2021年9月10日(金)
- インド
- ウッタル・プラデーシュ州(Uttar Pradesh)エーター県(Etah)Bilsarhでグプタ朝(Gupta)・5世紀の寺院跡。階段にシャンカリピ文字(Shankhalipi)で「スリ・マヘンドラディティヤ」(Sri Mahendraditya)の銘文があり、グプタ朝のクマーラグプタ1世(Kumaragupta I;5世紀)の称号に一致。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[The Times of India]
- インド
- アーンドラ・プラデーシュ州(Andhra Pradesh) プラカサム県(Prakasam)Motupalli村で、12世紀のガネーシャ神(Ganesh)の石像。蓮華座の上で結跏趺坐(Padmasana)のポーズ。[The Hindu]
- イスラエル
- 低地ガリラヤのカフゼー洞窟(Qafzeh Cave)で出土した中期旧石器時代(Middle Palaeolithic)のカフゼー9号人骨(Qafzeh 9)について、最新の方法で死亡年齢と性別を再検討。歯や骨格が完全に成熟する前と認定。性別は男性説を支持。
cf. Dany Coutinho-Nogueira, Hélène Coqueugniot, Anne-marie Tillier "Qafzeh 9 Early Modern Human from Southwest Asia: age at death and sex estimation re-assessed" HOMO (2021) [Schweizerbart Science Publishers] - トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)アイヴァジュク郡(Ayvacık)ベフラムカレ村(Behramkale)の古代都市アッソス(Assos)で、ビザンティン時代・1300年前の鉄刀と斧。[Hürriyet Daily News]
▼アッソス関連記事→2021年9月4日 - イタリア
- シチリア州(Sicilia;Sicily)シラクーザ県(Siracusa)レンティーニ(Lentini)の古代ギリシャ植民市レオンティノイ(Λεοντῖνοι;Leontinoi)で、ギリシャ神殿の基礎。また、中世・13〜14世紀の城跡も。[Siracusa News]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)ミュンヘン(München)のマリーエンホーフ(Marienhof)で、1261年ごろの木造井戸を調査。後にトイレとして用いられ、上層からは、13〜15世紀の保存の良い毛髪の束。[Donaukurier]
- UK(イングランド)
- リンカンシャー州(Lincolnshire)テットニー(Tetney)で、初期青銅器時代・4000年前の木棺。男性の人骨と斧が出土。
Rare early Bronze Age log coffin discovered on Lincolnshire golf course [The University of Sheffield]
2021年9月9日(木)
- イラク
- クルド人自治区(Iraqi Kurdistan)アルビール(Arbīl;Erbil)のSurezhaで、紀元前5千年紀のイラン北西部に多いダルマ式土器(Dalma style pottery)の破片89年が出土。ダルマ式土器はイラン北西部に広く分布するが、ザグロス山脈(Zagros)より西のイラクからはほとんど出土しない。Suezhaとイランのダルマ・テペ(Dalma Tepe)で出土した土器では様式は似るが組成は異なり、Surezhaのダルマ式土器は地元で生産し、専門工人が作ったものではない。Surezhaの人々は、牧畜や外婚によって移動したとみられる。一方でダルマ・テペにもメドポタミアのウバイド終末/後期銅石器時代の土器が出土しており、ザグロス山脈を越えた相互の交流を示す。
cf. John Alden, Leah Minc, Savanna Buehlman-Barbeau, Gil Stein "Dalma ceramics at Surezha in the Erbil Plain: Stylistic, compositional, and petrographic evidence for trans-Zagros interaction during the Terminal Ubaid/Late Chalcolithic 1" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103168 [ScienceDirect] - トルコ
- ガズィアンテプ県(Gaziantep il)カルカムシュ(Karkamış)の古代都市カルケミシュ(Carchemish)のヒッタイト時代(Hittite)の「印章の家」(Seal House)で出土した土製印章100点のうち2/3はマティヤ(Matiya)という女性のもの。当時の行政における女性の地位を示す。[Hürriyet Daily News]
▼カルケミシュ関連記事→2019年4月19日 - ウズベキスタン
- バイスン(Boysun)のウズンダラ砦(Uzundara)で、塔や城壁の跡。出土遺物から、紀元前3世紀初めに再建、紀元前2世紀に放棄されたと確認。上層でバクトリア(Bactria)のエウテュデモス1世(Euthydemus I)の治世・紀元前235年〜前200年の硬貨。ウズンダラ砦は、ヘレニズム時代のバクトリアの北の国境の砦。セレウコス朝のアンティオコス1世の治世・紀元前3世紀初めに築造され、バクトリアのエウクラティデス1世の治世に遊牧民の攻撃で破壊されたと考えられている。[Heritage Daily]
- ドイツ
- シュバービアン=ユラ(Swabian Jura)にあるハイデンハイム郡 (Landkreis Heidenheim)ハイデンシュミーデ(Heidenschmiede)で、中期旧石器時代・45000年前のネアンデルタール人が複雑な石器製作技術を用いていた証拠。
[Phys.Org]
cf. Berrin Çep, Benjamin Schürch, Susanne C. Münzel, Jens Axel Frick "Adaptive capacity and flexibility of the Neanderthals at Heidenschmiede (Swabian Jura) with regard to core reduction strategies" PLoS ONE 16(9): e0257041. [PLOS ONE]
▼バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg) - ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)ラール(Lahr)のディンリンゲン(Dinglingen)で、ローマ時代の銀貨や銅貨。集落は100年ごろに作られ、200〜230年ごろに最盛期。[Badische Zeitung]
- オランダ
- ユトレヒト(Utrecht)で、ローマ時代のバリスタ砲(ballista)や馬具。バリスタは長さ52.6cmで、鎧も貫通する威力。馬具は儀式のときに沈められたものか。孔の開いた土器片の一つには「ISPANI」の銘文があり、イスパニアからの兵士が用いたと推定。[Gemeente Utrecht]
- オランダ
- デルフト(Delft)のデルフト新教会(Nieuwe Kerk)で、地下墓地(catacombs)から富裕な市民の遺体200体。教会が立地するマルクト(Markt)で以前見つかった人骨は貧困層であったのに対し、教会内には富裕層が葬られた。デルフト新教会には、16世紀のオラニエ公ウィレム1世とその一族が葬られている。[Dutch News]
2021年9月8日(水)
- 埼玉県
- 白岡市・入耕地遺跡(いりごうちいせき:第16地点)で、溝跡、地下式坑、土塁。白岡市の調査。9/4現地説明会。
入耕地遺跡発掘調査現地説明会を開催しました![白岡市]
▼入耕地遺跡関連記事→2019年1月23日 - 鳥取県
- 米子市・米子城跡(よなごじょうあと)の三の丸で見つかった江戸時代末期の米蔵跡は、南北6mの規模。また初代城主中村一忠の時期と思われる1600年ごろの石敷きの水路も。米子市9/8発表。[共同通信]
▼米子城跡関連記事→2021年9月6日 - 鳥取県
- 日野町・福長下モノ原遺跡で、製鉄炉に風を送る鞴の土台、鞴座の縁に並べ、土止め用に構築されたとみられる石列。[山陰中央新報]
- 初期イスラームの銀貨
- 初期イスラーム時代のウマイヤ朝(Umayyad)とアッバース朝(Abbasid)・704〜913年の銀貨26枚を分析すると、広くマット(硫化物)がみられ、同時に銀の純度の高さで有名。実験によると、灰吹法(cupellation)で硫化物は遺存できないので、これらの銀は鉛鉱石のみによったり、鉛を用いて作られたものではない。高品質の銀鉱石が存在したとみなすべき。中世初期の銀生産には方鉛鉱Pbs(galena)が多かったという従来説は疑問。
cf. Stephen W. Merkel "Evidence for the widespread use of dry silver ore in the Early Islamic period and its implications for the history of silver metallurgy" Journal of Archaeological Science. Volume 135, November 2021, 105478 [ScienceDirect] - トルコ
- カフラマンマラシュ県(Kahramanmaraş il)テュルコール郡(Türkoğlu)・ドムズテペ遺跡(Domuztepe)で、7500年前の集落。[Daily Sabah]
- イタリア
- アブルッツォ州(Abruzzo)ペスカーラ(Pescara)で、ローマ時代・200年ごろのモザイク。オスティア・アテルニ(Ostia Aterni)の港に隣接する建物で使われていた可能性。[ArcheoMedia]
- ドイツ
- リューベク(Lübeck)のアルフシュトラーセ(Alfstraße)18番地で、第二次世界大戦中の1942年のリューベク空襲で破壊された家の地下室からナッツケーキ。空襲の日はエルサレム入城の日に当たり、住民のヨハン・ヒッツェ(Johann Hitze)が空襲の日に行っていた堅信礼(Konfirmationsfeier)のケーキだった可能性。さらにコーヒーセットやレコードも発見された。[NDR]
- UK(イングランド)
- バッキンガムシャー州(the county of Buckinghamshire)ストーク・マンデヴィル(Stoke Mandeville)で、ノルマン朝・1080年の教会の地下から、アングロサクソン時代の教会跡。[Bucks Free Press]
▼ストーク・マンデヴィル関連記事→2021年5月5日
2021年9月7日(火)
- 韓国
- 慶州にある月城の城壁で、4世紀中ごろの生け贄となった成人女性の人骨。2017年に50代男女の人骨が見つかった場所から50cmの場所。国立慶州文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- イラン
- バルヴェ・テペ(Barveh Tepe)の初期青銅器時代(Early Bronze Age)の集落は、放射性炭素年代によると、紀元前2887年〜前2680年(cal. BC.)に居住。[Tehran Times]
- イスラエル
- ツィッポリ国立公園(Zippori National Park)で、ビザンティン時代・1400年前のワイン圧搾機。うち一つには、ディオニュソス神(Διόνυσος;Dionysus)とヘラクレスのワイン飲み競争を描くモザイク。[Greek Reporter]
- トルコ
- マラティヤ(Malatya)のアルスラーンテペ遺跡(Arslantepe)の5621年前の神殿から印章250個出土。[Anadolu Ajansı]
▼アルスラーンテペ遺跡関連記事→2021年9月5日 - トルコ
- エスキシェヒル県(Eskişehir il)セイイットガズィ郡(Seyitgazi)・キュリュボア(Küllüoba)で、初期青銅器時代・紀元前3000年の墓40基以上。平均年齢は35〜40歳。小児死亡率が高く、食料資源が限られ、伝染病もあったため。[Hürriyet Daily News]
- カザフスタン
- サライジュク(Сарай-Жүк;Saraishyk)で、ジョチ・ウルス(キプチャク・ハン国;Алтын Орда;Golden Horde)・13〜14世紀の銀貨36枚。ジャニベク・ハン(Жәнібек хан;Zhanibek khan)やウズベク・ハン(Өзбек хан;Uzbek khan)のときに製造。[Qazaq TV]
- UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)ドーヴァー地区(Dover)ディール(Deal)で、後期新石器時代〜初期青銅器時代・紀元前2000年ごろ墓地と、墓域を区画する溝。また、5〜6世紀のジュート人の墓地。戦いで死んだと思われる兵士と、そのウマやイヌも。Kent Archaeological Projectsの調査。[Kent Online]
2021年9月6日(月)
- 鳥取県
- 米子市・米子城跡(よなごじょうあと)で、三の丸の米蔵跡と石敷水路などを確認。米子市の調査。9/12現地説明会。
『史跡米子城跡発掘調査現地説明会 2021』を開催します[米子市]
▼米子城跡関連記事→2021年3月22日 - 島根県
- 出雲市・大社基地跡地について、出雲市が滑走路の調査を行い一部保存することを検討。太平洋戦争末期に建設された基地。[日テレNews]
- 韓国
- 慶尚南道 金海市 新文洞で、原三国時代の木棺墓1基と、三国時代の石室墓3基、朝鮮時代の建物など。原三国時代の木棺墓からは、1世紀前半ごろの銅鏡「日光鏡」、水晶製腕輪、鉄剣など出土。日光鏡の銘文「見日之光天下大明」。日光鏡が慶尚南道で出土したのは初。頭流文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
- カザフスタン
- ジャンブル州(Жамбыл облысы;Jambyl)タラズ(Тараз;Taraz)のキジル・ズルディス村(Қызылжұлдыз;Kyzyl Zhuldyz)でサーマーン朝(Samanid)・10世紀中ごろの銀貨。[Qazaq TV]
- 英王室属領ガーンジー
- オルダニー島(Alderney)のローマ時代・1700年前の砦「ナナリー」(Nunnery)の塔内に第二次世界大戦中ドイツ軍が築いた掩体壕の下から、ローマ時代の中庭。[BBC]
- デンマーク
- ユラン半島(Jylland;Jutland)のイェリング(Jelling)で鉄器時代・1500年前のロングハウスから金製遺物1kg相当が出土。[The Copenhagen Post]
2021年9月5日(日)
- オーストラリア
- インド洋上のクリスマス島(Christmas Island)で、第二次世界大戦中の日本による侵略・占領の痕跡を考古学的に研究。
cf. Helena van der Riet & Jane Fyfe "Occupied! A preliminary archaeological examination of the remains of the Japanese invasion and occupation of Christmas Island, Indian Ocean during World War II" Journal of Conflict Archaeology [Taylor & Francis Online] - イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のハル・ホツヴィム(Har Hozvim)で、第二神殿時代・2000年前の大規模な採石場。建材用の石材を切り出す。採石と加工の各段階を示し、使用する道具も出土。600平方mを調査したが、おそらくその2〜3倍の規模。イスラエル古代遺跡管理局(Israel Antiquities Authority)の調査。ハル・ホツヴィムは「石切り職人の丘」の意味。
Second Temple period quarry uncovered in Jerusalem[Israel Ministry of Foreign Affairs] - トルコ
- マラティヤ(Malatya)のアルスラーンテペ遺跡(Arslantepe)で、7000年前の遺丘から、紀元前3700年〜前3600年の墓24基と建物跡6基。[Anadolu Ajansı]
▼アルスラーンテペ関連記事→2021年8月27日 - スペイン
- カタルーニャ州(Cataluña)タラゴナ県(Tarragona)ティベニス(Tivenys)のラスト遺跡(L'Assut)で、紀元前3世紀の塔の中からイベリア人のさまざまな武器。ローマ軍がイスパニア征服の過程で攻撃し破壊した塔。[El Español]
- ペルー
- パコパンパ遺跡(Pacopampa)で出土した紀元前1200年〜前400年のラクダ科動物を分析。試料はすべてリャマ(llama)で、アルパカは確認できなかった。リャマの若い個体の肉は儀式的に消費されており、生贄にされたものも4個体確認された。シカと消費プロセスは似るが、シカは対象とされていない。骨の二次利用は認められないが、繊維に関連した遺物が増加することから、リャマ牧畜は繊維生産と関連していた。
cf. KAZUHIRO UZAWA(鵜澤和宏), YUJI SEKI(關雄二), DANIEL MORALES CHOCANO "Ritual consumption and sacrifice of llama (Lama glama) at the Pacopampa site in the Northern Highlands, Peru" Anthropological Science, Volume 129 Issue 2 Pages 109-119 [J-STAGE] - ペルー
- エル・パラシオ遺跡(El Palacio)で出土した中期ホライズン(Horizonte Medio;Middle Horizon)・ワリ帝国・中期カハマルカ(Middle Cajamarca)B・C〜後期カハマルカ(Late Cajamarca)・600〜1000年のラクダ科動物の骨に残ったカットマークを分析。カットマークは全身におよび、ラクダを解体し、皮をはぎ、肉・脂肪・骨髄を得たと推定。カットマークは動物の腹側に集中しており、民族誌に見られる、動物を仰向けにする屠殺方法と一致する。
cf. HIROKI SEIKE(清家大樹), SHINYA WATANABE(渡部森哉) "A case study of cut marks on camelid bones from the El Palacio site in the northern highlands of Peru: implication of butchering activities" Anthropological Science, Volume 129 (2021) Issue 2 Pages 151-164 [J-STAGE]
2021年9月4日(土)
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)アイヴァジュク郡(Ayvacık)ベフラムカレ村(Behramkale)の古代都市アッソス(Assos)で、7世紀の1歳〜1歳半の幼児の足跡。焼成前のレンガの上を歩く。1600年前の竈や台所道具も。[Arkeonews]
▼アッソス関連記事→2019年12月31日 - トルコ
- スィノプ県(Sinop il)バラトラル(Balatlar)で、ビザンティン時代のモザイク。[Hürriyet Daily News]
▼バラトラル関連記事→2020年10月13日 - チェコ
- ルコフ城(Hrad Lukov;Lukov castle)近くで中世・1400年ごろの硬貨400枚以上。プラハ・グロシュ銀貨(praský groš;Prague groschen)392枚、モラヴィア辺境伯ヨープスト(Margrave Jobst of Moravia)が打刻したヘラー銅貨(Heller)27枚。ヨープストと弟のプロコプ(Prokop)との辺境伯位をめぐる争いに関連か。ルコフ城はルクセンブルク朝(Luxembourg dynasty)のころの王城。[Radio Praha]
▼ズリーン州(Zlínský kraj) - スペイン
- サラマンカ県(Provincia de Salamanca)のセロ・デ・サン・ビセンテ(Cerro de San Vicente)の初期鉄器時代の円形住居について古地磁気研究。中央の炉の使用年代は紀元前644〜前575年で、この住居の採集使用年代を示す。床で見つかったスラグこれより古く、紀元前912〜前804年。また、床を繊維のマットで覆ったり、日常的な掃き掃除についても知見が得られた。
cf. N. García-Redondo, M. Calvo-Rathert, A. Carrancho, A. Goguitchaichvili, E. Iriarte, A. Blanco-González, M.J. Dekkers, J. Morales-Contreras, C. Alario-García, C. Macarro-Alcalde "Further evidence of high intensity during the Levantine Iron Age Anomaly in southwestern Europe: Full vector archaeomagnetic dating of an Early Iron Age dwelling from Western Spain." Journal of Geophysical Research: Solid Earth [Wiley Online Library] - スペイン
- ガリシア州(Galicia)ルーゴ県(Provincia de Lugo)のビベイロ川(Viveiro)の河口で16世紀後半〜17世紀前半の航海用アストロラーベ(astrolabio;astrolabe)。FEDASの調査。[El Español]
- スウェーデン
- ヴェステロース(Västerås)のスケルビュー(Skälby)で、井戸の底から鉄器時代・7〜9世紀の刀スクラマサクス(scramasax)。長さ40cm。彫刻で装飾された木製の柄も遺存。奉納品として沈められたものか。
Kortsvärd från järnåldern hittat i Skälby[Arkeologerna] - UK(イングランド)
- グロスタシャー州(the county of Gloucestershire)グロスター(Gloucester)のクングズ・クオーター(King's Quarter)で、2人の遺体を納めた石棺。石棺はコッツウォルズの石灰岩から彫り出す。近くに壁の遺構もあり、もとはカルメル会托鉢教会(Carmelite Friary Church)の床に設置されていた可能性。2人の遺体は教会の修道僧と推定。[Gloucestershire Live]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)サンデー島(Sanday)のトレスネス半島(Tresness)で、石室墓(chambered tomb)から新石器時代の磨かれた石の玉。[The Press and Journal]
2021年9月3日(金)
- 千葉県
- 房総半島沖で平安〜鎌倉時代にマグニチュード8.5程度の巨大地震が起き、千葉県・九十九里浜地域が大津波に襲われた可能性。[共同通信]
cf. Jessica E. Pilarczyk, Yuki Sawai, Yuichi Namegaya, Toru Tamura, Koichiro Tanigawa, Dan Matsumoto, Tetsuya Shinozaki, Osamu Fujiwara, Masanobu Shishikura, Yumi Shimada, Tina Dura, Benjamin P. Horton, Andrew C. Parnell & Christopher H. Vane "A further source of Tokyo earthquakes and Pacific Ocean tsunamis" Nature Geoscience (2021) [Nature] - 長崎県
- 雲仙市・稲荷鬼塚古墳(いなりおにづかこふん)で、横穴式石室。羨道から勾玉、切子玉、耳環、須恵器、土師器など。6世紀後半〜7世紀の円墳、16m。雲仙市教育委員会の調査。[朝日新聞]
- 中国
- 河北省 廊坊市 固安県で、遼時代晩期の単室磚墓4基。うち1基に壁画が残る。石製の経幢、墓誌など出土。[中国新聞網]
- イスラエル
- イスラエル北部の2遺跡で出土した、中間期青銅器時代(Intermediate Bronze Age;EB IV)・紀元前3千年紀後半とされるBlack Wheel Made Wareの放射性炭素年代は紀元前23世紀。Black Wheel Made Wareに共伴する土器型式も、同時期とみなされ、レヴァントの編年の手がかりに。
cf. Ron Lev, Shlomit Bechar, Karen Covello-Paran & Elisabetta Boaretto "Absolute chronology of Black Wheel Made Ware in the southern Levant and its synchronization with the northern Levant" Levant [Taylor & Francis Online] - ロシア
- ヴェレチマ川(река Велетьма;Veletma River)近くで、中石器時代(Mesolithic)初め・ブトヴォ文化(Бутовская культура;Butovo culture)・10000年前の集落跡。青銅器時代(Bronze Age)には西方から来たファティアノヴォ文化(Фатьяновская культура;Fatyanovo culture)や、南ロシアから来たポズドニャコフスク文化(Поздняковская культура;Pozdnyakovsk culture)の人々が短期に居住。[Heritage Daily]
- ポーランド
- ウッチ県(Województwo łódzkie;Łódź province)ミレシュキ(Mileszki)の2015年に焼失した16世紀の教会Church of St. Dorothy & St. John the Baptist跡で、砂で埋められた地下室の入り口。硬貨194枚、十字架やメダル21個。指輪、棺の把手など。硬貨は17世紀〜18世紀のもので、一部はヤゲウォ朝やドイツ騎士団の時代にさかのぼる。[The First News]
- アイリッシュ海
- アイリッシュ海(Irish Sea)南部で見つかった沈没船は、1940年に沈没した掃海艇(minesweeper)マーキュリー(HMS Mercury)と判明。海事史料と高解像度のマルチビームソナー(multibeam sonar)による調査。この沈没船は従来、潜水艦とみられていた。
Discovery of the minesweeper HMS MERCURY[Bournemoyth University] - メキシコ
- トラテロルコ地区(Tlatelolco)で出土した1525〜1547年の住居跡に、祭祀遺構と倉庫遺構、石器工房。石板で作ったプラットフォームの下に人物像2個。スペイン人の到来後に、居所に戻り、地中に埋めることができなくなった偶像の意味を再解釈。信仰と抵抗を示したものか。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
Arqueólogos del INAH encuentran indicios de la resistencia cultural indígena tras la Conquista, en la periferia de la Zona Arqueológica de Tlatelolco[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
▼メキシコシティ(Ciudad de México;Mexico City)
2021年9月2日(木)
- 福岡県
- 春日市・須玖遺跡群(すぐいせきぐん)で、基準の10倍のおもり「権」。韓国・茶戸里遺跡で出土した権の基準質量11.3gの3倍、6倍、20倍、30倍の重さの権は確認されていたが、10倍のものは初。春日市教育委員会9/1発表。[読売新聞]
- サウジアラビア
- ネフド砂漠(Nefud Desert)のKhall Amayshan 4遺跡とJubbah basinsの石器と脊椎動物化石が出土した古い湖の年代測定。人類のアラビア半島内陸への進出は、40万年前、30万年前、20万年前、13万〜7万年前、5万5千年前の、乾燥が緩和された時期に一致。
cf. Huw S. Groucutt, Tom S. White, Eleanor M. L. Scerri, Eric Andrieux, Richard Clark-Wilson, Paul S. Breeze, Simon J. Armitage, Mathew Stewart, Nick Drake, Julien Louys, Gilbert J. Price, Mathieu Duval, Ash Parton, Ian Candy, W. Christopher Carleton, Ceri Shipton, Richard P. Jennings, Muhammad Zahir, James Blinkhorn, Simon Blockley, Abdulaziz Al-Omari, Abdullah M. Alsharekh & Michael D. Petraglia "Multiple hominin dispersals into Southwest Asia over the past 400,000 years" Nature (2021) [Nature] - イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)で、第一神殿時代(First Temple period)の石灰岩製の分銅(geirah)。直径14mm、高さ12mm。銘文によると2geirah(0.944g)とあるが、実際は少なくとも3.61グラム。詐欺に用いられたと推定。ヘブライ語聖書(旧約聖書)の『レビ記』(Book of Leviticus)第19章35〜36節や、 『申命記』(Book of Deuteronomy)第25章13〜16節、『箴言』(Proverbs)第20章第23節で、不正な重りなどによる詐欺を禁止している。[World Israel News]
- イスラエル
- ユダヤ丘陵(Judean Hills)で2017年に見つかったビザンティン時代の教会跡「栄光の殉教者のための教会」(Church of the Glorious Martyr)は、ギリシャ語の銘文によると、氏名不詳の「栄光の殉教者」に捧げられた教会。殉教者の名はわからないが、近隣で見つかった5世紀の墓に名前のあるゼカリヤ(Zechariah)と呼ばれる人物である可能性。銘文によると、皇帝ティベリウス2世(Flavius Tiberius;在位578〜582年)の治世に拡張された。このとき洞窟を墓に改装し、おそらくは氏名不詳の殉教者を葬ったと推定。教会には6世紀のものとみられる聖像破壊(iconoclasm)の痕跡。動物を表したモザイクなどが消されている。教会は、正統カリフ時代の634〜638年にイスラーム帝国に征服されたが教会の繁栄は続き、10世紀に廃絶。[LiveScience]
- スペイン
- アリカンテ県(Provincia de Alicante)ペドレゲール(Pedreguer)ランデーロ洞窟(Cova del Randero)で後期旧石器時代・マドレーヌ文化・17000年前の人の居住。また、紀元前2700年ごろの埋葬では、動物の肋骨を磨いて作った棒。[Levante]
- ポルトガル
- マサン(Mação)のオクレザ渓谷(vale do Ocreza)で新たに旧石器時代の岩刻画や遺物。[Medio tejo]
▼サンタレン県(Distrito de Santarém) - ノルウェー
- ノルウェー沿岸部の中石器時代・10000年前〜8000年前のの火の使用と燃料について検討。大半の火は小さく、短時間で、小低木を利用。食物の大半は、生か、発酵または乾燥させて食べていたと推定。
cf. Charlotte Brysting Damm "Mesolithic Pyrotechnology: Practices and Perceptions in Early Holocene Coastal Norway" European Journal of Archaeology, First View, pp. 1 - 18 [Cambridge Core] - デンマーク
- ハザスレウ(Haderslev)で、ヴァイキング時代の裕福な女性を葬った木室墓。南ユラン博物館(Museum Sønderjylland)の調査。[tvs]
- USA
- ルイジアナ州(State of Louisiana)・ポヴァティ・ポイント遺跡(Poverty Point)の3000年以上前の大規模な土塁のうち、リッジ・ウエスト3(Ridge West 3)を発掘調査。さまざまな年代測定により、土塁が極めて短期間のうちに築造されたと推定。粘土、シルト、砂などを混ぜ合わせて崩れにくくする高度な技術。狩猟採集民が組織化された労働力を用いており、強いリーダーシップが必要。
[Washington University in St. Louis]
cf. Tristram R. Kidder, Su Kai, Edward R. Henry, Seth B. Grooms & Kelly Ervin "Multi-method geoarchaeological analyses demonstrates exceptionally rapid construction of Ridge West 3 at Poverty Point" Southeastern Archaeology [Taylor & Francis Online]
2021年9月1日(水)
- 広島市
- 中区で見つかった旧日本陸軍の被爆遺構に関し、広島市は、石畳など3カ所を切り取る作業を実施へ。被爆者からは「将来に禍根を残す」と批判の声。[共同通信]
- 韓国
- 全羅北道 完州郡 伊西面 南渓里・草南聖地で、福者尹持忠パウロ・権尚然ヤコブ・福者尹持憲フランシスコの3名の遺体を確認。韓国のカトリック最初の殉教者。[聯合ニュース]
- 中国
- 湖南省 郴州市 北湖区 槐樹下黄泥村・黄泥塘墓群で、後漢から唐までの墳墓11基と、後漢時代の住居跡。[中国社会科学院考古研究所]
- インド
- ジャンムー・カシミール連邦直轄領(Jammu and Kashmir)シュリーナガル県(Srinagar)Pandrethanで7〜8世紀のドゥルガー女神(Durga)の石像。ドゥルガーはヒンドゥー教の女神。獅子の玉座に座る。バッジャン県(Budgam)Khansahabで警察が押収。[Greater Kashmir]
- チェコ
- リトミシュル(Litomyšl)のネドシーン(Nedošín)で、新石器時代・紀元前5千年紀第2四半期の円形環濠。直径40〜45m。4か所の入り口。[iDNES]
▼パルドゥビツェ州(Pardubický kraj;Pardubice Region) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)パーダーボルン(Paderborn)で、オットー朝・10世紀から近代までの建物跡。
Archäologie im Hinterhof[Archaeologie Online] - ポルトガル
- エストレマドゥーラ地域(Estremadura)のラパ・ド・ピカレイロ遺跡(Lapa do Picareiro)の中期旧石器時代後半・ムスティエ文化(Mousterian)の2つの堆積から出土した草食動物の歯のエナメル質について、炭素(δ13C)と酸素(δ18O)の安定同位体分析。厳しい気候の時にこの地域のネアンデルタール人が移動性の戦略を再編成したかどうかを検証。
cf. Milena Carvalho, Emily Lena Jones, M. Grace Ellis, João Cascalheira, Nuno Bicho, David Meiggs, Michael Benedetti, Lukas Friedl, Jonathan Haws "Neanderthal palaeoecology in the late Middle Palaeolithic of western Iberia: a stable isotope analysis of ungulate teeth from Lapa do Picareiro (Portugal)" Journal of Quaternary Science [Wiley Online Library]
▼ラパ・ド・ピカレイロ遺跡関連記事→2020年9月29日 - 南アフリカ
- ワンダーブーム(Wonderboom)で出土した、アフリカ前期石器時代(Earlier Stone Age)・アシュール文化(Acheulean)の大型の切削工具(Cutting Tool)を再検討。ハンドアックスを南アフリカの前期アシュール文化の2遺跡、後期アシュール文化の1遺跡と比較すると、ワンダーブームの石器は後期アシュール文化に属し、前期アシュール文化とは明確に異なる。
cf. Matt G. Lotter, Matthew V. Caruana & Marlize Lombard "The Large Cutting Tools from Wonderboom, South Africa" Lithic Technology [Taylor & Francis Online]
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