考古学のおやつ/NEWSLINK

2020年7月31日（金）

兵庫県: 神崎郡福崎町・桜東畑遺跡（さくらひがしはたいせき）で、播磨國風土記の時代の掘立柱建物や土坑など。福崎町の調査。8/10現地説明会。
埋蔵文化財現地説明会のお知らせ
 桜東畑遺跡の現地説明会について（pdf）[福崎町]
和歌山県: かつらぎ町内で町石道（ちょういしみち）の一部が無断掘削された問題で。復旧には長時間明るみ通し。[産経新聞]
▼町石道関連記事→2020年6月18日
中国: 広西チワン族自治区隆安県・婭懐洞遺跡で出土した植物珪酸体により、更新世後期・3万年前の植物利用について復元。時期ごとに異なる植物を利用。16000年前にはイネ科の植物珪酸体も検出され、すでに人類が野生のイネを利用していた。石器群は華南よりも華北に似ており、気候変動時に北方から南下したヒトの可能性。[科学網]
文献 Yan WU, Guangmao XIE, Limi MAO, Zhijun ZHAO, Miriam BELMAKER "Phytolith evidence for human-plant subsistence in Yahuai Cave (Guangxi, South China) over the past 30000 years" SCIENCE CHINA Earth Sciences, [SpringerLink]
▼南寧市隆安県喬建鎮博浪村博浪屯・婭懐洞遺跡
▼婭懐洞遺跡関連記事→2018年3月18日
イスラエル: エラ要塞（Khirbet Qeiyafa；Elah Fortress）で、3000年前の神の顔を表す土製の像。ヤハウェ神（Yahweh）を表している可能性。当時の古代イスラエル人（Israelites）は、十戒（Ten Commandments）により、偶像作りが禁じられていた。
3,000-year-old head may be face of God[LiveScience]
オーストリア: ニーダーエスターライヒ州（Niederösterreich）マーラースドルフ（Mahrersdorf）で出土した後期青銅器時代（Late Bronze Age）・紀元前11世紀の埋納品13点の化学分析（Chemical analysis）と鉛同位体分析（Lead isotope analysis）。主に黝銅鉱（fahlore）に由来する2種の銅合金。中央ヨーロッパの端部に翼をなす銅斧（end-winged axe）と東南ヨーロッパのソケット状になった銅斧（socketed axes）に対応。第3のグループは、鳩目金具（Ösenring）の銅を再利用した、中央に翼状をなす銅斧（median-winged axe）で、製作後150～200年後に埋められた。埋納品は銅素材、鋳造、刃部の硬化、再利用の4工程を反映。また、ソケット状銅斧3点は同一の鋳型で作られた。
文献 M. Mödlinger, P. Trebsche "Archaeometallurgical investigation of a Late Bronze Age hoard from Mahrersdorf in Lower Austria" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
スロバキア: ジリナ（Žilina）の三位一体大聖堂（Katedrála Najsvätejšej Trojice；Holy Trinity Cathedral）で、中世のものとみられる地下室。14世紀の三廊式のゴシック様式聖堂が建った時のものか。13世紀の最初の教会とも関連する可能性。数百の人骨を納める。人骨は、周辺の墓地に埋葬されていたものが、20世紀初めの欄干設置で地形を調整した時に納めたものか。骨片を含む土壁が発見され、内部をカメラで撮影して発見。[The Slovak Spectator]
ドイツ: ザクセン州（Freistaat Sachsen）ドレスデン（Dresden）のフェルディナント広場（Ferdinandplatz）で、第二次世界大戦中の1945年2月13日のドレスデン空襲（Bombardierung Dresdens）の痕跡。 Landesamt für Archäologie Sachsenの調査。[Mitteldeutscher Rundfunk]
UK（スコットランド）: シェトランド諸島（Shetland）のうちシェトランド本島（Shetland mainland）のアッパースキャロウェイ（Upper Scalloway）で、14～15世紀の人骨26体。[The Scotsman]
仏領海外県: マルティニーク県（Martinique）フォール・ド・フランス（Fort-de-France）のサン・ルイ砦（Fort Saint-Louis）で、1640～1969年の建物跡。ジャック・デュパルケ（Jacques Dyel Du Parquet）が1640年に砦を建設。17世紀の弾丸が出土し、1667年の英国軍か、1674年のネーデルラント連邦共和国か、いずれかの攻撃による。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Nouvelles fouilles au Fort Saint-Louis (Martinique)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2020年7月30日（木）

韓国: 慶尚南道金海市・大成洞古墳群（第10次調査）で108号墓から銅鏡や鏃形玉製品。115号墓から青銅製の虎形帯鉤や馬形帯鉤が出土。大成洞古墳博物館7/30発表。[聯合ニュース]
中国: 新疆ウイグル自治区トゥルファン市（吐魯番；Turpan）・木爾吐克薩依戍堡で唐時代の桃の核。中原地域から持ち込まれて栽培されたものの可能性。トゥルファンに唐時代の西州が設置されていた時期。木爾吐克薩依戍堡でのろし台を守る兵士が桃を食べて核を捨てたか。新疆の営盤墓地や山普拉墓では漢時代の桃が見つかっているが、いずれも野生種だった。[中工網]
イスラエル: 沖の水没遺跡アトリット・ヤム（Atlit Yam）で、9000年前の泥を焼いたレンガ。土器製作が始まる以前の、先土器新石器時代C（pre-pottery Neolithic C）にさかのぼる。[The Jerusalem Post]
セルビア: ベオグラード（Beograd；Београд；Belgrade）で発掘後に盗まれ、その後採集されたローマ時代・2世紀の大理石は、ラテン語銘文15行をもつ。別面にサンダルをはいた足の表現があり、彫刻の一部とみられる。古代シンギドゥヌム（Singidunum）と戦争の関わりを示す。ベオグラード国立博物館（Народни музеј；Narodni muzej；National Museum in Belgrade）の調査。
Inscribed Roman Stone Monument Found In Serbia Stolen After 24 Hours[Archaeology News Network]
オーストリア: オーバーエスターライヒ州（Oberösterreich）フライシュタット郡（Bezirk Freistadt）ウンターヴァイセンバッハ（Unterweißenbach）で、畑から土器に納められた中世・15世紀の銀貨1500枚。[derStandard.at]
ポーランド: ヴィエルコポルスカ県（Województwo wielkopolskie）ウロンキ（Wronki）で、フンネルビーカー文化（Kultura pucharów lejkowatych；Funnelbeaker culture）・紀元前3200�前2850年の集落と、ローマ時代に当たるプシェヴォルスク文化（Kultura przeworska；Przeworsk Culture）・2～3世紀の集落。
Na trasie budowy obwodnicy Wronek znaleziono ślady osady sprzed ok. 5 tys. lat[Nauka w Polsce]
スペイン: ラ・リオハ州（La Rioja）グラニョン（Grañón）で、古代末～初期中世の墓地。90基のうち35基を調査。大半は石蓋土壙墓。単葬で、墓の再利用は行われず。頭を西に向け仰向けに葬るキリスト教式の埋葬。[Efe]
スウェーデン: アーゲロード（Ageröd）泥炭地に埋まっていた中石器時代・8000年前の遺物のうち、2019年、1970年代、1940年代の発掘品を比較し、劣化の度合いを比較。2019年の出土品は劣化が著しく、また、遺骨が見つかるはずの場所に見つからない場合もあった。2019年で保存が最良のものは1970年代の保存が最悪のものと同程度。1970年代と1940年代の間の関係も同様。従来、泥炭地では遺体の腐敗が進まないと考えられていたが、発掘で攪乱された泥炭地では酸素が供給されてしまうため古人骨の腐食が進行。地中の条件が崩れないように発掘調査を控えて地中にそのまま保存することも必要。
Ancient bones in disturbed peat bogs are rotting away, alarming archaeologists[Science]
cf. Adam Boethius, Mathilda Kjällquist, Ola Magnell, Jan Apel (2020) Human encroachment, climate change and the loss of our archaeological organic cultural heritage: Accelerated bone deterioration at Ageröd, a revisited Scandinavian Mesolithic key-site in despair. PLOS ONE, Published: July 29, 2020. [PLOS ONE]
▼スコーネ県（Skåne）
UK（イングランド）: ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）ウェストウッズ（West Woods）で、ストーンヘンジの巨大な石材・サルセン石（sarsen stones）の産地を発見。ストーンヘンジの石材52個のうち50個を供給。ストーンヘンジの小さめの石材ブルーストーン（bluestone）については、ウェールズのプレセリの丘（Preseli Hills）に由来することがすでに知られていた。[The Guardian]
UK（イングランド）: ランカシャー州（the county of Lancashire）バースカフ（Burscough）のフラックス・レーン道路（Flax Lane）沿いでローマ時代・1世紀の砦。ヒストリック・イングランド（Historic England）の調査。[LancsLive]
Roman Fort and sections of Roman Roads[Historic England]

2020年7月29日（水）

島根県: 松江市・山代原古墳は、東西辺23.5ｍの方墳。墳丘東側と北側に堀割状の溝。石棺式石室は、壁石を床石上に据えて、すべての上部構造を支える構造で、石棺式石室の完成形態。石棺式石室は出雲地域独特の横穴式石室の型式。古墳時代後期の大庭・山代古墳群のうち、最後に築造された最高首長墓。島根県埋蔵文化財調査センターの調査。
出雲東部最後の最高首長墓・山代原古墳を発掘調査　「石棺式石室」の完全形態を確認[島根県]
島根県: 出雲市・壱丁田遺跡（いっちょうだいせき）で2004年～2007年の発掘調査で出土した7世紀後半の須恵器高杯が、県内最古の墨書土器と確認。脚部に「奉」の文字を記す。出雲市の調査。[毎日新聞]
中国: 河北省阜城県王集郷楊仲書村で、唐代中晩期・1000年以上前の墓1基。主室と側室が連なり、穹窿天井。主室には夫婦を合葬、側室には女性1人を埋葬。いずれも木製の棺槨の痕跡。[新華社]
オーストラリア: ノーザンテリトリー準州（The Northern Territory）ウェッセル諸島（Wessels Islands）のマーチンバー島（Marchinbar Island）で発見された木材は、パトリシア・キャム号（HMAS Patricia Cam）。第二次大戦中の1943年1月22日にウェッセル諸島（Wessel Islands）で日本の水上飛行機による爆撃と機銃掃射を受け沈没。[Australian Broadcasting Corporation]
フランス: オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏（Auvergne-Rhône-Alpes）ドローム県（Drôme）ディー（Die）で、ローマ時代・1世紀後半に建てられ、2世紀末に焼失した建物。銅合金製の調理器具アウテプセス（αὐθέψης；authepsa）出土。アウテプセスは高さ47cm、2つの空間からなり、一方に液体、他方に炭を入れて液体を温める。把手は鉛と錫の合金。台座にも通気用の2つの孔。アウテプセス内部の炭の放射性炭素年代は130～260年。建物の焼失年代（2世紀末）に合致。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Rare découverte d'une authepsa à Die[国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）]
UK（イングランド）: タインアンドウィア州（Tyne and Wear）ゲーツヘッド（Gateshead）のパイプウェルゲイト（Pipewellgate）のタイン川（Tyne）河畔で17世紀の建物跡や、19世紀の鍛冶やガラスづくりの遺構。[BBC]
エチオピア: アファール地域（Afar）のゴナ（Gona）にあるキライトリ遺跡（Kilaitoli）で、新たに後期石器時代（Late Stone Age: LSA）・14000年前の黒曜石の石核、石器やダチョウの卵の殻のビーズ。Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEHの調査。
スペイン語 Descubiertos nuevos emplazamientos arqueológicos en Gona, Etiopía
英語 New archaeological sites discovered at Gona, Ethiopia[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]

2020年7月28日（火）

佐賀県: 神埼市神埼町・吉野ヶ里メガソーラー県有地内で、佐賀県新エネルギー産業課が、周知の埋蔵文化財包蔵地でありながら、文化財保護法に規定する神埼市教育委員会への通知をしないまま2019年に防犯灯を設置。改めて通知が必要になるとの認識が県側に不足。
文化財保護法に基づく手続きをせずに工事を実施した事案が判明しました[佐賀県]
中国: 山東省済南・梁王遺跡で、戦国時代の都市遺跡。[新華社]
イスラエル: 1191年に第3回十字軍（Third Crusade）のリチャード獅子心王（Richard the Lionheart）がサラディン（Saladin）を破ったアルスフ（Arsuf）の戦いの場所を確認。戦いの場所はテルアビブ（Tel Aviv）の北、古代集落アポロニア（Apollonia）の近くにあるとされていたが、正確な場所については確定していなかった。[Haaretz]
イスラエル: ネゲヴ高地（Negev Highlands）の農業生産の変遷を研究するため、種子のサンプルを分析。4～6世紀中ごろにブドウの種子が大幅に増加したのち、激減。ビザンティン帝国・6世紀半ばの疫病と気候変動により、経済が崩壊した証拠。
Grape pips reveal collapse of ancient economy in the grip of plague and climate change[Israel Ministry of Foreign Affairs]
文献 Daniel Fuks, Guy Bar-Oz, Yotam Tepper, Tali Erickson-Gini, Dafna Langgut, Lior Weissbrod, and Ehud Weiss "The rise and fall of viticulture in the Late Antique Negev Highlands reconstructed from archaeobotanical and ceramic data" Proceedings of the National Academy of Sciences first published July 27, 2020 [PNAS]
イスラエル: ガリラヤ（Galilee）のクファル・カマ（Kfar Kama）で、大規模な6世紀の教会。イエスの変容（transfiguration）した場所の近く。イスラエル古代遺跡管理局（Israel Antiquities Authority）の調査。[The Times of Israel]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya il）ペルゲ（Πέργη；Perge）で、3世紀の女性像。全身を表す立像。[Anadolu Ajansı]
▼ペルゲ関連記事→2020年3月9日
ロシア: バレンツ海（Баренцево море；BarentsSea）のフランツヨシフ諸島（Земля Франца-Иосифа；Franz Josef Land archipelago）のアレクサンドラ島（Земля Александры；Alexandra Land）で、第二次世界大戦中の1943年にドイツ軍が建てた戦時測候所。戦時中の遺物を発見。[Express]
ブルガリア: ソフィア（София；Sofia）のスラティナ遺跡（Слатина；Slatina）で、初期新石器時代（Early Neolthic）・紀元前6千年紀初め（8000年前）の墓。大人3人、子供1人の人骨出土。集落自体は紀元前7千年紀末～前6千年紀中ごろの約500年間存続。ブルガリア科学アカデミー（Българска академия на науките；Bulgarian Academy of Sciences）の調査。[The Sofia Globe]
Редки археологически находки на 8 000 години в неолитно селище Слатина[Българска академия на науките]
エジプト: ミート・ラヒーナ（Mit-Rahina）で、ラメセス2世（Ramses II）のころや、コプト時代（Coptic era）の石材や彫刻。[Egypt Today]
土器製作: 先史土器の表面調整を研究するための実験的研究。異なる工具は異なる痕跡を残すという仮定から、礫、フリントのへら、土製のへら、貝殻のへら、麻布によって生じる痕跡を特徴づけ体系化。
文献 Sara Díaz Bonilla, Niccolò Mazzucco, Ermengol Gassiot Ballbè, Xavier Clop García, Ignacio Clemente Conte, Ariadna Benavides Ribes "Approaching surface treatment in prehistoric pottery: Exploring variability in tool traces on pottery surfaces through experimentation" Quaternary International [ScienceDirect]

2020年7月27日（月）

福井県: 坂井市・長崎遺跡で、室町時代の大規模な屋敷。屋敷を区画する直角の溝、塀、建物の柱穴、井戸などを検出。福井県埋蔵文化財調査センターの調査。8/1現地説明会。
坂井市長崎遺跡の現地説明会を開催します[福井県]
愛知県: 安城市・亀塚遺跡（かめづかいせき）で、弥生時代後期から古墳時代前期につくられた竪穴建物跡や溝などの遺構と、多数の土器。愛知県埋蔵文化財センターの調査。8/8地元説明会。
亀塚遺跡（安城市）の地元説明会のご案内[愛知県埋蔵文化財センター]
長崎県: 北松浦郡小値賀町の雑木林にあるコンクリート製建造物が、戦前の学校で天皇の「御真影」などを安置していた「奉安殿」である可能性。奉安殿の多くは戦後、連合国軍総司令部（GHQ）の指令で学校から撤去、解体された。[長崎新聞]
アラブ首長国連邦: ウンム・アル＝カイワイン首長国（Umm Al Quwain）のアル・シャバイカ（Al Shabika）で、新石器時代・紀元前6千年紀の5体の入り組んだ埋葬人骨。同時に埋葬された若い男たちで、最初の人骨の胸郭の下から鏃出土しており、死因である可能性。[Gulf News]
イスラエル: 7世紀のマアガン・ミケルB（Ma'agan Mikhael B）難破船で、キリスト教徒とイスラーム教徒の双方のシンボル。船体は長さ25m。農産物を納めたアンフォラや乗組員が用いた日用品が出土。[The Jerusalem Post]
▼マアガン・ミケルB難破船関連記事→2018年11月23日
トルコ: デニズリ県（Denizli il）ブルダン郡（Buldan）のメンデレス川（Büyük Menderes）のほとりにある古代都市トリポリス（Τρίπολις；Tripolis）で、ローマ時代・2世紀の泉。[Daily Sabah]
ルーマニア: シビウ（Sibiu）のルスチオルルイ通り（strada Rusciorului）で17世紀の墓地。19世紀の鋳物工房。14世紀以前の土器。墓地で出土した硬貨は1577年～1619年。しかし、1769～1773年に行われた地形調査で墓地が認識されておらず、墓地の使用は17世紀前半までにとどまるとみられる。墓のほとんどは小児のもので、短期間に埋葬されていることから、疫病のような予期せぬ出来事による。 [Turnul Sfatului]
ポーランド: サノク（Sanok）のビャワグラ（Biała Góra）にある防御性集落で、14世紀の矢尻が200個以上出土。ポーランドのカジミエシュ大王（Kazimierz III Wielki；Kazimierz the Great）がハールィチ・ヴォルィーニ大公国（Ruś Halicko-Wołyńska）を1340年に攻めたことを反映。
Sanok/ Grad strzał spadł na obrońców gródka na Białej Górze w poł. XIV w. [Nauka w Polsce]
▼ポトカルパチェ県（Województwo podkarpackie）
フランス: アブリ・デュ・マラ遺跡（Abri du Maras）の、海洋酸素同位体ステージ5（MIS 5）当時のネアンデルタール人（Neanderthals）の行動を、.1、5.2、5.３の3層に分けて分析。ネアンデルタール人が夏を中心とした全季節に長期間居住。さまざまな動物資源を利用し、石器の調整用の骨器にも用いた。季節ごとに動物種が異なり、夏の間は有蹄底動物の成獣に集中。
文献 Juan Marín, Camille Daujeard, Palmira Saladié, Antonio Rodríguez-Hidalgo, Delphine Vettese, Florent Rivals, Nicolas Boulbes, Evelyne Crégut-Bonnoure, Nicolas Lateur, Rosalia Gallotti, Louis Arbez, Simon Puaud, Marie-Hélène Moncel "Neanderthal faunal exploitation and settlement dynamics at the Abri du Maras, level 5 (south-eastern France)" Quaternary Science Reviews. Volume 243 [ScienceDirect]
▼アブリ・デュ・マラ遺跡関連記事→2020年4月9日
フランス: ナント大聖堂（cathédrale de Nantes）の火災について、ルワンダ出身の教区のボランティアの男エマニュエル・アバイセンガ（Emmanuel Abayisenga、39歳）が逮捕される。大聖堂の7人いる鍵番の一人。[Ouest-France]
スペイン: バスク自治州（Comunidad Autónoma del País Vasco）ビスカヤ県（Vizcaya；Biscay）レケイティオ（Lekeitio）のルメンチャ遺跡（Lumentxa）で出土した人骨を分析。最低7人以上。3人は成人間近、4人は成人。うち4体から放射性炭素年代測定した結果、この洞窟が初期新石器時代から青銅器時代まで、散発的に葬送に用いられていたことがわかる。
文献 Andrea García-Sagastibelza, José Luis Arribas, Diego López-Onaindia, Emma Pomeroy, Antonio Rodríguez-Hidalgo, Dominique Castex, Christine Couture-Veschambre, Asier Gómez-Olivencia "The human remains from the Lumentxa cave (Lekeitio, Biscay, Northern Iberian Peninsula): Paleobiology, Taphonomy and chronology" Quaternary International [ScienceDirect]
エジプト: ナイル川流域でオルドワン文化（Oldowan）・200万年前の石器。エジプト国内では最古の人類の痕跡。[Egypt Today]
文献 Aboualhassan Bakry, Ahmed Saied, and Doaa Ibrahim "The Oldowan in the Egyptian Nile Valley” Journal of African Archaeology. 21 Jul 2020 [BRILL]
エジプト: プトレマイオス朝の多色のカルトナージュ棺に用いられた顔料を分析。赤、黄、オレンジ、青、緑に用いられた顔料を特定。
文献 Faramarz S. Gard, Diego M. Santos, María B. Daizo, José L. Mijares, Patricia B. Bozzano, Claudio A. Danón, María Reinoso, Emilia B. Halac "A noninvasive complementary study of an Egyptian polychrome cartonnage pigments using SEM, EPMA, and Raman spectroscopy" Surface and Interface Analysis [Wiley Online Library]
アンデス: アンデスの植民地時代・1532～1821年の木製の飲用杯ケロ容器（qero）20点で用いられた白色顔料・鉛白（lead white）について、鉛同位体（Pb isotopes）分析により出自を研究。同位体比から3つのグループに分類。うち2つのグループに属する都合8点は、同時期のヨーロッパの工芸品にも使われた鉛に一致し、ヨーロッパから輸入された鉛白を使用と推定。3番目のグループに属す12点は、地元産の鉛白の可能性。ケロ容器のうち古い段階のものはヨーロッパから輸入された鉛白を用い、遅い段階のものはアンデスの鉛白を用いる。
Lead white pigments on Andean drinking vessels provide new historical context[EurekAlert]
文献 Allison N. Curley, Alyson M. Thibodeau, Emily Kaplan, Ellen Howe, Ellen Pearlstein & Judith Levinson "Isotopic composition of lead white pigments on qeros: implications for the chronology and production of Andean ritual drinking vessels during the colonial era" Heritage Science volume 8, Article number: 72 (2020) [SpringerOpen]

2020年7月26日（日）

兵庫県: 姫路市・和久遺跡（わくいせき：第12次調査）で古墳時代初頭・3世紀後半の水田跡。水田と集落との境に溝を設けており、用水路や、居住域と生産域を分ける役割。姫路市埋蔵文化財センターの調査。[神戸新聞]
▼和久遺跡関連記事→2020年7月12日
沖縄県: 嘉手納町・米軍嘉手納基地内の兼久中原遺跡で、戦前の屋敷跡や、貝塚時代後期とみられる土器片など。[沖縄タイムス]
イタリア: リヴォルノ県（Provincia di Livorno）ピオンビーノ（Piombino）のバラッティ（Baratti）で東方化様式時代（età orientalizzante；Orientalizing period）のエトルリア人女性の墓。Trust Sostratosの調査。[Valdicornia]
▼トスカーナ州
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）シュテンダール郡（Landkreis Stendal）リューデリッツ（Lüderitz）で、青銅器時代、鉄器時代、ローマ帝政期の遺跡。[Süddeutsche Zeitung]

2020年7月25日（土）

イラン: エスファハーン州（Ostān-e Eşfahān；Isfahan）のテペ・アシュラフ（Tepe Ashraf）で、パルティア時代（Parthian era）の女性の遺体。ミトラ教（Mithraism）に基づく埋葬。[Islamic Republic News Agency]
イスラエル: アッコ（Akko）港内のオスマン帝国の商船「Akko Tower Shipwreck」について、年輪年代と放射性炭素年代による高精度の年代測定。1850年代半ばに、アナトリアの黒海沿岸地域の木材で船を建造。フランスの伝統的な造船法で、英国の金具を使用するなど、英仏の造船の影響。
文献 Brita Lorentzen, Sturt W. Manning, Deborah Cvikel "Shipbuilding and maritime activity on the eve of mechanization: Dendrochronological analysis of the Akko Tower Shipwreck, Israel" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
ギリシャ: 青銅器時代から初期鉄器時代（EIA）への転換で、土器生産や土器への絵付けに女性の役割が増加し、支配的となった。しかし、紀元前8世紀末～前7世紀の様式の転換は、経済構造が転換して、利益を追求する男性陶工に影響されたものと推定。
The Dipylon Mistress: Social and Economic Complexity, the Gendering of Craft Production, and Early Greek Ceramic Material Culture[AJA Online]
文献 Sarah C. Murray, Irum Chorghay and Jennifer MacPherson "The Dipylon Mistress: Social and Economic Complexity, the Gendering of Craft Production, and Early Greek Ceramic Material Culture" American Journal of Archaeology. Vol. 124, No. 2 (April 2020), pp. 215-244 [JSTOR]
ギリシャ: アテネ（Αθήνα；Athens）市内のケラメイコス（Κεραμεικός；Kerameikos）にあるディピュロン（Δίπυλον；Dipylon）の門で出土したアーカイック時代（Archaic Period）・紀元前700年ごろのアンフォラは女性芸術家が作ったか。幾何学文様は女性が生産を担っていた織物の文様に由来と推定。[Greek Reporter]
フランス: コルシカ島（Corse；Corsica）ピエートロゾ（Pietroso）で、3世紀の農村集落。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Un nouvel établissement antique découvert dans la plaine d'Aléria (Haute-Corse)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
フランス: オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏（Auvergne-Rhône-Alpes）アルデシュ県（Ardèche）アルバ＝ラ＝ロメンヌ（Alba-la-Romaine）のラ・グランド・テール遺跡（La Grande Terre）で、鉄器時代・紀元前5世紀の集落からブドウを栽培していた証拠。海から離れた地域でも早くからブドウ栽培。炭化したブドウの放射性炭素年代は紀元前765年～前410年。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Loin du littoral : à Alba-la-Romaine, culture de la vigne dès l'âge du Fer[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
アフリカ南部: カラハリ・サン（Kalahari San）の毒矢と各地の骨鏃の先端部の断面積を比較し、毒矢の起源が更新世にさかのぼる可能性を検証。72000年前にはアフリカ南部で骨製の毒矢が用いられていた可能性。
文献 Marlize Lombard "The tip cross-sectional areas of poisoned bone arrowheads from southern Africa" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33. [ScienceDirect]

2020年7月24日（金）

岡山県: 浅口市・城殿山遺跡で、弥生時代後期後半の墓から鉄剣出土。岡山県古代吉備文化財センターの調査。[山陽新聞]
トルコ: ムーラ県（Muğla il）ミラース郡（Milas）イスメトパシャ（İsmetpaşa）で、2400年前の埋葬遺跡。[bianet]
ブルガリア: 新石器時代の18遺跡で、火災住居から出土した焼成粘土を分析し、火災の温度を決定。粘土、気候、植生が、焼けた遺構の時期に影響する。早期新石器時代には火災の温度が最も高く（815℃）、後期新石器時代は比較的低い（746℃および713℃）。気候の変化や、家庭で使われた燃料の違い、また、早期新石器時代に意図的に住居を焼いた可能性などがある。
文献 Neli Jordanova, Diana Jordanova, Deyan Lesigyarski, Maria Kostadinova-Avramova "Imprints of paleo-environmental conditions and human activities in mineral magnetic properties of fired clay remains from Neolithic houses" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
セルビア: ベオグラード（Beograd；Београд；Belgrade）グロツカ自治体（Grocka；Гроцка）のベガリツァ（Begaljica；Бегаљица）で、2世紀のローマの碑文。7月10日に出土し、7月11日の夜何者かに盗まれたが回収された。
Pronađen rimski epigrafski spomenik iz II veka[Narodni muzej]
フランス: コルシカ島（Corse；Corsica）ピエートロゾ（Pietroso）のメゾン・ピエラジ（Maison Pieraggi）で、3世紀の浴室。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[Corse-Matin]
スペイン: アタプエルカ（Atapuerca）で60万年前の人類。[El País]
北欧: 北欧で天然痘（Smallpox）に罹患した13人の遺体のDNAを分析。ヴァイキング時代（Viking Age）・600年ごろには天然痘が北欧で広く流行。ヴァイキング時代の天然痘ウイルス（variola virus）は20世紀に流行したものの直接の先祖ではない。従来知られた例より1000年古い。従来の最古の証拠は17世紀。文献では3000年前から天然痘の存在が知られる。
Researchers Find Evidence of Smallpox in the Viking Age[Københavns Universitet]
文献 Barbara Mühlemann, Lasse Vinner, Ashot Margaryan, Helene Wilhelmson, Constanza de la Fuente Castro, Morten E. Allentoft, Peter de Barros Damgaard, Anders Johannes Hansen, Sofie Holtsmark Nielsen, Lisa Mariann Strand, Jan Bill, Alexandra Buzhilova, Tamara Pushkina Ceri Falys, Valeri Khartanovich, Vyacheslav Moiseyev, Marie Louise Schjellerup Jørkov, Palle Østergaard Sørensen, Yvonne Magnusson, Ingrid Gustin, Hannes Schroeder, Gerd Sutter, Geoffrey L. Smith, Christian Drosten, Ron A. M. Fouchier, Derek J. Smith, Eske Willerslev, Terry C. Jones, Martin Sikora "Diverse variola virus (smallpox) strains were widespread in northern Europe in the Viking Age" Science. Volume. 369, Issue 6502 [Science]
メキシコ: ユカタン半島（Península de Yucatán；Yucatán peninsula）の古代都市コバー（Cobá）の碑文を解読。500年～780年の歴代14人の支配者からなる王朝と支配者の名前を復元。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の研究。[The Art Newspaper]

2020年7月23日（木）

三重県: いなべ市・空畑遺跡（そらばたいせき：第5次調査）で、縄文時代早期の炉穴2基と縄文時代前期の土坑2基。三重県埋蔵文化財センターの調査。8/1現地説明会。[三重県]
▼空畑遺跡関連記事→2019年11月13日
鹿児島県: 天城町の水中鍾乳洞「ウンブキ」で発見された「ウンブキ土器」は、熱ルミネッセンス年代測定法で11700年前と測定。土器の特徴は7400年前～7100年前の波状条線文土器と類似。[奄美新聞]
イラン: ファールス州（Ostān-e Fārs）タフテジャムシード（Takht-e Jamshid）＝ペルセポリス（Persepolis）の焼けた繊維を分析。さまざまな繊維を含んでおり、複数の用途の繊維が混在している可能性。従来は宮殿のカーテンとみられていた。ハカーマニシュ朝（Achaemenid Empire）の首都。紀元前330年にアレクサンドロス大王により焼き討ち。[Tehran Times]
イスラエル: アムド洞窟（Amud）で25年前に出土した足の骨の化石、Amud9は、更新世後期（Late Pleistocene）のネアンデルタール人女性で、身長160-166cm、体重60kg。
スペイン語Se demuestra que Amud 9 fue una mujer neandertal de 60 kilos que vivió en el Pleistoceno superior
英語Amud 9 is shown to be a Neandertal woman weighing 60 kg who lived in the Late Pleistocene[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
ブルガリア: ブルガス（Бургас；Burgas）のイズグレブ（Изгрев；Izgrev）で、トラキア（Thracian）・紀元前6～前4世紀の祭祀土坑（ritual pit）66基を調査。土坑内部から大量の獣骨出土。さらに土器、青銅製留針など出土。
ブルガリア語Приключиха разкопките на Тракийското светилище в комплекс "Изгрев"
英語The excavations of the Thracian sanctuary in the housing district "Izgrev" are completed[Регионален исторически музей Бургас]
イタリア: シチリア島（Sicilia；Sicily）カポ・タオルミーナ（Capo Taormina）沖の沈没船から発見されたローマ時代の柱とブロックを分析。柱の石材は古代イオニアの都市テオス（Τέως；Teos）由来の大理石「marmor luculleum (africano)」。南フランス沖の沈没船から出土した大理石とも比較し、テオスの大理石が研磨剤とともに流通したことを解明。
文献 Carlo Beltrame, Lorenzo Lazzarini "Wrecked cargoes of marmor luculleum (africano) of the Roman period. an archaeological and archaeometrical study" Oxford Journal of Archaeology. Volume 39, Issue 3. First published: 22 July 2020 [Wiley Online Library]
エストニア: イダ＝ヴィル県（Ida-Viru maakond）シッラマエ（Sillamäe）Kesktänavで、16～18世紀の保存の良い人骨100体以上。最古のものはリヴォニア戦争（Liivi sõda；Livonian War）後の16世紀末、最新のものは大北方戦争（Põhjasõda；Great Northern War；1700～1721）のときのもの。毛髪、皮革、織物も遺存。[Eesti Rahvusringhääling]
ドイツ: ドイツ南西部の遺跡で出土した中期～後期旧石器時代のキツネについて、炭素と窒素の同位体比をさまざまな草食動物や肉食動物と比較。42000以上前、ネアンデルタール人の頃には、キツネの食生活はほかの肉食動物と同様。後期旧石器時代にホモサピエンスが主な居住者となると、自力では狩ることのできない（しかしヒトが主な獲物とした）トナカイを多く含むものに。
Foxes have been eating humans' leftovers for 42,000 years[EurekAler]
文献 Chris Baumann ,Hervé Bocherens,Dorothée G. Drucker,Nicholas J. Conard "Fox dietary ecology as a tracer of human impact on Pleistocene ecosystems" PLOS ONE. Published: July 22, 2020 [PLOS ONE]
フランス: セーヌ＝エ＝マルヌ県（Seine-et-Marne）セリ（Serris）で中世・メロヴィング朝（Mérovingiens；Merovingian）の教会、墓地、農民の住居からなる村落跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[Le Parisien]
▼イル＝ド＝フランス地域圏（Île-de-France）セーヌ＝エ＝マルヌ県（Seine-et-Marne）
UK（イングランド）: リンカーンシャー州（Lincolnshire）各地でロックダウン中に市民が考古資料を発見。モールトン（Moulton）で中世の印章（seal matrix）。アンティオキアのマルガリタ（St Margaret of Antioch）と悪魔を表す。グランサム（Grantham）で、青銅器時代のフリント製石鏃。ストウ（Stow）でローマ時代のミニチュア斧。[Lincolnshire Live]
アイルランド: スライゴ州（County Sligo）の新石器時代・5000年前の羨道墳が毀損され、遺跡保護のための措置を要する。バリーガウリー（Ballygawley）「魔女カリアッハベーラの家」（Teach Cailleach a’ Bheara）では石材が大量に抜き取られ、中に大人が横たわれるほどに。ノックナレア（Knocknarea）の頂上にある「メーブ女王の積石塚」（Queen Maebdh’s cairn）でも、石が抜かれるなど。キャロウキール（Carrowkeel）の羨道墳の壁画にも落書きによる被害。[The Irish Times]
チュニジア: ジェルバ島（Djerba；Jerba）の古代都市メニンクス（Meninx）から出土した紀元前4世紀～紀元後7世紀までの動物遺存体を分析。羊毛を得るためのヒツジと、紫色の染料を得るためのシロツブリ（Hexaplex trunculus）の貝殻が重要な位置を占める。ビザンティン時代にはこれらの経済活動は衰退し自給自足経済に戻る。
文献 Simon Trixl, Sami Ben Tahar, Stefan Ritter, Joris Peters "Wool sheep and purple snails – Long‐term continuity of animal exploitation in ancient Meninx (Jerba/Tunisia)" International Journal of Osteoarchaeology First published: 22 July 2020 [Wiley Online Library]
北米大陸: 北米とベーリング地峡の42遺跡の年代データを分析。最終氷期最盛期（Last Glacial Maximum）・26500年前～19000年前ころには人類が到達していた可能性。温暖化が始まったグリーンランド亜間氷期1（Greenland Interstadial 1）・14700年前～12900年前から拡散。ベーリング文化、クローヴィス文化、西方有茎石器文化はほぼ同時期にはじまり、18の絶滅種の絶滅の時期と重なる。人類到来が大型哺乳動物の絶滅をもたらした。
文献 Lorena Becerra-Valdivia & Thomas Higham "The timing and effect of the earliest human arrivals in North America" Nature. volume 584, pages93–97 (2020) [Nature]
USA: ミシシッピ州（State of Mississippi）ビロクシ（Biloxi）の湿地で数世紀前のネイティヴアメリカンの木製の弓を発見。チョクトー族（Choctaw）のものである可能性。[The News & Observer]
USA: 米国の美術館・博物館の1/3が、新型コロナウイルス流行の影響で閉鎖に追い込まれる可能性。アメリカ美術館同盟（American Alliance of Museums）の調査に対し、追加の金融支援がなければ今後16か月間を切り抜ける確信が持てないと回答。[時事通信]
United States May Lose One-third of All Museums, New Survey Shows [American Alliance of Museums]
メキシコ: チキウィテ洞窟（Cueva del Chiquihuite；Chiquihuite Cave）で石器2000点。人類が3万年前にアメリカ大陸に到達。通説のクローヴィス文化（Crovis Culture）より15000年古い。
Earliest humans stayed at the Americas ‘oldest hotel’ in Mexican cave[St John's College, University of Cambridge]
文献 Ciprian F. Ardelean, Lorena Becerra-Valdivia, Mikkel Winther Pedersen, Jean-Luc Schwenninger, Charles G. Oviatt, Juan I. Macías-Quintero, Joaquin Arroyo-Cabrales, Martin Sikora, Yam Zul E. Ocampo-Díaz, Igor I. Rubio-Cisneros, Jennifer G. Watling, Vanda B. de Medeiros, Paulo E. De Oliveira, Luis Barba-Pingarón, Agustín Ortiz-Butrón, Jorge Blancas-Vázquez, Irán Rivera-González, Corina Solís-Rosales, María Rodríguez-Ceja, Devlin A. Gandy, Zamara Navarro-Gutierrez, Jesús J. De La Rosa-Díaz, Vladimir Huerta-Arellano, Marco B. Marroquín-Fernández, L. Martin Martínez-Riojas, Alejandro López-Jiménez, Thomas Higham & Eske Willerslev "Evidence of human occupation in Mexico around the Last Glacial Maximum" Nature (2020) [Nature]
▼サカテカス州（Estado de Zacatecas）コンセプシオン・デル・オロ（Concepción del Oro）
メキシコ: プエブラ州（Estado de Puebla）のセロ・デ・ペニャ（Cerro de Peña）の1845mの山頂に、スペイン人到来以前のサポテク文明（Zapotec civilization）・6世紀の遺跡。石碑2基とピラミッド7基。[BBC]

2020年7月22日（水）

滋賀県: 近江八幡市・安土城の北側に曲輪4か所をレーザー測量で確認。これまで曲輪は天主跡がある安土山南部に集中していると考えられていた。滋賀県の調査。[共同通信]
韓国: 慶州・皇龍寺の南側で、新羅の25000m2の広場。東宮と月池に連なる。排水溝跡から、唐の儀鳳4年（679年）の年号を刻んだ瓦出土。また、東宮と月池から、明活山城まで続く道路も発見。皇龍寺は新羅最大の寺院。新羅文化遺産研究院の調査。[京郷新聞]
中国: 四川省眉山市彭山区江口街道・大墳包墓地で、戦国時代～明清の墳墓。古蜀の後裔の墓地と推定。[中国新聞網]
アフガニスタン: バーミヤン遺跡で、タペ・アルマスと呼ばれる遺跡が、地元政府が行った無許可の舗装道路建設により一部破壊。[共同通信]
イラン: コナーサンダール地域から得られた試料を分析し、過去の気候変動について調査。後期旧石器時代に、北大西洋で起こった急激な寒冷イベントに1対1で対応する固体エアロゾルの急激な増加がグリーンランドや北大西洋の記録と時差なく起こっていた。
旧石器時代後期の西アジアの気候と北大西洋の急激な寒冷化 �当時の急激な西アジア大気循環変動を検出� [東京大学大気海洋研究所]
文献 Reza Safaierad, Mahyar Mohtadi, Bernd Zolitschka, Yusuke Yokoyama, Christoph Vogt, and Enno Schefuß "Elevated dust depositions in West Asia linked to ocean–atmosphere shifts during North Atlantic cold events" Proceedings of the National Academy of Science. first published July 20, 2020 [PNAS]
イスラエル: エルサレム（Jerusalem）のアルノナ（Arnona）で、第一神殿時代・紀元前7世紀のユダ王国の、租税徴収や貯蔵にかかわる施設。印章や土偶。ユダ王国末期のヒゼキヤ王（Hezekiah）とマナセ王（Menashe）のときの行政の中心はダビデの町（City of David）の外側にあった。紀元前586年のユダ王国の崩壊後も、間もなく行政機能を回復。イスラエル古代遺跡管理局（Israel Antiquities Authority）の調査。[The Times of Israel]
トルコ: ブルサ県（Bursa il）イズニク郡（İznik）デリクリタシュ（Deliklitaş）で、2000年前のヘラクレス（Hercules）像の浮彫が何者かによって破壊される。浮彫は石切り場の岩に刻まれており、採石場の労働者を守護するものとして祀られていた。[Hürriyet Daily News]
ギリシャ: 古代ギリシャで、紀元前4世紀に遡る神殿に、障碍を持つ人、老人、妊婦、子供のためのスロープがあった可能性。特に医療のための聖域に見られる。
Ancient Greeks may have built 'disability ramps' on some temples [LiveScience]
cf. Debby Sneed (2020) The architecture of access: ramps at ancient Greek healing sanctuaries. Antiquity, 21 July 2020 [Cambridge Core]
イタリア: カラブリア（Calabria）、シチリア（Sicily）、サルデーニャ（Sardinia）の海底に沈む、ローマ時代の大理石の積み荷から、輸送船の大きさを復元。
文献 Simone Parizzi, Carlo Beltrame "Calculating the Tonnage and the Dimension of the Cargoes of Marble of Roman Period" Digital Applications in Archaeology and Cultural Heritage [ScienceDirect]
ポルトガル: トーレス・ノーヴァス（Torres Novas）のアロエイラ洞窟（Gruta da Aroeira）のアシュール文化（Acheulean）に当たる第X層の燃焼痕跡は、人為的な火の使用の証拠。
文献 Montserrat Sanz, Joan Daura, Dan Cabanes, Natalia Égüez, Ángel Carrancho, Ernestina Badal, Pedro Souto, Filipa Rodrigues & João Zilhão "Early evidence of fire in south-western Europe: the Acheulean site of Gruta da Aroeira (Torres Novas, Portugal)" Scientific Reports. volume 10, Article number: 12053 (2020) [Scientific Reports]
▼サンタレン県（Distrito de Santarém）

2020年7月21日（火）

北海道: 上ノ国町・花沢館跡（はなざわだてあと）で懸仏の如意輪観音像。上ノ国町教育委員会の調査。[函館新聞]
富山県: 富山市・大峪城跡（おおがけじょうあと）の本丸は、盛り土をせずに、地形を生かして短時間に築城。豊臣秀吉が1585年に富山の役の際に利用。富山市埋蔵文化財センター7/20発表。[北日本新聞]
熊本県: 錦町・人吉海軍航空基地跡の地下施設が、豪雨被害による土砂が通用口に積もって見学できない状態。[毎日新聞]
韓国: 韓国の嶺南考古学会は、新型コロナウイルスの流行により、今年8月20日～23日に予定されていた九州考古学会との合同学会を実行するのは不可能と判断。1年延期することを発表。
第14回嶺南・九州合同考古学大会延期案内[嶺南考古学会]
中国: 新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州阜康市上戸溝郷白楊河村で、大規模な石棺墓群。
新疆阜康白楊河流域發現大型墓群[中国社会科学院考古研究所]
インド: アーンドラ・プラデーシュ州（Andhra Pradesh）カダパ県（Kadapa district；Cuddapah）にあったテルグ語（Telugu）の碑文を解読し、レナティ・チョーラ朝（Renati Cholas）の首都をカダパ県カマラプラン（Kamalapuram）と推定。従来、首都はカルナータカ州（Karnataka）内とみられていた。レナティ・チョーラ朝はサンスクリットではなくテルグ語（Telugu）を行政や銘文に最初に用いた最初の王朝。インド考古調査局（Archaeological Survey of India：ASI）の調査。[The Times of India]
イラン: ケルマーン（Kerman）のドフタル城（Qal’eh Dokhtar）から出土した多色ラスター彩タイル（polychrome luster tiles）のうち11片を分析。素地・釉薬ともに地域的な特徴があり、ドフタル城の多色ラスター彩タイルはケルマーン近辺の原料を用いたと推定。ラスター彩の産地であるジーロフト（Jiroft）から、1203年～1299年の政治変動後に陶工がケルマーンに移動か。
文献 Saeed Amirhajloo, Mohammadamin Emami, Davoud Agha-Aligol, Reza Riahiyan Gohorti "Preliminary studies on polychrome luster tiles excavated from Qal’eh Dokhtar in Kerman by X-ray, SEM-EDX and micro-PIXE spectroscopy; Insight into a new production center of lusterware in Southeast of Iran" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
▼ケルマーン州（Ostān-e Kermān）
オマーン: カルハット遺跡（Qalhât）やバハラ（Bahlâ）で出土した13～16世紀の青斑陶器（Blue speckled）と茶斑陶器（Brown speckled）を分析。すべての試料について、素地は地元生産の可能性が高いが、青斑陶器の釉薬は輸入品。現在のバハラの作品はカルハット遺跡の出土品を継承したものではない。また、バリウム（Ba）を多く含む石灰石釉薬は、以前のものとはつながらず、後期イスラーム時代に新技術として登場する。
文献 Liliana Gianni, Hélène Renel, Aleksandar Kremenović, Philippe Colomban "‘Blue-’ and ‘Brown-speckled’ pottery from Qalhât, the Sultanate of Oman (13–16th centuries): Comparison with traditional Omani 19–20 century productions" Boletín de la Sociedad Española de Cerámica y Vidrio. Available online 20 July 2020 [ScienceDirect]
イスラエル: ケセム洞窟（Qesem Cave）から出土した、前期旧石器時代末（Late lower paleolithic）・アシュール＝ヤブルディアン文化複合（Acheulo-Yabrudian Cultural Complex）の12の石器群を分析。石材のフリント（flint）の産地を同定。地元のチューロニアン・フリント（Turonian flint）がしばしば用いられるが、チューロニアン以外のフリントも使用。石材と、目的とする石器が対応。特定の石器を作るための石材に関する知識が継承されていた。
文献 Aviad Agam "Late lower paleolithic lithic procurement and exploitation strategies: A view from Acheulo-Yabrudian Qesem Cave (Israel)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
ブルガリア: ブルガス（Бургас；Bourgas）アクアエ・カリダエ遺跡（Aquae Calidae）で、40個以上の硬貨。大半は4世紀のもの。[The Sofia Globe]
▼アクアエ・カリダエ遺跡関連記事→2015年7月10日
スイス: グラウビュンデン州（Kanton Graubünden；Canton des Grisons）クール（Chur）の旧刑務所敷地から、9～11世紀の石製鋳型（Gussform）。宝飾品や十字架の製作に用いた。[Nau]
ドイツ: ヴェーデマルク（Wedemark）で、青銅器時代または鉄器時代の壺2点、副葬土器、炉跡など出土。ArcheoFirmの調査。[Altkreis Blitz]
▼ニーダーザクセン州（Land Niedersachsen）ハノーファー広域連合（Region Hannover）
UK（スコットランド）: テイ湖（Loch Tay）の湖底から出土した鉄器時代・2500年前の木製容器にバター（butter）。人工島クラノグ（crannog）に居住した人々のもの。[The Scotsman]
UK（スコットランド）: アラン島（Isle of Arran）のグレンローザ（Glen Rosa）で、高地から青銅器時代（Bronze Age）の円形住居。シカ狩のときの一時的なキャンプと推定。炭化木材の放射性炭素年代は紀元前1400年。The National Trust for Scotlandの調査。[The Scotsman]
アイルランド: フィンガル市（Fingal County）スウォーズ（Swords）にあるリヴァー・ヴァレー・パーク（River Valley Park）で4月に出土した12歳の少女の人骨は、15世紀。疫病の時の集団墓地（plague grave）の一部の可能性。[The Irish Times]

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