2021年7月10日(土)
- 名古屋市
- 中川区の堀川で、刻印のある石材など。名古屋城築城の際に運ばれた石材とみられる。堀川が築城時に石材の運搬に用いられていたことを示す。文献では堀川の完成は名古屋城築城から1年後の1611年とされていた。名古屋市7/9発表。[読売新聞]
- 佐賀県
- 唐津市・唐津城下町跡にあたる町田川の護岸から江戸時代初期の石垣を確認。唐津城の石垣(1602〜1608年)と同じ造りで、城と城下町が同時進行で造られたことを裏付け。また、江戸時代の瓦質土管も出土。唐津市教育委員会7/9発表。[佐賀新聞]
- 高知県
- 南国市・野中廃寺で、新たに基壇を2基確認。計4基の基壇から塔、金堂、講堂、中門の配置が明らかとなり、東に塔、西に金堂がある法起寺式の伽藍配置に近い。県内の古代寺院で伽藍配置を特定できたのは初。講堂の基壇の東側には僧房跡とみられる柱穴跡。出土土器から、白鳳時代・7世紀後半の創建と判明。南国市教育委員会7/9発表。7/11現地説明会。[朝日新聞]
- イラク
- ジーカール県(Dhi Qar Governorate)スライビーヤ(Sulaibiyah)にある遺丘テル・デハイラ(Tell Dehaila)で、4000年前の集落。[Al-Monitor]
- ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)ジークマリンゲン郡(Landkreis Sigmaringen)ヘルバーティンゲン(Herbertingen)のホイネブルク(Heuneburg)で鉄器時代(Eisenzeit)の初期ケルト・紀元前7世紀〜前5世紀の大型墳丘墓(Großgrabhügel)。エリート層の女性の墓と判明。
Erste Ergebnisse zum Keltengrab von der Heuneburg[Archaeologie Online] - ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)ヴァルツフート=ティーンゲン(Waldshut-Tiengen)のティーンゲン城(Schloss Tiengen)で、礼拝堂の近くから16世紀半ば〜18世紀とみられるの墓と人骨。[Badische Zeitung]
- フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)エーヌ県(Aisne)アルシー=サント=レスティテュー(Arcy-Sainte-Restitue)で、古代の道路と建物跡。中世初期・メロヴィング朝の集落。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Une ville routière antique et altomédiévale à Arcy-Sainte-Restitue (Aisne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- エクセター(Exeter)のセント・レオナーズ(St Leonards)で、人骨12体。マグダレン・ハンセン病院(Magdalen Leper Hospital)が建っていた12世紀のものとみられる。[itv]
- UK(ウェールズ)
- ウェールズの初期中世の遺跡では、墓地と集落は空間的に分離されると考えられていたが、イングランドやヨーロッパ大陸では墓地は集落の中に組み込まれるようになる。ウェールズとアイルランドの同時期の遺跡を比較した結果、これらの土地でも葬送以外の活動が墳墓と共存しており、西ヨーロッパの社会変化の中に位置づけられる。遺跡の機能を「墳墓」「居住」「生産」などと類型化するのは不適切。
cf. Marion R. Shiner "BURIAL IN EARLY MEDIEVAL WALES: IDENTIFYING MULTIFUNCTIONAL CEMETERIES" Oxford Journal of Archaeology [Wiley Online Library] - 仏領海外県
- マルティニーク県(Martinique)のサン・ピエール(Saint-Pierre)で、8〜15世紀の先住民の墳墓6基。ポッサムの頭部を想起させる異形土器出土。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Des fouilles à Saint-Pierre bientôt terminées[Ministère de la Culture]
2021年7月9日(金)
- 北海道
- 上ノ国町・上之国館跡のうち洲崎館跡(すざきだてあと)で、毘沙門天像の懸仏。上ノ国町教育委員会の調査。[函館新聞]
- 島根県
- 松江市・田和山遺跡(たわやまいせき)と、安来市・月山富田城跡(がっさんとだじょうあと)で、大雨の影響により斜面が崩落。[山陰中央新報]
▼田和山遺跡関連記事→2020年2月1日
▼月山富田城跡関連記事→2018年12月6日 - 佐賀県
- 佐賀市・七ヶ瀬遺跡(しちがせいせき)で、弥生時代後期・1〜2世紀の墓251基。うち4基から中国製の鏡出土。佐賀市教育委員会の調査。[NHK]
- 中国
- 山西省 大同市 雲州区・墅城遺跡で、後期旧石器時代の遺跡。第1文化層は11000年前〜9000年前、第2文化層は30000年前〜28000年前。[中国新聞網]
- 台湾、フィリピン
- 台湾とフィリピン北部へのジャポニカ(O. sativa subsp. japonica)の伝播経路を、ゲノムや考古学・気象学的な証拠により復元。フィリピン北部のジャポニカは、インドネシア在来種から3500年前(BP)に分岐。台湾の山岳地帯の先住民が栽培するジャポニカは2種に分かれ、北東アジアから来た温帯ジャポニカと、フィリピン北部や東南アジア大陸部から来た熱帯ジャポニカの交雑によってできている。北東アジアの温帯ジャポニカからの分岐は2600年前(BP)、フィリピン北部から台湾への遺伝子流入は1300年前(BP)に起こっており、南シナ海の貿易が盛んだった時期に一致。
cf. Ornob Alam, Rafal M Gutaker, Cheng-chieh Wu, Karen A Hicks, Kyle Bocinsky, Cristina Cobo Castillo, Stephen Acabado, Dorian Fuller, Jade A d’Alpoim Guedes, Yue-ie Hsing, Michael D Purugganan "Genome analysis traces regional dispersal of rice in Taiwan and Southeast Asia" Molecular Biology and Evolution, msab209 [Oxford Academic] - カンボジア
- アンコール・トム(Angkor Thom)の西大門(Takao Gate)で、アスラ神(Asura)の頭部3個や、天使像など。アプサラ機構(Apsara National Authority)の調査。[Khmer Times]
- イタリア
- ソラローロ遺跡(Solarolo)で出土した青銅器時代・3600年前〜3450年前のイヌの糞石(coprolite)13個のDNA分析。ソラローロのイヌのマイクロバイオームは、現代のイヌにも継承されているが、野生のオオカミとの共通点もあり、両者の間の移行期とみなされる。ソラローロのイヌのマイクロバイオームでは、宿主のアミラーゼ遺伝子の不足を補い、農耕開始後の新たな食生活に適応。
cf. Simone Rampelli, Silvia Turroni, Florencia Debandi, Antton Alberdi, Stephanie L. Schnorr, Courtney A. Hofman, Alberto Taddia, Riccardo Helg, Elena Biagi, Patrizia Brigidi, Federica D'Amico, Maurizio Cattani, Marco Candela "The gut microbiome buffers dietary adaptation in Bronze Age domesticated dogs" iScience, Volume 24, Issue 8, 102816, August 20, 2021 [Cell] - ポーランド
- ルブリン(Lublin)で、第二次世界大戦中にナチスが建設した掩体壕(bunker)。ナチスとソヴィエト双方の弾丸が出土し、1944年の激戦のころ建設されたとみられる。[The First News]
- スペイン
- サラゴサ(Zaragoza;Saragossa)のビルビリス(Bilbilis)にあるローマ時代の2つの家屋の壁画の彩色と漆喰層を分析。用いられたすべての顔料はヒスパニア(Hispania)で典型的なもので、同じ工房で作られた。漆喰は砂と石灰を混合する伝統的な方法であるが、成分にはかなりの違いがある。
cf. Emilio José Cerrato, Lara Íñiguez, Daniel Cosano, Carmen Guiral, José Rafael Ruiz "Multi-analytical identification of a painting workshop at the Roman archaeological site of Bilbilis (Saragossa, Spain)" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 38, August 2021, 103108 [ScienceDirect] - USA
- サウスカロライナ州(State of South Carolina)のチャトゥーガ川(Chattooga River)で、250年前〜200年前の丸木舟。[The State]
2021年7月8日(木)
- 韓国
- ソウル・景福宮で、150年前の大型トイレ。長さ10.4m、幅1.4mの石造り。土壌中から寄生虫卵や種子を検出。景福宮は朝鮮王朝第一の宮闕。国立江華文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- ベトナム
- ゲアン省(Nghê An)クイホップ県(Quy Hop)Chau Ly社で銅製の壺や水注。水注は陳朝(Nhà Tran;Tran Dynasty;1225〜1400年)、壺は黎朝(Nhà Lê;Le dynasty;1428〜1527,1532〜1789年)・500年前。[VietnamPlus]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)の嘆きの壁(HaKothel HaMa'aravi;Western Wall;Al-Buraq Wall)近くで、第二神殿時代(Second Temple period)・20年ごろに建てられた重要な公共建築物。[Pittsburgh Jewish Chronicle]
- イスラエル
- カナーン(Canaan)のテル・ヤルムート遺跡(Tel Yarmuth)で出土した初期青銅器時代の櫛目文土器(Combed Ware)を分析。櫛目文はEB II期に都市化が進んでいなかった北カナーンと中央レヴァントに出現。EB III期には地域間の交易の発展に伴って南カナーンに、エジプト、ビュブロス、エブラとの海上でのつながりを背景に北レヴァントにそれぞれ拡大した。
cf. Pierre de Miroschedji "On Early Bronze Age Levantine combed vessels: the view from the south" Levant [Taylor & Francis Online] - タンザニア
- パンガニ川下流(Lower Pangani)のキャラバン滞留地跡の4遺跡で出土した動物遺体の動物考古学的分析。19世紀のキャラバン貿易の拡大が地域の動物経済に与えた影響は意外に小さかった。
cf. Thomas J. Biginagwa & Paul J. Lane "Local animal economies during the nineteenth-century caravan trade along the Lower Pangani, northeastern Tanzania: a zooarchaeological perspective" Azania: Archaeological Research in Africa [Taylor & Francis Online] - ガボン
- ングニエ州(Ngounié)イルング洞窟(la grotte d'Iroungou;Iroungou cave)で、14〜15世紀のさまざまな年齢の男女人骨28体以上。すべての成人は、早い段階で上の門歯を抜く。これにより顔の形が変わり、ある種の集団や地位を表示していたと思われる。鉄製品が出土し、数百マイルの距離を運ばれた銅製品も。
Burial pit in cave contains individuals that practised body modification[Heritage Daily]
cf. Sébastien Villotte, Sacha Kacki, Aurélien Mounier, Pascal Mora, Loic Espinasse, Jules Zamke Dempano, Christian Gerin, Quentin Meunier and Richard Oslisly "Mortuary behaviour and cultural practices in pre-colonial West Central Africa: new data from the Iroungou burial cave, Gabon" Antiquity, First View, pp. 1 - 7 [Cambridge Core]
▼イルング洞窟関連記事→2020年3月10日 - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)プエルト・デ・シサル(Puerto de Sisal)で2017年に発見された沈没船が、マヤ人の奴隷を運んだ蒸気船ラ・ウニオン(La Unión)であることを示す新たな証拠を発見。1861年に爆発・沈没したという史料に一致。付近でスペインの蒸気船アダリオ(Adalio)も発見。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[The Yucatan Times]
▼ラ・ウニオン関連記事→2020年9月16日
2021年7月7日(水)
- 宮城県
- 栗原市・源光遺跡で8世紀中ごろ〜9世紀前葉の竪穴建物跡4軒、掘立柱建物跡11棟。掘立柱建物跡は計画的に配置され4時期の変遷。竪穴建物跡には大型のものがあり、すべて火災により焼失。壁をおさえるための板材が炭化した状態で遺存。伊治城に勤務していた有力者の居宅と推定。栗原市教育委員会の調査。7/10現地説明会。
源光遺跡発掘調査現地説明会
源光遺跡発掘調査 現地説明会(PDF)[栗原市] - 韓国
- 公州・宋山里古墳群の百済武寧王陵に置かれていた木棺には底板がなく、墓の中で棺を組み立てた可能性。棺の蓋や側板は遺存がよく、腐敗に強いコウヤマキに漆を塗ったものであるのに、底板だけが跡形もなく腐敗するはずはなく、また、棺釘にも底板に該当するものがなかった。また、組み立てた状態の重い木棺を墓の中に持ち込むのは困難。金圭東・国立中央博物館未来戦略担当官の研究。[聯合ニュース]
- 中国
- 山東省 済南市で、元時代晩期の郭氏の家族墓12基。うち11基は塼にレリーフを施した壁画墓。1基は石室墓。[中国新聞網]
- 中国
- 浙江省 余姚市・井頭山遺跡で出土した2件の木器を覆う黒色の塗装は人為的な漆塗り。中国最古、8000年以上前の漆器。浙江省文物考古研究所の調査。井頭山遺跡は中国最古の貝塚。[中国新聞網]
cf. Kuanrong Zhai, Guoping Sun, Yunfei Zheng, Meng Wu, Bingjian Zhang, Longguan Zhu, Qi Hu "The earliest lacquerwares of China were discovered at Jingtoushan site in the Yangtze River Delta" Archaeometry [Wiley Online Library]
▼井頭山遺跡関連記事→2021年6月3日 - ブルガリア
- ブルガス州(Област Бургас;Oblast Burgas)ブルガス自治体(Бургас;Burgas)クライモリエ(Крайморие;Kraimorie)のチロザ岬(нос Чироза;Cape Chiroza)で、ヘレニズム時代・紀元前2世紀末〜前1世紀の見張り台や聖域。防御用の堀で囲む。在地のトラキア土器のほか、小アジアのペルガモンの土器を大量に出土。
ブルガリア語Археолози откриха наблюдателна кула и древно светилище от Елинистическата епоха край Бургас
英語 Archaeologists have discovered an observation tower and an ancient sanctuary from the Hellenistic era near Burgas[Регионален исторически музей Бургас] - クロアチア
- イストリア半島バデルナ(Baderna)のモンパデルノ(Mompaderno)で1883年に発見された頭蓋骨は、歯のコラーゲンのAMS年代で初期青銅器時代・紀元前2202年〜前1928年(cal BC)。生前に、銅斧によると思われる外傷と、これに関連した感染症によるとみられる骨髄炎(osteomyelitis)。個人間の暴力を示す最古の例。
cf. Giorgia Vincenti, Giacomo Vinci, Pier Francesco Fabbri, Claudio Tuniz, Fabio Marzaioli, Isabella Passariello, Deborah Arbulla, Federico Bernardini "Palaeopathological study of the Mompaderno cranium (Croatian Istria) reveals interpersonal violence during Early Bronze Age" Archaeometry [Wiley Online Library] - イタリア
- カンパーニャ州(Regione Campania)パエストゥム(Paestum)近くのポンテカニャーノ(Pontecagnano)にあるエトルリアの拠点から、紀元前4世紀の12歳程度の少年の墓。戦士の青銅製帯を着用。[ANSA]
▼カンパーニャ州(Regione Campania) サレルノ県(Provincia di Salerno) カパッチョ=ペストゥム(Capaccio Paestum) - オーストリア
- チロル州(Tirol)インスブルック(Innsbruck)のツォイクハウス地区(Zeughaus)で、ジル運河(Sillkanal)を発見。底で幅4m、上部で幅6〜7m。ジル運河は12世紀後半にさかのぼる、手工業に利用された運河であったが、第二次大戦後に戦災の瓦礫で埋め立てられる。[Tiroler Tageszeitung]
- エジプト
- ブハイラ県(Al-Beheira)のテル・コム・アジーザ(Tel Kom Aziza)で、グレコローマン時代(Greco-Roman)・紀元前3世紀〜紀元後1世紀の大規模な土器工房。製作工程ごとに区域を分け、工具も出土。[Egypt Today]
- アルゼンチン
- パンパ地域(Pampa)で出土した更新世/完新世の移行期・12000年前(cal BP)の5遺跡から出土した石器の付着物をラマン分光法 (Raman spectroscopy)で分析。過去の人類の講堂の痕跡を確認。獣骨を焼いたり、石器に樹脂を塗る、ヘマタイトの顔料を用いるなどの行為を確認。
cf. Gustavo F. Bonnat, Paula. M. Desimone, Gustavo A. Martínez, Diana L. Mazzanti "Raman spectroscopy study of ca 12.000 yrs cal BP lithic artifacts adhesions from archaeological sites in the Pampas region, Argentina" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 38, August 2021, 103101 [ScienceDirect]
2021年7月6日(火)
- 奈良県
- 山添村・毛原廃寺跡(けはらはいじあと)の主要建物から100m西に、仏堂とみられる建物跡。これまでに奈良時代・8世紀前半の南門や金堂の礎石などが見つかっていた。奈良県立橿原考古学研究所7/6発表。[共同通信]
毛原廃寺西方地区範囲確認調査報道発表資料(PDF)
▼奈良県山辺郡山添村
▼毛原廃寺跡関連記事→2016年7月26日 - 中国
- 長江下流域の河姆渡遺跡(Hemudu)で出土した中期新石器時代・7000年前の土器の中の残留物を分析。陸生脊椎動物の骨や、どんぐりを検出。骨とどんぐりのでんぷんを混合したものと判明。
cf. Wei Ge, Li Liu, Weijin Huang, Shuqin Tao, Xueliang Hou, Xijie Yin, Yuanfei Wu "Neolithic bone meal with acorn: analyses on crusts in pottery bowls from 7000 BP Hemudu, China" International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library] - イラン
- ラザヴィー・ホラーサーン州(Razavi Khorasan)キャラート郡(Kalat)で、青銅器時代からガージャール朝に至る遺物。[Tehran Times]
- イスラエル、パレスチナ
- 南レヴァント(southern Levant)の13遺跡から出土した紀元前1300年〜前586年の銀の小片ハックシルバー(Hacksilber)を同位体分析分析。大半はエーゲ海南部やバルカン半島(マケドニア、トラキア、イリュリア)に由来。サルデーニャやスペイン産のものも。後期青銅器時代の末にも、エーゲ海とレヴァントの銀取引は絶えず。青銅器時代と鉄器時代の移行期・紀元前1300年〜前1100年には銀が不足するが、銅の含有量を増して対応。
Scientists reconstruct Mediterranean silver trade, from Trojan War to Roman Republic[Heritage Daily] - ウクライナ
- ドニプロペトロウシク州(Дніпропетровська область;Dnipropetrovsk Oblast.)ノヴォオレクサンドリフカ村(Новоолександрівка;Novooleksandrivka)で、青銅器時代・5500年前〜5300年前のクルガン墓(kurgan)。巨石64枚を円形に配置(cromlech)。遺体の頭蓋骨には赤色顔料により彩色。[Euromaidan Press]
▼ノヴォオレクサンドリフカ関連記事→2021年5月15日 - ドイツ
- アインホルンヘーレ洞窟(Einhornhöhle)で、文様を線刻した51000年前のシカの骨。ネアンデルタール人によるものとみられる。ネアンデルタール人にも、ホモサピエンスにである以前から象徴的な描写の能力。[AFPBB]
中期旧石器時代
cf. Dirk Leder, Raphael Hermann, Matthias Hüls, Gabriele Russo, Philipp Hoelzmann, Ralf Nielbock, Utz Böhner, Jens Lehmann, Michael Meier, Antje Schwalb, Andrea Tröller-Reimer, Tim Koddenberg & Thomas Terberger "A 51,000-year-old engraved bone reveals Neanderthals’ capacity for symbolic behaviour" Nature Ecology & Evolution (2021) [Nature] - フランス
- ブルターニュ地域圏(Bretagne)フィニステール県(Finistère)コンカルノー(Concarneau)のケラオレック(Keraorec)で、新石器時代末〜青銅器時代初め・鐘状ビーカー文化(Culture campaniforme:Bell Beaker culture)・紀元前2500年〜前2000年の、建物4棟。平面アーモンド形の溝を基本とする建物。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[GEO]
Des habitats du Campaniforme à Concarneau, il y a plus de 4000 ans (Finistère)[国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)] - UK(イングランド
- バッキンガムシャー州(the county of Buckinghamshire)のミスボーン学校で、ローマ時代の人骨・獣骨や土器。[Bucks Free Press]
- USA
- ミシガン州(State of Michigan)マッキノー市(Mackinaw)・ミキリマキナック砦(Fort Michilimackinac)で、18世紀とみられるポケットナイフ出土。ミキリマキナック砦は1715年に建設され、1781年まで交易拠点として利用された。[UpNorthLive]
▼ミキリマキナック砦関連記事→2020年6月30日
2021年7月5日(月)
- 京都市
- 北区・御土居の一部が大雨の影響で崩落。[京都新聞]
- 鹿児島県
- 鹿児島市・鹿児島城で、大奥があったとされていた場所から中国製の磁器のかけらや柱の穴など。大奥の存在を裏付ける発見。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。[NHK]
- トルコ
- ビレジク県(Bilecik)バフチェリエヴレル(Bahçelievler)で、新石器時代・8500年前の人骨11体と、3つの孔が開いた楽器。コムギ、レンズマメ、オオムギ、カラスノエンドウなども出土。[Hürriyet Daily News]
- イタリア
- ティヴォリ(Tivoli)にある、ローマ帝国ハドリアヌス帝(Publius Aelius Traianus Hadrianus;76〜138年;在位117〜138年)の別荘のローマ時代の彫刻12点を同定。10点は、ハドリアヌス(Hadrian)、アンティノウス(Antinous)、コンモドゥス(Commodus)、カラカラ(Caracalla)、そしておそらくエラガバルス(Elagabalus)を表す。残り2点のうち1点は円形の頭飾り(Löckchentoupet)をもち、ハドリアヌスの家族か召使い。最後の1点はルーヴル美術館(Musée du Louvre)所蔵の頭部の唯一のレプリカで、これらは失われたヘレニズム彫刻のローマンコピーとみなされる。
cf. David Ojeda "Fragments of Roman Sculptures from Hadrian's Villa" American Journal of Archaeology, Vol. 125, No. 3 (July 2021), pp. 391-417 [JSTOR] - ポーランド
- ルブシュ県(Województwo lubuskie;Lubusz)ジャルィ郡(Powiat żarski;Żary County)トゥホラ・ジャルスカ(Tuchola Żarska)で、青銅器時代・ラウジッツ文化(Kultura łużycka;Lusatian culture)・紀元前1100年〜前700年の壺棺墓。内部に火葬骨。[The First News]
- UK(スコットランド)
- シェトランド諸島(Shetland)で、鉄器時代の人工島クラノグ(crannog)の伝統の一部とみられる30遺構を調査。うち4基は、少なくとも部分的には人工的。
cf. Michael J. Stratigos "ISLAND DWELLINGS AT 60° NORTH: NEW EVIDENCE FOR CRANNOGS IN IRON AGE SHETLAND" Oxford Journal of Archaeology [Wiley Online Library] - エジプト
- シナイ半島南部の聖カタリナ修道院(St. Catherine’s Monastery)の司祭が、蔵書の中から6世紀に書かれたヒポクラテス(Ἱπποκράτης;Hippocrates)による最古の処方箋を発見。[Greek Reporter]
2021年7月4日(日)
- 韓国
- 江原道で、伝統家屋など、木造文化財にシロアリの被害が拡大。気候の変化で、日本から来たシロアリの生息環境が広がっている。[KBS]
- 台湾
- 台南市・三寶埤5遺跡(Sanbaopi 5)で出土したアズキ(Vigna angularis)を直接に年代測定。烏山頭期(Wushantou phase)・紀元前1千年紀後半〜蔦松期(Niaosong phase)・紀元後6世紀にアズキを使用。新しいものほど大きく、6世紀のものはヤブツルアズキ(Vigna angularis var. nipponensis)を栽培化したアズキ(Vigna angularis var. angularis)になっている可能性。台湾が、アズキを独自に栽培化した地域の一つである可能性がある一方、アズキの栽培化はほかの地域よりかなり遅れていることから、栽培種のアズキが台湾海峡を越えて外部から用いこまれた可能性も。
cf. Christian Leipe, Jou-chun Lu, Ko-an Chi, Shu-min Lee, Hung-cheng Yang, Mayke Wagner, Pavel E. Tarasov "Evidence for cultivation and selection of azuki (Vigna angularis var. angularis) in prehistoric Taiwan sheds new light on its domestication history" Quaternary International [ScienceDirect] - イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のダビデの街(City of David)で鉄器時代・紀元前9世紀〜前8世紀の層から出土したサメの歯の化石を、ストロンチウムと酸素の同位体により分析。後期白亜紀(Late Cretaceous)のサメの歯の化石と判明。
cf. Thomas Tütken, Michael Weber, Irit Zohar, Hassan Helmy, Nicolas Bourgon, Omri Lernau, Klaus Peter Jochum and Guy Sisma-Ventura "Strontium and Oxygen Isotope Analyses Reveal Late Cretaceous Shark Teeth in Iron Age Strata in the Southern Levant" Frontiers in Ecology and Evolution [Frontiers] - トルコ
- ビレジク県(Bilecik)で8000年前の楽器。骨製で、3つの孔が開く。また、人骨11体、ヒトツブコムギ(einkorn wheat)、エンマーコムギ(gernik wheat)、パン、デュラムコムギ(durum wheat)、オオムギ、レンズマメ、カラスノエンドウ(black vetch)が出土。[Arkeonews]
- ベルギー
- エルスタル(Herstal)で調査された後期青銅器時代(Late Bronze Age)の火葬墓21基を分析。ストロンチウム同位体の分析によると、被葬者はムーズ川(la Meuse)流域を越えた幅広い地域の食糧を摂取しており、ドイツ、南オランダ、北西フランスからもたらされた青銅製品や土器の存在とも整合。同一の墓の中で放射性炭素年代の異なる人骨があり、2名(場合により3名)を埋葬。青銅交易にアクセスできる特権的な人物。
cf. Charlotte Sabaux, Barbara Veselka, Giacomo Capuzzo, Christophe Snoeck, Amanda Sengeløv, Marta Hlad, Eugène Warmenbol, Elisavet Stamataki, Mathieu Boudin, Rica Annaert, Sarah Dalle, Kevin Salesse, Vinciane Debaille, Dries Tys, Martine Vercauteren, Guy De Mulder "Multi-proxy analyses reveal regional cremation practices and social status at the Late Bronze Age site of Herstal, Belgium" Journal of Archaeological Science, Volume 132, August 2021, 105437 [ScienceDirect] - フランス
- ドゥー=セーヴル県(Deux-Sèvres)パルトネー(Parthenay)で400年前のアンリ4世(Henri IV)のドゥーブル・トゥルノワ硬貨(Double Tournois)。[Franceinfo]
▼ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏(Nouvelle-Aquitaine) - ポルトガル
- カステロ・ブランコ県(Distrito de Castelo Branco) ペナマコール(Penamacor)のコヴァン・ド・ウルソ(Covão do Urso)とミナ・ダ・プレサ(Mina da Presa)で、ローマ時代・1〜3世紀の金鉱の存在を確認。[The Portugal News (The Portugal News]
cf. Brais X. Currás and F. Javier Sánchez-Palencia "Landscape archaeology of Roman gold mining in Lusitania: the ‘Aurifer Tagus’ project" Antiquity, First View, pp. 1 - 10 [Cambridge Core]
2021年7月3日(土)
- 福岡県
- 大野城市・御供田遺跡(ごくでんいせき:第8次調査)で、弥生時代、飛鳥時代の遺構とともに、戦後の米軍板付基地の遺構。大野城市教育委員会7/1発表。[毎日新聞]
- インド
- オリッサ州(Odisha)バーレーシュワル県(Baleshwar;Balasore)レムナ(Remuna tehsil)のDurgadevi村で、銅石器時代・紀元前2000年〜前1000年、鉄器時代・紀元前1000年〜前400年、初期歴史時代・紀元前400年〜前200年の3つの時期の考古資料。[The Hindu]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)トゥーットゥックディ県(Thoothukudi)のシヴァガライ遺跡(Sivagalai)で、甕棺墓から完全な人骨出土。二次埋葬の確認例は多いが、一時埋葬の例が発掘されるのは稀。[Hindustan Times]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)イーロードゥ県(Erode District)のコドゥーマナル遺跡(Kodumanal)で、10m×10mの石造りの井戸のような遺構。南北に通路がついており、全長30m。[The Times of India]
▼コドゥーマナル遺跡関連記事→2020年6月19日 - インド
- テランガーナ州(Telangana State)ジョグランバ・ガドワル県(Jogulamba Gadwal)メディコンダ村(Medikonda)で旧石器時代・10000年前のロックアート。トラやヒト、そのほかの野生動物を彩色で描く。[Deccan Chronicle]
- クウェート
- ファイラカ島(Failaka Island)など、ペルシャ湾地域(Arabian Gulf;Persian Gulf)でエジプトのスカラベ(Scarab)が出土。エジプトの影響力やその文化の普及を物語る。
cf. El-Sayed Mahfouz, Sultan Al-Duweish, Ahmed Saied "Egyptian Scarabs Discovered on Kuwait’s Failaka Island and Similar Finds from the Gulf Region" Arabian Archaeology and Epigraphy [Wiley Online Library] - フランス
- ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏(Pays de la Loire) ロワール=アトランティック県(Loire-Atlantique)グランシャン=デ=フォンテーヌ (Grandchamps-des-Fontaines)とトレリエール(Treillères)で、第二次世界大戦(Seconde Guerre mondiale)当時のドイツ空軍(Luftwaffe)の送信所跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Vestiges d’une station de transmission de la Luftwaffe à Grandchamp-des-Fontaines et Treillères (Loire-Atlantique)[国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)] - UK(イングランド)
- ノーフォーク州(Norfolk)ゲイトン(Gayton)で出土した、ローマ時代の宝石を再利用した13〜14世紀の印章で、周囲に刻まれた判読不能の文字は、聖書の詩編(Psalm)の引用だった。[BBC]
▼ゲイトン関連記事→2021年5月15日 - UK(スコットランド)
- ダンフリーズ・アンド・ガロウェイ(Dumfries and Galloway)のカークーブリ(Kirkcudbright)にあるダンドレナン修道院(Dundrennan Abbey)にある13世紀の彫刻に、胸に短剣がささった修道院長の姿を表現。修道院長の足元には小さ目に表現された人物がおり、傷を負い、内臓が露出している。修道院長の暗殺事件を表している可能性。小さい人物は暗殺犯か。修道院は12世紀に設立。[The Scotsman]
- スーダン
- 中世ヌビア王国(Nubian kingdoms)での染色技術について59試料を光学分析。在地の繊維には、主な染料としてあかね、ホソバタイセイ(Isatis tinctoria)、ホザキモクセイソウ、ヘンナ(henna)などを使用。4世紀以降は在地の染色にタイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)を使用。ラック染料(Lac-dye)の大半は輸入した繊維に見られ、13世紀以前のヌビアでは使われていなかったとみられる。
cf. Magdalena M. Wozniak, Bartlomiej Witkowski, Monika Ganeczko, Tomasz Gierczak, Magdalena Biesaga "Textile dyeing in Medieval Sudan evidenced by HPLC-MS analyses: Material traces of a disappeared activity" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 38, August 2021, 103098 [ScienceDirect] - USA
- ミシシッピ州(Mississippi)スターク・ファームズ(Stark Farms)のネイティヴ・アメリカン(Native American)の遺跡でヨーロッパ起源の金属遺物が多数出土。スペインの冒険家エルナンド・デ・ソト(Hernando de Soto)の1540〜1541年の冬の探検の時に先住民チカソー人(Chickasaws)と接触し、もたらされた。チカソー人が再加工、使用した痕跡も見られる。
After routing de Soto, Chickasaws repurposed Spanish objects for everyday use[Florida Museum]
cf. Charles R. Cobb, James B. Legg, Steven D. Smith, Chester B. DePratter, Brad R. Lieb and Edmond A. Boudreaux III "The Remains of the Fray: Nascent Colonialism and Heterogeneous Hybridity" American Antiquity, First View, pp. 1 - 24 [Cambridge Core]
2021年7月2日(金)
- 栃木県
- 河内郡上三川町・城ノ内遺跡(じょうのうちいせき)で、古墳時代、奈良・平安時代の掘立柱建物跡や、多功城の外堀の可能性のある痕跡。公益財団法人とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センターの調査。7/10現地説明会。
城ノ内遺跡 発掘調査現地説明会のお知らせ (pdf)[公益財団法人とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センター]
城ノ内遺跡(上三川町)発掘調査現地説明会の開催について[栃木県]
▼城ノ内遺跡関連記事→2019年7月16日 - 石川県
- 野々市市・田尻ジッタ遺跡(たのしりじったいせき)で、鎌倉時代〜室町時代の農村集落跡や中国製の青磁や白磁、茶臼など。野々市市教育委員会の調査。7/3現地説明会。[中日新聞]
田尻ジッタ遺跡発掘調査現地説明会を開催します[野々市市] - 長野県
- 松本市・真光寺遺跡(しんこうじいせき)で、円墳を発見。横穴式石室と周溝を持つ。長野県埋蔵文化財センターの調査。[市民タイムスWEB]
- 韓国
- 京畿道 龍仁市 処仁区 南四面 亜谷里・処仁城で、高麗時代の軍需物資を貯蔵したとみられる建物跡と、軍粮米を納める貯蔵穴。処仁城がモンゴルに対する抵抗運動(対蒙抗争)の要衝の地であることを実証。[聯合ニュース]
- 韓国
- 忠清南道 扶余郡 草村面・鷹坪里の百済・600年ごろの横穴式石室墓が、盗掘されていない状態で発掘調査され、ヒトの頭蓋骨2個と金銅耳飾、木棺の材料など出土。石室は断面六角形で長さ220cm、幅110cm、高さ115cm。百済の泗沘都邑期の典型的な石室。墓道の堆積層から見て、追葬が行われたとみられる。国立扶余文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 韓国
- 全羅北道 長水郡 渓南面 砧谷里の烽燧台(のろし台)跡で、加耶時代・6世紀の木製集水施設、火の使用痕跡、土器などを発見。百済の山城に見られる集水施設に類似。[聯合ニュース]
▼砧谷里の烽燧台関連記事→2020年5月7日 - トルコ
- アドゥヤマン県(Adıyaman ili)のペッレ(Πέρρη;Perre)で、ビザンティン時代(Byzantine Empire)・1000年前の墓と人骨。[Daily Sabah]
▼古代都市ペッレ関連記事→2020年11月8日 - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)ルターシュタット・アイスレーベン(Lutherstadt Eisleben)のヘルフタ(Helfta)で、オットー朝・1000年前の4〜5歳程度の小児墓。石灰岩製の棺に納める。[Deutschlandradio]
- スペイン
- カディス県(Province of Cádiz)タリファ自治体(Tarifa)のファシナス村にあるパロマス4洞窟(Cueva de las Palomas IV)で、旧石器時代の手形(hand stencil)などの絵画を新たに発見。ジブラルタル海峡の近く。
cf. Diego Fernández-Sánchez, Hipólito Collado Giraldo, Eduardo Vijande Vila, Salvador Domínguez-Bella, Antonio Luque Rojas, Juan Jesús Cantillo Duarte, Hugo A. Mira, Salvador Escalona, José Ramos-Muñoz "A contribution to the debate about prehistoric rock art in southern Europe: New Palaeolithic motifs in Cueva de las Palomas IV, Facinas (Tarifa, Cádiz, Spain)" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 38, August 2021, 103086 [ScienceDirect] - UK(ウェールズ)
- ペンブロークシャー州(Pembrokeshire)のホワイトサンズ湾(Whitesands Bay)で、海岸近くの砂丘の下から初期キリスト教時代の墳墓と人骨。[WalesOnline]
2021年7月1日(木)
- 岩手県
- 野田村・平清水I・II遺跡(ひらしみず1・2いせき)で、縄文時代前期の竪穴住居。床に土器埋設炉を設ける。柱穴が重なっており、建替えをした可能性。岩手県埋蔵文化財センターの調査。[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター]
- 福島県
- 下郷町・栗林遺跡(くりばやしいせき)で、縄文時代中期中ごろから後期初めの竪穴住居跡約100軒、土坑約500基、土器埋設遺構約110基など。福島県教育委員会の調査。7/17現地説明会。
栗林遺跡(下郷町中妻字栗林)発掘調査現地公開のお知らせ[福島県文化振興財団]
▼福島県南会津郡下郷町
▼栗林遺跡関連記事→2018年10月12日 - 茨城県
- 茨城町・小鶴西遺跡(こづるにしいせき)で室町時代の堀跡。土器や、木箱に納めた埋納銭出土。公益財団法人茨城県教育財団の調査。7/21現地説明会。
令和3年度発掘調査現地説明会のお知らせ 小鶴西遺跡[発掘情報いばらき]
▼茨城県東茨城郡茨城町 - 韓国
- 慶尚南道 咸安郡・末伊山45号墳から2019年に出土した金銅透彫り製品は、阿羅加耶の双鳳文金銅冠。[ハンギョレ]
▼末伊山45号墳関連記事→2019年11月25日 - 中国
- 陝西省 西安市 長安区 斗門街道・張旺渠宋金遺跡で、灃河の変遷と、地震による液状化現象の痕跡。陝西省考古研究院の調査。[中国社会科学院考古研究所]
- イスラエル
- ヨルダン川流域のテル・ヤクシュ遺跡(Tel Yaqush)で出土した初期青銅器時代・紀元前4千年紀末の石製品は、幾何学文を刻んだ魔除けの円筒印章と推定。地元の専門工人による円筒印章を模倣したもの。
cf. Yael Rotem, Mark Iserlis, Ariel Rosenblum & Mitchell S. Rothman "A Late 4th millennium BCE cylinder-seal amulet from Tel Yaqush and its contribution to the understanding of EB I–II communities in the Central Jordan Valley" Levant [Taylor & Francis Online] - トルコ
- チャタル・ヒュユク遺跡(Çatalhöyük)の復元された新石器時代の建物内で、木や糞などバイオマス燃料(biomass fuels)を用いた燃焼実験を行い、微粒子PM2.5を測定。煙突などの換気設備がなく、居住スペースと炉などが合わさった単独の小部屋となっているため、中の人は危険なレベルの微粒子にさらされる。
Prehistoric homes would have failed modern air quality tests [Newcastle University]
木、糞、いずれを燃やした場合もWHOやEUの環境基準を超える。
cf. Lisa-Marie Shillito, Anil Namdeo, Aishwarya Vikram Bapat, Helen Mackay & Scott D. Haddow "Analysis of fine particulates from fuel burning in a reconstructed building at Çatalhöyük World Heritage Site, Turkey: assessing air pollution in prehistoric settled communities" Environmental Geochemistry and Health (2021) [SpringerLink] - トルコ
- チャタル・ヒュユク遺跡(Çatalhöyük)で出土した、同遺跡の中期・紀元前6700〜前6500年と後期・紀元前6500〜6300年の製粉具3点について、付着した微細な植物遺存体や、製粉具の使用痕を分析。穀物や野菜の栽培に基づく経済であるが、毒性の処理を要する塊茎植物や、野生のキビなど、多様な野生植物の調理も盛んだったと判明。
An archaeological study reveals new aspects related to plant processing in a Neolithic settlement in Turkey[Universitat Pompeu Fabra, Barcelona]
cf. Carlos G. Santiago-Marrero, Christina Tsoraki, Carla Lancelotti, Marco Madella "A microbotanical and microwear perspective to plant processing activities and foodways at Neolithic Çatalhöyük" PLoS ONE, 16(6): e0252312. [PLOS ONE] - トルコ
- ハタイ県(Hatay il)・テル・アトチャナ遺跡(Aççana Höyüğü;Tell Atchana)の古代都市アララハ(Alalah)で出土した人骨について、安定同位体とDNAを分析。遺伝子は非常に均質で、同位体から見ても地元出身が大半。ごくわずかに外部出身者。中期青銅器時代〜後期青銅器時代・紀元前2000年〜前12000年は遠距離間の接触で特徴づけられるが、ヒトの移動はさほどではなかった。
ドイツ語Wo sind die Migranten des ersten internationalen Zeitalters?
英語Where are the Foreigners of the First International Age?[ Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte)]
アララハはアマーク谷(Amuq)などを占めた後期青銅器時代のムキシュ王国(Mukish)の都。
cf. Tara Ingman, Stefanie Eisenmann, Eirini Skourtanioti, Murat Akar, Jana Ilgner, Guido Alberto Gnecchi Ruscone, Petrus le Roux, Rula Shafiq, Gunnar U. Neumann, Marcel Keller, Cäcilia Freund, Sara Marzo, Mary Lucas, Johannes Krause, Patrick Roberts, K. Aslıhan Yener, Philipp W. Stockhammer "Human mobility at Tell Atchana (Alalakh), Hatay, Turkey during the 2nd millennium BC: Integration of isotopic and genomic evidence" PLoS ONE 16(6): e0241883.[PLOS ONE] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France) ソンム県(Somme)クロワロー(Croixrault)で、ガリア時代の墓、古代の農地、中世の集落と7〜8世紀の墓。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
De la Villa antique au village médiéval de Croixrault (Somme)[国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)] - フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne) フィニステール県(Finistère) クロゾン (Crozon)のランダウデック遺跡(Landaoudec)で、新石器時代の巨石約70基を発見。[Le Télégramme]
- グアテマラ
- イサバル湖(Lago de Izabal;Lake Izabal)の堆積物に含まれる有機分子スタノール(stanol)からみて、3300年前(BP)以降の人口変化を調査。低地の都市イツァン(Itzan)のマヤ人の人口が、気候変動に応じて変化。紀元前1350〜前950年、90年〜280年、730年〜900年の3度の旱魃、紀元前400年〜前210年の過剰な多雨の双方の時期で、人口減少がみられる。イツァンには、考古資料で知られるより650年前から人が居住。また、干ばつや戦争によって放棄されたとみられていた800〜1000年にも、少数ながら居住が継続。スタノールは糞便に含まれる物質。考古資料から人口が多かったと推定される時期に堆積物中のスタノールが減る場合があり、糞尿を肥料に利用と推定。
Faecal records show Maya population affected by climate change[McGill University]
cf. Benjamin Keenan, Anic Imfeld, Kevin Johnston, Andy Breckenridge, Yves Gélinas, Peter M. J. Douglas "Molecular evidence for human population change associated with climate events in the Maya lowlands" Quaternary Science Reviews, Volume 258, 15 April 2021, 106904 [ScienceDirect] - ペルー
- セロ・バウル(Cerro Baúl)で調査された最古の醸造施設から出土したケロ容器(Kero)などの飲用器を分析し、飲酒儀式における消費を明らかに。中期ホライズン(Horizonte Medio;Middle Horizon)・600〜1000年のワリ帝国(Wari)において、飲酒が重要な役割。
cf. Patrick Ryan Williams, Donna J. Nash "Consuming Kero: Molle Beer and Wari social identity in Andean Peru" Journal of Anthropological Archaeology, Volume 63, September 2021, 101327 [ScienceDirect]
▼セロ・バウル遺跡関連記事→2019年4月19日
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