2022年2月10日(木)
- 島根県
- 出雲市・旧海軍大社基地の主滑走路跡について、専門化の団体などが2/9出雲市長と初めて面談。市長は国史跡指定を目指すのは難しいと明言。島根考古学会の松本岩雄会長は「非常に残念。調査をしたうえで判断する文化財行政の手順を踏まず、先に結論を出していることが問題」と話し、引き続き保存を訴えていくとした。[朝日新聞]
- 山口県
- 山口市・周防鋳銭司跡(すおうのじゅぜんじあと:第7次調査)で、銭貨鋳造工房と考えられる大型建物跡と、その内部に銭貨を鋳造したと考えられる炉跡を検出。山口市と山口大学の調査。3/12現地説明会。[山口市]
▼周防鋳銭司跡関連記事→2020年10月27日 - 香川県
- 丸亀市・丸亀城三の丸で、石樋がつくられている様子や、櫓台の改修が明らかに。丸亀市教育委員会の調査。2/20現場公開。
丸亀城跡三の丸発掘調査現場を公開します[丸亀市]
▼丸亀城三の丸関連記事→1999年9月15日 - 鹿児島県
- 和泊町・「世之主の墓」で、墓室入口の右上部の石積み一部が崩落。樹木の根が石積みを内側から押し出す「はらみ」現象が原因。「世之主の墓」は、15世紀に #沖永良部 を統治した島主の墓。[奄美新聞]
- 中国
- 内モンゴル自治区 オルドス市(鄂爾多斯市) エジンホロ旗(伊金霍洛) エジンホロ鎮(伊金霍洛)・沙日塔拉遺跡で、朱開溝文化・4000年前の遺跡。住居跡8基や墳墓31基、道路2条など。[新華社]
- ベトナム
- タインホア省(Thanh Hoa)ビンロック県(Vinh Loc)にある胡朝の城塞(Ho Dynasty Citadel)で、陳朝(Tran Dynasty)〜胡朝(Ho Dynasty)の建物跡4棟、黎初朝(Le So)の建物2棟、黎中興朝(Le Trung Hung)の建物1棟。王宮の中心部に当たる可能性。[Sai Gon Giai Phong]
▼胡朝の城塞関連記事→2021年12月15日 - スロバキア
- トレンチーン県(Trenčiansky kraj;Trenčín Region)プリエヴィザ郡(okres Prievidza)トゥジナ(Tuina)のマラー・マグラの丘(Malá Magura)で、金採掘を証明する地質学的な証拠。採掘の道具や金属製ランプも。ランプは16世紀中ごろに金属製から土製に置き換わるので、年代推定の手がかりに。1393年にドイツ人が入植してトゥジナが建設されるころが、金採掘の最盛期と考えられていた。[The Slovak Spectator]
- フランス
- ローヌ川(Rhône)流域のマンドラン洞窟(Grotte Mandrin)で出土したヒト化石を報告。56800年前・51700年前に、ヨーロッパ最古のホモサピエンスがいた。ホモサピエンスの化石と、これに関連するネロン文化(Neronian)の石器を含む地層が、ネアンデルタール人化石とムスティエ文化の石器を含む地層に挟まれており、ネアンデルタール人とホモサピエンスで交代で居住していた。
cf. LUDOVIC SLIMAK, CLÉMENT ZANOLLI, TOM HIGHAM, MARINE FROUIN, JEAN-LUC SCHWENNINGER, LEE J. ARNOLD, MARTINA DEMURO, KATERINA DOUKA, NORBERT MERCIER, GILLES GUÉRIN, HÉLÈNE VALLADAS, PASCALE YVORRA, YVES GIRAUD, ANDAINE SEGUIN-ORLANDO, LUDOVIC ORLANDO, JASON E. LEWIS, XAVIER MUTH , HUBERT CAMUS, SÉGOLÈNE VANDEVELDE, MIKE BUCKLEY, CAROLINA MALLOL, CHRIS STRINGER, AND LAURE METZ (2022) Modern human incursion into Neanderthal territories 54,000 years ago at Mandrin, France. SCIENCE ADVANCES, Vol 8, Issue 6 [Science Advances] - フランス
- イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France) エソンヌ県(Essonne)コルベイユ=エソンヌ(Corbeil-Essonnes)のレ・タルトレIII遺跡(Les Tarterêts III)で、旧石器時代・マドレーヌ文化・23200年前〜14520年前の遺跡。
Du nouveau sur le site des chasseurs-cueilleurs des Tarterêts III à Corbeil-Essonnes (Essonne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(ウェールズ)
- モンマスシャー(Monmouthshire)カイルウェント(Caerwent)のローマ時代の都市ウェンタ・シルルム(Venta Silurum)の中心部にあるフォーラム・バシリカ(forum-basilica)は、2世紀前半に建設され、4世紀中ごろに再建。ウェンタ・シルルムの行政、司法、商業、宗教の機能。ローマ時代末期に改修されていることから、4世紀後半から5世紀にも市民の空間として使われ続けたとわかる。ローマに征服されたシルレス族(Silures)の歴史を示す。
cf. Peter Guest (2022) The Forum-Basilica at Caerwent (Venta Silurum): A History of the Roman Silures. Britannia, First View, pp. 1 - 41. [Cambridge Core]
▼ウェンタ・シルルム関連記事→2008年7月2日 - エジプト
- アブシール(Abusir)の第26王朝後半〜第27王朝前半・紀元前6世紀後半の墓地の西側から、ミイラづくりのための道具を納めるエンバーミング・キャッシュ(embalming cache)。5.3m×5.3mで、深さ14m以上の竪穴。ミイラづくりの道具などを入れた貯蔵用の大型土器370個を納める。同種の遺構として過去最大規模。チェコ・エジプト学研究所(Český egyptologický ústav;Czech Institute of Egyptology)の調査。
チェコ語 Největší mumifikační depozit objeven v Abúsíru
英語 The largest embalming cache ever found in Egypt unearthed at Abusir[Český egyptologický ústav] - USA
- サヴァンナ川(Savannah River)で、アメリカ独立革命(Revolutionary War)のころの大砲12門引き揚げ。昨年来、都合15門に。海峡をふさぐために沈められた英国の船か。アメリカ陸軍工兵隊(United States Army Corps of Engineers)発表。昨年3門が発見されたとき、英国海軍の戦艦ローズ号(HMS Rose)のものである可能性が指摘されたが、その後、沈没地点が異なり、しかもローズ号の大砲はあらかじめ取り外されていたとわかった。ヴィーナス号(HMS Venus)かサヴァンナ号(HMS Savannah)の可能性。[CNN]
▼サヴァンナ川関連記事→2021年3月15日
2022年2月9日(水)
- ウズベキスタン
- ギッサール山脈(Ҳисор тизмаси;Hissar Range)のカイナル・カマル岩陰遺跡(Kaynar Kamar)で、紀元前6千年紀に、西方の新石器化と時を同じくして食糧生産開始。新石器化が急速に広まったという仮説を指示。従来、中央アジアでは、トルクメニスタン南部のコペトダグ山脈(Kopet Dagh)の麓の紀元前7千年紀〜前6千年紀・ジェイトゥン文化(Jeitun culture)が新石器時代の幕開けとされているが、より西側の中央アジア中心地では実態がよくわかっていなかった。
cf. Yoshihiro Nishiaki, Otabek Aripdjanov, Saiji Arai, Chie Akashi, Hiroto Nakata, Bakhtiyor Sayfullayev, Odil Ergashev, Rustam Suleimanov (2022) Neolithization during the 6th millennium BCE in western Central Asia: New evidence from Kaynar Kamar Rockshelter, Hissar Mountains, Southeast Uzbekistan. Archaeological Research in Asia, Volume 30, June 2022, 100352 [ScienceDirect] - ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)オルテナウ郡(Ortenaukreis)エッテンハイム(Ettenheim)のアルトドルフ(Altdorf)で、古代末4〜5世紀の装身具や柱穴、スケート靴など。またソリの刃に使われたとみられる骨。ローマ人とアレマン人(Alamannen)が共存していた地域。[Badische Zeitung]
- UK(イングランド)
- シュロップシャー州(the County of Shropshire)オズウェストリー(Oswestry)のマイル・エンド(Mile End)で、第二次世界大戦当時の捕虜収容所(POW camp)。1940年から戦後の1948年まで使用され、ドイツの捕虜2000人を収容。収容者にとっては比較的快適な生活だったとされているが、使用済みの.303カートリッジからは、ライフルが発射されたことがわかり、溝や有刺鉄線は警備の強化を物語っている。Wessex Archaeologyの調査。
Archaeological excavation reveals life at a WWII British POW camp[Wessex Archaeology] - USA
- アリゾナ州(State of Arizona)南東部とニューメキシコ州(State of New Mexico)南西部のモゴヨン文化(Cultura Mogollón;Mogollon culture)の初期ピットハウス期(Early Pithouse period)・200〜700年の土器を中性子放射化分析(neutron activation analysis;NAA)し、土器とヒトの移動を研究。土器は必ずしも在地生産ではなく、土器とともにおそらくヒトも、遺跡間、地域内、地域間を移動していた。褐色土器と赤色スリップ土器の動きには違いも。
cf. Lori Barkwill Love, Jeffrey R. Ferguson & Darrell Creel (2022) Movement of Pots (and People) Across the Landscape: Insights from the Chemical Characterization of Mogollon Early Pithouse Pottery. KIVA [Taylor & Francis Online]
2022年2月8日(火)
- 群馬県
- 伊勢崎市・西上之宮遺跡(にしかみのみやいせき)で、中世の緡銭。永楽通宝や宋銭を100枚弱ずつ束ねたもの4束。公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団の調査。
西上之宮遺跡・樋越薬師遺跡(にしかみのみやいせき・ひごしやくしいせき)[公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団]
▼西上之宮遺跡関連記事→2021年3月11日 - 岐阜県
- 恵那市・毘沙門遺跡(びしゃもんいせき)で、縄文時代前期の土器埋設遺構24基。岐阜県文化財保護センターの調査。
毘沙門遺跡の発掘作業が終了しました[岐阜県文化財保護センター] - インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) チェンナイ(Chennai)のアッティランパッカム遺跡(Attirampakkam)で出土した植物遺体を研究。土壌中の植物化石と現代の134の植物種を分析し比較。草、スゲ(sedge)、ヤシ(palm)が確認される。
cf. Rathnasiri Premathilake, Kumar Akhilesh, K. Anupama, S. Prasad, Yanni Gunnell, G. Orukaimani, Shanti Pappu (2022) Issues of phytolith taphonomy at Palaeolithic sites: Investigation and results from Attirampakkam, India. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 42, April 2022, 103357 [ScienceDirect] - カシミール
- カシミール渓谷の新石器時代の考古資料とAMS年代を紹介。外来種を含む幅広い土地利用。穀物の大きさが時とともに小さくなり。耕作の範囲が産地に移動したためとみられる。
cf. Michael Spate, Mumtaz A. Yatoo, Hui Shen, Anil K. Pokharia, Mohammad Ajmal Shah, Alison Betts (2022) Cereal size, AMS and charcoal data from phase 1 of the Kashmir Prehistory Project. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 42, April 2022, 103369 [ScienceDirect] - トルコ
- ウルブルン(Uluburun)沖の地中海の沈没船から出土した後期青銅器時代・紀元前1300年のガラス塊を分析。ガラス塊は、すべてエジプト産。メソポタミアの遺跡でのエジプトガラスの最初の報告。また、同じ沈没船に積まれていたミュケナイのガラスビーズもエジプト産で、こちらの状況はエジプトのアマルナ(Amarna)の工房でのありかたに似る。アマルナの工房には、相当な量のメソポタミアのガラスがあったとみられる。
cf. James W. Lankton, Cemal Pulak, Bernard Gratuze (2022) Glass ingots from the Uluburun shipwreck: Glass by the batch in the Late Bronze Age. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 42, April 2022, 103354 [ScienceDirect] - ウクライナ
- 黒海北岸で新石器時代から青銅器時代までの土器30000点から植物圧痕をシリコンで型取りし、電子顕微鏡で観察。新石器時代の影響を部分的に受けていた時期(sub-Neolithic)の土器には穀物の確かな例は乏しく、紀元前6千年紀をさかのぼるわずかに例外的な農耕がある。フニダヴァ遺跡(Гнідава;Hnidava)の新石器時代・線帯文土器文化(Linearbandkeramik;LBK)の土器にも、エンマーコムギ(Triticum dicoccum)耕作の証拠はほとんど見られない。線帯文土器や銅石器時代(Eneolithic)の土器には、西アジアの作物であるオオムギ(Hordeum vulgare)やスペルトコムギ(Triticum spelta)が見られる。後期青銅器時代(Late Bronze Age)には東アジアのキビ(Panicum miliaceum)が登場するが、アワ(Setaria italica)は検出されない。
cf. Eiko Endo, Hiroo Nasu, Dmytro Haskevych, Yakiv Gershkovych, Mykhailo Videiko, Olexandr Yanevich (2022) Re-identification of plant impressions on prehistoric pottery from Ukraine. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 42, April 2022, 103364 [ScienceDirect]
▽新石器文化の影響を受けて、新石器文化の要素の一部だけ持っている状況を「sub-Neolithic」と言うらしいのですが、既存の日本語訳はあるのでしょうか。不勉強で、わかりませんでした。 - イタリア
- リナルドネ遺跡(Rinaldone)とカセッタ・ミスティ遺跡(Casetta Misthi)で発掘された、銅石器時代(Chalcolithic)〜青銅器時代(Bronze Age)・紀元前4千年紀〜前3千年紀の・リナルドネ文化(Rinaldone Culture)と言われる戦士の墓について研究。当時のヨーロッパで、銅は従来考えられていたほど希少なものではなく、金属加工も独特で複雑なものではなかった。したがって、戦士の墓は富の象徴や社会の不平等化というよりも、ジェンダーや年齢、暴力などとの関わりで理解すべき。
cf. Andrea Dolfini (2022) Warrior graves reconsidered: metal, power and identity in Copper Age Italy. World Archaeology [Taylor & Francis Online] - フランス
- グラン・テスト地域圏(Grand Est)ムルト=エ=モゼル県(Meurthe-et-Moselle)ポンタ=ムッソン(Pont-à-Mousson)で、新石器時代の狩猟のための陥し穴と、鉄器時代1期・ハルシュタット文化(Hallstatt)のモーゼル川の古河道に沿う集落。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Habiter dans la vallée de la Moselle au premier âge du Fer (Meurthe-et-Moselle)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - フランス
- セーヌ=エ=マルヌ県(Seine-et-Marne)のセーヌ川(Seine)の底から後期中世・1400〜1480年鉄剣。鍛造で儀式用ではなく戦闘用。百年戦争の終わりごろに当たる。これ以降は刃幅が狭くなり、戦闘法も変化する。1430年にモン=アン=モントワ(Mons-en-Montois)を包囲したイングランド・ブルゴーニュ連合軍が用いた剣の可能性も。[Gentside]
▼イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France) セーヌ=エ=マルヌ県(Seine-et-Marne) - UK(イングランド)
- シュロップシャー州(the County of Shropshire)オズウェストリー(Oswestry)にある鉄器時代の丘塞(hillfort)近くで計画されている住宅開発が、遺跡に悪影響を与える可能性。[Oswestry & Border Counties Advertizer]
- UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland)ヴィンドランダ遺跡(Vindolanda)で、ローマ時代・3世紀の祭壇。[ChronicleLive]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)ウェストレー島(island of Westray)のリンクス・オブ・ノルトランド遺跡(Links of Noltland)から出土した青銅器時代の人骨のDNAを分析し、オークニー諸島の新石器文化やヨーロッパの青銅器文化と比較。初期青銅器時代にオークニー諸島にヨーロッパ大陸からの人口移動を確認。ヨーロッパ大陸での牧畜民の拡大が男性中心であったのとは逆に、流入したのは主に女性。新石器時代の男性の系譜も1000年程度残る。従来、オークニー諸島は新石器時代に文化的革新の中心地だったのに対し、青銅器時代には停滞していたとみられていた。
Bronze Age women altered genetic landscape of Orkney, study finds[University of Huddersfield]
cf. Katharina Dulias, M. George B. Foody, Pierre Justeau, Marina Silva, Rui Martiniano, Gonzalo Oteo-García, Alessandro Fichera, Simão Rodrigues, Francesca Gandini, Alison Meynert, Kevin Donnelly, Timothy J. Aitman, The Scottish Genomes Partnership, Andrew Chamberlain, Olivia Lelong, George Kozikowski, Dominic Powlesland, Clive Waddington, Valeria Mattiangeli, Daniel G. Bradley, Jaroslaw Bryk, Pedro Soares, James F. Wilson, Graeme Wilson, Hazel Moore, Maria Pala, Ceiridwen J. Edwards, and Martin B. Richards (2022) Ancient DNA at the edge of the world: Continental immigration and the persistence of Neolithic male lineages in Bronze Age Orkney. Proceedings of the National Academy of Sciences, February 22, 2022 119 (8) e2108001119 [PNAS] - 南アフリカ
- ウカランバ・ドラケンスバーグ山脈(uKhahlamba-Drakensberg Mountains)のカスキン山(Cathkin Peak)の岩陰で1931年に出土した墓の分析。放射性炭素年代によると、大半は14世紀〜17世紀中ごろ。1体のみ7〜9世紀にさかのぼる。老若男女を含み、長期にわたって埋葬に利用された。病気や外傷が見られ、植物性食糧を主食とする。アマジジ人(amaZizi)人よりさかのぼるブラックバーン人(Blackburn)のムーア・パーク期(Moor Park)に当たり、1人はさらにさかのぼる。
cf. Anja Meyer, Rita Peyroteo-Stjerna, Cecile Jolly, Carina M. Schlebusch & Maryna Steyn (2022) A reassessment of archaeological human remains recovered from rock shelters in Cathkin Peak, South Africa. Azania: Archaeological Research in Africa [Taylor & Francis Online]
2022年2月7日(月)
- 栃木県
- 市貝町・市塙横塚古墳群で1957年に出土し、その後所在不明になっていた槍形埴輪と大刀形埴輪が、相次いで発見され、市貝町に戻る。[読売新聞]
- 群馬県
- 前橋市・蛇穴山古墳(じゃけつざんこふん)で、良好な状態で葺石が残る墳丘や、規模の大きな周堀。群馬県内で最大規模の方墳。前橋市教育委員会の調査。2/9現地説明会。
史跡蛇穴山古墳発掘調査成果の現地説明会を開催します[前橋市]
▼蛇穴山古墳関連記事→2008年2月24日 - 長崎県
- 佐世保市・佐世保鎮守府倉庫跡遺跡で、弾薬や艦艇部品を収納した建物群の基礎石材やレンガなど。佐世保市の調査。[毎日新聞]
- 細菌戦
- 第2次世界大戦中の細菌戦に関する資料が国立公文書館から開示。旧関東軍防疫給水部(731部隊)について、戦後の1950年9月に日本政府(旧厚生省)が作成した公文書。政府はこれまで国会で政府内に「活動詳細の資料は見当たらない」と答弁していた。[京都新聞]
- 中国
- 内モンゴル自治区(Inner Mongolia) 呼和浩特市 清水河県(Qingshuihe)にある石城で、新石器時代後期・竜山文化の地下道。地下5〜6mにあり、幅1〜3m、高さ2m。アーチ天井。城内と城外、2つの堀をむすぶ。このほか、城門、城壁、建物基礎、墳墓、玉、土器、骨器も。[新華社]
- スペイン
- マラガ県(Provincia de Málaga)マルベーリャ(Marbella)のリンダビスタ海岸(Lindavista)にあるラス・ドゥナス遺跡(Las Dunas)で、後期ローマ時代の土器工房。[Euro Weekly News]
▼アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía)
2022年2月6日(日)
- トルコ
- ビザンティン時代の都市アモリウム(Ἀμόριον;Amorium)で、中世・1000年前の砦から、ビザンティン時代中期(middle Byzantine period)・10〜11世紀の環頭鉄剣(ring pommeled sword)2振。うち1振は教会で出土しており、奉納品とみられる。 1振りは市街地で出土。ビザンティン時代には環頭把頭は珍しい。教会で出土した鉄剣にはクロスガードも備えた独特の形状。[LiveScience]
cf. Errikos MANİOTİS, Zeliha GÖKALP (2021) Ring Pommeled Swords From Amorium. Journal of Art History, Volume 30, Issue 2, 1281 - 1299 [Journal of Art History]
アフィヨンカラヒサール県(Afyonkarahisar ili)エミルダー郡(Emirdağ)、ヒサルカイ(Hisarköy) - イタリア
- ローマ(Roma;Rome)近郊で2006年に発掘された墓の出土品は、5000年前の弦楽器。サレルノ県(Provincia di Salerno)の新石器時代末・ガウド文化(cultura del Gaudo;Gaudo culture)に由来。[Scienze Notizie]
2022年2月5日(土)
- 島根県
- 出雲市・大社基地の跡地で、土地を購入した株式会社アリオンが宅地開発のため今月中旬にも工事を始める計画。文化財として保存を求めている研究者団体が2/3緊急声明。[朝日新聞]
- イタリア
- ローマ(Roma;Rome)で、共和制ローマ・紀元前2世紀の、凝灰岩で作った橋。ローマとティーブル(Tibur)=ティヴォリ(Tivoli)を結ぶティブルティーナ街道(via Tiburtina)が、プラトルンゴ谷(Fosso di Pratolungo)をわたる場所。[RaiNews]
- スロバキア
- リプトフスキー・ミクラーシュ(Liptovský Mikuláš)で新たな洞窟を発見。バーデン文化(Badenská kultúra;Baden culture)・紀元前3000年の土器。また、同時期とみられる人骨や獣骨。[The Slovak Spectator]
▼ジリナ県(ilinský kraj;ilina Region) - チェコ
- チェコで出土した真鍮遺物を分析。紀元前100年〜紀元後200年に、ローマ帝国と、ボヘミアのゲルマン人の間に外交や交易の関係。[Radio Praha]
- ポーランド
- ワルシャワ(Warszawa;Warsaw)の五角広場(Plac Pięciu Rogó;Five Corners Square)の第二次世界大戦以前の建物土台から、1921年の軽騎兵ウーラン(Uhlan)のサーベル。[The First News]
- フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie)ピレネー=オリアンタル県(Le département des Pyrénées-Orientales)チュイル(Thuir)のエブリンヌ遺跡(Aybrines)で、紀元前3500年から中世までの居住の痕跡。特に鉄器時代・紀元前6世紀〜前5世紀の集落や搬入土器など。また、ローマ時代・1世紀中ごろ〜4世紀後半の邸宅や浴場。国立予防考古学研究所の調査。
4000 ans d’histoire à Thuir (Pyrénées-Orientales)[NRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- ロンドン(London)のテムズ川(Thames)で、後期新石器時代・紀元前3516年〜前3365年のヒトの大腿骨。身長170cmで、性別は不明。[BBC]
- UK(イングランド)
- バッキンガムシャー州(the county of Buckinghamshire)エイルズベリー(Aylesbury)のフリート・マーストン(Fleet Marston)のローマ時代の大規模な墓地で、人骨400体のうち、斬首された人骨40体。うち何体かは、斬られた頭部を両脚の間や足元に置いた状態。斬首されたのは、犯罪者か追放者とみられる。硬貨1200枚以上も見つかり、フリート・マーストンは交易拠点だったとみられる。日用品や、ギャンブル、信仰に関する遺物も。[Evening Standard]
▼エイルズベリー関連記事→2019年12月6日
2022年2月4日(金)
- 青森県
- 南部町・聖寿寺館跡(しょうじゅじたてあと)で、クマの犬歯を加工した中世アイヌ文化の装飾品。クマの歯を用いた、中世アイヌ文化の装飾品の出土は国内初。聖寿寺館跡は、戦国大名・三戸南部氏の城館跡。南部町教育委員会2/4発表。[東奥日報]
▼聖寿寺館跡関連記事→2021年10月28日 - 島根県
- 出雲市・大社基地遺跡群主滑走路跡の保存をめぐり、島根史学会、島根考古学会、戦後史会議・松江が、史跡指定に向けた総合的調査や国史跡指定申請、土地の買い上げなどを求め、2/3緊急声明。
「大社基地遺跡群主滑走路跡」の保存に関する緊急声明
[戦後史会議・松江]
▼大社基地関連記事→2021年9月12日 - 中国
- 荊州(Jingzhou)の楚(Chu)墓2基から出土した戦国時代中期の人骨の炭素と窒素の安定同位分析により、食生活を研究。戦国時代中期の楚に食生活の違い。秦から来た人物が楚の貴族として楚の墓に葬られた。荊州は楚の都「郢」の所在地。
cf. Yiran Xu, Pengfei Sheng, Jianxue Xiong, Hailiang Meng, Pianpian Wei, Chang Sun, Hanqing Jia, Jianye Liu, Yong Tian and Fan Sun (2022) Migration in Bronze Age southern China: multidisciplinary investigations of elite Chu burials in Jingzhou. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core] - イスラエル
- ヨルダン川流域のウバイディヤ(Ubeidiya)で出土した150万年前のホモ属の椎骨(vertebra)は6〜12歳の少年。年齢の割に長身で、東アフリカのヒト科に近く、ジョージアの180年前のドマニシ人(Dmanisi)とは異なる。ドマニシ人はオルドワン文化の石器を用いるが、ウバイディヤの人類はより複雑なアシュール文化類似の石器を用いる。人類の拡散には少なくとも2つの波があった。
What’s in a vertebra? Another piece of the ancient human story[Cosmos]
cf. Alon Barash, Miriam Belmaker, Markus Bastir, Michalle Soudack, Haley D. O’Brien, Holly Woodward, Amy Prendergast, Omry Barzilai & Ella Been (2022) The earliest Pleistocene record of a large-bodied hominin from the Levant supports two out-of-Africa dispersal events. Scientific Reports, volume 12, Article number: 1721. [Scientific Reports] - トルコ
- 南東アナトリアのアルスラーンテペ遺跡(Arslantepe)で出土した後期銅石器時代3・4期〜初期青銅器時代I期・紀元前4千年紀〜前3千年紀初めの土器を分析。ロクロ仕上げの土器は、原材料は一貫しているが、後期銅石器時代3・4期から5期にかけて中央エリートの制御のもとで分業化が進展。初期青銅器時代IB期には自律的で熟練的な工人集団を成立した。手捏ねの磨かれた土器は、生産組織は変化しないが、工人集団が定住していないため、供給態勢には変化がみられ、政治的なヒエラルキーからは独立していた。
▶ Pamela Fragnoli & Marcella Frangipane (2022) Centralisation and decentralisation processes and pottery production at Arslantepe (SE Anatolia) during the 4th and early 3rd millennium BCE. World Archaeology [Taylor & Francis Online]
▼アルスラーンテペ遺跡関連記事→2021年10月1日 - イタリア
- カンパーニャ州(Regione Campania)、ラツィオ州(Regione Lazio)、アブルッツォ州(Regione Abruzzo)、モリーゼ州(Regione Molise)、プッリャ州(Regione Puglia;Apulia)で、大規模なLiDAR調査により丘塞(hillfort)とみられる地点305か所を確認。分析結果、サムニウム人(Samnite)のものとみられる紀元前6世紀〜前3世紀の丘塞網を認識。
cf. Giacomo Fontana (2022) Italy’s Hidden Hillforts: A Large-Scale Lidar-Based Mapping of Samnium. Journal of Field Archaeology [Taylor & Francis Online] - スウェーデン
- ブーヒュースレーン地方(Bohuslän)のターヌム市(Tanum)フィエルバッカ(Fjällbacka)沖にあるDyngö島近くで沈没船。オーク材の年輪年代により、1233年から1240年の間に伐採と判明。ブーヒュースレーン地方最古の沈没船で、ヨーロッパ最古級のコグ船(cog ship)。材料の木材はドイツ北西部産。
Medieval ship found off the west coast of Sweden[Göteborgs universitet] - UK(イングランド)
- ウィルトシャー州(the county of Wiltshire)ブラッドフォード・オン・エイヴォン(Bradford-on-Avon)のアングロ・サクソン時代後期の礼拝堂跡の石組みは、急遽作られたもの。エゼルレッド2世(Æthelred II)の治世(979〜1014年)の初期に要塞として作られたという説も疑問。近年は、この礼拝堂を未完成とする説が出されていた。
cf. David A. Hinton (2022) The date and purpose of the Anglo-Saxon Chapel at Bradford-on-Avon, Wiltshire. Archaeological Journal [Taylor & Francis Online]
2022年2月3日(木)
- 奈良県
- 奈良市・富雄丸山古墳(とみおまるやまこふん)で、板状の突起「ひれ」が両側に付いた円筒埴輪が、古墳2段目の平らな面をめぐっていた。1段目は通常の円筒埴輪列で、形状が違う埴輪列が段により置き分けられていた。奈良市教育委員会2/3発表。[共同通信]
▼富雄丸山古墳関連記事→2021年2月12日 - キプロス
- キプロス北岸キレニア(Κερύνεια;Kyrenia)沖の紀元前4世紀後半〜前3世紀前半の沈没船「キレニア船」(Kyrenia ship)で出土した鉄のビレット(Iron billet)について分析。大部分が腐食していたが、オスミウム同位体分析が可能。わずかに残った金属鉄についても金属組織を分析し、LA-ICP-MSによる微量元素分析。キプロスの鉄鋼とは一致せず、専門的な工房で作られたブルームがキレニア船でキプロスに向かう途上だった推定。
cf. Roland Schwab, Michael Brauns, Walter Fasnacht, Susan Womer Katzev, Nicole Lockhoff, Helena Wylde Swiny (2022) From Cyprus, or to Cyprus? A pilot study with osmium isotopy and siderophile trace elements to reconstruct the origin of corroded iron billets from the Kyrenia shipwreck. Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 42, April 2022, 103365. [ScienceDirect] - オランダ
- ハルディンクスフェルト=ヒセンダム(Hardinxveld-Giessendam)の Polderweg 遺跡と De Bruin 遺跡で出土したスイフテルバント文化(Swifterbantcultuur;Swifterbant culture)・紀元前5450年〜前4250年のイノシシ属(Sus sp.)の遺体に関して研究。後期中石器時代(Late Mesolithic)・紀元前5450年〜前4850年には、野生のイノシシの成獣を狩猟。時期とともに幼獣に移行。このころのイノシシは現代のものより大型で、多様な食生活。紀元前4450年〜前4250年には小型のイノシシ属が存在し、家畜のブタと推定されるが、ブタ管理の証拠を欠く。
cf. Nathalie Ø. Brusgaard, Michael W. Dee, Merita Dreshaj, Jolijn Erven, Youri van den Hurk, Daan Raemaekers, Canan Çakırlar (2022) Hunting before herding: A zooarchaeological and stable isotopic study of suids (Sus sp.) at Hardinxveld-Giessendam, the Netherlands (5450–4250 cal BC). PLoS ONE 17(2): e0262557. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- グロスターシャー州(the county of Gloucestershire)グロスター(Gloucester)で、中世のタイル張りの床。1268〜1538年に活動したホワイトフライアーズ・カルメル修道院(Whitefriars Carmelite Friary)のもの。[So Glos]
2022年2月2日(水)
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)のマルヴダシュト高地(Marvdasht plain)で、ハカーマニシュ朝(アケメネス朝;Achaemenid)のダムの近くで、石造りのアーチ状のトンネル。[Tehran Times]
- キプロス
- ラルナカ(Λάρνακα;Larnaca)のキティオン(Κίτιον;Kition)で、城壁など、ヘレニズム時代とローマ時代の金の宝飾品。[Greek City Times]
- ギリシャ
- マケドニア地方(Μακεδονία;Macedonia)のアルホンディコ遺跡(Αρχοντικό;Archondiko)で紀元前2100年〜前2000年、テッサリア(Θεσσαλία;Thessaly)のアグリッサ遺跡(Άγρισσα;Agrissa)で紀元前2100年〜前1700年の、発芽した穀物種子。2か所の醸造遺跡から推定して、ギリシャでのビール生産は青銅器時代にさかのぼる。[Greek City Times]
- イタリア
- カンパニア州(Regione Campania) ヴェリア(Velia)で、紀元前6世紀のアラリアの海戦(naval Battle of Alalia)のとき使われたとみられる兜2個。うち1個は敵からの分捕り品と推定。[The Guardian]
- ポーランド
- ヘル半島(Mierzeja Helska;Hel Peninsula)のヘル(Hel)とユラタ(Jurata)の間にある砂丘のバルト海(Baltic)沿岸で、救命ボートが砂から露出。第二次世界大戦中のハンニバル作戦(Operation Hannibal)に用いられたものか。ハンニバル作戦は、東プロイセンから1000隻の船で90万人のドイツ人を赤軍の攻撃から避難させる作戦。[The First News]
▼ポモージェ県(Województwo pomorskie)プツク郡(powiat pucki;Puck County) - スーダン
- ハルトゥーム州(Khartoum State)のウンム・マッラヒ(Umm Marrahi)、ホシュ・エル・カブ(Hosh el-Kab)、アブー・ナフィサ(Abu Nafisa)の砦を調査。6世紀後半の短期間、キリスト教化を背景にヌビアの王国間が争っていた時期に築かれたと判明。
cf. Mariusz Drzewiecki & Aneta Cedro (2022) New insights into the history of early Alwa: recent archaeological research in Umm Marrahi, Hosh el-Kab and Abu Nafisa forts (Khartoum Province, Sudan). Azania: Archaeological Research in Africa [Taylor & Francis Online] - USA
- オハイオ川(Ohio River)流域の3州のホープウェル文化(Hopewell culture)の11遺跡で、1500年前のエアバーストの証拠。この爆発は西暦252〜383年の間に9200平方マイルに渡って火災を起こした。彗星による破壊が、ホープウェル文化が急速に崩壊した原因である可能性。ネイティヴアメリカンのさまざまな部族の口承とも合致。
Comet’s fiery destruction led to downfall ancient Hopewell[University of Cincinnati]
cf. Kenneth Barnett Tankersley, Stephen D. Meyers, Stephanie A. Meyers, James A. Jordan, Louis Herzner, David L. Lentz & Dylan Zedaker (2022) The Hopewell airburst event, 1699–1567 years ago (252–383 CE). Scientific Reports, volume 12, Article number: 1706 [Scientific Reports] - ペルー
- チンチャ谷(Chincha)のチュルパ(chullpa)と呼ばれる先住民墓にみられる、脊椎を棒に固定された数百の遺体は、AMS年代で1450〜1650年で、インカの支配が終焉し、ヨーロッパの植民地支配がはじまる時期に一致。脊椎を棒に固定するのは一次葬より後。チンチャ王国(1000〜1400年)はインカと同盟し、最終的にはインカに統合された。ヨーロッパ人の到来により、金銀製品目当てで墓も暴かれた。棒に固定した脊椎は、墓暴きで損傷した遺体を修復するため。[The Guardian]
cf. Jacob L. Bongers, Juliana Gómez Mejía,Thomas K. Harper and Susanna Seidensticker (2022) Assembling the dead: human vertebrae-on-posts in the Chincha Valley, Peru. Antiquity, First View, pp. 1 - 19 [Cambridge Core]
2022年2月1日(火)
- 北海道
- 伊達市・有珠モシリ遺跡(うすもしりいせき)で、集団間の争いが原因とみられる傷痕のある、縄文時代晩期の頭蓋骨。[共同通信]
▼有珠モシリ遺跡関連記事→2021年10月8日 - パレスチナ
- ガザ地区(Gaza)で、ローマ時代の墓地。近隣に後期ローマ時代の神殿または初期ビザンティン時代の教会があると推定。[The Times of Israel]
- セルビアとルーマニア
- ドナウ川流域の5遺跡で出土した中石器時代と初期新石器時代の60人の歯石を分析。前期完新世(early Holocene)に、農耕以前の数千年間にわたり、野生の穀物を消費。また、製粉具を分析によると、イネ科(Poaceae)エギロプス属(Aegilops)の植物を利用しており、調理技術の発展も読み取れる。紀元前6500年(cal BC)以降の栽培植物の導入の前段階として、野生の穀物に親しんでいたことが基盤となった。中石器時代以前の人類の食事が動物性たんぱく質を主としたという説への反証。
cf. Emanuela Cristiani, Anita Radini, Andrea Zupancich, Angelo Gismondi, Alessia D'Agostino, Claudio Ottoni, Marialetizia Carra, Sneana Vukojičić, Mihai Constantinescu, Dragana Antonović, T Douglas Price, Dušan Borić (2022) Wild cereal grain consumption among Early Holocene foragers of the Balkans predates the arrival of agriculture. eLife. [eLife] - イタリア
- サレルノ県(Salerno)のパエストゥム(Paestum)とヴェリア(Velia)の考古学公園で、2500年前のアテナ女神の神殿と、海戦にかかわる遺物。紀元前540年〜前535年のアラリアの海戦(naval Battle of Alalia)の後に作られた神殿と推定。アラリアの戦いは、コルシカ島のアラリア(Alalia)をめぐる、フォカイア(Φώκαια;Phocaea)から植民したギリシャ人と、カルタゴ人・エトルリア人連合軍の戦い。この戦いをきっかけに、ギリシャ人はエレア(Ἐλέα;Elea)=ヴェーリアに住んだ。[Wiener Zeitung]
- フランス
- アルプ=マリティーム県(Alpes-Maritimes)ニース(Nice)のラザレ洞窟(la grotte du Lazaret)で発掘された前期旧石器時代(Lower Paleolithic)・17万年前〜15万年前の炉に関連して、炉の位置が洞窟内の煙濃度にどのような影響を与えるか、290平方メートルの洞窟内で16種類の場合をシミュレーション。煙を避けて最大限の恩恵が受けられるようにするため、炉に好ましい場所は25平方メートルの範囲。調査された複数の土層において、ヒトはこの範囲内に炉を設置している。
Early humans placed the hearth at the optimal location in their cave – for maximum benefit and minimum smoke exposure[EurekAlert]
cf. Yafit Kedar, Gil Kedar & Ran Barkai (2022) The influence of smoke density on hearth location and activity areas at Lower Paleolithic Lazaret Cave, France. Scientific Reports, volume 12, Article number: 1469 [Scientific Reports]
▼プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(Provence-Alpes-Côte d'Azur)アルプ=マリティーム県(Alpes-Maritimes)ニース(Nice) - UK(イングランド)
- 青銅器時代・鐘状ビーカー文化(Bell Beaker culture)・紀元前24世紀の墓から20年前に出土したいわゆる「エイムズベリーの射手」(Amesbury Archer)とその「従者」(the Companion)のDNA分析。Y染色体から見て「射手」も「従者」も父系はステップ地帯の遊牧民に由来。三親等以上の関係で、放射性炭素年代の差が80年だあることから見て、曽祖父と曽孫の関係が想定できる。酸素同位体の分析から、「射手」は幼少期を西アルプス周辺で過ごした移民1世。一方、「従者」はウェセックスの生まれだが、9歳から13歳にかけて英国国外の、「射手」の若いころと同じ環境で過ごしており、「射手」の出身地にいる親族集団との関係が続いていたことがうかがわれる。[The Past]
- UK(イングランド)
- ウィルトシャー州(the county of Wiltshire)メルクシャム(Melksham)で、鉄器時代・紀元前7〜前4世紀の饗宴の跡。ローマ時代・43〜410年の床下暖房に用いるタイル。中世・1066〜1540年の鍛冶炉やウシ用の蹄鉄。
2,500 years of history uncovered in Melksham[Cotswold Archaeology] - エジプト
- アトリビス(Athribis)で、2000年前の文字の入った土器片オストラコン(ostracon)18000点。80%はプトレマイオス朝からローマ時代の行政文字であるデモティック(Demotic)で記述。次に多いのはギリシャ語。ヒエラティック、ヒエログリフ、コプト文字、アラビア文字も含む。絵を描いたものも。
More than 18,000 pot sherds document life in ancient Egypt[Universität Tübingen] - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)とキンタナ・ロー州(Estado de Quintana Roo)の陥没穴11基のうち9か所からメチルキタンチン(Methylxanthine)のバイオマーカー。陥没穴でマヤ人(Maya)がカカオを栽培していた証拠。マヤ人にとって神聖なカカオの林があったことを示す。カカオはマヤの儀式に用いられ、遅くとも後古典期(Postclassic)にはユカタン州中部ではカカオ豆が通貨として利用されていた。
[Brigham Young University]
cf. Richard E. Terry, Bryce M. Brown, Travis W. Stanton, Traci Ardren, Tanya Cariño Anaya, Justin Lowry, José Francisco Osorio León, Francisco Pérez Ruíz, Nelda Marengo Camacho, Aline Magnoni, Mandy Munro-Stasiuk, Christopher S. Balzotti (2022) Soil biomarkers of cacao tree cultivation in the sacred cacao groves of the northern Maya lowlands. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 41, February 2022, 103331. [ScienceDirect] - メキシコ
- テオティワカン遺跡(Teotihuacán)の月の広場(Plaza de la Luna)近くで発見された、同遺跡の最終段階とみられる焼けた壁3か所の24試料について古地磁気年代測定。最後の焼失は327年〜441年の間の可能性が高い。テオティワカン遺跡は公的な行為と関連した何度かの火災に遭っている可能性がある。
cf. Avto Goguitchaichvili, Verónica Ortega, Gloria Torres, Jorge Archer, Ruben Cejudo, Vadim Kravchinsky, Karen Arreola Romero, Juan Morales (2022) Refining the absolute chronology of Teotihuacan (Mesoamerica): New archaeomagnetic datings of fire footprints. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 42, April 2022, 103363 [ScienceDirect]
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