2020年12月10日(木)
- 新潟県
- 新潟県が、新潟県立歴史博物館、新潟県立図書館、新潟県立近代美術館、新潟県立万代島美術館など7施設前後の県営文教施設について民営化する方針。指定管理者制度を導入へ。[新潟日報]
- 静岡県
- 湖西市・湖西窯跡群で、7世紀中頃〜8世紀前半の窯跡4基と、土器を焼く際に排出された灰を捨てた灰原。湖西市の調査。1/17現地説明会。事前申込。
<参加者募集>「湖西窯跡群」発掘調査現地説明会[湖西市]
▼湖西窯跡関連記事→2020年9月9日 - 香川県
- 高松市・上道池東遺跡(かみみちいけひがしいせき)で、江戸時代後期の水田跡と耕作に使われた牛の足跡や、付近に窯跡が存在したことを示す飛鳥時代末の須恵器など。香川県埋蔵文化財センターの調査。1/23現地説明会。
上道池東遺跡の発掘調査現地説明会を開催します[香川県埋蔵文化財センター] - 沖縄県
- 那覇市・首里城正殿地区の東側に隣接する御内原北地区で、1999年度と2007年度の発掘調査で見つかった、14世紀後半の礎石と基壇のある建物跡が、首里城の最初の正殿だった可能性。[朝日新聞]
- 沖縄県
- 那覇市・首里城敷地内の旧日本軍第32軍司令部壕に関する有識者検討委員会の設置は、壕の保存・公開が前提と謝花喜一郎副知事が12/9沖縄県議会で明言。[沖縄タイムス]
▼第32軍司令部壕関連記事→2020年11月7日 - インド
- テランガーナ州(Telangana State)ナルゴンダ県(Nalgonda)アカラム村(Akaram)の太陽寺院(Surya Devalayam;Sun Temple)で、11世紀のVeera Vrataham(シヴァ神の帰依者)の像。[Telangana Today]
- イラン
- 西アーザルバーイジャーン州(Ostān-e Āzarbāyjān-e Gharbī;West Azarbaijan)ピーラーンシャフル(Piranshahr)のTappeh Gerdi-Gouranで、青銅器時代の遺物や堆積。[Tehran Times]
- ギリシャ
- レスボス島(Λέσβος;Lesvos)のアイイ・テオドリ城(Άγιοι Θεόδωροι;Agioi Theodoroi)=現地名オブリオカストロ(Οβριόκαστρο;Ovriokastro)で、紀元前7世紀のアーチを持つ建物1棟と、紀元前8〜前10世紀の建物2棟。古代アンティッサ(Ἄντισσα;Antissa)に相当する地点。後期青銅器時代(Late Bronze Age)・紀元前1600年〜前1100年からいわゆる暗黒時代(Dark Ages)・紀元前11世紀〜前9世紀の間の継続性を示す。アイイ・テオドリ城は1422年に初めて記録され、ヴェネツィア・トルコ戦争(1461〜1479年)の末期にオスマン朝によって破壊された。[Greek Reporter]
- イタリア
- アブルッツォ州(Regione Abruzzo)キエーティ(Chieti)のサン・ジュスティーノ広場(Piazza San Giustino)で、ローマ時代・1世紀の大理石製のウェヌス女神(Venus)の頭部出土。像はドイダルサス(Δοιδάλσης;Doidalsas)によるうずくまるアフロディーテ(Venere accovacciata;Crouching Venus)のコピーとみられる。[ANSA]
▼ドイダルサスは古代ギリシャ・紀元前3世紀のビテュニアの彫刻家。 - ハンガリー
- 新石器時代の遺跡55か所で出土したヒトの歯の試料718点について、ストロンチウムと酸素の安定同位体分析。新石器時代・紀元前6〜前5千年紀のヒトの移動パターンを分析。従来、スタルチェヴォ=ケレシュ=クリシュ文化(Starčevo-Körös-Criş)は、初期新石器時代にバルカン半島中央から北部に拡散し、ハンガリーの新石器時代の生活様式を形作ったとみられている。
cf. Margaux L. C. Depaermentier, Michael Kempf, Eszter Bánffy, Kurt W. Alt "Tracing mobility patterns through the 6th-5th millennia BC in the Carpathian Basin with strontium and oxygen stable isotope analyses" PLOS ONE. Published: December 9, 2020 [PLOS ONE] - スロバキア
- ポプラト郡(okres Poprad)ヤーノウツェ村(Jánovce)で、ケルトのブロンズ像。目を金で表す。遺跡ではラ・テーヌ文化(La Tène;Lathenian)とローマ時代(Roman Era)を中心に、遺物800点が出土した。スピシュ博物館(Múzeum Spiša;Spiš Museum)の調査。[The Slovak Spectator]
▼プレショウ県(Prešovský kraj;Prešov) - フランス
- ドルドーニュ県(Dordogne)のラ・フェラシ遺跡(La Ferrassie)で出土したネアンデルタール人(Neanderthal)の人骨を分析し、発掘ノートを分析することで、人骨と獣骨の空間分布を再解釈。人骨は解剖学的な配置をとどめ、獣骨よりも保存状態がよく、死亡後速やかに埋葬したとみられる。DNAからネアンデルタール人と確認。放射性炭素年代は41000年前。2歳程度のネアンデルタール人の子供を意図的に埋葬していたことを示す。
New evidence: Neandertals buried their dead[Centre National de la Recherche Scientifique]
cf. Antoine Balzeau, Alain Turq, Sahra Talamo, Camille Daujeard, Guillaume Guérin, Frido Welker, Isabelle Crevecoeur, Helen Fewlass, Jean-Jacques Hublin, Christelle Lahaye, Bruno Maureille, Matthias Meyer, Catherine Schwab & Asier Gómez-Olivencia "Pluridisciplinary evidence for burial for the La Ferrassie 8 Neandertal child" Scientific Reports. volume 10, Article number: 21230 (2020) [Scientific Reports] - スペイン
- バレンシア州(Comunitat Valenciana)アリカンテ県(Provincia de Alicante)グアルダマール・デル・セグラ(Guardamar del Segura)にあるカベソ・ペケーニョ・デル・エスターニョ遺跡(Cabezo Pequeño del Estaño)で、岩盤に彫りこんだ大規模な防御用の堀。深さ3m、幅8m。フェニキア・紀元前9世紀〜前8世紀の遺跡。フェニキア人の拡大の時に大きな役割を果たす。
Arqueólogos de la Universidad de Alicante y del Museo Arqueológico de Guardamar del Segura localizan el foso defensivo del yacimiento fenicio Cabezo Pequeño del Estaño[Universidad de Alicante] - UK(イングランド)
- ニューフォレスト(New Forest)で、テューダー朝(Tudor)・15〜16世紀の硬貨。ヘンリー8世の3人の妻キャサリン・オブ・アラゴン (Catherine of Aragon)、アン・ブーリン(Anne Boleyn)、ジェーン・シーモア(Jane Seymour)のイニシャルを記す硬貨64枚。[The Guardian]
▼ハンプシャー州(the county of Hampshire) - UK(イングランド)
- グロスターシャー州(the county of Gloucestershire)コッツウォルズ(Cotswolds)のチェッドワース(Chedworth)にあるローマ時代の邸宅チェッドワース・ローマン・ヴィラ(Chedworth Roman Villa)から、5世紀中ごろのモザイク。ローマ撤退後の暗黒時代も、急速に衰退したわけではなかったことを示す。[The Guardian]
▼チェッドワース・ローマン・ヴィラ関連記事→2019年7月22日
2020年12月9日(水)
- 奈良県
- 橿原市・慈明寺遺跡(じみょうじいせき)で、2つの大きな穴から、石包丁の原材料となる流紋岩の剥片約200点。石包丁の製作工房があった可能性。慈明寺遺跡は弥生時代前期の環濠集落跡。藤原京右京五条九坊にも当たり、藤原京時代の条坊制に伴う道路側溝も。周辺に家を建てた跡はなく、本来は宅地として利用されるはずの場所が空き地だったとみられる。奈良県立橿原考古学研究所12/9発表。12/12現地公開。[産経新聞]
- 中国
- 山西省 運城市 垣曲県 英言郷・北白鵝墓地で、周時代・春秋早期の高級貴族の墓9基。銘文の入った銅器50点近く出土。虢国に関する銘文を鋳出す。山西省考古研究院の調査。[中国新聞網]
▼虢国関連記事→2019年4月2日 - 中国
- 湖北省 荊門市・屈家嶺遺跡で、5600年前〜5300年前の炭化したアワの粒33個。長江中流域では最古のアワ工作の証拠。湖北省文物考古研究所の調査。[新華社]
▼屈家嶺遺跡関連記事→2017年10月15日 - ベトナム
- ハティン省(Ha Tinh)Nghi Xuan県 Xuan Hong社で隋〜唐時代・1400年前の漢人の磚室墓。[VietNamNet]
- インド
- インド西北部の、インダス文明(Indus civilisation)の土器の遺存物を分析。ミルク、肉、植物を消費。都市と農村の食生活には違いがなく、都市の衰退後も土器の使用法は継続。
cf. Akshyeta Suryanarayan, Miriam Cubas, Oliver E. Craig, Carl P. Heron, Vasant S. Shinde, Ravindra N. Singh, Tamsin C. O'Connell, Cameron A. Petrie "Lipid residues in pottery from the Indus Civilisation in northwest India" Journal of Archaeological Science. Volume 125 [ScienceDirect] - トルコ
- ゾングルダク県(Zonguldak il)フィリオス(Filyos)にある古代都市ティエイオン(Τιεῖον;Tieion)で、ルーン文字(Runic alphabet)の銘文。黒海沿岸で最古の銘文。また、ドーリア式の石材。紀元前7世紀のギリシャ人よりも以前にドーリア式の神殿があり、フリュギア人(Phrygians)がいたことを示す。[Anadolu Ajansı]
▼ゾングルダク県(Zonguldak il)チャイジュマ郡(Çaycuma)フィリオス(Filyos)
2020年12月8日(火)
- 岐阜県
- 揖斐郡大野町・笹山古墳が、岐阜県内最古級の古墳と判明。前方後方墳で、後方部と周濠が従来の想定より大きい。大野町教育委員会の調査。12/20現地説明会。
笹山古墳発掘調査 現地説明会のお知らせ[大野町] - 九州
- 九州7県の戦争遺跡のうち、各県教育委員会により全容把握のための調査が行われているのは福岡県と宮崎県のみで、ほかは未実施。明確な定義がなく、戦争に対する市民感情も複雑。行政が踏み込みにくい一方で、民間研究者が調査をリードしている。[西日本新聞]
- 鹿児島県
- 西之表市・長迫遺跡(ながさこいせき)と二石遺跡(ふたついしいせき)で、縄文時代早期の勾玉型をした装身具などの石製品。石製装身具として国内最古級。西之表市教育委員会12/8発表。[共同通信]
- 韓国
- 忠清南道 扶余・扶蘇山城で、「乙巳年三月十五日牟尸山菊作」の銘文土器。「乙巳年」は土器の製作年代645年を指すと推定。百済〜統一新羅の瓦積基壇の建物跡や、集水施設なども確認。器台、宝珠形蓋、鍔付土器など出土。百済・泗沘都邑期の王宮と推定される遺跡。国立扶余文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 浙江省 衢州市 衢江区 雲渓郷 孟姜村で、西周時代の「百越」の高い地位の人物の土墩墓。
浙江衢州発現西周時期“百越”高等級墓葬群[中国社会科学院考古研究所] - イラン
- タフレシュ(Tafresh)で、巨大な地下都市の入り口とみられる遺構。[Tehran Times]
2020年12月7日(月)
- 熊本市
- 北区・塚園古墳群に含まれる円墳2基が私有地で見つかり、土地所有者の理解によって古墳の破壊をやめて保存。私費で墳丘と周囲に芝生を植えて整備。[熊本日日新聞]
- 韓国
- 忠清北道 沃川郡 青城面 山桂里・已城山城(イソンさんじょう)(第2次調査)の南城壁、西城壁の付近から円形土壙を多数確認。下部が広がる円錐形で、穀物貯蔵穴とみられる。同様の貯蔵穴は百済の遺跡に多いが、新羅では少ない。土器は新羅のものばかりが出土。三国史記では、炤知麻立干8年(486年)に三年山城と屈山城を改築したとあるが、已城山城が屈山城に当たる可能性。[聯合ニュース]
▼已城山城関連記事→2020年6月22日 - 韓国
- 全羅南道 康津郡 沙堂里・康津高麗青磁窯跡で官庁跡、選別場、工房跡など。[聯合ニュース]
▼康津高麗青磁窯跡関連記事→2019年11月6日 - 韓国
- 慶州市・チョクセム44号積石木槨墓で、碁石200点と、タマムシの羽を用いた金銅装飾など、新羅の女性の豪華な装身具。国立慶州文化財研究所の調査。[韓国歴史文化新聞]
- 中国
- 江西省 高安市 上湖郷で旧石器時代の開地遺跡。石製品5000点出土。江西省で正式に発掘された旧石器時代の開地遺跡は初。[中国新聞網]
- ヨルダン
- 古代のゲラサ(Gerasa)で出土したローマ時代の大理石彫刻について産地推定と超音波による状態調査。4点はギリシャ、タソス島(Θάσος;Thasos Island)の苦灰質大理石(dolomitic marble)、1点はトルコ、マルマラ島(Marmara Adası)のプロコネソス(Προκόννησος;Proconnesus)の大理石。
cf. Abdelraheem Ahmad & Khaled Al-Bashaireh "Provenance Determination and Condition Assessment of Archaeological Marble Statues from Gerasa Using Non-Destructive Ultrasonic Technique" Studies in Conservation [Wiley Online Library] - トルコ
- イズミル県(İzmir il)フォチャ(Foça)沖のエーゲ海(Aegean)の水深55mで、18世紀の戦艦。鉄や銅の大砲20門や多数の砲弾、木材、食器などを発見。フォチャはオスマン帝国の重要な海軍基地だった。[Hürriyet Daily News]
2020年12月6日(日)
- 東京都
- 八王子市・八王子城跡で、北条氏照の館があった「御主殿(ごしゅでん)」の建物跡でいろりのような痕跡。「湯屋」か台所の可能性。建物内部から火縄銃の弾や銅銭「永楽通宝」。八王子市教育委員会の調査。[東京新聞]
▼八王子城跡関連記事→2020年11月26日 - バーレーンとクウェート
- バーレーン(Bahrain)と、クウェート(Kuwait)のファイラカ島(Failaka)で出土したディルムン文化(Dilmun)の印章18例に、船の表現。1本マストの帆船を表し、バビロニアの史料で「ディルムン船」として言及されてた長距離航海用の船に当たる。ディルムンの船の船首に見られる2本の角や大きな顎をもつものは、バビロニアのティアマト(Tiamat)に当たる。
cf. Steffen Terp Laursen "Dilmun boats on seals, horned figureheads, and the serpent/dragon slaying myth, c. 2050–1500 BC" Arabian Archaeology and Epigraphy [Wiley Online Library] - UK(イングランド)
- ハートフォードシャー州(the county of Hertfordshire)ビショップス・ストートフォード(Bishop's Stortford)のウィッティントン・ウェイ(Whittington Way)で、青銅時代とローマ時代の墓。[BBC]
2020年12月5日(土)
- 京都府
- 木津川市・恭仁宮跡(くにきゅうせき;第101次調査)の南東隅で、朝堂院のものとみられる柱穴。朝堂院の四隅が判明し、全体規模が東西117m、南北98mと確定。京都府教育委員会12/4発表。[京都新聞]
恭仁宮跡第101次発掘調査を実施しました[京都府教育委員会] - 岡山県
- 津山市・翁橋(おきなばし)の路面の下に舗装れんが。1926年に建設された鉄筋コンクリート製。[朝日新聞]
- 歯の人類学
- 日本では明治時代から小金井良精をはじめとする人類学者がむし歯や抜歯風習の研究を始めていた。昭和に藤田恒太郎が歯の解剖学を確立。門下生の一人埴原和郎がモンゴロイド・デンタル・コンプレックスを発表。続く世代が日本人の成立過程やアジアにおける人の移動に関する仮説などを出す。1990年には歯の人類学は最盛期を迎える。日本における歯の人類学は、2000年以降研究者が減っているが、刃の持つ情報は無限。
cf. 金澤英作「日本における歯の人類学史」Anthropological Science (Japanese Series) [J-STAGE] - 韓国
- 慶尚南道 統営市 ・八千谷古墳群で、多槨式の加耶古墳。封土に2〜3基の石槨を設け、墳丘の径17mに至る。5世紀末〜6世紀初めに南海岸で活躍した小伽耶の地域勢力。八千谷古墳群は統営で唯一の高塚古墳群。[慶南ニューストゥデイ]
- 中国
- チベット自治区(西藏;Tibet) ガリ地区(阿里;Ali) ツァンダ県(札達;Zanda)・桑達隆果墓地で、チベット高原では初の木俑。新疆やトゥルファンで出土する木俑と同じ形態。紀元前300年ごろから紀元後600年ごろまでの遺跡。[新華社]
- キプロス
- ハラ・スルターン・テケ(Hala Sultan Tekke)で、青銅器時代・3500年前の集団墓地。紀元前1350年ごろのギリシャの土器、バビロニア・紀元前1800年〜前1600年の楔形文字の印章や、古代エジプトのネフェルティティのころのヒエログリフ入りスカラベが出土。地中海貿易において重要な役割を果たしたことを示す。
スウェーデン語3500 år gammal kultplats med massbegravningar upptäckt
英語3,500-year-old place of worship with mass burials discovered[Göteborgs universitet] - イタリア
- カルタニッセッタ県(Caltanissetta)ジェーラ(Gela)のフェデリコ2世通り(Federico II)で、紀元前7世紀ごろの火葬遺構。人骨や炭化物が出土。紀元前8世紀にさかのぼる可能性も。ジェーラは紀元前689/688年に古代ギリシャ人が建設した植民市。[ArcheoMedia]
▼シチリア州(Regione Sicilia) - フランス
- ノルマンディー地域圏(Normandie)セーヌ=マリティーム県(Seine-Maritime)クロワ=マール(Croix-Mare)で、ガロ=ローマ時代・1〜2世紀の集落と壺棺火葬墓。中世前期(haut Moyen Âge)・メロヴィング朝〜カロリング朝・7〜8世紀の集落跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Occupations de l'époque gallo-romaine et du haut Moyen Âge à Croix-Mare (Seine-Maritime)[国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)] - スペイン
- イベリア半島で出土した果実や種子の年代測定。紀元前1千年紀初めに果樹栽培始まる。地域によって過程が異なっており、速やかに受容して地中海の貿易に供した地域もあれば、紀元前1千年紀末になってようやく果樹栽培が発展した地域も。果樹の管理には技術革新と投資を要し、複数年先を予想しなければならず、果樹栽培の受け入れは、社会の複雑化プロセスの一部。
cf. Guillem Pérez-Jordà, Leonor Peña-Chocarro, Salvador Pardo-Gordó "Fruits arriving to the west. Introduction of cultivated fruits in the Iberian Peninsula" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 35, February 2021, 102683 2020z05 [ScienceDirect] - ブラジル
- アクレ州(Estado de Acre)南部で、1300年〜1700年のマウンド状の村落が、時計の文字盤のように配置。主要な村落から、土手で挟まれた道路が放射状に延び、それぞれの村落に連なる。当時の社会組織を反映した配置とみられる。リモートセンシング技術により確認。
[University of Exeter]
cf. Jose Iriarte, Mark Robinson, Jonas de Souza, Antonia Damasceno, Franciele da Silva, Francisco Nakahara, Alceu Ranzi, Luiz Aragao "Geometry by Design: Contribution of Lidar to the Understanding of Settlement Patterns of the Mound Villages in SW Amazonia" Journal of Computer Applications in Archaeology, 3(1), pp.151–169. [CAA Journal of Computer Applications in Archaeology]
2020年12月4日(金)
- 新潟県
- 南魚沼市・金屋遺跡(かなやいせき)で、平安時代のものとみられる鉄製の馬具(轡)。鍛冶道具の一部や役人が身に付ける石帯、緑釉陶器も出土。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団の調査。[新潟日報]
- 石川県
- 金沢市・金沢城で、御殿の柱を支えた基礎部分のほか、排水施設や石室、くぐり抜け階段などを確認。石川県金沢城調査研究所の調査。12/5説明会。[北國新聞]
- 石川県
- 羽咋市・柳田シャコデ廃寺跡(やないだしゃこではいじあと)で、寺を囲む回廊や門だった可能性がある柱の跡。寺の東西の幅90m。講堂や金堂の位置も推定。羽咋市教育委員会の調査。12/5説明会。[北國新聞]
▼柳田シャコデ廃寺跡関連記事→2018年11月27日 - 山梨県
- 甲州市・千手院前遺跡で、縄文時代の集落跡。甲州市教育委員会の調査。12/19現地説明会。9:30、11:00各回定員60人、電話申し込み。
千手院前遺跡現地説明会のお知らせ[甲州市] - 長野県
- 飯田市・恒川官衙遺跡(ごんがかんがいせき)で、古代伊那郡衙の奈良・平安時代の正倉と考えられる礎石建物3棟、掘立柱建物2棟。飯田市教育委員会の調査。12/19現地見学会。
史跡恒川官衙遺跡の発掘調査現地見学会を開催します[飯田市]
▼恒川官衙遺跡関連記事→2019年6月10日 - 沖縄県
- 琉球列島への台湾からのヒトの渡来を研究するため衛星画像で漂流ブイ138基の経路を分析。海流が変わらないこの地域で、黒潮を越えて琉球列島にたどり着くのは困難。琉球列島への旧石器時代・35000年前〜3000年前の移動は意図的な選択によるもので、偶発的な漂流の産物ではない。
Ancient migration was choice, not chance[東京大学]
旧石器時代の島嶼部への移動は、技術の発展を背景に意図的に行われた。
cf. Yousuke Kaifu, Tien-Hsia Kuo, Yoshimi Kubota & Sen Jan "Palaeolithic voyage for invisible islands beyond the horizon" Scientific Reports. volume 10, Article number: 19785 (2020) [Scientific Reports] - ミャンマー
- オアカイエ遺跡(Oakaie)とニャウンガン遺跡(Nyaung’gan)で出土した半貴石ビーズを分析。後期新石器時代〜中期青銅器時代・紀元前2千年紀後半〜前1千年紀前半にこれらの地域で半貴石ビーズを生産していた。
cf. Cloé Georjon, U. Aung Aung Kyaw, Daw Tin Tin Win, Daw Thu Thu Win, Baptiste Pradier, Anna Willis, Peter Petchey, Yoshiyuki Iizuka, Eric Gonthier, Jacques Pelegrin, Bérénice Bellina, T. O. Pryce "Late Neolithic to Early-Mid Bronze Age semi-precious stone bead production and consumption at Oakaie and Nyaung’gan in central-northern Myanmar" Archaeological Research in Asia. Volume 25. [ScienceDirect] - トルコ
- デュズジェ県(Düzce ili)の古代都市プルシアス・アド・ヒュピウム(Prusias ad Hypium)の劇場跡の発掘が進展し、古代後期の舞台背後の壁スカエナエ・フロンス(scaenae frons)を発見。また、劇場内に4世紀の小児墓。[Daily Sabah]
▼プルシアス・アド・ヒュピウム関連記事→2020年12月2日 - ブルガリア
- ヴィディン市(Видин;Vidin)タルニャネ(Търняне;Tarnyane)で、中世・第二次ブルガリア帝国(Второ българско царство;Second Bulgarian Empire)を含む11〜14世紀の集落と、初期青銅器時代(Early Bronze Age)・紀元前3千年紀の集落。
Unknown medieval settlement from Second Bulgarian Empire, Bronze Age settlement discovered near Danube city Vidin [Archaeology in Bulgaria] - フランス
- ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏(Bourgogne-Franche-Comté)ソーヌ=エ=ロワール県(Saône-et-Loire)オータン(Autun)で、ニコラ・ロラン(Nicolas Rolin)の墓を発見。ブルゴーニュ公フィリップ3世善良公(Philippe le Bon)の宰相。[Franceinfo]
- フランス
- カステラール(Castellar)のパンディムン岩陰遺跡(Pendimoun)で出土した新石器時代(Neolithic)・インプレッサ・カルディウム複合(Impresso-Cardial complex)の土器の遺存物を化学分析。大半は動物の調理に使用。動物性脂肪、植物製品、蜜蝋を検出したが、土器の容積と内容物に相関がみられ、器種の使い分けがあったと推定。乳製品はほとんど存在しない。酪農は主要な活動ではなかった。
cf. Léa Drieu, Alexandre Lucquin, Laura Cassard, Sabine Sorin, Oliver E. Craig, Didier Binder, Martine Regert "A Neolithic without dairy? Chemical evidence from the content of ceramics from the Pendimoun rock-shelter (Castellar, France, 5750–5150 BCE)" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 35. [ScienceDirect] - UK(イングランド)
- サフォーク州(the county of Suffolk)モンクス・エリー(Monks Eleigh)で鉄器時代/ローマ時代・2000年前の農地と環濠集落。生活用の粗製土器のほか、高位の人物が用いるサミアン土器(Samian ware)なども出土。Border Archaeologyの調査。
[Suffolk Heritage Explorer] - USA
- カリフォルニア州(State of California)サンディエゴ(San Diego)のセルッティ・マストドン遺跡(Cerutti Mastodon site)で、13万年前にヒトが石器でマストドン象を解体した証拠として2017年に報告された石材を調査。2個の石材には、骨の遺存物が付着しているほか、強い打撃を受けていることが判明。マストドン象の骨をヒトが礫を用いて割った可能性。アメリカ大陸の最初の人類の証拠か。
Two stones fuel debate over when America’s first settlers arrived[ScienceNews]
cf. Luc Bordes, Elspeth Hayes, Richard Fullagar, Tom Deméré (2020) Raman and optical microscopy of bone micro-residues on cobbles from the Cerutti mastodon site. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 34, Part B [ScienceDirect] - メキシコ
- インディゴ(indigo)やパリゴルスカイト(palygorskite)から作られるマヤ・ブルー(Maya Blue)を分析。アステカ以外で用いられたパリゴルスカイトはユカタン半島産。アステカで用いられたものは未知の産地のもの。
cf. M. Sánchez del Río, J. García‐Rivas, M. Suárez, E. García‐Romero "Crystal‐chemical and diffraction analyses of Maya Blue suggesting a different provenance of the palygorskite found in Aztec pigments" Archaeometry [Wiley Online Library]
2020年12月3日(木)
- 愛知県
- 豊橋市・吉田城址(よしだじょうし)で、本丸外郭部分から、池田輝政が城主だった時代に築かれた高石垣。豊橋市文化財センター12/2発表。[東愛知新聞]
吉田城址で、池田輝政期の石垣が新たに発見されました![豊橋市文化財センター] - 福岡県
- 小倉藩主細川家が1632年に国産ワインの醸造を命じていた史料を発見。従来、最古の日本産ワイン醸造期間は1627〜1630年と考えられてきた。醸造を命じた小倉藩主細川忠利は1632年12月に肥後藩に国替えとなっており、これが葡萄酒醸造中止の直接的契機となったことがうかがえる。熊本大学永青文庫研究センターの研究。
細川家による葡萄酒製造の下限を示す寛永9年(1632)8月の史料を新たに発見
細川家による葡萄酒製造の下限を示す寛永9年(1632)8月の史料を新たに発見(pdf)[熊本大学] - 韓国
- 京畿道 議政府市 緑楊洞 で、青銅器時代の遺跡と推定される立石を新たに確認。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶尚南道 金海市・鳳凰洞遺跡の南側で、加耶時代・4〜5世紀の鳳凰土城の内壁と外壁を調査。韓和文物研究院の調査。[聯合ニュース]
▼鳳凰土城関連記事→2019年8月26日 - 韓国
- 慶尚南道 昌原市・内洞貝塚の毀損に関連して、文化財庁が2014年に内洞貝塚の保存管理をEランクと判定し、慶尚南道や昌原市に伝達していたが、昌原市は指摘を無視。[慶南道民日報]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼内洞貝塚関連記事→2020年11月11日 - 中国
- 内モンゴル自治区 シリンゴル盟(錫林郭勒盟) ソニド右旗(蘇尼特右旗)・吉呼郎図匈奴墓群で2基を完掘し、構造や出土品などから後漢前期・1世紀ごろと確認。陰山山脈以北の草原地帯で初めて発見された匈奴墓群。[新華社]
- 中国
- 海南省 万寧の神州半島で、湾仔頭先史遺跡を新たに発見。石斧、砥石、紡錘車など出土。海南省博物館の調査。[中国新聞網]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)カッラックリッチ郡(Kallakurichi)サンカラプラム(Sankarapuram)Mookanur村で、運河に隣接してチョーラ朝(Chola dynasty)・1260年に記された、王Vanenja Perumalana Vanakovarayanによる、運河にかかわる銘文。[The New Indian Express]
- イタリア
- モリーゼ州(Regione Molise) ヴェナフロ(Venafro)の平原で、ローマ時代の邸宅跡。建築の技法からみて、共和政期末〜帝政期初めごろに建設。4世紀末〜5世紀初めサンニオ(Sannio)の総督をつとめたマエキウス・フェリクス(Maecius Felix)の印章が出土したことなどからみてローマ帝政期末・4世紀〜5世紀初めまで居住。廃絶後は墓として利用し、古代末〜中世初期の埋葬4基。[isNews]
▼モリーゼ州(Regione Molise) イゼルニア県(Provincia di Isernia) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ケルン(Köln)でローマ時代(Römerzeit)・4世紀の赤色砂岩製の石棺(Sarkophag)。[Westfälische Nachrichten]
- UK(イングランド)
- ノーサンプトンシャー州(the county of Northamptonshire)コービー(Corby)のプライヤーズ・ホール・パーク(Priors Hall Park)で、ローマ時代の邸宅に隣接して石造りの神殿。ローマ時代のケルト人の神殿をタイル工房として再利用。Oxford Archaeologyの調査。
BUILDING A ROMAN VILLA[Current Archaeology] - マリ、セネガル
- 西アフリカ、マリのドゥル・ボロ遺跡(Dourou-Boro)とサディア遺跡(Sadia)、セネガルのジュトゥバヤ遺跡(Djoutoubaya)で出土した中世・7〜13世紀のガラスビーズ16個を分析。ガラスはエジプト、レヴァント海岸、中東で生産。世界的な交易網が西アフリカに及んでいたことを示す。
African trade routes sketched out by mediaeval beads[L'Université de Genève]
cf. Miriam Truffa Giachet, Bernard Gratuze, Anne Mayor, Eric Huysecom "Compositional and provenance study of glass beads from archaeological sites in Mali and Senegal at the time of the first Sahelian states" PLoS ONE 15(12): e0242027. [PLOS ONE]
2020年12月2日(水)
- 新潟県
- 村上市・上野遺跡(かみのいせき)から、縄文時代後期前葉の火葬された人骨。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団の調査。[新潟日報]
- 三重県
- 名張市・丈六寺に侵入し仏像2体と厨子を窃取した疑いで、大阪市西成区の無職男を逮捕。また、男から盗品を買い受けた大阪府八尾市の古美術商を逮捕。[時事通信]
- 中国
- 海岱地区(Haidai region)の官橋村南遺跡の新石器時代・北辛文化(Beixin Culture)・紀元前4340年〜前3970年の考古植物学的研究。建築や精巧な土器などを持つ文化であるが、農耕に依存するのではなく、狩猟・採集・栽培を経済基盤とする。東アジアの新石器文化の拡散は確立された農業生産の拡散によるとする仮説への反証。
cf. Guiyun Jin, Songtao Chen, Hui Li, Xianjun Fan, Aiguo Yang and Steven Mithen (2020) The Beixin Culture: archaeobotanical evidence for a population dispersal of Neolithic hunter-gatherer-cultivators in northern China. Antiquity, Volume 94, Issue 378, December 2020 , pp. 1426-1443 [Cambridge Core] - 中国
- チベット中部のバンガ遺跡(Bangga;紀元前1055年〜前211年)で、3000年前にすでに安定したオオムギ中心の農耕。従来説より1000年さかのぼる。従来、3500年前〜3000年前にはアワ、オオムギ、コムギを組み合わせた農耕が行われ、1800年前にはオオムギが主流になっていることがわかっていたが、間が空白だった。
Agropastoralists in Central Tibet Chose a Barley-Based Farming System by 3,000 Years Ago[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
cf. Li Tang, Hongliang Lu, Jixiang Song, Shargan Wangdue, Xinzhou Chen, Zhengwei Zhang, Xinyi Liu, Nicole Boivin, Robert N. Spengler III "The transition to a barley-dominant cultivation system in Tibet: First millennium BC archaeobotanical evidence from Bangga" Journal of Anthropological Archaeology. Volume 61 [ScienceDirect] - オマーン
- ムサンダム特別行政区(Musandam)ディバー・アル=バイア(Dibbā al-Bayah)の集団墓LCG-1で、後期青銅器時代〜初期鉄器時代の墓で、エラム(Elam)やカッシート(Kassite)など、長距離交易の証拠。珍しい品を入手したのみならず、異文化の知識を蓄積してきた。
cf. Dennys Frenez, Francesco Genchi, Hélène David-Cuny and Sultan Al-Bakri (2021) The Early Iron Age collective tomb LCG-1 at Dibbā al-Bayah, Oman: long-distance exchange and cross-cultural interaction. Antiquity, Volume 95, Issue 379, February 2021, pp. 104 - 124 [Cambridge Core] - イスラエル
- バニアス遺跡(Banias)で、ローマ時代・1800年前〜1700年前のギリシャのパン神(Πάν;Pan)やゼウス神(Ζεύς;Zeus)に捧げる祭壇。ビザンティン時代・7世紀の教会の壁に再利用。[Haaretz]
▼バニアス遺跡関連記事→2020年10月28日 - トルコ
- アンタルヤ県(Antalya il)アランヤ郡(Alanya)セキ(Seki)にある古代都市シエドラ(Σύεδρα;Syedra)で、鉄器時代・紀元前9世紀、ヘレニズム時代、ローマ時代、ビザンティン時代、セルジューク諸王朝の遺物。[Hürriyet Daily News]
- トルコ
- デュズジェ県(Düzce ili)の古代都市プルシアス・アド・ヒュピウム(Prusias ad Hypium)で、1〜2世紀の怪獣メドゥサ(Μέδουσα;Medusa)の頭部像。[Hürriyet Daily News]
▼デュズジェ県(Düzce ili)アイナル村(Aynalı)
▼プルシアス・アド・ヒュピウム関連記事→2016年8月19日 - ロシア
- ウラル南部のドン川沿岸で、紀元前4世紀のスキタイの戦士の墓。直径50m、高さ3m。[Archaeology News Network]
- ギリシャ
- ペロポネソス半島(Πελοπόννησος;Peloponnesos)のイリア県(Ηλεία;Ilia)で、クラシック時代・紀元前4世紀末からヘレニズム時代・紀元前2世紀の墳墓8基。古代都市エリス(Ἦλις;Elis)の西の墓地の一部。[Tornos News]
- ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)のバルト海(Ostsee;Baltic Sea)ゲルティング湾(Geltinger Bucht;Gelting Bay)の海底から、第二次世界大戦(Zweiter Weltkrieg)当時のエニグマ暗号器(Enigma-Verschlüsselungsmaschine)。ゲルティング湾では1945年5月に、連合国への引き渡しを避けるために50隻のUボートが沈められたが、エニグマ暗号器はそれらのUボートに搭載されていたものの可能性。世界自然保護基金WWFの環境保護活動中に発見。[TZ]
- ベルギー
- フラームス=ブラバント州(Vlaams-Brabant;Brabant flamand)のフラベーク(Glabbeek)で、後期ローマ時代〜初期中世の工芸地域。窯15基を発見。フラベークの歴史の空白を埋める。[7sur7]
- フランス
- ブルターニュ地域圏(Bretagne;Brittany)フィニステール県(Finistère)カレ=プルゲール(Carhaix-Plouguer)のGoasseac'hで、中期新石器時代の、複数の墓室を持つロング・ケルン(long cairn)。長さ90m、幅10・15m。床面の炭化物の放射性炭素年代は5334±24BP。ブルターニュ地方の内陸部に当たる。従来、中期新石器時代は海岸中心に墳墓が分布し、後期新石器時代に逆転すると考えられていた。
cf. Florian Cousseau, John Nicholls and Marie Besse (2020) Discovery of a multi-chambered long cairn at Goasseac'h, Carhaix-Plouguer, central Brittany, France, Antiquity, Volume 94, Issue 378, December 2020, e31 [Cambridge Core] - 北海
- 北海(North Sea)南部で、8150年前に北海(North Sea)で起こったストレッガ津波(Storegga tsunami)の証拠を初めて確認。ストレッガ津波によって北海のかつての陸地ドッガーランド(Doggerland)の中石器時代(Mesolithic)の人々に壊滅的な影響を与えたとする定説に再考促す。
cf. James Walker, Vincent Gaffney, Simon Fitch, Merle Muru, Andrew Fraser, Martin Bates and Richard Bates "A great wave: the Storegga tsunami and the end of Doggerland?" Antiquity, Volume 94, Issue 378, December 2020, pp. 1409 - 1425 [Cambridge Core]
▼ドッガーランド関連記事→2020年11月30日 - ブラジル
- アクレ州(Estado de Acre)で、10000年前(cal BP)にさかのぼる人為的な灰や炭化物の堆積を確認。炭素同位体δ13Cからみても、完新世(Holocene)の気候や植生に大きな変化はない。炭化物の存在を森林火災によるとしアマゾンに乾燥した気候の証拠とする仮説は成り立たない。
cf. Martti Pärssinen, William Balée, Alceu Ranzi and Antonia Barbosa "The geoglyph sites of Acre, Brazil: 10 000-year-old land-use practices and climate change in Amazonia" Antiquity, Volume 94, Issue 378, December 2020, pp. 1538 - 1556 [Cambridge Core]
2020年12月1日(火)
- 韓国
- ソウル市 松坡区・風納土城の西側城壁で、城壁の築造方法が判明。垂直な木柱を並べて土塁を積み上げる。百済・漢城都邑期(紀元前18年〜後475年)の都城。国立江華文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 南東ヨーロッパ
- ドナウ川流域の5遺跡で出土した中石器時代(Mesolithic)〜新石器時代(Neolithic)移行期・紀元前9100年〜前5500年(cal BC)の人骨81体の歯石(dental calculus)を分析。初期新石器時代・紀元前6000年ごろから農作物を栽培。新石器文化と農耕を受け入れたのちも、在地の食生活や文化の伝統も残る。
cf. Jelena Jovanović, Robert C. Power, Camille de Becdelièvre, Gwenaëlle Goude, Sofija Stefanović "Microbotanical evidence for the spread of cereal use during the Mesolithic-Neolithic transition in the Southeastern Europe (Danube Gorges): Data from dental calculus analysis" Journal of Archaeological Science. Volume 125 [ScienceDirect] - ブルガリア
- シリストラ(Силистра;Silistra)で、古代都市ドゥロストルム(Durostorum)=中世都市ドルスタル(Дръстър;Drastar)の城外から、ビザンティン皇帝ユスティニアヌス1世(Justinianus I;Justinian I;在位527〜565年)の治世・6世紀の巨大な窯。レンガやタイルなど建材を作る。
Huge 6th century ad industrial kiln for construction materials found in Bulgaria’s Danube city Silistra, linked to Byzantine emperor Justinian I [Archaeology in Bulgaria] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)パ=ド=カレー県(Pas-de-Calais) テルアンヌ(Thérouanne)で墳墓の中から2基の埋葬室。モリニ族(Morini;Morins)の都。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Sépultures antiques monumentales à Thérouanne (Pas-de-Calais)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- タラゴナ県(Tarragona)カラフェル(Calafell)のコバ・フォラダダ遺跡(Cova Foradada)で出土した後期新石器時代〜銅石器時代・5060年前〜4400年前(cal. BP)の成人男性の頭蓋骨への外傷を分析。右の頭頂に死亡直前の外傷。まっすぐで鋭い刃物による傷。石斧(adze)によって右手で打撃を加えられた。
cf. Miguel Ángel Moreno-Ibáñez, Palmira Saladié, Juan I. Morales, Artur Cebrià, Josep Maria Fullola "Was it an axe or an adze? A cranial trauma case study from the Late Neolithic – Chalcolithic site of Cova Foradada (Calafell, Spain)" International Journal of Paleopathology. Volume 32, Pages 23-30 [ScienceDirect] - UK(スコットランド)
- アバディーンシャー州(Aberdeenshire)アバディーン(Aberdeen)のブリッジ・オブ・ドン(Bridge of Don)の砂浜で、棺と女性の遺体。17世紀〜19世紀初頭か。難破船の乗組員かと思われたが、女性と判明し謎深まる。AOC Archaeology Groupの調査。[The Scotsman]
- ヨーロッパ
- 氷河時代のヨーロッパに見られる、いわゆるヴィーナス像(Venus)は、氷河から近い地域ほど、遠い地域に比べて肥満の度合いが大きい。人類は、温暖化した48000年前、オーリニャック文化(Aurignacian)とともにヨーロッパに進出したが、その後寒冷化。ヴィーナス像の時期は、栄養上のストレスが極端だった時期に対応。困難な時代のヒトにとって理想の体型を象徴か。従来は豊穣や美の象徴と考えられてきた。
CU Anschutz Researcher Offers New Theory on `Venus’ Figurines[University of Colorado Anschutz Medical Campus]
cf. Richard J. Johnson, Miguel A. Lanaspa, John W. Fox "Upper Paleolithic Figurines Showing Women with Obesity may Represent Survival Symbols of Climatic Change" Obesity [Wiley Online Library] - USA
- メリーランド州(State of Maryland)ドーチェスター郡(Dorchester County)で、ハリエット・タブマン(Harriet Tubman)の出生地の手がかりを調査。黒人の奴隷指導者。[WBAL]
- 水中考古学
- 2021年〜2030年の「国連海洋科学の10年」(United Nations Decade of Ocean Sciences for Sustainable Development)について、水中考古学者と海洋科学者の協力が必要。
Underwater archaeologists and marine scientists cooperate to advance the UN Decade of Ocean Sciences[UNESCO]
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