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:第1回衆議院議員総選挙における小選挙区制選挙区割
![]() (小選挙区制) |
![]() (大選挙区制) |
![]() (小選挙区制) |
![]() (中選挙区制) |
![]() (大選挙区制) |
![]() (復活中選挙区制) |
![]() (中選挙区制) |
![]() (小選挙区制) |
![]() (小選挙区第1回改正) |
![]() (小選挙区第2回緊急改正) |
![]() (小選挙区第3回改正) |
![]() (小選挙区第4回改正) |
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*都府県の配列は当時の公式な配列。ただし地方区分は作成者による便宜的なもの
*漢字の字体は現在の字体を使用している。
*“定数”欄の地色が空色の選挙区は定数1の小選挙区
*赤字は1902(明治35)年改正で新たに独立した選挙区
*“定数”欄の地色が桃色の選挙区は1902年改正での増員区
地方 | 府県名 | 選挙区 | 定数 | 1902(明治35)年4月改正 | |
---|---|---|---|---|---|
選挙区 | 定数 | ||||
3府 | 東京府 | 東京市 | 11人 | 東京市 | 11人 |
郡部 伊豆七島 | 5人 | 郡部 伊豆七島 | 5人 | ||
京都府 | 京都市 | 3人 | 京都市 | 3人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
大阪府 | 大阪市 | 6人 | 大阪市 | 6人 | |
堺市 | 1人 | 堺市 | 1人 | ||
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
4港 | 神奈川県 | 横浜市 | 1人 | 横浜市 | 2人 |
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
兵庫県 | 神戸市 | 2人 | 神戸市 | 2人 | |
姫路市 | 1人 | 姫路市 | 1人 | ||
郡部 | 11人 | 郡部 | 11人 | ||
長崎県 | 長崎市 | 1人 | 長崎市 | 1人 | |
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
対馬 | 1人 | 対馬 | 1人 | ||
新潟県 | 新潟市 | 1人 | 新潟市 | 1人 | |
郡部 | 13人 | 郡部 | 12人 | ||
佐渡 | 1人 | ||||
関東 | 埼玉県 | (市なし) |   | (市なし) |   |
郡部 | 9人 | 郡部 | 9人 | ||
群馬県 | 前橋市 | 1人 | 前橋市 | 1人 | |
郡部 | 6人 | 高崎市 | 1人 | ||
郡部 | 6人 | ||||
千葉県 | (市なし) |   | (市なし) |   | |
郡部 | 10人 | 郡部 | 10人 | ||
茨城県 | 水戸市 | 1人 | 水戸市 | 1人 | |
郡部 | 9人 | 郡部 | 9人 | ||
栃木県 | 宇都宮市 | 1人 | 宇都宮市 | 1人 | |
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
奈良・ 東海 |
奈良県 | 奈良市 | 1人 | 奈良市 | 1人 |
郡部 | 4人 | 郡部 | 4人 | ||
三重県 | 津市 | 1人 | 津市 | 1人 | |
四日市市 郡部 | 7人 | 四日市市 | 1人 | 郡部 | 7人 |
愛知県 | 名古屋市 | 2人 | 名古屋市 | 2人 | |
郡部 | 11人 | 郡部 | 11人 | ||
静岡県 | 静岡市 | 1人 | 静岡市 | 1人 | |
郡部 | 9人 | 郡部 | 9人 | ||
山梨県 | 甲府市 | 1人 | 甲府市 | 1人 | |
郡部 | 4人 | 郡部 | 4人 | ||
東山 | 滋賀県 | 大津市 | 1人 | 大津市 | 1人 |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
岐阜県 | 岐阜市 | 1人 | 岐阜市 | 1人 | |
郡部 | 7人 | 郡部 | 7人 | ||
長野県 | 長野市 | 1人 | 長野市 | 1人 | |
郡部 | 9人 | 郡部 | 9人 | ||
東北 | 宮城県 | 仙台市 | 1人 | 仙台市 | 1人 |
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
福島県 | (市なし) |   | 若松市 | 1人 | |
郡部 | 8人 | 郡部 | 8人 | ||
岩手県 | 盛岡市 | 1人 | 盛岡市 | 1人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
青森県 | 弘前市 | 1人 | 弘前市 | 1人 | |
青森市 郡部 | 4人 | 青森市 | 1人 | ||
郡部 | 4人 | ||||
山形県 | 山形市 | 1人 | 山形市 | 1人 | |
米沢市 | 1人 | 米沢市 | 1人 | 郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 |
秋田県 | (市なし) |   | 秋田市 | 1人 | |
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
北陸 | 福井県 | 福井市 | 1人 | 福井市 | 1人 |
郡部 | 4人 | 郡部 | 4人 | ||
石川県 | 金沢市 | 1人 | 金沢市 | 1人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
富山県 | 富山市 | 1人 | 富山市 | 1人 | |
高岡市 | 1人 | 高岡市 | 1人 | ||
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
中国 | 鳥取県 | (市なし) |   | 鳥取市 | 1人 |
郡部 | 3人 | 郡部 | 3人 | ||
島根県 | 松江市 | 1人 | 松江市 | 1人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
隠 岐 | 1人 | 隠 岐 | 1人 | ||
岡山県 | 岡山市 | 1人 | 岡山市 | 1人 | |
郡部 | 8人 | 郡部 | 8人 | ||
広島県 | 広島市 | 1人 | 広島市 | 1人 | |
尾道市 郡部 | 10人 | 尾道市 | 1人 | ||
郡部 | 10人 | ||||
山口県 | 赤間関市 | 1人 | 赤間関市 | 1人 | |
郡部 | 7人 | 郡部 | 7人 | ||
南海 | 和歌山県 | 和歌山市 | 1人 | 和歌山市 | 1人 |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
徳島県 | 徳島市 | 1人 | 徳島市 | 1人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
香川県 | 高松市 | 1人 | 高松市 | 1人 | |
丸亀市 郡部 | 5人 | 丸亀市 | 1人 | ||
郡部 | 5人 | ||||
愛媛県 | 松山市 | 1人 | 松山市 | 1人 | |
郡部 | 7人 | 郡部 | 7人 | ||
高知県 | 高知市 | 1人 | 高知市 | 1人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
九州 | 福岡県 | 福岡市 | 1人 | 福岡市 | 1人 |
久留米市,門司市 郡部 | 8人 | 久留米市 | 1人 | ||
門司市 | 1人 | ||||
小倉市 | 1人 | ||||
郡部 | 10人 | ||||
大分県 | (市なし) |   | (市なし) |   | |
郡部 | 6人 | 郡部 | 6人 | ||
佐賀県 | 佐賀市 | 1人 | 佐賀市 | 1人 | |
郡部 | 5人 | 郡部 | 5人 | ||
熊本県 | 熊本市 | 1人 | 熊本市 | 1人 | |
郡部 | 8人 | 郡部 | 8人 | ||
宮崎県 | (市なし) |   | (市なし) |   | |
郡部 | 4人 | 郡部 | 4人 | ||
鹿児島県 | 鹿児島市 | 1人 | 鹿児島市 | 1人 | |
郡部 | 7人 | 郡部 | 7人 | ||
大島 | 1人 | 大島 | 1人 | ||
北海道 | 北海道庁 | 札幌区 | 1人 | 札幌区 | 1人 |
函館区 | 1人 | 函館区 | 1人 | ||
小樽区 | 1人 | 小樽区 | 1人 | ||
札幌・小樽・岩内・増毛・宗谷・上川・空知・室蘭・浦河各支庁管内 | 1人 | 札幌・小樽・岩内・増毛・宗谷・上川・空知・室蘭・浦河各支庁管内 | 1人 | ||
函館・松前・檜山・寿都各支庁管内 | 1人 | 函館・松前・檜山・寿都各支庁管内 | 1人 | ||
根室・釧路・河西・網走各支庁管内 | 1人 | 根室・釧路・河西・網走各支庁管内 | 1人 | ||
沖 縄 | 沖縄県 | 那覇区,首里区 島尻郡,中頭郡,国頭郡 | 2人 | 那覇区,首里区 島尻郡,中頭郡,国頭郡 | 2人 |
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:1890年第1回衆議院議員総選挙における小選挙区制選挙区割
[ 解説 ]
1900(明治33)年3月,第2次山県有朋内閣のもとで衆議院議員選挙法の一部が改正され,選挙権の拡張が行われました。
1900(明治23)年7月の第1回総選挙以来6回の総選挙が行われ,藩閥政府と政党の間で衆議院を舞台とした激しい攻防がくりかえされました。日清戦争後,藩閥政府に対する政党の批判が強まる中で1898(明治21)年6月に第3次伊藤博文内閣が総辞職すると,板垣退助の自由党と大隈重信の進歩党とが合同して結成された憲政党による初の政党内閣,第1次大隈重信内閣(隈板内閣)が誕生しましたが,「あまりに早すぎた」政党内閣は藩閥勢力との抗争の末,わずか4ヶ月で崩壊するに至ります。
隈板内閣のあと,再び藩閥勢力によって組織された第2次山県内閣の下で,選挙権の拡張が行われたわけです。
当然ながら,選挙法の改正は何よりも衆議院で可決されなければ成立することがあり得ませんから,この「改正」は決して政府が一方的に行ったのではなくて,政党の承認ないしは“妥協”のもとで行われました。
この改正で,選挙人資格は次のように改められました。
第八条 左ノ要件ヲ具備スル者ハ選挙権ヲ有ス
一、帝国臣民タル男子ニシテ年齢満二十五年以上ノ者
二、選挙人名簿調製ノ期日前満一年以上其ノ選挙区ニ住所ヲ有シ仍(なお)引続キ有スル者
三、選挙人名簿調製ノ期日前満一年以上地租十円以上又ハ満二年以上地租以外ノ直接国税十円以上若(もしく)ハ地租ト其ノ他ノ直接国税トヲ通シテ十円以上納メタル仍引続キ納ムル者
家督相続ニ依リ財産ヲ取得シタル者ハ其ノ財産ニ付(つき)被相続人ノ為(な)シタル納税ヲ以テ其ノ者ノ納税シタルモノト看做(みな)ス
つまり,それまでの規定では15円以上の直接国税(地租を主とする)を1年以上,所得税の場合は3年以上収めた者,とされていたのを,地租15円から10円へ引き下げ,地租以外の直接国税の場合は従来の3年を2年に短縮する,というものでした。
高額の地租を納税する者とは,すなわち大地主のことですから,当時の衆議院は大地主の議会と考えることができるのですが,地租以外の枠を広げたことで都市部の高額納税者により有利な形で拡張された,と言えるのかもしれません。
「都市に有利」という傾向は,選挙区の区割りにも現われています。
この改正で,従来の小選挙区制にかえて,府県を単位とする大選挙区制に改められました。ただし,市の区域は府県選挙区から切り離して単独の選挙区とされました。東京市・京都市,大阪市・神戸市・名古屋市といった人口の多い都市については2人以上の定数が配分されましたが,それ以外の市は定数1と,こちらは小選挙区制となっていました。
この選挙区割りは,1903(明治36)年に再度改正されて,それまでに市となった区域がすべて単独の選挙区となり,郡部選挙区(農村部)305議席に対して市部選挙区(都市部)76議席,比率にして8:2となりました(なお離島も単独の選挙区とされ,定数1が配分されました)。
この選挙制度の変更に際して,衆議院の定数は381に増やされました。同時に従来はこの法律が適用されなかった北海道と沖縄県にも適用され,議席が配分されました。ただし,他の45府県と同時に施行されたのは北海道の札幌区・函館区・小樽区の3区(北海道と沖縄県にはまだ市制が施行されていない)だけで,北海道の残りの地域は1903(明治36)年6月,沖縄県には1912(明治45)年3月にようやく施行となり,それぞれ次の総選挙から実際に選挙が行われることになりました。
もう1つ,この選挙法改正で改められたものに,それまで2人区で行われていた連記制にかえて大選挙区であっても1名のみに投票する単記制とされたこと,そして「投票用紙ニハ選挙人ノ氏名ヲ記載スルコトヲ得ス」(第36条第2項)と規定されているように従来の記名投票から秘密投票に改められたことがあります。この2つは,大選挙区制で行われた戦後第1回総選挙(1946:昭和21年)で制限連記制が採られた以外,一貫してその後の衆議院議員選挙で採用されることになります。
![]() (小選挙区制) |
![]() (大選挙区制) |
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![]() (中選挙区制) |
![]() (大選挙区制) |
![]() (復活中選挙区制) |
![]() (中選挙区制) |
![]() (小選挙区制) |
![]() (小選挙区第1回改正) |
![]() (小選挙区第2回緊急改正) |
![]() (小選挙区第3回改正) |
![]() (小選挙区第4回改正) |
2000. 8. 4
2002. 7.31 改訂
ISIDA Satosi