2022年5月31日(火)
- 北九州市
- 戸畑区・名護屋岬古墳群の被葬者とみられる古墳時代の頭骨が、同区の照養寺で見つかった。[西日本新聞]
- 中国
- 新疆ウイグル自治区のアスターナ墳墓群(Astana)で出土した4〜8世紀のさまざまな色の延伸ガラス(drawn glass)15点を分析。大半のガラス組成はサーサーン朝のヴェー・アルダシール(Veh Ardašīr)で出土したガラス器に一致。一方、4〜8世紀の新疆には、南アジア・東南アジアと同様の組成のガラスはほとんど見られない。サーサーン朝の工人はガラスの延伸法を習得していた。またコバルト原料はさらに西方から入手。西アジアと中央アジアではサーサーン朝が交易を独占。
cf. Siwen Xu, Bo Wang, Bin Han, Yimin Yang (2022) The production of Indo-Pacific monochrome drawn glass beads in the Sasanian Empire: Insights from Xinjiang, northwest China. Ceramics International. [ScienceDirect] - トルコ
- イズミル県(İzmir il)ベルガマ郡(Bergama)のペルガモン遺跡(Πέργαμον;Pergamon)の建物跡クズル・アウル(Kızıl Avlu;Red Basilica)で、2〜3世紀の幾何学文モザイク床。[Daily Sabah]
- フランス
- パリのルーヴル美術館(Musée du Louvre)で、観客の一人がモナリザ像にケーキを投げつけた。[CNN]
▽こうした行為によって、文化財の貸出基準が厳しくなり、警備や保険の費用が高騰して、結果、展覧会への出品の機会が減ったり、入場料の高騰を招く▽そうでなくてもコロナとプーチンのせいで博物館・美術館は経費が増大し収入は減少しているというのに▽なんてことしてくれるのか。 - メキシコ
- シナロア州(Sinaloa)のマサトラン港(Mazatlan)で、アスタトラン文化(Aztatlán)の埋葬遺跡。人骨のほか、アスタトランの様式のガラス出土。西暦900年ごろ。シハロア州南部とナヤリト州(Nayarit)北部にかけて社会的、経済的、政治的が最大級に発達したアスタトラン期(Horizonte Aztatlán)に一致。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Heritage Daily]
- ペルー
- アンカシュ県(Departamento de Áncash)のチャビン・デ・ワンタル遺跡(Chavín de Huántar)で、神殿の地下にトンネル35本を発見。神殿の建設より時代をさかのぼる可能性。チャビン・デ・ワンタル遺跡は紀元前900年ごろから前250年ごろまで存続。[Heritage Daily]
▼チャビン・デ・ワンタル遺跡関連記事→2018年8月23日
2022年5月30日(月)
- 埼玉県
- 越谷市・海道西遺跡(かいどうにしいせき)で、平安時代・9世紀ごろの竪穴住居と河畔砂丘。竪穴住居にはかまどがあり、土師器、須恵器、土錘など出土。越谷市内で平安時代の竪穴住居跡の発見は初。付近では火葬土坑も出土。越谷市教育委員会の調査。[東武よみうり]
- 大阪府
- 大阪音楽大学の楽器資料館の所蔵品について、西洋楽器、和楽器は全て学内のリニューアルした楽器資料館で継承。民族楽器は、一括してしかるべき機関に移譲すべく調整中。民族楽器も教学上必要なものは学内教室に移管し活用するが、スペース・設備等の関連で維持が困難な場合。移管する場合も、大阪音楽大学の学生、教職員が利用できるようにはかる。
K号館3階フロア改修について[大阪音楽大学] - 奈良県
- 田原本町・宮古平塚古墳から、6世紀前半の完全な形の太鼓形埴輪。田原本町5/30発表。完全な形が残っているのは全国初で、最古級。[共同通信]
- 福岡市
- 南区・井尻B遺跡(いじりBいせき)で、弥生時代〜奈良時代の集落跡。福岡市の調査。6/4現地説明会。
井尻B遺跡の現地説明会を開催します[福岡市の文化財] - 韓国
- 全羅北道 茂朱郡 茂朱邑・堂山里山城で石積み施設や、烽火(のろし)3基。三国時代〜統一新羅時代の土器出土。三国時代から統一新羅時代にかけて要衝の地。[聯合ニュース]
- 韓国
- 全羅南道 長興郡・龍華寺境内で、高麗時代・10〜12世紀の建物跡の土台。統一新羅時代末と高麗時代の瓦、11世紀の高級青磁出土。国立羅州文化財研究所5/30発表。[聯合ニュース]
- イラン
- 西アーザルバーイジャーン州(Ostān-e Āzarbāyjān-e Gharbī;West Azarbaijan)サルマス郡(Salmas)のテペ・アフランジャン遺跡(Tepe Ahranjan)で、新石器時代〜銅石器時代の墳墓4基。死者を床下に葬る。うち3基は単独葬であるが、1基は大型の楕円形または長方形の墓に3人を埋葬。[Tehran Times]
▼テペ・アフランジャン遺跡関連記事→2020年1月9日 - イラク
- クルド人自治区(Iraqi Kurdistan)ケムネ(Kemune)のティグリス川(Tigris)で、モスル貯水池の水面が低下し、ミタンニ帝国(Mittani Empire)・紀元前1550年〜前1350年の都市ザキク(Zakhiku)が露わに。宮殿、砦、倉庫、工業地区などを確認。また、土器5点に楔形文字を刻んだ粘土板100枚。
A 3400-year-old city emerges from the Tigris River[Universität Freiburg] - イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のモルドット・アルモナ(Mordot Arnona)で、ユダ王国(Kingdom of Judah)・紀元前8世紀後半〜前7世紀の行政センター。同時期のラマト・ラヘル(Ramat Rahel)の行政センターに匹敵。ユダ王国は紀元前732年からアッシリアの属国になったが、その直後の紀元前8世紀後葉に、ほぼ同時に2つの行政センターを構えた。[Haaretz]
cf. Neria Sapir, Nathan Ben-Ari, Liora Freud & Oded Lipschits (2022) History, Economy and Administration in Late Iron Age Judah in Light of the Excavations at Mordot Arnona, Jerusalem. Tel Aviv, Volume 49, Issue 1, Pages 32-53. [Taylor & Francis Online] - イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のギヴァト・シャウル(Givat Shaul)にある病院敷地内で、ハスモン朝(Hasmonean)・2200年前の前哨マアレ・ロマイム(Ma'ale Romaim)の跡。紀元前23年〜ビザンティン時代・395年まで居住。[The Jerusalem Post]
- トルコ
- ギュミュシュハーネ県(Gümüşhane)ケルキト郡(Kelkit)サダク村(Sadak)の古代都市サタラ(Σάταλα;Satala)で、ローマ時代の第15軍団アポリナリス(Legio XV Apollinaris)の砦カストルム(castrum)内から、ウラルトゥ王国時代の戦士の青銅製帯金具。ハルディ神(Ḫaldi)と動植物の文様を表す。[Arkeonews]
- アイスランド
- ランガーヴェッリル(Rangárvellir)のオッディ村(Oddi)で、ヴァイキング時代の人工の大規模な洞窟を発見。ウマやウシを飼うための厩舎「nautahellir」とみられる。オッディは中世のOddaverjar氏族の本拠地。[Heritage Daily]
- エジプト
- サッカラ(Saqqara)のブバスティス墓地(Bubastian Cemetery)で、末期王朝時代(Late Period)の彩色木棺250基。ブロンズの神像150体。バステト神(Bastet)、アヌビス神(Anubis)、オシリス神(Osiris)、Amunmeen神、イシス神(Isis)、ネフェルトゥム神(Nefertum)、ハトホル神(Hathor)など。シストゥルム(Sistrum)などの道具や、技師イムホテプ(Imhotep)の像、イシス神とネフティス神(Neftis)が死者を悼む像。櫛、アイライナー、腕輪、イヤリング、ネックレスなども出土。[Ahram Online]
2022年5月29日(日)
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のアルモン・ハナチーヴ(Armon Hanatsiv)で、ハスモン朝(Hasmonean)のころ・2000年前の水道。ベツレヘムのソロモンの池からエルサレムに水を供給した。[The Jerusalem Post]
- UK(イングランド)
- ウスターシャー州(Worcestershire)のセヴァーン川(River Severn)で、5万年前のマンモスの牙や、新石器時代・紀元前2900年〜前2600年の磨製石斧や刻文土器(Grooved Ware)。また、24万年前〜13万年前のハンドアックスも。[BirminghamLive]
2022年5月28日(土)
- 群馬県
- 沼田市・沼田城跡(ぬまたじょうあと)で、出土した遺物の中に金箔瓦2片。1片は鳥衾の一部とみられる。金箔の接着に使われたとみられる漆も遺存。沼田市教育委員会の調査。[上毛新聞]
▼沼田城跡関連記事→2021年11月24日 - ロシア
- 沿海州(Приморский край;Primorsky Krai)ポクロフカ(Покровка;Pokrovka)で、朝鮮三国時代・1500年前の三累環頭大刀。専門家マクシム・ヤクポフ(Максим Якупов;Maxim Yakupov)の説では、高句麗が新羅に征服され、その地域の一部を取り込んだ靺鞨の渤海国が沿海州南部に勢力を及ぼしたことによりもたらされたか。[Ordo News]
- ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)グレンツァッハ=ヴィレン(Grenzach-Wyhlen)で、ローマ帝政期の建物跡や地下室、石造りの井戸など。井戸は深さ11m以上。
Römischer Brunnen in Grenzach-Wyhlen freigelegt[Archaeologie Online]
▼バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)レラッハ郡(Landkreis Lörrach) - ドイツ
- ヘッセン州(Land Hessen)ヴェッテラウ郡(Wetteraukreis)ロッケンベルク(Rockenberg)で4〜5世紀の大規模墓地。火葬墓330基以上、土葬墓70基以上。子供の墓が多く、武器を伴うゲルマン人の墓も。ローマ帝国が260年ごろに撤退した後の様相を示す。
Rockenberg schreibt Geschichte[Archaeologie Online] - ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)スーダーブラルップ(Süderbrarup)のブレーベル(Brebel)で、ローマ帝政期後期・300〜500年の集落。ロングハウス3棟。土器や紡錘車出土。同時期の壺棺墓からは留針。
Ausgrabung einer kaiserzeitlichen Siedlung in Süderbrarup-Brebel[Archaeologie Online]
▼シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)シュレースヴィヒ=フレンスブルク郡(Slesvig-Flensborg) - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)メリダ(Mérida)のシオル遺跡(Xiol)で、古典期後期(Clásico Tardío;Late Classic)・600〜900年のマヤ文明(Maya)の都市。9世紀に多くのマヤの政治集団は崩壊。都市は放棄され、王朝は終焉を迎え、活動の中心が北方へ移った。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Heritage Daily]
2022年5月27日(金)
- 福島県
- 南相馬市・塚田B遺跡(つかだびーいせき)で、古墳時代中期の土坑から、入れ子になった土師器の壺と甕。公益財団法人福島県文化振興財団の調査。
塚田B遺跡[公益財団法人福島県文化振興財団] - 鹿児島県
- 喜界町で1月に発見された、太平洋戦争中の米軍の戦闘機とみられる機体の一部が、喜界町埋蔵文化財センターに展示。平和教育に活用へ。[南日本新聞]
- 韓国
- 京畿道 華城市 安寧洞・万年堤での文化財発掘調査中、1940年代に製作されたとみられる白燐弾(煙幕弾;発煙弾)。掘削作業中に発見され、小さな爆発はあったが負傷者はなかった。朝鮮戦争で使用されたものとみられる。万年堤は朝鮮時代に隆陵(思悼世子の墓)のふもとに築造された堤防。[聯合ニュース]
- 中国
- 河南省 新鄭市・鄭韓故城の後端湾鋳鉄遺跡(Houduanwan)で、戦国時代の脱炭炉(decarbonization furnace)。[新浪網]
- シリア
- タルトゥース県(Tartous;Tartus)のアムリート(Amrit)でローマ時代の墓地。墓19基と、岩盤に刻んだ階段。[Syria Times]
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)のエーゲ海(Aegean)沿岸地域で前期旧石器時代(Lower Palaeolithic)と中期旧石器時代(Middle Palaeolithic)の遺跡4か所。
cf. Hande Bulut, Harun Taşkıran, Kadriye Özçelik and Göknur Karahan (2022) Lower and Middle Palaeolithic evidence from the North Aegean coastline of Çanakkale, Turkey. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core] - イタリア
- ポンペイ(Pompeii)の「職人の家」(Casa del Fabbro;House of the Craftsman)から出土したヴェスヴィオ噴火犠牲者のゲノムを初めて抽出。西暦79年の被災時、犠牲者の男性は死亡時35〜40歳。現代のイタリア中部のヒトと、また当時のローマ帝国居住者と、DNAが類似。ミトコンドリアDNAやY染色体は主にサルデーニャにみられるもので、ローマ帝国のころのイタリア半島にみられるものではない。当時のイタリア半島の遺伝的な多様性を示す。[The Guardian]
cf. Gabriele Scorrano, Serena Viva, Thomaz Pinotti, Pier Francesco Fabbri, Olga Rickards & Fabio Macciardi (2022) Bioarchaeological and palaeogenomic portrait of two Pompeians that died during the eruption of Vesuvius in 79 AD. Scientific Reports, volume 12, Article number: 6468. [Scientific Reports] - ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)ノルダーブラルップ(Norderbrarup)でヴァイキングの集落。竪穴建物8棟以上。方形で、周囲の溝に板壁を立てる。石造りの竈を持つ。
Wikingerzeitliche Siedlung in Norderbrarup gefunden[Archaeologie Online]
▼シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)シュレースヴィヒ=フレンスブルク郡(Slesvig-Flensborg) - エジプト
- 民主化運動「アラブの春」の混乱に乗じエジプトで略奪されたとみられる考古学的遺物の来歴の隠蔽に共謀したとして、ルーヴル美術館(Musée du Louvre)で2013〜2021年に館長を務めたジャンリュック・マルティネズ(Jean-Luc Martinez)氏を捜査。本人は否定。疑惑の作品はアブダビのルーヴル美術館別館に展示。[Agence France-Presse]
- スーダン
- ジェベル・モヤ墓地(Jebel Moya)で、紀元前3千年紀から2000年前までの継続的な埋蔵活動が明らかに。スーダン中西部のサヘル地域(Sahel)の厳しい環境でも継続的なヒトの活動があった。
cf. Isabelle Vella Gregory, Michael Brass and Iwona Kozieradzka-Ogunmakin (2022) New radiocarbon dates from Jebel Moya (Sudan): 2500 years of burial activity. Antiquity, First View, pp. 1 - 6. [Cambridge Core] - 南アフリカ
- ユーフォルビア・コップ(Euphorbia Kop)で、農耕集落の中に採集民が存在した証拠。紀元後1千年紀初頭以降にアフリカ南部に農耕民が登場し家畜や金属を持ちこんで以降の、農耕民と採集民の相互作用を示す。紀元後2千年紀初頭以降は採集民は減少、消滅する。
cf. Tim Forssman, Trent Seiler, Antoine Rossouw & Ceri Ashley (2022) Social Landscapes of Euphorbia Kop: A K2 Farmer Settlement with a Forager Presence in Southern Africa. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
2022年5月26日(木)
- 日本
- 日本の大学の研究力低下に対して5/18国会で成立した「国際卓越研究大学」支援制度について、研究者が、女性や外国人研究者が少なすぎる、変化を恐れる、若い研究者への支援が乏しい、などの日本の根本的な問題に対処していないと指摘。一方で科学研究費は伸び悩み、若い研究費の雇用は増えず、職を得ても研究費の裏付けがない。研究職を断念する者や、海外の研究機関に活路を見出す者も。[Science]
- 韓国
- 全羅南道 高興郡 道化面 堂梧里 ・西烏峙古墳で、独特の築造技法。大型石材を蓋石とし、石室内では門柱石を立て、石室の周辺には護石や葺石。器台、蓋杯、平底壺など出土。[NEWSIS]
- 中国
- 寧夏回族自治区 石嘴山市の賀蘭山で、ウマやシカの図案を描いた岩絵30か所。[中国新聞網]
▼賀蘭山関連記事→2022年3月3日 - オーストラリア
- 南オーストラリア州(South Australia)のウッドポイント遺跡(Wood Point)で数年前に発見された50000年前の卵に焼いた痕跡があり、ヒトが食べたものと推定。卵の殻から蛋白質を抽出、分析し、ゲニオルニス(Genyornis)の卵と特定。47000年以上前に絶滅した飛べない鳥。
[University of Cambridge]
cf. Beatrice Demarchi, Josefin Stiller, Alicia Grealy, Meaghan Mackie, Yuan Deng, Tom Gilbert, Julia Clarke, Lucas J. Legendre, Rosa Boano, Thomas Sicheritz-Pontén, John Magee, Guojie Zhang, Michael Bunce, Matthew James Collins, and Gifford Miller (2022) Ancient proteins resolve controversy over the identity of Genyornis eggshell. Proceedings of the National Academy of Sciences, e2109326119. [PNAS] - イラン
- 東アーザルバーイジャーン州(Ostān-e Āzarbāyjān-e Sharqī;East Azarbaijan)ヴァルゼガーン郡(Varzeqan)で先史時代の岩絵(petroglyph)。[Tehran Times]
- イスラエル
- テル・ツァフ遺跡(Tel Tsaf)で出土した中期銅石器時代・紀元前5200年〜前4700年(cal BC)の土器100点と石製容器3点に残る遺存物を分析し、それら容器の用途を推定。様々な食物が見つかっており、栽培植物や家畜(特に反芻動物)に基本を置く食生活であるが、新石器化以降も、特殊な用途には野生植物が利用された。基本的な食生活は新石器時代から継続しているが、南レヴァント最古の乳製品利用も確認。
cf. Rivka Chasan, Florian Klimsch, Cynthianne Spiteri, Danny Rosenberg (2022) Foodways of an agro-pastoral community: Organic residue analysis of pottery and stone vessels at Middle Chalcolithic Tel Tsaf. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 43, June 2022, 103491. [ScienceDirect]
▼テル・ツァフ遺跡関連記事→2022年1月11日 - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)ソンム県(Somme)ヴィレー=ボカージュ(Villers-Bocage)で、ラ・テーヌ文化(La Tène)中期〜終末のガリア人の集落。そのほか、新石器時代、ガロ=ローマ時代、中世の居住痕跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
2500 ans d’occupation humaine à Villers-Bocage (Somme)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - USA
- ウィスコンシン州(State of Wisconsin)マディソン(Madison)のスプリング・ハーバー・ビーチ(Spring Harbor Beach)のメンドータ湖(Lake Mendota)で出土した1200年前の丸木舟を最新技術で三次元スキャン。[The Journal Times]
- ペルー
- クスコ(Cusco)のサクサイワマン遺跡公園(Sacsayhuamán)で、インカの道路を整備。インカ時代の側壁や水路を持つ石敷きの道路を発見。[Andina]
- ボリビア
- アマゾン南西部のリャノス・デ・モホス地域(Llanos de Mojos)で、スペイン人到来以前のカサラベ文化(Casarabe culture)・500〜1400年の集落をLidarで調査し、2つの大規模集落(147haと315ha)を発見。さまざまな建築物があり、何重もの土手で囲まれ、周辺の小規模集落と長い直線の道路で連結。熱帯の農耕を基礎とした密度の低い都市がアマゾンにもあることを証明。
cf. Heiko Prümers, Carla Jaimes Betancourt, José Iriarte, Mark Robinson & Martin Schaich (2022) Lidar reveals pre-Hispanic low-density urbanism in the Bolivian Amazon. Nature. [Nature]
▼リャノス・デ・モホス地域関連記事→2019年5月16日 - USA
- ハワイ島(Hawaiʻi Island)コハラ(Kohala)の風下地域で出土した玄武岩と火山ガラス製品2947点を分析。地元産の素材は、可能性のあるものも含めて13.9%以下で、コハラ風上地域のポロルー採石場(Pololū)の石材を含まない。より遠方のマウナケア(Mauna Kea)採石場の石材は41.6%に及ぶ。石斧の分布は、集中的な生産と分配で説明できる。
cf. Peter R. Mills, Steven P. Lundblad, Christina Cauley, Drew S. Coleman, Julie S. Field, Alison L. Hafner, Jennifer G. Kahn, John M. Sinton, Patrick V. Kirch (2022) Provenance, production, and distribution of basalt and volcanic glass artifacts in Leeward Kohala, Hawaiʻi Island. Geoarchaeology. [Wiley Online Library]
2022年5月25日(水)
- 福岡県
- 粕屋町・江辻遺跡(えつじいせき)の土坑SX-1で見つかった、縄文時代晩期末・江辻SXー1段階の土器への穀物圧痕について、同遺構出土土器を再検証して穀物や栽培植物の種実を多数検出。また年代測定により、同遺構出土土器が弥生時代早期・山の寺・夜臼I式土器段階より確実に古いことを証明。
縄文時代の穀物栽培を立証 最新科学による縄文時代晩期末・江辻SX−1段階の大陸系穀物(イネ・アワ・キビ)流入を証明[熊本大学]
cf. Hiroki Obata, Dai Kunikita (2022) A new archaeological method to reveal the arrival of cereal farming: Development of a new method to extract and date of carbonised material in pottery and its application to the Japanese archaeological context. Journal of Archaeological Science, Volume 143, July 2022, 105594. [ScienceDirect] - 鹿児島県
- 霧島市・上野原遺跡(うえのはらいせき)の、9500年前とされていた集落跡は、新たな年代測定により10700年前〜10400年前。双子壺など、7500年前とされていた遺物群は8800年前〜8550年前。鬼界カルデラの大噴火による噴出物でできたアカホヤ層は6300年前とされていたが7300年前。[南日本新聞]
- 大学
- 大学教員の研究時間が減っていることが日本の研究力の低下の原因の一つとして、政府は研究に専念できる時間を確保するための方策の検討に乗り出す。[朝日新聞]
▽運営費交付金や補助金の削減が原因となり、予算の獲得競争(研究自体の競争ではなく、むしろ研究を阻害)に走らざるを得ないのだから、「方策の検討に乗り出す」とか言ってる間に予算をつけるべき - モンゴル
- バヤンホンゴル県 (Баянхонгор аймаг;Bayankhongor Aimag)のツァガーン・アグイ洞窟(Цагаан агуй;Tsagaan Agui Cave)で、中期旧石器時代(Middle Palaeolithic)以降の5回にわたる、砂漠の過酷な環境下での居住例。
cf. Arina M. Khatsenovich, Yadmaa Tserendagva, Dashzeveg Bazargur, Daria V. Marchenko, Evgeny P. Rybin, Alexey M. Klementiev, Roman A. Shelepaev, Byambaa Gunchinsuren, John W. Olsen and Anatoly P. Derevianko (2022) Shelter in an extreme environment: the Pleistocene occupation of Tsagaan Agui Cave in the Gobi Desert. Antiquity, Volume 96, Issue 388, August 2022, pp. 989 - 997. [Cambridge Core] - ベトナム
- バックカン省(Bac Kan)バベー県(Ba Be)・Tham Un洞窟で、前期バクソン文化(Bac Son culture)・6000年前〜5000年前以降、後期新石器時代〜初期金属器時代・4000年前までの石器などの遺物700点以上。[Vietnam News Agency]
- イスラエル
- ガリラヤのホルバト・アサド(Horvat Assad;Horbat Asad)で、ヘレニズム時代末・紀元前2世紀末の農場跡。ユダヤのハスモン朝(Hasmonean)がガリラヤに拡大した時期に当たる。何らかの理由で急遽放棄され、棚の紡錘車や壊れていない土器、無傷の鉄製農具も置き去り。遺体が見当たらないので伝染病の可能性は低い。[Haaretz]
- ハンガリー
- フン族(Huns)9人、アヴァール人(Avars)143人、征服ハンガリー人(conquering Hungarians)113人のゲノム合計265試料を新たに提示し、直近のヨーロッパに先祖を持たない3つの集団を抽出。匈奴(Xiongnu)とヨーロッパのフン族の間に遺伝的な連続性。アヴァール人はモンゴルに由来し、フン族とも関係あり。征服ハンガリー人はウゴル語話者(Ugric)のマンシ人(Mansis)に由来があり、サルマタイ人(Sarmatians)やフン族とも混血。
cf. Zoltán Maróti, Endre Neparáczki, Oszkár Schütz, Kitti Maár, Gergely I. B. Varga, Bence Kovács, Tibor Kalmár, Emil Nyerki, István Nagy, Dóra Latinovics, Balázs Tihanyi, Antónia Marcsik, György Pálfi, Zsolt Bernert, Zsolt Gallina, Ciprián Horváth, Sándor Varga, László Költő, István Raskó, Péter L. Nagy, Csilla Balogh, Albert Zink, Frank Maixner, Anders Götherström, Robert George, Csaba Szalontai, Gergely Szenthe, Erwin Gáll, Attila P. Kiss, Bence Gulyás, Bernadett Ny. Kovacsóczy, Szilárd Sándor Gál, Péter Tomka, Tibor Török (2022) The genetic origin of Huns, Avars, and conquering Hungarians. Current Biology. [ScienceDirect] - UK(イングランド)
- シェフィールド大学(The University of Sheffield)の考古学講座は、閉鎖の方針が2年間凍結された。2021年の評議員会の勧告では、学部の考古学課程を段階的に廃止し、大学院教育に重点を置くことになっていた。一般市民が48000筆の署名を集め抗議。[The Yorkshire Post]
- UK(スコットランド)
- ハドリアヌスの城壁(Hadrian's Wall;Vallum Aulium)の南からアントニヌスの城壁(Antonine Wall;Vallum Antonini)の北まで、鉄器時代〜ローマ時代の長期にわたる集落パターンの変遷を研究。手始めに2つの城壁の間にあるスコットランドのバーンズウォーク丘塞(Burnswark hillfort)周辺の地域に着目し、Lidarで579平方マイルを調査。これまで知られていなかった鉄器時代の在地部族の集落134か所を確認。[Heritage Daily]
cf. Manuel Fernández-Götz, Dave Cowley, Derek Hamilton, Ian J. Hardwick and Sophie McDonald (2022) Beyond Walls: Reassessing Iron Age and Roman Encounters in Northern Britain. Antiquity, First View, pp. 1 – 9. [Cambridge Core] - USA
- アリゾナ州(State of Arizona)・Naco Clovis遺跡で1953年に行われた未報告の第2次調査について、調査者の子孫が2011年にアリゾナ州立博物館(Arizona State Museum)に寄贈したマンモスの骨を分析。炭化物をAMS年代測定し、木炭3試料から得られた年代は10,985±56 年前(13,067〜12,767 cal yr BP)で、ほかのクローヴィス文化の遺跡の年代に一致。
cf. Bruce B. Huckell, C. Vance Haynes Jr, Vance T. Holliday, Gregory W. L. Hodgins, Lisa W. Huckell & Gina M. Watkinson (2022) The Naco Clovis Site: Old Excavations and New Dates. PaleoAmerica. [Taylor & Francis Online] - ペルー
- リマ(Lima)のバリオス・アルトス(Barrios Altos)にあった旧サン・アンドレス王立病院(Hospital Real de San Andrés)跡から、同市最初の墓地を発見。人骨42体。地下に、300年間使用したとみられるレンガ造りでアーチ天井の礼拝堂。このほか、スペイン人到来以前の土器、16〜17世紀のガラス玉、タイルなど出土。1746年の地震の後病院を再建した時の床など。サン・アンドレス王立病院は1552年にスペイン人向けに建てられたペルー初の病院で、1875年まで機能した。[Andina]
2022年5月24日(火)
- 石川県
- 金沢市・高尾城跡(たこうじょうあと)で、金沢市が申請なく掘削工事を行い、遺構を一部損壊した可能性。中世の富樫氏ゆかりの城。[北國新聞]
- スロベニア
- コロシュカ地方(Koroška)で、ローマ時代の里程標。430kg。[Slovenska tiskovna agencija]
- ポーランド
- ヴロツワフ(Wrocław)のポニャトフスキー通り(ul. Poniatowskiego;Poniatowskiego Street)にある第一高等学校の集会場(assembly hall)の壁の漆喰の下から、改修工事中に20世紀初めに描かれた数mに及ぶヴロツワフの市章(coat of arms)が露わに。1530年〜1938年に使用されたデザインであるが、ナチス支配下で下シレジア総督ヨゼフ・ワーグナー(Joseph Wagner)により変更された。校舎は1907年に建てられた。[The First News]
- フランス
- グラン・テスト地域圏(Grand Est)バ=ラン県(Bas-Rhin)オクフェルダン (Hochfelden)で前期新石器時代・線帯文土器文化(culture du Rubané)・紀元前5400年〜前5000年の墓27基。ローマ時代・2世紀の墓廟2基の下から見つかる。 Archéologie Alsaceの調査。[Ouest-France]
- ポルトガル
- トレシュ・ベドラシュ(Torres Vedras)のザンブジャル遺跡(Zambujal)から出土した銅石器時代のフリントをラマン分析し産地を推定。
cf. Patrícia Jordão, Alexandra Guedes, Nuno Pimentel (2022) Raman Microspectroscopy applied to flint provenance at the Chalcolithic settlement of Zambujal (Torres Vedras, Portugal). Archaeometry. [Wiley Online Library]
2022年5月23日(月)
- 群馬県
- 富岡市・中高瀬観音山遺跡(なかたかせかんのんやまいせき)で、弥生時代の住居跡・堀・方形周溝墓など。富岡市教育委員会の調査。6/11現地説明会。[富岡市]
「史跡中高瀬観音山遺跡発掘調査現地説明会」を開催します[富岡市]
▼中高瀬観音山遺跡関連記事→2021年3月16日 - 群馬県
- 伊勢崎市・西上之宮遺跡(にしかみのみやいせき)のうち、6号墳で造出部の裾から騎馬人物を表現した土製品。6号墳周堀と41号竪穴建物から韓式系土器。6号墳の墳丘上には、埴輪棺や小規模な埋葬施設。公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団の調査。
西上之宮(にしかみのみや)遺跡[公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団]
▼西上之宮遺跡関連記事→2022年5月5日 - 鹿児島県
- 志布志市・小迫遺跡(こざこいせき)から出土した縄文時代晩期後半・黒川式(新段階)の在地産の浅鉢形土器に含まれる炭化したイネを放射性炭素年代測定し、2613±35 BP。北部九州から南九州への稲作の伝播は30年程度の短期間。
南九州最古のイネ発見 鹿児島県志布志市小迫遺跡出土土器包埋炭化イネの年代測定結果
cf. 小畑弘己 ほか (2022) 土器包埋炭化物測定法による南九州最古のイネの発見−志布志市小迫遺跡出土のイネ圧痕とその所属時期について−. 日本考古学54号.[熊本大学] - 中国
- 湖南省 永州市 東安県の後背山墓群で、清時代の墓25基。「生于庚寅年七月十七……光緒二十一年三月清明立」「嘉慶十七年正月二十八日墳墓碑記立」などの墓前碑があり、出土遺物とも合致するので、墓群は清時代中晩期と推定。主に家族墓とみられる。[新華社]
- モンゴル
- モンゴル北部と西部の3遺跡で出土した匈奴(Xiongnu)の遺体について、炭素と窒素の安定同位体分析により、C4植物の摂取量を復元。ゴル・モドII墓地(Гол мод-II;Gol Mod 2)のテラス墓で出土した3人の貴人は、陪墓に葬られた人々と同様の食生活を示し、同様のライフスタイルを持つ強い結びつきが考えられる。Ereen Hailaasの平民は、貴人と同様の同位体比。Salkhitiin Amの平民は、ほかの匈奴よりもC4植物や動物性たんぱく質が少ない。遺跡ごとの違いは、生存戦略や伝統の違いが考慮されるべき。
cf. Zhou Ligang, Mijiddorj Enkhbayar, Erdenebaatar Diimaajav, Lan Wanli, Liu Bin, Iderkhangai Tumur-Ochir, Ulziibayar Sodnom, Galbadrakh Baatar (2022) Diet of the Chanyu and his people: Stable isotope analysis of the human remains from Xiongnu burials in Western and Northern Mongolia. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - カンボジア
- プレアヴィヒア州・プレアヴィヒア寺院(Preah Vihear Temple)のふもとの小さな寺院の近くで、ジャヤーヴァルマン7世(Jayavarman VII)の治世・12世紀後半の金属製容器の一部。銘文あり。Pheay Sachyakuru神への奉納品。[Khmer Times]
▼プレアヴィヒア寺院関連記事→2011年2月7日 - USA
- ミネソタ州(State of Minnesota)セイクリッド・ハート(Sacred Heart)の干上がった川底で2021年に発見されたヒトの頭蓋骨は、古期(Archaic)・紀元前6000年〜前5500年のネイティヴアメリカンの男性のものと判明。頭蓋骨はアッパー・スー・コミュニティ(Upper Sioux)に引き渡され、ソーシャルメディアで公開された人骨の画像も削除された。[LiveScience]
- ドイツ
- ニーダーザクセン州(Land Niedersachsen)オルデンブルク郡(Landkreis Oldenburg)ヴィルデスハウゼン(Wildeshausen)で鉄器時代・紀元前500年〜紀元前後の集落。土器と柱穴、炉跡を確認。[Kreiszeitung]
2022年5月22日(日)
- 広島県
- 東広島市で、2018年の西日本豪雨の際、鎌倉〜戦国時代の山城の周辺斜面で崖崩れが多く発生。風化しやすい花崗岩の上に築かれている。[共同通信]
- 韓国
- 慶山市・陽地里遺跡の1号木棺墓被葬者は、原三国時代前期・西暦紀元前後に、辰韓・弁韓に君臨した個人有力者の可能性。[毎日新聞]
- UK(イングランド)
- ロンドン(London)・リヴァプール・ストリート駅(Liverpool Street Station)で、一つの墓壙に16世紀にペストで死亡した40人の遺体。大部分は木棺に納めており、無造作に墓壙に投げ込んだわけではなかった。1665年のペスト大流行よりさかのぼる。[Plymouth Live]
2022年5月21日(土)
- 中国
- 焦家遺跡(Jiaojia)で出土した大汶口文化(Dawenkou)中期〜後期の副葬土器を分析。土器の機能によって成分に違い。調理用土器と食器ではカルシウムが少ない粘土を用い、飲用土器ではカルシウムが多い粘土を用いる。焼成温度はおむね飲用土器の方が調理用土器や食器よりも高い。
cf. C. Yuan, F. Wang, S. L. Yuan (2022) NEOLITHIC BURIAL POTTERY FROM THE JIAOJIA SITE, CHINA: A MULTI-ANALYTICAL STUDY. Archaeometry. [Wiley Online Library]
▼山東省 済南市 章丘区
▼焦家遺跡関連記事→2018年7月11日 - ポーランド
- ポーランド低地での、大移動時代(Migration Period)・4〜6世紀以降の大規模な森林減少について36の花粉データにより研究。大移動時代の後、7〜9世紀には森林が拡大したが、スラブ文化の黎明期、特に北西部や北中部で森林が減少。その後、北東部を中心に、プロイセン地域へのドイツ騎士団の入植や、14世紀以降の新たな入植によって森林が減少。
cf. Sambor Czerwiński, Katarzyna Marcisz, Agnieszka Wacnik & Mariusz Lamentowicz (2022) Synthesis of palaeoecological data from the Polish Lowlands suggests heterogeneous patterns of old-growth forest loss after the Migration Period. Scientific Reports, volume 12, Article number: 8559. [Scientific Reports]
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