2021年6月30日(水)
- 岩手県
- 奥州市・明神下遺跡(みょうじんしたいせき)で平安時代の竪穴住居。床面やカマドの周辺からは土師器の甕や坏。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。
明神下遺跡
7/6現地説明会。
明神下遺跡現地公開のお知らせ(7月6日10時〜)[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター] - 奈良県
- 奈良市・平城宮跡の東院地区で大型建物跡。奈良時代後半の天皇や皇太子の宮殿の中心的な建物跡。奈良文化財研究所6/30発表。[朝日新聞]
- 福岡県
- 大野城市・御供田遺跡(ごくでんいせき)で弥生時代・飛鳥時代・昭和時代(板付基地)の遺構。7/3現地説明会。[大野城市]
- カザフスタン
- アクトベ州(Ақтөбе облысы;Aktobe Region)アクトベ(Ақтөбе;Aktobe)で、サルマタイ文化(Сарматтар;Sarmatians)の墳丘墓。紀元前6世紀〜前5世紀の埋葬9基と人骨20体。金製品、青銅製品や馬具、武器が出土。鋳銅が発達していたことを示す。サルマタイ人の戦士や影響力のある人物を葬る。[Qazaq TV]
- プレアルプス、バルカン半島
- プレアルプス(Prealps)南東部のラシニャ文化(Lasinja Cultur)、中央バルカンのヴィンツァ文化(Vinča Culture)で出土した後期新石器時代〜銅石器時代・紀元前5千年紀の土製の孔開き把手付のミニチュア瓶14口の内容物に対する科学的分析。スロベニアのザゴルニエ・ラドヴァニエ(Zgornje Radvanje)で出土したミニチュア瓶の中の白色物質は白鉛鉱(炭酸鉛(II))が主成分。スロベニアのトゥルニシチェ(Turnišče)とポポヴァ1遺跡(Popava 1)で出土したミニチュア瓶の中の遺存物は鉛ゴム石や緑鉛鉱などの鉛。鉛化合物とともに蜜蝋が検出された瓶も3口あり、顔料、化粧品、医薬品の有機結合剤。鉛ベースの化粧品や医薬品を収めるのに用いた。従来から、首や腰につけて、化粧品を入れたり、信仰にかかわるものと推定されていた。
cf. Bine Kramberger, Christoph Berthold, Cynthianne Spiteri "Fifth millennium BC miniature ceramic bottles from the south-eastern Prealps and Central Balkans: A multi-disciplinary approach to study their content and function" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 38, August 2021, 102993 [ScienceDirect] - ラトビア
- バルト海近くの墳墓から発見された5000年前の20〜30歳の男性人骨RV2039に、最古のペスト菌(Yersinia pestis)の痕跡。前身の仮性結核菌(Yersina pseudotuberculosis)から7000年前に分岐して間もないものと推定。ビーバーに噛まれて感染か。
Earliest known strain of plague could have come from a beaver bite[LiveScience]
リニュカルンス遺跡(Riņņukalns)、5300年前〜5050年前(cal BP)。
cf. Julian Susat, Harald Lübke, Alexander Immel, Ute Brinker, Aija Macāne, John Meadows, Britta Steer, Andreas Tholey, Ilga Zagorska, Guntis Gerhards, Ulrich Schmölcke, Mārcis Kalniņš, Andre Franke, Elīna Pētersone-Gordina, Barbara Teßman, Mari Tõrv, Stefan Schreiber, Christian Andree, Valdis Bērziņš, Almut Nebel, Ben Krause-Kyora "A 5,000-year-old hunter-gatherer already plagued by Yersinia pestis" Cell Reports. Volume 35, Issue 13, 29 June 2021, 109278 [Cell] - UK(イングランド)
- サフォーク州(the county of Suffolk)のアイ城(Eye Castle)で、堀の底から中世・13世紀ごろのオーク製の橋の橋脚の最下部の部材。建造時の加工痕(score mark)まで明瞭に残る。落城した1265年まで用いられた可能性。11〜14世紀の土器も出土。アイ城の城郭様式は11世紀にノルマン人がもたらした。[BBC]
2021年6月29日(火)
- 京都府
- 京田辺市・天理山古墳群(てんりやまこふんぐん)のうち、1号墳と3号墳は古墳時代前期末から中期初頭の前方後円墳。3号墳は全長80m、葺石や埴輪列を持つ。京田辺市の調査。7/10現地説明会。
天理山古墳群現地説明会を開催します[京田辺市] - 鳥取県
- 鳥取市・青谷上寺地遺跡(あおやかみじちいせき:第19次調査)で、古墳時代前期の建物遺構や生活痕跡。[日本海新聞]
▼青谷上寺地遺跡関連記事→2020年10月22日 - 韓国
- ソウル市 鍾路区 仁寺洞で、朝鮮時代前期・15〜16世紀の金属活字1600点が壺に入った状態で出土。訓民正音が制定された当時の表記を示す最古のハングル活字を含む。水時計の部品「籌箭」や、天文時計「日星定時儀」、銃なども出土。[聯合ニュース]
- 北朝鮮
- 黄海南道 安岳郡 月池里で、新たに高句麗時代の横穴式石室を持つ石室封土墳9基と、金製歩揺、金製鈴、銀製釧、金製指輪、棺釘、土器片などの遺物出土。[朝鮮新報]
- オーストラリア
- ノーザンテリトリー準州(The Northern Territory)・ウッズ湖(Lake Woods)西側の4遺跡で2019年に調査された石製遺物を報告。在地の石器技術に関する民族誌的な情報と合致する石器を含む。すべての遺跡で磨石(grindstone)が出土しており、草の実の収穫が湖周辺で常に主要な生業であった。オーストラリア北部の熱帯地域や南オーストラリアに特徴的な石器も出土しており、ウッズ湖が地域間の交流の場であったことを示す。
cf. Ceri Shipton, Tim Cohen, Matthew Forbes, Fabian Boesl, Zenobia Jacobs, Raymond Dimakarri Dixon, Eleanor Dixon, Susan Kingston, Claudette Albert & Sue O’Connor "Diverse stone artefacts around Lake Woods, Central Northern Territory, Australia" Australian Archaeology [Taylor & Francis Online] - 西ユーラシア
- 西ユーラシアの青銅器時代の重りを分析し、共通する単一の単位に由来すると分析。資源の相互依存関係に基づく市場交換が行われていたという仮説を傍証。初期の重量システムの情報は、政治的な背景なく広まった。
cf. Nicola Ialongo, Raphael Hermann, and Lorenz Rahmstorf "Bronze Age weight systems as a measure of market integration in Western Eurasia" Proceedings of the National Academy of Sciences. July 6, 2021 118 (27) e2105873118 [PNAS] - オランダ
- 北ブラバント州(Provincie Noord-Brabant)ベルリクム(Berlicum)のアー川(Aa)近くで2017年末に見つかったローマ時代の硬貨109枚は、安全に川を渡るために奉納されたものだったと判明。容器に入れず広い範囲に分布し年代も共和政の紀元前27年からマルクス・アウレリウス・アントニヌス帝の紀元後180年までと幅広い。長期にわたって多くの人が少額を奉納。
Hoard of Roman coins turns out to be offering for safe crossing[Universiteit Leiden] - フィンランド
- ラウタヤルヴィ湖(Rautajärvi Lake)近くの湿地にあるヤルヴェンスオ1遺跡(Järvensuo 1)で、新石器時代・4400年前のヘビ形をした木製の棒。
Archaeologists discover 4,400-year-old serpent “staff”[Heritage Daily]
cf. Satu Koivisto and Antti Lahelma "Between earth and water: a wooden snake figurine from the Neolithic site of Järvensuo 1" Antiquity, First View, pp. 1 - 7 [Cambridge Core] - 授賞
- 第45回野口賞の郷土研究部門に中山誠二氏。マメ類と縄文人の営みの関係性を実証的に提示した。南アルプス市ふるさと文化伝承館館長、帝京大学文化財研究所客員教授。[山梨日日新聞]
2021年6月28日(月)
- 韓国
- 公州市・宋山里29号墳を、1933年以来88年ぶりに発掘。百済の王陵級の古墳であることを確認。壁は石積み、床と棺台は磚積み。立地や構造からみて武寧王陵より築造時期は遅い。国立扶余文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 陝西省 西咸新区・灃東新城で、宋・金時代の村落遺跡。[AFPBB]
- トルコ
- エルズルム県(Erzurum ili)トルトゥム郡(Tortum)の洞窟で、8000年前の黄土で描いたシカの線画。メス2頭、オス2頭を描く。北東アナトリアで、黄土で描いた壁画は唯一。画題や技法も独特。[Hürriyet Daily News]
- トルコ
- シャンルウルファ県(Şanlıurfa)・ギョベクリ・テペ遺跡(Göbekli Tepe)の100km以内で11の遺丘を新たに発見。[Anadolu Ajansı]
- カザフスタン
- アクモラ州(Ақмола облысы;Akmola Oblast)コシュカルバイ(Қошқарбай;Koshkarbai)で、青銅器時代の金属溶解20基。近隣に鉱石の採掘跡も。[Qazaq TV]
- ギリシャ
- ピリッポイ(Φἱλιπποι;Philippi)で紀元前4300年の火災住居から、ブドウの種と、ワインの搾りかす。ヨーロッパ最古のワインの証拠。[Greek Reporter]
- スウェーデン
- シグトゥーナ(Sigtuna)で、ヴァイキング時代・10世紀末のキリスト教徒の墓7基を発見。石で覆われた木棺に葬る特徴。うち1基は出産直後に死亡したとみられる嬰児2体を葬る。最初の世代のキリスト教徒のものである可能性。[Sputnik]
- UK(イングランド)
- バース(Bath)のシドニーガーデン(Sydney Gardens)にあるバスウィック墓地(Bathwick Roman cemetery)で、ローマ時代・2000年前の石棺。蓋・身ともバース産の石灰岩製。内部に2体の遺体。1体はうつ伏せで原形をとどめ、その足元に不完全なもう1体。L - P : Archaeologyの調査。
Rare ancient Roman sarcophagus discovered at Bath’s Sydney Gardens[Bath & North East Somerset Council] - UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland) ヘクサム(Hexham)・ヴィンドランダ砦(Vindolanda Roman fort)の、ローマ時代・4世紀の騎馬隊の兵舎跡から、砂岩製の祭壇。槍を持った裸の人物がロバかウマに乗った像を刻む。裸体は神であることを示すと考えられ、マルス神(Mars)またはメルクリウス神(Mercury)か。[BBC]
▼ヴィンドランダ砦関連記事→2021年6月12日 - UK(スコットランド)
- スターリング(Stirling)のコクセットの丘(Coxet Hill)で、中世の道路跡。コクセットの丘は、スコットランド王ロバート・ザ・ブルース(Robert the Bruce)の軍が1314年6月23日に陣を構えたとされる場所。翌6月24日のバノックバーンの戦い(Battle of Bannockburn)の古戦場近く。[The Scotsman]
- USA
- インディアナ州(State of Indiana)バーソロミュー郡(Bartholomew County)コロンバス(Columbus)で、3000年前〜2000年前の成人男性、子供、幼児の人骨。アデナ文化(Adena culture)のネイティヴ・アメリカンと推定。考古学的な分析の後、埋葬のためネイティヴアメリカン部族に引き渡される見込み。[Indiana Public Media]
2021年6月27日(日)
- 韓国
- 光州市 光山区 雲水洞で三国時代の集落跡。[聯合ニュース]
- USA
- オクラホマ州(State of Oklahoma)タルサ(Tulsa)のオークローン墓地(Oaklawn Cemetery)で、1921年のタルサ人種虐殺(Tulsa Race Massacre.)の犠牲者を葬った大型墓地から、新たに発見された棺35基を発見し、遺体19体のうち9体を分析。成人4人、子供5人。頭や肩に多数の銃創を負った黒人1人を含む。[The Washington Post]
- 授賞
- 青森県考古学会の第9回村越潔賞に、根岸洋・東京大学大学院准教授。北東北の縄文時代から弥生時代への移行論を研究。[東奥日報]
2021年6月26日(土)
- 奈良県
- 明日香村・甘樫丘東麓遺跡(あまかしのおかとうろくいせき)で出土した7世紀前半の炭化したコムギの種子を分析。弥生時代や古墳時代の遺跡から出土したコムギの種子より20%〜30%大きい。7世紀前半にコムギの新品種がもたらされていた可能性。奈良文化財研究所の調査。[読売新聞]
▼奈良県高市郡明日香村
▼甘樫丘東麓遺跡関連記事→2014年7月4日 - 佐賀県
- 鳥栖市・門戸口遺跡(もんとぐちいせき)から出土した紡錘車に、古代氏族・大伴氏の名や官職を示す文字。この場所に役所があった可能性。[サガテレビ]
- 沖縄県
- 沖縄市・嘉手納弾薬庫知花地区で、基地建設のため接収された戦前の屋敷跡。沖縄市の調査。沖縄市教育委員会が2019年8月に行った現地保存の要請に対し、沖縄防衛局からの回答はなし。[沖縄タイムス]
- 中国
- ハルビン(哈爾浜;Harbin)で1933年に発見された古人骨「竜人」(Dragon Man)は放射性ウランを測定し14万6000年前。形質の特徴から新種のホモ属と判明。
‘Dragon Man’ skull may help oust Neandertals as our closest ancient relative[ScienceDaily]
頭蓋骨を分析し、ホモサピエンスの新たな姉妹系統と判定。
cf. Xijun Ni, Qiang Ji, Wensheng Wu, Qingfeng Shao, Yannan Ji, Chi Zhang, Lei Liang, Junyi Ge, Zhen Guo, Jinhua Li, Qiang Li, Rainer Grün, Chris Stringer "Massive cranium from Harbin in northeastern China establishes a new Middle Pleistocene human lineage" The Innovation [Cell]
非破壊蛍光X線分析、希土類元素分析、ストロンチウム同位体分析により、30万9000年前〜13万8000年前の堆積層から出土と推定。頭蓋骨自体もウラン放射非平衡年代測定(Uranium-series disequilibrium dating)により、14万6000年前。
cf. Qingfeng Shao, Junyi Ge, Qiang Ji, Jinhua Li, Wensheng Wu, Yannan Ji, Tao Zhan, Chi Zhang, Qiang Li, Rainer Grün, Chris Stringer, Xijun Ni "Geochemical provenancing and direct dating of the Harbin archaic human cranium" The Innovation [Cell]
頭蓋骨をホモサピエンスの新種と認定。
cf. Qiang Ji, Wensheng Wu, Yannan Ji, Qiang Li, Xijun Ni "Late Middle Pleistocene Harbin cranium represents a new Homo species" The Innovation [Cell] - ハンガリー
- オロシュハーザ(Orosháza)の集落跡で出土したアールパード朝(Árpádok;Árpád dynasty)・12〜13世紀の2つの土器群を分析し、アヴァール(Avar)の土器と比較。いわゆる白粘土(white clay)は、ほかの瓶の成分とは出所が異なり、輸入品であり、ほかの瓶も素材が一定せず、輸入品。瓶は同時代のほかの集落ではあまり見られず、オロシュハーザの人々はバルカン半島ともつながり。一方で、ほかの遺跡では出土するブタの骨が出土しない。墓には壁龕があり、遺体を南向きに葬る。地名「イシマイル族の地区」(Böszörményestelek;parcel of Ishmaelites)が示すように、イスラーム教のコミュニティが存在。
cf. Zoltán May, Zoltán Rózsa, Attila Kreiter "Message in a bottle: Analyses of 12–13th century vessels from an Ishmaelite settlement in Orosháza, Hungary" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103084 [ScienceDirect]
▼ベーケーシュ県(Békés megye) - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)マンスフェルト=ズュートハルツ郡(Landkreis Mansfeld-Südharz)ルターシュタット・アイスレーベン(Lutherstadt Eisleben)のヘルフタ(Helfta)で、オットー大帝(Otto der Große)が968年に建立したラデグンディス教会(Radegundiskirche)。
Königspfalz Helfta: Verschwundene Kirche Kaiser Ottos des Großen wiederentdeckt[Archaeologie Online] - ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)アムルム島(Insel Amrum)のノルトドルフ(Norddorf)で、新石器時代(Neolithikum)の墳丘墓(Hügelgrab)「ナイアーフーウフ」(Naierhuuch)を調査。築造に4段階。中央の墓は後期新石器時代。周辺に長方形の石組。南側に別の積石塚が加えられ、2重の石列で囲む。第3の埋葬時に石櫃を納め、第4の埋葬時に墳丘を拡張。
Ausgrabung eines Grabhügels auf Amrum[Archaeologie Online] - フランス
- オート=マルヌ県(Haute-Marne)サン=ディジエ(Saint-Dizier)で、メロヴィング朝(Mérovingiens;Merovingian)・7世紀の石棺。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[Le Figaro]
▼グラン・テスト地域圏(Grand Est) - スウェーデン
- カルマル県(Kalmar län)ストラ・エコー島(Stora Ekö)沖に停泊中の1495年にバルト海に沈没した中世のデンマーク船グリブスフンデン号(Gribshunden)について、さまざまな部材13試料を年輪年代(dendrochronology)測定。すべての試料は1482/83年の秋に伐採。ベルギーのナミュール(Namur)周辺のムーズ川(la Meuse)流域に一致。グリブスフンデン号がムーズ川河口近くの造船所で作られた可能性。
cf. Anton Hansson, Hans Linderson, Brendan Foley "The Danish royal flagship gribshunden – Dendrochronology on a late medieval carvel sunk in the Baltic Sea" Dendrochronologia [ScienceDirect]
▼グリブスフンデン号関連記事→2020年8月28日 - チリ
- アタカマ砂漠(Atacama Desert)の新石器時代の移行期・紀元前1000年〜紀元後600年の人骨194体について、個人間暴力による外傷を分析。外傷を受けた成人は21%(40人)で、その半数(20人)は暴力により死亡。ストロンチウム同位体の分析により、暴力に外来者は無関係で、集団間の暴力による。新石器時代の社会経済的変化は個人間の暴力の一因。
cf. Vivien G. Standen, Calogero M. Santoro, Bernardo Arriaza, John Verano, Susana Monsalve, Drew Coleman, Daniela Valenzuela, Pablo A. Marquet "Violence among the first horticulturists in the atacama desert (1000 BCE – 600 CE)" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 63, September 2021, 101324 [ScienceDirect]
2021年6月25日(金)
- 鳥取県
- 米子市・百塚遺跡群・88号墳の現状保存を求め市民団体「大山ふもとの自然環境と米子の水を守る会」が産業廃棄物最終処分場建設の主体である県環境管理事業センターに遺跡の保存を要請。[毎日新聞]
- 韓国
- 大邱市北区魯谷洞・八莒山城で、 三国時代・6世紀の木槨形の貯水池や、新羅の木簡。花郎文化財研究院の調査。[KNS]
- 中国
- 伊洛河地域(Yiluo)のTumen遺跡について、植物遺体と同位体データ、編年を検討。仰韶文化後期(late Yangshao)にアワとコメによる農業経済が登場し、竜山文化(Longshan)と青銅器時代に集約化。農業経済の複雑さが集落の階層化や人口増加をもたらす。
cf. Dawei Tao, Fei Liu, Guang Ren, Michael P. Richards, Guowen Zhang "Complexity of agricultural economies in the Yiluo region in the late Neolithic and Bronze Age (3500–221BC):An integrated stable isotope and archaeobotanical study from the Tumen site, North China" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library] - 中国
- 広西チワン族自治区(Guangxi)、福建省(Fujian)で、11,747年前〜194年前の31人のゲノム情報を獲得。1万年以上前のゲノム2例は。東アジア南部や東南アジアでは最古の例。広西では、従来東南アジアや福建では知られていなかった祖先集団。11000年前には遺伝的に異なる3つの祖先集団(広西系、ホアビン系、福建系)がいた。New Findings Unveil a Missing Piece of Human Prehistory[中国科学院]
cf. cf. Tianyi Wang, Wei Wang, Guangmao Xie, Zhen Li, Xuechun Fan, Qingping Yang, Xichao Wu, Peng Cao, Yichen Liu, Ruowei Yang, Feng Liu, Qingyan Dai, Xiaotian Feng, Xiaohong Wu, Ling Qin, Fajun Li, Wanjing Ping, Lizhao Zhang, Ming Zhang, Yalin Liu, Xiaoshan Chen, Dongju Zhang, Zhenyu Zhou, Yun Wu, Hassan Shafiey, Xing Gao, Darren Curnoe, Xiaowei Mao, E. Andrew Bennett, Xueping Ji, Melinda A. Yang, Qiaomei Fu "Human population history at the crossroads of East and Southeast Asia since 11,000 years ago" Cell [Cell] - イラク
- ジーカール県(Dhi-Qar province)テル・ドゥハイラ(Tall Duhaila)で、紀元前2千年紀中ごろ〜前1千年紀の都市。古バビロニア時代だけでなく、鉄器時代にも人が居住。港の遺構も確認。[Kurdistan 24]
- イスラエル
- レヴァント回廊(Levant Corridor;Corredor Levantino)のネシェル・ラムラ遺跡(Nesher Ramla)で見つかった13万年前の人骨は新種のホモ属。
スペイン語 Un nuevo tipo de 'Homo' en el Corredor Levantino
英語 A new type of 'Homo' in the Levant Corridor[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
cf. Israel Hershkovitz, Hila May, Rachel Sarig, Ariel Pokhojaev, Dominique Grimaud-Hervé, Emiliano Bruner, Cinzia Fornai, Rolf Quam, Juan Luis Arsuaga, Viktoria A. Krenn, Maria Martinón-Torres, José María Bermúdez de Castro, Laura Martín-Francés, Viviane Slon, Lou Albessard-Ball, Amélie Vialet, Tim Schüler, Giorgio Manzi, Antonio Profico, Fabio Di Vincenzo, Gerhard W. Weber, Yossi Zaidner "A Middle Pleistocene Homo from Nesher Ramla, Israel" Science, Vol. 372, Issue 6549, pp. 1424-1428 [Science]
▼ネシェル・ラムラ遺跡関連記事→2021年2月4日 - クロアチア
- オシイェク(Osijek)の古代ローマ集落ムルサ(Mursa)で2008年に出土したアンフォラを分析。1世紀のローマ人はドレッセル6B様式(Dressel 6B)アンフォラに入れたオリーブ油を、1世紀にイタリア属州だったイストリア半島から輸入。2世紀以降はスペインのヒスパニア・バエティカ属州のアンフォラが大量に輸入される一方、ダルマチアでオリーブ油生産が始まる。
Pottery Shards in Croatia Reveal Roman Olive Oil and Military History[Olive Oil Times]
cf. Asja Tonc, Slavica Filipović "Only the Best Olive Oil, Please: On New Amphorae Finds From Mursa" EPHEMERIS NAPOCENSIS XXX/2020, 2021[Semantic Scholar] - ポルトガル
- メルガソ(Melgaço)のロンバ・ド・モウロ(Lomba do Mouro)で、紀元前2世紀の土塁で囲まれたローマ軍キャンプ。リモートセンシング技術で場所を特定し、光刺激ルミネッセンス(Optically Stimulated Luminescence;OSL)によって年代測定。
Experts discover camp used by 10,000 Roman soldiers sent to conquer Northwest Iberia[University of Exeter] - アンティグア・バーブーダ
- ネルソン造船所(Nelson’s Dockyard)の入り口近くにあるタンク湾(Tank Bay)で、18世紀の海軍仕様の船、全長40m以上。1762年のフランス商船ボーモン号(Beaumont)の可能性。ボーモン号はその後売却されてリヨン号(Lyon)と改名し、アメリカ独立戦争に使用された。そうであるなら、フランス東インド会社が建造した船の唯一の完存例の可能性。[Antigua Observer]
- メキシコ
- テオティワカン遺跡(Teotihuacán)の石柱の広場(Plaza de las Columnas)で、壁画などの遺物。350年ごろにマヤ文明のエリートがテオティワカンに居住していたことを示す。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[The Yucatan Times]
2021年6月24日(木)
- 宮城県
- 石巻市・宮城県慶長使節船ミュージアムの木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」を今年度中に解体する宮城県の計画に対し、市民団体らが6/23仙台地裁に提訴。[朝日新聞]
- 京都市
- 中京区の貴族邸宅の庭池跡で、人面墨書土器。鬼門(北東の方角)に魔除けを配する「鬼門除け」。太政大臣・藤原実頼が「小野宮」を再開発した際、敷地北東側に当たる庭池の景石そばに埋めたとみられる。[京都新聞]
▽(しつこく言いますが)墨で人面しか表現されていないという見立てなら、「墨書」ではなく「墨画」では?。 - 奈良県
- 奈良市・菅原遺跡(すがはらいせき)でみつかった行基の供養堂とみられる遺構では、中心の「円形建物」跡と四方を囲む回廊・塀の方位に約3度のずれ。建築時期に差があった可能性。[奈良新聞]
▼菅原遺跡関連記事→2021年5月20日 - 奈良県
- 桜井市・大神神社の若宮社の社殿に落書。社殿は鎌倉時代に建立され、1901年に国の重要文化財に登録。桜井署が文化財保護法違反の疑いで捜査。[朝日新聞]
- 岡山県
- 津雲貝塚(つくもかいづか)で出土した3000年前の成人男性(24号人骨)は、サメの攻撃による被害者。790か所のギザギザの傷を受けていた。紀元前1370年〜前1010年。攻撃を受けた時には生存。歯型の特徴と分布から見て、イタチザメ(tiger shark)またはホホジロザメ(white shark)による。サメの被害に遭ったヒトの最古の証拠。
3,000-year-old shark attack victim found by Oxford-led researchers[University of Oxford]
cf. J. Alyssa White, George H. Burgess, Masato Nakatsukasa, Mark J. Hudson, John Pouncett, Soichiro Kusaka, Minoru Yoneda, Yasuhiro Yamada, Rick J. Schulting "3000-year-old shark attack victim from Tsukumo shell-mound, Okayama, Japan" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103065 [ScienceDirect]
▼津雲貝塚関連記事→2016年12月27日 - 中国
- 河南省 開封市・州橋遺跡の構造と規模を確認。幅約50m。大運河のうち汴河をまたぐ。唐の建中年間に建てられ、五代、宋、金、元、明時代に使用されたが、1642年に洪水で埋まる。[新華社]
- 中国
- 関中地域(Guanzhong)の棗樹溝脳遺跡(Zaoshugounao)で出土した青銅器時代のニホンジカ(Cervus nippon;sika deer)の遺体を動物考古学的に分析。シカは長期的には減少しているものの、持続的な狩猟戦略がとられていたと推定。
cf. Yue Li, Chengrui Zhang, Honghai Chen, Zhen Wang and Yaopeng Qian (2021) Sika deer in Bronze Age Guanzhong: sustainable wildlife exploitation in ancient China?. Antiquity, Volume 95, Issue 382, August 2021, pp. 940 - 954. [Cambridge Core] - 中国
- 寧夏回族自治区 (Ningxia)で出土した新石器時代・仰韶文化(Yangshao culture)の彩陶(painted pottery)を分析。白色スリップはカオリン質粘土(kaolinitic clay)。表面の黒色装飾の主な着色剤(colourant)としてヤコブス鉱(jacobsite)を確認。仰韶文化の中心地と同様。
cf. Yu Li, Shuang Wu, Jian Yang "Multi-analytical investigation of decorative coatings on Neolithic Yangshao pottery from Ningxia, China (4000-3000 BCE)" Journal of the European Ceramic Society [ScienceDirect] - アルメニア
- アルメニア中部にあるハティス火山(Hatis)の黒曜石(obsidian)の露頭には、標高によって組成が変化する特徴があり、4種類の化学組成と、その分布を報告。ノルゲギ1遺跡(Nor Geghi 1)では、前期旧石器時代(Lower Palaeolithic)・42万年前〜30万年前の、ハティス火山産の黒曜石4種すべてを確認。
cf. Ellery Frahm, Kristine Martirosyan-Olshansky, Jenni E. Sherriff, Keith N. Wilkinson, Phil Glauberman, Yannick Raczynski-Henk, Boris Gasparyan, Daniel S. Adler "Geochemical changes in obsidian outcrops with elevation at Hatis volcano (Armenia) and corresponding Lower Palaeolithic artifacts from Nor Geghi 1" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103097 [ScienceDirect] - ロシア
- デニソワ洞窟(Денисова пещера;Denisova Cave)の更新世(Pleistocene)の堆積サンプル728試料のDNA分析。ヒトのミトコンドリアDNAで最古のものは中期旧石器時代(Middle Palaeolithic)初期・25万年前〜17万年前の石器を伴うデニソワ人。ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAは中期旧石器時代末に現れる。デニソワ人のミトコンドリアDNAには変化があり、伴う動物のミトコンドリアDNAの変化に対応していることから、デニソワ洞窟に複数回居住。後期旧石器時代の初頭・45000年前にホモサピエンスが登場するまで、デニソワ人とネアンデルタール人が繰り返し居住。
cf. Elena I. Zavala, Zenobia Jacobs, Benjamin Vernot, Michael V. Shunkov, Maxim B. Kozlikin, Anatoly P. Derevianko, Elena Essel, Cesare de Fillipo, Sarah Nagel, Julia Richter, Frédéric Romagné, Anna Schmidt, Bo Li, Kieran O’Gorman, Viviane Slon, Janet Kelso, Svante Pääbo, Richard G. Roberts & Matthias Meyer "Pleistocene sediment DNA reveals hominin and faunal turnovers at Denisova Cave" Nature (2021) [Nature] - ギリシャ
- ピリッポイ(Φἱλιπποι;Philippi)近くのディキリ・タシュ遺跡(Ντικιλί Τας;Dikilitaş;Dikili Tash)で、新石器時代・紀元前4200年のワイン造りの証拠。ヨーロッパ最古のワイン。[Egypt Today]
- クロアチア
- コルチュラ島(Korčula)の東側海底にある広く浅い部分は、新石器時代・紀元前4500年ごろの集落。狭い通路でコルチュラ島につながり、石づくりの壁で集落を囲む。[Reuters]
- イタリア
- ジャン・バッサン(Jean Bassand;1360年ごろ〜1445年)のミイラについて、外観検査、デジタルX線透視検査、CTスキャンを行い、両側ファベラ症候群(bilateral fabella)を確認。古人骨からファベラ症候群を発見した最初の例。
cf. Luca Ventura, Federico Bruno, Antonio Barile, Carlo Masciocchi "Bilateral fabella in the mummy of the Blessed Jean Bassand (c. 1360-1445). A unique description in ancient human remains" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library] - ポーランド
- ザビエルチェ郡(powiat zawierciański;Zawiercie County)のビシュニク洞窟(Jaskinia na Biśniku;Biśnik Cave)で見つかったシカの角は、後期旧石器時代(Upper Paleolithic)・27000年前のフリントを加工するハンマー。断層X線撮影を利用し使用痕を分析。
Tomography reveals fragment of deer antler found in cave was 27,000-year-old flint-snapping hammer[Nauka w Polsce] - ドイツ
- ベルリン(Berlin)のペトリプラッツ(Petriplatz)で出土した中世の人骨66体について、炭素(δ13C)と窒素(δ15N)の同位体分析により、食生活を復元。黒死病(Black Death)=ペストの流行(1347〜1352年)以前には、女性より男性の方が多くの動物性たんぱく質を摂取していたが、黒死病の後に、動物性たんぱく質の消費が男女ともに増加。
cf. Mariana E. Zechini, Kristina Killgrove, Claudia M. Melisch, Bethany L. Turner, Benjamin J. Schaefer "Diachronic changes in diet in medieval Berlin: Comparison of dietary isotopes from pre- and post-black death adults" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103064 [ScienceDirect]
2021年6月23日(水)
- 佐賀県
- 神埼郡吉野ヶ里町・西ノ田遺跡から出土した平安時代・9世紀前半の土師器の坏に、「天」を意味する則天文字の墨書。則天文字は中国で15年間だけ用いられた。[佐賀新聞]
▽記事に「唐の時代」とか「唐の則天武后」とか書いてあるが、武曌が皇帝として即位したことは記さない(在位年には触れる)。武曌の在位中の国号は唐ではなく周。 - 韓国
- ソウル市で見つかった下都監跡から出土した剣は、朝鮮時代後期・19世紀末の英国製の銃剣。下都監は、朝鮮時代の訓錬都監の一つ。[ヘラルド経済]
- イタリア
- シチリア自治州(Regione Siciliana) アグリジェント県(Provincia di Agrigento)の神殿の谷(Valle dei Templi;Valley of the Temples)で、ヘレニズム時代の劇場を発掘調査。周辺にさまざまな時代の建物跡。[ANSA]
▼神殿の谷関連記事→2015年12月1日 - ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)ゼンドリング(Sendling)で青銅器時代・3200年前〜3000年前の集落。土器片や獣骨など出土。[TZ]
- フランス
- イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France) ヴァル=ド=マルヌ県(Val-de-Marne)ヴィトリー=シュル=セーヌ (Vitry-sur-Seine)で、新石器時代・ドナウ文化(danubien)・7000年前の住居跡。[Le Parisien]
- USA
- ミシガン湖(Lake Michigan)の湖底で、10000年前の水中の環状列石(stone cicle)。当時はミシガン湖の水位が低かった。[Express]
- USA
- サウスカロライナ州(State of South Carolina)チャールストン(Charleston)のチャールストン大学(College of Charleston)のキャンパス内で、1853年の銅製の奴隷バッジが見つかる。奴隷バッジは18世紀から1865年まで使用された、チャールストンだけの制度。[Moultrie News]
2021年6月22日(火)
- 広島県
- 府中市・古代山陽道跡(八反田地区)で、東西方向の溝や井戸など。府中市教育委員会の確認調査。6/26現地説明会。
古代山陽道跡(八反田地区)の現地説明会を開催します[府中市] - ニューカレドニア
- 本島グランド・テール島(Grande Terre)のロシュ・モープラ(Roche Mauprat)近くで、幾何学文や具象文の線刻。メラネシアでは新たなタイプのロックアート ヨーロッパ的な人物像は一つだけなので、主要な線刻はヨーロッパ人との接触や植民地化よりも古い。
cf. Christophe Sand, David Baret, Jacques Bolé, André-John Ouetcho, Abraham Gagne "A New Melanesian Rock-Art Style: Figurative Engravings at Roche Mauprat, Arama Chiefdom, New Caledonia" Archaeology in Oceania [Wiley Online Library] - インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)ヴァラタナパリ(Varatanapalli)で、新石器時代(Neolithic)の石斧づくり工房。[The New Indian Express]
- イラン
- マーザンダラーン州(Ostān-e Māzandarān)サヴァド・クーフ郡(Savadkuh)のアルボルズ山脈(Alborz mountain)で、サーサーン朝(Sassanid)の火の神殿跡。イランの建築に特徴的なチャハルタック(chahartaq;chartaqi)構造。[Tehran Times]
- ポーランド
- ヴァルトスワフ(Wartosław)にある後期青銅器時代(Late Bronze Age)・ラウジッツ文化(Kultura łużycka;Lusatian culture)・紀元前1100年〜前900年の大型墓地で、金属加工に用いる道具が出土。金属加工に関連した人々の墓と推定。被葬者の火葬骨により、金属加工に従事した人々の社会組織を研究
cf. Łukasz Kowalski, Maciej Kaczmarek, Andrzej Krzyszowski, Andrzej Piotr Kowalski, Aldona Garbacz-Klempka, Małgorzata Szczepaniak, Dominik Ścibior, Adam Gaweł, Piotr Targowski, Łukasz Ćwikliński, Grażyna Szczepańska, Marta Wardas-Lasoń, Anna Wrzesińska, Małgorzata Perek-Nowak, Piotr Długosz "Fire walk with me: Looking through the Lusatian mass grave at Wartosław (Poland, 1100–900 BCE)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103090 [ScienceDirect] - ドイツ
- メクレンブルク=フォアポンメルン州(Mecklenburg-Vorpommern) バルト(Barth)のブライヒャーヴァル・ブライシャー通り(Bleicherwall-Bleicherstraße)で市壁の遺構。市壁の建設は1325年に許可された。[Ostsee-Zeitung]
- フランス
- ブルターニュ(Bretagne:Brittany)のスシニオ城(Château de Suscinio)の13世紀の舗道スシニオ1(Suscinio I)、14世紀の舗道スシニオ2(Suscinio 2)、アンジュー(Anjou)ブラン・シュル・アロンヌ(Brain-sur-Allonnes)の防御性のマナーハウスの14世紀の舗道の装飾タイルの釉薬を分析。鉛の供給に、単一場所からの供給と複数場所からの供給があり、複数地点からの供給では、産地として英国ダービーシャー(Derbyshire)が最も有力な供給元。
cf. Laetitia Métreau, Florence Cattin, Igor Maria Villa, Patrick André, Carmela Chateau-Smith "Lead provenance for medieval decorated tile glazes from Brittany and Anjou (13th-14th c.)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103037 [ScienceDirect] - UK(スコットランド)
- ブロックスマス丘塞(Broxmouth Hillfort)の円形住居の壁の間から骨製スプーンやゲームの駒、床からは使い古された砥石など。鉄器時代・2000年前にも不必要になったものを捨てられないジレンマ。[The Guardian]
cf. Lindsey Büster "‘Problematic stuff’: death, memory and the interpretation of cached objects" Antiquity, First View, pp. 1 - 13 [Cambridge Core]
▼イースト・ロジアン(East Lothian) - 大西洋
- 沈没船「メルセデス」(Mercedes)で、青銅製の大砲や、銀の食器、燭台など。1804年10月5日に英国海軍の攻撃でよって沈没し、2007年に米国の会社が発見。発見した会社は積み荷の硬貨だけが目当て。その後裁判でスペイン政府が裁判で権利を得る。硬貨以外は沈没船の中に取り残されていたため、国立水中考古学博物館(Museo Nacional de Arqueología Subacuática. ARQVA;The National Museum of Underwater Archaeology. ARQUA)が調査。[El País]
- スーダン
- ムウェイス遺跡(Muweis)で、メロエ帝国(Meroe empire)末期・3〜4世紀の鉄の溶解と鍛冶の証拠となる鉄滓や鉱石。鉄の製錬や鍛冶が溶解場と居住域の双方で行われた。
cf. Nadine Dieudonné-Glad, Marie Millet "Muweis, Sudan: Archaeometry of iron production at the end of Meroe Empire (2nd・4th centuries AD)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 102892 [ScienceDirect]
2021年6月21日(月)
- 東京都
- 足立区で、太平洋戦争で使われた旧日本陸軍の大砲「三式高射砲」の本体部分。[テレビ朝日]
- 京都市
- 上京区・北野天満宮で、太平洋戦争中に金属類回収令によって供出したとみられていた灯籠の飾り6つを、境内の建物「神楽殿」の床下で発見。供出後に返却され、保管していた可能性。[共同通信]
- 沖縄県
- 与那国町の自然地形を、日本テレビ系の「世界の果てまでイッテQ」が、6/20放送で海底遺跡として放送。放送直後から水中考古学者の山舩晃太郎氏が、誤りを指摘。[ガジェット通信]
- 中国
- 河南省(Henan) 義馬市(Yima)・上石河墓地(Shangshihe)の、春秋時代・紀元前771年〜前476年の虢国のさまざまな階層の墓について、副葬品と人骨を分析。異なる階層間では墳墓の大きさ、複雑さ、副葬品の価値に明らかな違い。炭素と窒素の同位体分析によると、2重棺、3重棺に葬られた人々は単棺で葬られた人々より動物由来の高たんぱくな食生活。年齢の高いものは栄養状態がよいが、性差は見られない。
cf. Yawei Zhou, Rongyu Fu, Lichao Zheng, Fei Yan, Qian Wang "Social Stratification during the Eastern Zhou Dynasty of China (771-476 BCE) –Mortuary and Stable Isotopic Analyses of the Shangshihe Cemetery" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]
▼上石河墓地関連記事→2019年4月2日
▼最近の虢国関連記事→2020年12月9日 - ジョージア
- シダ・カルトリ州(Shida Kartli)のアラデティス・オルゴラ遺跡(Aradetis Orgora)とドグラウリ墓地(Doghlauri)の青銅器時代(Bronze Age)の墳墓75基から出土した人骨を分析。初期青銅器時代・クラ・アラクセス文化(Kura-Araxes culture)の23基と、後期青銅器時代・ルチャシェン・ツィテルゴリ文化(Lchashen-Tsitelgori culture)の52基との間に、埋葬習慣の明らかな違い。初期青銅器時代では23基のうち13基が集団墓で、最大6人を埋葬し、男女とあらゆる年齢層を含むが、後期青銅器時代ではすべて単独の埋葬。
cf. Piera Allegra Rasia, Liana Bitadze, Elena Rova, Francesca Bertoldi "Bronze Age burials from Doghlauri (Georgia). Preliminary analysis of human remains reveals a change in burial customs" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 38, August 2021, 103048 [ScienceDirect]
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