明治末期(第1次選挙権拡大後:1900〜19年)の大選挙区制選挙区割

1900(明治33)年改正衆議院議員選挙法(3月28日公布) 「別表」

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1890年:第1回総選挙
(小選挙区制)
1900年:第1次拡大
(大選挙区制)
1919年:第2次拡大
(小選挙区制)
1925年:普通選挙法
(中選挙区制)
1946年:戦後第1回
(大選挙区制)
1947年:新憲法準備
(復活中選挙区制)
1950年:公職選挙法
(中選挙区制)
1994年:改正公選法
(小選挙区制)
2002年:改正公選法
(小選挙区第1回改正)
2013年:改正公選法
(小選挙区第2回緊急改正)

    [ 解説 ]

*都府県の配列は当時の公式な配列。ただし地方区分は作成者による便宜的なもの
漢字の字体は現在の字体を使用している。
“定数”欄の地色が空色の選挙区は定数1小選挙区
赤字1902(明治35)年改正新たに独立した選挙区
“定数”欄の地色が桃色の選挙区は1902年改正での増員区

地方府県名選挙区定数1902(明治35)年4月改正
選挙区定数
3府 東京府 東京市11人東京市11人
郡部
伊豆七島
5人郡部
伊豆七島
5人
京都府 京都市3人京都市3人
郡部5人郡部5人
大阪府 大阪市6人大阪市6人
堺市1人堺市1人
郡部6人郡部6人
4港 神奈川県 横浜市1人横浜市2人
郡部6人郡部6人
兵庫県 神戸市2人神戸市2人
姫路市1人姫路市1人
郡部11人郡部11人
長崎県 長崎市1人長崎市1人
郡部6人郡部6人
対馬1人対馬1人
新潟県 新潟市1人新潟市1人
郡部13人郡部12人
佐渡1人
関東 埼玉県 (市なし) (市なし) 
郡部9人郡部9人
群馬県 前橋市1人前橋市1人
郡部6人高崎市1人
郡部6人
千葉県 (市なし) (市なし) 
郡部10人郡部10人
茨城県 水戸市1人水戸市1人
郡部9人郡部9人
栃木県 宇都宮市1人宇都宮市1人
郡部6人郡部6人
奈良・
東海
奈良県 奈良市1人奈良市1人
郡部4人郡部4人
三重県 津市1人津市1人
四日市市
郡部
7人四日市市1人
郡部7人
愛知県 名古屋市2人名古屋市2人
郡部11人郡部11人
静岡県 静岡市1人静岡市1人
郡部9人郡部9人
山梨県 甲府市1人甲府市1人
郡部4人郡部4人
東山 滋賀県 大津市1人大津市1人
郡部5人郡部5人
岐阜県 岐阜市1人岐阜市1人
郡部7人郡部7人
長野県 長野市1人長野市1人
郡部9人郡部9人
東北 宮城県 仙台市1人仙台市1人
郡部6人郡部6人
福島県 (市なし) 若松市1人
郡部8人郡部8人
岩手県 盛岡市1人盛岡市1人
郡部5人郡部5人
青森県 弘前市1人弘前市1人
青森市
郡部
4人青森市1人
郡部4人
山形県 山形市1人山形市1人
米沢市1人米沢市1人
郡部6人郡部6人
秋田県 (市なし) 秋田市1人
郡部6人郡部6人
北陸 福井県 福井市1人福井市1人
郡部4人郡部4人
石川県 金沢市1人金沢市1人
郡部5人郡部5人
富山県 富山市1人富山市1人
高岡市1人高岡市1人
郡部5人郡部5人
中国 鳥取県 (市なし) 鳥取市1人
郡部3人郡部3人
島根県 松江市1人松江市1人
郡部5人郡部5人
隠 岐1人隠 岐1人
岡山県 岡山市1人岡山市1人
郡部8人郡部8人
広島県 広島市1人広島市1人
尾道市
郡部
10人尾道市1人
郡部10人
山口県 赤間関市1人赤間関市1人
郡部7人郡部7人
南海 和歌山県 和歌山市1人和歌山市1人
郡部5人郡部5人
徳島県 徳島市1人徳島市1人
郡部5人郡部5人
香川県 高松市1人高松市1人
丸亀市
郡部
5人丸亀市1人
郡部5人
愛媛県 松山市1人松山市1人
郡部7人郡部7人
高知県 高知市1人高知市1人
郡部5人郡部5人
九州 福岡県 福岡市1人福岡市1人
久留米市,門司市
郡部
8人久留米市1人
門司市1人
小倉市1人
郡部10人
大分県 (市なし) (市なし) 
郡部6人郡部6人
佐賀県 佐賀市1人佐賀市1人
郡部5人郡部5人
熊本県 熊本市1人熊本市1人
郡部8人郡部8人
宮崎県 (市なし) (市なし) 
郡部4人郡部4人
鹿児島県 鹿児島市1人鹿児島市1人
郡部7人郡部7人
大島1人大島1人
北海道 北海道庁 札幌区1人札幌区1人
函館区1人函館区1人
小樽区1人小樽区1人
札幌・小樽・岩内・増毛・宗谷・上川・空知・室蘭・浦河各支庁管内1人札幌・小樽・岩内・増毛・宗谷・上川・空知・室蘭・浦河各支庁管内1人
函館・松前・檜山・寿都各支庁管内1人函館・松前・檜山・寿都各支庁管内1人
根室・釧路・河西・網走各支庁管内1人根室・釧路・河西・網走各支庁管内1人
沖 縄 沖縄県 那覇区,首里区
島尻郡,中頭郡,国頭郡
2人那覇区,首里区
島尻郡,中頭郡,国頭郡
2人
北海道庁根室支庁管内のうち色丹島および国後郡以東(千島列島),東京府のうち小笠原諸島,さらに沖縄県のうち宮古郡・八重山郡には適用されない。

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[ 解説 ]

1900(明治33)年3月第2次山県有朋内閣のもとで衆議院議員選挙法の一部が改正され,選挙権の拡張が行われました。

1900(明治23)年7月第1回総選挙以来6回の総選挙が行われ,藩閥政府政党の間で衆議院を舞台とした激しい攻防がくりかえされました。日清戦争後,藩閥政府に対する政党の批判が強まる中で1898(明治21)年6月第3次伊藤博文内閣が総辞職すると,板垣退助自由党大隈重信進歩党とが合同して結成された憲政党による初の政党内閣第1次大隈重信内閣(隈板内閣)が誕生しましたが,「あまりに早すぎた」政党内閣は藩閥勢力との抗争の末,わずか4ヶ月で崩壊するに至ります。
隈板内閣のあと,再び藩閥勢力によって組織された第2次山県内閣の下で,選挙権の拡張が行われたわけです。
当然ながら,選挙法の改正は何よりも衆議院可決されなければ成立することがあり得ませんから,この「改正」は決して政府が一方的に行ったのではなくて,政党の承認ないしは“妥協”のもとで行われました。

この改正で,選挙人資格は次のように改められました。

第八条 左ノ要件ヲ具備スル者ハ選挙権ヲ有ス
  一、帝国臣民タル男子ニシテ年齢満二十五年以上ノ者
  二、選挙人名簿調製ノ期日前満一年以上其ノ選挙区ニ住所ヲ有シ仍
(なお)引続キ有スル者
  三、選挙人名簿調製ノ期日前満一年以上地租十円以上又ハ満二年以上地租以外ノ直接国税十円以上
(もしく)地租ト其ノ他ノ直接国税トヲ通シテ十円以上納メタル仍引続キ納ムル者
  家督相続ニ依リ財産ヲ取得シタル者ハ其ノ財産ニ付
(つき)被相続人ノ為(な)シタル納税ヲ以テ其ノ者ノ納税シタルモノト看做(みな)

つまり,それまでの規定では15円以上の直接国税地租を主とする)を1年以上所得税の場合は3年以上収めた者,とされていたのを,地租15円から10円へ引き下げ,地租以外の直接国税の場合は従来の3年2年に短縮する,というものでした。
高額の地租を納税する者とは,すなわち大地主のことですから,当時の衆議院大地主の議会と考えることができるのですが,地租以外の枠を広げたことで都市部の高額納税者により有利な形で拡張された,と言えるのかもしれません。

「都市に有利」という傾向は,選挙区の区割りにも現われています。
この改正で,従来の小選挙区制にかえて,府県を単位とする大選挙区制に改められました。ただし,の区域は府県選挙区から切り離して単独の選挙区とされました。東京市・京都市,大阪市・神戸市・名古屋市といった人口の多い都市については2人以上の定数が配分されましたが,それ以外の定数1と,こちらは小選挙区制となっていました。
この選挙区割りは,1903(明治36)年に再度改正されて,それまでにとなった区域がすべて単独の選挙区となり,郡部選挙区(農村部)305議席に対して市部選挙区(都市部)76議席,比率にして8:2となりました(なお離島も単独の選挙区とされ,定数1が配分されました)。
この選挙制度の変更に際して,衆議院の定数は381に増やされました。同時に従来はこの法律が適用されなかった北海道沖縄県にも適用され,議席が配分されました。ただし,他の45府県と同時に施行されたのは北海道の札幌区・函館区・小樽区の3区(北海道と沖縄県にはまだ市制が施行されていない)だけで,北海道の残りの地域は1903(明治36)年6月,沖縄県には1912(明治45)年3月にようやく施行となり,それぞれ次の総選挙から実際に選挙が行われることになりました。

もう1つ,この選挙法改正で改められたものに,それまで2人区で行われていた連記制にかえて大選挙区であっても1名のみに投票する単記制とされたこと,そして「投票用紙ニハ選挙人ノ氏名ヲ記載スルコトヲ得ス」(第36条第2項)と規定されているように従来の記名投票から秘密投票に改められたことがあります。この2つは,大選挙区制で行われた戦後第1回総選挙(1946:昭和21年)で制限連記制が採られた以外,一貫してその後の衆議院議員選挙で採用されることになります。


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2000. 8. 4
2002. 7.31 改訂
ISIDA Satosi