考古学のおやつ/NEWSLINK

2021年12月31日（金）

フランス領ポリネシア（マルケサス諸島）: ウア・フカ島（Ua Huka）のハネ砂丘遺跡（Hane Dune）で出土したヒザラガイ（chiton；Acanthopleura gemmata）を分析。950年に居住を開始してから300年間、集中的に消費し、突然枯渇。かわってカサガイ（limpet；Cellana radiata）の消費が増加。従来の研究方法では、種の同定が不十分だった。
cf. Gabrielle Traversat, Guillaume Molle, Eric Conte & Bernard Salvat (2021) An archaeomalacological investigation of chitons on the Hane Dune site, Ua Huka, Marquesas Islands. The Journal of Island and Coastal Archaeology [Taylor & Francis Online]
トルコ: チェシュメ（Çeşme）のチェシュメ・バアラララス遺跡（Çeşme-Bağlararası）で、後期青銅器時代・3600年前にサントリーニ島（Σαντορίνη；Santorini）のテラ火山（Thera Volcano）の噴火がもたらした火山灰や、津波の痕跡、津波の犠牲になった若い男性とイヌの遺体。[Phys.Org]
cf. Vasıf Şahoğlu, Johannes H. Sterba, Timor Katz, Ümit Çayır, Ümit Gündoğan, Natalia Tyuleneva, İrfan Tuğcu, Max Bichler, Hayat Erkanal, and Beverly N. Goodman-Tchernov (2022) Volcanic ash, victims, and tsunami debris from the Late Bronze Age Thera eruption discovered at Çeşme-Bağlararası (Turkey). Proceedings of the National Academy of Sciences, January 4, 2022 119 (1) e2114213118 [PNAS]
オスマン帝国: オスマン帝国において、第一次世界大戦中、当初は発掘調査が放棄されるなどした一方、交戦国が発掘に従事し、文化財の保護や評価も促し、戦争の道具の一つとなった。
cf. Ceren ABİ (2021) Soldiers, Scholars, and the Public: Archaeology During the First World War in the Ottoman Empire. TARE: Türk Arkeoloji ve Kültürel Miras Enstitüsü Dergisi, 173-197 [DergiPark]
イタリア: アブルッツォ州（Regione Abruzzo）ラクイラ県（Provincia dell'Aquila；AQ）バッレーア（Barrea）とキエーティ県（Provincia di Chieti；CH）トッレブルーナ（Torrebruna）で出土した、紀元前6世紀のサムニウムの青銅製の鎧の、心臓を保護する部品（cuirass discs）について分析。錫を高い濃度で含む青銅で脆く、高度な製作技術を要した。
cf. Cristina Riccucci, Gabriel Maria Ingo, Marianna Pascucci, Maria Paola Staccioli, Maria Isabella Pierigè, Monica Albini (2021) Micro-structural and micro-chemical investigation of Samnite high-tin bronze cuirass discs: ancient metallurgy in central Italy. Microchemical Journal [ScienceDirect]
スイス: アールガウ州（Kanton Aargau）ヴォーレン（Wohlen）で、英国の鉛製の封印（Bleiplombe）。紋章から見てロンドンの南海会社（South Sea Company）のもの。ヴォーレンに南洋会社と取引した人物がいた可能性。南海会社は1711年に設立され、1853年に解散した。奴隷貿易や捕鯨などを行っていた。[Aargauer Zeitung]
ポーランド: ポモージェ県（Województwo pomorskie）オストロヴィテ（Ostrowite）で、11世紀末～12世紀初めの男性の墓から琥珀の指輪、青銅の鉢、青銅金具のついた革の鞘に納めた鉄製ナイフ。キリスト教徒の墓に多い東西主軸。地域の有力者の墓と推定。[PolskieRadio24]
▼ポモージェ県（Województwo pomorskie）ホイニツェ郡（powiat chojnicki；Chojnice County）ホイニツェ（gmina Chojnice）
スペイン: 前195年のエンポリオンの戦い（Batalla de Emporion）の遺跡を発見。2万人のローマ軍と4万人のイベリア人の戦争。[ara]
アルゼンチン: フエゴ島（Isla Grande de Tierra del Fuego）の大西洋岸にあるカボ・サン・パブロ2017遺跡（Cabo San Pablo 2017）で出土した植物の果実や種子を分析。海岸地域での狩猟採集民による植物利用の手がかり。
cf. Anna Franch Bach, Marian Berihuete-Azorín, Aylen Capparelli & M. Estela Mansur (2021) Use of plants by hunter-gatherers at coastal sites: The case of Cabo San Pablo 2017 (Tierra Del Fuego, Argentina). The Journal of Island and Coastal Archaeology [Taylor & Francis Online]
授賞: 浜松市北区・川山遺跡の現地調査や出土石器から当時の様子を推察した、中学生3人の研究が、第65回全国学芸サイエンスコンクールの中学生サイエンスの部で文部科学大臣賞を受けた。[静岡新聞]
▼川山遺跡は2024年1月1日から浜松市浜名区

2021年12月30日（木）

川崎市: 麻生区・早野上ノ原遺跡（はやのうえのはらいせき：第6次調査）で、縄文時代・4500年前の集石遺構や、弥生時代・1800年前の竪穴住居跡など。川崎市教育委員会の調査。1/15現地見学会。[東京新聞]
京都市: 南区・西寺跡の北僧坊は、東寺のそれとほぼ同じ位置。京都市の調査。[毎日新聞]
▼西寺跡関連記事→2021年12月22日
韓国: 全羅北道長水郡渓南面三峰里の烽火（のろし）跡で、加耶・6世紀の山城を確認。嶺南地域の加耶の山城と立地、形態、築造方法が類似し、加耶土器も出土。加耶滅亡後、6世紀後半に新羅が山城を掌握し、集水施設を作る。[聯合ニュース]
中国: 天津市東麗区・軍粮城遺跡で、唐時代の版築基壇と、製塩工房。文献に記載する「三会海口」に当たる。陶磁器など多数出土。[中国社会科学院考古研究所]
中国: 山西省太原市小店区東峰村で、明代の藩王・晋の端王朱知烊の陵園。南北294m、東西158m。端王と王妃の合葬墓、継紀先の墓、夫人の墓が配置され、うち、端王の合葬墓は南北24m、東西8m。親王の陵園の規制を越えた規模。[中国新聞網]
中国: 河南省三門峡市で戦国時代早期の墳墓260基。編鍾など大量の副葬品出土。[新華社]
中国: 南昌市・前漢海昏侯劉賀墓で出土した5200枚の簡牘の中に、「国除証書」発見。前漢時代の国除証書が見つかるのは初。劉賀の死亡時点が「九月乙巳死」とあり、太初暦に照らして紀元前59年9月8日人死亡したことが明らかに。このほか、漢書に記載されない情報が見つかる。[中国新聞網]
▼前漢海昏侯劉賀墓関連記事→2021年12月2日
ギリシャ: コリントス（Κόρινθος；Corinth）のヒリオモディ村（Χιλιομόδι；Chiliomodi）で、青銅器時代・前3千年紀の集落や、ローマ帝国・ウェスパシアヌス帝（Vespasianus）のころの浴場。 [Greek Reporter]
イタリア: ルッカ県（Provincia di Lucca）のガッタイオーラ（Gattaiola）で、共和制ローマ（Roman Republic）・紀元前2世紀前半の鍛冶工房。[La Nazione]
▼トスカーナ州（Regione Toscana；Tuscany）
ドイツ: バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）クニットリンゲン（Knittlingen）にあるメロヴィング朝の墓地で、騎士の遺体とともに、首を斬られたウマの遺体。[Zenger]
ノルウェー: オスロ（Oslo）の中世公園（Middelalderparken）で、中世のルーン文字を刻んだ獣骨1点と、ラテン文字、ルーン文字の双方が刻まれた木片1点。オスロでルーン文字が刻まれた骨は初出土。ノルウェー文化遺産局（NIKU：Norsk institutt for kulturminneforskning）の調査。
Unike runefunn i Middelalderparken[NIKU：Norsk institutt for kulturminneforskning]
ケニア: カンジェラ・サウス（Kanjera South）で出土したオルドワン文化（Oldowan）・200万年前の骨に加えられたヒトや肉食動物による改変パターンを分析。骨にみられる痕跡は、ヒトが屠殺し石器で解体した後に肉食動物があさった場合の実験結果に似る。ヒトによる屠殺痕の分布などから、肉食動物の獲物をあさったのではなく、ヒトが狩猟を行ったと解釈。
cf. Jennifer A. Parkinson, Thomas W. Plummer, James S. Oliver, Laura C. Bishop (2022) Meat on the menu: GIS spatial distribution analysis of bone surface damage indicates that Oldowan hominins at Kanjera South, Kenya had early access to carcasses. Quaternary Science Reviews, Volume 277, 1 February 2022, 107314 [ScienceDirect]

2021年12月29日（水）

福岡県: うきは市・西ノ城古墳（にしのしろこふん）が、古墳時代前期初頭・3世紀後半の双方中円墳と判明。九州初。うきは市教育委員会の調査。[西日本新聞]
中国: 河北省衡水市桃城区で、明末清初の大規模な酒の醸造遺跡。伝統酒「老白干」の歴史を示す。河北省文物考古研究院の調査。[搜狐]
中国: 山西省陽泉市盂県秀水鎮泥河村で、金時代の壁画墓。壁画には、家族のために幸福を願う内容。[中国社会科学院考古研究所]
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）プドゥコッタイ（Pudukkotai）で、10世紀のマハーヴィーラ（Mahavir）像。マハーヴィーラはジャイナ教（Jainism）の第24祖。[The New Indian Express]
イラン: ファールス州（Ostān-e Fārs）シーラーズ（Shiraz）の洞窟で、前期旧石器時代と、中期旧石器時代後半にヒトが居住した痕跡。[Tehran Times]
トルコ: アドゥヤマン県（Adıyaman ili）の古代都市ペッレ（Πέρρη；Perre）で、ローマ帝政期・1898年前の青銅製の軍役終了証書（military diploma）。ラテン語で、ローマ帝国ハドリアヌス帝の治世に、カルキリウス・アンティクウス（Calcilius Antiquus）が20年間の軍歴を経て、結婚の権利とローマ市民権を得たことを記す。[Daily Sabah]
▼古代都市ペッレ関連記事→2021年12月3日
トルコ: コンヤ県（Konya ili）のチャタル・ヒュユク遺跡（Çatalhöyük）で、南側の遺丘から、8500年前の大理石製の偶像。[Daily Sabah]
ギリシャ: エピダヴロス（Επίδαυρος；Epidavros）で、ローマ帝政期の等身大の大理石製女性像が、豪雨のため洗い出される。両腕と頭部を欠く。姿勢から見てヒュギエイア女神（Υγίεια；Hygieia）か。[H KAΘHMEPINH（Kathimerini）]
イタリア: トスカーナ州（Regione Toscana；Tuscany）ポプロニア（Populonia）のアクロポリスで出土した共和政ローマ・紀元前4世紀後半～3世紀の黒陶（black gloss ware）21点を分析。Campanian A、Volterra、Etrusco-Latial 1、プティット・エスタンピーユ・グループ（Petites Estampilles Group）の4種を認識。プティット・エスタンピーユ・グループは在地産とみられ、その生産地の範囲は従来説より北に広がる。
cf. Laura Pagliantini, Marisol Madrid i Fernández, Seth Bernard, Stefano Camporeale, Cynthia Mascione, Jaume Buxeda i Garrigós, Alejandro G. Sinner (2022) Archaeometric characterization of black gloss ware from Populonia (Tuscany): Imported pottery and local production of the Petites Estampilles Group. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 41, February 2022, 103306 [ScienceDirect]
イタリア: ヴルチ（Vulci）にあるオステリア墓地（Necropoli dell'Osteria；Osteria necropolis）55号墓で1928年に発見され、ヴィラ・ジュリア国立博物館（Museo Nazionale etrusco di Villa Giulia）が所蔵する、エトルリア・紀元前4世紀中ごろの青銅製の冑に、銘文「Harn Ste」が発見される。出身地を表す言葉とみられ、古代「Aharnam」＝現在のペルージャ（Perugia）のチヴィテッラ・ダルナ（Civitella d'Arna）を指すとみられる。ペルージャの傭兵が用いたのち、その人物がヴルチに移り住んだか、ヴルチの2人目の戦士の手にわたり、墓に納められたとみられる。[ANSA]
▼オステリア墓地関連記事→2019年7月23日
イベリア半島における新石器文化の起源と拡大経路を、鏃に用いられる幾何学形細石器（geometric microliths）により推定。イベリア半島をエブロ川（Ebro river）、カタルーニャ海岸（Catalan shores）、シュケル川（Xúquer river）、グアダルキビル川（Guadalquivir river）の4地域に分け、各地域で最古の放射性炭素年代を持つ幾何学形細石器のサンプルを抽出。統計的なシミュレーションにより、新石器文化の伝播ルートは地中海沿いを北からの可能性が高いが、地中海沿いを南からの可能性も検討の余地がある。起源地としてシュケル川の蓋然性が高い。: >cf. Alfredo Cortell-Nicolau, Oreto García-Puchol, María Barrera-Cruz, Daniel García-Rivero (2021) The spread of agriculture in Iberia through Approximate Bayesian Computation and Neolithic projectile tools. PLoS ONE, 16(12): e0261813. [PLOS ONE]
南米: の2000年前～1500年前のミイラの髪についた、メスのアタマジラミ（head lice）が卵を毛に粘着させるために出すセメント状分泌物の中に含まれるヒトの頭皮細胞から、DNA抽出に成功。
NITS ON ANCIENT MUMMIES SHED LIGHT ON SOUTH AMERICAN ANCESTRY[University of Reading]
cf. Mikkel W Pedersen, Catia Antunes, Binia De Cahsan, J Víctor Moreno-Mayar, Martin Sikora, Lasse Vinner, Darren Mann, Pavel B Klimov, Stuart Black, Catalina Teresa Michieli, Henk R Braig, M Alejandra Perotti (2021) Ancient human genomes and environmental DNA from the cement attaching 2,000 year-old head lice nits. Molecular Biology and Evolution, msab351 [Oxford Academic]

2021年12月28日（火）

インドネシア: ジャカルタ（Jakarta）のグロドック（Glodok）で、オランダ植民地時代の路面電車の遺構。[Tempo]
トルコ: ディヤルバクル県（Diyarbakır）のアミダ遺跡（Amida Höyük；Amida Mound）で、アルトゥク朝（Artuqid）・12～13世紀の宮殿に、進んだ暖房施設。この宮殿に25年間住んでいたムスリムの学者アル＝ジャザリー（Al-Jazari）によって作られたと推定。[Hürriyet Daily News]
▼アミダ遺跡関連記事→2021年8月5日
カザフスタン: アクモラ州（Ақмола облысы；Akmola Oblast）のビティガイ遺跡（Бытыгай；Bytygai）で出土した700年前の土器の中にあったバターのような液体は、アスファルト（bitumen）と判明。[Qazaq TV]
ロシア: カリーニングラート州（Калининград；Kaliningrad）ゼレノグラーツク（Зеленоградский район；Zelenogradsky District）のサンビア半島（Самбийский полуостров；Sambia Peninsula）にあるプティロヴォ2遺跡（Путилово-2；Putilovo-2）を再発掘。4～5世紀のエリート墓では、バルト海の琥珀とともに、大量の贅沢な輸入品を副葬。ローマのタキトゥス（Tacitus）が98年に著した「ゲルマニア」（Germania）で古代バルト海の住民アエスティイー族（Aestii）を無知で野蛮と表現したことへの反証。[Ancient Origins]
イタリア: ヴェローナ県（Provincia di Verona）・フマーネ洞窟（Grotta di Fumane；Fumane Cave）で、4万4千年前にネアンデルタール人（Neanderthal）が集めた緑色の礫。蛇紋岩（serpentinite）製で、扁平な楕円形。使用痕や遺存物を分析し、骨の加工に特化した道具と推定。数キロ離れた石の産出地では、骨器の製作に使えるさまざまな色の石があるが、緑色ばかり選ばれており、美的な選択が働いたとみられる。フェラーラ大学の調査。
Archeologia | Unife scopre le collezioni di ciottoli verdi dei Neandertal di 40 mila anni fa[Università degli Studi di Ferrara]
cf. Marco Peresani, Stefano Bertola, Isabella Caricola, Stella Nunziante Cesaro, Rossella Duches, Paolo Ferretti, Davide Margaritora, Elena Marrocchino, Negar Eftekhari, Carmela Vaccaro, Andrea Zupancich, Emanuela Cristiani (2021) A taste for the unusual. Green, flat pebbles used by late Neanderthals. Journal of Anthropological Archaeology, Volume 64, December 2021, 101368 [ScienceDirect]
▼ヴェネト州（Regione del Veneto）
▼フマーネ洞窟関連記事→2021年8月25日
イタリア: シチリア島（Sicilia；Sicily）シラクーザ（Siracusa）のアクラディナ地区（Acradina）で、古代ギリシャ植民市のころの石切場跡（latomia）。古代のアゴラを発見する手がかりに。[Meteo Web]
オランダ: エンクホイゼン（Enkhuizen）のカイパースダイク（Kuipersdijk）で、16世紀末に掘られ、1880年に埋められた港から、北米のハコガメ（box turtle）の遺体。腹側の甲羅にイニシャル「P」「D」が刻まれ、また、背中側の甲羅には白ペンキで十字が描かれ、鎖などを通すための孔も開けられている。内部に骨格も残っており、17世紀に甲羅だけではなく、生きたペットとして持ち込まれたと推定。Archeologie West-Frieslandの調査。
Unieke vondst: 17de-eeuwse schildpad[Archeologie West-Friesland]
UK（ウェールズ）: ケレディギョン州（Sir Ceredigion）アベリストウィス（Aberystwyth）のペンパルク村（Penparcau）にある鉄器時代の防御性集落、ペン・ディナスの丘塞（Pen Dinas hillfort）のうち、南砦の南入り口で、岩を彫って作ったプラットフォームや、石造りの排水溝、金属張りの道路など。バルト海地域との交易を示す琥珀玉出土。また、地球物理学的調査では、外部にも防御施設が存在。Dyfed Archaeological Trustの調査。[The Past]
エジプト: ルクソール（Luxor）のデル・エル・バハリ（Deir el-Bahri）で1881年に発見されたアメンホテプ1世（Amenhotep I；在位紀元前1525年～前1504年；第18王朝）のミイラの中身をデジタルで調査。顔の特徴や、ミイラ化の工程が明らかに。顔は父イアフメス1世（Ahmose I）に似ており、死亡時の年齢は35歳。病気やけがで死んだわけではない。ミイラの中に護符30個を納める。[Ahram Online]
cf. Sahar N. Saleem and Zahi Hawass (2021) Digital Unwrapping of the Mummy of King Amenhotep I (1525–1504 BC) Using CT. Frontiers in Medicine [Frontiers in Medicine]
スーダン: ハルトゥーム（Khartoum）近くのソバ（Soba）で、1000年前の庭園。日干し煉瓦で区画し、水路を完備。ソバは6世紀から1500年ごろまで、中世アルワ王国（Aρουα；Alwa）＝アロディア王国（Alodia）の首都。[Nauka w Polsce]

2021年12月27日（月）

北海道: 太平洋戦争中に旧日本軍が造った小型防御陣地「トーチカ」が92基現存。網走市5、根室市16、釧路地方12、十勝地方43、胆振地方16。日本建築学会北海道支部の調査。[朝日新聞]
埼玉県: 白岡市・茶屋遺跡（ちゃやいせき：第7・8地点）で、古墳時代前期の住居跡から、網目状撚糸文をもつ大型壺や、漁で使う錘。白岡市の調査。
古墳時代前期の住居跡から大型壺が出土しました！（茶屋遺跡第7・8地点）[白岡市]
東京都: 港区・湖雲寺跡遺跡から出土した幕府旗本永井家の歴代当主・正室の頭骨を検討。当主・正室ともに貴族的特徴の傾向。ただし当主の下顎は庶民に近い頑丈性。武家の家格や石高が高いほど典型的な貴族的特徴を呈し，低いほど庶民的特徴に近付くという階層性。永井家に貴族的特徴が認められる要因として、元々大名を出自とし、旗本の中でも高い階層にあることが考えられる。
cf. 辰巳晃司・奈良貴史 (2021) 近世幕府旗本永井家の頭骨にみられる貴族的特徴について. Anthropological Science (Japanese Series), 129巻 2号 p. 53-74 [J-STAGE]
福岡県: 宗像市・光岡六助遺跡で、古墳時代の竪穴建物7棟、掘立柱建物1棟、溝1棟。宗像市の調査。[宗像経済新聞]
沖縄県: 今帰仁村の自然洞窟（ガマ）からグスク時代の人骨26体。少なくとも男性16、女性9、子ども1。男性16体のうち10体に外耳道骨腫を確認。13世紀後半～14世紀前半の中国産の青磁碗や白磁皿も出土。今帰仁村教育委員会の調査。[朝日新聞]
イラン: マーザンダラーン州（Ostān-e Māzandarān）ソルフルード（Sorkhrud）で、サーサーン朝の石製印章。動物意匠を表す。[Tehran Times]
トルコ: オルドゥ県（Ordu il）クルトゥルシュ（Kurtuluş）の4世紀の墓から銀の指輪。指輪にはヘルメス神（Ἑρμῆς；Hermes）の図像。[Daily Sabah]
キプロス: ニコシア地区（Eπαρχία Λευκωσίας；Nicosia District）アイオス・イェオルイオス（Άγιος Γεώργιος；Agios Georgios）の丘で出土した、初期キリスト教時代と、ビザンティン時代後期／フランク王国の時代のヒトの移動性を分析。非在地とみられる人々はビザンティン時代後期／フランク王国の時代に多く、特に遅い時期に顕著。
cf. Efthymia Nikita, Giuseppina Mutri, Petrus Le Roux, Despina Pilides (2021) Human mobility in Byzantine Cyprus: A case study from the Hill of Agios Georgios, Nicosia. Quaternary International [ScienceDirect]
ドイツ: ジークマリンゲン郡（Landkreis Sigmaringen）ヘルバーティンゲン（Herbertingen）のホイネブルク遺跡（Heuneburg）で、紀元前6世紀前半の幅6m、深さ3m以上の2つの溝を発見。初期ケルトの拠点集落の門跡、幅7m。[Die Zeit]
▼バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）
UK（イングランド）: ノース・ヨークシャー州（North Yorkshire）バグビー（Bagby）で、ローマ時代・2000年前の青銅製のサイコロ。2と6の目が出やすいように細工されたいかさま用。[The Sun]

2021年12月26日（日）

韓国: 北漢山の仁寿峯近くで、高麗時代の石積みによる建物跡。近隣では蓮華文の柱座や、基壇とみられる石材、瓦なども出土し、高麗時代から朝鮮時代前期にかけての仏教関連の施設が存在した可能性。[聯合ニュース]
中国: 盤龍城遺跡（Panlongcheng）で出土した青銅器時代の石製遺物の原料を分析。遺跡の北にある大別山（Dabieshan）の麓の石を使用。青銅器時代には、石製品の機能にかかわらず在地の石材を用いた。
cf. Xin Su, Xiaojia Tang, Qiushi Zou, Changping Zhang (2021) Stones from the Bronze Age: Raw materials and exploration of the stone artifacts from Panlongcheng. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 40, Part A, December 2021, 103259 [ScienceDirect]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya il）マナヴガト郡（Manavgat）シデ（Side）で7世紀のシナゴーグ（synagogue）跡。シデにユダヤ人が住んでいたという史料はあるが、物的証拠の確認は初。銘文によると、ヨセフが2歳半の息子ダニエルのために、シナゴーグを改修。[Hürriyet Daily News]
イタリア: マルケ州（Regione Marche）ペーザロ・エ・ウルビーノ県（Provincia di Pesaro e Urbino）ウルバーニア（Urbania）で、ローマ帝政期・1～2世紀の墓4基。土葬と火葬の双方があり、タイルを組み合わせて棺の形にする。遺体を焼くための土坑ブストゥム（bustum）も発見。[ANSA]
オーストリア: シュタイアーマルク州（Steiermark）グラーツ（Graz）のグラーツ城（Grazer Burg）で3000年前の土器棺墓（Urnengrab）。火葬骨を納める。シュタイアーマルク州で最古の火葬墓。中世初期の装身具や土器片も出土。[DerStandard.de]

2021年12月25日（土）

中国: 江西省樟樹市・国字山墓葬は、東西80m、南北63mの溝で囲まれた大規模な東周時代の墓。「越」国の王室や貴族の墓と推定。[中国新聞網]
▼江西省宜春市樟樹市
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）マドゥライ県（Madurai）ティー・カッルッパッティ区（T Kallupatti）のデヴァンクリチの丘（Devankurichi）にある洞窟で、狩りや踊りの場面の彩色壁画。また、線刻画も発見。[The Times of India]
イラン: シスタン・バルチスタン州（Ostān-e Sīstān-o Balūchestān）・シャフレ・ソフテ遺跡（Shahr-e Sukhteh）＝「燃えた街」（Burnt City）で、エラム語の粘土板文書。また、土偶や動物像。シャフレ・ソフテ遺跡は紀元前3200年～前1800年の遺跡。[Tehran Times]
ロシア: 大ノヴゴロド（Великий Новгород；Veliky Novgorod）で、で、シラカバの樹皮に書かれた1144年の手紙。同じ調査では、12～15世紀の革靴、土器、木皿、重りと浮き、12～13世紀の印章なども。
О зимних работах Новгородской экспедиции ИА РАН[Институт археологии РАН]
イタリア: フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア自治州（Friuli-Venezia Giulia）ウーディネ県（Provincia di Udine）パラッツォーロ・デッロ・ステッラ（Palazzolo dello Stella）のステッラ川（Stella）で、青銅器時代の槍先。[UdineToday]

2021年12月24日（金）

奈良県: 明日香村・飛鳥池遺跡について、発掘報告書が未完成にもかかわらず、奈良文化財研究所が16年間にわたって「刊行済み」とする虚偽の情報をホームページなどに掲載していた。制作費約910万円を業者に支払う不適切な会計処理も行っていた。国立文化財機構は奈文研の所長を厳重注意処分、元所長2人も厳重注意相当とした。[毎日新聞]
『飛鳥池遺跡発掘調査報告』の刊行について[奈良文化財研究所]
奈良文化財研究所におけるコンプライアンス違反事案について[国立文化財機構]
高知県: 南国市・成願遺跡（せいがんいせき）で、弥生時代中期の集落跡。公益財団法人高知県文化財団埋蔵文化財センターの調査。[朝日新聞]
長崎県: 佐世保市で、明治時代に設置された旧陸軍の佐世保要塞砲兵連隊の建物跡。佐世保市教育委員会の調査。[長崎新聞]
トルコ: キュタヒヤ県（Kütahya il）・セイトメル（Seyitömer）で、4500年前のロープ出土。[Daily Sabah]
トルコ: オルドゥ県（Ordu il）クルトゥルシュ（Kurtuluş）で4世紀の墓8基。人骨、獣骨、金製品、紅玉髄（sardine stone）、銀製品、ガラス、青銅製品など出土。[Anadolu Ajansı]
ジョージア: 中世グルジア王国の建設王ダヴィド4世（King David IV the Builder）の治世・12世紀に打刻された銅貨が確認された。[Agenda.ge]
イタリア: シチリア島シャッカ（Sciacca）で、第二次世界大戦中のアメリカの爆撃機ノース・アメリカン B-25 ミッチェル（North American B-25 Mitchell）とみられる航空機の残骸。1943年7月10日に撃墜。[The Journal Gazette]
ドイツ: メクレンブルク＝フォアポンメルン州（Land Mecklenburg-Vorpommern）ノイブランデンブルク（Neubrandenburg）のバートシュテューバー通り（Badstüberstraße）で、700年前の印章や、ウマの骨。印章には「Sigillum Iacobi Molendinarii」の文字があり、ヤーコプ・モレンディバリウス（Jacob Molendinarius）のもの。ヤーコプは、ノイブランデンブルクを建設したヘルボルト・フォン・ラーフェン（Herbord von Raven）の孫。さらに、1945年4月29日の大火で焼失したバロック様式の地下室も。Archäologie in MVの調査。[Nordkurier]
▼メクレンブルク＝フォアポンメルン州（Land Mecklenburg-Vorpommern）メクレンブルギッシュ＝ゼーンプラッテ郡（Landkreis Mecklenburgische Seenplatte）ノイブランデンブルク（Neubrandenburg）
スペイン: バリャドリッド県（Valladolid）ピンティア（Pintia）の丘塞（hillfort）から出土した鉄器時代・ワッカエイ文化（Vaccean culture）とローマ時代の土器を分析。ローマ帝国に征服された後も、在地の土器生産は継続。非石灰質の胎土を好む。ただし、岩石学的な共通性の一方、化学的特性は異なるので、ローマ時代に粘土の供給源が変わった可能性。
cf. José Carlos Coria-Noguera, Kamal P. Badreshany, Carlos Sanz Mínguez (2022) Archaeometric characterization of pottery from the Iron Age hillfort of Pintia (Valladolid, Spain). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 41, February 2022, 103313 [ScienceDirect]
デンマーク: シェラン島（Sjælland；Zealand）ヴェクソ（Veksø）で1942年に出土した、青銅製の角のある冑について、中空の角の中の遺存物の放射性炭素年代により、紀元前900年に沼地に埋没と判明。青銅器時代に該当。一方でサルデーニャの影響も見られ、スカンディナヴィアと地中海の間の交易ルートの存在を示すか。[Ancient Origins]
cf. Helle Vandkilde, Valentina Matta, Laura Ahlqvist and Heide W. Nørgaard (2021) Anthropomorphised warlike beings with horned helmets: Bronze Age Scandinavia, Sardinia, and Iberia compared. Praehistorische Zeitschrift [De Gruyter]
デンマーク: ユラン半島（Jylland；Jutland）のエスビャウ（Esbjerg）で、ゲルマン鉄器時代・1700年前～1400年前の金の頸飾。446g。傷などがなく、意図的に埋めて隠したとみられる。神への奉納品であれば、近隣にある湿地や沼で行うはず。[Sputnik]
▼エスビャウ関連記事→2015年6月12日
UK（イングランド）: サマセット州（the county of Somerset）チェダー渓谷（Cheddar Gorge）のガフ洞窟（Gough's Cave）でみつかった、後期旧石器時代（Upper Palaeolithic）・マドレーヌ文化（Magdalenian）の獣骨や歯に、フリントを加工して石器を作るための道具を確認。ハンマーとして使われた骨、押圧剥離の道具として用いた歯などがあり、多くは使い捨ての道具であるが、ウマの臼歯1点は、多くの石器を作るために継続して使われた。
cf. Silvia M. Bello, Lucile Crété, Julia Galway-Witham, Simon A. Parfitt (2021) Knapping tools in Magdalenian contexts: New evidence from Gough’s Cave (Somerset, UK). PLoS ONE, 16(12): e0261031.[PLOS ONE]
▼ガフ洞窟関連記事→2020年8月2日
USA: アラバマ州（State of Alabama）沖に沈む米国最後の奴隷船「クロチルダ」（Clotilda）の大部分は完璧な形で残っていることが判明。[NBC]

2021年12月23日（木）

北海道: 礼文島の浜中2遺跡（はまなか2いせき；Hamanaka 2）から出土した続縄文文化～オホーツク文化・2300年前�800年前の魚骨240点以上を安定同位体分析。タラは、続縄文文化に比べ、オホーツク文化期に窒素の安定同位体比が明確に低下。オホーツク文化期に漁獲されていた個体のサイズが比較的小さかったことを示唆。比較的小さなタラでも効果的に漁獲できるようになった可能性。あるいは、寒冷化によってタラの成長、移動、繁殖パターンが変化した可能性も。
【プレスリリース】魚の骨から復元する過去の漁撈活動と気候変動[総合研究大学院大学]
cf. Takumi Tsutaya, Tomonari Takahashi, Takayuki Omori, Kohei Yamazaki, Takao Sato, Minoru Yoneda, Rick J. Schulting, Hirofumi Kato, Andrzej W. Weber (2021) Reconstruction of diachronic changes in human fishing activity and marine ecosystems from carbon and nitrogen stable isotope ratios of archaeological fish remains. Quaternary International [ScienceDirect]
▼北海道礼文郡礼文町
▼浜中2遺跡関連記事→2021年3月6日
茨城県: 大洗町教育委員会が、町内の磯浜古墳群を含む、茨城県内主要古墳9基を歩くことができる「いばらき古墳旅まっぷを製作」。『磯浜古墳群保存事業』の一環。
【いばらき古墳旅まっぷ】の配布[大洗町]
▽他の自治体の古墳も取り上げ、県内各地で配布。
石川県: 金沢市・南新保C遺跡（みなみしんぼしーいせき）で、平安時代前期・9世紀の船の一部とみられる木の板。全体がやや湾曲し、木材どうしをつなぎ合わせる穴や溝が彫られている。周辺からは木の杭。船の修理を行う施設や船着き場だった可能性。金沢市埋蔵文化財センターの調査。12/25現地説明会。[NHK]
静岡県: 磐田市・浜部遺跡（はまんべいせき）で、古墳時代後期・6世紀ごろとみられる円墳2基。周溝と須恵器、埴輪を確認。市内で海沿いに立地する古墳は珍しく、元島古墳群に続く事例。磐田市教育委員会12/23発表。[静岡新聞]
山口県: 下関市・北ヶ原遺跡（きたがはらいせき）で、古墳時代後期・6世紀の横穴式石室を持つ古墳を発見。下関市教育委員会の調査。12/26現地説明会。
（記者発表資料）北ヶ原遺跡調査成果現地説明会の開催について[下関市]
韓国: 洪城郡・洪州邑城の西門跡を発掘し、甕城や、開据式の門楼、高麗時代の版築土層を確認。[中部毎日]
▼洪州邑城関連記事→2017年6月27日
台湾: 台湾鉄道（臺灣鐵路）桃園駅近くのMRT桃園捷線G07駅建設中に、清または日本統治時代の鉄道遺構。[自由時報]
中国: 金沙江（Jinsha）流域の虎跳峡（Tiger Leaping Gorge）にある万人洞（Wanrendong）で、岩絵に関連する二次生成物に対し、ウラン系列による年代測定。13580年前～13000年前、10830年前～10540年前、8700年前～8370年前の3時期。旧石器時代にさかのぼることが判明。中国の岩絵として最古。
cf. Yun Wu, Yanuo Jiao, Xueping Ji, Paul S. C. Taçon, Zhijian Yang, Siqi He, Mangu Jin, Yinghua Li, Qingfeng Shao (2022) High-precision U-series dating of the late Pleistocene – early Holocene rock paintings at Tiger Leaping Gorge, Jinsha River valley, southwestern China. Journal of Archaeological Science, Volume 138, February 2022, 105535 [ScienceDirect]
ギリシャ: ティリンス（Τίρυνς；Tiryns）の丘砦とクレタ島西部のハニア港（Χανιά；Chania）の両遺跡で出土した青銅器時代の男女の人骨の半数で、歯石（dental calculus）に褐炭（lignite）の存在を示す化学的成分。生前に繰り返し、燃える褐炭の煙を吸っていた。青銅器時代・紀元前14世紀～前13世紀に褐炭を利用。古代ギリシャでは、森林資源に恵まれなかった一方、青銅器生産や土器生産の窯に燃料として褐炭を使用。褐炭の利用が従来説より1000年さかのぼる。
Archaeology: The smoke that lingers[Ludwig-Maximilians-Universität München]
cf. Stephen Buckley, Robert C. Power, Maria Andreadaki-Vlazaki, Murat Akar, Julia Becher, Matthias Belser, Sara Cafisso, Stefanie Eisenmann, Joann Fletcher, Michael Francken, Birgitta Hallager, Katerina Harvati, Tara Ingman, Efthymia Kataki, Joseph Maran, Mario A. S. Martin, Photini J. P. McGeorge, Ianir Milevski, Alkestis Papadimitriou, Eftychia Protopapadaki, Domingo C. Salazar-García, Tyede Schmidt-Schultz, Verena J. Schuenemann, Rula Shafiq, Ingelise Stuijts, Dmitry Yegorov, K. Aslιhan Yener, Michael Schultz, Cynthianne Spiteri & Philipp W. Stockhammer (2021) Archaeometric evidence for the earliest exploitation of lignite from the bronze age Eastern Mediterranean. Scientific Reports, volume 11, Article number: 24185 [Scientific Reports]
ギリシャ: イマーシア県（Νομός Ημαθίας；Imathia）ヴェリア（Βέροια；Veria）で、未完成の彫像。大理石製。頭部を欠く若い男性像で、だれを表しているかわからないが、裸身の像は神かアスリートを表す。[Greek Reporter]
フランス: オー＝ド＝フランス地域圏（Hauts-de-France）ソンム県（Somme）クロワロー（Croixrault）で、青銅器時代の埋葬や、紀元前1世紀～紀元後4・5世紀の邸宅、中世の集落跡、カロリング朝・8～11世紀の墓地。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
De nouvelles données sur l'occupation du plateau de Croixrault (Somme)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
ポルトガル: モンタレーグレ郡（Montalegre）トウレーン村（Tourém）のヴェジデ遺跡（Vegide）で、ローマ時代・紀元前1世紀～紀元後1世紀の3ヘクタールに及ぶ軍事キャンプ。ローマによる征服後に築かれたと推定。[Público]
▼ヴィラ・レアル県（Distrito de Vila Real）
UK（イングランド）: ヘイゼルトン・ノース（Hazleton North）のロング・ケルンに葬られた新石器時代の35人をDNA分析。墓内に葬られた人々は、連続する5世代にわたる、1つの拡大家族と判明。
Ancient DNA reveals the world’s oldest family tree[Newcastle University]
cf. Chris Fowler, Iñigo Olalde, Vicki Cummings, Ian Armit, Lindsey Büster, Sarah Cuthbert, Nadin Rohland, Olivia Cheronet, Ron Pinhasi & David Reich (2021) A high-resolution picture of kinship practices in an Early Neolithic tomb. Nature [Nature]
UK: 793人のゲノムにより、英国へのヒトの移住を推定。青銅器時代・紀元前1000年から875年の間に初期のヨーロッパ農耕民がイングランドとウェールズで増加したが、スコットランドでは増加しなかった。これらの移民はイングランドとウェールズの鉄器時代人の半ばの先祖となり、初期ケルト語の英国への伝播の道筋を作った。鉄器時代にはヨーロッパからの移民は減少した。
CA contributes to major ancient DNA study into Bronze Age migration[Cotswold Archaeology]
Nick Patterson et al. cf. (2021) Large-scale migration into Britain during the Middle to Late Bronze Age. Nature. [Nature]

2021年12月22日（水）

群馬県: 前橋市・アーツ前橋で木版画などの作品が紛失された問題で、前橋市は、作品が誰かに持ち出された可能性が高いとして、警察に被害届を提出。[NHK]
▼アーツ前橋の作品紛失問題関連記事→2021年5月25日
岐阜県: 岐阜市・岐阜城の天守周辺で、池田輝政が城主の時代に築いたとみられる石垣。岐阜市12/22発表。[共同通信]
京都市: 南区・西寺跡（さいじあと）で、屋根付きの廊下跡。講堂と僧房をつなぐ廊下と推定。表面と両側面を加工した凝灰岩のブロックで直角に囲った「壇上積基壇」工法。京都市12/22発表。[産経新聞]
▼西寺跡関連記事→2020年10月22日
韓国: 慶尚南道宜寧郡・碧華山城古墳群の1号墳は、加耶・6世紀の横穴式石室墓。細長方形の石室中央に羨道を設ける。当時の宜寧地域の最高支配層の墓とみなされ、阿羅加耶、大加耶、小加耶の土器が出土。各地と交流していたことがしのばれる。[聯合ニュース]
中国: 山西省霍州市で唐時代の千仏磨崖造像と、洞窟前の遺跡。高武時期（高宗～武則天のころ）に始まる。十一面観音像が5体見つかったが、十一面観音は武則天の時期以降に流行する。開元5年（717年）、天宝3歳（744年）、長慶2年（822年）などの年号や、地名、官職名の銘文も20か所でみつかる。[中国新聞網]
米領サモア: マヌア諸島（Manu‘a Group）のオフ島（Ofu）、オロセガ島（Olosega）の2遺跡で出土した、紀元前1千年紀の脊椎動物の化石を分析。海洋環境、おもに魚類に依存していたが海鳥なども利用。数千年間に海岸の景観が変化したが、出土した魚類と、現代の自給自足的な漁民が対象としている魚類はよく似ている。
cf. ARIANA B.J. LAMBRIDES, MARSHALL I. WEISLER, JEFFREY T. CLARK, SETH QUINTUS, TREVOR H. WORTHY, HALLIE BUCKLEY (2021) Assessing foraging variability on small islands in Manu‘a (American Samoa) during the first millennium BC. Archaeology in Oceania [Wiley Online Library]
イスラエル: カイザリア（Caesarea）沖でローマ時代・1700年前の沈没船とマムルーク朝・600年前の沈没船。初期キリスト教時代の「善き羊飼い」（Good Shepherd）の図像を持つ金の指輪や、青銅製のワシの像、硬貨など出土。イスラエル古代遺跡管理局（Israel Antiquities Authority）の調査。[Haaretz]
デンマーク: リーベ（Ribe）で、ヴァイキング時代の交易拠点から出土した、中東のビーズは790±10年。北欧と中東の交易の拡大を示し、ヴァイキング時代の初め。ただしノルウェーからの輸入品自体は750年すでに登場。従来、ロシアを通じた中東との貿易拡大がヴァイキングの活動を促したと考えられていたが、中東からの刺激以前に、海洋ネットワークや長距離交易が存在。→775年の太陽フレアの活動「三宅イベント」を利用して精度を高めた放射性炭素年代により、イスラーム時代の中東とヴァイキング時代のスカンディナヴィアの交易の年代を特定。
Solar flare throws light on ancient trade between the Islamic Middle East and the Viking Age[Aarhus Universitet]
cf. Bente Philippsen, Claus Feveile, Jesper Olsen & Søren M. Sindbæk (2021) Single-year radiocarbon dating anchors Viking Age trade cycles in time. Nature [Nature]

2021年12月21日（火）

栃木県: 壬生町・車塚古墳の墳頂部に、装飾用の須恵器長胴甕が50個並んでいた。埴輪の代わりに使用。7世紀の円墳、84m。壬生町教育委員会の調査。[下野新聞]
日本: 江戸時代末～明治維新期に使用・鋳造された銃弾の鉛同位体比を分析。約半数の銃弾は外来の鉛資源を使用。イギリスからもたらされた可能性。残りの約半数の銃弾は日本産。西南戦争で、新政府軍は最新式の後装式銃（スナイドル銃）を用い、銃弾の鉛はイギリス製。薩摩軍は旧式の前装式銃（エンフィールド銃）を用い、銃弾の鉛は国産。両軍は兵装の差に加え，武器の供給態勢の違いがあった。
幕末・維新に用いられた銃弾の鉛はどこから？�鉛同位体比から鉛資源の流通を復元�[総合地球環境学研究所]
cf. Masataka Aizawa, Chitoshi Mizota, Takahiro Hosono, Ryuichi Shinjo, Yuki Furukawa, Yoshihiro Nobori (2022) Lead isotopic characteristics of gun bullets prevailed during the 19th century in Japan: Constraints on the provenance of lead source from the United Kingdom and Japan. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 41, February 2022, 103268 [ScienceDirect]
韓国: 楊州市白石邑・大母山城（第11次調査）の城壁は、内外壁と体城壁からなる。体城壁の外壁は長方形と方形の石材を「品」字形に積み、内壁はごつごつした石材を不規則に積む。城壁の一部に設けられた突出部である「雉城」のうち、先築雉城は角ばった形、後築雉城は半円形。統一新羅の高度な築造技術。畿湖文化財研究院の調査。[京仁日報]
▼大母山城関連記事→2020年11月18日
中国: 四川省涼山イ族自治州塩源県・皈家堡遺跡で、新石器時代・4300年前～4000年前（cal. BP）の土坑墓群。金沙江（Jinsha）中流域の新石器文化と共通し、この地域に紀元前3千年紀後半～前2千年紀に交流圏。
cf. Xiaoxiao Hao, Zhiqing Zhou, Linghe Liu, Jianbo Tian (2022) The Neolithic occupants in the Yanyuan Basin: Excavation of the burials at the Guijiabao site, Sichuan Province, Southwest China. Archaeological Research in Asia, Volume 29, March 2022, 100341 [ScienceDirect]
▼皈家堡遺跡関連記事→2016年12月9日
中国: 浙江省衢州市で、西周時代の城跡。環濠や城壁を持ち7万平方mに及ぶ。「姑蔑国」の都城と推定。[中国新聞網]
トルコ: マルディン県（Mardin il）の古代都市ダラ（Dara；Δάρας）のアバ・トゥムルス（Aba Tumulus）で、新たに紀元前3000年の遺丘を確認。[Hürriyet Daily News]
▼古代都市ダラ関連記事→2016年11月23日
トルコ: ウシャク県（Uşak ili）ウルベイ郡（Ulubey）の古代ローマ都市ブラウンドゥス（Blaundus）で、豊穣の女神デメテル（Δημήτηρ；Demeter）に捧げられた神殿の庭から、祭壇を発見。ブラウンドゥスはアレクサンドロス大王の軍事遠征に従ったマケドニア人がアナトリアで建設した都市に始まり、その後ローマ人が住んだ。[Anadolu Ajansı]
UK（イングランド）: ウスターシャー州（Worcestershire）アップトン・アポン・セバーン（Upton upon Severn）で、中期鉄器時代・紀元前300年～前100年の集落。中心部は溝で大きく囲む。
Iron Age settlement unearthed on site of Upton A38 roundabout works[Worcestershire County Council]
UK（イングランド）: ダラム州（County Durham）・オークランド城（Auckland Castle）で、中世の塔や橋の跡。塔の基部から1350～1380年の計算用の駒ジェトン（jetton）出土。また、ヘンリー6世（Henry Vi）の治世・1427～1430年にダラム司教（Prince Bishops of Durham）が打刻した銀貨出土。[itv]
▼オークランド城関連記事→2020年2月18日
USA: フロリダ州（State of Florida）クリアウォーター（Clearwater）で、4か所目のアフリカ系アメリカ人墓地を発見。数百基の墓。[NPR]
ペルー: マチュピチュ公園内のチャチャバンバ遺跡（Chachabamba）で、樹木の上からのドローンを用いたLiDAR調査により、未知の遺構を発見。住居と見られる12基。[Nauka w Polsce]
cf. Sieczkowska Dominika, Ćmielewski Bartłomiej, Wolski Krzysztof, Paweł B. Dąbek, José M. Bastante, Wilczyńska Izabela (2022) Inca water channel flow analysis based on 3D models from terrestrial and UAV laser scanning at the Chachabamba archaeological site (Machu Picchu National Archaeological Park, Peru). Journal of Archaeological Science, Volume 137, January 2022, 105515 [ScienceDirect]

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