考古学のおやつ/NEWSLINK

2021年4月30日（金）

中国: 陝西省西安市杜陵邑で、前漢晩期の貴族または官吏の墓の中から、布袋に入った穀物。陝西省考古研究院の調査。[中国新聞網]
中国: 詹其遺跡（Zhanqi）で出土した寺窪文化（Siwa culture）・3350年前～2650年前（cal BP）の馬鞍口双耳陶罐について、使用痕分析と、遺存物の分析。キビと、反芻動物の乳製品を調理。寺窪文化は文献に登場する羌（Qiang）、戎（Rong）に関連付けられ、彼らは肉を多く食べる遊牧民と文献に記載されてるが、今回の研究は、肉中心の食生活であることを支持。
cf. Karine Taché, Yitzchak Jaffe, Oliver E. Craig, Alexandre Lucquin, Jing Zhou, Hui Wang, Shengpeng Jiang, Edward Standall, Rowan K. Flad ’What do “barbarians” eat? Integrating ceramic use-wear and residue analysis in the study of food and society at the margins of Bronze Age China’ PLoS ONE 16(4): e0250819. [PLOS ONE]
サウジアラビア: アラビア半島（Arabian Peninsula）北西部の新石器時代（Neolithic）の石造物「ムスタティール」（mustatil）は、部屋や入口、オルトスタト（orthostat）などを備えた複雑な構造。紀元前6千年紀にさかのぼり。ウシの信仰の証拠も。
cf. Hugh Thomas, Melissa A. Kennedy, Matthew Dalton, Jane McMahon, David Boyer and Rebecca Repper "The mustatils: cult and monumentality in Neolithic north-western Arabia" Antiquity, First View, pp. 1 - 22 [Cambridge Core]
ギリシャ: エーゲ海地域の初期～中期青銅器時代のミュケナイ文化（Mycenaean）＝ヘラディック文化（Helladic）、キクラデス文化（Cycladic）、ミノス文化（Minoan）のゲノムを分析。初期青銅器時代・紀元前3000年ごろのエーゲ海の住民のゲノムは同質で、新石器時代の農耕民に由来する。新石器時代のコーカサスからの影響があり、初期青銅器時代にはエーゲ海の東からも少数の人の移動を想定。ギリシャ北部の中期青銅器時代には、紀元前2600年～前2000年のポントス・カスピ海草原（Pontic–Caspian steppe）の遺伝子の流れの影響を受けている。現代のギリシャ人の遺伝子は紀元前2000年の北ギリシャのエーゲ海と同様。
cf. Florian Clemente, Martina Unterländer, Olga Dolgova, Carlos Eduardo G. Amorim, Francisco Coroado-Santos, Samuel Neuenschwander, Elissavet Ganiatsou, Diana I. Cruz Dávalos, Lucas Anchieri, Frédéric Michaud, Laura Winkelbach, Jens Blöcher, Yami Ommar Arizmendi Cárdenas, Bárbara Sousa da Mota, Eleni Kalliga, Angelos Souleles, Ioannis Kontopoulos, Georgia Karamitrou-Mentessidi, Olga Philaniotou, Adamantios Sampson, Dimitra Theodorou, Metaxia Tsipopoulou, Ioannis Akamatis, Paul Halstead, Kostas Kotsakis, Dushka Urem-Kotsou, Diamantis Panagiotopoulos, Christina Ziota, Sevasti Triantaphyllou, Olivier Delaneau, Jeffrey D. Jensen, J. Víctor Moreno-Mayar, Joachim Burger, Vitor C. Sousa, Oscar Lao, Anna-Sapfo Malaspinas, Christina Papageorgopoulou "The genomic history of the Aegean palatial civilizations" Cell [Cell]
イタリア: モリーゼ州（Regione Molise）イゼルニア（Isernia）のオッチデンターレ通り（via Occidentale）で、ローマ皇帝アウグストゥス（Augusto；Augustus）の大理石像の頭部。[isNews]
スイス: ナータース（Naters）で、中期新石器時代・紀元前4700年～前3500年の集落。[Blick]
ドイツ: バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）ビーベラッハ郡（Landkreis Biberach）ロート・アン・デア・ロート（Rot an der Rot）にあるロート・アン・デア・ロート修道院（Kloster Rot an der Rot）で、回廊（Kreuzgang）跡。回廊の周囲には墓がなく、すべて改葬されたと推定。また、1440年以前の地下室の出入り口も発見。[Schwäbische Zeitung]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）シュタインフルト郡（Kreis Steinfurt）ホルストマール（Horstmar）のホルストマール城（Burg Horstmar）で、直径14mの天守（Burgturm）跡。高さは25m以上と推定。12～15世紀の城。[Die Glocke]
ドイツ: ドルトムント（Dortmund）の東門近くで発見された中世の板敷きの道路は放射性炭素年代で12世紀ごろ、11世紀の可能性も。これまで発見されていたものよりも古い。[Ruhr24]
ドイツ: シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州（Land Schleswig-Holstein）ノルトフリースラント郡（Kreis Nordfriesland）のシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン干潟国立公園（Nationalpark Schleswig-Holsteinisches Wattenmeer）に属すアムルム島（Insel Amrum）のノルトドルフ（Norddorf）で調査されたナイアーフーウフ（Naierhuuch）と呼ばれる墳丘墓（Grabhügel）は、3時期に分けて築造されており、最初に築かれた中央の石造りの部分は新石器時代（Jungsteinzeit；Neolithic）にさかのぼる。従来は青銅器時代・紀元前1500年ごろ築造開始とみられていた。[derStandard]
フランス: グラン・テスト地域圏（Grand Est）オート＝マルヌ県（Haute-Marne）ラングル（Langres）で、ガロ=ローマ時代・1～2世紀の墓地。成人と子供で異なる埋葬法。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Une emprise de la nécropole antique de Langres réservée aux tous jeunes enfants (Haute-Marne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
スペイン: セビリア（Sevilla；Seville）の宮殿アルカサル（Real Alcázar）の礼拝堂で、鉛棺に納められた中世・700年前の少女の遺体。石室は20世紀に作られており、1930年～1940年の礼拝堂の工事の際に移葬か。[El País]
スウェーデン: ヴェストラ・イェータランド県（Västra Götalands län）アリングソース（Alingsås）近くの森で、市民が青銅器時代（Bronze Age）・紀元前750年～前500年の装身具などの祭祀遺物50点を発見。高位の女性に関連か。埋葬関係以外の祭祀遺物は水辺の聖域に置かれることが多いが、森の中からの出土は珍しい。[Heritage Daily]
UK（イングランド）: ノースヨークシャー州（North Yorkshire）ハロゲート（Harrogate）のスコットン（Scotton）で、中世・13～16世紀の富農の所有した家屋跡を発見。[The Yorkshire Post]

2021年4月29日（木）

三重県: 鈴鹿市・磐城山遺跡（ばんじょうざんいせき）で、石を加工した楕円形の遺物。5～6世紀の模造鏡。鈴鹿市の調査。[中日新聞]
▼磐城山遺跡関連記事→2012年11月14日
奈良県: 桜井茶臼山古墳、黒塚古墳、天神山古墳で出土した古墳時代前期の朱について、硫黄、水銀、鉛を同位体分析し、日本と中国の複数の鉱山の辰砂と比較。複数の元素の同位体比を組み合わせることで、桜井茶臼山古墳の朱は大和水銀鉱山、黒塚古墳と天神山古墳の朱は丹生鉱山のものと同定。
cf. Takeshi Minami, Akinori Takeuchi, Setsuo Imazu, Masayoshi Okuyama, Yu Higashikage, Toshinori Mizuno, Kosaku Okabayashi, Kazuya Takahashi "Identification of source mine using sulfur, mercury, and lead isotope analyses of vermilion used in three representative tombs from Kofun period in Japan" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]
インドネシア: ジャンビ州（Jambi）東ジャブン（East Jabung）のランブル村（Lambur）で、16世紀前半の木造船。長さ24m、幅5.5ｍ。外洋航海可能。[VOI]
ギリシャ: 西マケドニア地方（Δυτική Μακεδονία；Western Macedonia）コザニ県（Περιφερειακή ενότητα Κοζάνης；Κοζάνη；Kozani）マヴロピギ（Μαυροπηγή；Mavropigi）で、後期ヘレニズム時代（Late Hellenistic）・紀元前1世紀の女性の墓。被葬者は木のベッドに横たわる。コザニは古代エオルデア（Εορδαία；Eordaia）に当たる。葬送に用いられた木製のベッドが発見されるのは初。[Keep Talking Greece]
イタリア: ローマの聖ペテロとマルケリヌス地下墓地（Saint Peters and Marcellinus catacombs）に葬られたローマ帝政期の人物「US215/Mand1」について、安定同位体、歯の形態、DNAを分析。ナイル川流域、またはサハラ砂漠中央部の出身。領域外のアフリカ生まれの人物がローマに来たことが証明できる初めての例。奴隷として強制的に移住させられた可能性。
cf. Kevin Salesse, Élise Dufour, Vincent Balter, Robert H. Tykot, Nina Maaranen, Maïté Rivollat, Arwa Kharobi, Marie-France Deguilloux, Marie-Hélène Pemonge, Jaroslav Brůžek, Dominique Castex "Far from home: A multi-analytical approach revealing the journey of an African-born individual to imperial Rome" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ヘクスター郡（Kreis Höxter）ヴァールブルク（Warburg）のオッセンドルフ（Ossendorf）で、中世の道路の一部。[Neue Westfälische]
UK（イングランド）: サウス・ヨークシャー州（South Yorkshire）シェフィールド（Sheffield）で、第一次・第二次世界大戦のときに数千人が収容されたロッジムーア収容所（Lodge Moor camp）が、森林間伐工事で毀損。[YorkshireLive]
アイルランド: ボイン川（River Boyne）の河床で、丸木舟。水位が低下したときに、市民考古学者がドローンで撮影。2020年に発見されていた、中近世・400年～1654年とされる丸木舟か。[The Irish Times]

2021年4月28日（水）

韓国: 大邱・八莒山城で、新羅・7世紀初めの木簡11点。7点に文字や文字の痕跡。穀物の名や、年代を表す干支の記載。1号木簡に「壬戌年」、6号・7号木簡に「丙寅年」の干支。八莒山城は6世紀後半～7世紀初めなので、干支は602年と606年に当たると推定。[聯合ニュース]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya il）カシュ郡（Kaş）・パタラ遺跡（Πάταρα；Patara）で、オスマン帝国の無線電信局の建物。1906年にアブデュルハミト2世（Abdülhamid II）が、北アフリカのオスマン帝国領との連絡のために建てる。1912年にイタリア軍に攻撃されたときの薬莢も出土。[Hürriyet Daily News]
ドイツ: ベルリン（Berlin）のフィッシャーインゼル（Fischerinsel）で2016年に発見された中世・14世紀のトイレが、保存のため移設。ベルリン最古の煉瓦積み建物。[Die Zeit]
UK（イングランド）: ウェスト・ヨークシャー州（West Yorkshire）ウェイクフィールド（Wakefield）のフィッツウィリアム（Fitzwilliam）で、ローマ時代・2000年前の窯。[Wakefield Express]
エジプト: 上エジプト（Upper Egypt）のテーベ（Thebes）で王族墓から出土したとされる紀元前1世紀のミイラを分析し、妊婦のミイラと判明。エリートの女性で20～30歳で、丁寧にミイラ化され豊富な護符を伴う。妊娠26週～30週。防腐処理された妊婦の最初の例。
cf. Wojciech Ejsmond, Marzena Ożarek-Szilke, Marcin Jaworski, Stanisław Szilke "A pregnant ancient egyptian mummy from the 1st century BC" Journal of Archaeological Science. [ScienceDirect]
カナダ: ユーコン準州（Yukon Territory；Territoire du Yukon）で出土した6000年前の投げ槍（throwing dart）に付着していた遺存物を分析。ビーバーから採れる海狸香（castoreum）と判明。武器に海狸香を使用した最古例。
cf. Kate Helwig, Jennifer Poulin, Valery Monahan, Christian Thomas "Ancient throwing dart reveals first archaeological evidence of castoreum" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]
メキシコ: メヒコ州（Estado de México）トラルマナルコ市（Tlalmanalco）で、都市国家（アルテペトル、altépetl）の一つトラコチュカルコ（Tlacochcalco）の首都のピラミッドの基底部。三層構造で、基底部で12m×18m、高さ9m。チャルコ（Chalco）が覇権を握っていた1350年～1465年に築かれ、1465年以降、メシカ人の支配下で拡張。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。
Descubren vestigios de basamento piramidal en Tlalmanalco, Estado de México[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
授賞: 第3回日本高麗浪漫学会、高麗澄雄記念「渡来文化研究大賞」に、吉村武彦ほか『渡来系移住民―半島・大陸との往来』（岩波書店）。渡来文化研究奨励賞に、古川匠『古墳時代の装飾馬具生産体制』（雄山閣）。[朝日新聞]

2021年4月27日（火）

韓国: 慶尚北道慶州市で、新羅の始祖・赫居世の妻・閼英にまつわる水路を幅11m、150mにわたり確認。石橋の跡も。679年に東宮と苑池を結んだものと推定。[聯合ニュース]
中国: 湖南省澧県・孫家崗遺跡で肖家屋脊文化の大型建築。[中国社会科学院考古研究所]
▼湖南省常徳市澧県
▼孫家崗遺跡関連記事→2020年5月9日
中国: 甘粛省臨潭県（Lintan County）・磨溝遺跡（Mogou）の、青銅器時代・紀元前1750年～前1100年の墓地で出土した人骨757体、（斉家文化（Qijia culture）665体、寺窪文化（Siwa culture）92体）により、建康状態を推定。栄養不足で、さまざまな感染症、先天性疾患など、慢性的に生理的ストレス。頭蓋の手術や暴力の痕跡も。
cf. Jenna M. Dittmar, Elizabeth S. Berger, Ruilin Mao, Hui Wang and Hui-Yuan Yeh "The Mogou Bioarchaeology Project: exploring health in the Chinese Bronze Age" Antiquity, First View, pp. 1 - 7 [Cambridge Core]
中国: チベット自治区で、山頂などに設けられたシャンシュン王国（Zhang Zhung）時代の立方体の墓は、ボン教（Bon）の高僧を埋葬。遠くからも見える位置にあり、周囲の砦などの遺構と有機的に配置。
cf. Rocco N. Bowman, Karl E. Ryavec "Viewsheds of cubic mountaintop tombs in Upper Tibet (Zhang Zhung)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]
オーストリア: 南オーストラリア州（South Australia）カンガルー島（Kangaroo Island）のアメリカンリバー（American River）で、1887年～1889年に操業された缶詰工場跡を調査。[The Islander]
ロシア: ノヴォシビルスク州（Новосибирская область；Novosibirsk Oblast）のオビ川（Обь；Ob）で、北インド製の2100年前の青銅製の踊る男性像。川を渡るときの安全を祈って川の神に捧げられたか。[The Siberian Times]
ポーランド: ワルシャワ（Warszawa；Warsaw）のブルドノ（Bródno）にあるユダヤ人墓地で、ワルシャワ・ゲットー（Getto Warszawskie；Warsaw Ghetto）のユダヤ教指導者ラビ（Rabbi）だったイツハク・メイル・カナウ（Icchak Meir Kanał）の墓石を発見。第二次世界大戦中にウムシュラークブラッツ（Umschlagplatz）で銃殺。[The First News]
UK（イングランド）: ドーセット州（the county of Dorset）ウェイマス（Weymouth）のノースキー（North Quay）で、中世の家。遺跡はイングランド内戦中の1645年にウェイマスの戦いが起こった場所。[Dorset Echo]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）セント・オーラ（St Ola）のSaverockで、初期新石器時代・紀元前3600年～前3200年の集落。土器とともに、巨大な磨り臼（saddle quern）が出土。スカラ・ブレイ遺跡（Skara Brae）を数百年さかのぼる。[The Scotsman]
エジプト: ダカリーヤ県（Daqahliya；Dakahlia）のコム・エル＝ケルガン遺跡（Kom el Khelgan；Kom Al-Khalejan）で、ブト1期（Buto I）、ブト2期（Buto II）、ナカダ3期（Naqada III）、第二中間期（Second Intermediate Period）＝ヒクソス時代の墓110基。ブト期の墓の大半は円形や楕円形で、被葬者を屈葬。ブト2期の小児を納めた甕棺も。第二中間期の墓のうち31基は長方形で伸展葬。[Egypt Today]
エジプト: 古代エジプトの棺やカルトナージュに塗布された黒色物質のうち、紀元前943年～前716年の遺物20点を分析。死海のアスファルト（bitumen）、針葉樹の樹脂、ピスタチオの樹脂などの混合物と判明。この時期も東地中海との間で貿易が行われていたことを実証。黒色物質はミイラ作りで用いられる香油とも共通しており、ミイラ化の儀式とも関連が想定される。
cf. Kate Fulcher, Margaret Serpico, John H. Taylor, and Rebecca Stacey "Molecular analysis of black coatings and anointing fluids from ancient Egyptian coffins, mummy cases, and funerary objects" Proceedings of the National Academy of Sciences. May 4, 2021 118 (18) e2100885118 [PNAS]
エジプト: 紅海（Red Sea）のサダナ島（Sadana Island；Saadana Island）で、1760年代の商業船のへさきや中央部分を発見。中国陶磁、ガラス容器、香辛料など出土。[DiverNet]
▼サダナ島の沈没船関連記事→2021年4月14日
USA: コロラド州、ユタ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州が接するフォー・コーナーズ地域（Four Corners）で、プエブロ人（Pueblo）の建築物の木製梁の年輪を分析し、伐採活動の変化を復元。バスケットメーカー3期（Basketmaker III）末・7000年ごろ、プエブロ1期（Pueblo I）末・900年ごろ、プエブロ2期（Pueblo II）・1140年ごろに社会的な回復力が低下し、同時期に暴力の兆候も増加。各時期の終わりごろに旱魃の証拠もある。500年～1300年に栄えたプエブロ人の社会が幾度か直面した崩壊危機は、旱魃だけが原因ではなく、社会的な緊張が蓄積されて、気候変動への対応がうまくいかなくなったため。プエブロIII期（Pueblo III）末・1200年代後半にプエブロ人がフォー・コーナーズ地域を捨てて南に移動した時は、社会的な脆弱性ではなく、外部集団との紛争が旱魃が重なったための現象。
Social tensions preceded disruptions in Pueblo societies[Washington State University]
cf. Marten Scheffer, Egbert H. van Nes, Darcy Bird, R. Kyle Bocinsky, and Timothy A. Kohler "Loss of resilience preceded transformations of pre-Hispanic Pueblo societies" Proceedings of the National Academy of Sciences. May 4, 2021 118 (18) e2024397118[PNAS]
グアドループ: グランド・テール島（Grande Terre）のレザビーム（Les Abymes）にあるプチ・ペルー（Petit-Pérou）で、後期土器時代（âge Céramique récent；Late Ceramic Age）・11～13世紀の集落や墳墓。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Une centaine de sépultures précolombiennes découvertes aux Abymes, en Guadeloupe[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2021年4月26日（月）

京都市: 北区・金閣寺の境内にある盛土（土壇）から昨年出土した木片は鎌倉時代・1225～1274年のもの。足利義満が建て、落雷で焼失した「北山大塔」の一部だった可能性。[朝日新聞]
奈良県: 斑鳩町・法起寺に伝わる如来立像に、飛鳥時代当初の部材が残っていた。奈良国立博物館のX線CTスキャンにより判明。[読売新聞]
サウジアラビア: アル・クワイイヤ（Al‐Quwaiyah Governorate）のムサイキラ遺跡（Musayqira）で、岩絵（rock art；petroglyphs）を調査。ヒト、狩猟の獲物、家畜、記号を描く。ロックバーニッシュ（rock varnish）の蓄積によって年代を推定し、後期新石器時代、青銅器時代、鉄器時代、イスラム時代の岩絵があることを確認。
cf. Meinrat O. Andreae, Abdullah Al‐Amri, Faisal Hamad Al‐Jibrin, Abdullah M. Alsharekh "Iconographic and archaeometric studies on the rock art at Musayqira, Al‐Quwaiyah Governorate, central Saudi Arabia" Arabian Archaeology and Epigraphy [Wiley Online Library]
パレスチナ: ヨルダン川西岸地区（West Bank）で、考古学的な遺跡の8割が損傷していると、イスラエルの右派系の考古学団体IHPCが主張。被害は、イスラエル国防軍（IDF）の管理下にあるC地区、パレスチナ政府の統治下にあるA地区・B地区の双方に及ぶ。[The Jerusalem Post]
イスラエル: ヤヴネ（Yavne）でビザンティン時代・4～5世紀のモザイク床。多色で幾何学文様。同遺跡で調査された数世紀にわたる大規模な産業地区の中でも、初の発見。イスラエル古代遺跡管理局（Israel Antiquities Authority）の調査。[Israel Ministry of Foreign Affairs]
トルコ: カフラマンマラシュ県（Kahramanmaraş il）ドゥルカディロウル（Dulkadiroğlu）で2007年の盗掘により発見された古代都市ゲルマニキア（Γερμανίκεια；Germanicia）は、1948年撮影の航空写真にマウンドが写っていた。違法住宅による毀損により、現在は建物17棟が残る。[Hürriyet Daily News]
ブルガリア: ヴィディン州（Област Видин；Oblast Vidin）シナゴフツィ（Синаговци；Sinagovtsi）で、ローマ時代・紀元前1世紀～紀元後3世紀の集落。紀元前1世紀にブルガリアのドナウ川沿いにローマ人がいた痕跡。ヴィディン（Видин；Vidin）の古代都市ボノニア（Bononia）と、アルチャル（Арчар；Archar）の古代都市ラティアリア（Ratiaria）の間に当たる。さらに、初期鉄器時代のトラキア人、初期中世・7～8世紀の遺構、第一次ブルガリア帝国、オスマン帝国の遺構も。
1st century bc traces of earliest Roman presence in Bulgaria on Danube discovered halfway between major antiquity cities Bononia (Vidin) and Ratiaria (Archar)[Archaeology in Bulgaria]
イタリア: ローマ（Roma；Rome）のパラティヌスの丘（Colle palatino；Palatine Hill）で出土した古代建築の板材（slab）、軒先飾（antefix）、ルテリオン（λουτήριον；Louterion）の窯業技術と彩色を分析。近隣のエトルリア都市ウェイイ（Veii）のテラコッタに類似。彩色層には顔料に含まれる鉄とマンガンとともに、価値のある作品には高価な顔料を使用。
cf. M. Fugazzotto, A. Stroscio, P. Mazzoleni, C. Panella, A. Russo, S. Raneri, G. Barone "Ceramic technology and paintings of archaic architectural slabs, louteria and antefixes from the Palatine Hill in Rome (Italy)" Archaeometry [Wiley Online Library]
スロバキア: トルナヴァ県（Trnavský kraj；Trnava）スロヴェンスカー・ノヴァー・ヴェス（Slovenská Nová Ves）で、大モラヴィア王国（Veľkomoravská ríša；Great Moravian Empire）時代・9世紀の墓5基。等間隔で、東西方向を向く。[The Slovak Spectator]
アイスランド: 火山洞窟でヴァイキングが岩から巨大な船を彫り出し、内部で動物の骨を高温で焼く。イラク由来のビーズ3個や、トルコ産の鉱物「雄黄」（orpiment）も出土。洞窟は終末の日「ラグナロク」（Ragnarök）にかかわる北欧神話の巨人スルト（Surtr）にかかわっており、祭祀はスルトをなだめ、ラグナノクを避ける目的か。
Vikings carved a massive boat into this volcanic cave to ward off the apocalypse[LiveScience]
溶岩洞窟スルツヘトリル（Surtshellir）
cf. Kevin P. Smith, Guðmundur Ólafsson, Albína Hulda Pálsdóttir "Ritual responses to catastrophic volcanism in Viking Age Iceland: Reconsidering Surtshellir Cave through Bayesian analyses of AMS dates, tephrochronology, and texts" Journal of Archaeological Science. Volume 126 [ScienceDirect]
南アフリカ: ワンダーウェーク洞窟（Wonderwerk Cave）の堆積年代を地磁気層序を利用して復元。洞窟内のオルドワン文化（oldowan）は180万年前にさかのぼる。ハンドアックスや、意図的な火の使用も100万年以上前に登場。[The Jerusalem Post]

cf. Ron Shaar, Ari Matmon, Liora K. Horwitz, Yael Ebert, Michael Chazan, M. Arnold, G. Aumaître, D. Bourlès, K. Keddadouche "Magnetostratigraphy and cosmogenic dating of Wonderwerk Cave: New constraints for the chronology of the South African Earlier Stone Age" Quaternary Science Reviews. Volume 259 [ScienceDirect]
▼北ケープ州（Noord-Kaap provinsie；Northern Cape Province）
▼ワンダーウェーク洞窟関連記事→2012年4月3日
USA: アリゾナ州（State of Arizona）北東部のトゥサヤン白色土器（Tusayan White Ware）について、ディープラーニングを利用し、装飾土器の破片の画像を、既存の型式学の枠組みの中に分類。適切に訓練させれば、訓練された専門の考古学者4人と同等か、それ以上の精度。
cf. Leszek M. Pawlowicz, Christian E. Downum "Applications of deep learning to decorated ceramic typology and classification: A case study using Tusayan White Ware from Northeast Arizona" Journal of Archaeological Science. Volume 130 [ScienceDirect]
ベリーズ: アンバーグリス・キー島（Ambergris Caye）について、花粉と炭化物により、6000年間の土地利用を復元。紀元前2900年から後古典期（Postclassic）までのトウモロコシ農耕（maize cultivation）の証拠。島の土地利用が盛んだった時期は、気候が不安定だった時期に対応。大陸のマヤ人が気候変動の時代に海岸部に移動したという仮説を実証。
cf. Adam Bermingham, Bronwen S. Whitney, Nicholas J. D. Loughlin, Julie A. Hoggarth "Island resource exploitation by the ancient Maya during periods of climate stress, Ambergris Caye, Belize" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37 [ScienceDirect]

2021年4月25日（日）

北海道: 洞爺湖町・入江貝塚で出土した人骨は、ポリオ（小児麻痺）にかかり、介護を受けながら成長した人物と説明されてきたが、DNAの分析で男性であることがわかり、筋ジストロフィーの可能性が高くなった。[産経新聞]
UK（イングランド）: レスターシャー州（the county of Leicestershire）スカルフォード（Scalford）で、ローマ時代の邸宅。モザイク、壁のしっくい、床下暖房（hypocaust）を備えた建物。壁や溝などを確認。Past to Present Archaeologyの調査。[BBC]
カナダ: ノバスコシア州（Nova Scotia；Nouvelle-Écosse）のハリファックス・コモン（Halifax Common）で発見された暗渠（culvert）が解体。船乗りに飲み水を供給したフレッシュウォーター・ブルック（Freshwater Brook）の一部だった。[CBC]

2021年4月24日（土）

台湾: 南投県にある日月潭の水位が13mも低下し、清の道光23年（1843年）の墓が露出。[聯合新聞網]
ギリシャ: テッサロニキ（Θεσσαλονίκη；Thessaloniki；Salonika）の城壁近くで、1500年前の小児の墓地。212基のうち9割が甕棺墓。ビザンティン帝国・451～452年の疫病被害者と推定。[H KAΘHMEPINH]
スーダン: 東サハラアトバラ地域（Atbara）東サハラで、ホモエレクトゥス（Homo erectus）の70万年前の石器。[Nauka w Polsce]
前期旧石器時代・アシュール文化（Acheulian）の石器出土。
cf. Mirosław Masojć, Ju Yong Kim, Joanna Krupa-Kurzynowska, Young Kwan Sohn, Maciej Ehlert, Grzegorz Michalec, Marzena Cendrowska, Eric Andrieux, Simon J. Armitage, Marcin Szmit, Ewa Dreczko, Jin Cheul Kim, Ji Sung Kim, Gwang-Soo Lee, Piotr Moska, Modather Abdalla Jadain "The oldest Homo erectus buried lithic horizon from the Eastern Saharan Africa. EDAR 7 - an Acheulean assemblage with Kombewa method from the Eastern Desert, Sudan" PLoS ONE 16(3): e0248279. [PLOS ONE]
アルジェリア: ジジェル（Jijel）でローマ時代末期・4～5世紀の葬祭施設のモザイクを発見。何者かによって破壊された状態。[Algérie360]

2021年4月23日（金）

岩手県: 紫波郡紫波町・北条館跡（ほうじょうだてあと：第1次調査）で、令和2年度までの調査で柱穴から出土した戦国時代の小札をX線撮影し、紐を通すための穴を確認。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター]
▼北条館跡関連記事→2019年7月3日
熊本県: 熊本地震やその後の余震で被害が確認された古墳48基のうち、復旧終了は12基、10基で復旧作業が進行中。ほかの古墳の多くは復旧方法を検討中。[朝日新聞]
鹿児島県: 南さつま市・中津野遺跡で2008年度に出土した木材は、弥生時代前期後半・2500年前の準構造船の舷側板。放射性炭素年代測定。鹿児島県立埋蔵文化財センター4/23発表。[南日本新聞]
▼中津野遺跡関連記事→2017年11月15日
韓国: 忠清南道泰安郡・泰安邑城で、朝鮮時代初頭と推定される門跡、甕城、堀、水路を初めて確認。粉青沙器、白磁、瓦、常平通宝、乾隆通宝など出土。泰安邑城は1417年築造。[聯合ニュース]
ベトナム: ハノイ（Hanoi）・タンロン（Thang Long）王城遺跡のキン・ティエン殿（敬天殿；Kinh Thien Palace）で、陳朝（Nhà Tran；Tran Dynasty；1225～1400年）、黎朝（Nhà Lê；Le dynasty；1428～1527，1532～1789年）の遺物。陳朝の円形の建物が発見されたが、タンロン王城で陳朝の遺構を確認したのは初。[Nhân Dân]
ニュージーランド: オタゴ地方（Otago）ダニーデン市（Dunedin）のプーラーカウヌイ（Pūrākaunui）で2001年に見つかった穴は、放射性炭素年代で1430年～1460年。堆積物からはサツマイモ（kūmara；Ipomoea batatas；sweet potato）に特有のでんぷんを検出。15世紀のマーオリ人（Māori）がサツマイモ貯蔵穴ルア・クーマラ（rua kūmara）にサツマイモを保管していたことを実証。コロンブスのアメリカ到達以前にニュージーランドにアメリカ大陸からサツマイモがもたらされていたことを示すとともに、サツマイモの貯蔵が巨鳥モアの滅亡と同時期であることを示す。貴重な食糧源であるモアを失ったことに対する対応か。
Groundbreaking kūmara research marries scientific evidence with mātauraka Māori[University of Otago]
cf. Ian G. Barber, Thomas F. G. Higham "Archaeological science meets Māori knowledge to model pre-Columbian sweet potato (Ipomoea batatas) dispersal to Polynesia’s southernmost habitable margins" PLoS ONE 16(4): e0247643. [PLOS ONE]
ウクライナ: ドニステール川（ドニエストル川；Дністер；Dniester）上流域のブキヴナ（Буківна；Bukivna）にある中期青銅器時代・コマルフ文化（Комарівська культура；Komarów culture）の墓地で、ダブルバロウ（double barrow）を物理探査。双極子異常を確認し、発掘調査で墓室とみられる、焼けた木と粘土による遺構を発見。
cf. Jan Romaniszyn, Jakub Niebieszczański, Mateusz Cwaliński, Vitaliy Rud, Iwona Hildebrandt‐Radke, Waldemar Spychalski, Ihor Kochkin, Paweł Jarosz, Cezary Bahyrycz, Robert Staniuk, Halyna Panakhyd, Przemysław Makarowicz "Middle Bronze Age cemeteries, ‘double barrows’ and mortuary houses in the Upper Dniester Basin, Western Ukraine: Geophysical prospection and archaeological verification" Archaeological Prospection First published: 22 April 2021 [Wiley Online Library]
ブルガリア: ヴァルナ州（Област Варна；Oblast Varna）ベログラデツ（Белоградец；Belogradets）で、初期銅石器時代・紀元前5000年のフリント石器工房。
Archaeologists find nearly 7,000-year-old Copper Age workshop for production of flint tools near Belogradets in Northeast Bulgaria[Archaeology in Bulgaria]
イタリア: プッリャ州（Regione Puglia）バーリ県（Città metropolitana di Bari）ビトント（Bitonto）のヘレニズム時代・紀元前3世紀の墓。女性の遺体と、女性よりも以前に埋葬され、追葬時に骨を寄せ集められた被葬者。ワインに関係したクラテル、オイノコエ、カンタロスを副葬。[La Gazzetta del Mezzogiorno]
スイス: ルツェルン湖（Lake Lucerne）の湖底で後期青銅器時代・紀元前1000年の柱上住居（pile dwelling）の木柱30基。ルツェルン湖の湖岸には従来の想定よりも2000年前からヒトが居住。[swissinfo]
スロバキア: ブラチスラヴァ（Bratislava）で、旧プレスブルク（Pressburg）のユダヤ人墓地の墓標450基を発見。墓地は1669年に設立され1847年まで埋葬。第二次世界大戦中の1942～1944年にトンネル建設のために墓地が破壊で、行方不明になっていた。[The Slovak Spectator]
フランス: オクシタニー地域圏（Occitanie）ニーム（Nîmes）のルジェ・ド・リスル通り（rue Rouget de Lisle）で、丘陵上に紀元前4世紀から紀元後2世紀のガリア人ウォルァエ族（Volcar；Volques）の都市跡。古代都市ネマウスス（Nemausus）に当たる。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Les archéologues de l’Inrap révèlent l’héritage volque de Nemausus[国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）のネス・オブ・ブロッガー遺跡（Ness of Brodgar）から出土した、後期新石器時代・5000年前の刻文土器（Grooved Ware）に陶工の指紋。[BBC]
▼ネス・オブ・ブロッガー遺跡関連記事→2020年6月3日
USA: テネシー州（State of Tennessee）のファーンヴェール遺跡（Fernvale）で出土した骨製刺突具を分析。紀元前3500年～前1600年ごろの、シチメンチョウ（Meleagris gallopavo）の骨をとがらせて作ったタトゥー道具。黒と赤の顔料が残る。直接同定された最古のタトゥー道具で、北米大陸南東部でのネイティヴアメリカンのタトゥーの習慣が少なくとも3000年以上に及ぶことがわかる。
cf. Aaron Deter-Wolf, Tanya M. Peres, Steven Karacic "Ancient Native American bone tattooing tools and pigments: Evidence from central Tennessee" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 37, June 2021, 103002 [ScienceDirect]
▼テネシー州（State of Tennessee）ナッシュビル（Nashville）
▼ファーンヴェール遺跡関連記事→2018年4月13日

2021年4月22日（木）

栃木県: 下野市・星野遺跡記念館4/29開館。故斎藤恒民氏が設立したが、斎藤氏の没後に休館、遺族が2017年に下野市に寄贈していた。[下野新聞]
トルコ: オルドゥ県（Ordu il）・クルル砦（Kurul Kalesi）が、頂部で発掘を継続中にもかかわらず、麓でダイナマイトによる採石が行われ、墳墓などが破壊されている。[Hürriyet Daily News]
▼クルル砦関連記事→2016年9月10日
ブルガリア: ヴァルナ州（Област Варна；Oblast Varna）ドゥルゴポル自治体（Дългопол；Dalgopol）のツォネヴォ（Цонево；Tsonevo）で、後期新石器時代（Late Neolithic）・ウソエ文化（Usoe Culture）・紀元前6千年紀末の祭祀用のテーブル。ヒツジとみられる角のある動物像をあしらう。また、中世の第一次ブルガリア帝国（Първа българска държава；First Bulgarian Empire）・9～10世紀の集落。
7,000-year-old ritual table with ‘horned animal’, First Bulgarian Empire settlement found near Varna in rescue digs[Archaeology in Bulgaria]
ハンガリー: ハンガリー大平原（Nagy Alföld；Great Hungarian Plain）の中期新石器時代・紀元前5500年～前5000年から後期青銅器時代・紀元前1450年～前800年の17遺跡で出土した89人について、歯の摩耗と安定同位体分析を組み合わせて食生活を復元。新石器時代には調理された食べ物を食べており、遺跡ごとに違いはあるが、肉や穀物を摂取していた。中期青銅器時代にはアワなどの消費が増えるが、調理方法への影響は見られない。
New results about the diets of people who lived on the Great Hungarian Plain [Eötvös Loránd Tudományegyetem]
cf. Raquel Hernando, Beatriz Gamarra, Ashley McCall, Olivia Cheronet, Daniel Fernandes, Kendra Sirak, Ryan Schmidt, Marina Lozano, Tamás Szeniczey, Tamás Hajdu, Annamária Bárány, András Kalli, Eszter K. Tutkovics, Kitti Köhler, Krisztián Kiss, Judit Koós, Piroska Csengeri, Ágnes Király, Antónia Horváth, Melinda L. Hajdu, Krisztián Tóth, Róbert Patay, Robin N. M. Feeney & Ron Pinhasi "Integrating buccal and occlusal dental microwear with isotope analyses for a complete paleodietary reconstruction of Holocene populations from Hungary" Scientific Reports, volume 11, Article number: 7034 (2021) [Scientific Reports]
ポーランド: ヴァルミア＝マズールィ県（Województwo warmińsko-mazurskie）オルシュティン郡（powiat olsztyński；Olsztyn）で、14～15世紀の剣、鞘、ベルトのバックル、ナイフ。ポーランド・リトアニア・ドイツ騎士団戦争中の1410年グルンヴァルトの戦い（Bitwa pod Grunwaldem；Battle of Grunwald、1410年）に関連か。[PAP]
イタリア: ピサ（Pisa）の奇跡の広場（ピサのドゥオモ広場；Piazza dei Miracoli）近くで、1985～1988年の出土品に、ローマ時代・紀元前元前2世紀半ば～前1世紀末の象牙製日時計。5cmあまり。
Dalle domus romane di Piazza dei Miracoli ritorna alla luce un orologio solare in miniatura[Università di Pisa]
スウェーデン: スコーネ地方（Skåne；Scania）のシムリス2遺跡（Simris II）で出土した後期青銅器時代（Late Bronze Age）の人骨のストロンチウム同位体を分析。
cf. Pernille Ladegaard-Pedersen, Serena Sabatini, Robert Frei, Kristian Kristiansen, Karin Margarita Frei "Testing Late Bronze Age mobility in southern Sweden in the light of a new multi-proxy strontium isotope baseline of Scania" PLoS ONE 16(4): e0250279. [PLOS ONE]

2021年4月21日（水）

東京都: 港区・高輪築堤（たかなわちくてい）の一部現地保存について、JR東日本が4/21正式表明。第七橋梁など2カ所を現地保存し、信号機跡などの一部を移築保存。[共同通信]
プレスリリース「品川開発プロジェクト（第Ⅰ期）における高輪築堤の調査・保存について」（pdf）[JR東日本]
▼高輪築堤関連記事→2021年4月5日
神戸市: 東灘区・住吉宮町遺跡（すみよしみやまちいせき）で、洪水で埋まった古墳2基。1号墳は5世紀前半の円墳（前方後円墳もしくは帆立貝形古墳の可能性あり）、直径18m。2段築成で斜面前面に葺石。周溝あり。2号墳は方墳。神戸市の調査。4/24現地説明会。
住吉宮町遺跡発掘調査現地説明会の開催～洪水に埋もれた葺石をもつ古墳を発見～[神戸市]
▼住吉宮町遺跡関連記事→2017年3月16日
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）ガンガイコンダ・チョーラプラム（Gangaikondacholapuram）のマリガイムドゥ（Maligaimedu）で、レンガ積みの壁や、10～11世紀の中国の青磁。チョーラ朝（Chola）のラージェーンドラ1世（Rajendra Chola I：在位1016～1044年）の王宮。[The Hindu]
▼マリガイムドゥ村関連記事→2016年1月11日
ギリシャ: テッサロニキ（Θεσσαλονίκη；Thessaloniki；Salonika）の地下鉄シントリヴァニ駅（Συντριβάνι；Syntrivani）の工事で、初期キリスト教の三廊式バシリカに、武器とともに葬られた5世紀初めのゴート人戦士の遺体。[Naftemporiki]
ブルガリア: ロヴェチ州（Област Ловеч；Oblast Lovech）ヤブラニツァ自治体（Ябланица；Yablanitsa）のブレストニツァ（Брестница；Brestnitsa）で、中世・第一次ブルガリア帝国（Първа българска държава；First Bulgarian Empire）・9～10世紀の、鉄鉱石を用いた大規模な製鉄工房。
Medieval metallurgical center at dugout settlement from height of First Bulgarian Empire discovered in Northwest Bulgaria[Archaeology in Bulgaria]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）シュマレンベルク（Schmallenberg）のヴィルツェンベルク山（Wilzenberg）の丘塞（hillfort）で、鉄器時代・紀元前300年～西暦紀元の150点以上の遺物。槍先、剣、盾、帯鉤、戦車で用いる轡、銀貨、留針など。硬貨と剣は紀元前1世紀。戦いによって得た敵の武器を折り曲げて埋納するケルトの風習を示す。
Iron Age warriors bent the swords of their defeated enemies, ancient hoard reveals[LiveScience]
▼ヴィルツェンベルク山関連記事→2021年3月31日
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）テックレンブルク（Tecklenburg）で、テックレンブルク城の庭（Tecklenburger Burghof）を地中探査し、1900年以前のテニスコート（Tennisplatz）を発見。ヴェストファーレン最古のテニスコート。[WDR]
▼ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）シュタインフルト郡（Kreis Steinfurt）
フランス: ラ・ロシェル港（La Rochelle）でデュラン埠頭（quai Durand）を発掘。中世～近代の運河、端、埠頭、城壁、道路、住宅を確認。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Fouille aux abords du havre de La Rochelle[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
フェノスカンジア: フェノスカンジア（Fennoscandia）北東部のサーミ人（Sámi）の1300年～1800年の集落遺跡3か所で出土したトナカイ（Rangifer tarandus；reindeer）の遺体を調査。骨格から、輓曳へのトナカイの利用を見出し、サーミ人によるトナカイの家畜化は14世紀にさかのぼる。従来の想定よりも古い。
cf. Anna-Kaisa Salmi, Mathilde van den Berg, Sirpa Niinimäki, Maxime Pelletier "Earliest archaeological evidence for domesticated reindeer economy among the Sámi of Northeastern Fennoscandia AD 1300 onwards" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 62 [ScienceDirect]
UK（イングランド）: ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）イースト・ケネット（East Kennett）で、初期青銅器時代・4500年前の墓。[This is Wiltshire]
USA: メリーランド州（State of Maryland）東海岸部（Eastern Shore）のブラックウォーター国立野生生物保護区（Blackwater National Wildlife Refuge）で、ハリエット・タブマン（Harriet Tubman）の父ベン・ロス（Bem Ross）の家を発見。レンガ、19世紀の土器、ボタン、引き出しの把手、古いレコード、パイプなど出土。[The Independent]

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