第1回衆議院総選挙における小選挙区制選挙区割

衆議院議員選挙法(1889:明治22年2月11日公布) 「附録」

「衆議院議員選挙制度の変遷」 トップページへ戻る

1890年:第1回総選挙
(小選挙区制)
1900年:第1次拡大
(大選挙区制)
1919年:第2次拡大
(小選挙区制)
1925年:普通選挙法
(中選挙区制)
1946年:戦後第1回
(大選挙区制)
1947年:新憲法準備
(復活中選挙区制)
1950年:公職選挙法
(中選挙区制)
1994年:改正公選法
(小選挙区制)
2002年:改正公選法
(小選挙区第1回改正)
2013年:改正公選法
(小選挙区第2回緊急改正)

    [ 解説 ]

*府県の配列は当時の公式な配列。ただし地方区分は作成者による便宜的なもの
漢字の字体は現在の字体を使用している。
赤字1890(明治23)年7月1日第1回総選挙当日までに市制を施行して発足した(ただし東京・京都・大阪の3市は除く)
“定数”欄の地色が桃色の選挙区は定数2(2名連記)

府県別区割地図 (表中の各府県名からもリンク)
地方府県名選挙区定数所属市郡区
3府 東京府 1区1人麹町区・麻布区・赤坂区
2区1人芝区
3区1人京橋区
4区1人日本橋区
5区1人本所区・深川区
6区1人浅草区
7区1人神田区
8区1人下谷区・本郷区
9区1人小石川区・牛込区・四谷区
10区1人東多摩郡,南豊島郡,北豊島郡
11区1人南足立郡,南葛飾郡
12区1人荏原郡,伊豆七島
京都府 1区1人上京区
2区1人下京区
3区1人愛宕郡,葛野郡,乙訓郡,紀伊郡
4区1人宇治郡,久世郡,相楽郡,綴喜郡
5区2人南桑田郡,北桑田郡,船井郡,天田郡,何鹿郡
6区1人加佐郡,与謝郡,中郡,竹野郡,熊野郡
大阪府 1区1人西区
2区1人東区・北区
3区1人南区
4区2人西成郡,東成郡,住吉郡
5区1人島上郡,島下郡,豊島郡,能勢郡
6区1人茨田郡,交野郡,讃良郡,河内郡,若江郡,高安郡
7区1人石川郡,八上郡,古市郡,安宿部郡,錦部郡,丹南郡,志紀郡,丹北郡,大県郡,渋川郡
8区1人堺区(堺市)
大鳥郡,泉郡
9区1人南郡,日根郡
4港 神奈川県 1区1人横浜区(横浜市)
2区1人久良岐郡,橘樹郡,都筑郡
3区2人南多摩郡,西多摩郡,北多摩郡
4区1人三浦郡,鎌倉郡
5区1人高座郡,愛甲郡,津久井郡
6区1人大住郡,淘綾郡,足柄上郡,足柄下郡
兵庫県 1区1人神戸区(神戸市)
2区1人武庫郡,菟原郡,川辺郡,有馬郡
3区1人多紀郡,氷上郡
4区1人八部郡,明石郡,美嚢郡
5区1人加古郡,印南郡
6区1人加東郡,多可郡,加西郡
7区1人姫路市
飾東郡,飾西郡,神東郡,神西郡
8区2人揖東郡,揖西郡,赤穂郡,佐用郡,宍粟郡
9区2人城崎郡,美含郡,気多郡,出石郡,七美郡,二方郡,養父郡,朝来郡
10区1人津名郡,三原郡
長崎県 1区2人長崎区(長崎市)
西彼杵郡
2区1人東彼杵郡,北高来郡
3区1人南高来郡
4区1人北松浦郡,壱岐郡,石田郡
5区1人南松浦郡
6区1人上県郡,下県郡
新潟県 1区1人新潟区(新潟市)
西蒲原郡
2区2人北蒲原郡,東蒲原郡,岩船郡
3区1人中蒲原郡
4区1人南蒲原郡
5区2人古志郡,三島郡
6区1人刈羽郡
7区2人北魚沼郡,南魚沼郡,中魚沼郡,東頸城郡
8区2人中頸城郡,西頸城郡
9区1人雑太郡,加茂郡,羽茂郡
関東 埼玉県 1区1人北足立郡,新座郡
2区2人入間郡,高麗郡,横見郡,比企郡
3区2人南埼玉郡,北葛飾郡,中葛飾郡
4区2人北埼玉郡,大里郡,幡羅郡,榛沢郡,男衾郡
5区1人児玉郡,賀美郡,那珂郡,秩父郡
群馬県 1区1人東群馬郡,南勢多郡,利根郡,北勢多郡
2区1人新田郡,山田郡,邑楽郡
3区1人佐位郡,那波郡,緑野郡,多胡郡,南甘楽郡
4区1人西群馬郡,片岡郡,吾妻郡
5区1人北甘楽郡,碓氷郡
千葉県 1区1人千葉郡,市原郡
2区2人東葛飾郡,印旛郡,下埴生郡,南相馬郡
3区1人香取郡
4区1人海上郡,匝瑳郡
5区1人山辺郡,武射郡
6区1人夷隅郡,上埴生郡,長柄郡
7区1人望陀郡,周淮郡,天羽郡
8区1人安房郡,平郡,朝夷郡,長狭郡
茨城県 1区2人水戸市
東茨城郡,鹿島郡,行方郡
2区2人多賀郡,久慈郡,那珂郡
3区1人西茨城郡,真壁郡
4区1人豊田郡,結城郡,岡田郡,西葛飾郡,猿島郡
5区1人筑波郡,新治郡
6区1人信太郡,河内郡,北相馬郡
栃木県 1区1人河内郡,芳賀郡
2区2人上都賀郡,下都賀郡,寒川郡
3区1人安蘇郡,足利郡,梁田郡
4区1人塩谷郡,那須郡
奈良・
東海
奈良県 1区1人添上郡,添下郡,山辺郡,広瀬郡,平群郡
2区2人式上郡,式下郡,宇陀郡,十市郡,高市郡,葛上郡,葛下郡,忍海郡
3区1人宇智郡,吉野郡
三重県 1区1人津市
安濃郡,一志郡
2区1人三重郡,鈴鹿郡,奄芸郡,河曲郡
3区1人桑名郡,員弁郡,朝明郡
4区1人飯高郡,飯野郡,多気郡
5区2人度会郡,答志郡,英虞郡,北牟婁郡,南牟婁郡
6区1人阿拝郡,山田郡,名張郡,伊賀郡
愛知県 1区1人名古屋区(名古屋市)
2区1人愛知郡
3区1人東春日井郡,西春日井郡
4区1人丹羽郡,葉栗郡
5区1人中島郡
6区1人海東郡,海西郡
7区1人知多郡
8区1人碧海郡,幡豆郡
9区1人額田郡,西加茂郡,東加茂郡
10区1人北設楽郡,南設楽郡,宝飯郡
11区1人渥美郡,八名郡
静岡県 1区1人静岡市
安倍郡,有渡郡
2区1人富士郡,庵原郡
3区1人志太郡,益津郡
4区1人榛原郡,佐野郡,城東郡
5区1人周智郡,豊田郡,山名郡,磐田郡
6区1人長上郡,敷知郡,浜名郡,引佐郡,麁玉郡
7区2人那賀郡,賀茂郡,君沢郡,田方郡,駿東郡
山梨県 1区1人甲府市
西山梨郡,北巨摩郡,中巨摩郡
2区1人東山梨郡,南都留郡,北都留郡
3区1人東八代郡,西八代郡,南巨摩郡
東山 滋賀県 1区1人滋賀郡,高島郡
2区1人甲賀郡,野洲郡,栗太郡
3区2人犬上郡,愛知郡,神崎郡,蒲生郡
4区1人西浅井郡,東浅井郡,伊香郡,坂田郡
岐阜県 1区1人岐阜市
厚見郡,方県郡,各務郡
2区1人不破郡,安八郡
3区1人海西郡,下石津郡,多芸郡,上石津郡,羽栗郡,中島郡
4区1人大野郡,池田郡,本巣郡,席田郡,山県郡
5区1人武儀郡,郡上郡
6区1人加茂郡,可児郡,土岐郡,恵那郡
7区1人大野郡,益田郡,吉城郡
長野県 1区1人上水内郡,更級郡
2区1人下水内郡,上高井郡,下高井郡
3区1人小県郡,埴科郡
4区2人西筑摩郡,東筑摩郡,南安曇郡,北安曇郡
5区1人南佐久郡,北佐久郡
6区1人上伊那郡,諏訪郡
7区1人下伊那郡
東北 宮城県 1区1人仙台区(仙台市)
名取郡,宮城郡
2区1人柴田郡,刈田郡,伊具郡,亘理郡
3区1人黒川郡,加美郡,志田郡,玉造郡,遠田郡
4区1人栗原郡,登米郡
5区1人桃生郡,牡鹿郡,本吉郡
福島県 1区1人信夫郡,伊達郡
2区1人安達郡,安積郡
3区2人田村郡,岩瀬郡,東白川郡,西白河郡,石川郡
4区2人南会津郡,北会津郡,大沼郡,耶麻郡,河沼郡
5区1人菊多郡,磐前郡,磐城郡,楢葉郡,標葉郡,行方郡,宇多郡
岩手県 1区1人盛岡市
南岩手郡,北岩手郡,紫波郡,二戸郡
2区1人東閉伊郡,中閉伊郡,北閉伊郡,南九戸郡,北九戸郡
3区1人稗貫郡,東和賀郡,西和賀郡,西閉伊郡,南閉伊郡
4区1人江刺郡,胆沢郡,気仙郡
5区1人西磐井郡,東磐井郡
青森県 1区2人東津軽郡,上北郡,下北郡,三戸郡
2区1人北津軽郡,南津軽郡
3区1人弘前市
中津軽郡,西津軽郡
山形県 1区2人山形市
南村山郡,東村山郡,西村山郡
2区1人米沢市
東置賜郡,南置賜郡,西置賜郡
3区2人飽海郡,西田川郡,東田川郡
4区1人最上郡,北村山郡
秋田県 1区1人秋田市
南秋田郡
2区1人山本郡,北秋田郡,鹿角郡
3区1人河辺郡,由利郡
4区2人仙北郡,平鹿郡,雄勝郡
北陸 福井県 1区1人福井市
足羽郡,大野郡
2区1人吉田郡,坂井郡
3区1人南条郡,今立郡,丹生郡
4区1人三方郡,遠敷郡,大飯郡,敦賀郡
石川県 1区2人金沢区(金沢市)
石川郡
2区1人能美郡,江沼郡
3区2人河北郡,羽咋郡,鹿島郡
4区1人鳳至郡,珠洲郡
富山県 1区2人富山市
上新川郡,婦負郡
2区1人下新川郡
3区1人高岡市
射水郡
4区1人礪波郡
中国 鳥取県 1区1人邑美郡,法美郡,岩井郡,八上郡,八東郡,智頭郡
2区1人高草郡,気多郡,河村郡,久米郡,八橋郡
3区1人汗入郡,会見郡,日野郡
島根県 1区1人松江市
島根郡,秋鹿郡,意宇郡
2区1人能義郡,仁多郡,大原郡,飯石郡
3区1人出雲郡,楯縫郡,神門郡
4区1人邇摩郡,安濃郡,邑智郡
5区1人那賀郡,美濃郡,鹿足郡
6区1人周吉郡,穏地郡,海士郡,知夫郡
岡山県 1区2人岡山区(岡山市)
御野郡,上道郡,邑久郡,児島郡
2区1人津高郡,赤坂郡,磐梨郡,和気郡
3区1人都宇郡,窪屋郡,賀陽郡,下道郡
4区1人浅口郡,小田郡,後月郡
5区1人上房郡,川上郡,哲多郡,阿賀郡
6区1人真島郡,大庭郡,西西条郡,西北条郡,東南条郡,東北条郡
7区1人勝北郡,勝南郡,吉野郡,英田郡,久米北条郡,久米南条郡
広島県 1区2人広島区(広島市)
安芸郡
2区1人佐伯郡
3区1人沼田郡,高宮郡,山県郡
4区1人高田郡,三次郡,三谿郡
5区1人賀茂郡
6区1人豊田郡
7区1人御調郡,世羅郡
8区1人深津郡,沼隈郡,安那郡
9区1人葦田郡,品治郡,神石郡,甲奴郡,奴可郡,三上郡,恵蘇郡
山口県 1区2人吉敷郡,美禰郡,厚狭郡,佐波郡
2区1人阿武郡,見島郡,大津郡
3区1人赤間関区(赤間関市)
豊浦郡
4区2人都濃郡,熊毛郡,大島郡
5区1人玖珂郡
南海 和歌山県 1区2人和歌山区(和歌山市)
名草郡,海部郡,有田郡
2区1人伊都郡,那賀郡
3区2人日高郡,西牟婁郡,東牟婁郡
徳島県 1区1人名東郡,勝浦郡
2区1人那賀郡,海部郡
3区1人名西郡,阿波郡,麻植郡
4区1人板野郡
5区1人美馬郡,三好郡
香川県 1区1人香川郡,山田郡,小豆郡
2区1人大内郡,寒川郡,三木郡
3区1人鵜足郡,阿野郡
4区1人多度郡,那珂郡
5区1人豊田郡,三野郡
愛媛県 1区2人温泉郡,和気郡,風早郡,野間郡,久米郡,伊予郡,下浮穴郡
2区1人越智郡,桑村郡,周布郡
3区1人喜多郡,上浮穴郡
4区1人新居郡,宇摩郡
5区1人西宇和郡,東宇和郡
6区1人北宇和郡,南宇和郡
高知県 1区1人高知市
土佐郡,長岡郡
2区2人幡多郡,高岡郡,吾川郡
3区1人香美郡,安芸郡
九州 福岡県 1区1人福岡区(福岡市)
怡土郡,志摩郡,早良郡
2区2人糟屋郡,宗像郡,那珂郡,御笠郡,席田郡,上座郡,下座郡,夜須郡
3区1人遠賀郡,鞍手郡,嘉麻郡,穂波郡
4区1人久留米市
御井郡,御原郡,山本郡,生葉郡,竹野郡
5区1人三潴郡,上妻郡,下妻郡
6区1人山門郡,三池郡
7区1人企救郡,田川郡
8区1人京都郡,仲津郡,築城郡,上毛郡
大分県 1区1人大分郡
2区1人北海部郡,南海部郡
3区1人大野郡,直入郡
4区1人速見郡,玖珠郡,日田郡
5区1人西国東郡,東国東郡
6区1人下毛郡,宇佐郡
佐賀県 1区2人佐賀市
佐賀郡,神埼郡,小城郡,基肄郡,養父郡,三根郡
2区1人東松浦郡,西松浦郡
3区1人杵島郡,藤津郡
熊本県 1区2人熊本区(熊本市)
飽田郡,託麻郡,宇土郡
2区1人玉名郡
3区2人山鹿郡,山本郡,菊池郡,合志郡,阿蘇郡
4区1人上益城郡,下益城郡
5区1人八代郡,葦北郡,球磨郡
6区1人天草郡
宮崎県 1区1人宮崎郡,北那珂郡,南那珂郡,児湯郡
2区1人北諸県郡,西諸県郡,東諸県郡
3区1人東臼杵郡,西臼杵郡
鹿児島県 1区1人鹿児島市
鹿児島郡,谿山郡,北大隅郡,熊毛郡,駆謨郡
2区1人給黎郡,揖宿郡,頴娃郡,川辺郡
3区1人日置郡,阿多郡
4区1人高城郡,出水郡,南伊佐郡,薩摩郡,甑島郡
5区1人菱刈郡,姶良郡,桑原郡,西囎唹郡,北伊佐郡
6区1人南諸県郡,南大隅郡,肝属郡,東囎唹郡
7区1人大島郡

府県別区割地図
北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県
東京府神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県
滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県
香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県
※北海道と沖縄県には未施行。

次へ :1900年改正衆議院議員選挙法・大選挙区制区割


「衆議院議員選挙制度の変遷」 トップページへ戻る

[ 解説 ]

1889(明治22)年2月11日大日本帝国憲法が発布され,同時にこの憲法で規定された帝国議会の一院を構成する衆議院の議員を選出するための法律,衆議院議員選挙法が公布されました。
この法律では,次の方法で議員を選出することが規定されていました。

まず,議員定数300とされました。
この300人の議員を選出するために全国に選挙区が設定されました。
各選挙区から選出される議員の数は原則として1人。つまり,小選挙区制が採用されました。
ただし,選挙区の画定にあたっては当時の行政区画であったおよび(この年の4月1日以降,順次市制が施行されてになる)によることが定められていました。議席を割り振る際に何を基準とするかついては,政党勢力や政府内部にさまざまな意見の対立がありました。最終的に当時の人口によることに決定され,人口およそ12万に対して1人の議員を選挙することになって,それを基準に選挙区の画定作業が行われました。
しかし,郡区を単位とするという規定に対して,うまく12万の人口に納めることのできない区画が現われました。そこで,そのような選挙区には例外として定数2人とすることが認められました。
その結果,全国は257選挙区に分けられ,そのうちの43選挙区2人区とされました。2人区都市部(区部)よりも,むしろをうまく分割できなかった農村部に多く分布しています。
なお,この法律は北海道沖縄には適用されず,この2つの地域を除いた45府県にのみ選挙区が設定されました。北海道の都市部(札幌・函館・小樽)には1900(明治33)年,それ以外の北海道には1903(明治36)年,沖縄には1912(明治45)年にようやく選挙法が施行されることになります。
また行政区画に関して,前年の1888(明治21)年市制・町村制が公布されて,前述の通りこの年の4月1日からこの法律に基づく市町村が順次発足していきました。そして,1890(明治23)年府県制および郡制が公布されて府県についてもこの法律に基づくものに移行しました。しかしの再編には少し時間がかかり,最終的に再編が終了してほぼ現在と同じが整備し終わるのは1900(明治33)年までかかりました。したがって,この法律の区割表(「附録」)に掲載されているのは,再編前のの名称です。再編後のとの異同に関しては,以下のページをご覧ください。

参 照郡の変遷

さて,投票に関しては以下のように規定されています。

第三十八条:(2) 選挙人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ被選人ノ姓名ヲ記載シ次ニ自己ノ姓名住所ヲ記載シテ捺印スヘシ

傍線を施したのは引用者(以下同じ)ですが,つまりこの選挙は投票者が自分の名前を記入捺印して投票する記名投票で,近代選挙の原則の1つである秘密投票ではなかったという点に大きな特徴の1つがあります。
定数1名の小選挙区が原則ですから,投票者が投票するのは当然1人だけですが,2人区については

第四十条:二人以上ノ議員ヲ選挙スヘキ選挙区ニ於テハ連名投票ヲ用フヘシ

と,2名連記によることが規定されていました。

初期の選挙制度の最大の特徴は,国民の代表によって構成される衆議院でさえ,財産の有無によって選挙人資格を制限する制限選挙であるという点でした。
この法律では,以下のように規定されています。

第六条:選挙人ハ左ノ資格ヲ備フルコトヲ要ス
 第一 日本臣民ノ男子ニシテ年齢満二十五歳以上ノ者
 第二 選挙人名簿調製ノ期日ヨリ前満一年以上其ノ府県内ニ於テ本籍ヲ定メ住居シ仍
(なお)引続キ住居スル者
 第三 選挙人名簿調製ノ期日ヨリ前満一年以上其ノ府県内ニ於テ直接国税十五円以上ヲ納メ仍引続キ納ムル者
  但シ所得税ニ付テハ人名簿調製ノ期日ヨリ満三年以上
(これ)ヲ納メ仍引続キ納ムル者ニ限ル

この規定の中の直接国税については,この年の3月に公布された勅令第41号によって地租をさすものとされました。
この結果,資格を満たして選挙権を与えられたのは全国でわずか45万人,当選した300人の1人あたりの平均得票数たったの900票という状態でした(坂野潤治『大系 日本の歴史(13)・近代日本の出発』小学館,1989年)

ともかく,このような選挙制度で初めての衆議院議員総選挙1890(明治33)年7月1日に実施され(この法律では総選挙は7月1日に実施することが規定されていました。しかし,衆議院は中途で解散されることがあり,その都度総選挙が実施されるため,この第1回総選挙以外,7月1日に実施された総選挙は1度もありませんでした),さらに1898(明治31)年8月第6回総選挙までが,この制度によって実施されました。

ところで,選挙制度に関する話題ではないのですが,現代のわれわれの感覚からして少し戸惑いを感じるのは,この表で用いられている各府県の配列です。
東京府京都府大阪府神奈川県→ …… とつづくこの配列が,当時の政府が通常使用していた公式の府県配列だったようです。一見,何の順序だかよくわからないこの配列,これは廃藩置県後の1871(明治4)年に出された太政官布告によるものです。

参照: 明治4年太政官布告による府県の配列

明治憲法の下では,この配列が基本とされました。現在のような,北海道から沖縄県へ,北から南へという配列が使用されるのは現行の日本国憲法・地方自治法体制になってからのようです。選挙区に関しては,1950(昭和25)年に公布された公職選挙法北海道青森県 → …… という配列に切り替わっています。



次へ :1900年改正衆議院議員選挙法・大選挙区制区割


「衆議院議員選挙制度の変遷」 トップページへ戻る

1890年:第1回総選挙
(小選挙区制)
1900年:第1次拡大
(大選挙区制)
1919年:第2次拡大
(小選挙区制)
1925年:普通選挙法
(中選挙区制)
1946年:戦後第1回
(大選挙区制)
1947年:新憲法準備
(復活中選挙区制)
1950年:公職選挙法
(中選挙区制)
1994年:改正公選法
(小選挙区制)
2002年:改正公選法
(小選挙区第1回改正)
2013年:改正公選法
(小選挙区第2回緊急改正)

2000. 7.24
2002. 7.31 改訂
2013. 8.20 府県別区割図掲載
ISIDA Satosi