2020年8月20日(木)
- 中国
- 跨湖橋遺跡(Kuahuqiao)で行われた新石器時代(Neolithic)の焼畑農業(slash-and-burn agriculture)について実験結果と対比。焼畑の規模は遺跡周辺の小規模にとどまったと推定。
文献 YuanFeng Hu, Bin Zhou, YueHan Lu, JianPing Zhang, SiYu Min, MingZhe Dai, SiYu Xu, Qing Yang, HongBo Zheng "Abundance and morphology of charcoal in sediments provide no evidence of massive slash-and-burn agriculture during the Neolithic Kuahuqiao culture, China" PLOS ONE. Published: August 19, 2020 [PLOS ONE] - インドネシア
- オビ島(Obi Island)で、更新世末ごろ以降の3回の居住痕跡。貝殻を磨いた遺物が更新世の際末期に登場。ワラセア(Wallacea)では初の確認。完新世初期には磨製石斧。やはりワラセア初。8000年前以降、居住が絶える鉄器時代に復活。四角形の磨製石器、土器、ブタを伴い、オーストロネシア人(Austronesian)の影響。
文献 Ceri Shipton, Sue O’Connor, Shimona Kealy, Mahirta, Indah N. Syarqiyah, Nico Alamsyah, Marlon Ririmasse "Early ground axe technology in Wallacea: The first excavations on Obi Island" PLOS ONE Published: August 19, 2020 [PLOS ONE] - インド
- ジャイプール(Jaipur)のアルバート・ホール博物館(Albert Hall Museum)で雨漏り被害。膝までの深さが浸水。[Outlook]
- イラン
- ケルマーン州(Ostān-e Kermān)ファフラジュ(Fahraj)で中期旧石器時代(Middle Paleolithic)の遺跡発見。大半の石器はチャート製。一部は火山岩製。[Tehran Times]
- トルコ
- アイドゥン県(Aydın ili)ナズィッリ郡(Nazilli)・マスタウラ遺跡(Mastaura)で、2700年前の円形闘技場(amphitheater)。直径100m。壁の高さ14〜15m。[Hürriyet Daily News]
- トルコ
- アンカラ県(Ankara)シンジャン郡(Sincan) スタノズ(Stanoz)のアルメニア人墓地が破壊される。保護対象の遺跡に指定されながら政府が対処していないとして、国民民主主義党(Peoples' Democratic Party、HDP)の国会議員ガロ・パイラン(Garo Paylan)が、文化観光相・メフメット・ヌリ・エルソイ(Mehmet Nuri Ersoy)に国会質問。[bianet]
- イタリア
- カラブリア州(Calabria)リアーチェ(Riace)沖の海中で1972年に発見された紀元前5世紀のブロンズ像2体は、ペロポネソス半島のアルゴス(Άργος;Argos)に由来する可能性。像内部の粘土が手掛かり。像主はオイディプース(Οἰδίπους)の息子、エテオクレース(Ἐτεοκλῆς)とポリュネイケース(Πολυνείκης)とみられ、より大きな作品の一部とみられる。[derStandard.at]
- フランス
- アルザス地方(Alsace)の新石器時代・線帯文土器文化(Linienbandkeramik;Linearbandkeramik)の地域性について、土器900個に残る遺存物を分析し検証。蜂製品や畜産品の継続的な使用は初期〜中期新石器時代から。上アルザスでは初期石器時代に乳製品の使用が普及するが、下アルザスでは中期新石器時代に集中的な乳製品生産が始まる。
文献 Emmanuelle Casanova, Rose-Marie Arbogast, Anthony Denaire, Christian Jeunesse, Philippe Lefranc, Richard P. Evershed "Spatial and temporal disparities in human subsistence in the Neolithic Rhineland gateway" Journal of Archaeological Science. Volume 122 [ScienceDirect] - フランス
- ポワティエ(Poitier)の人権の庭(jardin des Droits-de-l’Homme)で、ローマ帝政期・1世紀のモザイクやモザイク工房。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[la Nouvelle République]
- ジャージー島
- レ・ヴァリーヌ(Les Varines)で2014年〜2018年に出土した、マドレーヌ文化(Magdalenian)・23000年前〜14000年前の装飾用の石板プラケット(plaquette)に線刻。抽象的な図像が多いが、顔や動物とみられるものも。フランス、スペイン、ポルトガルに類例。ブリテン初頭最古の芸術。[BBC]
文献 Silvia M. Bello, Edward Blinkhorn, Andrew Needham, Martin Bates, Sarah Duffy, Aimée Little, Matt Pope, Beccy Scott, Andrew Shaw, Mark D. Welch, Tim Kinnaird, Lisa Millar, Ruth Robinson, Chantal Conneller "Artists on the edge of the world: An integrated approach to the study of Magdalenian engraved stone plaquettes from Jersey (Channel Islands)" PLOS ONE Published: August 19, 2020 [PLOS ONE] - アイルランド
- スライゴ州(County Sligo)とリートリム州(County Leitrim)の境界にあるグレンカー湖(Glencar Lake;Glencar Lough)で、先史時代の遺物。新石器時代や青銅器時代に属し、一部は中石器時代のものも。[The Irish Times]
- カナダ
- ブリティッシュコロンビア州(British Columbia;Colombie-Britannique)ウィリアムズ湖(Williams Lake)の北のディープ・クリーク(Deep Creek)にあるXat’sull族保護区で先住民の石器2点や獣骨。[Williams Lake Tribune]
2020年8月19日(水)
- 北海道
- 苫小牧市・旧日本軍沼ノ端飛行場のうち、現在確認できるのは掩体壕跡1か所のみ。行政側には保存に向けた動きはなく、貴重な戦争遺跡が失われる懸念も。[北海道新聞]
- 新潟市
- 江南区・曽我墓所遺跡(そがぼしょいせき)で、奈良・平安時代の住居跡や木製井戸枠を持つ井戸。新潟市文化財センターの調査。10/10現地説明会。[新潟市]
- 新潟市
- 江南区・道正・岡崎遺跡(どうしょう・おかざきいせき)で、埋没した砂丘上から、古墳時代の線刻土器など、縄文時代晩期、古墳時代、奈良・平安時代の遺構・遺物。新潟市文化財センターの調査。10/10現地説明会。[新潟市]
- ヨルダン
- ジャラシュ遺跡(Jerash)=古代のゲラサ(Gerasa)で出土した、ローマ時代から初期イスラーム時代の、銅を基盤とした金属遺物49点を分析。ローマ時代には銅と錫の合金(binary bronze)、ビザンティン時代には真鍮、イスラーム時代には錫を含む合金が主。ローマ時代やビザンティン時代には一部の金属はヨーロッパや地中海由来。イスラーム時代には地元に近いティムナ(Timna)の銅を使用。素材のリサイクルはローマ時代に始まり、後期ビザンティン時代からイスラーム時代にかけて増加。
文献 Vana Orfanou, Thomas Birch, Achim Lichtenberger, Rubina Raja, Gry H. Barfod, Charles E. Lesher, Christoph Eger "Copper-based metalwork in Roman to early Islamic Jerash (Jordan): Insights into production and recycling through alloy compositions and lead isotopes" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
▼ジャラシュ遺跡関連記事→2019年11月6日 - パレスチナ
- ヨルダン川西岸地区(West Bank)ベイト・エル(Beit El)のKhirbet Kefar Mur遺跡で、第二神殿時代(Second Temple Period)の石製のテーブル。[The Jerusalem Post]
- キプロス
- マルキ・アロニア遺跡(Μαρκί Αλώνια;Marki Alonia)で出土した初期〜中期青銅器時代の獣骨について、炭素と窒素の安定同位分析。C3植物の開発を示す。ウシとヤギとで、異なる放牧方法を用いる。
文献 Caterina Scirè-Calabrisotto, Jennifer M. Webb, David Frankel, Paola Ricci, Simona Altieri, Carmine Lubritto "New evidence for diet and subsistence economy in Early and Middle Bronze Age Cyprus" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect] - ウクライナ
- プシュカリ1遺跡(Пушкарі I;Pushkari I)とプシュカリ8遺跡(Пушкарі VIII;Pushkari VIII)について、グラヴェット文化(Gravettian)の石器と動物層を研究。ヒトの集団によって屠殺されたマンモスの骨など、ヒトの組織化された行動の痕跡。
文献 L. Demay, P. M. Vasyliev, V. I. Belyaeva "Subsistence activities in the gravettian occupations of the Pushkari group: Pushkari I and Pushkari VIII (Pogon) (Ukraine)" Quaternary International [ScienceDirect] - ブルガリア
- ブルガス(Бургас;Bourgas)のチロザ岬(нос Чироза;Cape Chiroza)でヘレニズム時代・紀元前2〜前1世紀の防御拠点。800m2の規模で、石の城壁や深さ1.3m、幅4mの堀で囲まれる。土器片260点のうち40%はトラキアの土器。ほかはペルガモン(Πέργαμον;Pergamum)などからの輸入土器。[The Sofia Globe]
- イタリア
- マルケ州(Regione Marche) アンコーナ県(Provincia di Ancona)ジェンガ(Genga)にあるフラサッシ鍾乳洞(Grotte di Frasassi)のうち、フィウメ洞窟(Grotta del Fiume)の中の、いわゆるサラ・デル・フッコ(Sala del Fuoco)で、後期旧石器時代・後グラヴェット文化(Epigravettian)・16300年前のヒトの活動の痕跡。アペニン山脈(Apennines)で後グラヴェット文化の石器は稀。墓とみられる石積みも発見。この洞窟は祭祀場だったと推定。[Centro Pagina]
cf. Alessandro Montanari, Artur Adamek, Angelo Curatolo, Marco P. Ferretti, Maurizio Mainiero, Sandro Mariani, David McGee, Gaia Pignocchi, Stefano Recanatini "An Epigravettian hypogeal site in the Grotta del Fiume Cave at Frasassi (northeastern Apennines, Italy): Environmental and geochronologic assessments" International Journal of Speleology [International Journal of Speleology] - オーストリア
- 青銅器時代の剣8振に対し、中性子回折法(neutron diffraction、ND)と中性子共鳴捕獲分析(Neutron Resonance Capture Analyses、NRCA)により分析。製作技法や、刺す武器か、斬る武器かの識別に手がかり。ヨーロッパで青銅器時代の剣は珍しく、破壊分析は望ましくない。
文献 M. Mödlinger, E. Godfrey, H. Postma, P. Schillebeeckx, W. Kockelmann "Neutron analyses of eight Bronze Age swords from Austria: The question of ‘stabbing’ or ‘cut-and-thrust’ weapons" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect] - ドイツ
- ブレーメン(Bremen)で、中石器時代・10000年以上前の集落跡。炉跡13基や、フリント製石器の製作跡。[Süddeutsche Zeitung]
- スペイン
- アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía)セビリア県(Provincia de Sevilla)にあるモンテリリオのトロス(Tholos de Montelirio)で出土した、銅石器時代・紀元前28世紀の大量のビーズを分析。石灰岩や海生の貝殻を多数使用。辰砂の使用による赤色と、ビーズの白色に彩られた墓だった。
文献 Leonardo García Sanjuán, Carlos Rodríguez-Rellán, José Antonio Lozano-Rodríguez, Marta Cintas-Peña, María Martínez Merino "Ladies in red (and white): a study of the beaded attires from Montelirio (Andalucía, Spain)" PAST 94 [The Prehistoric Society] - UK(イングランド)
- チェスター(Chester)で、ローマ軍の兵舎跡から、ボードゲーム「ルードゥス・ラトルンクロールム」(Ludus latrunculorum)の骨製の駒や、骨製の櫛、槍先、ピン、ブローチなど出土。[Chester Standard]
- UK(スコットランド)
- アイオナ島(Iona)の殉教者の入り江(Martyrs Bay)近くで、10〜11世紀のアイルランド=スカンディナヴィア系(Hiberno-Norse)の銅合金のピンが多数出土。衣服を留めるためのもの。9世紀初めのヴァイキング(Viking)の襲撃の後、島が放棄されたわけではなかったことが判明。修道院の生活は維持され、金属加工の拠点が築かれていた。10〜11世紀の墓石なども近年発見。殉教者の入り江では、806年のヴァイキングの侵略の後、修道士68人の遺体が残されていた。その後、12世紀にベネディクト修道院(Benedictine abbey)が建設されるまで数百年放棄されていたと考えられてきた。[The Scotsman]
- 米領サモア
- マヌア諸島(Manu‘a Group)のオフ島(Ofu)、オロセガ島(Olosega)の3遺跡で出土した1500年前の釣針を分析。沿岸環境の開発を反映。漁業の方法として釣針を用いるかどうかは地域の環境に依存。
文献 Seth Quintus, Jeffrey T. Clark "An early (pre‐1500 BP) fishhook assemblage from Ofu and Olosega islands, Manu‘a Group, American Samoa: implications for technological evolution and cultural interaction" Archaeology in Oceania First published: 18 August 2020 [Wiley Online Library]
2020年8月18日(火)
- 新潟県
- 上越市・舘遺跡(たていせき:第2次調査)で、平安時代と中世の集落。掘立柱建物、井戸、畑跡。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団の調査。9/12現地説明会。
上越市舘遺跡2次発掘調査現場の一般公開の御案内[公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団] - 平和資料館
- 戦争や平和をテーマにした全国の資料館の4割近くが、新型コロナウイルスの感染拡大により財政難に。平和のための博物館国際ネットワークの調査。[NHK]
- 韓国
- 文化財庁は、埋蔵文化財の調査現場について、自然災害に対する安全対策を講ずる。発掘調査前に対象文化財の安定度を評価・確認し、実施如何と調査期間・範囲を決める。発掘調査後の埋め戻しの過程についても、地盤の譚程度の評価を行う。最近の集中豪雨のため文化財の被害が発生したため。[聯合ニュース]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - イラン
- ロレスターン州(Ostān-e Lorestān;Luristan) クーフダシュト郡(Kuhdasht)で、洞窟に先史時代の居住の証拠。青銅器時代の骨、石器、土器片など。洞窟の入り口にはヒトと動物を表すレリーフを岩に刻む。4月にもパルティア時代のヒトと動物を表すレリーフが発見されている。クーフダシュト郡では初の旧石器時代の遺物も。[Tehran Times]
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)タフテジャムシード(Takht-e Jamshid)=ペルセポリス(Persepolis)の水道管で、ヒトや動物の骨13体発見。[Tehran Times]
- サウジアラビア
- アラビア北部のネフド砂漠(Nefud Desert)南縁部にあるに石造物「ムスタティール」(mustatil)104基を研究。放射性炭素年代は紀元前5000年ごろ。世界の石造記念物のなかでも最も早い時期。
文献 Huw S Groucutt, Paul S Breeze, Maria Guagnin, Mathew Stewart, Nick Drake, Ceri Shipton, Badr Zahrani, Abdulaziz Al Omarfi, Abdullah M Alsharekh, Michael D Petraglia "Monumental landscapes of the Holocene humid period in Northern Arabia: The mustatil phenomenon" The Holocene. First Published August 17, 2020 [SAGE journals] - イスラエル
- ツファット(Safed)旧市街ので、16世紀の市場、井戸、貯水槽、17〜19世紀の建物跡。1948年の独立戦争(第一次中東戦争)時のトンネルなど。[The Jerusalem Post]
- トルコ
- ムーラ県(Muğla il)ミラース郡(Milas)のベチン砦(Beçin Kalesi;Beçin Fort)で、14世紀の貯水槽。切石づくりの長方形で、天井はバレル・ヴォールト。戦争で包囲されたときの備え。ベチン砦は、メンテシェ侯国(Menteshe Principality)の首都だった遺跡。[Daily Sabah]
- マルタ
- タ・シルク遺跡(Tas-Silġ)で、ローマ時代の神殿跡。[Times of Malta]
- フランス
- モルビアン県(Morbihan)サンタンヌ=ドーレー(Sainte-Anne-d’Auray)で、中石器時代・紀元前10000年〜前6000年にさかのぼる石器や、新石器時代・紀元前2500年のアーモンド形住居など。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[Le Télégramme]
▼ブルターニュ地域圏(Région Bretagne) - ジャージー島
- グラウヴィル(Grouville)で、中世の・12〜14世紀の貝の加工工場の壁。Wessex Archaeologyの調査。[Jersey Evening Post] https://jerseyeveningpost.com/news/2020/08/17/archaeological-finds-shed-light-on-medieval-grouville/
- コロンビア
- チェクア遺跡(Checua)で、放射性炭素年代により、完新世初期以来の狩猟採集民の丘陵地帯への居住について研究。9500年前ごろから居住されたが、葬送への使用は7580年前〜7475年前と5190年前〜5052年前の2時期のみ。
文献 Sonia Archila, Ana María Groot, Juan Pablo Ospina, Martha Mejía, Catalina Zorro "Dwelling the hill: Traces of increasing sedentism in hunter-gatherers societies at Checua site, Colombia (9500-5052 cal BP)" Quaternary International. Available online 18 August 2020 [ScienceDirect]
2020年8月17日(月)
- 岩手県
- 奥州市・明神下遺跡で、平安時代の竪穴住居の床面の中央部分が高く貼床され、その上に細長い炉。床面近くで石帯8点。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。
明神下遺跡[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター] - パプアニューギニア
- マッシム地域(Massim)のパナイーティ島(Panaeati)の洞窟調査で、海面上昇がヒトの行動に与えた影響が明らかに。退氷期(deglacial)・17300年前〜16800年前の海面上昇のころ島に定着。島が放棄されていた12400年前〜前4800年前は、島の大きさが90%減っていた。4780年前〜4490年前にラグーンが形成され、海面が安定して居住が再開。大きな島は、小さな島が水没した時の避難場所になっていた。
文献 Ben Shaw, Simon Coxe, Jemina Haro, Karen Privat, Simon Haberle, Felicitas Hopf, Emily Hull, Stuart Hawkins, Geraldine Jacobsen "Smallest Late Pleistocene inhabited island in Australasia reveals the impact of post-glacial sea-level rise on human behaviour from 17,000 years ago" Quaternary Science Reviews [ScienceDirect] - レバノン
- ベイルートの湾岸地区で8/4発生した爆発により、植民地時代やそれ以前からの建築物の多くに深刻な損傷。スルソーク博物館(Sursock Museum)でも20〜30作品が損傷。[AFPBB]
- イタリア
- シチリア州(Regione Sicilia;Sicily)シラクーザ県(Siracusa)ノート自治体(Noto)のボーヴェ・マリーノ(Bove Marino)沖、水深9mで、グレコローマン時代の石製の碇(ancora)。[QdS]
- ドイツ
- ラインラント=プファルツ州(Land Rheinland-Pfalz)フルカナイフェル郡(Landkreis Vulkaneifel)ドゥプラッハ(Duppach)のヴァイアーミューレ(Weiermühle)でローマ時代の集落。[Volksfreund]
- スペイン
- バニョラス(Banyoles)のラ・ドラガ遺跡(La Draga)で保存の良い新石器時代の有機物。出土した掘り棒(digging stick)44点の木器製作技術を分析したところ、材料の樹種ごとに異なる製作工程で作られていた。
文献 Oriol López-Bultó, Antoni Palomo, Ignacio Clemente "Tool mark analysis of Neolithic wooden digging sticks from La Draga (Banyoles, Spain)" Quaternary International [ScienceDirect]
▼ラ・ドラガ遺跡関連記事→2019年12月8日
2020年8月16日(日)
- 中国
- 長江中流のJigongshan遺跡の後期旧石器時代の2つの文化層について、光刺激ルミネセンス(optically stimulated luminescence)により年代測定。剥片の加工を主とする上層は2万3±2千年前〜3万8±3千年前。礫の加工を主とする下層は11万5±9千年前〜14万9±9千年前。放射性炭素年代では上層は2万年前〜2万年前、下層は5万年以上前とされていた。
文献 Guo Xiaoqi, Sun Xuefeng, Feng Xiaobo, Yi Shuangwen, Zhou Xinying, Liu Deyin, Tang Qiqi "Luminescence dating of the Jigongshan Paleolithic site in Hubei Province, southern China" Quaternary International [ScienceDirect] - イスラエル
- ネゲブ砂漠(Negev desert)のラハト(Rahat)で初期イスラーム時代・9世紀の石鹸工場(soapery)。イスラエルでは最古。また、「Windmill」の石灰岩製のゲーム盤も出土。Israel Antiquities Authorityなどの調査。[The Jerusalem Post]
- ブルガリア
- ペルペリコン遺跡(Перперикон;Perperikon)で、6世紀の円形の廟(rotunda mausoleum)。直径7.5m。[The Sofia Globe]
- セルビア
- 中央ヨーロッパとバルカン半島中部の後期青銅器時代の遺物の錫同位体データを、ヨーロッパの6か所の錫石(cassiterite)試料と比較。セルビア中西部の錫はツェル山(Mt Cer)、ドナウ川中流以北と中央ヨーロッパの錫はエルツ山地(Erzgebirge)、セルビア南部とドナウ川下流の錫は未知の鉱山に由来。
文献 Andrea Mason, Wayne Powell, H. Arthur Bankoff, Ryan Mathur, Michael Price, Aleksandar Bulatović, Vojislav Filipović "Provenance of tin in the Late Bronze Age balkans based on probabilistic and spatial analysis of Sn isotopes" Journal of Archaeological Science. Volume 122 [ScienceDirect]
2020年8月15日(土)
- 中国
- 淮河流域の台家寺遺跡(Taijiasi)で検出した商代中期・紀元前14〜前13世紀の微小な銅滓(micro-slag)を分析。合金化や鋳造のほか、銅素材の精錬も行われていたことが明らかに。同素材の製錬は限られた場所で厳重に管理されていた。
文献 Liu Siran, He Xiaolin, Chen Jianli, Zou Guisen, Guo Shijia, Gong Xicheng, Rehren Thilo 'Micro-slag and “invisible” copper processing activities at a Middle-Shang period (14th-13th century BC) bronze casting workshop' Journal of Archaeological Science. Volume 122 [ScienceDirect] - ロシア
- モスクワ(Москва;Moscow)のクレムリン(Кремль;Kremlin)の庭で、14世紀のモスクワのエリートにまつわる、信仰、日常生活、軍事関係の遺物。モスクワ大公ヴァシーリー1世(Василий I Дмитриевич;Vasily I Dmitriyevich;在位1389〜1425年)の硬貨や鉛の封緘出土。[Sputnik]
- イタリア
- ドロミーティ山地(Dolomites)のモンデヴァル・デ・ソラ遺跡(Mondeval de Sora)の埋葬跡で1987年に出土した後期中石器時代(Late Mesolithic)・カステルノーヴォ文化(Castelnovien)の石器・骨を分析。狩猟・漁業の専門化がうかがわれ、石器は珪質植物の加工に用いられる割合が増える。
文献 Federica Fontana, Emanuela Cristiani, Stefano Bertola, François Briois, Antonio Guerreschi, Sara Ziggiotti "A snapshot of Late Mesolithic life through death: An appraisal of the lithic and osseous grave goods from the Castelnovian burial of Mondeval de Sora (Dolomites, Italy)" PLOS ONE. Published: August 14, 2020 [PLOS ONE] - ポーランド
- マウォポルスカ県(Województwo małopolskie:Lesser Poland Voivodeship)マシュコヴィツェ(Maszkowice)で石の壁に囲まれた集落。集落は紀元前1550年〜前1500年ごろに突然廃絶。紀元前2千年紀中ごろの建物跡から土製のブタの小像。[Poland In]
- スウェーデン
- ルンド(Lund)のルンド大聖堂(Lunds domkyrka;Lund Cathedral)の地下室に埋葬されていた、司教ペダー・ビンストラップ(Bishop Peder Winstrup、1679年に74歳で死去)の遺体から、過去の肺の感染症に由来するとみられる小さな石灰化を確認。肺結核に罹患。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のゲノムを復元し、結核が新石器時代にはじまったことを傍証。
Remains of 17th Century Bishop Support Neolithic Emergence of Tuberculosis [Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
文献 Susanna Sabin, Alexander Herbig, Åshild J. Vågene, Torbjörn Ahlström, Gracijela Bozovic, Caroline Arcini, Denise Kühnert & Kirsten I. Bos "A seventeenth-century Mycobacterium tuberculosis genome supports a Neolithic emergence of the Mycobacterium tuberculosis complex" Genome Biology. volume 21, Article number: 201 (2020) [BMC]
2020年8月14日(金)
- 鳥取県
- 鳥取市で、鳥取県埋蔵文化財センターが調査している古代山陰道推定地。遺跡名がはっきりしないと思っていたのですが、8月7日に示された「古代山陰道発掘調査情報」によると、令和元年度が「養郷新林遺跡」、令和2年度が「養郷狐谷遺跡」でした。しかし、今年春(当時は令和元年度)に鳥取県埋蔵文化財センターが発表した資料「古代山陰道と考えられる大規模な道路遺構を青谷の丘陵上で発見」を改めて見直しても、「養郷新林遺跡」という言葉はやはり見当たりません。
2020年8月6日古代山陰道発掘調査情報
2020年2月7日古代山陰道と考えられる大規模な道路遺構を青谷の丘陵上で発見[鳥取県] - 戦争遺跡
- 文化財として保存するために戦跡を調査したのは47都道府県中、宮城、栃木、神奈川、高知、福岡、宮崎、沖縄の7県のみ。実施中は長野、和歌山の2県。秋田県は検討中。[日本経済新聞]
- マレーシア
- プカン(Pekan)で、パハン川(Sungai Pahang)の底から、初めて中国の遺物。宋代、明代の陶磁器や、唐代、宋代、明代、パハン王国、マラッカ王国の硬貨。中国からの貿易船がこの地に到達していたことを示す。商船が一時停泊した場所か。[The Star]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) キーラディー(Keeladi;Keezhadi)のコンタガイ遺跡(Konthagai)で、成人の人骨。[The News Minute]
▼コンタガイ遺跡関連記事→2020年6月19日 - トルコ
- ディヤルバクル県(Diyarbakır) チュナル郡(Çınar)にあるゼルゼヴァン城(Zerzevan Kalesi;Zerzevan Castle)で、ローマ時代・1800年前の入り口を発見。[Daily Sabah]
- 梅毒
- 近世ヨーロッパの梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)のゲノムを4個復元。梅毒(syphilis)、フランベジア(yaws)など多様な梅毒トレポネーマが存在し、これまで知られていなかったフランベジアやベジェル(bejel)に関係する梅毒トレポネーマも。分子時計(Molecular clock)により、ヨーロッパの梅毒トレポネーマはコロンブス以前にさかのぼる。従来はコロンブスのアメリカ大陸到達以降にアメリカ大陸から持ち込まれたと考えられていた。
文献 Kerttu Majander, Saskia Pfrengle, Arthur Kocher, Judith Neukamm, Louis du Plessis, Marta Pla-Díaz, Natasha Arora, Gülfirde Akgül, Kati Salo, Rachel Schats, Sarah Inskip, Markku Oinonen, Heiki Valk, Martin Malve, Aivar Kriiska, Päivi Onkamo, Fernando González-Candelas, Denise Kühnert, Johannes Krause, Verena J. Schuenemann "Ancient Bacterial Genomes Reveal a High Diversity of Treponema pallidum Strains in Early Modern Europe" Current Biology [ScienceDirect] - イタリア
- ノタルキリコ(Notarchirico)で、ヨーロッパ最古級のアシュール文化(Acheulean)・70万年前の遺跡。アシュール文化のヨーロッパヘの拡大が70万年前に遡る。同時期のフランスの遺跡と比較して、適応性の高い人類が短期間に拡散。シチリア島経由の移動経路も考慮すべき。
文献 Marie-Hélène Moncel, Carmen Santagata, Alison Pereira, Sébastien Nomade, Pierre Voinchet, Jean-Jacques Bahain, Camille Daujeard, Antonio Curci, Cristina Lemorini, Bruce Hardy, Giacomo Eramo, Claudio Berto, Jean-Paul Raynal, Marta Arzarello, Beniamino Mecozzi, Alessio Iannucci, Raffaele Sardella, Ignazio Allegretta, Emanuela Delluniversità, Roberto Terzano, Pauline Dugas, Gwenolé Jouanic, Alain Queffelec, Andrea d’Andrea, Rosario Valentini, Eleonora Minucci, Laura Carpentiero & Marcello Piperno "The origin of early Acheulean expansion in Europe 700 ka ago: new findings at Notarchirico (Italy)" Scientific Reports. volume 10, article number 13802 (2020). [Scientific Reports] - スペイン
- ピレネー山脈のマルボレ湖(lake Marboré;Lago Marbore)の堆積物コアから、過去3000年の汚染を分析。ローマ帝政期の南イベリアにおける銀・鉛の採掘・製錬に関連して、20〜375年に急激な鉛の濃縮。ローマ時代の環境汚染は産業革命の時代に匹敵。中世・10〜15世紀にもピレネー山での採掘の活性化を反映し、主にアルマデン鉱山(Almadén)の影響を示す。
文献 J. P. Corella, M. J. Sierra, A. Garralón, R. Millán, J. Rodríguez-Alonso, M. P. Mata, A. Vicente de Vera, A. Moreno, P. González-Sampériz, B. Duval, D. Amouroux, P. Vivez f, C. A. Cuevas, J. A. Adame, B. Wilhelm, A. Saiz-Lopez, B. L. Valero-Garcés "Recent and historical pollution legacy in high altitude Lake Marboré (Central Pyrenees): A record of mining and smelting since pre-Roman times in the Iberian Peninsula" Science of The Total Environment [ScienceDirect] - スペイン
- マドリッド州(Madrid)パルラ自治体(Parla)のウマネホス(Humanejos)で、青銅器時代・紀元前2千年紀の墓。座位屈葬(seated burial)であるが上半身が露出。窒素同位体(δ15N)比が低く。骨には矢を受けた傷。処刑などの異常死か、あるいは祭祀上の特別な立場の人物の可能性。
文献 Ana. M. Herrero-Corral, Rafael Garrido-Pena, Raúl Flores Fernández, Carmen Gutiérrez Sáez, Armando González-Martín, Petra Held, Kurt. W. Alt "A special body: Exposure ritual of a Bronze Age seated cadaver from the cemetery of Humanejos (Parla, Madrid, Spain)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect] - スペイン
- シエラ・デ・カディス(Sierra de Cádiz)のDehesilla Caveで中期新石器時代(Middle Neolithic)・紀元前4800〜前4550年の葬送遺跡。第2地点(Locus 2)では成人の頭蓋骨2個と、非常に若いヒツジまたはヤギ、石組、炉、土器、石器、骨器、炭化した植物遺体。
文献 Daniel García-Rivero, Ruth Taylor, Cláudia Umbelino, T. Douglas Price, Esteban García- Viñas, Eloísa Bernáldez-Sánchez, Guillem Pérez-Jordà, Leonor Peña-Chocarro, María Barrera-Cruz, Juan F. Gibaja-Bao, Manuel J. Díaz-Rodríguez, Patricia Monteiro, Juan C. Vera-Rodrííguez, Javier Pérez-González "The exceptional finding of Locus 2 at Dehesilla Cave and the Middle Neolithic ritual funerary practices of the Iberian Peninsula" PLOS ONE. Published: August 13, 2020 [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- ドーセット州(the county of Dorset)ウェイマス(Weymouth)で、1000年前の斬首されたヴァイキングの大型墓。人骨51体。頭蓋骨が墓壙内の1か所にまとめて置かれ、胴体は数フィート離れたところに山積みされていた。10人の歯を分析したところによると、北極圏など、より寒い環境で成長。放射性炭素年代で910〜1030年。当時はイングランドがサクソン人の王のもとに統一され、デンマークのヴァイキングが南海岸に侵略を始めたころ。Oxford Archaeologyの調査。[Entertainment OverDoze]
- ヨーロッパ
- ヨーロッパの75遺跡から出土した炭化したキビ(Broomcorn millet、Panicum miliaceum)のAMS年代により、ヨーロッパでの栽培の開始は青銅器時代・紀元前16世紀で、続く紀元前15〜前14世紀に急速に広まった。従来は、初期新石器時代・紀元前6000年以前にキビがヨーロッパにもたらされていたと考えられていた。
文献 Dragana Filipović, John Meadows, Marta Dal Corso, Wiebke Kirleis, Almuth Alsleben, Örni Akeret, Felix Bittmann, Giovanna Bosi, Beatrice Ciută, Dagmar Dreslerová, Henrike Effenberger, Ferenc Gyulai, Andreas G. Heiss, Monika Hellmund, Susanne Jahns, Thorsten Jakobitsch, Magda Kapcia, Stefanie Klooß, Marianne Kohler-Schneider, Helmut Kroll, Przemysław Makarowicz, Elena Marinova, Tanja Märkle, Aleksandar Medović, Anna Maria Mercuri, Aldona Mueller-Bieniek, Renato Nisbet, Galina Pashkevich, Renata Perego, Petr Pokorný, Łukasz Pospieszny, Marcin Przybyła, Kelly Reed, Joanna Rennwanz, Hans-Peter Stika, Astrid Stobbe, Tjaša Tolar, Krystyna Wasylikowa, Julian Wiethold & Tanja Zerl "New AMS 14C dates track the arrival and spread of broomcorn millet cultivation and agricultural change in prehistoric Europe" Scientific Reports. volume 10, Article number: 13698 (2020) [Scientific Reports] - 南アフリカ
- クワズール・ナタール州(KwaZulu-Natal provinsie)のボーダー洞窟(Border Cave)で、20年前の草のベッドの痕跡。ダニなどの害を防ぐため灰を混ぜる。植物による寝具づくりの歴史が10万年さかのぼる。
文献 Lyn Wadley, Irene Esteban, Paloma de la Peña, Marine Wojcieszak, Dominic Stratford, Sandra Lennox, Francesco d’Errico, Daniela Eugenia Rosso, François Orange, Lucinda Backwell, Christine Sievers "Fire and grass-bedding construction 200 thousand years ago at Border Cave, South Africa" Science. Vol. 369, Issue 6505, pp. 863-866 [Science]
▼ボーダー洞窟関連記事→2020年1月3日 - 天体の通称
- 天体の通称のうち、差別的などと考えられるものについて、NASAアメリカ航空宇宙局(NASA:National Aeronautics & Space Administration)が見直しの方針。最初の取り組みの一つとして、惑星状星雲NGC2392を「エスキモー星雲」と呼ぶのを止める。
「エスキモー星雲」など天体の通称、NASAが見直し表明 [Science Portal]
NASA to Reexamine Nicknames for Cosmic Objects[NASA]
2020年8月13日(木)
- 北海道
- 函館市沖南西5kmの海底で、第四青函丸の船体を発見。1945年7月14日に北海道空襲で沈没。ウインディーネットワークとNHKの調査。[北海道新聞]
- 大阪市
- 北区・梅田墓(うめだはか)で、1500体以上の埋葬人骨出土。江戸時代の終わりごろから明治20年代までの19世紀に使われた庶民階級の墓とみられる。「大坂七墓」のひとつ。梅田墓は、江戸時代初期に天満周辺にあった墓を現・大阪駅の南側付近に集めたのが始まりで、その後現在のうめきた南西部に再移転。これまで、移転時期は1680年代とされていたが、間に別の場所を挟んでいた可能性。大阪市教育委員会と一般財団法人大阪市文化財協会8/13発表。[毎日新聞]
大坂七墓のひとつ「梅田墓」の発掘調査で、1,500体を超える埋葬人骨が見つかりました[大阪市] - 鹿児島県
- 曽於市埋蔵文化財センターに、太平洋戦争末期、海軍岩川飛行場に拠点を構えた夜戦航空隊・芙蓉部隊の関連資料を展示するコーナーが設置された。[南日本新聞]
- 韓国
- 扶余・加林城で、統一新羅時代の集水井戸と朝鮮時代の集水井戸。朝鮮時代のものは朝鮮時代中期に築造され、17〜18世紀まで使用。統一新羅時代のものは加林城の北西城壁と朝鮮時代の集水井戸の下層の間で出土。三国史記によると加林城は501年築城。百済の城郭としては唯一築造年だと当時の地名がわかる。百済の泗沘都邑を守る城の一つ。[eDaily]
- カンボジア
- アンコール遺跡群(Angkor)のうちアンコールワット(Angkor Wat)とタ・プローム(Ta Prohm)の寺域について、植物考古学と、13世紀の周達観(Zhou Daguan)による記述により研究。アンコール朝(Angkorian Empire)の2つの寺域内で検出された植物は、儀式、医療、食生活に用いられた。
文献 Cristina Cobo Castillo, Alison Carter, Eleanor Kingwell-Banham, Yijie Zhuang, Alison Weisskopf, Rachna Chhay, Piphal Heng, Dorian Q. Fuller, Miriam Stark "The Khmer did not live by rice alone: Archaeobotanical investigations at Angkor Wat and Ta Prohm" Archaeological Research in Asia. Volume 24 [ScienceDirect] - イスラエル
- ヨルダン川上流域(Upper Jordan Valley)のベイサムン(Beisamoun)で、土器新石器時代C(Pre-Pottery Neolithic C、PPNC)・紀元前7031〜前6700年の火葬土坑(pyre-pit)内に若い大人の遺体。意図的な火葬(cremation)の証拠。中東最古の火葬痕跡。
文献 Fanny Bocquentin, Marie Anton, Francesco Berna, Arlene Rosen, Hamoudi Khalaily, Harris Greenberg, Thomas C. Hart, Omri Lernau, Liora Kolska Horwitz "Emergence of corpse cremation during the Pre-Pottery Neolithic of the Southern Levant: A multidisciplinary study of a pyre-pit burial" PLOS ONE. Published: August 12, 2020 [PLOS ONE] - ジョージア
- イメレティ州(Imereti region)のグヴァルジラス・クルデ(Gvardjilas Klde)で、1916年に調査された、後期旧石器時代後半(Late Upper Palaeolithic、LUP)の10層と11層について放射性炭素年代測定。古い方(10層)は19.7-18.8 ky cal. BP、新しい層(11層)は15.8-14.7 ky cal. BP. 完新世の始まりとともにヒトが居住しなくなる。イメレティ州内では、グヴァルジラス・クルデへの居住と入れ替わるように、他の遺跡では同時期の居住が確認できなくなる。
文献 Małgorzata Kot, Michał Przeździecki, Karol Szymczak, Magdalena Moskal-del-Hoyo, Nikoloz Tushabramishvili, Nino Jakeli "Filling the gaps: Late Upper Palaeolithic settlement in Gvardjilas Klde, Georgia" Quaternary International. [ScienceDirect] - ギリシャ
- アテネの壺絵に描かれている、サンダルで他人を殴る場面は2種の文脈で登場。教育的場面では目上の者が目下の者を殴る。性的場面では男が娼婦を殴る。いすれも下位の者に苦痛を与えて支配し屈辱を与えようとする場面であり、壺絵のなかのサンダルは支配を具現化するメディアの役割を果たしている。
文献 Yael Young "A painful matter: the sandal as a hitting implement in Athenian iconography" Humanities and Social Sciences Communications. volume 7, Article number: 64 (2020) [Humanities & Social Sciences Communications] - イタリア
- ヴェルチェッリ県(Provincia di Vercelli)ボルゴセージア(Borgosesia)のチョタ・チャラ洞窟(Grotta Della Ciota Ciara)で、30万年前の若いネアンデルタール人(Neanderthal)の骨や歯。
Grotta Della Ciota Ciara | Unife scopre nuovi resti di uomo di Neanderthal risalenti a 300 mila anni fa[Università degli Studi di Ferrara]
▼ピエモンテ州(Piemonte) - チェコ
- 東ボヘミアのオストロムニェルシ遺跡(Ostroměř)は後期旧石器時代・後グラヴェット文化(Epigravettian)。新たに調査されたイチーン(Jičín)のスラティンキ遺跡(Slatinky) は後グラヴェット文化の遅い段階。短いスクレーパー(scraper)が主で、ビュラン(burin)は少ない。遺跡は主に256〜400mの低高度に分布し、高度が高くなると減少する。水源から100〜300年の距離にある。
文献 Petr Šída, Petr Čechák, Radek Novák "Epigravettian in Eastern Bohemia" Quaternary International [ScienceDirect]
▼フラデツ・クラーロヴェー州(Královéhradecký kraj) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ライン=エルフト郡(Rhein-Erft-Kreis)ケルペン市(Kerpen)マンハイム(Manheim)のハンバッハ鉱山(Tagebau Hambach)で、ローマ帝政期(Römische Kaiserzeit)・2、3世紀〜5世紀の井戸。井戸の中からレリーフのある「ユピテルの柱」(Jupitersäule)。キリスト教化とともにユピテルの柱が井戸に廃棄される例はあるが、5世紀まで廃棄されなかったことは、現地での宗教の状況を示す。
Fund einer Jupitersäule mit seltener Reliefdarstellung[Archaeologie Online] - ノルウェー
- トロムス・オ・フィンマルク県(Troms og Finnmark County)Kvænangenで、岩に彩色した絵画。男性像、女性像、手形など。
Stone age handprint found in Norway’s northernmost county [Science Norway]
2020年8月12日(水)
- 韓国
- 文化財庁によると、今年の梅雨の集中豪雨で47件の文化財に被害。国宝1件、宝物4件、史跡17件、国家民俗文化財10件、天然記念物3件、名称5件、国家登録文化財6件、世界遺産1件。地域では、慶尚北道、全羅南道、全羅北道、忠清南道などに大きな被害。[聯合ニュース]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - オーストラリア
- トレス海峡(Torres Strait)のマビアグ島(Mabuiag Island)ワガダガム(Wagadagam)で、2000年前のバナナ栽培の証拠。栽培品種(cultivar)のバナナを導入。棚状の畑から見て、1300年間ごろには集約的な栽培。トレス諸島は、オーストラリア北部とニューギニア島の間の島々。
Clues to cultivation in the Torres Strait[Cosmos]
文献 Robert N. Williams, Duncan Wright, Alison Crowther & Tim Denham "Multidisciplinary evidence for early banana (Musa cvs.) cultivation on Mabuyag Island, Torres Strait" Nature Ecology & Evolution. (2020) [Nature Ecology & Evolution]
▼クイーンズランド州(Queensland) - イラン
- エスファハーン州(Ostān-e Eşfahān;Isfahan)のテペ・アシュラフ(Tepe Ashraf)で、新たにパルティア時代の女性の遺体。12〜13歳で身長160cmほど。墓の周囲には石を並べる。先月の発見から10mの地点。[Tehran Times]
- スロバキア
- トルナヴァ県(Trnavský kraj;Trnava region)セニツァ郡(okres Senica)ラクシャールスカ・ノヴァー・ヴェス(Lakšárska Nová Ves)で、鋤と金属探知機を使った畑に23か所を掘ってたロシア人を逮捕。遺跡での金属探知機の使用は違法。ボルスキー・ミクラーシュ(Borský Mikuláš)で容疑者の自宅を家宅捜索し、青銅器時代の斧、中世末期の金床、近代の硬貨などを発見。[The Slovak Spectator]
- チェコ
- タホフ郡(Okres Tachov)のクラドルビ修道院(Kladrubský klášter;Kladruby Abbey)近くのストジーブロ町(Stříbro)森林から、14世紀の金貨や銀貨。ドゥカート金貨(ducat)には、神聖ローマ皇帝カール4世(Karl IV)やオーストリア大公アルプレヒト(Albrecht)、プファルツ選帝侯ループレヒト(Ruprecht)を表した硬貨や、ハンザ都市リューベクの硬貨も。343枚のグロシェン銀貨にも、カール4世紀、ボヘミア王ヨハン(Johann)の肖像。1370年代後半に埋められたと推定。クラドルビ修道院に関連と推定。修道院はプラハとニュルンベルクをつなぐ交易ルート途上にあった。西ボヘミア博物館(Západočeské muzeum v Plzni;Museum of West Bohemia in Plzeň)発表。[Radio Praha]
▼プルゼニ州(Plzeňský kraj) - ポーランド
- オーデル川(Odra;Oder)の底から中世・1170〜1330年の剣と革製の鞘。クロスガードや柄まで遺存。
Szczecin/ Średniowieczny miecz odnaleziony na dnie Odry [Nauka w Polsce] - フランス
- ノルマンディー地域圏(Normandie)マンシュ県(Manche)ロゼル(Le Rozel)で8万年前の6〜7歳の子供の足跡が6月以来200個。都合200個に。炭化物、石英、フリント、動物や鳥の骨も。鳥の多くは渡り鳥。[20minutes.fr]
- UK(イングランド)
- チルターン丘陵(Chiltern Hills)で初期鉄器時代(early Iron Age)・紀元前800年〜前500年の丘塞(hillfort)を発見。幅9mの土手と幅7mの堀。外周500m以上。市民団体Beacons of the Pastに属するボランティアの「市民科学者」の調査。[BBC]
- UK(イングランド)
- ウェスト・サセックス州(the county of West Sussex)ボックスグローヴ(Boxgrove)で1980年代・1990年代に出土した骨製ハンマーは、フリント製の両面加工石器(biface)を作るための調整具(re-toucher)。肉を得るために屠殺したウマの骨を利用。周辺で出土した石器は50万年前のもので、ホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)が作ったとみられる。ヨーロッパ最古級の骨器。[BBC]
- キューバ
- サンクティ・スピリトゥス州(Provincia de Sancti Spíritus) トリニダ(Trinidad)で1847年に作られた石敷きの道路。[Escambray Today]
2020年8月11日(火)
- 沖縄県
- 沖縄県立埋蔵文化財センターで8/12から予定されていた令和2年度企画展「沖縄県の戦争遺跡〜歩いていける戦争遺跡〜」「発掘調査速報2020」の開催を見合わせ。
令和2年度企画展「沖縄県の戦争遺跡〜歩いていける戦争遺跡〜」及び「発掘調査速報2020」の開催見合わせについて(令和2年8月11日更新)[沖縄県教育委員会] - 回天
- 人間魚雷「回天」の搭乗員が書いたとされ、インターネット上に流布している「18歳の回天特攻隊員の遺書」の作者は実在しないことがわかった。特攻隊員の遺書の収集に携わっていた元海軍士官の男性(故人)の創作だった疑いが強い。[産経新聞]
- 中国
- 山西省 忻州市 保徳県 林遮峪郷 林遮峪村 ・林遮峪遺跡で、竜山文化の石造りの城壁。[中国社会科学院考古研究所]
- 中国
- 雲南省 麗江市 玉龍県 大県郷で、春秋戦国時代の大型石棺墓群。一つの墓壙内を分層して各層に1人または2人を埋葬し、周辺にも二次葬の人骨を置く。最大で4層に分かれ、墓壙内の最多の人骨数は19体。[新華社]
- マルタ
- シャーラ(Xagħra)で、新石器時代の大型墓。シャーラ・ストーン・サークル(Xagħra Stone Circle)の範囲が広がる可能性。[Times of Malta]
- クロアチア
- アドリア海(Mar Adriatico;Jadransko more;Adriatic Sea)のコルチュラ島(Korčula)にあるヴェラ・スピラ洞窟(Vela Spila)で、海面上昇がヒトの社会に及ぼした影響を研究。後期旧石器時代後半(Late Upper Palaeolithic)から新石器時代にかけて居住する間に海面は数十m上昇。後期旧石器時代後半には海面上昇により平野が失われ、多くの洞窟が放棄された。海岸線が安定した9400年前に、洞窟に再び居住。
文献 Silas Dean, Marta Pappalardo, Giovanni Boschian, Giorgio Spada, Stašo Forenbaher, Mladen Juračić, Igor Felja, Dinko Radić, Preston T. Miracleh "Human adaptation to changing coastal landscapes in the Eastern Adriatic: Evidence from Vela Spila cave, Croatia" Quaternary Science Reviews. Volume 244 [ScienceDirect]
▼ドゥブロヴニク・ネレトヴァ郡(Dubrovačko-neretvanska upanija)ヴェラ・ルカ(Vela Luka) - ポーランド
- ポトカルパチェ県(Województwo podkarpackie)レジャイスク(Leżajsk)の市場の地下で、道路の舗装に用いられた、ユダヤ人墓地の墓標(matzevot)150基以上。19世紀〜20世紀初め墓碑を使用。第二次世界大戦中の1939年11月にドイツの命令で舗装。最初はドイツが焼き討ちしたシナゴーグや、ポーランド侵攻時に爆破された家2軒のレンガで舗装。レンガが尽きると、近隣のユダヤ人墓地から墓標を持ち去り使用。1939年のドイツ軍侵攻時、ユダヤ人の大半はソ連軍の占領地に逃れ、残った350人は1941年に市内のゲットーに閉じ込められ、多くは処刑された。[The First News]
- フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie) ガール県(Gard)ニーム(Nîmes)で鉄器時代・紀元前6〜前5世紀のガリア人の墓。低い壁と溝による長方形の区画にそれぞれの墓を配置。鉄器時代第2期・紀元前2世紀初めのブドウの栽培跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Des tombes gauloises aux portes de Nîmes (Gard) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - エジプト
- ソハーグ県(Sohag Governorate)アル・ディアバト遺跡(Al‐Diabat)で出土したプトレマイオス朝の彩色壁画の破片を分析し、古代エジプトの色のレパートリーを復元。黄色部分に金を検出。有機物のつなぎを検出し、おそらく卵黄で、テンペラの技術があったと推定。
文献 Hussein Marey Mahmoud, Ahmed Abo El‐Yamin "Unveiling the chromatic palette used for mural paintings in a recently discovered Ptolemaic‐era tomb (Sohag, Upper Egypt): A multitechnique surface investigation" Surface and Interface Analysis [Wiley Online Library] - USA
- ユーティカ(Utica)の州道5S号線(State Route 5S)工事で、エリー運河(Erie Canal)の遺構。[Times Telegram]
▼ニューヨーク州(State of New York) - メキシコ
- タマウリパス州(Tamaulipas)オカンポ市(Ocampo)サン・ロレンソ・デ・ラス・バヤス(San Lorenzo de las Bayas)で、古典期(periodo Clásico;Classic period)・400〜700年の墓。21〜35歳の男性を葬る。三足つきの小さな石臼モルカヘテ(molcajete)を副葬。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
Recupera INAH entierro humano prehispánico completo en el área cultural del Suroeste de Tamaulipas[Instituto Nacional de Antropología e Historia] - アルゼンチン
- フフイ州(Jujuy)サンフランシスコ(San Francisco)で、2000年前の土器に織物の圧痕。ポソ・デ・ラ・チョラ遺跡(Pozo de la Chola)で織物づくりの道具。織物に使われた技術は現在も使われている。パイナップル科(Bromeliaceae family)の植物繊維が用いられた可能性があり、チャコ(Chaco)地域やアンデス山麓(Andean foothills)では8000年前から狩猟採集民が折りものづくりをしていたと推定。
文献 Gabriela Ortiz, Guillermo Chauque, Patricia Chocobar, Lorena Vaca, Gabriela Quispe "Traces of the absent: Evidence of textile production in the foothill region of jujuy, argentina (2000 AP)" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 60 [ScienceDirect] - チリ
- コピアポ川流域(Copiapó valley)で、歯のエナメル質の酸素18(δ18O)同位体の分析により、インカ帝国の再定住政策の存在を検証。後期ホライゾン(Late Horizon)とそれ以前の間に大きな変化はなく、帝国の経済は地元の労働力に依存。インカ帝国が労働力の調整や反乱の防止のため再定住政策をとっていたことは知られていたが、その規模などは解明されていなかった。
文献 Francisco Garrido, Catalina Morales "Using oxygen 18 isotope to problematize the presence of resettled laborers in the far provinces of the Inca empire" PLOS ONE [PLOS ONE]
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