考古学のおやつ/NEWSLINK

2020年9月10日（木）

岐阜県: 高山市・中切上野1号古墳（なかぎりうわの1ごうこふん）で周溝を調査。周溝内から出土した土器により古墳時代初頭の墳墓と判明。同時期の方形周溝墓も新たに発見。従来、1号墳は7世紀の古墳と考えられていた。岐阜県文化財保護センターの調査。
中切上野１号古墳（なかぎりうわの１ごうこふん）[岐阜県文化財保護センター]
鳥取県: 鳥取市・狗尸那城跡（くしなじょうあと）で、山頂の主郭から礎石建物遺構。戦国時代の御殿的建築。鳥取県埋蔵文化財センターの調査。9/13現地説明会。7月に申し込みした県内在住者が対象。
狗尸那（クシナ）城現地説明会を開催します。[鳥取県]
▼狗尸那城跡関連記事→2020年7月3日
長崎県: 長崎市・ド・ロ神父大平作業場跡に台風10号の被害。石積みの保存修理工事が完了間近だった。[長崎新聞]
鹿児島県: 指宿市・成川遺跡（なりかわいせき：第4次調査）で出土した古墳時代後期の大刀の柄頭に、三つ葉のような文様。X線調査で判明。9/12現地説明会。[南日本新聞]
中国: 吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市小営鎮河竜村・河竜二隊遺跡で、青銅器時代・柳庭洞文化～早期鉄器時代・団結文化の住居跡13棟、灰坑137基、溝8条など。鉄製の送風管や五銖銭出土。[新華社]
キルギス: 天山山脈中部（Central Tian Shan highlands）のChap I遺跡で出土した終末期青銅器時代（Final Bronze Age）～初期鉄器時代（Early Iron Age）の動物骨を分析。ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギが大部分。特に、肉や二次加工品のため、ヒツジ、ヤギに重点。コラーゲンペプチド（collagen peptides）の分析から見て、ヒツジの方が多数飼われており、羊毛が重要な生産物だった。
cf. Elina Ananyevskaya, Michael Buckley, Manasij Pal Chowdhury, Kubatbek Shakievich Tabaldiev, Giedre Motuzaite Matuzeviciute "Specialized wool production economy of prehistoric farmstead of Chap I in the highlands of Central Tian Shan (Kyrgyzstan)" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]
イスラエル: ガリラヤ（Galilee）のミリヤ村（Mi’ilya）で、ビザンティン時代（Byzantine Empire）の教会のモザイク。石材は十字軍（Crusaders）が築城のために持ち出す。[Haaretz]
トルコ: アンタルヤ考古学博物館（Antalya Müzesi；Antalya Museum）で、所蔵品が行方不明に。[Hürriyet Daily News]
イタリア: ローマ（Rome）のオスティア・アンティカ（Ostia Antica）に向かうオスティエンセ通り（Via Ostiense）とマラフェーデ通り（Via di Malafede）の間で、紀元前4世紀の大規模な石造りの池。48m×12m。[Wanted in Rome]
スペイン: ロス・マチョス岩陰遺跡（Los Machos rockshelter）の新石器時代のロックアートを分析。指紋から、描いたものの年齢や性別を判定。36歳以上の男性と、10～16歳の若い女性。[The Art Newspaper]
cf. Francisco Martínez-Sevilla, Meritxell Arqués, Xavier Jordana, Assumpció Malgosa, José Antonio Lozano Rodríguez, Margarita Sánchez Romero, Kate Sharpe and Javier Carrasco Rus "Who painted that? The authorship of Schematic rock art at the Los Machos rockshelter in southern Iberia" Antiquity [Cambridge Core]
UK（北アイルランド）: デリー（Derry）にある建物は、モルタルの放射性炭素年代（Radiocarbon dating）などにより13世紀半ばの円塔と推定。従来は17世紀の水車小屋とみられていた。
cf. Gerard Thomas Barrett, Colm Donnelly, Paula J. Reimer "Radiocarbon dating mortar: The identification of a Medieval Irish round tower using a multi-method inter-comparative approach" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]

2020年9月9日（水）

岐阜県: 各務原市・熊田山北古墳群の1号墳は盗掘の被害を受けておらず、副葬品がほぼ完全な形で出土。木棺に使われた鉄製のかすがいも出土。各務原市埋蔵文化財調査センター9/8発表。[中日新聞]
▼熊田山北古墳群関連記事→2020年8月31日
静岡県: 湖西市・湖西窯跡群で、7世紀中ごろ～８世紀前半にかけての窯跡2基と、灰原。湖西市教育委員会の調査。9/27現地説明会。事前申し込みを要す。
＜参加者募集＞「湖西窯跡群」発掘調査現地説明会[湖西市]
長崎県: 台風10号の影響で、長崎県内で14件の文化財の被害（8日時点）。大浦天主堂では瓦50枚が飛ぶ。旧出津救助院や旧五輪教会堂でも瓦がずれるなど。鍋島邸で雨戸が損傷。[長崎新聞]
カンボジア: プノンペン（Phnom Penh）のドンペン区（Daun Penh）にあるトンレサップ（Tonle Sap）河畔で、地雷除去中に獅子像出土。[The Phnom Penh Post]
イラン: エスファハーン（Eşfahān；Isfahan）のテペ・アシュラフ（Tepe Ashraf）で、3体目のパルティア時代の人骨。[Tehran Times]
イスラエル: ガロン（Galon）のシェフェラ地域（Shephelah）で、紀元前1200年ごろのカナーン人（Canaanites）の砦の基礎。18×18mで、4隅の塔が建つ。[Watch Jerusalem]
トルコ: ヴァン県（Van il）ギュルプナール郡（Gürpınar）のチャヴシュテペ城（Çavuştepe Kalesi）内の墓地で、ウラルトゥ（Urartu）の20～25歳の高位の女性の墓。豪華な装身具を伴う。[Daily Sabah]
▼チャヴシュテペ城関連記事→2020年8月21日
アルメニア: アレニ1洞窟（Areni-1 cave complex）で出土した後期銅石器時代（Late Chalcolithic）の動物骨について分析。野生動物の大半は葬送に関連する文脈に集中。ヒツジ、ヤぎ、ウシは日常生活のためのさまざまな製品づくりに利用。
cf. Siavash Samei, Nelli Hovhannisyan, Boris Gasparyan "Economic and symbolic role of animals during the Late Chalcolithic period of Areni-1 Cave, Armenia" Journal of Archaeological Science: Reports [ScienceDirect]
ポーランド: ワルシャワ（Warszawa；Warsaw）のビアウォウェンカ区（Białołęka）で、青銅器時代・ラウジッツ文化（Kultura łużycka；Lausitzer Kultur；Lusatian culture）・3000年前の集落。乳製品を作る濾過器（strainer vessel）出土。
Remains of 3,000-year-old settlement found in capital’s Białołęka district[Nauka w Polsce]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ザルツラントクライス郡（Salzlandkreis）のペンメルテ（Pömmelte）とシェーネベック（Schönebeck）にある紀元前3千年紀末の円形祭祀場（Ringheiligtum）を調査。縄目文土器文化（Schnurkeramische Kultur；Corded Ware culture）・紀元前2800年～前2050年との関連性を示す。
Neue Erkenntnisse zur Sakrallandschaft zwischen den Ringheiligtümern Pömmelte und Schönebeck[Landesamt für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhalt]
UK （イングランド）: リンカンシャー州（Lincolnshire）グランサム（Grantham）で、ローマ時代・100～410年の建物跡や墳墓、土器、骨、瓦、鉄鎌、硬貨など数千点の遺物。AOC Archaeology Groupの調査。
Nearly 2,000 years of history uncovered south of Grantham [Lincolnshire County Council]
UK（イングランド）: ノーサンバーランド州（the county of Northumberland）のバンバラ城（Bamburgh Castle）でローマ時代・2000年前の円形建物遺構。[BBC]

2020年9月8日（火）

福島県: いわき市・磐城平城（いわきたいらじょう）本丸跡で、本丸御殿と推測される建物の礎石や、陶磁器など出土。いわき市教育委員会の調査。9/26現地説明会。
磐城平城の歴史を後世に伝える事業「平城跡」発掘調査現地説明会の開催について[いわき市]
▼磐城平城関連記事→2020年8月26日
新潟県: 阿賀野市・土橋遺跡で、大規模な環状集落の中からハート形土偶の頭部。県内最大。縄文後期の低地にある県内遺跡では珍しい事例。阿賀野市の調査。[新潟日報]
阿賀野市・土橋遺跡の発掘成果について、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一般公開に替えて、9/14からYouTube「阿賀野市役所秘書広報広聴係」チャンネルで動画配信。新潟県内初の試み。
【報道発表】土橋遺跡発掘調査の成果を動画配信します[阿賀野市]
新潟県: 燕市・稲葉遺跡で、平安時代を主体とするムラ跡。畑の畝跡と推測される溝状遺構が多数検出。燕市教育委員会の調査。9/12現地説明会。
稲葉遺跡現地説明会[燕市]
岐阜県: 養老町・千人塚1号古墳が、5世紀末～6世紀初頭に作られた全長35mの円墳と判明。埴輪出土。この時期の西濃地域で最大級の古墳。養老町9/7発表。9/13現地説明会。[中日新聞]
養老町・千人塚1号古墳では、養老町で初めて埴輪が出土。5世紀末～6世紀初頭ごろに造営された町内最大の円墳。養老町教育委員会の調査。9/13現地説明会。
千人塚１号古墳範囲確認調査現地説明会を開催します！[養老町]
大分県: 中津市・湯屋の辻で旅人を道案内した道標の下部が、福岡県東峰村でみつかる。上部は1984年に発見されていた。本来は街道の交差点に置かれ、伊能忠敬が測量起点に用いた。[大分合同新聞]
沖縄県: 名護市・米軍キャンプ・シュワブ内の「大浦崎収容所跡」の一部について、米側の意向で現状保存を行わないことに。名護市教育委員会は現状保存を求めてきた。[琉球新報]
中国: 山西省陽泉市盂県牛村鎮后元吉村で、元時代の磚室墓2基。M2号墓は墓道、墓門、墓室の3部分からなり、墓道の一部に墓前祭祀のための土坑「明堂」を設ける。元の泰定元年（1324年）の紀年あり。元時代の「明堂」の遺構は初めての発見。[人民網]
イラン: ペルセポリス（Persepolis）のアパダナ宮殿（Apadana Palace）で、ハカーマニシュ朝（アケメネス朝）の排水溝。庭の水を排水するためのもの。[Tehran Times]
ポーランド: スタイニャ洞窟（Stajnia）で2007年に出土した中期旧石器時代（Middle Paleolithic）・ミコック文化（Micoquian）のネアンデルタール人の遺体から、中央・東ヨーロッパ最古のネアンデルタール人のミトコンドリアDNA（mitochondrial DNA）。8万年以上前。西ヨーロッパの同時代のネアンデルタール人よりも、北コーカサス（Northern Caucasus）のメズマイスカヤ（Mezmaiskaya 1；Мезмайская 1）ネアンデルタール人のそれに近い。9万年前までに西ヨーロッパのネアンデルタール人は中央アジアのネアンデルタール人に置き換わる。ネアンデルタール人の移動性の増加を示す。
英語 The oldest Neanderthal DNA of Central-Eastern Europe
ドイツ語 Die älteste Neandertaler-DNA Mittelosteuropas[Max-Planck-Gesellschaft]
cf. Andrea Picin, Mateja Hajdinjak, Wioletta Nowaczewska, Stefano Benazzi, Mikołaj Urbanowski, Adrian Marciszak, Helen Fewlass, Paweł Socha, Krzysztof Stefaniak, Marcin Żarski, Andrzej Wiśniewski, Jean-Jacques Hublin, Adam Nadachowski & Sahra Talamo "New perspectives on Neanderthal dispersal and turnover from Stajnia Cave (Poland)" Scientific Reports. volume 10, Article number: 14778 (2020) [Scientific Reports]
▼シロンスク県（Województwo śląskie）ミルフ（Mirów）
▼スタイニャ洞窟関連記事→2010年2月2日
ドイツ: ロイトキルヒ（Leutkirch）では、青銅器時代（Bronze Age）・紀元前3500年ごろに丘陵上を要塞化し、谷底に集落。土壌の炭化物から浸食から見て、森林を伐採。土壌の肥沃さや気候では不利な場所でありながら大きな人口。西アルゴイ（Western Allgäu）が青銅器時代・3000年前にヨーロッパをまたがる交易ルートで重要な拠点だった。
The European Economic Area dates back to the Bronze Age[Universität Tübingen]
ノルウェー: クリスチャンサン（Kristiansand）沖13海里の海底で、第二次世界大戦中のドイツ軍の巡洋艦カールスルーエ（Karlsruhe）を発見。[Daily Sabah]
スーダン: ナイル川の、過去に例のない水位上昇により、アル・ベジャラウィーヤ地区（Al-Bajrawiya）にあるメロエ遺跡（Meroe）のピラミッドが危機に。遺跡は通常なら水面より500m上にある。[Al Jazeera]
USA: ニューヨーク州（State of New York）サケッツ・ハーバー（Sackets Harbor）近くのホースアイランド（Horse Island）で、米英戦争（War of 1812）のときのマスケット弾や軍服の一部などの遺物。[7News]

2020年9月7日（月）

岩手県: 奥州市・明神下遺跡で平安時代の集落。竪穴建物跡の床面近くから大きな炭化材や焼土の塊。文字を刻んだ須恵器の壺出土。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。
明神下遺跡[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター]
▼明神下遺跡関連記事→2020年8月17日
岐阜県: 山県市・大桑城跡（おおがじょうあと）で、新たに30か所で石垣を発見。土岐頼芸が整備したとされる城。山県市教育委員会の調査。
戦国時代の石垣を40か所で確認しました[山県市]
▼大桑城跡関連記事→1999年6月1日
兵庫県: 兵庫県は、新型コロナウイルスの影響で離職した人を対象に、県庁などで348人を一時的に雇用へ。兵庫県立人と自然の博物館での資料や標本などの整理、ほか。[読売新聞]
韓国: 忠清南道牙山市仁州面貢税里・公税串庫跡で、朝鮮時代の租税倉庫跡。漕運制度と関連した、韓国で代表的な租税倉庫。[大田日報]
韓国: 慶州市・瑞鳳塚を2016～2017年に再発掘した報告書を刊行。新羅・500年ごろ築造。北墳の直径は46.7m。従来は36.3mとされていた。墳丘の護石のところで飲食物をささげる祭祀行為。南墳脇で出土した大甕には多くの動物遺体を納める。国立中央博物館の調査。北墳は1926年、南墳は1929年に発掘。スウェーデン（瑞典）皇太子が調査に参加したことと、鳳凰装飾の金冠にちなんで瑞鳳塚と命名された。[NEWSIS]
中国: 山西省・永楽宮で元時代の道教にかかわる文書。
山西永楽宮発現蒙元時期道教紙質文物[中国社会科学院考古研究所]
ベトナム: ニンビン省（Ninh Binh）ニョークアン県（Nho Quan）Gia Thuy社・Gia Thuy小学校の敷地内で、10世紀ごろの磚墓。方形で、ドームを持つ。[VietnamPlus]
トルコ: バルケスィル県（Balıkesir il）バンドゥルマ郡（Bandırma）の古代都市ダスキュレイオン（Daskyleion）のアクロポリスで、ギリシャのディオニュソス神（Διόνυσος；Dionysus）を表した2400年前の土製仮面。奉納品と推定。[Anadolu Ajansı]
クロアチア: ヴィス島（Vis）の古代ギリシャ都市イッサ（Ίσσα；Issa）、フヴァル島（Hvar）の古代ギリシャ都市ファロス（Φάρος；Pharos）で出土した黒色スリップ土器、灰色スリップ土器を分析し、ダルマチア（Dalmatia）での、ヘレニズム時代後期（Late Hellenistic）のテーブルウェア生産と流通。海上の交易路で原料を運搬。
cf. Maja Miše, Patrick Quinn, Michael Charlton, Vincent Serneels, Alessandro Montanari "Production and circulation of Late Hellenistic fine table ware in Central Dalmatia, Croatia" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
イタリア: トスカーナ州（Regione Toscana；Tuscany）で出土した、骨のコラーゲンの炭素と窒素の同位体、ヒトと動物の歯の炭素と酸素の同位体から、古代末期～中世・3～13世紀の食生活を復元。古代後期にはC3食物を基本とした食生活であったが、中世はC3とC4資源が混じる。ローマ時代のコムギを中心とした食生活から、中世にはキビがこれを補い、ゲルマン人の習慣である牧畜を取り入れたことを示す。
cf. Giulia Riccomi, Simona Minozzi, Jana Zech, Federico Cantini, Valentina Giuffra, Patrick Roberts "Stable isotopic reconstruction of dietary changes across Late Antiquity and the Middle Ages in Tuscany" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
スロバキア: クラースナ・ホルカ城（Hrad Krásna Hôrka）で、初期ゴシック～後期ゴシックの城壁を発見。15～16世紀に再建されたときのもの。16～17世紀の遺物。コインづくりの素材として準備された銅片も。一方、城の最古段階にあたる13世紀の遺物は見つからず。[The Slovak Spectator]
▼コシツェ県（Košický kraj；Košice Region）ロジュニャヴァ郡（okres Rožňava）
チェコ: ルブナー6遺跡（Lubná VI）で、後期グラヴェット文化（Late Gravettian）・7万7500年前～2万7100年前のキャンプ・サイト。石器石材から遠い立地のため、白亜質のフリントを遠方から入手。動物骨はトナカイが主で、遺跡の利用時期は初秋で、周囲の環境を最大限に利用。
cf. Jarosław Wilczyński, Petr Šída, Bernadeta Kufel-Diakowska, Przemysław Mroczek, Alexander Pryor, Tomasz Oberc, Dobrawa Sobieraj, György Lengyel "Population mobility and lithic tool diversity in the Late Gravettian – The case study of Lubná VI (Bohemian Massif)" Quaternary International [ScienceDirect]
ポーランド: ワルシャワ（Warszawa；Warsaw）のビアウォウェンカ区（Białołęka）で、後期青銅器時代・ラウジッツ文化（Kultura łużycka；Lausitzer Kultur；Lusatian culture）・3000年前の集落。遺物1500点。[Express]
UK（イングランド）: シェフィールド（Sheffield）で、シェフィールド城（Sheffield Castle）の遺構を発掘。1270年に建設が始まり、スコットランド女王メアリー（Mary Queen of Scots）が1570～1584年に軟禁され、イングランド内戦（English Civil War）で王党派の拠点となり、1646年に破壊された中世の城。[Metro]
エジプト: サッカラ（Saqqara）で、深さ11mの竪穴から、2500年前の未開封の棺13個。製作当時の彩色を残す。正確な数や、被葬者名は未確定。[Ahram Online]
スーダン: 上ヌビア（Upper Nubia）のサイ島（Saï Island）で出土した古代エジプト第18王朝の土製パレットを分析し、古代エジプトの標準的なレパートリーと確認。土器に残ったオレンジ色―黄色の遺存物はカイノキ（pistacia resin）の樹脂で、香料と推定。エリートの墓に納められた土器に残る黒色物質は瀝青（bitumen）で、ヌビア産と推定。ナイル流域で、葬送に際して瀝青を用いた最古で最南端の証拠。
cf. Kate Fulcher, Julia Budka "Pigments, incense, and bitumen from the New Kingdom town and cemetery on Sai Island in Nubia" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]

2020年9月6日（日）

イラン: ザンジャーン州（Ostān-e Zanjān）ザンジャーン市（Zanjān）で、紀元前1千年紀とイスラーム黄金時代（Islamic Golden Age）の遺物。紀元前1千年紀の牛頭形のリュトン、パルティア時代の銀の羊頭形のリュトン、サーサーン朝や初期イスラーム時代の遺物など。[Islamic Republic News Agency]
メキシコ: メキシコシティ（Ciudad de México；Mexico City）のサンタ・ルシア空港（Santa Lucia airport）予定地で、マンモス（mammoth）の遺体200体出土し、発掘続行中。[The Yucatan Times]

2020年9月5日（土）

福井県: 小浜市・小浜城跡の追手門付近で、築城初期のものとみられる石垣。福井県埋蔵文化財調査センターの調査。9/6現地説明会。[中日新聞]
チェコ: フルジム郡（Okres Chrudim；Chrudim District）チェスケー・ロティツェ（České Lhotice）にあるケルト（Celts）のオッピドゥム（oppidum）の調査で、後期ラ・テーヌ文化（La Tène）・紀元前2～前1世紀の剣など、鉄製品出土。剣は両刃で、柄は有機物だったが失われたと推定。ケルトは、古くは副葬品とともに遺体を土葬していたが、のちに火葬を行って痕跡を残さぬようになるので、後期ラ・テーヌ文化の武器の出土は珍しい。チェスケー・ロティツェのオッピドゥムは東ボヘミア地域唯一のオッピドゥム。チョコ領内全体でもオッピドゥムは7か所。ヴィソケー・ミート博物館（Regionální muzeum ve Vysokém Mýtě；Vysoké Mýto Regional Museum）の調査。[Radio Praha]
▼パルドゥビツェ州（Pardubický kraj；Pardubice Region）
UK（イングランド）: エディスベリー丘塞（Eddisbury hillfort）で、3種類の門の構造。ヘンベリー（Hembury）やサウス・キャドベリー（South Cadbury）の丘塞の門と型式学的に比較。エディスベリー丘塞の門の機構は鉄器時代・紀元前400年で、ヨーロッパ最古、その後ローマ人が受容した。
cf. Rachel Pope, Richard Mason, Derek Hamilton, Eddie Rule & John Swogger "Hillfort gate-mechanisms: a contextual, architectural reassessment of Eddisbury, Hembury, and Cadbury hillforts" Archaeological Journal [Taylor & Francis Online]

2020年9月4日（金）

石川県: 石川県立美術館の新館長に青柳正規氏氏。ギリシャ・ローマ考古学。東京大学副学長、国立美術館理事長、文化庁長官を歴任。[NHK]
福岡県: 福津市・新原・奴山古墳群（しんばる・ぬやまこふんぐん）の30号墳で、築造の工程が分かる痕跡や古墳を囲む周溝。福津市教育委員会の調査。9/13現地説明会。[毎日新聞]
▼新原・奴山古墳群関連記事→2018年7月11日
長崎県: 長崎市・旧長崎県庁跡地の敷地南東で、17世紀初頭の花十字紋瓦の破片や、石垣遺構。花十字紋瓦は当時のキリスト用建築に使われた。長崎県教育委員会9/3発表。9/12現地説明会。[長崎新聞]
長崎県: 長崎市・長崎原爆資料館の所蔵する資料が、調査や分析を担う学芸員の人数不足のため、活用が進まない状態に。[共同通信]
長崎県: 長崎県内で、五島市や対馬市などの離島を中心に、世界文化遺産の関連施設や県天然記念物の樹木など、文化財の被害を確認。[長崎新聞]
宮崎県: 延岡市・延岡城内遺跡で、古墳時代初頭・3世紀後半～4世紀初頭に造られたとみられる箱式石棺墓。古墳時代中期・5世紀の円墳の周濠跡も。延岡市教育委員会の調査。[宮崎日日新聞]
沖縄県: 国頭村で琉球王府時代の烽火台跡を新たに発見。中国や日本からの船の到来を告げる烽火（のろし）を上げた。[沖縄タイムス]
タイ: スリン県（Surin）シーコーラプーム郡（Sikhoraphum）で1500年前の土器や人骨。[The Nation Thailand]
カザフスタン: 東カザフスタン州（Восточный Казахстан；East Kazakhstan Region）エレケ・サジ（Елеке Сазы；Eleke Sazy）のスキタイ＝サカ時代（Scythian-Saka）・紀元前5～前4世紀の墓地から金製品850点や、動物意匠の馬具など。墳丘の周囲で出土しており、埋葬後の祭祀が継続していたことを示す。アル・ファラビ・カザフ国立大学（КазНУ имени аль-Фараби；Al Farabi Kazakh National University）の調査。[YK-news]
▼エレケ・サジ遺跡関連記事→2019年7月21日
ロシア: ブリヤート共和国（Бурятия；Buryatia）の首都ウラン・ウデ（Улан Удэ；Ulan-Ude）郊外のバイカル湖（Байгал нуур；Baikal）近くで新石器時代・7000年前の家族墓。アンガラ川流域のキトイ文化（Kitoy Culture）に似る。[The Siberian Times]
ブルガリア: ブルガス州（Област Бургас；Oblast Burgas）カメノ（Камено；Kameno）のルソカストロ砦（Русокастро；Rusokastro）で、天守（донжони；donjon）に当たる塔の調査を完了。16m×11mで平面六角形。壁の厚さは1.9m。13世紀後半に建てられ、14世紀70年代に焼失。高さ15～18m、3～4階建てと推定。塔内に角製品の工房。ブルガス歴史博物館（Регионален исторически музей Бургас；Regional historical Museum Burgas）の調査。
ブルガリア語Напълно е разкрита кулата-донжон в крепостта Русокастро
英語The dungeon tower in the Rusokastro fortress has been completely discovered[Регионален исторически музей Бургас]
ポーランド: 第一次世界大戦中の1915年冬の激戦地の近くで墓地2か所。ウプクフ（Łupków）ではロシア帝国の兵士とオーストリア=ハンガリー帝国の兵士の墓地。ズベンスコ（Zubeńsko）では4つの部分に分かれ、うち一つはオーストリア=ハンガリー帝国のもとで戦ったチェコ軍兵士の墓地。[Express]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）・ネーブラ（Nebra）で出土したとされるネーブラ天文盤（Himmelsscheibe von Nebra；Nebra sky disk）を鉄器時代とする新説に対し、Landesamt für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhaltが反論。ネーブラ天文盤と、ともに発見されたとされていた青銅器時代の遺物とで、付着している土が同じであるという、すでに公表されていた研究成果などを提示。
Himmelsscheibe von Nebra eisenzeitlich? Eine Richtigstellung[Landesamt für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhalt]
▼ネーブラ天文盤関連記事→2020年9月3日
ドイツ: トレンセ川（Tollense）の青銅器時代（Bronze Age）・3200年前の戦死者14人の遺体から遺伝情報を獲得。ラクターゼ耐性（Lactase persistence）を持つのは7.1%で、現代よりもはるかに低い。
cf. Joachim Burger, Vivian Link, Jens Blöcher, Anna Schulz, Christian Sell, Zoé Pochon, Yoan Diekmann, Aleksandra Žegarac, Zuzana Hofmanová, Laura Winkelbach, Carlos S. Reyna-Blanco, Vanessa Bieker, Jörg Orschiedt, Ute Brinker, Amelie Scheu, Christoph Leuenberger, Thomas S. Bertino, Ruth Bollongino, Gundula Lidke, Sofija Stefanović, Detlef Jantzen, Elke Kaiser, Thomas Terberger, Mark G. Thomas, Krishna R. Veeramah, Daniel Wegmann "Low Prevalence of Lactase Persistence in Bronze Age Europe Indicates Ongoing Strong Selection over the Last 3,000 Years" Current Biology [Cell]
スペイン: アリカンテ県（Provincia de Alicante）テウラダ＝モライラ（Teulada-Moraira）にあるコバ・デ・レス・センドレス遺跡（Cova de les Cendres）で、後期旧石器時代（Upper Paleolithic）・グラヴェット文化（Gravettian）には肉付きの良い果物や種子を計画的に集めており、海岸砂丘（Coastal dunes）の豊かなエコシステムを資源として利用。
cf. Carmen María Martínez-Varea "Gathering in the dunes. Seeds and fruits from the Gravettian levels of Cova de les Cendres (Teulada-Moraira, Alicante, Spain)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
UK（イングランド）: リンカンシャー州（Lincolnshire）キャンマリンガム（Cammeringham）で、アングロ・サクソン（Anglo-Saxon）の墓地。[Lincolnshire Live]
UK（イングランド）: 東ヨーク州（East Yorkshire）ブラフ（Brough）でローマ時代の邸宅。ブラフはローマ帝政期のペトゥアリア（Petuaria）。[Hull Live]
UK（スコットランド）: エディンバラ（Edinburgh）のホリールード公園（Holyrood Park）にある「アーサーの玉座」（Arthur's Seat）の頂上で、ウォタディニ族（Votadini）が築いた砦の城壁を発見。ウォタディニ族は鉄器時代・3000年前にスコットランド南東部を支配していた人々。[EdinburghLive]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）にある新石器時代の墳墓メイズハウ（Maeshowe）で、側室は主室の上下逆になっている。来世のための家として反転させたものか。
Upside down houses for the dead at Maeshowe[University of the Highlands and Islands]
USA: バーモント州（State of Vermont）コルチェスター・ショール（Colchester Shoal）沖のシャンプレイン湖（Lake Champlain）の底から、1819年9月4日に火災で沈んだ蒸気船「フェニックス」（Phoenix）の外輪2個。[Phys.Org]
授賞: 第10回日本考古学協会賞の奨励賞に、新里亮人氏『琉球国成立前夜の考古学』と、松本圭太氏『ユーラシア草原地帯の青銅器時代』。
第10回日本考古学協会賞[日本考古学協会]
訃報: 東海林勤・高麗博物館初代理事長、日本基督教団牧師8/25死去。88歳。[東京新聞]

2020年9月3日（木）

茨城県: 稲敷市・阿波寄合窯跡（あばよりやすかまあと）で奈良・平安時代の窯跡2基。多くの須恵器のほか瓦も出土。公益財団法人茨城県教育財団の調査。9/19現地説明会。
令和２年度第２回発掘調査遺跡現地説明会のお知らせ阿波寄合窯跡（あばよりやすかまあと）[発掘情報いばらき]
茨城県: 石岡市・中津川遺跡（なかつがわいせき）で、平安時代の墓や縄文時代前期・中期の集落跡。公益財団法人茨城県教育財団の調査。9/25現地説明会。
令和2年度第3回発掘調査遺跡現地説明会のお知らせ中津川遺跡（なかつがわいせき）[発掘情報いばらき]
愛媛県: 松山市・道後温泉本館で、湯を排出する陶器製の排水管（陶管）。1894年当時の敷設とみられる。[朝日新聞]
韓国: 慶尚北道慶州市・皇南洞120-2号墳は、新羅・1500年前の積石木槨墓。被葬者は金銅冠、金銅履、金製耳飾、銀製帯金具など、新羅の支配層の装身具一式をまとった状態。身長170cm程度と推定。[聯合ニュース]
中国: 山西省呂梁市離石区信義鎮信義村・信義遺跡で、新石器時代末期・廟底溝2期～竜山文化の住居跡と灰坑。中原と河套の云化交流を示す。廟底溝2期文化の北への文化と、地域文化との交流を示す。
山西離石信義遺考古発現与収獲[中国社会科学院考古研究所]
インドネシア: スラウェシ島（Sulawesi）南部のマロス・パンケップ洞窟遺跡群（Maros-Pangkep cave complex）で、洞窟絵画の劣化が進み、危機的な状態に。[Indonesia Expat]
ヨルダン: ファイナーン地域の（Faynan）鉄製品と鉄・銅塊について、オスミウム同位体と強親鉄性元素（highly siderophile element、HSE）により、鉄生産の起源を検討。分析結果は、鉄製品と鉄・銅塊とで異なっており、鉄製品はこの地で作られたものではない。レヴァントの鉄生産は、同地の銅溶解技術に直接由来するものではない。
文献 Brady Liss, Thomas E. Levy, James M. D. Day "Origin of iron production in the Eastern Mediterranean: Osmium isotope and highly siderophile element evidence from Iron Age Jordan" Journal of Archaeological Science. Volume 122 [ScienceDirect]
イスラエル: エルサレム（Jerusalem）のアルモン・ハナチーブ（Armon Hanatziv）で、第一神殿時代（First Temple Period）のユダ王国（Kingdom of Judah）宮殿跡。アッシリアによる包囲の後、ユダ王国のヒゼキヤ王（King Hezekiah）の治世・紀元前7世紀に建造。バビロニアによる紀元前586年の征服で破壊。[Haaretz]
トルコ: ガズィアンテプ県（Gaziantep）で、ヒッタイト（Hittite）・紀元前13世紀の遺跡にあるイェセメック野外博物館（Yesemek Open Air Museum）が、近隣の人口ラグーンっ建設のために水没危機。[Duvar English]
トルコ: バルケスィル県（Balıkesir il）の古代都市キュジコス（Κύζικος；Cyzicus）ハドリアヌスの神殿（Hadrian Temple）で、大量の石材破片。神殿が未完成であった可能性。長さ116m、幅62m。コリント式の柱頭には金彩。[Daily Sabah]
アゼルバイジャン: ナゴルノカラバフのフィズリ（Fizuli）にあるラレテペ遺跡（Laletepe）で、新石器時代の集落。[AzerNews]
ロシア: ゴレリイ・レス遺跡（Горелый Лес；Gorelyi Les）から出土したバイカル湖（Байгал нуур；Baikal）近くの最古の土器群について、土器片に残った遺存物を分析。反芻動物、魚、植物のほか、マツの樹脂やマツの副産物を検出。シベリアでは7560年前に土器が登場したことにより、中石器時代から新石器時代・キトイ文化（Китойская культура；Kitoi culture）に移行すると考えられている。
cf. Manon Bondetti, Alexandre Lucquin, Nikolai A. Savel'ev, Andrzej W. Weber, Oliver E. Craig, Peter D. Jordan "Resource processing, early pottery and the emergence of Kitoi culture in Cis-Baikal: Insights from lipid residue analysis of an Early Neolithic ceramic assemblage from the Gorelyi Les habitation site, Eastern Siberia" Archaeological Research in Asia. Volume 24 [ScienceDirect]
スロバキア: トルナヴァ県（Trnavský kraj；Trnava region）スハー・ナド・パルノー（Suchá nad Parnou）でレンジェル文化（Lengyelská kultúra；Lengyel culture）・7000年前～6000年前の土器や石器。[The Slovak Spectator]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）・ネーブラ（Nebra）で出土したとされるネーブラ天文盤（Himmelsscheibe von Nebra；Nebra sky disk）は、鉄器時代・紀元前800年～前50年。従来説より1000年新しかった。従来の初期青銅器時代・紀元前2200年～前1600年と考えられていたが、発見者の証言を検討し、同時に出土したとされる青銅器時代遺物との一括性は証明できないとした。
文献 Gebhard, R. & Krause, R. (2020). "Kritische Anmerkungen zum Fundkomplex der sog. Himmelsscheibe von Nebra". Archäologische Informationen 43
Himmelsscheibe von Nebra ist 1.000 Jahre jünger als bisher angenommen[DGUF]
▼ネーブラ天文盤関連記事→2019年6月11日
スウェーデン: エステルイェータランド県（Östergötlands län）リンシェーピング（Linköping）のヴレタ修道院（Vreta Kloster；Vreta Abbey）で、未調査の墓地を発見。中世ヴァイキング時代・11世紀の保存の良い遺体出土。短期間に葬られており、伝染病の可能性。墓地全体で数千体を埋葬と推定。エステルイェータランド県で、遺体の遺存している同時代の墓はほかにない。[Sputnik]
アイルランド: ドニゴール州（Dún na nGall；Donegal）バリーシャノン（Ballyshannon）で、青銅器時代（Bronze Age）・4000年前の墳墓やロックアート、土器など。Fadó Archaeologyの調査。[RTÉ]
エチオピア: エチオピア北西部のアフリカ中期石器時代（Middle Stone Age）について、ダチョウの卵の殻を利用した年代測定の有効性を検討。
cf. S. L. Loewy, J. Valdes, H. Wang, B. Ingram, N. R. Miller, K. de la Cruz Medina, A. Roberts, S. Yanny, J. Banner, M. Feseha, L. Todd, J. Kappelman "Improved accuracy of U-series and radiocarbon dating of ostrich eggshell using a sample preparation method based on microstructure and geochemistry: A study from the Middle Stone Age of Northwestern Ethiopia" Quaternary Science Reviews. Volume 247 [ScienceDirect]

2020年9月2日（水）

福井県: 小浜市・小浜城跡で、大手門わきの石垣を確認。櫓や塀などに葺かれていた瓦を検出。福井県埋蔵文化財調査センターの調査。9/6現地説明会。
小浜市小浜城跡の現地説明会を開催します[福井県]
京都市: 北区・金閣寺境内で不適切な工事が行われたとする申し立てを受け、文化庁が京都府教育委員会などに、事実確認のための発掘調査をするよう指導。[共同通信]
中国: 遼寧省北票市や阜新市で遼金時代の遺跡を盗掘して古銭や銅鏡などを大量に盗んだ男8人が逃走。[北国網]
中国: 陝西省延安で出土した、漢時代の低火度の多彩釉陶器を分析。鉛バリウム釉を使用。多色ガラスの生産と技術的な関係。中国の低火度の鉛釉陶器のうち、単色のものは中国で独自に発展。ここに、トンボ玉生産などの技術を引き継ぐ鉛バリウム釉の技術が加わり、多彩釉の鉛釉陶器が成立した。
cf. Yulai Chen, Rui Wen and Tianyi Wang "The origins of low-fire polychrome glazed pottery in China" Antiquity [Cambridge Core]
マレーシア: レンゴン渓谷（Lenggong Valley）のコタ・タンパン（Kota Tampan）で、旧石器時代・7万年前のまとまった石器群。東南アジア大陸部のホモ・サピエンスに関連すると見られる。
文献 Hsiao Mei Goh, Noridayu Bakry, Mokhtar Saidin, Shaiful Shahidan, Darren Curnoe, Chaw Yeh Saw, Zainal bin Ariffin and Yeng Meng Kiew "The Palaeolithic stone assemblage of Kota Tampan, West Malaysia" Antiquity [Cambridge Core]
イスラエル: ガリラヤ（Galilee）西部沖の地中海（Mediterranean）にあるシャヴェイ・ジオン遺跡（Shavei Zion）で1972年に見つかった数百の土偶は、紀元前6世紀に沈んだ1隻のフェニキアの難破船のものとみられていたが、ともに出土したアンフォラは型式学的に多様。実際は紀元前7世紀から前3世紀まで400年間に海に捧げられたもの。大半の土偶はフェニキアのタニト女神（Tanit）に関連。[The New York Times]
イスラエル: ナハール・ラハフ2号岩陰遺跡（Nahal Rahaf 2）で、後期旧石器時代前半（Early Upper Palaeolithic）・オーリニャック文化（Aurignacian）の遺跡。レヴァントのオーリニャック文化が南レヴァント（Southern Levant）の乾燥地域にまで及んでいたことを示す。
cf. Omry Barzilai, Emil Aladjem, Maayan Shemer, Rami Zituni, Noam Greenbaum, Elisabetta Boaretto and Nimrod Marom "The Early Upper Palaeolithic in the south Judean Desert, Israel: preliminary excavation results from Nahal Rahaf 2 rockshelter" Antiquity [Cambridge Core]
トルコ: ウバイド文化（Ubaid）～銅石器時代（Chalcolitihic）のケナン・テペ遺跡（Kenan Tepe）、ハラフ期（Halaf）のドムズテペ遺跡（Domuztepe）、ほか12遺跡の黒曜石を分析し、黒曜石3d群の時空間的分布を検討。黒曜石3d群は先史時代の終わりから歴史時代にかけて中東で広く流通し、大まかに東アナトリアのものとみられているが、細かい出どころはわかっていない。
文献 Stuart Campbell, Elizabeth Healey, Osamu Maeda "Profiling an unlocated source: Group 3d obsidian in prehistoric and early historic near East" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 33 [ScienceDirect]
イタリア: ローマのヴィラ・ファルネジーナ（Villa Farnesina）にある、ルネサンスの画家ラファエロ（Raffaello Sanzio da Urbino、1483～1520年）の絵画『ガラテイアの勝利』（Trionfo di Galatea；Triumph of Galatea；1514）では、古代のエジプシャン・ブルー（Egyptian Blue）を使用。海や空の青を表現するために実験により復活。エジプシャンブルーはローマ帝国の滅亡とともに失われ、ラピスラズリで代替されていた。[ANSA]
イタリア: ビチェンツァ（Vicenza）のリパロ・ブロイオン遺跡（Riparo Broion）で見つかった後期ムスティエ文化（Mousterian）のヒトの歯「Riparo Broion 1」を分析。48000年前のネアンデルタール人（Neanderthals）の子供と推定。ウルッツァ文化（Uluzzian）で起こる文化的・技術的変化に先立ってネアンデルタール人が居住していた証拠。
文献 Matteo Romandini, Gregorio Oxilia, Eugenio Bortolini, Stéphane Peyrégne, Davide Delpiano, Alessia Nava, Daniele Panetta, Giovanni Di Domenico, Petra Martini, Simona Arrighi, Federica Badino, Carla Figus, Federico Lugli, Giulia Marciani, Sara Silvestrini, Jessica C. Menghi Sartorio, Gabriele Terlato, Jean-Jacques Hublin, Matthias Meyer, Luca Bondioli, Thomas Higham, Viviane Slon, Marco Peresani, Stefano Benazzi "A late Neanderthal tooth from northeastern Italy" Journal of Human Evolution. Volume 147 [ScienceDirect]
▼ヴェネト州（Veneto）ビチェンツァ（Vicenza）
チェコ: モラヴィア地方（Moravia）の銅石器時代（Eneolithic）・縄目文土器文化（kultura šňůrové keramiky；Corded Ware culture）・紀元前3千年紀の土器と打製石器を分析して地域間の相互作用を研究。一見、大規模なヒトの移動により均質な文化が広がっているかのようであるが、地域の文化変化が複雑に折り重なっていると理解できる。
cf. Jan Kolář "Migrations or local interactions? Spheres of interaction in third-millennium BC Central Europe" Antiquity [Cambridge Core]
ベルギー: ヴェルヴィエ（Verviers）の噴水で、亜鉛の箱から、元市長ピア・ダフィット（Pierre David）の心臓が見つかる。ピア・ダフィットはフランス統治下のヴェルヴィエで1800年～1808年に初代市長を務めた。オランダから独立後の1830年に再び市長となる。[BBC]
UK（スコットランド）: スコティッシュ・ボーダーズ（The Scottish Borders）のジェドバラ修道院（Jedburgh Abbey）で、200年前の人骨出土。[Scottish Construction Now]
アイスランド: 西部フィヨルド地方（Vestfirðir）のアルトナールフィヨルズル（Arnarfjörður）のオイズクラ（Auðkúla）で、さまざまな遺物とロングハウス。ロングハウス近くの小型竪穴建物の一角に、大型の窯。[The Reykjavík Grapevine]
チリ: ラパヌイ島（Rapa Nui；Easter Island）では1450～1550年の小氷期（Little Ice Age）、ヨーロッパ人到来ごろの1772～1774年、そして伝染病による19世紀に人口減少。の人口崩壊はヨーロッパ人の到来のためではなく、自然と平和に共存していたわけでもなかった。気候変動が島の人口支持力に及ぼした長期的な影響と推定。
The growth and decline in Rapa Nui’s population is a lesson for our future[Universitetet i Oslo]
文献 M. Lima, E. M. Gayo, C. Latorre, C. M. Santoro, S. A. Estay, N. Cañellas-Boltà, O. Margalef, S. Giralt, A. Sáez, S. Pla-Rabes and N. Chr. Stenseth "Ecology of the collapse of Rapa Nui society" Proceedings of the Rpyal Society B. [The Royal Society]

2020年9月1日（火）

群馬県: 沼田市・沼田城跡（ぬまたじょうあと）で本丸の外側から、江戸初期の「正保城絵図」にはない堀の跡。真田氏が支配する以前の16世紀後半ごろの遺構と推定。沼田市教育委員会の調査。[上毛新聞]
9/6現地説明会。
沼田城跡発掘調査現地説明会開催のおしらせ[沼田市]
▼沼田城跡関連記事→2019年12月3日
福井県: 福井市・上河北江原町遺跡で、弥生時代の集落跡。建物跡の柱穴、溝、方形周溝墓などの遺構を検出。福井県埋蔵文化財調査センターの調査。9/5現地説明会。
福井市上河北江原町遺跡の現地説明会を開催します[福井県]
長野県: 松本市・県町遺跡（第21次調査）で、平安時代に薄川が氾濫して弥生時代の地表面を削ってできた川筋の跡。松本市の調査。[市民タイムスWEB]
▼県町遺跡関連記事→2017年4月6日
北朝鮮: 黄海南道安岳郡月池里で高句麗・6世紀前半に築造された壁画古墳2基を発掘。四神図のほか、星宿、蓮華、菩提樹、亀甲文を表す。社会科学院考古学研究所の調査。[聯合ニュース]
インド: アーンドラ・プラデーシュ州（Andhra Pradesh）カダパ県（Kadapa district；Cuddapah）ムダヌール（Muddanur）のチナ・ダッドヤーラ村（Chinnadudyala）で、レナティ・チョーラ朝（Renati Cholas）・8世紀の銘文。古代テルグ（Telugu）で25行を記す。[The Hindu]
トルコ: ギュミュシュハーネ県（Gümüşhane）ケルキト郡（Kelkit）サダク村（Sadak）の古代都市サタラ（Σάταλα；Satala）で、第15軍団アポリナリス（Legio XV Apollinaris）の砦カストルム（castrum）内から、ローマ帝政期・2000年前の演劇用の仮面。サタラには、ローマ時代にアナトリアにあった4つの軍団の一つが所在したが、255～256年にサーサーン朝の王シャープール1世（Shapur I）に破壊された痕跡。後期ローマ時代のオイルランプや鉄製鎧。初期キリスト教時代の建築レリーフ。砦はセルジューク朝に征服されるまで使用。[Hürriyet Daily News]
フランス: ブルターニュ地域圏（Bretagne）フィニステール県（Finistère）ランデヴェネック（Landévennec）の、ランデヴェネック修道院跡（abbaye de Landévennec）から、中世・13世紀の土製ガレティエール（galettière、ガレット焼き器）。厚さ1cm、直径25から30cmで、ブルターニュにしか見られない土器。バターを調理した痕跡。240℃～270℃で調理されており、現代のクレープに対応。
Les moines bretons faisaient déjà des crêpes au Moyen-Âge[Sciences et Avenir]
UK: 英国の青銅器時代～初期鉄器時代・紀元前2500年～前600年の火葬骨や火葬されていない骨、189点を放射性炭素年代測定。死後、平均2世代にわたって人骨が保管されていた。
文献 Thomas J. Booth and Joanna Brück "Death is not the end: radiocarbon and histo-taphonomic evidence for the curation and excarnation of human remains in Bronze Age Britain" Antiquity [Cambridge Core]
アイルランド: クレア州（County Clare；Contae an Chláir）バレン（Burren）のプルナブローン（Poulnabrone）のドルメンに葬られていた6000年前～4000年前の6か月の赤ん坊の遺体からDNAを抽出。21番染色体（Chromosome 21）が3個あり、ダウン症候群（Down's Syndrome）であった可能性。トリニティ・カレッジ（Trinity College）の調査。[IrishCentral]

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