンシス(Australopithecus anamensis)の顔がはっきりわかる化石。[朝日新聞]
論文 Yohannes Haile-Selassie, Stephanie M. Melillo, Antonino Vazzana, Stefano Benazzi & Timothy M. Ryan. "A 3.8-million-year-old hominin cranium from Woranso-Mille, Ethiopia" Nature (2019) [Nature]
2019年8月28日(水)
- 京都府
- 城陽市・久津川車塚古墳(くつかわくるまづかこふん)で、後円部北側と西側から斜面とテラスの位置や遺存状態を確認。5世紀前半に築造された山城地域最大の前方後円墳。城陽市の調査。8/31現地説明会。[城陽市]
- 京都府
- 城陽市・芝山遺跡(しばやまいせき:第19次調査)で、古墳時代後期の古墳6基(円墳4基・方墳2基)を発掘。墳形が方墳から円墳に変化する過渡期を示す。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センターの調査。8/31現地説明会。[公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター]
- 中国
- 内モンゴル自治区 通遼市 開魯県 東風鎮の遼代墳墓群のうち1号墓は、遼時代早期の皇室の墓。[中国新聞網]
- 中国
- 河南省 南陽 臥竜区 石橋鎮 竜窩村で東周時代の貴族墓。[新華社]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)クンダーダム(Kundadam)で17世紀のヒーローストーン。高さ85cm、幅110cm。剣を地面につきたてた2人の男、装身具をつけ掲げた右手に花を持つ1人の女、女のそばに立つ1人の子どもを描く。反対面には日月を表す。[The Hindu]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) キーラディー(Keeladi;Keezhadi)で、レンガ積みの貯蔵タンクのような構造物や陶製のパイプライン。[The Hindu]
▼タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) シヴァガンガイ県(Sivaganga district) - イラク
- モスル博物館で文化遺産を破壊したとして、イラク内務省がISISメンバーを逮捕。ISISの支配下のモスル(Mosul)で宣伝ビデオに出演し、アッシリア、アッカド、バビロニア、ペルシャ、ローマの考古資料をハンマーで破壊した。[Kurdistan 24]
- トルコ
- ヴァン県(Van il)ギュルプナル郡(Gürpınar)・チャヴシュテペ城(Çavuştepe Kalesi;Çavuştepe Castle)で、古代ウラルトゥ人は地震対策のため「locked stones」と呼ばれる特別な建築技術を使用し、建物の耐震性を高めていたことを発見。また、ウラルトゥ人は石灰岩の粉末を居住地の下に敷いてペストや虫を避けるなど、化学物質も利用。チャヴシュテペ城はサルドゥリ2世(Sarduri II)が紀元前750年に建設。[Daily Sabah]
▼チャヴシュテペ城関連記事→2019年7月29日 - ブルガリア
- プロヴディフ州(Област Пловдив;Plovdiv Province)マノレ(Маноле;Manole)・マルテペ墳丘墓(Maltepe)で2〜3世紀の高さ20mの塔。石とレンガを積み、漆喰で固める。プロヴディフ考古学博物館(Регионален археологически музей в Пловдив;Archaeological museum Plovdiv)の調査。[The Sofia Globe]
▼プロヴディフ州(Област Пловдив;Plovdiv Province)マリツァ(Община Марица;Obshtina Maritsa) - チェコ
- フラデツ・クラーロヴェー州(Královéhradecký kraj)ヤロムニェルシ(Jaroměř)で、紀元前5千年紀の土器と集落。石器の石材が多様で、当時の交易場の可能性。フラデツ・クラーロヴェー大学(Univerzita Hradec Králové)の調査。[Novinky]
- フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie)ジェール県(Gers)ロクロール(Roquelaure)にあるラ・シウタのオッピドゥム(oppidum de la Sioutat)で、硬貨の打ち型などの出土品。アウスキ族(Ausci)と同オッピドゥムの政治的な重要性を示す。アウスキ族はカエサルの『ガリア戦記』に登場するアキテーヌ地方(Aquitaine)の重要な種族。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)とトゥールーズ・ジャン・ジョレス大学(Université de Toulouse-Jean-Jaurès)の調査。
L’oppidum de la Sioutat, capitale des Ausci[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- サマセット州(the county of Somerset)チューバレー(Chew Valley)で、ノルマン征服(Norman conquest、1066年)直後の大規模な埋納銭。2528枚。アングロサクソン最後の王ハロルド2世(Harold II)を表す硬貨と、ノルマン朝のウィリアム征服王(William the Conqueror)を表す硬貨がほぼ同量。3枚は征服前後の特徴を併せ持つ。大英博物館(The British Museum)8/28発表。[The Guardian]
- ペルー
- ワンチャコ(Huanchaco)のパンパ・ラ・クルス地域(Pampa La Cruz)で、2018年6月以来出土したチムー文化(Chimú culture)のいけにえの子供の遺体が227体に達する。4歳〜14歳。エルニーニョ現象(El Niño)を鎮めるために捧げられた。[France24]
2019年8月27日(火)
- 韓国
- 国立中央博物館が、12月から加耶をテーマにした28年ぶりの大規模展覧会「加耶本性」を開催。8/27出帆式。釜山博物館、日本の国立歴史民俗博物館、九州国立博物館に巡回予定。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶州市 月城で出土した新羅時代の種子を研究するため、国立慶州文化財研究所と白頭大幹樹木院が、古代種子の調査・研究・保存のための業務協約を締結。[聯合ニュース]
- ジョージア
- アラザニ川(Alazani)流域の都市シグナギの(Signagi)ジュガアニ村(Jugaani)で、アケメネス朝・紀元前5〜前4世紀の宮殿とみられる焼失した6本柱のホール。厚さ1.5mの日干し煉瓦積みの壁の内側に、石灰岩の鐘形礎石6基、さらに内部に日干し煉瓦の方形の基壇が配置されている。柱礎の上に木柱が立てられ、方形基壇には上には玉座または祭壇が置かれていたと推定。年代は鐘形基壇から推定。ジョージア国立博物館(Georgian National Museum)とルートヴィヒ=マクシミリアン大学ミュンヘン(Ludwig-Maximilians-Universität München)Ludwig-Maximilians-Universität Münchenの調査。
The remains of the palace from V-IV centuries BC were found on Alazani Valley[Georgian National Museum] - ロシア
- クラスノダール地方(Краснодарский край;Krasnodar Krai)の古代都市ファナゴリア(Φαναγόρεια;Phanagoria)で、地下室に葬られた、裕福な戦士と妻と3人の子供の遺体。馬具を副葬。伝染病か、5世紀の遊牧民の攻撃で死亡と推定。大理石で作られた乳幼児向けの洗礼用の水槽も出土。ロシアにおけるキリスト教の最初の土地であることを証明。[Mirror]
- ギリシャ
- イストミア(Ισθμία;Isthmia)やコリントス(Κόρινθος;Corinth)の遺跡で、紀元前700年〜前600年の200〜400kgの石材に、並行する2条の溝。重い石材を引き上げるための工夫と推定。クレーンは紀元前515年に登場するとされていたが、それよりも150年早く、石材を引き上げる機械が用いられていた。ノートルダム大学の研究。
Greek temple ruins suggest lifting machines in use 1.5 centuries earlier than previously believed[University of Notre Dame]
cf. Alessandro Pierattini (2019) Interpreting rope channels: lifting, setting and the birth of Greek monumental architecture. Annual of the British School at Athens, Volume 114, November 2019, pp. 167 - 206. [Cambridge Core] - イタリア
- エルコラーノ(Ercolano)のヘルクラネウム遺跡(Herculaneum)の水辺で出土した、79年のヴェスヴィオス火山(Mount Vesuvius)の噴火から逃れようとして犠牲となった人骨に残る物質を分析。骨を覆う黒や赤の遺存物は鉄を多く含み、血液が沸騰したことを示す。頭蓋骨の多くは外側に破裂し、多量の遺存物が付着。血が沸騰し、頭蓋骨が爆発したことを示す。従来は窒息死したとみられていた。[The Sun]
論文 Pierpaolo Petrone, Piero Pucci, Alessandro Vergara, Angela Amoresano, Leila Birolo, Francesca Pane, Francesco Sirano, Massimo Niola, Claudio Buccelli, Vincenzo Graziano. "A hypothesis of sudden body fluid vaporization in the 79 AD victims of Vesuvius" PLoS One. Published: September 26, 2018. [PLOS One] - イタリア
- ラティーナ県(Provincia di Latina)レ・フェッリエーレ(Borgo Le Ferriere)にある古代都市サトリクム(Satricum)で、ローマ時代の邸宅、女神マテル・マトゥータ(Mater Matuta)の神殿と、人骨3体、イヌとウシの骨など出土。アムステルダム大学(Universiteit van Amsterdam;università di Amsterdam)の調査。[Latina Corriere]
▼ラツィオ州(Regione Lazio)ラティーナ県(Provincia di Latina)ラティーナ(Latina) - ブルガリア
- ブルガス州(Област Бургас;Oblast Burgas) カメノ(Камено;Kameno)のルソカストロ砦(Русокастро;Rusokastro)で、岩山の頂上に天守(донжони;donjon)に当たる巨大な塔。平面六角形で、長さ15m、幅12m。壁の厚さは1.9mで、直方体の石材をモルタルでつなげる。高さは20m程度かそれ以上と推定。13世紀か。ブルガス歴史博物館(Регионален исторически музей Бургас;Regional historical Museum Burgas)の調査。
Изключително ценно откритие в замъка на средновековния български град Русокастро(ブルガリア語)
An extremely valuable discovery in the castle of the medieval Bulgarian town of Rusokastro(英語)[Регионален исторически музей Бургас] - ポーランド
- ポドラシェ県(Województwo podlaskie;Podlasie)ハイヌフカ(Hajnówka)のサハレヴォ(Sacharewo)で1世紀の集落。ビャウォヴィエジャの森(Puszcza Białowieska;Białowieża Forest)の中では数少ない保存の良い集落。ステファン・ヴィシンスキー枢機卿大学(Uniwersytet Kardynała Stefana Wyszyńskiego w Warszawie;Cardinal Stefan Wyszyński University in Warsaw)の調査。
Podlaskie/ Ancient settlement discovered near Hajnówka[Nauka w Polsce]
▼ポドラシェ県(Województwo podlaskie;Podlasie)ハイヌフカ郡(Powiat hajnowski)ハイヌフカ(Hajnówka) - UK(スコットランド)
- ミッドロージアン(Midlothian)で、1303年のロスリン(Roslin)の戦い故地近くから、金属探査により銀貨200枚以上発見。イングランド王エドワード1世(Edward I)の肖像を表したものや、アイルランドで打刻したもの。ロスリンの戦いは、ジョン・カミン軍8000人がジョン・セグレイヴ(John Segrave)率いるイングランド軍20000人を虐殺した戦い。[Edinburgh Evening News]
- ブリテン諸島、フランス北部
- ブリテン諸島とフランス北部で出土した、中期〜後期青銅器時代の金製品は同じ計量単位で製作。3000年前から広域にわたる標準的な計量単位が確立していたという仮説を実証。単なる物々交換ではなく、等価交換や、その後の通貨の登場を促すような交易が可能となっていた。同時期の東地中海で支配的だった分銅とも対応。The beginnings of trade in northwestern Europe during the Bronze Age[EurekAlert]
論文 Lorenz Rahmstorf. "Scales, weights and weight-regulated artefacts in Middle and Late Bronze Age Britain." Antiquity 2019 [Cambridge Core] - USA
- ペンシルバニア州(Commonwealth of Pennsylvania)フィラデルフィア(Philadelphia)のコロンブス・ブールバード(Columbus Boulevard)で18世紀の埠頭。[The Philadelphia Inquirer]
- チリ
- イグレシア・コロラダ(Iglesia Colorada)で2003年にゴミの山から出土した頭蓋骨4個に穿孔。胴体や副葬品はなく、墳墓ではない。女性3人と子供1人で、いずれも栄養状態は悪い。頭蓋骨を吊り下げて見せしめとする、インカ帝国の恐怖支配を示す。ただしインカ帝国では異例。首都から遠くはなれた乾燥地帯で、統治困難だったためか。1400年代後半〜1500年代始めにインカ帝国は緩やかにアンデスに拡大し、各地を併合。サンチアゴ国立自然史博物館(Museo Nacional de Historia Natural)の調査。
Incan Empire's 'Reign of Terror' Revealed in Four Ancient Skulls Found in Trash Heap[LiveScience]
論文 Francisco Garrido and Catalina Morales. "Displays of Violence and Power at the Edge of the Empire: Provincial Trophy Heads during Inca Times" Latin American Antiquity 07 August 2019 [Cambridge Core]
2019年8月26日(月)
- 神戸市
- 北区・松原城跡(まつばらじょうあと)で、西側の曲輪2の内部に、溝状にたま石を敷き詰めた場所。曲輪1と曲輪2の間には深い箱堀。神戸市教育委員会の調査。8/31現地一般公開。[神戸市]
- 兵庫県
- 姫路市・増位山で、「矢穴」の跡がある岩石。南麓のみならず東麓でも。姫路城の石垣の石材を採石した跡。[神戸新聞]
- 韓国
- 金海市 鳳凰洞の鳳凰土城の内部で、加耶時代の建物跡を確認。礎石を安置する掘方に石を詰めた「積心石」を用いており、塔跡とみられる。金官国の王室の寺院と推定される建物跡を初めて発見。韓半島文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il) テヴフィキエ村(Tevfikiye)にある古代都市トロイア(Troy)で、新たに神殿を発見。[Daily Sabah]
- フランス
- オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏(Auvergne-Rhône-Alpes) ピュイ=ド=ドーム県(Puy-de-Dôme) ヴェイル=モントン (Veyre-Monton)で新石器時代〜青銅器時代ごろとみられるメンヒルの列を発見。オーベルニュ地方では唯一の例。また、14m×6.5mのケルンに、男性の埋葬。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Les mégalithes de Veyre-Monton (Puy-de-Dôme) : alignements de menhirs, tombe, cairn et statue[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スウェーデン
- ウプサラ(Uppsala)のフィリスランド(Fyrislund)で、ヴァキング以前に当たる民族移動時代(Migration Period)〜ヴェンデル時代(Vendel Period)・550〜600年の墓から装飾剣、ゲームの駒、ガラス杯。男性と子供をともに葬る。さらに猛禽類、ウマ、イヌ、ヒツジなどの動物遺体。埋葬前に副葬品とともに燃やす。王に近しい高位の人物の所有物と推定。しかし、ガムラ・ウプサラ(Gamla Uppsala)の墳墓群からは離れた位置にあり孤立。[The Local Sweden]
- カナダ
- ブリティッシュコロンビア州(British Columbia;Colombie-Britannique)のノースショア山脈(North Shore mountains)にあるローワー・シーモア・コンサベーション保護区(Lower Seymour Conservation Reserve)で過去の居住の痕跡。1918年〜1942年ごろの日本人集落3か所。住宅、浴場、神社、庭園、貯水池など。収容準備のための隠しカメラの破片も。第二次世界大戦のため1942年2月に日系人は収容所に送られ、運べる限りのものしか所持できなかった。[CBC]
- USA
- コロラド州(State of Colorado)デュランゴ(Durango)でネイティヴアメリカンの遺跡。人骨、獣骨、貝殻など出土。[The Denver Post]
2019年8月25日(日)
- 秋田県
- 秋田市・秋田城跡(あきたじょうあと:第112次調査)で、政庁の西側の焼山地区から、ふいごの羽口や鉄滓、竪穴住居跡。平安時代に鍛冶工房があったと推定。秋田城跡歴史資料館の調査。8/24現地説明会。[秋田魁新報]
- 福島県
- 二本松市・二本松城跡で、二本松藩の筆頭家老丹羽図書の屋敷跡から、おけと竹管をつないだ遺構や、排水処理に使われた溝の跡。二本松市教育委員会の調査。8/24現地説明会。[河北新報]
- 京都府
- 亀岡市・金生寺遺跡(こんしょうじいせき)で、建物跡4棟や土師器皿などのほか、大規模な土石流の痕跡。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センターの調査。8/24現地説明会。[京都新聞]
▼金生寺遺跡関連記事→2019年8月21日 - トルコ
- ブルサ県(Bursa il)Alutçaで、ヒツジの頭をあしらった墓石。この地にかつて住んだトルコ系民族について示唆。ヒツジは遊牧のライフスタイルの中では重要な動物。[Daily Sabah]
- トルコ
- アマスィヤ県(Amasya ili)トクルジャク村(Toklucak)のオルズ・ヒュユク遺跡(Oluz Höyük)で、ペルシャ帝国・2500年前の神殿に通じる道路、関連建物など。建築は火の神殿を中心としており、ゾロアスター教とみられる。アナトリアでも、元あったギリシャの信仰がペルシャの信仰に置き換えられていることを示す。また、柱立ちの建物はペルシャ帝国の郵便局と推定。ペルシャ帝国は広大な領土に通信手段を発達させ、アナトリアに最初に郵便制度をもたらした。[Daily Sabah]
▼オルズ・ヒュユク遺跡関連記事→2018年4月28日 - ブルガリア
- ヴァルナ州(Област Варна;Oblast Varna)ドルニ・チフリク(Долни чифлик;Dolni Chiflik)シコルピロフツィ村(Шкорпиловци;Shkorpilovtsi)で、初期キリスト教のバシリカの付近から大理石の石板。聖母マリアへの信仰を表す。ギリシャ語銘文。東ローマ帝国マルキアヌス帝(Μαρκιανός;Marcianus)の娘エウフェミア(Ευφημία;Euphemia)の言葉を記す。[Novinite]
- ポーランド
- ルバノヴォ湖(Jezioro Lubanowo;Lake Lubanowo)の湖底から中世・1000年前のヴァイキングの鉄製槍先が引き揚げられる。刃は2枚を90度の角度でつなげ、回転しつつ正確に飛んで威力も大きい。1600年代の銅器や磁器も出土。ワルシャワ大学考古学研究所(Instytut Archeologii UW;Institute of Archaeology UW)の調査。[The First News]
- UK(イングランド)
- チェシャー州(the county of Cheshire)チェスター(Chester)のハンター通り(Hunter Street)とプリンセス通り(Princess Street)の間で、ローマ時代・2000年前の砦のものとみられる石材。[CheshireLive]
2019年8月24日(土)
- トルコ
- アイドゥン県(Aydın il) ソケ郡(Söke)のサムソン山(Mount Samsun)の上にある古代都市プリエネ(Πριήνη;Priene)で、新たにゼウス神(Ζεύς;Zeus)の神殿の跡。[Hürriyet Daily news]
- トルコ
- デニズリ県(Denizli il)ブルダン郡(Buldan)の古代都市トリポリス(Τρίπολις;Tripolis)の中央で、ローマ時代・2世紀の泉。長さ32m、幅7m。4世紀に改修されている。[Daily Sabah]
- キプロス
- パフォス(Πάφος;Paphos)のプラスティオ=メソロツォス遺跡(Πραστειό-Μεσόροτσος;Prastio-Mesorotsos)で、初期〜中期銅石器時代・紀元前2500年〜前2300年の、保存の良い漆喰作りの炉や壁。[Cyprus Mail]
- チェコ
- リブコヴィツェ(Libkovice)で中世・13世紀以降の墓90基以上。16〜18世紀の人骨にはレッグ・カルベ・ペルテス病(Legg-Calvé-Perthes disease;LCPD)の痕跡2例。
Czech Republic/ Polish archaeologists examined nearly 100 graves in Libkovice[Nauka w Polsce] - UK(スコットランド)
- ディングウォール(Dingwall)の初期キリスト教会で1200年前のピクトの碑石。ピクトの記号で飾る。壊れる前は高さ2.4mと推定。1790年代に墓標に転用。North of Scotland Archaeological Societyの調査。[Ross-Shire Journal]
- USA
- メイン州(State of Maine)ウィンダム(Windham)で植民地時代の砦を調査。白人とネイティヴアメリカンの戦闘が行われた故地であるが、1920年代の舗装のため、これまで発掘調査ができなかった。道路建設のため破壊の前に最後の調査のチャンス。Maine Historic Preservation Commissionの調査。[Bangor Daily News]
- エルサルバドル
- 地中海地域の寒冷化を招いた540年の火山噴火は、エルサルバドルのイロパンゴ(Ilopango)と特定。
Vulkaneruption in El Salvador verstärkte spätantike Klimakrise[Archaeologie Online] - 仏領サン・マルタン
- ハリケーン・イルマ(Irma)の通過後、海岸線の考古学的遺跡90か所のうち18か所が被災。紀元前3千年紀のヒトの居住の証拠となる貝殻や、9〜15世紀のネオインディアンの遺物を確認。[Soualiga Post]
2019年8月23日(金)
- 京都府
- 亀岡市・余部遺跡(あまるべいせき)の水路跡から弥生〜古墳時代の木製農具。京都府教育委員会と亀岡市教育委員会8/22発表。8/26現地説明会。[京都新聞]
▼余部遺跡関連記事→2012年5月19日 - UK(スコットランド)
- アバディーンシャー州(Aberdeenshire)インヴァルリー(Inverurie)にあるベナーキー山(Bennachie)の頂上ミザータップ(Mither Tap)にあるフィルフォートは、放射性炭素年代で7〜8世紀。ピクト人のヒルフォートと証明。二重の城壁が巡る著名なヒルフォートで、スコットランドで最も印象的なヒルフォートであるとともに、スコットランド各地の初期中世の城郭に似る。アバディーン大学(the University of Aberdeen)によるNorthern Pictsプロジェクトの調査。[BBC]
2019年8月22日(木)
- ヨルダン
- ヒルバト・アタルーズ遺跡(Khirbet Ataruz)の古代都市アタロト(Ataroth)で、2800年前の石造りの祭壇。モアブ語の銘文あり(数字はエジプトのヒエラティック)。モアブ王国(Moab)のメシャ王(Mesha)がイスラエル王国からアタロトを奪った後に記す。[LiveScience]
- イスラエル
- ガリラヤ近くのヒッポス・スシタ遺跡(Hippos-Sussita)で見つかった焼失した教会のモザイクに、5つのパンと2匹の魚の意匠。イエスによるパンと魚の奇跡を表す。[Haaretz]
- トルコ
- エルズルム県(Erzurum ili)エズィルミク(Ezirmik)で、ルーム・セルジューク朝(Sultanate of Rum)のスルタン、カイクバート2世(Kayqubad II;1257年没)と、その母ギュルジュ・ハトゥン(Gürcü Hatun)と思われる人物の名を刻んだ墓室を発見。カイクバートはモンゴルとの戦いに向かいエルズルムで死去したとされている。[Daily Sabah]
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)にある古代都市トロイア(Troy)で、これまでの発掘で知られていたトロイヤI層(Troy I)からトロイヤXI層(Troy XI)までのほかに、あらたに紀元前3500年の地層トロイヤO層(Troy 0)を発見。火災の跡や土器、木製の梁を確認。これまでの想定より600年古くから集落が存在。[Daily Sabah]
- クロアチア
- オシイェク(Osijek)のヘルマノフ遺跡(Hermanov)で2013年に同一の墓壙から出土した民族移動時代・415〜560年の人骨3体は、いずれも若い男性で栄養失調。DNAによると先祖は西ユーラシア、中東、東アジアと様々で、中東と東アジアに先祖を持つ2体に、それぞれ異なる型式の人工頭蓋変形(ACD)。人工頭蓋変形が出自を明示する手段だった可能性。ザグレブ人類学研究所(Institut za antropologiju;Institute for Anthropological Research)の調査。
Earliest evidence of artificial cranial deformation in Croatia during 5th-6th century[ScienceDaily]
論文 Daniel Fernandes, Kendra Sirak, Olivia Cheronet, Rachel Howcroft, Mislav Čavka, Deni Los, Josip Burmaz, Ron Pinhasi, Mario Novak.. "Cranial deformation and genetic diversity in three adolescent male individuals from the Great Migration Period from Osijek, eastern Croatia" PLoS ONE 14(8) [PLOS One] - チェコ
- プラハ(Praha;Prague)・プラハ城(Praský hrad;Prague Castle)の中庭で1928年に発掘された中世・800〜950/1000年の男性人骨の発見の経緯を研究。副葬品はチェコ以外の品の混合。おそらくは近隣地域のスラブ人で、古代ノルウェー語やスラブ語を操り、彼自身は自らを純粋なヴァイキングと思っていた可能性も。ウクライナ人イヴァン・ボルコフスキー(Іван Іванович Борковський;Ivan Borkovský)が発掘。第二次世界大戦中のナチスや冷戦期のソ連がプロパガンダに利用。ナチスはヴァイキングとみなし、ソ連はスラブ人の戦士とみなし、その後はチェコの独立運動の一部となった。
New light on contested identity of medieval skeleton found at Prague Castle[University of Bristol]
論文 Nicholas J. Saunders, Jan Frolík, Volker Heyd. "Zeitgeist archaeology: conflict, identity and ideology at Prague Castle, 1918-2018". Antiquity, 2019; 93 (370): pp. 1009-1025[Cambridge Core] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen) ケーニヒスヴィンター(Königswinter)のベナーシャイト(Bennerscheid)の鉱山地域で、ローマ時代・紀元前1世紀の鉛の塊。金属生産の証拠。Landschaftsverband Rheinlandとボン大学(Universität Bonn)の調査。[General-Anzeiger]
▼ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen) ライン=ジーク郡(Rhein-Sieg-Kreis) - スペイン
- エストレマドゥーラ自治州(Comunidad Autónoma de Extremadura)カセレス県(Provincia de Cáceres)ペラレダ・デ・ラ・マタ(Peraleda de la Mata)で、干ばつにより貯水池の水位が下がり、環状に並んで樹立された巨石144基が露出。紀元前3千年紀〜前2千年紀の太陽の神殿をなす。フランコ時代・1963年のダム建設で水没して以来。[The Local Spain]
▼巨石記念物グアダルペラルのドルメン(Dolmen de Guadalperal) - スペイン
- カンタブリア自治州(Comunidad Autónoma de Cantabria)エル・カスティーリョ洞窟(Cueva el Castillo;El Castillo cave)で1912年にドイツ人古生物学者ヒューゴ・オーバーマイアー(Hugo Obermaier)が発見した、バラバラになった5歳程度の少年の遺体は、死の直後に石器を用いて舌が抜かれていた。後期旧石器時代・グラヴェット文化(Gravettian)・27000年前のホモサピエンス(Homo sapiens)で、洞窟壁画と同じころ。食人か、埋葬習俗の可能性。[El País]
論文 María‐Dolores Garralda, José‐Manuel Maíllo‐Fernández, Thomas Higham, Ana Neira, Federico Bernaldo de Quirós. "The Gravettian child mandible from El Castillo Cave (Puente Viesgo, Cantabria, Spain)" American Journal of Physical Anthropology [Wiley Online Library] - デンマーク
- デンマークの紀元前3千年紀〜前2千年紀の37遺跡で出土した人骨88体を調査。歯のエナメル質に含まれるストロンチウム同位体から出身地、放射性炭素年代で時期を推定。形質人類学的分析で性別、年齢や怪我・病気の有無を調査。北欧青銅器時代初め・紀元前1600年ごろ、北欧では経済が発達し、多様でかつ遠距離の移民が到来。ヨーロッパ各地と金属交易による緊密な関係に。北欧南部には輸入金属が急増。大半はイタリアアルプスから。錫は英国コーンウォールから。
Nordic Bronze Age attracted wide variety of migrants to Denmark[Phys.Org]
論文 Karin Margarita Frei, Sophie Bergerbrant, Karl-Göran Sjögren, Marie Louise Jørkov, Niels Lynnerup, Lise Harvig, Morten E. Allentoft, Martin Sikora, T. Douglas Price, Robert Frei, Kristian Kristiansen. (2019) "Mapping human mobility during the third and second millennia BC in present-day Denmark". PLoS ONE 14(8) [PLOS One] - アイルランド
- アイルランドの人口は700年ごろ急減。ヴァイキンが10世紀に定着したとき、人数は少数であったが、減少していた先住民よりも人口増加に成功。クィーンズ大学ベルファスト(The Queen's University Belfast)の研究。
Researchers discover that Vikings arrived in Ireland when the population was in serious decline[The Queen's University Belfast]
論文 Emma Hannah, Rowan McLaughlin. "Long-term archaeological perspectives on new genomic and environmental evidence from early medieval Ireland" Journal of Archaeological Science. Volume 106, June 2019, Pages 23-28 [ScienceDirect]
2019年8月21日(水)
- 山形県
- 南陽市・北町遺跡で、縄文草創期の竪穴住居跡、同遺跡で2軒目。[山形新聞]
- 石川県
- 小松市・古府シマ遺跡(こふしまいせき)で、平安末期・12世紀の土師器の破片多数。加賀国の「国司館」だった可能性。公益財団法人石川県埋蔵文化財センターの調査。[北國新聞]
- 京都府
- 亀岡市・金生寺遺跡(こんしょうじいせき)で、鎌倉時代前半の一般集落跡。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター8/20発表。8/24現地説明会。[朝日新聞]
▼金生寺遺跡関連記事→2019年8月20日 - 中国
- 河北省 清河県 后郭屯村で唐時代の官僚の妻の墓誌。「唐故王氏夫人扶風馬氏墓誌銘」と題する。[新華社]
- 中国
- 河北省 定州で前漢時代の金銅製の蚕。[新華社]
- 中国
- 河北省 南和県 東三召村で、明時代の太常寺卿を務めた白儲玿の墓誌。「崇禎六年十一月二十六日」の刻銘があり、1633年。[新華社]
- オーストラリア
- 西部砂漠(Western Desert)キンバリー地域(Kimberley)のドライズデール川(Drysdale River)のミンジワラ遺跡(Minjiwarra)で、5万年前にさかのぼる先住民居住の痕跡。19000年前の氷河期の最盛期で寒く乾燥した時期にも居住。シングルグレイン法による年代測定。西オーストラリア大学(The University of Western Australia)の調査。
New site reveals 50,000 years of Aboriginal occupation in Kimberley[The University of Western Australia]
論文 Peter Veth, Kane Ditchfield, Mark Bateman, Sven Ouzman, Marine Benoit, Ana Paula Motta, Darrell Lewis, Sam Harper & Balanggarra Aboriginal Corporation. "Minjiwarra: archaeological evidence of human occupation of Australia’s northern Kimberley by 50,000 BP" Australian Archaeology [Taylor & Francis Online] - インド
- ヒマラヤ山脈(Himalayas)のループクンド湖(Roopkund)で採集された人骨38体に対する放射性炭素年代測定とDNA解析。年代は800〜1800年。DNA解析により、祖先の異なる3つのグループ。800年ごろの南アジア出身の23人は2回以上の事象によって堆積。1800年ごろの東地中海地方出身の14人、1800年ごろの東アジア出身の1人。1回の天変地異によって大勢死亡したとする従来説を否定。
(英語)Biomolecular analyses of Roopkund skeletons show Mediterranean migrants in Indian Himalayas
ドイツ語Biomolekulare Analysen zeigen, einige der mysteriösen "Roopkund"-Skeletten waren mediterraner Abstammung[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
論文 Éadaoin Harney, Ayushi Nayak, Nick Patterson, Pramod Joglekar, Veena Mushrif-Tripathy, Swapan Mallick, Nadin Rohland, Jakob Sedig, Nicole Adamski, Rebecca Bernardos, Nasreen Broomandkhoshbacht, Brendan J. Culleton, Matthew Ferry, Thomas K. Harper, Megan Michel, Jonas Oppenheimer, Kristin Stewardson, Zhao Zhang, Harashawaradhana, Maanwendra Singh Bartwal, Sachin Kumar, Subhash Chandra Diyundi, Patrick Roberts, Nicole Boivin, Douglas J. Kennett, Kumarasamy Thangaraj, David Reich & Niraj Rai. "Ancient DNA from the skeletons of Roopkund Lake reveals Mediterranean migrants in India" Nature Communications. volume 10, Article number: 3670 (2019) [Nature Communications] - オーストリア
- ウィーン市内のノイアーマルクト(Neuer Mark)でローマ時代・3世紀末〜5世紀半ばの墓地。人骨17体出土。[VIENNA.AT]
- スペイン
- カンタブリア州(Cantabria)で、中石器時代の貝塚の形成過程とともに、海産物資源利用の長期的な変化、最終戦略と気候変動の関係を研究。Phorcus lineatusの貝殻の酸素同位体を分析し、収穫の季節をもっとも寒い季節(晩秋から冬)と推定。実験的に、この種の最も肉量が多い季節に合致。マックス・プランク人類史学研究所(Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte)の研究。
Seasonal Seafood in the Mesolithic: New study reveals humans foraged molluscs in winter for better meat returns[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
論文 Asier García-Escárzaga, Igor Gutiérrez-Zugasti, Adolfo Cobo, David Cuenca-Solana, Javier Martín-Chivelet, Patrick Roberts, Manuel R. González-Morales. "Stable oxygen isotope analysis of Phorcus lineatus (da Costa, 1778) as a proxy for foraging seasonality during the Mesolithic in northern Iberia." Archaeological and Anthropological Sciences [SpringerLink] - デンマーク
- ヴァイレ(Vejle)で発見された青銅器時代の16〜18歳の少女エクトヴィズガール(The Egtved girl)は、ユトランド(Jutland)以外の北欧出身。副葬品や服装からみて、ボルンホルム島(Bornholm)、南東スウェーデン、南西ノルウェーのローガラン県(Rogaland)のいずれか。従来、いずれもストロンチウム分析によって、ドイツのシュヴァルツヴァルト地域とする説や、埋葬地の近くとする説などがあった。
New research challenges the origin of 'The Egtved girl'[Science Nordic] - UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)ライミング(Lyminge)の聖マリアと聖エセルブルガ教会(St Mary and St Ethelburga church)で、アングロサクソン時代の建物跡。ピンク色のモルタルやローマのレンガ片からみて、石工はフランスからきた。内陣と身廊を3つのアーチで隔てるが、その柱の石材も輸入品。英国最古の石造りの教会。建築様式からみて、女王エセルベルガ(Ethelburga)が築造したと推定。北側の小さな別棟の構造は11世紀に記述された、エセルベルガの墓に一致。レディング大学(The University of Reading)の調査。[BBC]
▼ライミング関連記事→2013年11月27日 - UK(イングランド)
- ワイト島(Isle of Wight)ヤーマス(Yarmouth)にあるボールドノア・クリフ沖海底遺跡(Bouldnor Cliff)で、中石器時代・8000年前の木造のプラットフォーム。石器時代には陸地だった場所で、世界最古の造船所に隣接。海洋考古学トラスト(Maritime Archaeological Trust)の調査。[BBC]
A Stone Age boat building site has been discovered underwater[National Oceanography Centre] - UK(ウェールズ)
- グウィネズ州(Gwynedd)のディナス・ディンル(Dinas Dinlle)の砦跡で、鉄器時代・2500年前の円形住居とローマ時代の硬貨。1330年の嵐による砂で埋まっているが、海の浸食で遺跡自体が失われようとしている。[BBC]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)・ネス・オブ・ブロッガー(Ness of Brodgar)で、神殿のような建物「structure 10」の壁の下から、5000年前の若い女性のものとみられる前腕の骨。ネス・オブ・ブロッガーでは人骨の出土自体が稀。ブラッドフォード大学(University of Bradford)の調査。[BBC]
▼ネス・オブ・ブロッガー遺跡関連記事→2019年7月19日
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