考古学のおやつ/NEWSLINK

2022年2月20日（日）

埼玉県: 川越市・日本聖公会川越基督教会の礼拝堂の定礎石内部から、100年前の聖書や祈祷書など。礼拝堂は1921年に建設。[朝日新聞]
岡山県: 赤磐市・斎富遺跡（さいどみいせき）で、古墳時代・7世紀とみられる製鉄、鍛冶関連の遺物。赤磐市教育委員会の調査。[読売新聞]
▼斎富遺跡関連記事→2022年1月11日

2022年2月19日（土）

兵庫県: 丹波市・黒井城跡（くろいじょうあと）の登山道沿いや、山頂の遺構を守るために丹波市が設置している木の杭が、頻繁に抜かれる事案が発生。[丹波新聞]
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）シヴァガンガイ県（Sivaganga district）キーラディー（Keeladi；Keezhadi）で、象牙で作られた長方形のサイコロ。4.5cm × 0.9cm × 0.9cm。4つの面にそれぞれ1個、2個、3個、4個の円を表す。[The Times of India]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya il）マナヴガト郡（Manavgat）のスィデ水中博物館（Side Underwater Museum）はメンテナンスの欠如と密猟者の投錨により、ひどい状態に。[Hürriyet Daily News]
ハンガリー: ドナウ川・ティサ川の河間地域（Duna-Tisza Interfluve）に位置するアヴァール時代（Avar）・8世紀のキシュクンドロジュマ・ケッテーシュハタール1墓地（Kiskundorozsma–Kettőshatár I）で出土した、ハンセン病の症状がみられる中年男性の人骨KK61について報告。症状が明らかな一方で、ほかの人とともに墓地に葬られていることから、生前は手厚く介護され、死後も共同体の一員として取り扱われていたとみられる。
cf. Olga Spekker, Balázs Tihanyi, Luca Kis, Csaba Szalontai, Tivadar Vida, György Pálfi, Antónia Marcsik, Erika Molnár (2022) Life and death of a leprosy sufferer from the 8th-century-CE cemetery of Kiskundorozsma–Kettőshatár I (Duna-Tisza Interfluve, Hungary)—Biological and social consequences of having Hansen’s disease in a late Avar Age population from Hungary. PLoS ONE 17(2): e0264286. [PLOS ONE]

2022年2月18日（金）

愛知県: 西尾市・巨海南古墳（こみみなみこふん）の石室内から須恵器など出土。古墳時代終末期・7世紀半ばの古墳。西尾市教育委員会2/16発表。[中日新聞]
愛媛県: 愛南町・平城貝塚（第8次調査）で、縄文時代後期の柱穴の中に、調理具の石皿を安置して埋め戻した形跡。愛南町教育委員会の調査。[愛媛新聞]
▼平城貝塚関連記事→2013年3月24日
鹿児島県: 喜界町で、飛行機の一部とみられる残骸。戦時中の米軍機の可能性。喜界町教育委員会の調査。[南海日日新聞]
韓国: 慶尚南道山清郡生草古墳群のM32号墳で穹窿天井を持つ横穴式石室。典型的な宋山里形の石室で、百済地域の古墳にみられるもの。山清は慶尚南道の内陸部で、大加耶の勢力範囲。[ハンギョレ]
中国: 貴州省畢節市織金県金竜郷斉心村で、清時代の「碗葬墓」。1000点以上の碗で墓室を作る。[中国新聞網]
中国: 新疆ウイグル自治区の奎玉克協海爾古城（Kuiyukexiehai'er；Koyuk Shahri）は、放射性炭素年代で、紀元前8世紀～前1世紀に使用と判明。4時期にわかる変遷もとらえられる。ト骨には黄河流域の青銅器時代のものと共通点が見られ、動物形の帯金具のような草原地帯の伝統を示す遺物も。動物遺体や植物遺体からみて、牧畜と農耕を行っていた。従来は漢時代の遺跡とみられていたが、漢の勢力拡大以前に、タミル盆地として最古の都市と言える。
cf. Zhihao Dang, Chunchang Li, Xiangpeng Zhang, Youcheng Xu, Yue Li, Duo Tian and Chengrui Zhang (2022) Early urban occupation in the Tarim Basin: recent fieldwork results from the fortified site of Kuiyukexiehai'er (Koyuk Shahri). Antiquity, First View, pp. 1 - 8 [Cambridge Core]
中国: タリム盆地のトゥルファン（吐魯番；Turfan）・洋海墓群（Yanghai Tombs）で出土した3200年前～3000年前のズボンに、アジア各地の文化の影響を受けた織り方や文様。[ScienceNews]
cf. Mayke Wagner, Moa Hallgren-Brekenkamp, Dongliang Xu, Xiaojing Kang, Patrick Wertmann, Carol James, Irina Elkina, Dominic Hosner, Christian Leipe, Pavel E. Tarasov (2022) The invention of twill tapestry points to Central Asia: Archaeological record of multiple textile techniques used to make the woollen outfit of a ca. 3000-year-old horse rider from Turfan, China. Archaeological Research in Asia, Volume 29, March 2022, 100344 [ScienceDirect]
▼洋海墓群関連記事→2020年10月1日
パラオ: 「パラオのピラミッド」（Pyramids of Palau）では、風化した火山岩に大量の土器片を混ぜて基壇を作り、上層に腐植土を置いて栽培をおこなったことが判明。[Heritage Daily]
セルビア: ヴォイヴォディナ自治州（Војводина；Vojvodina）のシャイカシュカ（Шајкашка；Šajkaška）で2基の墳丘墓を調査。5000年前の身長1.8mのたくましい男性人骨が、黄土に着色されて出土。ロシアやウクライナなど、ヨーロッパの東部の草原出身。ヤムナ文化（Yamnaya culture）に属す。シャイカシュカはユーラシアのステップ地帯の西端に当たる。[Nauka w Polsce]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ジュラ県（Jura）ショワゼ（Choisey）で、中石器時代の居住跡。フリントの集中出土地点が50か所。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Les chasseurs-cueilleurs de Choisey (Jura)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2022年2月17日（木）

香川県: 丸亀市・快天山古墳（かいてんやまこふん）後円部の2号石棺を72年ぶりに検出。前方部では埴輪片出土。丸亀市の調査。2/27現場公開。
史跡快天山古墳発掘調査現場を公開します[丸亀市]
▼快天山古墳関連記事→2004年5月21日
韓国: 益山の益山双陵は、「小王陵」→「大王陵」の順で作られたと推定。百済の王陵級の古墳。小王陵は、排水施設や護石など、扶余の王陵級古墳を忠実に踏襲しているため。大王陵には排水施設や護石がない一方、益山・弥勒寺の西塔（639年）に用いられたものと同様の南朝尺が用いられている。[聯合ニュース]
▽「大王陵」が百済王陵なら、被葬者の候補は武王（在位600～641年）だけに。
アラブ首長国連邦: アブダビ首長国（Abu Dhabi）のガーガー島（Ghagha）で、8500年前の遺跡。石で築いた円形の建物跡などを発見。従来説より500年前に定住生活。従来は新石器時代の海上交易の発達により、定住がはじまると考えられていた。[Gulf News]
トルコ: マルディン県（Mardin il）オウズ（Oğuz）の古代都市ダラ（Dara；Δάρας）で、6世紀のオリーブ工場。[Arkeonews]
▼古代都市ダラ関連記事→2022年1月12日
スペイン: ブルゴス県（Provincia de Burgos）レイノソ（Reinoso）にあるエル・ペンドン（El Pendón）の巨石墓ドルメン（Dolmen）で出土した100体の遺体のうち、新石器時代・5300年前の女性の頭蓋骨に外科手術の痕跡。手術後も生存。フリント製の石器のうち、骨を着た痕跡のあるものや、300～350度で再加熱したものもあり、手術に用いられた石器の可能性も。[The Jerusalem Post]
中耳炎（otitis media）や乳様突起炎（mastoiditis）の傷みを除去するための乳突削開術（mastoidectomy）による外科手術の痕跡。
cf. Sonia Díaz-Navarro, Cristina Tejedor-Rodríguez, Héctor Arcusa-Magallón, Juan Francisco Pastor-Vázquez, Jaime Santos-Pérez, Israel Sánchez-Lite, Juan Francisco Gibaja-Bao, Rebeca García-González & Manuel Rojo-Guerra (2022) The first otologic surgery in a skull from El Pendón site (Reinoso, Northern Spain). Scientific Reports, volume 12, Article number: 2537. [Scientific Reports]
ノルウェー: Sandgrovskaretで、トナカイ猟のときに身を隠すために岩で半円形に作ったハンティングブラインド（hunting blind）40基。融けた氷から鏃なども出土。[Science Norway]
UK（イングランド）: エクセター大聖堂（Exeter Cathedral）の地下の堆積層を2か所で調査。後期ローマ時代と初期中世のヒトの活動を知る手がかりに。
▶ Richard I. Macphail, Chris J. Carey and John P. Allan (2022) Contrasting the use of space in post-Roman Exeter: geoarchaeology of dark earth and medieval deposits below Exeter Cathedral. Antiquity, First View, pp. 1 - 7. [Cambridge Core]

2022年2月16日（水）

静岡県: 磐田市・野際遺跡（のぎわいせき）で、古墳時代前期の木製のすき。磐田市教育委員会の調査。[中日新聞]
台湾: 台湾の鉄器時代の遺跡から出土したミネラルソーダアルミナガラス（Mineral soda alumina glass）を分析。低温で生産され、赤・オレンジ・青・緑のガラスには銅を基本とした着色料が、黄と緑のガラスには酸化スズ鉛の着色料が用いられた。ガラス生産と銅生産の間の関わりも示唆。ミネラルソーダアルミナガラスはインド・太平洋地域に一般的で、南アジアで生産され、広く交易されたとみられる。鉄器時代の台湾では紀元1千年紀前半から見られる。
cf. Kuan-Wen Wang, Yoshiyuki Iizuka, Caroline Jackson (2022) The production technology of mineral soda alumina glass: A perspective from microstructural analysis of glass beads in Iron Age Taiwan. PLoS ONE, 17(2): e0263986.[PLOS ONE]
オマーン: ザーヒラ行政区（Governorate of A’Dhahirah）イブリー州（Wilayat of Ibri）のバット遺跡（Bat）で、ウンム・アン＝ナール文化（Umm an-Nar）・紀元前3千年紀の炉や焼けた種子。[Oman News Agency]
▼バット遺跡関連記事→2020年8月28日
ドイツ: トレンセ川（Tollense）で見つかった2700年前の青銅製の小像は、初期北欧の重りの可能性。交易路に沿って出土。バルト海周辺で都合13体の出土例。[The New York Times]
後期青銅器時代第5期～第6期に当たり、重量155gで、当時の基準とされる26gの倍数。
cf. Thomas Terberger, Ronald Borgwardt, Joachim Krüger, Sebastian Lorenz, Jens-Peter Schmidt and Lorenz Rahmstorf (2022) Worship or weight? A Bronze Age ‘goddess with a necklace’ from River Tollense (NE Germany). Praehistorische Zeitschrift. [De Gruyter]
ドイツ: ドレスデン（Dresden）で再発見された、バロック時代（Baroque）のジャン・ロレンツォ・ベルニーニ（Gian Lorenzo Bernini；1598～1680年）が造った大理石製の頭蓋骨を解剖学的に分析。ヨーロッパの成人男性を解剖学的に正確に再現。
Forensic Anthropological Analysis Performed on Baroque-period Marble Sculpture[Boston University School of Medicine]
cf. James T. Pokines, Claudia Kryza-Gersch & Victoria S. Reed (2022) Forensic anthropological analysis of a skull sculpture by Gian Lorenzo Bernini. The Seventeenth Century [Taylor & Francis Online]
ノルウェー: オスロ（Oslo）の中世公園（Middelalderparken）で、昨年ハヤブサ像が出土したのと同じ層から、同遺跡3例目のルーン文字の銘文。13世紀の長さ11.4cmの木片に8文字を刻む。銘文のうち、人名「asbin」は、古いノルウェー語では一般的な男性の名「Ásbjǫrn」（アスビョルン）を表し、さらに「á mik」（私を所有する）の文字。木片の形から見て、所有物につけて自分の所有物であることを示した。商取引に関係している可能性。ノルウェー文化遺産局（NIKU：Norsk institutt for kulturminneforskning）の調査。
Ásbjǫrn á mik – nytt runefunn fra Oslo [NIKU]
▼オスロの中世公園関連記事→2021年12月30日
ペルー: カハマルキリャ（Cajamarquilla）で、800年～1200年ごろの墓の入り口に子供のミイラ6体と大人の遺体7体。墓から昨年11月に見つかったミイラの道連れとして生贄にされたとみられる。
Investigadores de la UNMSM encuentran momias de niños y restos de personas adultas junto a tumba de la momia de Cajamarquilla[UNMSM]

2022年2月15日（火）

沖縄県: 60年にわたり沖縄戦の犠牲者の遺骨や遺品を収集してきた国吉勇さんが、持ち主がわからない大量の遺留品を保管してきた資料館が、閉館することに。遺留品の大半は沖縄県平和祈念資料館に寄贈。火薬を含むものなどは自衛隊が回収し、処分へ。[NHK]
中国: 江蘇省連雲港市海州区で、唐時代の大型建物の基壇。また、魏晋南北朝から清代までの墓44基。[中国社会科学院考古研究所]
インドネシア: 東ジャワ州（Jawa Timur；East Java）モジョケルト県（Mojokerto）ソーコ郡（Sooko）グムカン村（Gemekan）の寺院跡から、安山岩に刻まれた古マタラム王国（Kerajaan Mataram；Mataram Kingdom）・930年のジャワ語の碑文。ムプ・シンドク王（Mpu Sindok）の治世に当たり、王は都を中部ジャワから東部ジャワに移したことで知られる。[The Jakarta Post]
パキスタン: カイバル・パクトゥンクワ州（Khyber Pakhtunkhwa）スワビ地区（Swabi）のバホ・デリ村（Baho Dheri）で、ガンダーラ時代（Gandhara）・1800年前のストゥーパ（stupa）や、等身大の釈迦像などの仏教遺物。[Daily Sabah]
イラク: ニネヴェ（Nineveh）でのISISによる破壊について、衛星画像、航空写真、および地上での調査。建設やゴミ廃棄などによる意図的な遺跡破壊がより広い範囲に及ぶと判明。
cf. Stefano Campana, Matteo Sordini, Stefania Berlioz, Massimo Vidale, Rowaed Al-Lyla, Ammar Abbo al-Araj and Alessandro Bianchi (2022) Remote sensing and ground survey of archaeological damage and destruction at Nineveh during the ISIS occupation. Antiquity, First View, pp. 1 - 19 [Cambridge Core]
トルコ: イズミル県（İzmir il）ベルガマ郡（Bergama）のベルガマ遺跡（Bergama）＝ペルガモン遺跡（Πέργαμον；Pergamon）で、紀元前5世紀の城壁。高さ4～5m。[Arkeonews]
スウェーデン: ゴットランド島（Gotland）のルーマ（Roma）で、ローマ教皇ヨハネス22世（Pope John XXII）の鉛製印章（bull）。書簡に伴うものとみられる。また、中世・15世紀半ばの銅合金の印章。[svt]
ヨハネス22世は1334年4月28日にゴットランド島に書簡を送ったことが知られており、教皇の #印章はこの時のものとみられる。ゴットランド島の中世の議会「Thing」の所在地の手がかり。[Sputnik]
UK（イングランド）: ブリストル（Bristol）のヘングローヴ（Hengrove）で、ローマ時代・4世紀中ごろの硬貨309枚。青銅製と、青銅鍍銀製。皇位簒奪者マグネンティウス（Magnentius）やデケンティウス（Decentius）の硬貨を含む。360年ごろまでに埋納と推定。Cotswold Archaeologyの調査。
A Roman coin hoard from Hengrove, Bristol[Cotswold Archaeology]
アイルランド: ロングフォード州（County Longford）エッジワースタウン（Edgeworthstown）のカムリスク・ベグ（Camlisk Beg）で2017年に出土した鎖帷子ホーバーク（hauberk）は、中世のものとみられていたが、マンガン濃度や細部の構造から見て、19世紀に作られたレプリカとの説。[Shannonside FM News]
▼ロングフォード州の鎖帷子関連記事→2021年8月21日
チリ: チリ北部海岸の大型墓コパカ1遺跡（Copaca 1）で出土した新石器時代・5000年前の35～45歳の男性の骨を調査。骨の状態から漁師と推定。骨髄から藻類、寄生虫の卵、堆積物など、浅い海水でおぼれて死んだことを示す微小物質を確認。彼以外の被葬者には同様の証拠は見つからず、大規模災害ではなく、彼のみが海難事故に遭ったと推定。
Enhanced forensic test confirms Neolithic fisherman died by drowning[University of Southampton]
cf. Pedro Andrade, James Goff, Richard Pearce, Andrew Cundy, David Sear, Victoria Castro (2022) Evidence for a mid-Holocene drowning from the Atacama Desert coast of Chile. Journal of Archaeological Science, Volume 140, April 2022, 105565 [ScienceDirect]

2022年2月14日（月）

インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）ティルッパットゥール郡（Tirupattur）ヴァーニヤンバーディ（Vaniyambadi）にあるイェーラギリの丘（Yelagiri）の麓で新石器時代・5000年前の石斧など。[The New Indian Express]
▼タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）ヴェールール県（Vellore district）ティルッパットゥール郡（Tirupattur）
クロアチア: フヴァル島（Hvar）のフヴァル（Hvar）旧市街で、ローマ時代・2世紀のモザイク。ウルバナ（Urbana）の邸宅の一部。[Arkeonews]
イタリア: ロンバルディア州（Regione Lombardia）マントヴァ県（Provincia di Mantova）サン・マルティーノ・ダッラルジネ（San Martino dall'Argine）で、後期ローマ時代・5世紀の墓11基。カップッチーナ型墓を特徴づける、レンガの覆いをもつ。近隣に同時代の集落があった可能性。[Corriere della Sera]
▽カップッチーナ型墓は、レンガを切妻屋根のように組み合わせて組み立てた墓。カプチン・フランシスコ修道会の頭巾が名の由来。
UK（イングランド）: チェシャー州（the county of Cheshire）チェスター（Chester）・ポールトン（Poulton）のディー川（River Dee）沿いで、鉄器時代のケルト人の集落。円形住居の周囲を深い溝で囲み、溝はゴミ捨て場として利用。保存状態の良い多数の遺物出土。鉄器時代の集落について、イングランド北西部ではほとんど知られていなかった。[Daily Mail]
Dazzling Iron Age discovery[Liverpool John Moors University]
エジプト: ツタンカーメン王（Tutankhamen）の墓から1925年に出土した紀元前14世紀の鉄剣を分析。10-12wt%のニッケルや硫化鉄を含み、隕鉄オクタヘドライト（octahedrite）が原材料。低温鍛造により製造されたと判明。金の柄にカルシウムが含まれていることから、装飾物の接着に漆喰を使用。エジプトでの漆喰の使用はツタンカーメン王の時代の1000年以上後。アマルナ文書を根拠に、金の柄はミタンニ（Mitanni）から持ち込まれた可能性。
ツタンカーメンの鉄剣の製造方法と起源の特定に成功
 ツタンカーメンの鉄剣の製造方法と起源の特定に成功（pdf）[千葉工業大学]
cf. Takafumi Matsui, Ryota Moriwaki, Eissa Zidan, Tomoko Arai (2022) The manufacture and origin of the Tutankhamen meteoritic iron dagger. Meteoritics and Planetary Science [Wiley Online Library]
USA: アリゾナ州（State of Arizona）サンタクルーズ郡（Santa Cruz County）で、1540年のスペイン人フランシスコ・コロナード（Francisco Coronado；1510～1554年）の探検に関連した遺物。青銅製のウォール・ガン（wall gun）、クロスボウの矢や釘、蹄鉄、拍車、剣の鋒、鎖帷子の破片など。[CBS]

2022年2月13日（日）

台湾: 苗栗県（Miaoli）竹南鎮（Jhunan）山佳里（Shanjia）で芝山岩文化（Chih Shan Yen culture）・3200年前～2000年前の土器や石器など。[Taipei Times]
バーレーン: ムハッラク島（Muharraq）のアッ・サーイヤー島（Jazīrat as Sāyah；Al Sayah Island）が、1200年前の人工島だったことが判明。湧水の周囲に貯水池を作って周囲を壁で囲む。7～8世紀の土器が出土し、初期イスラーム時代にさかのぼる給水地。[Arkeonews]
UK（イングランド）: ケント州（the county of Kent）ジリンガム（Gillingham）のグランジ・ファーム（Grange Farm）では、後期鉄器時代・紀元前100年ごろに居住が始まり、ローマ時代・1世紀後半に小規模な農村集落が確認でき、5世紀に廃絶。酸化鉛リサージ（litharge）15kgが出土。灰吹法（cupellation）で銀を抽出した副産物で、銀生産の証拠。銀を何に使用していたのかは不明。また、身分の高い女性を葬った霊廟と鉛棺。ローマ帝国の撤退後、シマフクロウ（tawny owl）に占拠されていた。6世紀にアングロ・サクソン人が到来した痕跡はあるが、居住はせず。[Kent Online]

2022年2月12日（土）

長野県: 松本市・県町遺跡（第22次調査）で、平安時代の黒曜石製の帯飾「丸鞆」。黒曜石製の帯飾は県内初。県町遺跡は弥生時代～平安時代の大規模集落。平安時代については信濃国府推定地の一つ。松本市教育委員会の調査。[市民タイムスWEB]
▼県町遺跡関連記事→2020年9月1日
クロアチア: ラコヴィツァ（Rakovica）のバラチ洞窟（Barać）で、ムスティエ文化（Mousterian）のスクレイパー。ムスティエ文化はネアンデルタール人の石器文化とされている。[Croatia Week]
UK（スコットランド）: イースト・ダンバートンシャー（East Dunbartonshire）にあるローマ時代の砦、バーヒルフォート（Bar Hill Fort）が毀損される。違法な金属探査者による見られる多数の穴。ローマ帝国の北西の辺境に140年に建設されたアントニヌスの長城（Antonine Wall）には16の砦が知られているが、バーヒルフォートはそのひとつ。[Jersey Evening Post]
モロッコ: テマラ地域（Témara）にあるエル・ムナスラ洞窟（El Mnasra cave）のアフリカ中期石器時代（Middle Stone Age；MSA）の編年を検討。12万4000年前～10万4000年前の間に人類が存在。ムシロガイ科（Nassariidae）への穿孔が終わる6万2千年前～3万年前までアフリカ中期石器時代が及ぶ。
cf. Eslem Ben Arous, Anne Philippe, Qingfeng Shao, Daniel Richter, Arnaud Lenoble, Norbert Mercier, Maïlys Richard, Emmanuelle Stoetzel, Olivier Tombret, Mohamed Abdeljalil El Hajraoui, Roland Nespoulet, Christophe Falguères (2022) An improved chronology for the Middle Stone Age at El Mnasra cave, Morocco. PLoS ONE, 17(2): e0261282. [PLOS ONE]

2022年2月11日（金）

ギリシャ: アッティカ（Αττική；Attica）で紀元前450年～前440に作られた、エリート層の葬送に用いられる白地の土器を分析。白色のスリップに石膏（gypsum）を用いていたことを確認。イタリア、アグリジェント考古学博物館（Pietro Griffo archaeological museum）に所蔵のペルセウスのクラテル。従来、エリートの葬送祭祀に用いられる土器の白スリップの材質はよくわかっていなかった。
Archaeometric study confirms ancient Greeks used gypsum in white Attic vases[Chemistry World]
「フィアレーの画家」（Phiale Painter）が制作。
cf. Gabriella Chirco, Monica de Cesare, Giacomo Chiari, Sarah Maaß, Maria Luisa Saladino and Delia Francesca Chillura Martino (2022) Archaeometric study of execution techniques of white Attic vases: the case of the Perseus crater in Agrigento. RSC Advances, 2022,12, 4526-4535 [The Royal Society of Chemistry]
イタリア: シチリア島（Sicilia；Sicily）ジェラーチェ（Gerace）のローマ帝政期（Roman Empire）・5世紀の邸宅から出土した土器を分析。内面に形成された層から寄生虫の一種鞭虫（whipworm）の卵が検出され、おまる（chamber pot）と判明。同種の土器はしばしば貯蔵用と推定されていた。トイレやその周辺での出土が知られることから、おまるの可能性も指摘されていたが、証拠を欠いていた。[Heritage Daily]
cf. Sophie Rabinow, Tianyi Wang, Roger J. A. Wilson, Piers D. Mitchell (2022) Using parasite analysis to identify ancient chamber pots: An example of the fifth century CE from Gerace, Sicily, Italy. Journal of Archaeological Science: Reports [ScienceDirect]
オランダ: ユトレヒト大学の蔵書に、1595年ごろにイエズス会出版が日本語で発行した図書。日本で伝道中のイエズス会は、1590年にヨーロッパから印刷機を導入し、経典を印刷した。1754年の大学図書館蔵書目録に日本語によるキリスト教の図書がリストアップされていたことから判明。ユトレヒト大学東方言語教授のクリスティアン・ラウエ（Christian Raue；1613～1677年）の旧蔵書。
Discovery of a unique book in Japanese script at Special Collections
A hitherto unknown Jesuit confessionary in Japanese language and script (c. 1595)[Universiteit Utrecht]
天草にある、イエズス会日本コレジオ（Collegio Iaponico Societatis Iesu）で出版されたらしい。[ユトレヒト大学の蔵書検索]
▽ユトレヒト大学図書館の蔵書として、請求すると普通に閲覧できそうなのがすごい。
アフリカ: アフリカの海岸地帯の貴重な遺跡が、人類が原因となった気候変動でますます危機にさらされている。自然遺産213か所、文化遺産71か所について、海面上昇の影響を推定。
cf. Michalis I. Vousdoukas, Joanne Clarke, Roshanka Ranasinghe, Lena Reimann, Nadia Khalaf, Trang Minh Duong, Birgitt Ouweneel, Salma Sabour, Carley E. Iles, Christopher H. Trisos, Luc Feyen, Lorenzo Mentaschi & Nicholas P. Simpson (2022) African heritage sites threatened as sea-level rise accelerates. Nature Climate Change [nature climate change]

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