2021年8月31日(火)
- 奈良県
- 明日香村・キトラ古墳石室の南壁で、「巳」の十二支像の存在が想定されるか所から水銀を検出。水銀朱で彩色された巳像が描かれていた可能性。[共同通信]
- 長崎県
- 諫早市・千々石ミゲル墓所推定地(第4次調査)で、集石遺構を確認。埋葬施設があることを示す地上標識。[長崎新聞]
- 中国
- 新疆ウイグル自治区・北庭故城の10号遺構から、「悲田寺」の文字を刻んだ土器。[中国社会科学院考古研究所]
- イラン
- ギーラーン州(Ostān-e Gīlān) シャマーム(Shamam)で、先史時代の穀物貯蔵穴。[Tehran Times]
- トルコ
- ヴァン県(Van il)ギュルプナール郡(Gürpınar)のチャヴシュテペ城(Çavuştepe Kalesi;Çavuştepe Castle)で、ウラルトゥ(Urartu)の支配者と見られる男性の墓。イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジとともに葬られる。チャヴシュテペ城は、ウラルトゥの王サルドゥリ2世(Sarduri II)が建設。[Hürriyet Daily News]
▼チャヴシュテペ城関連記事→2020年9月9日 - ウクライナ
- オデッサ(Одеса;Odessa)のオデッサ空港(Odessa airport)近くで、スターリン時代・1930年代の大型墓地を調査。すでに29基が発見されており、埋葬されている犠牲者は5000人〜20000と推定。[France24]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ヴァーレンドルフ郡(Kreis Warendorf)エルデ(Oelde)のウトホーフ(Uthof)で、10世紀から19世紀まで存続した集落跡。ウトホーフは文献には1308年以降登場し、1878年に取り壊されたが、9世紀後半〜11世紀のブローチが出土。石造りの井戸は、下部で用いられたt木材の年輪年代から12世紀末に作られた井戸と判明。
Nachweis für 900 Jahre Siedlungskontinuität am Oelder Uthof[Archaeologie Online] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)オワーズ県(Oise)パセル(Passel)で中期新石器時代の溝や柵で囲んだ大規模遺跡。3.5ヘクタール。木柵が遺存。152本の杭の年輪年代により、木材の伐採は紀元前3895年〜前3891年の間。
Un site néolithique majeur à Passel (Oise)[NRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - デンマーク
- デンマーク沖18kmの小島Sejerø島にあるRødhals貝塚は、中石器時代から新石器時代の移行期・紀元前4300年〜3700年(cal. BC)に、海洋資源獲得のための幅広い活動をしている。陸の資源は限られているが、存続期間の終わりごろに、ウシ、ヒツジ、ブタ、穀物を利用している。大型獣の骨や角は外部からの輸入。遺物から見て、漁撈狩猟採集民のエルテベレ文化(Ertebøllekultur;Ertebølle culture)の最終段階から、農耕民のフンネルビーカー文化(Funnel Beaker Culture)の最初期に当たっている。先住民の土地を渡来した農耕民が奪い取ったか。
cf. Anders Fischer, Anne Birgitte Gotfredsen, John Meadows, Lisbeth Pedersen, Mike Stafford "The Rødhals kitchen midden – marine adaptations at the end of the Mesolithic world" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103102 [ScienceDirect] - エジプト
- 下エジプトの2遺跡、テル・エル=ファルカ遺跡(Tell el-Farkha)の集落とミンシャト・アブ・オマル遺跡(Minshat Abu Omar)の墓地から出土した、紀元前4千年紀後半のレモン形壺と袋形壺により、土器生産の標準化を研究。土器生産は一部標準化されており、これらの器種を製作する陶工の数は限られていたことを示す。陶工の技量と土器づくりの習慣化、小型容器への高い需要が背景にある。
cf. Agnieszka Mączyńska "Regularised pottery production in Lower Egypt in the second half of 4th millennium BCE" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103157 [ScienceDirect]
2021年8月30日(月)
- 香川県
- 丸亀市・丸亀城(まるがめじょう)の石垣の復旧工事は1年以上遅れる見込み。2018年の大雨や台風などで三の丸と帯曲輪の石垣が大規模に崩落。不規則に積まれた石垣が見つかり、いつの時点のものか調査が必要になったため。[KSB瀬戸内海放送]
- 韓国
- 全羅北道 南原の斗洛・酉谷里古墳群を築造した主体となった加耶の勢力を、世界文化遺産登録申請書で「己汶加耶」とすることに対し、市民団体が反対。「己汶」は『日本書紀』に登場する表現。[聯合ニュース]
▽『日本書紀』にしか登場しない「己汶」の語の使用には慎重になるべき。まして「己汶加耶」という熟語を作ってしまうことには疑問。 - スロバキア
- ポプラト郡(okres Poprad)のヤーノウツェ・マハロウツェ(Jánovce-Machalovce)の防御性集落で、後期ラ・テーヌ文化・紀元前1世紀の建物。ケルトの硬貨、青銅製腕輪など出土。2000年前のエンドウマメヤコムギの種子出土。砦は紀元前1世紀に焼失。ローマ時代の土器も出土し、集落は紀元後2世紀まで存続。[The Slovak Spectator]
▼プレショウ県(Prešovský kraj;Prešov) - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)ザーレ郡(Saalekreis)フリードリヒスシュヴェルツ(Friedrichsschwerz)の小児墓は、初期青銅器時代・ウーニェティツェ文化(Aunjetitzer Kultur;Únětice culture)・紀元前2000年〜前1550年。
Eine außergewöhnliche Bestattung der Frühbronzezeit in Friedrichsschwerz[Archaeologie Online]
2021年8月29日(日)
- 韓国
- 韓国で2000年代以降出土した「論語木簡」3点(金海・鳳凰洞、仁川・桂陽山城、扶余・双北里)の原形と用途を推定。鳳凰洞や桂陽山城で出土した木簡の長さは、原文と対比して字数を推定し1m程度と推定。鳳凰洞と桂陽山城の木簡は論語の「公冶長」、双北里遺跡の木簡は論語の「学而」篇を記した学習用。橋本繁・慶北大学校人文学術院研究教授の研究。[聯合ニュース]
- イラン
- ケルマーンシャー州(Ostān-e Kermānshāh)のバワ・ヤワン岩陰遺跡(Bawa Yawan)でネアンデルタール人の歯。6歳の子供の乳犬歯。中期旧石器時代の石器を伴い、放射性炭素年代は43000年前〜41000年前。[Tehran Times]
cf. Saman Heydari-Guran, Stefano Benazzi, Sahra Talamo, Elham Ghasidian, Nemat Hariri, Gregorio Oxilia, Samran Asiabani, Faramarz Azizi, Rahmat Naderi, Reza Safaierad, Jean-Jacques Hublin, Robert A. Foley, Marta M. Lahr "The discovery of an in situ Neanderthal remain in the Bawa Yawan Rockshelter, West-Central Zagros Mountains, Kermanshah" PLoS ONE 16(8): e0253708. [PLOS ONE] - イラク
- クルド人自治区(Iraqi Kurdistan)のベスタンスール遺跡(Bestansur)とシムシャラ遺跡(Shimshara)で出土した先土器新石器時代(Pre-pottery Neolithic)・紀元前7800年〜前7100年のブタについて、大きさ、年齢、食生活について調査し、ブタのヒトによる管理の始まりを追究。ヒトとイノシシの関係は複雑で、狩猟者と獲物の単純な関係ではなく、さまざまな動物に対する対応は一様ではなかった。
cf. Donna de Groene, Robin Bendrey, Roger Matthews "Pigs in the Neolithic of the Eastern Fertile Crescent: New evidence from Pre-pottery Neolithic Bestansur and Shimshara, Iraqi Kurdistan (7800 – 7100 BC)" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library] - ロシア
- ドン川流域とヴォルガ川流域の35遺跡から出土した狩猟採集民による初期の土器160点について、AMS年代と残留物の分析。紀元前6000年(cal BC)に始まる。ヴォルガ川中流域では陸棲動物が、ドン川上流域・中流域中流域では魚や野生植物の調理に土器が用いられた。両地域の環境は似ており、土器の使用法の違いは地域の伝統を反映。汎ユーラシア的な「Aquatic Neolithic」仮説は支持できない。
cf. Blandine Courel, John Meadows, Lara González Carretero, Alexandre Lucquin, Rowan McLaughlin, Manon Bondetti, Konstantin Andreev, Andrey Skorobogatov, Roman Smolyaninov, Aleksey Surkov, Aleksandr A. Vybornov, Ekaterina Dolbunova, Carl P. Heron, Oliver E. Craig "The use of early pottery by hunter-gatherers of the Eastern European forest-steppe" Quaternary Science Reviews, Volume 269, 1 October 2021, 107143 [ScienceDirect] - フランス
- オード県(Aude)ブリエージュ(Bouriège)で、紀元前2世紀〜前1世紀の土器工房。[La Dépêche]
▼オクシタニー地域圏(Occitanie) - フランス
- ロワレ県(Loiret)マルディエ(Mardié)で、ガロ=ローマ時代・2〜3世紀のタイル製造工房。[France bleu]
▼サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏(Centre-Val de Loire) - ポルトガル
- ベージャ(Beja)のオテイロ・ド・シルコ(Outeiro do Circo)で、青銅器時代・3000年前の城壁。後期青銅器時代の廃絶後、鉄器時代・紀元前7世紀に再居住。[The Portugal News]
- エジプト
- アレクサンドリア(Alexandria)のシャトビー地区(Al-Shatby)で、紀元前2世紀のアレクサンドロス大王の彫像出土。[Argophilia]
- 北米
- クローヴィス文化(Crovis Culture)の有樋尖頭器(fluted point)の、ゾウ猟への有効性を検証。幅広で厚いため、貫通力が限られ、ゾウの臓器には届かない。大型動物狩猟に用いた場合に生じるような損傷も見られない。クローヴィス文化の尖頭器は多用途の道具であり、大型動物狩猟専用の道具ではなかった。クローヴィス文化の食生活では、ゾウ猟は必ずしも重要ではなかった。従来、クローヴィス尖頭器はゾウ猟に用いられたと考えられていたが、疑問もあった。
cf. Metin I. Eren, David J. Meltzer, Brett Story, Briggs Buchanan, Don Yeager, Michelle R. Bebber (2021) On the efficacy of Clovis fluted points for hunting proboscideans Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103166 [ScienceDirect]
2021年8月28日(土)
- イラン
- サンタラーシャーンの聖域(Sangtarashan sanctuary)で近年出土したルリスタン青銅器(Luristan Bronzes)の容器片46試料について、元素分析と鉛同位体分析。さまざまな錫含有量の錫青銅(tin bronze)を使用。イラン西部の鉄器時代・紀元前1000年〜前800年には、祭祀用の青銅器に主に錫青銅を使用。錫青銅を作るために、イラン高原とその周辺の、複数の産地の銅を複雑に使用しており、一つの産地に限定できない。
cf. Omid Oudbashi, Frederik W. Rademakers, Frank Vanhaecke, Patrick Degryse, Ata Hasanpour, Sepehr Bahadori "An old problem in a new light: Elemental and lead isotopic analysis of Luristan Bronzes" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103163 [ScienceDirect] - イタリア
- フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州(Friuli-Venezia Giulia)ウーディネ県(Provincia di Udine)ラティザーナ(Latisana)で、ローマ時代の建物跡。2つの部屋を確認。[ANSA]
- ラトビア
- リニュカルンス遺跡(Riņņukalns)では、新石器時代・紀元前6千年紀に居住が始まり、紀元前4千年紀以降、貝塚が発達した。貝塚発達以前も以後も、土器は水生動物やブタの調理に用いられたが、製作技術は異なっており、貝殻を混和材として用いるようになる。
cf. Michela Spataro, Ester Oras, Alexandre Lucquin and Valdis Bērziņš (2021) Hunter-fisher-gatherer pottery production and use at the Neolithic shell-midden of Riņņukalns, Latvia. Antiquity, First View, pp. 1 - 18 [Cambridge Core] - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)ザーレ郡(Saalekreis)ブラハヴィッツ村(Brachwitz)近くのフリードリヒスシュヴェルツ(Friedrichsschwerz)で、青銅器時代・4000年前の1歳未満の小児墓。腕輪など豊富な副葬品。[Mitteldeutscher Rundfunk]
- オランダ
- ルーベンス(Rubens)の工房で描かれた、1636年とされるアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)所蔵の板絵(panel painting)「竜の歯を蒔くカドムス」(Cadmus Sowing Dragon’s Teeth)について、X線CTにより、非破壊的に年輪年代測定。四辺を覆うオーク材に隠れて、板が二重になっていることを確認。裏側(見える方)の板は17世紀のオランダの工房でしばしば用いられる落葉性のコナラ(Quercus subg. Quercus)で、1557年以降。しかし、この絵に本来用いられてた表側の板は、熱帯のマホガニー(Swietenia sp)で、オランダ絵画ではほとんど用いられず、年代も不明。17世紀の絵画に外来の木材が用いられたことは、当時の世界規模の貿易を反映。裏側の板材は表側の板材に接着されたのは、保存上の理由か、またはコナラ材に見せかける必要からだった可能性。
cf. Marta Domínguez-Delmás, Francien G. Bossema, Jan Dorscheid, Sophia Bethany Coban, Moorea Hall-Aquitania, K. Joost Batenburg, Erma Hermens "X-ray computed tomography for non-invasive dendrochronology reveals a concealed double panelling on a painting from Rubens’ studio" PLoS ONE 16(8): e0255792. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- シュロップシャー州(the County of Shropshire)ニューポート市(Newport)で、ローマ時代・60〜100年のブローチなどの遺物。[Shropshire Star]
- ペルー
- ナスカ(Nasca)のワカ・デル・ロロ遺跡(Huaca del Loro)で、直線的な遺構やD字形の神殿、大規模墓地や居住地。ワリ帝国(Wali)の最初の拡大期にナスカを植民地化したことを反映か。
cf. Christina A. Conlee, Corina M. Kellner, Chester P. Walker and Aldo Noriega (2021) Early imperialism in the Andes: Wari colonisation of Nasca. Antiquity, Volume 95, Issue 384, December 2021, pp. 1527 - 1546 [Cambridge Core]
2021年8月27日(金)
- 福島県
- 須賀川市・団子山古墳(だんごやまこふん)の後円部墳頂から、新たな埴輪列を確認。古墳時代前期後半・4世紀中ごろの前方後円墳、65m。須賀川市と福島大学の調査。[毎日新聞]
▼団子山古墳関連記事→2019年9月1日 - 福島県
- 本宮市・大学館跡で、16〜17世紀の堀跡と、土塁の跡。複数回にわたり掘り直し。公益財団法人いわき市教育文化事業団の調査。[福島民友新聞]
- 中国
- 広州市 黄埔区 欖園嶺遺跡で、新石器時代晩期〜商早期の墓3基、西周から春秋時代の墳墓47基、南越国の墳墓1基。[中国社会科学院考古研究所]
- 中国
- 兵庫県立考古博物館が所蔵する「千石コレクション」の銅鏡のうち、先秦時代から唐までの鏡30面について、ICP分析、蛍光X線分析、鉛同位体比分析。中唐以降、隋唐鏡の主原料である鉛の産地が変化。中唐以降、隋唐鏡の主原料である鉛の産地が変化錫の濃度がやや低い例や、鉛の濃度がやや高い例が認められる。このころから銅鏡の主成分の変化が始まった。真贋判定が困難だった戦国時代の銅鏡について、千石コレクションのそれらが真作であると確定。
共同研究「千石コレクションの科学的研究」の成果について[兵庫県教育委員会] - トルコ
- マラティヤ(Malatya)のアルスラーンテペ遺跡(Arslantepe)で、中世・1000年前の墓28基。5500年前の家4基。[Daily Sabah]
▼アルスラーンテペ遺跡関連記事→2021年8月11日 - トルコ
- イズミル県(İzmir il)のベルガマ遺跡(Bergama)で、市壁内から5か所、市壁外から2か所の宗教エリア。2200年前の土製キュベレー女神(Κυβέλη;Kybele;Cybele)像が多数出土。キュベレーは豊穣の女神像。[TRT World]
- イタリア
- ラティウム地域(Latium)のカステル・ディ・グイド(Castel di Guido)で出土した中期更新世(Middle Pleistocene)・40万年前の骨器の製作技術を報告。骨器98点出土し、ホモサピエンス以前の人類が作った骨器として最多。ゾウの骨を用いてシステマティックに骨器づくり。オーリニャック文化の技術の特徴は、後期ムスティエ文化よりさかのぼる中期更新世に淵源を持つ。
cf. Paola Villa, Giovanni Boschian, Luca Pollarolo, Daniela Saccà, Fabrizio Marra, Sebastien Nomade, Alison Pereira "Elephant bones for the Middle Pleistocene toolmaker" PLoS ONE 16(8): e0256090. [PLOS ONE] - イタリア
- シチリア州(Sicilia;Sicily)のエーガディ諸島(Egadi)の、紀元前241年にローマとカルタゴが戦った海域で、船の青銅製衝角(rostro)2個発見。[ANSA]
▼エーガディ諸島関連記事→2021年8月9日 - オーストリア
- シュタイアーマルク州(Steiermark)ヴェルンドルフ(Werndorf)で、ローマ時代・2000年前の街道。長さ500m、幅23m。[derStandard.at]
- チェコ
- フラデツ・クラーロヴェー州(Královéhradecký kraj;Hradec Králové region)スミジツェ(Smiřice)で、新石器時代と後期青銅器時代の2時期の集落。新石器時代・レンジェル文化(Lengyelská kultura;Lengyel culture)・紀元前4300年に始まる集落では、土器、石器。土器の口縁部にヴィーナス像を表す。後期青銅器時代・シロンスク文化(Slezská kultura)・紀元前900年ごろ以降の集落では、住居、貯蔵穴、石製鋳型などを確認。[iDNES]
- リトアニア
- ビリニュス(Vilnius)の大シナゴーグ(Vilniaus Didioji sinagoga;Great Synagogue)跡で、新たに柱やモザイク装飾床、聖典トーラーの銀製指し棒ヤッド(yad)などを発見。[LRT]
- ポーランド
- ブラムカ岩陰遺跡(Bramka)でみつかった初期中石器時代(Early Mesolithic)・コモルニツァ文化(Kultura komornicka:Komornician)の居住跡と小児墓の放射性炭素年代により、遺跡内に6時期の居住があったことを指摘。中石器時代の居住が最も集中的。フリントの露頭に近く、石器製作工房だった可能性。
cf. Małgorzata Kot, Natalia Gryczewska, Marcin Szymanek, Magdalena Moskal del-Hoyo, Marcin Szeliga, Claudio Berto, Michał Wojenka, Magdalena Krajcarz, Maciej T. Krajcarz, Krzysztof Wertz, Stanisław Fedorowicz, Elżbieta Jaskulska, Hanna Ciura-Pilcicka "Bramka Rockshelter: An early mesolithic cave site in Polish Jura" Quaternary International [ScienceDirect] - ポーランド
- ビスクピエツ(Biskupiec)で、カロリング朝・9世紀のデナリウス硬貨13枚。ルートヴィヒ1世(Ludwig I.)=ルイ敬虔王(Louis the Pious)のとき(814〜840年)のもの12枚と、カール2世(Karl II.)=シャルル禿頭王(Charles the Bald)のとき(840〜877年)のもの1枚。ビスクピエツではこれ以前に銀貨118枚が出土しており、東ヨーロッパで出土したこの時代の西ヨーロッパ製硬貨として貴重。[Poland In]
- フランス
- イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France) エソンヌ県(Essonne) ボンドゥフル(Bondoufle)で中世前期(haut Moyen Âge)・6〜12世紀の集落。土壌の磁気抵抗を測定し、鍛冶屋の存在を確認。また、第二次世界大戦当時の弾薬庫も。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Bondoufle au haut Moyen Âge (Essonne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - エジプト
- アレクサンドリア(Alexandria)のシャトビ地域(Al-Shatbi)でグレコローマン時代・紀元前2世紀〜紀元後4世紀の居住・商業区域。井戸と貯水槽40か所。土器、漁具。神や皇帝、戦士などの大理石像。[Egypt Today]
2021年8月26日(木)
- 中国
- 山西省 大同市でみつかった北魏墓群44基のうち、M13号墓は太和元年の賈宝の磚室墓。木製の武士俑と鎮墓獣出土。山西省考古研究院の調査。[中国新聞網]
- 中国
- 四川省 成都市 郫都区 犀浦街道・犀園村遺跡で、先秦時代(西周中晩期から春秋時代)の集落跡と、春秋時代の墓地。[中国新聞網]
- レバノン
- シドン(Sidon)の「聖王ルイの城」(St Louis’ castle;Qalaat al Muizz)で2つの集団墓。成人男性25人以上を確認。十字軍の硬貨が出土し、放射性炭素年代で13世紀の半ばの単一の出来事による。人骨には中世の武器による傷。後方の傷が多いため敗走中の傷の可能性があり、囚われて斬首されたとみられる人骨も。遺骨は数週間放置された後に堀に堆積。十字軍支配下のシドンがマムルーク朝(1253年)やイルハン朝(1260年)から攻撃を受けた時のもの。
cf. Richard N. R. Mikulski, Holger Schutkowski, Martin J. Smith, Claude Doumet-Serhal, Piers D. Mitchell "Weapon injuries in the crusader mass graves from a 13th century attack on the port city of Sidon (Lebanon)" PLoS ONE 16(8): e0256517. [PLOS ONE] - ロシア
- カレリア共和国(Республика Карелия;Republic of Karelia)のオネガ湖(Онежское озеро;Lake Onega)西岸で、銅石器時代(Chalcolithic)・紀元前3400年ごろの埋葬。琥珀(amber)140個を副葬。[Heritage Daily]
- イタリア
- ヘルクラネウム遺跡(Herculaneum)で79年に死亡した成人17人の骨のコラーゲンから得られたアミノ酸に対し、安定同位体分析。男性と女性の間で、陸生生物と海洋生物の摂取の割合に顕著な違い。
Ancient Roman vacationers consumed gobs of olive oil and fish, volcano victims reveal[Science]
cf. Silvia Soncin, Helen M. Talbot, Ricardo Fernandes, Alison Harris, Matthew von Tersch, Harry K. Robson, Jan K. Bakker, Kristine K. Richter, Michelle Alexander, Steven Ellis, Gill Thompson, Valeria Amoretti, Massimo Osanna, Marina Caso, Francesco Sirano, Luciano Fattore, Andre C. Colonese, Peter Garnsey, Luca Bondioli and Oliver E. Craig "High-resolution dietary reconstruction of victims of the 79 CE Vesuvius eruption at Herculaneum by compound-specific isotope analysis" Science Advances, Vol. 7, no. 35, eabg5791 [Science Advances] - セルビア
- ドナウ川下流域の「トラヤヌスの記念碑」洞窟(Tabula Traiana)とドゥボチュカ・コジャ洞窟(Dubočka-Kozja)で、中期旧石器時代と、中期〜後期旧石器時代の移行期の層。
cf. Dušan Borić, Emanuela Cristiani, Rachel Hopkins, Jean-Luc Schwenninger, Katarina Gerometta, Charly A. I. French, Giuseppina Mutri, Jelena Ćalić, Vesna Dimitrijević, Ana B. Marín-Arroyo, Jennifer R. Jones, Rhiannon Stevens, Alana Masciana, Kevin Uno, Kristine Korzow Richter, Dragana Antonović, Karol Wehr, Christine Lane, Dustin White "Neanderthals on the Lower Danube: Middle Palaeolithic evidence in the Danube Gorges of the Balkans" Journal of Quaternary Science [Wiley Online Library] - チェコ
- ボヘミア地方の7000年前〜3500年前の271人のゲノムを分析。先史時代に文化、遺伝子、社会の変化が頻繁に起こっていることを示す。フンネルビーカー文化(Trichterbecher-Kultur;Funnelbeaker culture)や球状アンフォラ文化(Kugelamphoren-Kultur;Globular Amphora culture)はこの地に移動してきた。縄目文土器文化(Schnurkeramik-Kultur;Corded Ware culture)は東ヨーロッパから到来して通婚し、在地人にみずからと同様の葬送儀礼を行わせた。Y染色体の系統は5系統から1系統に減少し、一部の男性だけが父親となる社会。鐘状ビーカー文化(Glockenbecher-Kultur;Bell Beaker culture)では、新たに登場した1系統のみのY染色体。初期青銅器時代のウーニェティツェ文化(Aunjetitzer Kultur;Únětice culture)は鐘状ビーカー文化の継承者と考えらえていたが、Y染色体の80%は外部由来で、北東ヨーロッパとの琥珀貿易とのかかわりが想定できる。
ドイツ語 Mitteleuropas Vorgeschichte war sehr dynamisch
英語 Central European Prehistory was Highly Dynamic[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
cf. Luka Papac, Michal Ernée, Miroslav Dobeš, Michaela Langová, Adam B. Rohrlach, Franziska Aron, Gunnar U. Neumann, Maria A. Spyrou, Nadin Rohland, Petr Velemínský, Martin Kuna, Hana Brzobohatá, Brendan Culleton, David Daněček, Alběta Danielisová, Miluše Dobisíková, Josef Hloek, Douglas J. Kennett, Jana Klementová, Michal Kostka, Petr Krištuf, Milan Kuchařík, Jana Kuljavceva Hlavová, Petr Limburský, Drahomíra Malyková, Lucia Mattiello, Monika Pecinovská, Katarína Petriščáková, Erika Průchová, Petra Stránská, Lubor Smejtek, Jaroslav Špaček, Radka Šumberová, Ondřej Švejcar, Martin Trefný, Miloš Vávra, Jan Kolář, Volker Heyd, Johannes Krause, Ron Pinhasi, David Reich, Stephan Schiffels, Wolfgang Haak "Dynamic changes in genomic and social structures in third millennium BCE central Europe" Science Advances, Vol 7, Issue 35[Science Advances] - 中央・北欧
- 中欧・北欧の初期青銅器時代〜中期青銅器時代の著名な青銅製品26点の同位体分析により、金属の混合を認識。異なる場所から出土した青銅製品は無関係であることが多いが、紀元前1600年〜前1500年には、共通の青銅素材が用いられた。
cf. Daniel Berger, Gerhard Brügmann, Jan-Heinrich Bunnefeld, Ernst Pernicka "Identifying mixtures of metals by multi-isotope analysis: Disentangling the relationships of the Early Bronze Age swords of the Apa-Hajdúsámson type and associated objects" Archaeometry [Wiley Online Library] - 英王室属領ガーンジー
- オルダニー島(Alderney)のローマ時代・1700年前の砦「ナナリー」(Nunnery)の中に、第二次世界大戦当時のドイツ軍の掩体壕(bunker)。ドイツ軍のチャンネル諸島(Channel Islands)占領中に使用。オルダニー島は1940〜1945年にドイツ軍に制圧され、住民は占領前に避難した。Dig Alderneyの調査。ナナリー内には中世、テューダー朝、ナポレオン時代の遺構もある。[BBC]
▼ナナリー関連記事→2019年5月5日 - スペイン
- ナバラ州(Nafarroa;Navarra)アルセ(Artzi;Arce)のローマ時代の浴場で炉を確認。1〜2世紀は浴場に関連して、3〜4世紀には金属の製錬や加工に関連して使用。アランサディ(Aranzaadi)の調査。[El Diario Vasco]
- スペイン
- ハエン県(Jaén)ヘナベ(Génave)にある13世紀の城2か所、フエンテテタル城(castillo de Fuentetétar)とサラコティンの塔(torre de Zarracotín)が消滅の危機に。行政の怠慢のため。フエンテテタル城は12〜13世紀に築造され、イスラーム王朝ムワッヒド朝(Almohades)の土器が出土。1311年に文献に登場。サラコティンの塔は11〜13世紀に築造。キリスト教徒の攻撃を防ぐために築かれたが1235年〜1239年にかけてサンティアゴ騎士団の手に落ちる。[El Español]
▼アンダルシア州(Andalucía)
2021年8月25日(水)
- 韓国
- 全羅北道 南原市・城侍里山城で集水施設。百済の三足土器、壺などと、瓦が出土し、城の運営時期は6〜7世紀と推定。城侍里山城には三国時代に百済の「居斯勿県」が、統一新羅時代には軍事施設「居斯勿停」が設置されていたと推定されている。[NEWSIS]
- 中国
- 河北省 黄驊市・海豊鎮遺跡で、金時代の製塩用の鹹水井戸。深さ255cm、直径265cmの磚積みで、底には濾過のためのアシを敷く。河北海塩博物館の調査。[中国新聞網]
▼海豊鎮遺跡関連記事→2004年7月19日 - 中国
- 長江中流域の走馬嶺遺跡(Zoumaling)において、城壁を持つ遺跡が始まる新石器時代・屈家嶺文化(Qujialing)晩期・紀元前5300年〜前4500年の住居2か所から出土した土器を分析。2つの住居の住人は社会的地位や富裕度が異なるが、土器の組成は同一で、遺跡内の工房から調達。
cf. Tao Li, Shuai Yao, Limin He, Xiyun Yu, Siwei Shan "Compositional study of household ceramic assemblages from a Late Neolithic (5300–4500 cal BP) earthen walled-town in the middle Yangtze River valley of China" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103159 [ScienceDirect] - トルコ
- コンヤ県(Konya ili)のゲヴァレ城(Gevale Kalesi;Gevale Castle)で、セルジューク朝(Seljuk)・800年前の城門。[Daily Sabah]
▼ゲヴァレ城関連記事→2015年10月20日 - ギリシャ
- 古代ギリシャの植民市アカントス(Ἄκανθος;Akanthos)で、女性人骨4体から7例の頭蓋外科手術の痕跡を新たに報告。古代ギリシャでは主に男性に対してとれパネーションが行われ、生存率は62.9%。
cf. Asterios Aidonis, Niki Papavramidou, Konstantinos Moraitis, Christina Papageorgopoulou "Trepanations in the ancient Greek colony of Akanthos: Skull surgery in the light of Hippocratic medicine" International Journal of Paleopathology, Volume 35, December 2021, Pages 8-21 [ScienceDirect] - イタリア
- レッシニ山地(Monti Lessini)のフマーネ洞窟(Grotta di Fumane;Fumane Cave)で出土した、中期旧石器時代と後期旧石器時代のネアンデルタール人3体とホモサピエンス2体の歯のストロンチウム同位体を分析。ネアンデルタール人とホモサピエンスで移動性に違いはなく、いずれもフマーネ洞窟が立地する山岳地域のレッシニ山地やアディジェ平原(Adige plains)を利用した。
cf. Michael P. Richards, Marcello A. Mannino, Klervia Jaouen, Alessandro Dozio, Jean-Jacques Hublin, Marco Peresani "Strontium isotope evidence for Neanderthal and modern human mobility at the upper and middle palaeolithic site of Fumane Cave (Italy)" PLoS ONE 16(8): e0254848. [PLOS ONE]
▼フマーネ洞窟関連記事→2020年11月3日 - チェコ
- 中央ボヘミア州(Středočeský kraj;Central Bohemia)ジープ山(Říp)の近くで新石器時代の墳丘墓ロングバロー(long barrow)。90m×25m。墳丘内に紀元前3800年ごろの子供の墓と遺物を発見。ヨーロッパ最古級。ジープ山は、チェック人の先祖が登って周囲を眺め、この地に部族が定住することを決めという伝説がある。[Radio Praha]
- ポーランド
- ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie)エウク郡(Powiat ełcki;Ełk County)プシコプカ(Przykopka)で、18〜19世紀の琥珀 35個からなるネックレス、硬貨、衣服、宝飾品、ピン、ボタン、獣骨なども出土。
Warmińsko-mazurskie/ Na budowie węzła Ełk Wschód archeolodzy odnaleźli bursztynowy naszyjnik[Nauka w Polsce] - オランダ
- ハーゼルスワウデ=レインデイク(Hazerswoude-Rijndijk)近くでローマ時代の道路と軍の監視所。[AD]
▼南ホラント州(Zuid-Holland)アルフェン・アン・デン・ライン(Alphen aan den Rijn) - スペイン
- マドリード州(Comunidad de Madrid)ピニージャ・デル・バジェ(Pinilla del Valle)にあるナバルマイリョ岩陰遺跡(Navalmaíllo)で、76000年前のネアンデルタール人の狩猟キャンプ。彼らは主に大型のウシ(bovids)やシカ(cervids)を狩猟。遺跡は狩場と採集消費地の間の狩猟キャンプと推定。
スペイン語 Un campamento de caza neandertal en el centro de la península ibérica
英語 A Neanderthal hunting camp in the center of the Iberian Peninsula[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
▼ナバルマイリョ岩陰遺跡関連記事→2021年8月24日 - スウェーデン
- ゴットランド島(Gotland)のButtle Ängeで、鉄器時代・4〜6世紀の人骨、剣、拍車(spur)。ローマ軍の兵士と推定。ウプサラ大学(Uppsala universitet)の調査。[Sputnik]
2021年8月24日(火)
- 台湾
- 嘉義市で金属器時代・台斗坑文化・2500年前の人骨2体と土器。[自由時報]
- ベトナム
- イエンバイ省(Yen Bai)イエンバイ市(Yen Bai)ヴァンティエン社(Van Tien)ゴイセン村(Ngoi Sen)で、新たに石器時代・先ホアビン文化(pre Hoa Binh Culture)・10000年前〜9000年前の遺跡。[Nhân Dân]
- トルコ
- アイドゥン県(Aydın il)チネ郡(Çine)のテペジク遺跡(Tepecik Höyük;Tepecik Mound)で、3500年前のタイル張りの竈。[Daily Sabah]
- スイス
- シャフハウゼン州(Kanton Schaffhausen)ベリンゲン(Beringen)のベリンゲン城(Schloss Beringen)で、中世の堀や、11〜12世紀の地下室。さらに初期中世・5〜9世紀の竪穴住居から土製紡錘車。石器時代にさかのぼるフリントや、土器片、鹿角も出土。[Schaffhauser Nachrichten]
- ポーランド
- ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie)プルーティ(Pluty)にあるドイツ騎士団(Teutonic Order)の時代の城は、初期鉄器時代・紀元前5〜前3世紀の防御性集落遺跡と、古プロイセン人・11〜13世紀の集落遺跡の上に建造。
[Nauka w Polsce]
▼ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie)ブラニェヴォ郡(powiat braniewski;Braniewo)ピエニエンジュノ(Gmina Pieniężno) - スペイン
- マドリード州(Madrid)ピニージャ・デル・バジェ(Pinilla del Valle)にあるナバルマイリョ岩陰遺跡(Navalmaíllo)のF、D層から出土した中期旧石器時代の動物遺体を分析。堆積後に受けた影響はほとんどない。短期間の利用が繰り返されたネアンデルタール人の狩猟キャンプと解釈。大型のウシ(Bovines)と 中型のシカ(cervids)が多く、ネアンデルタール人は動物を解体し、骨髄を得た。大型肉食獣との競争は少ない。
cf. Abel Moclán, Rosa Huguet, Belén Márquez, César Laplana, María Ángeles Galindo-Pellicena, Nuria García, Hugues-Alexandre Blain, Diego J. Álvarez-Lao, Juan Luis Arsuaga, Alfredo Pérez-González, Enrique Baquedano "A neanderthal hunting camp in the central system of the Iberian Peninsula: A zooarchaeological and taphonomic analysis of the Navalmaíllo Rock Shelter (Pinilla del Valle, Spain)" Quaternary Science Reviews, Volume 269, 1 October 2021, 107142 [ScienceDirect] - スペイン
- サラマンカ(Salamanca)のサン・ビセンテの丘(San Vicente)で、紀元前1000年ごろのハトホル女神(Hathor)の図像を持つ護符(amulet)やネックレス。青水晶(blue quartz)製。ハトホル女神は古代エジプトの幸福や母性、愛の女神。鉄器時代の初め・紀元前900年〜前400年に古代のサラマンカ地域、「銀の道」(Vía de la Plata;La Plata Road)で、貿易の拠点として、フェニキア商人が訪れ、在地の人々とさまざまな物品を交易していたたことを示す。[Egypt Today]
- スウェーデン
- ムータラ(Motala)のストランドヴァーゲン(Strandvägen)で、後期中石器時代・紀元前5600年〜前5200年の集落と、骨器slotted bone pointsの工房。骨器の溝に石器を埋め込んで用いる。
cf. Fredrik Molin, Sara Gummesson "Dwellings and workspaces at Strandvägen, 5600–5000 cal. BC" L'Anthropologie [ScienceDirect]
▼エステルイェータランド県(Östergötlands län) - USA
- ミシガン州(State of Michigan)セント・ジョゼフ郡(St. Joseph County)・ベルソン遺跡(Belson)で、クローヴィス文化(Clovis Culture)・13000年前の遺跡。ミシガン州最古の遺跡。従来、13000年前のミシガン州は氷の壁に覆われ、クローヴィス文化の人々は居住できなかったと考えられていた。
Farm field find rewrites archaeological history in Michigan[University of Michigan]
cf. Thomas Talbot, Henry T. Wright & Brendan Nash "The Belson Site: A Paleoindian Campsite on the Outwash Plains of the Central Great Lakes" PaleoAmerica, Volume 7, 2021 - Issue 1, pp. 76-84[Taylor & Francis Online] - メキシコ
- メキシコシティー(Ciudad de México;Mexico City)・テオティワカン遺跡(Teotihuacán)のうち、ケツァルコアトルの神殿(Temple of Quetzalcoatl;Temple of the Feathered Serpent)のピラミッドの地下にあるトンネルで、2000年前の複数の花束と、焚火の跡。一束が花40本のものと花60本のもの。儀式のための供物か。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
2,000-year-old flower offerings found under Teotihuacan pyramid in Mexico[LiveScience]
2021年8月23日(月)
- 広島市
- 広島市のサッカースタジアム建設予定地から見つかった旧陸軍施設の被爆遺構について、広島市は一部を現地から撤去したうえで保存することを決定。[NHK]
- 韓国
- 慶尚北道 聞慶市 籠岩面 宮基里で、朝鮮時代の銘文入りの大型の石臼。周囲360cm、深さ52cm。「康熙六年 丁未二月 金連進 作臼 石手 金各生」と刻む。石臼に銘文が入った例は韓国で初めて。製作年は清の康熙6年に当たる朝鮮王朝の顕宗8年(1667年)。近隣の寺院に穀物を供給する精米所で使用された臼と推定。銘文に現れる「金連進」は、石臼を作らせた在家信徒または檀越と推定。近隣には統一新羅時代に創建され、朝鮮時代中後期以降に廃絶した寺院跡、宮基里寺跡がある。[聯合ニュース]
- オマーン
- バーティナ地方(al-Batinah)北部のダフワ7遺跡(Dahwa 7)で出土したウンム・アン=ナール文化(Umm al-Nar)・紀元前25000年(cal. BCE)以降の土器について分析。インダス(Indus)の雲母混入赤色土器(red micaceous ware)、ウンム・アン=ナール赤色精製土器、ダフワ砂質土器からなるが、同時期のほかの遺跡に比べ、インダスの雲母混入赤色土器に黒スリップをかけたものが多い。在地のダフワ砂質土器も、口縁部がインダスに典型的な形をしており、当地にいたインダスの陶工が、在地の需要に応えて製作した可能性。
cf. Khaled A. Douglas, Nasser S. Al-Jahwari, Sophie Méry, Mohamad Hesein, Kimberly D. Williams "Umm an-Nar settlement pottery from Dahwa 7 (DH7), northern al-Batinah, Oman" Arabian Archaeology and Epigraphy [Wiley Online Library]
▼ダフワ遺跡関連記事→2017年12月26日 - ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)リートリング遺跡(Riedling)の環濠の内側で出土した後期新石器時代・ミュンヒスヘーフェン文化(Münchshöfener Kultur;Münchshöfen culture)・紀元前5千年紀の埋葬人骨39体について、同位体分析。環濠の内側には選ばれた人々のみが埋葬される。87Sr/86Srの同位体比から見て、20人中9人は地元出身ではなく、子供の時に移住したものもいた。外部で最も近い出身地はドナウ川の対岸で、ドナウは地理的障壁ではなかった。コラーゲンのδ13Cとδ15Nの同位体比からみて、食生活には性差があり、外来者の一部も異なる食生活。しかし、出身や食生活の差院も関わらず、埋葬時の取り扱いに差はなかった。
cf. Anna Perutka, Franziska Schreil, Daniela Hofmann, Márton Szilágyi, Jörg Ewersen, Ludwig Husty, Claudia Sarkady, Gisela Grupe "Conspicuous burials in a Neolithic enclosure at Riedling (Bavaria, Germany) – A selection of individuals?" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 39, October 2021, 103154 [ScienceDirect] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)ウナ郡(Kreis Unna)フレンデンベルク/ルール (Frööndenberg/Ruhr)のフレーメルン(Frömern)で、鉄器時代やローマ帝政期の土器、また、火葬骨出土。[Hellweger Anzeiger]
2021年8月22日(日)
- イラン
- ケルマーンシャー州(Ostān-e Kermānshāh)パーベ郡(Paveh county)で、中期旧石器時代・4万年前の石器と獣骨。[Tehran Times]
- ヨルダン
- ウンム・アル・ジマール(Umm_Al_Jimmal)の初期キリスト教教会で、100年前にハワード・クロスビー・バトラー(Howard Crosby Butler;1872〜1922)によって撮影された3つの銘文のある石が、1920年の地震の瓦礫の中から再発見。ビザンティン帝国・550年〜650年に記されたギリシャ文字「Α」「Ω」と小さな十字。創建時の教会に関連。ヨルダン考古局(Department of Antiquities (DoA))の調査。[The Jordan Times]
- クロアチア
- ポトチャニ(Potočani)の銅石器時代・紀元前4200年の集団墓は、防御不可能な状態で処刑された、1回限りのエピソードを示すと推定。人骨41人以上の、頭蓋骨に受けた生前の傷を検討し、大規模で意図的な暴力の結果かどうか検討。成人男性3人と若者1人に鈍器による生前の損傷。頭蓋骨13個には死の直前の損傷など。南東部ヨーロッパで最古の事例。
cf. Ivor Janković, Jacqueline Balen, Hrvoje Potrebica, James C. M. Ahern, Mario Novak "Mass violence in Copper Age Europe: The massacre burial site from Potočani, Croatia" American Journal of Physical Anthropology [Wiley Online Library]
▼ポトチャニの集団墓関連記事→2021年3月11日 - クロアチア
- ダルマチア地方(Dalmacija;Dalmatia)沖の海洋交易ルートに沿った15遺跡(難破船、窯、集落)から出土したヘレニズム時代(Hellenistic)と共和政ローマ後期(Late Roman Republic)の運搬用アンフォラを分析。同一の産地で作られたが埋没環境の異なる、陸上出土と水中出土のアンフォラを比較。水中出土のアンフォラは陸上出土のものに比べ砒素(As)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、アンチモン(Sb)、ストロンチウム(Sr)、ウラン(U)が増加し、バリウム(Ba)、セシウム(Cs)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)が減少。
cf. M. Miše, S. P. Quinn, M. D. Glascock "Lost at sea: Identifying the post-depositional alteration of amphorae in ancient shipwrecks" Journal of Archaeological Science, Volume 134, October 2021, 105463 [ScienceDirect] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen) ゾースト郡(Kreis Soest) リッペタール(Lippetal)のリッペ川(Lippe)で、沈没船の木材を新たに回収。船体復元の手がかりに。
Zurück in der Lippe[Archaeologie Online] - スペイン
- ペトレル(Petrer)のプカ地域(Puca)で、イスラーム支配下の中世・11〜13世紀の農家アルケリア(alquería)の壁。10世紀後半以降の土器や銅製紡錘も出土。Museo Dámaso Navarroの調査。[The Olive Press]
- UK(イングランド)
- レスターシャー州(the county of Leicestershire)キブワース・ハーコート(Kibworth Harcourt)で、風車に魔除けの落書き。古いものは1711年までさかのぼる。[BBC]
2021年8月21日(土)
- 長野県
- 茅野市・永明中学校校庭遺跡(えいめいちゅうがっこうこうていいせき)で、弥生時代後期・3世紀の大型竪穴住居跡。茅野市教育委員会8/20発表。[長野日報]
- シリア
- ハブール川流域(Khabur Basin)の3遺跡で出土した、4200年前の大旱魃とその前後の時期のヒトの歯と骨から得られた炭素(δ13C)と窒素(δ15N)を安定同位体分析。時期によって大きな変化があるが、墓の考古学的な証拠と考え合わせると、4200年前の出来事に関連した混乱というよりも、生存パターンの連続性を示す。
cf. Arkadiusz Sołtysiak and Ricardo Fernandes "Much ado about nothing: assessing the impact of the 4.2 kya event on human subsistence patterns in northern Mesopotamia using stable isotope analysis" Antiquity, First View, pp. 1 - 16 [Cambridge Core] - ルーマニア
- クルジュ=ナポカ(Cluj-Napoca)のイクロド(Iclod)で、新石器時代・6000年前の墓と砦、貯蔵穴。ケルト・2200年前の火葬墓地。[Gherla INFO]
- マルタ
- マルタ大学(L-Università ta' Malta;University of Malta)とヘリテージ・マルタ(Heritage Malta)が、水中考古学に関するヴァーチャル展覧会「Underwater Malta」を開催。ゴゾ島(Gozo)沖の2700年前のフェニキア船から第二次世界大戦中に沈んだ船まで17の難破船や航空機を紹介。
cf. Lucy Blue "Underwater Malta: the virtual museum" Antiquity, First View, pp. 1 - 4 [Cambridge Core] - ポーランド
- クヤヴィ=ポモージェ県(Województwo kujawsko-pomorskie)のヴディエツキ景観公園(Wdecki Park Krajobrazowy;Wdecki Landscape Park)で、ノルウェーで作られたヴァイキング時代初め・8世紀半ばの長刀ラングサックス(langsaks;langsax)。長さ90cm。1091年4月5日のポーランド公ヴワディスワフ1世ヘルマン(Władysław I Herman)がポメラニアを併合しようとした戦争の古戦場を調査していて発見。
[Nauka w Polsce] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France) ソンム県(Somme)サルエル(Salouël)で、ローマ時代・1〜4世紀の邸宅の農村部分(pars rustica)の部分を追加調査。1世紀の溝が邸宅の地割の基礎になっている。2〜3世紀にかけて改築。古代アムビアニ族(Ambiani)の都市サマロブリヴァ(Samarobriva)の一部。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
La pars rustica d’une villa romaine à Salouël (Somme)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - フランス
- オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏(Auvergne-Rhône-Alpes)アリエ県(Allier)ガナ(Gannat)で、紀元前800年ごろの防御性集落跡から、青銅器時代・3000年以上前の装身具、武器などを納めた土器。埋納品とみられる。[Franceinfo]
- UK(イングランド)
- ハウンズロー・ロンドン自治区(London Borough of Hounslow)のブレントフォード(Brentford)で、ローマ時代の硬貨や炉跡。17世紀の地下室2か所。ロンドン博物館考古学サービス(Museum of London Archaeology Service;MOLA)の調査。[The Chiswick Herald]
- アイルランド
- ロングフォード州(County Longford)で800年前のシャツ形の鎖帷子ホーバーク(hauberk)。近隣のグラナール城(Granard Motte)と関連している可能性。ノルマン人がロングフォードに到達した1172年ごろと推定。[RTÉ]
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