2021年4月20日(火)
- 長崎県
- 長崎市・広済寺で、寺の壁に墨汁のようなものがかけられる被害。昨年10月から3回目の被害。警察に被害届を提出し、警察が建造物損壊疑いで捜査。[日テレNews]
- 石工技術
- 古代国家成立期・7〜8世紀の日韓の石工技術を比較。飛鳥時代初期に朝鮮半島から伝来した硬質石材の加工技術は、半島でも矢穴技法が未成熟の段階のもの。朝鮮半島で石材加工が活発化するのは7世紀中ごろの百済や新羅。大規模寺院の造営に際して、花崗岩類の大量加工・消費が進んだと同時に矢穴技法が顕在化。従来、半島系タイプとされてきた縦断面三角形の矢穴は、統一新羅を中心とする時期に固有の特異な矢穴形状。
cf. 廣瀬覚・高田祐一 2021 「日韓古代国家成立期における石工技術の比較研究」 奈良文化財研究所学報、第100冊、pp.1-43
[奈良文化財研究所学術情報リポジトリ] - 韓国
- 慶尚南道 陜川郡 三嘉面 三嘉古墳群のカ地区52号墳で、加耶時代の支配者級の墓。直径28.5m。墳丘内で、祭祀場と推定される施設。[聯合ニュース]
- トルコ
- エラズー県(Elazığ)・ハルプト城(Harput Castle)でウラルトゥ(Urartu)のころ、2800年前の屋外祭祀場。[Hürriyet Daily News]
▼ハルプト城関連記事→2018年9月12日 - セルビア
- セルビア東部のルジャナ(Ружана;Ruana)、トルニャネ(Трњане;Trnjane)、チョカ・ニツァ(Чока Њица;Čoka Njica)で出土した銅を含む遺物28点について蛍光X線分析と鉛同位体分析。初期青銅器時代・紀元前19世紀〜前18世紀の終わりごろには銅生産を開始。従来の想定より500年古く、中央ヨーロッパの銅生産の開始時期と平行。銅溶解の活動は、紀元前1800年〜前1650年。地元ボル(Bor;Бор)の黄銅鉱を利用。中期青銅器時代の初め・紀元前1700年ごろには、北イタリアのトレンティーノ(Trentino)の銅がもたらされる。
cf. Mathias Mehofer, Mario Gavranović, Aleksandar Kapuran, Jovan Mitrović, Anđelka Putica "Copper production and supra-regional exchange networks – Cu-matte smelting in the Balkans between 2000 and 1500 BC" Journal of Archaeological Science. Volume 129 [ScienceDirect] - イタリア、スペイン
- 西地中海地域の鉄器時代のフェニキア人に関連した3遺跡、イタリア、シチリア島(Sicily)のモティア(Motya)、イタリア、サルデーニャ島(Sardinia)のヌラーゲ・スラーキ(Nuraghe S’Urachi)、スペイン、アンダルシア(Andalusia)のウエルバ(Huelva)から出土したブドウの種子を形態分析し、現代のシチリアの栽培種と比較。いずれも栽培種と確認。遺跡ごとに種子には相違があり、フェニキア人は、地域ごとに地元の種子でブドウを栽培と推定。
cf. Claudia Moricca, Laurent Bouby, Vincent Bonhomme, Sarah Ivorra, Guillem Pérez-Jordà, Lorenzo Nigro, Federica Spagnoli, Leonor Peña-Chocarro, Peter van Dommelen, Laura Sadori "Grapes and vines of the Phoenicians: Morphometric analyses of pips from modern varieties and Iron Age archaeological sites in the Western Mediterranean" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect] - ドイツ
- レーゲンスブルク(Rengschburg)の中世・12〜16世紀の救貧院(Poorhouse)で出土した人骨111体を分析。歯科疾患、関節炎、骨膜反応などが多いが、致命的ではない。炭素(δ13C)と窒素(δ15N)の同位体分析によると、食生活はC3植物と、陸性、淡水性のタンパク質に依存するが、個人間の違いがある。
Using Isotopic Analysis to Investigate Diet and Disease in a Medieval German Poorhouse[Medievalists]
cf. Karyn C. Olsen, Kristin von Heyking, Gisela Grupe, Christine D. White, Fred J. Longstaffe "Investigating Diet and Disease in a Medieval German Poorhouse Population using Isotopic Analysis of Human and Faunal Tissues" Bioarchaeology International. Vol. 2 No. 2 (2018) [University of Florida Press] - スペイン
- アラゴン州(Aragón)ウエスカ県(Huesca)シンカ川(Río de Cinca;Cinca River)流域で出土したローマ時代の鉛製品50点について、鉛同位体分析。試料のうち29点は投石器の弾丸(glandes plumbeae;sling bullet)で、紀元前1世紀の内戦に関連。試料のうち30%はより近いピレネーやイベリア山脈、70%はカルタヘナやイビサ島で産出した鉛の可能性が高い。ローマ時代のピレネー中部(Central Pyrenees)で鉛鉱山が開発されていたことを示す。
cf. José A. Cuchí-Oterino, Pelayo Alvarez Penanes, Jesús Martín-Gil, Mariella Moldovan, Isidro Aguilera Aragón, Pablo Martín-Ramos "Mineral provenance of Roman lead objects from the Cinca River basin (Huesca, Spain)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect] - ノルウェー
- ヌールラン県(Nordland)ヴァッレ(Valle)の初期中石器時代(Early Mesolithic)・11000年前〜10000年前のロックアートに、北欧最古の船の描写。輪郭を実物大で描き、長さ4m以上。民族資料で知られる北極圏の皮製ボートに似る。従来の最古は紀元前5500年〜前5000年だったが、3000年さかのぼる。
cf. Jan Magne Gjerde "THE EARLIEST BOAT DEPICTION IN NORTHERN EUROPE: NEWLY DISCOVERED EARLY MESOLITHIC ROCK ART AT VALLE, NORTHERN NORWAY" Oxford Journal of Archaeology. Volume 40, Issue 2, May 2021, Pages 136-152 [Wiley Online Library] - ノルウェー
- ノルウェー南部での、前期完新世(early Holocene)・紀元前9500年〜前1700年(cal BCE)の狩猟採集民の人口動態を調査。ボレアル期(Boreal period)以降、人口は安定的に増加し、紀元前4330年〜前4300年に突然減少。考古学的証拠から見て、南スカンジナヴィアからノルウェーに狩猟採集民が異動する時期に合致し、人口圧による生活環境の悪化や社会的ストレスによるとみられる。これにより、紀元前4000年/前3900年の中石器時代から新石器時代への技術革新につながった。
cf. Svein Vatsvåg Nielsen "A LATE MESOLITHIC FORAGER DISPERSAL CAUSED PRE‐AGRICULTURAL DEMOGRAPHIC TRANSITION IN NORWAY" Oxford Journal of Archaeology. Volume40, Issue2, May 2021, Pages 153-175 [Wiley Online Library] - デンマーク
- リーベ(Ribe)の8〜9世紀の金属技術について、るつぼや型、インゴット、地金、製品を分析。さまざまな金属加工が行われ、先ヴァイキング時代(pre-Viking period)から初期バイキング時代(early Viking Age)にかけて、8世紀〜9世紀前半に技術が標準化。るつぼが緻密化し、製品の器種ごとに合金が選択され、高亜鉛の真鍮に移行した。
cf. V. Orfanou, T. Birch, S. M. Sindbæk, C. Feveile, G. H. Barfod & C. E. Lesher "On diverse arts: crucible metallurgy and the polymetallic cycle at Scandinavia's earliest Viking town, Ribe (8th-9th c. CE), Denmark" Archaeological and Anthropological Sciences. 13, Article number: 81 (2021) [SpringerLink] - マン島
- マン島で、ステュアート朝(Stuart Dynasty)・17世紀半ば〜後半の追悼の指輪(Mourning Ring)。「J」「D」の文字を刻み、第7代ダービー伯でマン島の領主ジェームズ・スタンリー(James Stanley;1607〜1651)を指すとみられる。スタンリーはイングランド内戦(EnglishCivilWar)時に王党派を支持し、議会派に処刑された。指輪は妻シャーロットが配布したものとみられる。[Manx Radio]
- ベリーズ
- マヤ都市アヴェンチュラ(Aventura)での古典期終末期(Terminal Classic)・750〜1100年の2つの世帯の発掘成果によると、平民もエリートも、重要な水資源にアクセス可能。この時期、ほかの地域では旱魃や社会政治的な理由で人口減少が進んだが、アヴェンチュラ遺跡では人口が最大になっていた。社会経済的な不平等にもかかわらず、水へのアクセスは階層を越えており、ヘテラルキー(heterarcy)の状態であることが、アヴェンチュラの繁栄をもたらした。
cf. Kacey C. Grauer "Heterarchical political ecology: Commoner and elite (meta)physical access to water at the ancient Maya city of Aventura, Belize" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 62 [ScienceDirect] - ペルー
- チムー文化(Chimú culture)・10〜15世紀の土器が、ポーランドの民家の屋根裏でみつかる。楽器と思われるものを手にした人物を表現。ポーランドにもたらされた経緯は不明だが、19世紀〜20世紀初めにペルーで働いたポーランド人が持ち帰った可能性。[The First News]
2021年4月19日(月)
- 韓国
- 昌原市 龍岑里や道渓洞で、旧石器時代の遺跡や打製石器。昌原大学校博物館の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 広州市 増城区 石灘鎮・金蘭寺遺跡で、貝塚の堆積から新石器時代晩期・4000年前の墓30基、戦国時代の墓2基を調査。古人骨30体。広州市文物考古研究院の調査。[中国社会科学院考古研究所]
- トルコ
- ディヤルバクル県(Diyarbakır)のアミダ遺跡(Amida Höyük;Amida Tumulus)で、ローマ時代・2000年前の道路。[Anadolu Ajansı]
▼アミダ遺跡関連記事→2020年11月30日 - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ゾースト郡(Kreis Soest)ヴィケデ(Wickede)のエヒトハウゼン(Echthausen)で、鉄器時代・紀元前600年〜前300年の集落。航空写真でアタリをつけて調査。
Erste urgeschichtliche Siedlung in Wickede entdeckt[Archaeologie Online] - アイルランド
- コーク県(County Cork)ドナレイル(Doneraile)・キャッスルポック洞窟(Castlepook Cave)で出土した33000年前のトナカイの大腿骨に、フリントまたは石製の道具でつけた傷跡。アイルランドで最古の、人類の活動の証拠。従来の最古はクレア県の洞窟での12500年前の解体されたクマの骨。[ The Journal]
- カナダ
- ユーコン準州(Yukon Territory;Territoire du Yukon)・ブルーフィッシュ2号洞窟(Bluefish Cave 2)で更新世の黄土層から出土したMIS2・30000年前〜14000年前のマンモスの骨のコアとフレークについて再検討。肉食動物の歯の跡がなく、ヒトによる打撃とみても矛盾なし。人為的な加工の可能性が高い。
cf. Lauriane Bourgeon "Revisiting the mammoth bone modifications from Bluefish Caves (YT, Canada)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]
▼ブルーフィッシュ洞窟群関連記事→2017年1月17日
2021年4月18日(日)
- 中国
- チベット自治区(西藏;Tibet) ガリ地区(阿里;Ali)・格布賽魯遺跡で、青銅器時代晩期〜鉄器時代早期・紀元前17世紀〜前3世紀の墳墓21基。[中国新聞網]
▼格布賽魯遺跡関連記事→2019年4月3日 - パキスタン
- コハト(Kohat)のト・ベラ地区(Togh Bala)での違法発掘が継続。[Dawn]
- イスラエル
- ネシェル・ラムラ(Nesher-Ramla)で、初期先土器新石器時代B(early Pre-Pottery Neolithic B;EPPNB)・10500年前〜10300年前(cal. BP)の遺跡。
cf. Micka Ullman, Lena Brailovsky, Heeli C. Schechter, Lior Weissbrod, Roni Zuckerman-Cooper, Michael B. Toffolo, Valentina Caracuta, Elisabetta Boaretto, Steve Weiner, Julia Abramov, Daniella E. Bar-Yosef Mayer, Vladimir Wolff Avrutis, Shlomo Kol-Ya'kov, Amos Frumkin "The early Pre-Pottery Neolithic B site at Nesher-Ramla Quarry, Israel" Quaternary International [ScienceDirect] - ブルガリア
- ヴェリコ・タルノヴォ州(Област Велико Търново;Oblast Veliko Tarnovo)ポルスキ・トルンベシュ自治体(Община Полски Тръмбеш;Polski Trambesh Municipality)のオルロベツ(Орловец;Orlovets)で、初期鉄器時代(Early Iron Age)・紀元前1000年〜前500年のトラキアのウマの埋葬と、ヒトの上半身だけを安置した埋葬。
Ancient Thracian horse burial, ‘half a skeleton’ human burial from Early Iron Age found near Bulgaria’s Polski Trambesh[Archaeology in Bulgaria] - イタリア
- アヴェッリーノ県(Avellino)アトリパルダ(Atripalda)の古代都市アベリヌム(Abellinum)のアッピア街道(via Appia)沿いで、ローマ時代の円形闘技場(anfiteatro;amphitheater)。[La Repubblica]
- UK(イングランド)
- リンカーンシャー州(Lincolnshire)ノートン・ディズニー(Norton Disney)のローマ時代の邸宅跡で、鉄器時代の遺物や、邸宅と関連した溝。[Newark Advertiser]
2021年4月17日(土)
- 米領グアム
- グアム島(Guam)デデド村(Dededo)のフィネガヤン地区(Finegayan)にある米軍基地キャンプ・ブラズ(Camp Blaz)内で紀元前1500年~紀元後1000年の墓と、人骨、炉跡、土器など。地元では、この土地を聖なる地ととらえ、先住民チャモロ人(Chamorro)が最も強いきずなで土地と結び付けられているとし、遺跡の保護を主張。基地は2020年に開設されたが建設途中。完成すれば、沖縄からグアムに移転する海兵隊5000名の本拠地となる。[The Guardian]
- トルコ
- 新型コロナウイルスの流行のあおりで、監視が手薄になったところを狙い、トレジャーハンターによる盗掘が増加。[The Independent]
- イタリア
- ヴェネツィア(Venezia;Venice)のムラーノ島(Murano)の中世・12〜15世紀のガラス61点を電子顕微分析(electron microprobe analyses)。すべての試料に同様のソーダ灰が用いられ、レヴァント起源と推定。シリカは3種類が用いられており。地元、レヴァント、エジプトに由来する可能性。ムラーノ島は13世紀以降、ガラス生産の中心地。
cf. Veronica Occari, Ian C. Freestone, Corisande Fenwick "Raw materials and technology of Medieval Glass from Venice: The Basilica of SS. Maria e Donato in Murano" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect] - アイルランド
- ケリー州(County Kerry)のディングル半島(Dingle Peninsula)で青銅器時代の墓。墓室と副室を設ける。[RTÉ]
- エチオピア
- 12〜20世紀の行列用十字架(Processional Cross)20点の銅合金を蛍光X線分析(XRF)などの方法で非破壊分析。年代とともに合金が異なる。12〜14世紀は青銅、15世紀以降は真鍮や砲金(銅と錫の合金)。過渡期の14〜15世紀には同・鈴・真鍮などの多様な素材。ただし16世紀に宗教美術が大量に撤去されたことも考慮すべき。
cf. Ainslie Harrison "Technical Study of Ethiopian Copper Alloy Processional Crosses Using Non-Destructive Analysis" Studies in Conservation. [Taylor & Francis Online]
2021年4月16日(金)
- 岐阜県
- 土岐市・妻木平遺跡(つまぎたいらいせき)で、室町時代・15世紀中ごろ〜後半の土岐明智氏の居館をめぐる堀の一部が自然の谷を利用していたことを確認。同じ谷部分は鎌倉時代・13世紀初めに祭祀空間として利用していた。土岐市教育委員会の調査。5/8現地公開。
妻木平遺跡 発掘調査現地公開を開催します[土岐市]
▼妻木平遺跡関連記事→2015年1月15日 - 韓国
- 全羅北道 任実郡 館村面 道峯里にある虎巌烽火施設で排水路を発掘。また、岩盤を階段状に削り出した登烽施設も確認。三国時代の烽火施設(のろし)。[聯合ニュース]
- 中国
- 江蘇省 常州市 溧陽市・溧陽古県遺跡で、三国志に登場する「永平県」の県城を確認。三国時代〜南北朝時代の完全な状態の県城。[中国社会科学院考古研究所]
- オーストラリア
- 各州・地域に由来しオーストラリア博物館(Australian Museum)が所蔵する先住民の木製ブーメラン100点の使用痕を分析。石器の調整に特有の使用痕。ヨーロッパで50万年前以来、ネアンデルタール人が用いた骨製の調整具に見られる使用痕に類似。民族誌的な証拠によると、ブーメランは火起こしや演奏に用い、掘り棒としても用いられた。ブーメランは多用途の道具だった。
Boomerangs return with greater insights into ample uses[Griffith University]
cf. Eva Francesca Martellotta, Jayne Wilkins, Adam Brumm, Michelle C. Langley "New data from old collections: Retouch-induced marks on Australian hardwood boomerangs" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect] - ロシア、スペイン
- 西ヨーロッパと南シベリアで、洞窟の堆積物からヒトの核DNAを抽出。約10万年前にスペイン北部でミトコンドリアDNAの入れ替えを伴う人口の入れ替え。後期更新世の初期にネアンデルタール人の2度にわたる拡散。
cf. Benjamin Vernot, Elena I. Zavala, Asier Gómez-Olivencia, Zenobia Jacobs, Viviane Slon, Fabrizio Mafessoni, Frédéric Romagné, Alice Pearson, Martin Petr, Nohemi Sala, Adrián Pablos, Arantza Aranburu, José María Bermúdez de Castro, Eudald Carbonell, Bo Li, Maciej T. Krajcarz, Andrey I. Krivoshapkin, Kseniya A. Kolobova, Maxim B. Kozlikin, Michael V. Shunkov, Anatoly P. Derevianko, Bence Viola, Steffi Grote, Elena Essel, David López Herráez, Sarah Nagel, Birgit Nickel, Julia Richter, Anna Schmidt, Benjamin Peter, Janet Kelso, Richard G. Roberts, Juan-Luis Arsuaga, Matthias Meyer "Unearthing Neanderthal population history using nuclear and mitochondrial DNA from cave sediments" Science 15 Apr 2021: eabf1667 [Science] - ブルガリア
- シュメン州(Област Шумен;Oblast Shumen)プリスカ(Плиска;Pliska)で、8〜10世紀の長さ300mの木造通路。切妻屋根で2階建て。第一次ブルガリア帝国(Първа българска държава;First Bulgarian Empire)の首都から砦の北門に連なる。
300-meter-long wooden passage between inner city, citadel gates discovered in capital of First Bulgarian Empire Pliska[Archaeology in Bulgaria] - スペイン
- アタプエルカ(Atapuerca)のグラン・ドリーナ遺跡(Gran Dolina)で見つかった80万年前の食人の犠牲者ホモ・アンテセソル(Homo antecessor)H3は、「グラン・ドリーナの少年」(The Boy of Gran Dolina)とされていたが、歯の特徴から少女と推定。
Prehistoric cannibal victim found in death cave ID'ed as a young girl[LiveScience]
cf. Cecilia García-Campos, María Martinón-Torres, Mario Modesto-Mata, Laura Martín-Francés, Marina Martínez de Pinillos & José María Bermúdez de Castro "Indicators of sexual dimorphism in Homo antecessor permanent canines" Journal of Anthropological Sciences. Vol. 99 (2021), pp. 1 - 18 [JASs]
▼グラン・ドリーナ遺跡関連記事→2020年6月22日 - UK(イングランド)
- ノース・ヨークシャー州(North Yorkshire)スカボロー(Scarborough)のイーストフィールド(Eastfield)で発見された、ローマ時代の浴室を伴う独特の邸宅が、ヒストリック・イングランド(Historic England)による発表数時間後に盗掘被害。[The Yorkshire Post]
- 訃報
- 嵩元政秀氏4/14死去。87歳、グスク研究。元沖縄考古学会会長。文化財保護にも重要な役割を果たし、恩納村の仲泊遺跡の保存活動にも尽力した。[琉球新報]
2021年4月15日(木)
- 北海道
- 川西C遺跡の、最終氷期最盛期(Last Glacial Maximum)の細石刃類似の黒曜石について、フラクチャー・ウイング(fracture wing)を分析。押圧剥離ではなく、敲打によって作り出されている。
cf. Jun Takakura "Towards improved identification of obsidian microblade and microblade-like debitage knapping techniques: A case study from the last glacial maximum assemblage of Kawanishi-C in Hokkaido, Northern Japan" Quaternary International [ScienceDirect] - 富山県
- 富山市・番神山横穴墓群(ばんじんやまよこあなぼぐん)で、古墳時代後期〜終末期の横穴墓を新たに2基発見。耳環や馬具が出土。富山市埋蔵文化財センターの調査。[NHK]
- 山梨県
- 甲府市・甲府城本丸の石垣に落書き11か所。国の史跡。山梨県は文化庁に史跡の「毀損届」を提出する一方、文化財保護法に抵触する恐れがあるとして警察に通報。[日テレNews]
- 和歌山県
- 田辺市龍神村湯ノ又の河原で、江戸時代のものとみられる錫杖の一部。小学生が発見。[紀伊民報]
- 徳島県
- 徳島市・南蔵本遺跡(みなみくらもといせき)で弥生時代前期中葉〜後葉の集落と、畝立てをもつ畠。公益財団法人徳島県埋蔵文化財センターの調査。4/24現地説明会。
徳島市 南蔵本遺跡現地説明会についてのお知らせ[公益財団法人徳島県埋蔵文化財センター]
▼南蔵本遺跡関連記事→2008年3月18日 - マレーシア
- ムラカ島(Pulau Melaka;Malacca Island)のコタ・シャバンダル(Kota Syahbandar)で、マラッカ王国(Malaaca Sultanate)・500年以上前の商業船の木材が出土した遺跡について、政府が盗掘などを防ぐため、トレジャーハンターに警告を発した。[The Sun Daily]
- イスラエル
- テル・ラキシュ遺跡(Tel Lachish)で2018年に出土した紀元前1450年の土器片にアルファベット。南レヴァント最古。表音文字(アルファベット)はエジプト第12王朝・紀元前1981年〜前1802年に始まり、レバントには紀元前1300年に見られるが、ミッシングリンクを埋める発見。レバントに興りエジプト北部を紀元前1550年ごろまで支配したヒクソス(Hyksos)が、エジプトからレヴァントにアルファベットを持ち込んだ可能性。[LiveScience]
cf. Felix Höflmayer, Haggai Misgav, Lyndelle Webster and Katharina Streit (2021) Early alphabetic writing in the ancient Near East: the ‘missing link’ from Tel Lachish. Antiquity, First View, pp. 1 - 15. [Cambridge Core] - トルコ
- アシュクル・ホユック遺跡(Arşıklı Höyük)とチャタル・ヒュユク遺跡(Çatalhöyük)の新石器時代(Neolithic)の22体の遺伝子を調査し、ボンジュクル・ホユック遺跡(Boncuklu Höyük)と比較、建物内埋葬に関して合葬者の遺伝的関連性を研究。アシュクル・ホユック遺跡とボンジュクル・ホユック遺跡の初期新石器時代(early Neolithic)・紀元前9千年紀〜前8千年紀では、合葬者の間に密接な遺伝的関係。チャタル・ヒュユク遺跡とボンジュクル・ホユック遺跡の前7千年紀では、建物内や周辺に埋葬された成人と幼児に血縁関係がない。
cf. Reyhan Yaka, Igor Mapelli, Damla Kaptan, Ayça Doğu, Maciej Chyleński, Ömür Dilek Erdal, Dilek Koptekin, Kıvılcım Başak Vural, Alex Bayliss, Camilla Mazzucato, Evrim Fer, Sevim Seda Çokoğlu, Vendela Kempe Lagerholm, Maja Krzewińska, Cansu Karamurat, Hasan Can Gemici, Arda Sevkar, Nihan Dilşad Dağtaş, Gülşah Merve Kılınç, Donovan Adams, Arielle R. Munters, Ekin Sağlıcan, Marco Milella, Eline M. J. Schotsmans, Erinç Yurtman, Mehmet Çetin, Sevgi Yorulmaz, N. Ezgi Altınışık, Ayshin Ghalichi, Anna Juras, C. Can Bilgin, Torsten Günther, Jan Storå, Mattias Jakobsson, Mauricede Kleijn, Gökhan Mustafaoğlu, Andrew Fairbairn, Jessica Pearson, İnci Togan, Nurcan Kayacan, Arkadiusz Marciniak, Clark Spencer Larsen, Ian Hodder, Çiğdem Atakuman, Marin Pilloud, Elif Sürer, Fokke Gerritsen, Rana Özbal, Douglas Baird, Yılmaz Selim Erdal, Güneş Duru, Mihriban Özbaşaran, Scott D. Haddow, Christopher J. Knüsel, Anders Götherström, Füsun Özer, Mehmet Somel "Variable kinship patterns in Neolithic Anatolia revealed by ancient genomes" Current Biology Published: April 14, 2021 [Cell] - ブルガリア
- ガブロヴォ州(Област Габрово;Oblast Gabrovo)ドリャノヴォ(Дряново;Dryanovo)にあるバチョ・キロ洞窟(пещера Бачо Киро;Bacho Kiro Cave)で出土した、後期旧石器時代初頭の石器を伴う46000年前〜43000年前の人骨4体と、やや遅いタイプの石器を伴う35000年前の人骨1体の遺伝子を分析。予想に反し、前者と後者は近しい関係。アジアなどで見られる傾向に共通。
‘Earliest dispersal of modern humans’ in Eurasia’s mid-latitudes, regular mixing with Neanderthals revealed by 46,000-year-old remains from Bulgaria’s Bacho Kiro Cave[Archaeology in Bulgaria]
cf. Mateja Hajdinjak, Fabrizio Mafessoni, Laurits Skov, Benjamin Vernot, Alexander Hübner, Qiaomei Fu, Elena Essel, Sarah Nagel, Birgit Nickel, Julia Richter, Oana Teodora Moldovan, Silviu Constantin, Elena Endarova, Nikolay Zahariev, Rosen Spasov, Frido Welker, Geoff M. Smith, Virginie Sinet-Mathiot, Lindsey Paskulin, Helen Fewlass, Sahra Talamo, Zeljko Rezek, Svoboda Sirakova, Nikolay Sirakov, Shannon P. McPherron, Tsenka Tsanova, Jean-Jacques Hublin, Benjamin M. Peter, Matthias Meyer, Pontus Skoglund, Janet Kelso & Svante Pääbo "Initial Upper Palaeolithic humans in Europe had recent Neanderthal ancestry" Nature. volume 592, pages253–257(2021) [Nature]
▼バチョキロ洞窟関連記事→2020年5月12日 - イタリア
- シチリア島(Sicilia;Sicily)のメッシーナ(Messina)チェーザレ・バッティスティ通り(via Cesare Battisti )にあるラルゴ・アヴィニョーネ(Largo Avignone)で、ヘレニズム・ローマ時代・紀元前2世紀のオルティ・デッラ・マッダレーナ墓地(Orti della Maddalena)の一部。[MessinaToday]
- ヨーロッパ
- ヨーロッパの墳墓から出土した副葬品の石器400点を分析。被葬者の性別によって大きさ、重さ、材質が異なる。新石器時代の農耕民には労働の性的分業があった。女性に副葬された石器は、動物の皮の加工に使用。男性に副葬された石器は狩猟や紛争に関連。分業のあり方には地域性もある。
Grave goods show gendered roles for Neolithic farmers[University of York]
cf. Alba Masclans, Caroline Hamon, Christian Jeunesse, Penny Bickle "A sexual division of labour at the start of agriculture? A multi-proxy comparison through grave good stone tool technological and use-wear analysis" PLoS ONE 16(4): e0249130 [PLOS ONE] - エジプト
- 東部砂漠(Eastern Desert)のモンス・スマラグドゥス地域(Mons Smaragdus、エメラルドの山)にあるワディ・シカイト(Wadi Sikait)で、ローマ時代にエメラルド鉱山を開発したことを示す集落。ローマ時代のエメラルド鉱山は大プリニウス(Plinius Maior;Pliny the Elder)やクラウディオス・プトレマイオス(Κλαύδιος Πτολεμαῖος;Claudius Ptolemaeus;Claudius Ptolemy)が言及。
New evidence regarding emerald production in Roman Egypt coming from Wadi Sikait[EurekAlert]
cf. Joan Oller Guzmán, David Fernández Abella, Vanesa Trevín Pita, Oriol Achon Casas, and Sergio García-Dils de la Vega (2021) New evidence regarding Emerald Production in Roman Egypt at Wadi Sikait (Eastern Desert). Journal of Near Eastern Studies, Volume 80, Number 1 [The University of Chicago Press] - アルゼンチン
- カタマルカ州(Provincia de Catamarca)南西部とラ・リオハ州(Provincia de La Rioja)北部での12遺跡で出土した、初期のGrey-Horizon pottery=サウヒル土器(Saujil)を中性子放射化分析(neutron activation analysis;NAA)。地域ごとの素地の配合があり、地元生産。3つの生産拠点。
cf. Norma Ratto, Guillermo A. De La Fuente, Sergio D. Vera, Anabel Feely, Adriana Callegari, Rita Plá "Pottery production of Saujil vessels from the early period (Catamarca and La Rioja provinces), Northwestern Argentine region: An evaluation through neutron activation analysis" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]
2021年4月14日(水)
- 東京都
- 千代田区・宮内庁三の丸尚蔵館脇で、現存する最古とみられる江戸城の石垣。江戸時代初期・1610〜1620年ごろ築造された堀の石垣と推定。千代田区4/13発表。[時事通信]
- 京都府
- 綴喜郡井手町・栢ノ木遺跡(かやのきいせき)で、井手寺に伴う塔跡。奈良時代後半〜平安時代前期に建立。主要伽藍とは別に塔を中心とする施設、塔院を形成していた可能性。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センターの調査。4/17現地説明会。
栢ノ木遺跡現地公開のご案内[公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター]
井手町・井手寺跡の隣接地で、寺域の範囲外から、五重塔とみられる建物の基礎部分。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター4/14発表。4/17現地説明会。[京都新聞]
▼栢ノ木遺跡関連記事→2002年5月30日 - 堺市
- 大塚山古墳から、戦後すぐの調査で見つかっていた鉄鏡のX線CT画像を分析。鏡の両面に竜の図像が象嵌されていた。百舌鳥古墳群に属す4世紀末〜5世紀末の古墳であったが、宅地開発で消滅した。[朝日新聞]
- 大分県
- 中津市・牛神城跡で、14〜19世紀の村落関連遺構。井戸、溝、水路、柵列など。大分県立埋蔵文化財センターの調査。
牛神城跡発掘調査速報[大分県立埋蔵文化財センター] - 中国
- 陝西省 西咸新区 高荘鎮・大堡子墓地で、前漢時代の大型墓地を調査し、漢代の銅鏡80枚出土。蟠螭文鏡、青雲文鏡、草葉文鏡、「家常富貴」内行花文鏡など。陝西省考古研究院の調査。[中国新聞網]
▼陝西省 咸陽市 涇陽県 高荘鎮 大堡子村
▼大堡子墓地関連記事→2020年11月27日 - 中国
- 長江の南、漢王朝の南西辺境に後漢末・2〜3世紀に行われた崖墓は、地域の伝統に対応。従来は漢墓の地方的展開とみられていた。
cf. Lia Wei "Funerary expressions on imperial frontiers: Burial caves south of the Yangzi River (2nd to 3rd century CE)" Archaeological Research in Asia. Volume 26 [ScienceDirect] - イラン
- ケルマーンシャー州(Ostān-e Kermānshāh)Qabaq Tappehで、新アッシリア時代(Neo-Assyria)の王サルゴン2世(Sargon II、在位紀元前721年〜前705年)に関連した銘文。楔形文字(cuneiform)で23行を刻む。[Tehran Times]
- ブルガリア
- ロヴェチ州(Област Ловеч;Oblast Lovech)トロヤン(Троян;Troyan)のデブネヴォ砦(Дебнево;Debnevo Fortress)で、第一次ブルガリア帝国・9〜10世紀の革帯用の青銅装飾。第一次ブルガリア帝国(Първа българска държава;First Bulgarian Empire)と第二次ブルガリア帝国(Второ българско царство;Second Bulgarian Empire)の地下壕。
Ancient Bulgar strap decorations, dugouts from medieval Bulgarian Empire found in Debnevo Fortress near Troyan[Archaeology in Bulgaria] - イタリア
- アブルッツォ州(Regione Abruzzo)キエーティ県(Provincia di Chieti)トッロ(Tollo)のサン・ピエトロ通り(contrada San Pietro)で、ローマ時代の邸宅。白黒のモザイクや、彩色の石膏が出土。[ANSA]
- UK(イングランド)
- ノース・ヨークシャー州(North Yorkshire)スカボロー(Scarborough)で、ローマ時代 の邸宅。平面円形の部屋と平面長方形の浴室を備える、独特の配置。[BBC]
- エジプト
- 紅海(Red Sea)のサダナ島(Saadana Island)で、沈没船の船体や積み荷を発掘。東南アジアからエジプトへの航海中、サンゴ礁にぶつかって沈没したとみられる。一部は1994年に発見されていた。[Egypt Today]
- ケニア
- トゥルカナ東部(East Turkana)で1974年に見つかったホモエレクトゥス(Homo Erectus)の頭蓋骨について、190万年前ごろと確認。これまで発見された最古の化石と確認。
Revisiting a Renowned Skull From Early Human Homo Erectus[American Museum of Natural History]
cf. Ashley S. Hammond, Silindokuhle S. Mavuso, Maryse Biernat, David R. Braun, Zubair Jinnah, Sharon Kuo, Sahleselasie Melaku, Sylvia N. Wemanya, Emmanuel K. Ndiema, David B. Patterson, Kevin T. Uno & Dan V. Palcu "New hominin remains and revised context from the earliest Homo erectus locality in East Turkana, Kenya" Nature Communications. volume 12, Article number: 1939 (2021) [Nature Communications] - ナイジェリア
- ナイジェリア中部のノク文化(Nok Culture)の先史土器450点以上を化学分析し、何を調理したかを推定。1/3程度の土器は、蜜蝋の加工や貯蔵のために使用。同地での蜂蜜の使用が3500年前にさかのぼる。先史時代の西アフリカでは、蜂蜜使用の証拠は初。
Ancient pottery reveals the first evidence for honey hunting in prehistoric West Africa[University of Bristol]
cf. Julie Dunne, Alexa Höhn, Gabriele Franke, Katharina Neumann, Peter Breunig, Toby Gillard, Caitlin Walton-Doyle & Richard P. Evershed "Honey-collecting in prehistoric West Africa from 3,500 years ago" Nature Communications. volume 12, Article number: 2227 (2021) [Nature Communications] - USA
- ユタ州(State of Utah)・フィッシュレイク高原(Fish Lake Plateau)で、湖の堆積物、樹木の年輪データ、考古資料により、1200年の火、気候、ヒトの活動の関係を調査。集約的に農耕をしている900年〜1400年の間は、小規模で頻繁に火を用いており、このようなcultural burningが、大規模な森林火災の危機を減らす役割をしていた。1400年ごろに大規模農耕をやめて以降は、火の使用頻度は低下。
Indigenous land-use reduced catastrophic wildfires on the Fish Lake Plateau [EurekAlert]
フィッシュレイク高原(Fish Lake Plateau)は、北米西部で唯一のトウモロコシ栽培が行われていたが、放棄された。
cf. Vachel A. Carter, Andrea Brunelle, Mitchell J. Power, R. Justin DeRose, Matthew F. Bekker, Isaac Hart, Simon Brewer, Jerry Spangler, Erick Robinson, Mark Abbott, S. Yoshi Maezumi & Brian F. Codding "Legacies of Indigenous land use shaped past wildfire regimes in the Basin-Plateau Region, USA" Communications Earth & Environment. volume 2, Article number: 72 (2021) [Nature]
2021年4月13日(火)
- 群馬県
- 玉村町・高井遺跡で平安時代の水田跡など。玉村町教育委員会の調査。4/11現地説明会。[上毛新聞]
- 神奈川県
- 伊勢原市・子易・中川原遺跡(こやす・なかがわらいせき)で、中世寺院跡の北側から、中世の納骨施設を伴った礎石建物と掘立柱建物や石組墓。公益財団法人かながわ考古学財団の調査。4/25現場見学会。
【2021年4月25日開催】伊勢原市「子易・中川原遺跡」発掘現場見学会[公益財団法人かながわ考古学財団]
▼子易・中川原遺跡関連記事→2020年2月12日 - 名古屋市
- 熱田区・高蔵1号墳(たかくらいちごうふん)で1954年に出土した鉄製大刀の柄に銀線を巻いて装飾。古墳は7世紀前半の円墳、18m。尾張南部を広域に治めた最高ランクの人物だった可能性。名古屋市博物館などの調査。[中日新聞]
- 堺市
- 大山古墳(仁徳天皇陵)で、2018年の台風21号により多数の倒木が発生し、墳頂などの埴輪が地中から露出する被害。被害はほかの陵墓でも。[共同通信]
- 韓国
- 羅州・丁村古墳から出土した、大小の刀からなる「母子刀」について、製作技術を復元。国立羅州文化財研究所の研究。[東亜日報]
▼全羅南道 羅州市 多侍面 伏岩里
▼丁村古墳関連記事→2019年10月10日 - 中国
- 玉蟾岩遺跡(Yuchanyan)で出土した土器は18300年前(cal BP)。油脂の精製や骨の煮沸に使用。これらには、大規模な努力と協力を要しており、製品を一個人が独占することはできなかったと考えられる。
cf. Ilaria Patania, Yitzchak Jaffe "Collaboration, not competition: A geoarchaeological approach to the social context of the earliest pottery" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 62 [ScienceDirect]
▼湖南省
▼玉蟾岩遺跡関連記事→2009年6月2日 - クウェート
- ファイラカ島(Failaka Island)のアル・クスール(al‐Qusur)にある初期イスラーム時代の修道院で出土した土器の編年研究。修道院はサーサーン朝末期に成立し、9世紀に廃絶。土器の産地から、ファイラカ島が交換ネットワークに組み込まれていたことを解明。
cf. Rémi Perrogon, Julie Bonnéric "A consideration on the interest of a pottery typology adapted to the late Sasanian and early Islamic monastery at al‐Qusur (Kuwait)" Arabian Archaeology and Epigraphy. First published: 13 April 2021 [Wiley Online Library] - パレスチナ(ガザ地区)
- ディール・アル・バラフ(Deir al-Balah)の聖ヒラリオン修道院(St. Hilarion Monastery)で、ビザンティン時代・6世紀の墓3基やモザイク。聖ヒラリオン修道院は329年建造開始。[Al-Monitor]
- ギリシャ
- サラミス島(Σαλαμίς;Salamis)のアンペラキア湾(Αμπελάκια;Ampelakia)で古代都市サラミスの水没した防波堤を発掘。建設時期は2回に分かれ、いずれもクラシック時代(Classic era)・紀元前4世紀。発掘地点は、ペルシャ戦争中のサラミス湾の戦い(Battle of Salamis、紀元前480年)の時、ギリシャ艦隊が終結した場所。[Greek Reporter]
- 南アフリカ
- 西ケープ州(Provinsie Wes-Kaap;Western Cape Province)・アイゼルフォンテン1岩陰遺跡(Ysterfontein 1)にあるアフリカ中期石器時代(Middle Stone Age;MSA)の貝塚は、ダチョウの卵の殻を230Th/U分析により12万年前〜11万3千年前と測定。同遺跡で出土した歯はアフリカ南部で発見されたホモサピエンスとしては最古級。ダチョウの卵の殻の炭素・窒素・酸素の安定同位体から、この時期には急速な寒冷化と乾燥化が進んでいたことも判明。
cf. Elizabeth M. Niespolo, Warren D. Sharp, Graham Avery, and Todd E. Dawson "Early, intensive marine resource exploitation by Middle Stone Age humans at Ysterfontein 1 rockshelter, South Africa" Proceedings of the National Academy of Sciences. April 20, 2021 118 (16) e2020042118 [PNAS] - 北米太平洋岸
- 北米太平洋岸の先史時代の人類には、サケの赤身の蛋白質を過剰摂取することによる症状「salmon starvation」を防いで脂肪を摂取する方法があった。カリフォルニア州ではドングリ、オレゴン州とワシントン州では根菜類や脂肪の豊富な魚、さらに北方ではアザラシやセイウチなど脂肪分の多い海洋哺乳類で脂肪を摂取。北方の内陸部では、交易により脂肪を入手したり、カリブーやヘラジカの骨髄を利用。
Prehistoric Pacific Coast diets had salmon limits[Washington State University]
cf. Shannon Tushingham, Loukas Barton, Robert L. Bettinger (2021) How ancestral subsistence strategies solve salmon starvation and the “protein problem” of Pacific Rim resources. American Journal of Physical Anthropology. [Wiley Online Library]
2021年4月12日(月)
- ネパール
- ダルチュラ郡(Darchula)の山林火災で、森林や動物、生態系だけでなく考古資料も被害に。[The Himalayan Times]
▼スドゥパシュチム・プラデーシュ州(Sudurpashchim Pradesh) - スリランカ
- 東部州(Eastern Province)ポットゥビル(Pottuvil)のBakmitiyawa Thiorigolla地域で、碑文や舎利塔などの考古資料がトレジャーハンターによる盗難被害に。[The Sunday Times]
- トルコ
- イスタンブル(İstanbul)のカバタシュ(Kabataş)で、1891年に建設されたエルミズ缶詰工場(Ermys Canned Food Factory)の跡。より古い時代の港跡があった可能性も。[Hürriyet Daily News]
▼イスタンブル市ベイオール地区(Beyoğlu) - ブルガリア
- スタラ・ザゴラ州(Област Стара Загора;Oblast Stara Zagora)ラドネヴォ(Раднево;Radnevo)近くの中世・12世紀の大規模墓地で木棺墓やガラス製装身具、青銅製装身具など。ビザンティン帝国の支配下にあった時代。
Wooden coffin burials, glass jewels discovered in vast medieval necropolis near Bulgaria’s Radnevo[Archaeology in Bulgaria] - アイルランド
- ロスコモン州(County Roscommon)ロスコモン(Roscommon)で、18世紀の市壁とみられる壁。フランシス・プランケット(Francis Plunkett)による1736年の地図にみみられる、メインストリートに連なるアーチ門に対応。一方、下水道の可能性も指摘されている。[Roscommon Herald]
2021年4月11日(日)
- 中国
- 浙江省 余姚市 三七市鎮 相嶴村・施嶴遺跡で良渚文化・紀元前2900年〜前2700年の丸木舟。寧波地区では最古の丸木舟。長さ5.6m、幅40〜80cm。浙江省文物考古研究所の調査。[新華社]
▼施嶴遺跡関連記事→2020年12月14日 - イスラエル
- ロシュ・ハアイン(Rosh Haayin)で、アッシリアによる支配の時代・紀元前8世紀〜前6世紀の農作物加工場。ワイン圧搾機や、貯蔵穴などを確認。また、ヘレニズム時代の銀貨。[Express]
- ウクライナ
- ポルタヴァ州(Полтавська область;Poltava Oblast)マラ・ペレシチェピナ(Мала Перещепина;Mala Pereshchepina)にある、7世紀に大ブルガリア(Стара Велика България;Old Great Bulgaria)を築いたコブラティス(クブラト;Кубрат;Kubrat) の墓所の記念碑(2012年)が毀損される。
Vandals tear down monument of Khan Kubrat, founder of 7th century Old Great Bulgaria, in today’s Ukraine[Archaeology in Bulgaria] - エジプト
- 紅海沿岸のヘレニズム時代の都市ベレニケ(Βερενίκη;Berenike)の建設年代が、紀元前3世紀第3四半期と判明。プトレマイオス朝のプトレマイオス2世ピラデルポス(Πτολεμαίος Φιλάδελφος;Ptolemy II Philadelphus)が建設したという大プリニウス(Plinius Maior;Pliny the Elder)の記述を裏付け。
cf. Marek A. Woźniak, Steven E. Sidebotham, Marta Osypińska, Alfredo Carannante and Joanna K. Rądkowska "Ptolemaic Berenike: Resources, Logistics, and Daily Life in a Hellenistic Fortress on the Red Sea Coast of Egypt" American Journal of Archaeology. Vol. 125, No. 2 (April 2021), pp. 247-281 [JSTOR] - チュニジア
- ケフ(Kef)のOued Souaniで、ローマ時代の遺跡。オリーブ油圧搾機や貯水池、水道システムなどを発見。チュニジア国立文化遺産機構(Institut national du patrimoine)の調査。[La Presse Tunisie]
- メキシコ
- バハ・カリフォルニア(Baja California)の貝塚遺跡で出土した大型魚トトアバ(Totoaba macdonaldi)の耳石(Otolith)を分析。先住民が獲ったトトアバの約78%は幼魚。
cf. Amira F. Ainis, Antonio Porcayo-Michelini, René L. Vellanoweth, Andrea Guía-Ramírez "Morphometric and stable isotope analysis of archaeological Totoaba macdonaldi otoliths, Baja California, México" Quaternary International [ScienceDirect]
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