考古学のおやつ/NEWSLINK

2021年12月10日（金）

三重県: 松阪市・松坂城跡（まつさかじょうあと）の二の丸跡で、江戸時代以前や明治時代以降とみられる礎石6個。松阪市の調査。[中日新聞]
▼松坂城跡関連記事→2020年2月24日
大阪府: 羽曳野市・峯ヶ塚古墳（みねがづかこふん）で、造出し部が長さ20m、幅6m以上と判明。周濠跡からは埴輪。5世紀末の前方後円墳。羽曳野市教育委員会の調査。[共同通信]
12/11現地説明会。
峯ヶ塚古墳現地見学会[羽曳野市]
トルコ: ムーラ県（Muğla il）ダッチャ郡（Datça）の古代都市クニドス（Κνίδος；Knidos）で、ヘレニズム時代～ローマ時代・2000年前の大理石製の彫像頭部5体。うち1体は運命の女神テュケー（Τύχη；Tyche）像。[Hürriyet Daily News]
▼クニドス関連記事→2020年4月24日
エチオピア: ゲデオ県（Gedeo）・サカロ・ソド（Sakaro Sodo）の巨石は、放射性炭素年代により1世紀。従来説より1000年古いと判明。
Ethiopian monuments 1,000 years older than previously thought[Washington State University]
cf. Ashenafi G. Zena, Andrew I. Duff, Addisalem Melesse, John A. Wolff, Alemseged Beldados, and M. Steven Shackley (2021) New Dates for Megalithic Stele Monuments of Gedeo, South Ethiopia. Journal of African Archaeology [BRILL]
ペルー: チンチャ渓谷（Chincha Valley）のラス・ワカス遺跡（Las Huacas）で、後期ホライゾン（Late Horizon）の大規模な共同納骨堂に、42人を二次埋葬。
cf. Jordan A. Dalton, Colleen O’Shea, Juliana Gómez Mejía & Noemi Oncebay Pizarro (2021) Mortuary Practices Amid Sociopolitical Changes: Interpreting a Large Communal Ossuary at Las Huacas, Chincha Valley. Ñawpa Pacha [Taylor & Francis Online]

2021年12月9日（木）

群馬県: 高崎市・柴崎浅間山古墳（しばさきせんげんやまこふん）は、古墳時代前期・4世紀の方墳と判明。一辺25m、高さ4.2m。高崎市12/9発表。12/12現地説明会。[NHK]
三重県: 松阪市・大蓮寺遺跡（だいれんじいせき）で、平安時代～鎌倉時代の土坑や溝、掘立柱建物跡。土師器皿・陶器椀・緑釉陶器など出土。三重県埋蔵文化財センターの調査。12/19現地説明会。
大蓮寺遺跡（松阪市櫛田町）で発掘調査現地説明会を開催します[三重県]
三重県: 南牟婁郡紀宝町・鵜殿西遺跡（うどのにしいせき：第5次調査）で、鎌倉時代～室町時代の土地を区画する溝や土坑など。日本の各地や中国で生産された土器や陶磁器出土。三重県埋蔵文化財センターの調査。12/18現地説明会。
鵜殿西遺跡（南牟婁郡紀宝町鵜殿）で発掘調査現地説明会を開催します[三重県]
▼鵜殿西遺跡関連記事→2019年11月26日
長崎県: 壱岐市・原の辻遺跡（はるのつじいせき）の閨繰地区（みやくりちく）隣接地で、弥生時代の生活痕跡や、当時の朝鮮半島南部で作られたと考えられる土器片。長崎県埋蔵文化財センターの調査。12/18現地説明会。
令和3年度原の辻遺跡発掘調査現地説明会の開催について[長崎県]
中国: 陝西省咸陽市渭城区の洪瀆原墓地で、戦国時代～明清時代の墓3648基を調査。上官婉児や薛紹のような著名人の墓も。[西部網]
中国: 陝西省咸陽市渭城区北杜街道成任村で後漢時代の家族墓のうち、M3015号墓の中から、後漢晩期の仏像2体。1体は釈迦像、1体は五尊像。2体とも、銅・錫・鉛の合金製で、鋳造。中国最古の銅製の仏像。後漢晩期に、すでに独立した像として作られていた。当時は中国への仏教伝来から100年足らずで、仏教モチーフは揺銭樹、魂瓶、建築などに用いられるものの、独立した仏像は十六国時代になって作られるとみられていた。[微信]
▽この報道について、中国語文の“金铜佛像”を「金銅仏」として紹介している人がいますが、日本語の「金銅」というときの「金メッキした（青）銅」という意味は、中国語では“鎏金”とか“鎏金铜”と言います。▽もとの報道には、仏像の材質を“铜锡铅合金”（銅、錫、鉛の合金）と明記していますが、鍍金に関する表現がありません。新華社の英語サイトでも同様です。
中国: 湖南省郴州市臨武県汾市鎮渡頭村・渡頭古城遺跡で、漢の土坑墓2基、後漢の磚室墓2基、西晋の磚室墓1基、唐中晩期の土坑墓。[中国社会科学院考古研究所]
中国: トルファン（Turfan）で2013年に、紀元前786～前543年の30歳程度の男性の墓から出土した革製の札甲を分析。新アッシリア帝国（Neo Assyrian Empire）・紀元前8～前6世紀の甲に起源。
2,700-Year-Old Leather Armor Proves Technology Transfer Happened in Antiquity[Universität Zürich]
cf. Patrick Wertmann, Dongliang Xu, Irina Elkina, Regine Vogel, Ma'eryamu Yibulayinmu, Pavel E. Tarasov, Donald J. La Rocca, Mayke Wagner (2021) No borders for innovations: A ca. 2700-year-old Assyrian-style leather scale armour in Northwest China. Quaternary International, November 2021. [ScienceDirect]
イタリア: シチリア島（Sicily）のポリッツェッロ山（Polizzello Mountain）の後期青銅器時代（Late Bronze Age）～初期鉄器時代（Early Iron Age）の聖域から出土した土器68試料を分析。小さいが明確な組成の違いがあり、同じ地質的条件をもつ、類似した材料を使用したいくつかのコミュニティに由来と推定。聖域に集まった人たちの地理的な背景を反映。ポリッツェッロ山はシチリア中部の多くのコミュニティに重視され、いくつもの建物跡や饗宴跡が見つかっている。
cf. Gianpiero Caso, Davide Tanasi, Michael J. Glascock, Robert H. Tykot (2022) A landmark for local communities. Compositional analysis of the early Iron Age sanctuary at Polizzello Mountain (Sicily, Italy). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 41, February 2022, 103311 [ScienceDirect]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）のパパ・ウェストレイ島（Papa Westray）北東海岸のメイバック遺跡（Mayback）で、2015年にヴァイキングの墓から出土した9世紀の剣に、装飾性の高い護拳。[BBC]
アイルランド: クレア州（County Clare；Contae an Chláir）バレン（Burren）のCaherconnell Cashelで、11世のインクペン。骨製の中空のペン軸に銅合金のペン先をつける。アイルランド最古のインクペン。Caherconnell Cashelは10世紀後半～17世紀初めの集落。アイルランド国立大学ゴールウェイ校（NUI Galway）の調査。[Irish Independent]

2021年12月8日（水）

茨城県: 水戸市・囲裏窯跡（かこえうらかまあと）で、江戸時代の窯跡の両脇に柱穴列を確認し、窯が屋根に覆われていたことを示す。階段が構築された半地下式の室跡も確認。公益財団法人茨城県教育財団の調査。[発掘情報いばらき]
韓国: 全羅南道羅州市鳳凰面で、長鼓墳（前方後円墳）と推定される遺跡。未盗掘。[聯合ニュース]
トルコ: ガズィアンテプ県（Gaziantep il）イスラーヒエ郡（İslâhiye）イェセメック（Yesemek）で、新たに青銅器時代のライオンやスフィンクスなど、彫像15体が出土。[Arkeonews]
ポーランド: マゾフシェ県（Województwo mazowieckie）ソハチェフ郡（powiat sochaczewski；Sochaczew County；Sochaczew）ノバ・スハ（Nowa Sucha）で、第一次世界大戦当時のドイツのヴュルテンベルク王国（Königreich Württemberg；Kingdom of Württemberg）の兵士の遺体を確認。制服、銃剣、弾薬を伴う。1914年12月か1915年1月の戦闘で死亡と推定。[The First News]
ドイツ: ブランデンブルク州（Brandenburg）で2000年前のケルトの金貨。ケルト人はこの地には居住せず、なぜここで出土したのか不明。[Die Zeit]
フランス: ヌーヴェル＝アキテーヌ地域圏（Nouvelle-Aquitaine）シャラント＝マリティーム県（Charente-Maritime）シャトライヨン（Châtelaillon）のサン・ロマール修道院（prieuré saint-Romard）で、中世・10世紀以降に再利用されたメロヴィング朝の石棺など、中世の墓地。また、中世の教会跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Le culte de saint Romard à Châtelaillon : du mausolée au prieuré (Charente-Maritime)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
UK（イングランド）: ケンブリッジシャー州（the county of Cambridgeshire）フェンスタントン（Fenstanton）で、ローマ時代の25～35歳の男性人骨のかかとに、釘が打ち付けられていた。人骨の周囲にはさらに12本の釘。磔刑（crucifixion）に処された証拠。このほか成人の人骨のほとんどに、多数の傷や、病気の跡。フェンスタントンは、ローマ時代のデワナ街道（Via Devana）沿い。
Roman crucifixion burial at Fenstanton, Cambridgeshire[Albion Archaeology]
エジプト: ヒエラコンポリス（Hierakonpolis）で出土した先王朝時代（Predynastic）・紀元前3800年～前3600年の土器片33点を分析し、ビール造りの証拠を確認。当時のビールは濁った粥のようなもので、アルコール度数は低い。社会の階層化や統一国家の形成にもビールの存在が影響。[Ancient Origins]
cf. Jiajing Wang, Renee Friedman, Masahiro Baba (2021) Predynastic beer production, distribution, and consumption at Hierakonpolis, Egypt. Journal of Anthropological Archaeology, Volume 64, December 2021, 101347 [ScienceDirect]
USA: オハイオ州（State of Ohio）・パレオ・クロッシング遺跡（Paleo Crossing Site）を再発掘し、1990年代初めの調査でクローヴィス文化の建物跡と推定された柱穴（postmold）について検証。新たに柱穴を発見したが、放射性炭素年代では過去数世紀に収まり、クローヴィス文化の建物跡が存在するという証拠は得られなかった。
cf. David J. Meltzer, Brian G. Redmond & Metin I. Eren (2021) On the Presumed Clovis-Age Structure at the Paleo Crossing Site, Ohio. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
メキシコ: キンタナ・ロー州（Estado de Quintana Roo）トゥルム（Tulúm）のチェムイル（Chemuyil）にある洞窟で、後古典期後期（Posclásico Tardío；Late Postclassic）・1200～1550年の土器3点。洞窟は儀式の場で、土器は儀式の際の供物とみられる。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。
El INAH recupera tres piezas arqueológicas mayas descubiertas en una cueva de Chemuyil, Quintana Roo.[Instituto Nacional de Antropología e Historia]

2021年12月7日（火）

茨城県: 結城市・香取前遺跡で、戦国時代の堀や橋の遺構。旧鎌倉街道に接しており、宿の機能や位置が形成された大集落があった可能性。結城市教育委員会12/6発表。[毎日新聞]
栃木県: 宇都宮市・根古谷台遺跡（ねごやだいいせき）で出土した、縄文時代前期の白色石製耳飾などの装飾品22点の材質は「透閃石ネフライト」。国内の材料ではなく、舶来品の可能性。[読売新聞]
横浜市: 港北区・小机城址（こづくえじょうし）で、東曲輪から柱穴跡多数。北空堀では中世のかわらけ出土。横浜市教育委員会の調査。12/4現地説明会。[新横浜新聞]
長野県: 佐久市・香坂山遺跡（こうさかやまいせき）で、旧石器時代・3万7千年前～3万6千年前の石器製作跡や、火を使った痕跡。[共同通信]
▼香坂山遺跡関連記事→2021年5月23日
長野県: 茅野市・永明中学校校庭遺跡（えいめいちゅうがっこうこうていいせき）で、弥生時代後期・3世紀ごろの竪穴住居跡。炉の近くから炭化米出土。遺跡ではガラスビーズも出土。茅野市教育委員会12/6発表。12/12現地説明会。[信濃毎日新聞]
▼永明中学校校庭遺跡関連記事→2021年8月21日
山口県: 美祢市・長登銅山跡（ながのぼりどうざんあと）で、近代の大切竪坑に付随する施設と考えられる煉瓦構造物を調査。美祢市教育委員会の調査。12/11現地説明会。
長登銅山跡発掘調査現地説明会のお知らせ（12/11 午後実施）[美祢市]
▼長登銅山跡関連記事→2018年3月13日
中国: 北京市・琉璃河遺跡で、西周早期の墓5基、住居跡3基。M1901号墓から出土した銅簋は、40年前に出土した銅簋と文様が同じ。蓋と身を取り違えて納められていたと推定。[中国新聞網]
▼琉璃河遺跡関連記事→2021年4月1日
アラブ首長国連邦: シャールジャ首長国（Sharjah）のムレイハ（Mleiha）で、ローマ時代・1世紀の青銅製のグリフィン像（griffin）。香炉の一部と推定。ムレイハとローマの交易を示す。シャールジャ考古学局（Sharjah Archaeology Authority）の調査。[Khaleej Times]
▼ムレイハ関連記事→2021年7月14日
ロシア: オグラフティ遺跡（Оглахты；Oglakhty）の第4墓地で、タシュティク文化（Tashtyk culture；Таштыкская культура）の放射性炭素年代測定により、墓の造営年代を250～300年と推定。第4号墓で出土した多色錦の資料からみて中国東部の絹織物産地とのつながり。ヒツジの飼育が重要な経済的位置を占める。
cf. Pavel E. Tarasov, Svetlana V. Pankova, Tengwen Long, Christian Leipe, Kamilla B. Kalinina, Andrey V. Panteleev, Luise Ørsted Brandt, Igor L. Kyzlasov, Mayke Wagner (2021) New results of radiocarbon dating and identification of plant and animal remains from the Oglakhty cemetery provide an insight into the life of the population of southern Siberia in the early 1st millennium CE. Quaternary International [ScienceDirect]
▼ハカス共和国（Хакасия；Khakassia）
ルーマニア: ブラショヴ（Brașov）で、古代ダキア（Dacia）の銀製腕輪3個。人物像を表す。[Universul.net]
ポーランド: ヴァルミア＝マズールィ県（Województwo warmińsko-mazurskie）ザレヴォ（Zalewo）のプウヴィエシ（Półwieś）で、2016年にローマ帝国・1～2世紀のデナリウス銀貨112枚が出土したのに続き、新たに3枚を発見。ウェスパシアヌス帝（Vespasianus）の治世・72～73年のデナリウス銀貨を含み、一連の銀貨では最古。当時この地に居住したヴィェルバルク文化（Wielbark culture）のゴート族やゲピド族あ、ローマ帝国の軍務の報酬として得た可能性。何らかの危険を避けるため埋納したか。
Warmińsko-mazurskie/ Archeolodzy odnaleźli kolejną część skarbu z Półwsi[Nauka w Polsce]
▼ヴァルミア＝マズールィ県（Województwo warmińsko-mazurskie）イワヴァ郡（powiat iławski；Iława County）
フランス: 南フランスの集団墓4遺跡から得られた、後期新石器時代から初期青銅器時代の移行期のヒト28試料、動物12試料の骨のコラーゲンについて、安定同位体分析。ヒトの食生活において、家畜の草食動物が重要な位置を占めており、後期新石器時代から初期青銅器時代の移行期にヤギからウシへの移行があった可能性を示唆。
cf. Melie Le Roy, Pierre Magniez, Gwenaëlle Goude (2021) Stable isotopes analysis of collective burial sites in southern France at late Neolithic/early Bronze Age transition. International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]

2021年12月6日（月）

韓国: 扶余の泗沘都城の羅城で、北側入り口施設と、城壁築造技術が判明。[中島日報]
トルコ: ハタイ県（Hatay il）イスケンデルン地区（İskenderun）で、ローマ時代・5～6世紀のオリーブ油工房。アナトリアで最大規模。[Hürriyet Daily News]
ノルウェー: ヴィケン県（Viken）ハルデン（Halden）のイェレスタード遺跡（Gjellestad）で、鉄器時代のロングハウス（langhus；longhouse）。最大のものは長さ60m、幅15m。北欧で最大級。ノルウェー文化遺産局（NIKU：Norsk institutt for kulturminneforskning）の調査。[Dagsavisen]
▼イェレスタード遺跡関連記事→2020年11月12日
デンマーク: ユラン半島（Jylland；Jutland）のベウリング（Bøvling）で、11世紀の金の耳飾。ビザンティン帝国またはエジプトで作られ、ビザンティン皇帝からヴァイキングが警護の報酬として贈られたか、巡礼が持ち帰ったと推定。
Nyt vikingefund: Guld-ørering fundet som eneste i Skandinavien[Nationalmuseet]

2021年12月5日（日）

奈良県: 葛城市・屋敷山古墳で出土したと伝えられていた、葛城市歴史博物館所蔵の馬形埴輪の脚部について、市内在住者から中学時代に同古墳の周濠で拾ったとの証言。出土地が確定。[奈良新聞]
エジプト: ミニヤー県（Minya Governorate）エル・バフナサ（Al-Bahnasa）で、サイス朝（El-Sawy）の墓2基。1基は古代のうちに盗掘されていたが、未盗掘だった1基から、石灰岩製の石棺。蓋に女性の姿を刻む。2名の人骨は黄金の舌を伴う。さらにカノポス壺と、ファイアンス製ウシャブティ402個、護符や玉も出土。[Egypt Today]
▼エル・バフナサ遺跡関連記事→2020年5月19日

2021年12月4日（土）

石川県: 金沢市・金沢城二の丸御殿で、建物を支えていた柱礎石の基礎にあたる遺構を確認。御殿北東部の主要な建物の位置関係を特定。石川県の調査。12/4現地説明会。[毎日新聞]
島根県: 安来市・市原たたらで、明治期に築造されたとみられる製鉄炉の外枠の石組みや保温効果を高める小舟の煙突部分、炉の直下となる本床のたき口、送風装置の風箱など。安来市教育委員会12/3発表。12/11現地説明会。[日本海新聞]
トルコ: ディヤルバクル県（Diyarbakır）チュナル郡（Çınar）にあるゼルゼヴァン城（Zerzevan Kalesi；Zerzevan Castle）で、4～5世紀のウシの骨製の笛と、鍵付きの銅環。[Hürriyet Daily News]
ベルギー: オーステンデ（Oostende；Ostend）のWalraversijdeにあった後期中世の漁業集落で男根形土器5点が出土。類例はポーランド、ドイツ、オーストリア、オランダ、ベルギー、イギリスで出土。Walraversijdeの男根形土器は、15世紀に船を祝福する特別な祭りで用いたと推定。後期中世のフランドルの船乗りにとって、男根が魔除け（apotropaion）とみなされていた。
cf. Marnix J. Pieters (2021) Five Phallic Ceramic Vessels from the Late Medieval Fishing Settlement of Walraversijde (Ostend, Belgium) in Context. International Journal of Nautical Archaeology [Taylor & Francis Online]
フランス: グラン・テスト地域圏（Grand Est）オー＝ラン県（Haut-Rhin）モルシュヴィラー＝ル＝バ（Morschwiller-le-Bas）で中石器時代・紀元前9000年の遺跡。また、後期新石器時代・紀元前3500年～前3100年の集団墓。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Des campements de chasseurs-cueilleurs et un monument funéraire du Néolithique final à Morschwiller-le-Bas (Haut-Rhin)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2021年12月3日（金）

沖縄県: 中城村・中城城跡（なかぐすくじょうせき）の「一の郭」から、14世紀のアオウミガメの甲羅。「南の郭」では鍛冶の際に生じる「粒状滓」など。[琉球新報]
▼中城城跡関連記事→2019年1月24日
韓国: 珍島郡・鳴梁海峡の鳴梁大捷路海域で、水中発掘調査。陶磁器、碇石など発見。国立海洋文化財研究所の調査。調査地点は1597年に李舜臣が倭軍を破った「鳴梁大捷」の故地に近く、潮流が速い[聯合ニュース]
中国: 中国の古琴（guqin、七弦琴）7個から得られた木材試料20個を分析。文献の記された樹種と同じものが同定されたが、それぞれの樹種の使用部位には文献と齟齬。
cf. Wenjie Cai, Yu-Kai Cheng, Hsiao-Han Tseng, Hwan-Ching Tai, Sheng-Fong Lo (2022) Identification and characterization of wood from antique Chinese guqin zithers. Journal of Cultural Heritage, Volume 53, January–February 2022, Pages 72-79 [ScienceDirect]
トルコ: アドゥヤマン県（Adıyaman ili）の古代都市ペッレ（Πέρρη；Perrhe；Perre）で、1600年前の織物工房。毛から縄を作るとき重りにした石も出土。[Anadolu Ajansı]
▼古代都市ペッレ関連記事→2021年11月23日
トルコ: アイドゥン県（Aydın il）クシャダス（Kuşadası）のカドゥカレシ遺跡（Kadıkalesi；Kadı Castle）＝古名アナイア（Ἄνναια；Anaia）で、ビザンティン時代・5世紀の洗礼堂。[Hürriyet Daily News]
▼カドゥカレシ遺跡関連記事→2021年5月7日
ハンガリー: Borza-Major地域で、モハーチの戦い（Mohácsi csata；Battle of Mohacs）の場所を特定。モハーチの戦いは、1526年にスレイマン1世（Suleyman the Magnificent）のオスマン帝国軍とラヨシュ2世（II. Lajos；Louis II）のハンガリー軍が戦った戦い。ハンガリーがオスマン帝国の支配下に入るきっかけとなった。[Anadolu Ajansı]
ペルー: ラ・リベルター県（Región La Libertad；La Libertad region）のチカマ渓谷（Chicama）にあるケブラダ・エル・オソ（Quebrada El Oso）で、チムー時代（Chimú）・600年前～500年前の集落と農地。
Hallazgo de sitio arqueológico en valle Chicama destaca labor agrícola de la cultura Chimú[Universidad Nacional Mayor de San Marcos]

2021年12月2日（木）

長野県: 松本市・松本城南外堀跡で、護岸や敵からの攻撃を防ぐために打ち込まれたとみられるくい列。松本市教育委員会の調査。[中日新聞]
奈良県: 明日香村・飛鳥京跡苑池（あすかきょうあとえんち：第15次調査）で、北池と水路の接続構造が判明。細い石組み溝を通じて北池と接続。奈良県立橿原考古学研究所12/2発表。[共同通信]
12/4-5現地説明会。
史跡・名勝　飛鳥京跡苑池第15次調査現地説明会のご案内[奈良県立橿原考古学研究所]
▼飛鳥京跡苑池関連記事→2020年10月28日
鳥取県: 米子市・大山町の妻木晩田遺跡（むきばんだいせき）にある仙谷1号墓（せんたにいちごうぼ）で、北西隅の突出部から貼石などを確認。出雲地域の王墓との関連をうかがわせる。弥生時代後期中葉の四隅突出型墳丘墓。鳥取県立むきばんだ史跡公園12/1発表。12/4現地説明会。[日本海新聞]
令和３年度史跡妻木晩田遺跡発掘調査現地説明会を開催します[鳥取県立むきばんだ史跡公園]
韓国: 江華郡仙源面冷井里の江華中城で、城外に突出した構造の防御施設「雉城」を19mにわたり確認。現存する高麗時代の雉城として最大。瓦、礎石なども出土。高麗時代・13世紀にモンゴルの侵略に備えて築造された城。国立江華文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
▼江華中城関連記事→2020年11月4日
韓国: 忠清南道礼山郡・伽倻寺跡（第8次調査）で、高麗時代前期～朝鮮時代中期の建物跡、塔の玉蓋石、仏像など。塔は、南延君（1788～1836）の墓を造るとき破壊されていた。『梅泉野録』には、興宣大院君（1821～1898）が伽倻寺の塔を撤去して、父である南延君をその地に移葬したと記す。[中島日報]
韓国: 慶尚南道固城郡固城邑東外里・東外洞貝塚で、三韓～三国時代の貝殻層1か所、住居跡17棟、溝状遺構1条、竪穴5基、朝鮮時代の墓1基。頂上部を囲む溝は環濠と推定。小伽耶の成立以前から成立以後にわたる発展史を示す。[聯合ニュース]
中国: 江西省南昌・前漢海昏侯劉賀墓の食糧倉庫で、食用植物5種を確認。イネ、アワ、アサ、マクワウリ、ウメ。被葬者劉賀の遺体の中からも少量のマクワウリの種子。[環球網]
▼前漢海昏侯劉賀墓関連記事→2016年9月5日
イスラエル: ハイファ（Haifa）で、古代ギリシャ・2500年前のコリント式の青銅製冑。この冑を身に着けたギリシャ艦隊の兵士は、紀元前479年にペルシャへの反撃に加わっていた可能性。[Greek Reporter]
キプロス: ハラ・スルターン・テケ（Hala Sultan Tekke）近くで、青銅器時代の墓から、紀元前1350年ごろのエジプト製の宝飾品。
Gold jewellery from the time of Nefertiti found in Bronze Age tombs in Cyprus[Göteborgs universitet]
▼ハラ・スルターン・テケ関連記事→2020年12月5日
ポーランド: ヴァルミア＝マズールィ県（Województwo warmińsko-mazurskie）ウクタ（Łukta）の干上がった湖の底から、青銅器時代または初期鉄器時代の鏃。木製の矢柄が遺存。[Nauka w Polsce]
▼ヴァルミア＝マズールィ県（Województwo warmińsko-mazurskie）オストルダ郡（powiat ostródzki；Ostróda County）
デンマーク: イーデール市（Egedal）のスメーロム（Smørum）のスヴェン王羨道墳（Kong Svends Høj）で、ローマ時代・4世紀末の若い女性の墓。[Kroppedal Museum]
タンザニア: ラエトリ（Laetoli）で1978年に発見されたA地点の足跡を再発掘。初期のヒト属のものと判明。[SciTechDaily]
cf. Ellison J. McNutt, Kevin G. Hatala, Catherine Miller, James Adams, Jesse Casana, Andrew S. Deane, Nathaniel J. Dominy, Kallisti Fabian, Luke D. Fannin, Stephen Gaughan, Simone V. Gill, Josephat Gurtu, Ellie Gustafson, Austin C. Hill, Camille Johnson, Said Kallindo, Benjamin Kilham, Phoebe Kilham, Elizabeth Kim, Cynthia Liutkus-Pierce, Blaine Maley, Anjali Prabhat, John Reader, Shirley Rubin, Nathan E. Thompson, Rebeca Thornburg, Erin Marie Williams-Hatala, Brian Zimmer, Charles M. Musiba & Jeremy M. DeSilva (2021) Footprint evidence of early hominin locomotor diversity at Laetoli, Tanzania. Nature [Nature]
▼ラエトリ関連記事→2013年3月20日
メキシコ: メキシコシティ（Mexico City）のガリバルディ広場（Plaza Garibaldi）でスペインによる征服後・1521～1610年のメヒカの建物跡。人骨と、土器13点出土。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。[El Español]
アルゼンチン: カタマルカ州（Provincia de Catamarca）ビジャビル2遺跡（Villavil 2）で出土した、インカ様式（Inka）とベレン様式（Belén）の土器に見られる顔料を分析。赤色顔料は同地域のヘマタイト（hematite；α-Fe2O3）を用い、酸化炎焼成で600度程度。また、マンガン酸化物由来の鉱物の存在から、黒色顔料は無機質由来と示唆。
cf. Julieta Lynch, Virginia Lynch, Jorge Alberto Güida, M. Elizabeth Chacón Villalba (2021) Pigment identification of prehispanic ceramics during Inka occupation (Catamarca, Argentina) using non-invasive spectroscopy (Infrared-Raman). Vibrational Spectroscopy [ScienceDirect]

2021年12月1日（水）

北海道: 旭川市・永山4遺跡で、縄文時代晩期～続縄文時代初頭に、東北地方の亀ヶ岡式土器やイノシシの骨。100基を越える墓。旭川市教育委員会の調査。[朝日新聞]
東京都: 八王子市・八王子城跡御主殿で、敷石水路が西側に伸びていると確認。敷石状遺構、明（中国）から輸入された磁器の皿、瀬戸・美濃産の皿や擂鉢、銭貨なども。八王子市教育委員会の調査。12/4見学会。
八王子城跡御主殿で発掘調査および見学会を行います[八王子市]
▼八王子城跡御主殿関連記事→2020年11月26日
三重県: 鈴鹿市・富士山1号墳（ふじやまいちごうふん）で、周溝や造出を確認。葺石や埴輪も出土。5世紀後半の帆立貝式古墳、64m。鈴鹿市考古博物館の調査。12/11現場公開。
富士山１号墳発掘調査現場の公開について[鈴鹿市考古博物館]
▼富士山1号墳関連記事→2021年9月30日
京都市: 伏見区・JR桃山駅前で、初期伏見城（指月城）の石垣。推定範囲より外側での発見。公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所の調査。[京都新聞]
京都府: 福知山市・稚児野遺跡（ちごのいせき）で、後期旧石器時代前半・36000年前の環状ブロック群。石器群が円形に分布し、石器を作った後とみられる。石器のほとんどはナイフ形石器。稚児野遺跡は当時の狩猟キャンプ跡とみられる。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター11/30発表。12/4,6現地説明会。[朝日新聞]
稚児野遺跡現地説明会のご案内[公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター]
▼稚児野遺跡関連記事→2020年11月26日
中国: 四川省遂寧市射洪市天仙鎮双廟村で、宋時代の窯跡。[中国新聞網]
イラン: フーゼスターン州（Ostān-e Khūzestān）・ランホルモズ（Ramhormoz）で、エラム時代（Elam）の粘土板。楔形文字を記す。[Tehran Times]
パレスチナ（ヨルダン川西岸地区）: ヘブロン（Hebron）近くのテル・ジーフ（Tel Zif）で出土した石弾（sling stone）に、ギリシャ語の銘文。セレウコス朝（Seleucid）の王ディオドトス・トリュフォン（Διόδοτος Τρύφων；Diodotus Tryphon；在位紀元前142～前138年）の名と、ゼウス神（Ζεύς；Zeus）のシンボルを示す。ディオドトス・トリュフォンは、ユダヤ人のハスモン朝（Hasmoneans）と対抗した王で、石弾も2000年前のユダヤ人の抵抗に対して使用。[Greek City Times]
イスラエル: ヤヴネ（Yavne）で、1～3世紀の建物跡。ユダヤの計量カップ出土。また、ユダヤの賢者を葬ったと見られる墓地。ユダヤ人の最高法院サンヘドリン（Sanhedrin）がヤヴネに置かれていたころの遺構。[Heritage Daily]
トルコ: カラビュック県（Karabük il）の古代都市ハドリアノポリス（Hadrianopolis）で、ビザンティン帝国・4世紀の棹秤の重り。円盤状で、銘文「Θεόδωρος, αξιωματούχος του αυτοκρατορικού θησαυροφυλακίου」から、帝国の国庫の管理人テオドロスのものと判明。[Anadolu Ajansı]
▼ハドリアノポリス関連記事→2021年11月23日
ドイツ: ベルンブルク（Bernburg）で青銅器時代の墓から人骨。[Mitteldeutsche Zeitung]
▼ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ザルツラント郡（Salzlandkreis）
オランダ: ハーグ（Den Haag；The Hague）の国会議事堂ビネンホフ（Binnenhof）の地下で、中世・13世紀の建物基礎。ホラント伯フロリス5世（Floris V）の時代に当たる。
Middeleeuwse fundering op Binnenhof[Den Haag]
フランス: イル＝ド＝フランス地域圏（Île-de-France）セーヌ＝エ＝マルヌ県（Seine-et-Marne）ムラン（Melun）で、ガロ＝ローマ時代のタイル窯。古代都市メロドゥヌム（Melodunum）の近く。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Un four de tuilier gallo-romain à Melun (Seine-et-Marne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
UK（イングランド）: ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）・ダーリントン・ウォールズ（Durrington Walls）で出土した新石器時代・紀元前2500年の炭化した植物遺体から見て、ストーンヘンジの建築労働者は、コムギ、ベリーやハシバミ、動物性脂肪で作ったケーキのようなものを食べていた。レシピも掲載。[The Guardian]

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