2022年6月10日(金)
- 長崎県
- 壱岐市・久保頭古墳(くぼがしらこふん)で出土した鉄製轡は、国内3例目の復環式鏡板付轡。類例は朝鮮半島で多数出土。壱岐市教育委員会の調査。[長崎新聞]
- 中国
- 湖南省 汨羅市 屈子祠鎮で、商(殷)代後期の墓地。[AFPBB]
- USA(マリアナ諸島)
- サイパン島(Saipan)にあるサン・ロケ遺跡(San Roque)ほかで、先ラッテ時代前期(Early Pre-Latte)・紀元前1500年にオーストロネシア人(Austronesian)が定着。サン・ロケ遺跡とほかの同時期の島嶼遺跡を比較するとさまざまな生活様式の違いが紀元前1千年紀中ごろまでみられる。海面水位の変化や利用可能な資源の変化により、ミクロネシアのほかの遺跡が内陸部に移動するようになった一方で、サン・ロケ遺跡では海岸の遺跡が放棄されて海側の移動した。
cf. Boyd Dixon, Michael Dega, Darlene Moore & Judith R. Amesbury (2022) Archaeological research at the Early Pre-Latte Period site of San Roque on Saipan (ca. 1500–1100 BC). The Journal of Island and Coastal Archaeology. [Taylor & Francis Online] - インドネシア
- ワラセア諸島(Wallacea)の各地の島で得られた古人骨16体のDNAを分析。遅くとも3万年前以来、アジアやオセアニアの周辺地域から繰り返し人間集団が渡来。オーストロネシア語に関連したゲノムは、ワラセア南部よりも、ワラセア北部や太平洋地域の人々と関係が深い。
Das prähistorische Wallacea – ein genetischer Schmelztiegel menschlicher Abstammungslinien
Pre-historic Wallacea - a melting pot of human genetic ancestries[Max-Planck-Gesellschaft]
北マルク州(Maluku Utara;North Moluccas)、スラウェシ島(Sulawesi)、東ヌサ・トゥンガラ州(Nusa Tenggara Timur;East Nusa Tenggara)の2600年前〜250年前の古人骨16体のDNAを分析。
cf. Sandra Oliveira, Kathrin Nägele, Selina Carlhoff, Irina Pugach, Toetik Koesbardiati, Alexander Hübner, Matthias Meyer, Adhi Agus Oktaviana, Masami Takenaka, Chiaki Katagiri, Delta Bayu Murti, Rizky Sugianto Putri, Mahirta, Fiona Petchey, Thomas Higham, Charles F. W. Higham, Sue O’Connor, Stuart Hawkins, Rebecca Kinaston, Peter Bellwood, Rintaro Ono, Adam Powell, Johannes Krause, Cosimo Posth & Mark Stoneking (2022) Ancient genomes from the last three millennia support multiple human dispersals into Wallacea. Nature Ecology & Evolution. [Nature Ecology & Evolution] - シリア
- テル・カラッサ遺跡(Tell Qarassa)で、2009〜2010年に調査した人骨のうち、上層の2体は放射性炭素年代により、初期イスラーム時代のウマイヤ朝(Umayyad)・7世紀後半〜8世紀初めと判明。埋葬様式も初期イスラームに一致。ゲノム解析の結果、古代や現代のレバノン人とは一致せず、ベドウィンやサウジアラビア人など、アラビア半島に近い。テル・カラッサ遺跡は新石器時代の遺跡として知られている。
Evidence of very early Islamic burials in the Levant[Uppsala universitet]
cf. Megha Srigyan, Héctor Bolívar, Irene Ureña, Jonathan Santana, Andrew Petersen, Eneko Iriarte, Emrah Kırdök, Nora Bergfeldt, Alice Mora, Mattias Jakobsson, Khaled Abdo, Frank Braemer, Colin Smith, Juan José Ibañez, Anders Götherström, Torsten Günther & Cristina Valdiosera (2022) Bioarchaeological evidence of one of the earliest Islamic burials in the Levant. Communications Biology, volume 5, Article number: 554. [Communications Biology]
▼テル・カラッサ遺跡関連記事→2014年3月12日 - ウズベキスタン
- バクトリア(Bactria)/トカリスタン(Tokharistan)地域のホシジャト・テペ(Khosijat Tepe)とバラリク・テペ(Balalyk Tepe)で出土した初期中世の粗製土器16点を分析。土器はいずれも在地産であるが、原材料の産地や加工法には違いがある。新たな器形や装飾がバクトリア北部の複数の遺跡で登場するのは、遊牧民の伝統が地域レベルで拡散したことを示す。この地域は5〜8世紀に遊牧が次々に渡来し、また、クシャーン朝やサーサーン朝とも交流した。
cf. Maura M. Bestetti, Verónica Martínez Ferreras, Josep M. Gurt Esparraguera, José L. Jiménez Salvador (2022) Early Medieval coarse wares from northern Bactria-Tokharistan. Archaeological and archaeometric characterization. Archaeological Research in Asia, Volume 31, September 2022, 100386. [ScienceDirect] - チェコ
- ブジェズニツェ(Březnice)で検出された後期青銅器時代(Late Bronze Age)のロングピット(long pit)の機能を研究。住居跡を廃棄し埋め立てることに伴う儀礼の場と推定。ロングピットは、中央ヨーロッパのボヘミアやバイエルンで、後期青銅器時代の集落に見られる独特の遺構。二次焼成された大量の土器が廃棄されている。cf. Martin Kuna, Andrea Němcová, Tereza Šálková, Petr Menšík, Ondřej Chvojka (2022) Deposition analysis and the hidden life of Bronze Age houses. Journal of Anthropological Archaeology, Volume 67, September 2022, 101433. [ScienceDirect]
- ポーランド
- チュフフ(Czchów)で、二次世界大戦当時にレジスタンスが隠した武器を発見。40年前の録音テープがきっかけ。[The First News]
▼マウォポルスカ県(Województwo małopolskie:Lesser Poland Voivodeship)ブジェスコ郡(powiat brzeski;Brzesko County) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ドルトムント(Dortmund)で、中世の墳墓13基と、フランシスコ会修道院の跡。修道院は13世紀に設立され、1805年まで存続した。[Wir in Dortmund]
- フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne)イル=エ=ヴィレーヌ県(Ille-et-Vilaine)ラ・シャペル=デ=フジュレッツ(Chapelle-des-Fougeretz)で、ガロ=ローマ時代・1〜5世紀の聖域の全体の構成が明らかに。神殿2棟と回廊、床暖房、浴場、マルス神のブロンズ像など。また、鉄器時代1期末・紀元前500年の骨壺も出土。国立予防考古学研究所の調査。
Un remarquable ensemble cultuel gallo-romain à la Chapelle-des-Fougeretz (Ille-et-Vilaine)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - ノルウェー
- オスロ(Oslo)の新たなヴァイキング時代博物館の建設は今年8月に始まり、2016年に開館予定だったが、今年5月、計画は凍結され、予算の見直しに。予算削減と計画の遅延により、1200年前のヴァイキング船の保存に困難が。[Science Norway]
- UK(イングランド)
- ノーフォーク州(Norfolk)グレート・ヤーマス(Great Yarmouth)沖で17世紀の王室の船「グロスター号」(Gloucester)を発見。ヨーク公ジャームズ・スチュアート(James Stuart、後のジェームズ2世)を載せてエディンバラに向かう途中、1682年にに沈没。
WRECK OF HISTORIC ROYAL SHIP DISCOVERED OFF THE ENGLISH COAST[University of East Anglia]
cf. Claire Jowitt (2022) The Last Voyage of the Gloucester (1682): The Politics of a Royal Shipwreck. The English Historical Review, ceac127. [Oxford Academic] - アイスランド
- スカーガフィヨルズル(Skagafjörður)のヘグラネス島(Hegranes)にあるヴァイキング時代・870年〜1104年の貝塚から出土した鳥類の骨は、ウミスズメ科(Alcidae)の潜水性の海鳥であるニシツノメドリ(Puffin;Fratercula arctica)とウミガラス(guillemot;Uria aalge)の骨が多数を占めるが、脚の骨に比べて翼の骨が顕著に多い。アイスランドのほかの地域に比べても鳥類が多く、また翼に偏っていることから、専門的な処理方法や利用方法があったとみられる。
cf. Grace M. Cesario, John M. Steinberg (2022) The distribution of seabird wings recovered from Viking Age domestic midden deposits in Skagafjörður, North Iceland. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103497. [ScienceDirect] - カナダ
- ノバスコシア州(Nova Scotia;Nouvelle-Écosse)・ルイブール(Louisbourg)で出土した動物遺体を分析し、ほかの遺跡とも比較して15〜19世紀の北大西洋(Nort Atlantic)のタラ貿易に関し研究。タラが捕獲、加工される北東カナダや大西洋岸ではタラが豊富であるが、北米大陸のほかの地域では比較的少なく、奴隷労働者を養うためにタラを大量に輸入していたカリブ海地域の遺跡でも少ない。一方、ヨーロッパで同位体分析によって判明した北大西洋のタラは、現在の生息域の範囲にとどまっている。
cf. Martin H. Welker & Eréndira M. Quintana Morales (2022) The North Atlantic cod trade: A meta-analysis of the North American and European archaeological records. The Journal of Island and Coastal Archaeology. [Taylor & Francis Online] - 論文不正
- 福井大学の教授が国際学術誌に投稿した論文で、論文の査読者だった千葉大学の教授と協力し、自らの論文の査読に関与した研究不正。[毎日新聞]
2022年6月9日(木)
- 青森県
- 弘前市・弘前城(ひろさきじょう)で、本丸西側斜面の石垣から、階段状に積まれた石。忍者の通用口とされる「埋御門」の可能性。[共同通信]
▼弘前城関連記事→2022年4月15日 - 千葉県
- 市川市・北下瓦窯跡が放置されたままだとして市民団体が市川市の教育長と市長あてに保存措置を求める要望書。2004年の派遣遺体、公有地化が進まず。北下瓦窯跡は、下総国分寺跡の関連施設として2010年に国史跡に追加指定された。[東京新聞]
- 中国
- 天津市 薊州区 城関鎮・白馬泉村北墓地で、後漢、唐、遼、明・清の古墓30基。[新華社]
- インドネシア
- 中部ジャワ州(Jawa Tengah;Central Java)のボロブドゥール遺跡(Borobudur)について、入場料を当面値上げしない方針。入場料の大幅値上げ方針が6/4に示されていた。[NNA アジア経済ニュース]
- スペイン
- ブルゴス県(Provincia de Burgos)のアタプエルカ山脈(Sierra de Atapuerca)にある「彫刻ギャラリー」(Galería de las Estatuas)で出土した草食動物の歯に「ESR/U-series」による年代測定を初めて実施し、ほかの方法による既存の年代観と比較。中期旧石器時代にさかのぼる遺跡と確認。「彫刻ギャラリー」はムスティエ文化(Mousterian)の石器を出す上部更新世(upper Pleistocene)の遺跡として知られているとともに、ネアンデルタール人によく似た人骨が出土したり、堆積層からネアンデルタール人のミトコンドリアDNA、核DNAが検出されるなどしていた。
cf. Davinia Moreno, Ana Isabel Ortega, Christophe Falguères, Qingfeng Shao, Olivier Tombret, Asier Gómez-Olivencia, Arantza Aranburu, François Trompier, José María Bermúdez de Castro, Eudald Carbonell, Juan Luis Arsuaga (2022) ESR/U-series chronology of the Neanderthal occupation layers at Galería de las Estatuas (Sierra de Atapuerca, Spain). Quaternary Geochronology. [ScienceDirect] - ノルウェー
- ローガラン県(Rogaland)の2遺跡で出土した植物遺存体を用い、動物考古学や放射性炭素年代も利用して、6世紀半ばの物質文化の転換を跡付け。一方の遺跡ではライムギを一時的に導入して状況に適応しようよとし、もう一方の遺跡は交易に依存していたが完全に廃絶。6世紀の危機に伴う人口の減少や経済の悪化に対し、自給可能な農業適地では農業に転換して適応を図ったとみられる。
cf. Sara Westling, Erik Daniel Fredh, Per Lagerås & Kristin Armstrong Oma (2022) Agricultural Resilience during the 6th Century Crisis: Exploring Strategies and Adaptations Using Plant-Macrofossil Data from Hove-Sørbø and Forsandmoen in Southwestern Norway. Norwegian Archaeological Review. [Taylor & Francis Online] - グアテマラ
- セイバル遺跡(Ceibal)と、そのほかのパシオン・マヤ地域(Pasión Maya)の墳墓遺跡から出土した人骨50体の放射性炭素年代。安定同位体分析による食生活の復元と、淡水リザーバー効果に関するデータから、先古典期中期(Middle Preclassic Period)について92〜179年、それ以降の時期については44〜99年間の補正が必要。放射性炭素年代を補正することにより、古期(Archaic)の生活様式を維持していた集団と、土器を使用する集団が儀式用建築を築いた時期が同時期である可能性。マヤ低地では岩塩に由来する炭素を摂取することにより、放射性炭素年代が古く出る傾向がある。
cf. Takeshi Inomata, Ashley Sharpe, Juan Manuel Palomo, Flory Pinzón, Hiroo Nasu, Daniela Triadan, Brendan J. Culleton, Douglas J. Kennett (2022) Radiocarbon dates of burials from Ceibal and other Pasión Maya sites, Guatemala, and the examination of freshwater reservoir effect through diet reconstruction. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103506. [ScienceDirect]
2022年6月8日(水)
- 京都市
- 下京区・平安京跡・塩小路若山城跡で、平安時代後期から鎌倉時代に平安京南東部の開発が進んだことを示す遺構群。京都市の調査。6/18現地説明会。
平安京跡・塩小路若山城跡発掘調査市民向け現地説明会の開催について[京都市] - 奈良県
- 斑鳩町・藤ノ木古墳(ふじのきこふん)に副葬されていた国宝の金銅履が、修理に先立つ調査中に、亀裂が広がる被害。[MBS毎日放送]
- 中国
- 藍田県(Lantian)の公王嶺(Gongwangling)で出土した、前期更新世(early Pleistocene)・163万年前のヒトの歯6本を分析し、さまざまな人類と比較。その結果、広義のホモエレクトゥス(H. erectus s.l.)に帰属し、中期更新世の人類とは相違がみられることを確認。東アジア最古のホモエレクトゥスの一つ。
cf. Lei Pan, Clément Zanolli, María Martinón-Torres, José María Bermúdez de Castro, Laura Martín-Francés, Song Xing, Wu Liu (2022) Early Pleistocene hominin teeth from Gongwangling of Lantian, Central China. Journal of Human Evolution, Volume 168, July 2022, 103212. [ScienceDirect]
▼陝西省 西安市 藍田県・ - イラン
- 南ホラーサーン州(Ostān-e Khorāsān-e Jonūbī;South Khorasan province)サラーヤーン郡(Sarayan)のカレ・クブ(Kale Kub)で、紀元前5千年紀〜前2千年紀の工房、日干しレンガの壁、土器など、社会の複雑化や行政管理を表す証拠。特に紀元前4千年紀の東西交流に関連。[Tehran Times]
▼カレ・クブ関連記事→2021年5月27日 - トルコ
- クルッカレ県(Kırıkkale il)カラケチリ郡(Karakeçili)・ビュクリュカレ遺跡(Büklükale)で、キンメリア人(Cimmerians)の集落や城をアナトリアでは初めて発見。紀元前8世紀にウクライナ南部から移動。松村公仁氏らの調査。[Now Archaeology]
▼ビュクリュカレ遺跡関連記事→2018年12月7日 - トルコ
- デュズジェ県(Düzce ili)コヌラルプ郡(Konuralp)の古代都市プルシアス・アド・ヒュピウム(Prusias ad Hypium)で、大甕ピトス(πίθος;pitos)。ほかに紀元前2世紀〜前1世紀のメドゥーサ(Μέδουσα;Medusa)像の頭部などの彫刻、墓など。[Daily Sabah]
- ギリシャ
- ハルキディキ県(Χαλκιδική;Chalkidiki)にあるクリソカマロスのアギオス・ニコラオス修道院(Monastery of Agios Nikolaos of Chrysokamaros)で、中世の片刃のサーベル。修道院を攻撃した際に湾曲。鞘の責金具が一部遺存。刀身45僂牢安検0篝廚詫弸媛修靴申て傘,如14世紀を中心とした施釉陶器が大量に出土し、ビザンティン時代後期・14世紀後半か15世紀初めに廃絶。サーベルは修道院襲撃で使用された可能性。このようなサーベルは、トルコ人も用いたことが知られているが、ビザンティン帝国の兵士も6世紀以降用いている。14世紀にはトルコ人海賊の襲撃(1334年)、セルビア王ステファン・ウロシュ4世ドゥシャン(Стефан Душан;Stefan Dušan)による侵略とその後の占領(1345〜1371年)、そしてオスマン朝にょる略奪(1383〜1387年)があった。[LiveScience]
- クロアチア
- 南部のシャリチ・サトルガ遺跡(Šarić Struga)とコプリヴノ・クリジュ遺跡(Koprivno-Kri)から出土したオスマン朝のヴラフ人(Vlach)の頭蓋骨を分析。同地域の非ヴラフ人とは大きな差がなく、両者は生物学的な要因よりも社会経済的に識別されていたとみられる。
cf. Kathryn Grow Allen, Mario Šlaus, Anita Adamić Hadić, Noreen Von Cramon-Taubadel (2022) In Service to the Sultan: Biological affinity analysis of Vlach Ottoman vassals from the Šarić Struga and Koprivno-Kri sites in southern Croatia. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library]
▼ヴラフ人は中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、南東ヨーロッパのラテン系の人々。 - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)ソンム県(Somme)アミアン(Amiens)で、ローマ時代・1〜4世紀の巨大な邸宅の一部。邸宅にさかのぼるラ・テーヌ文化の環濠集落や、ガロ=ローマ時代の農場跡も。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Une portion d’une très grande villa antique suburbaine découverte à Amiens (Somme)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - コロンビア
- カルタヘナ(Cartagena)沖のカリブ海(Caribbean)で、1708年に沈んだサン・ホセ号(San José)の近くで、新たに沈没船2隻。[Reuters]
- ペルー
- ナスカの地上絵で、植物とみられる新たな地上絵。[テレビ朝日]
2022年6月7日(火)
- 浜松市
- 浜松市博物館で収蔵品5点が紛失した問題で、紛失に至った原因などを究明するため再調査委員の有識者や警察OBが委嘱された。[静岡朝日テレビ]
▼浜松市中区;2024年1月1日から浜松市中央区 - 島根県
- 浜田市が計画する歴史文化保存展示施設を巡る問題で、背景にある浜田市浜田郷土資料館の老朽化に関し市民向け見学会を始めることに。施設の建設を盛り込んだ市の総合振興計画後期基本計画案は一時留保されている状態。[読売新聞]
- 韓国
- 鳳凰土城(Bonghwang earth castle)と金官加耶(Geumgwan Gaya)王宮について、複数の地球物理学的方法により研究。鳳凰土城の範囲が明らかとなり、土城内の王宮でも中心地域に長方形または楕円形の高磁気帯。
cf. Hang-Tak Jeon, Se-Yeong Hamm, Hyoun-Jae Lee, Samgyu Park, Sang-Hyun Kim (2022) Delineating the Bonghwang earth castle and Royal Palace of Geumgwan Gaya Kingdom using multiple geophysical techniques. Archaeological Prospection. [Wiley Online Library]
▼慶尚南道金海市
▼鳳凰土城関連記事→2020年12月3日 - 中国
- 山西省 臨汾市 襄汾県・陶寺北墓地で、春秋晩期の貴族女性を葬った積石墓。被葬者は8か月の胎児を妊娠。当時の大夫の夫人と推定。[中国新聞網]
▼陶寺北墓地関連記事→2017年2月22日 - 中国
- 唐と宋の青白磁について研究。唐の青白磁39点、宋の青白磁7点が、都市、窯、墓沈没船、仏塔から出土しており、唐の青白磁は海のシルクロードでの貿易のため、または国内の外国人のため製作されたと推定。また、仏教文化や中東の文化との関連も。唐の青白磁の顔料は三彩のそれを引き継ぎ中東由来、素地と釉薬は白磁と共通。宋の青白磁は国内、おそらく浙江のコバルトを使用。
cf. Yun Zhang, A. Mark Pollard (2022) THE ARCHAEOLOGICAL AND SCIENTIFIC ANALYSIS OF BLUE-DECORATED CERAMICS IN THE TANG AND SONG DYNASTIES. Archaeometry. [Wiley Online Library] - イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs) カーゼルーン郡(Kazerun)ダヴァーン(Davan)で発見された岩絵は青銅器時代・5000年前〜3000年前。ウマのような動物を描いており、当時ウマを飼育していた可能性。[Tehran Times ]
- イラン
- モシュキン・テペ(Moshkin Tepe)で中世のストーンペースト(stonepaste)土器の製作遺跡。ストーンペーストは11/12世紀にイスラーム世界で作り出されたと考えられているが、生産遺跡の発見は稀。
cf. Moujan Matin (2022) A Medieval Stonepaste Ceramic Production Site in Moshkin Tepe, Iran: Ceramics, Wasters, and Manufacturing Equipment. Iran. [Taylor & Francis Online] - イラク
- イラクから考古資料の破片を密輸出しようとしたとして、英国人地質学者に懲役15年の判決が出る見込み。[The Guardian]
- 南コーカサス
- イランのオルーミーイェ博物館(Orumiyeh Museum)が所蔵する装飾された青銅製の帯金具について研究。南コーカサスのものであるが、図像にはアッシリアの影響を受けているとみられる。
cf. Behrouz Khanmohammadi, Annarita Stefania Bonfanti & Roberto Dan (2022) A New Decorated Bronze Belt from Orumiyeh Region, North-Western Iran. Iran. [Taylor & Francis Online] - ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)コンスタンツ郡(Kreis Konstanz)エンゲン(Engen)で、青銅器時代・紀元前1500年ごろとみられる墳墓と、幼児と子供の人骨。[SWR]
- ニワトリ
- 西ユーラシアと西北アフリカの最古級とみられるニワトリの放射性炭素年代23件によると、ニワトリは紀元前800年にヨーロッパに到達し、スコットランド、アイルランド、スカンディナヴィア、アイルランドなどの寒冷地に至るにはさらに1000年を要した。ニワトリは東南アジアの熱帯雨林に由来し、最古の飼育されたニワトリの骨は、タイのバーンノンワット遺跡(Ban Non Wat)の新石器時代・紀元前1650年〜前1250年の例。稲作によって、ニワトリは樹上生活からコメを求めて地上に降りてきて、ヒトと接点を持ったと推定。従来説では、ニワトリは10000年前から食用に飼育されていたとみられていた。[The Guardian]
cf. Julia Best, Sean Doherty, Ian Armit, Zlatozar Boev, Lindsey Büster, Barry Cunliffe, Alison Foster, Ben Frimet, Sheila Hamilton-Dyer, Tom Higham, Ophélie Lebrasseur, Holly Miller, Joris Peters, Michaël Seigle, Caroline Skelton, Rob Symmons, Richard Thomas, Angela Trentacoste, Mark Maltby, Greger Larson and Naomi Sykes (2022) Redefining the timing and circumstances of the chicken's introduction to Europe and north-west Africa. Antiquity, First View, pp. 1 - 15. [Cambridge Core]
cf. Joris Peters, Ophélie Lebrasseur, Evan K. Irving-Pease, Ptolemaios Dimitrios Paxinos, Julia Best, Riley Smallman, Cécile Callou, Armelle Gardeisen, Simon Trixl, Laurent Frantz, Naomi Sykes, Dorian Q. Fuller, and Greger Larson (2022) The biocultural origins and dispersal of domestic chickens. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 119, No. 24, e2121978119. [PNAS]
2022年6月6日(月)
- 新潟県
- 十日町市・越後妻有里山現代美術館 MonETに展示されていた作品2点が、修学旅行中の新潟市の中学生によって4/21壊され、うち1点は修復不可能に。美術館の運営団体は十日町署に5/2被害届。十日町市も新潟市に損害賠償を請求する方針。[新潟日報]
- 長崎県
- 平戸市・大島砲台の終戦直後の写真を発見。戦艦の砲塔を転用して1929年に旧日本陸軍が築いたもの。[長崎新聞]
- イラク
- ディヤーラー県(Diyala)ミクダーディーヤ(Miqdadiyah)にあるTal Being al-Amir遺跡とTal Sabaa Qanatir遺跡が、サーサーン朝の第2の都と判明。宮殿、城壁、イスラームに征服された後のモスクや市場の遺構を最新技術で確認。サーサーン朝のホスロー2世(Khosrow II)が20年滞在し、ビザンティン皇帝ヘラクレイオス(Ἡράκλειος;Heraclius)が624年に征服した。[Iraqi News]
- ウクライナ
- ロシアの軍事侵攻により文化財の損失も深刻な問題に。[TBS]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen) ゾースト郡(Kreis Soest) ヴェルル(Werl)でローマ時代・2000年前の農家と人骨。
Gehöft aus der Römischen Kaiserzeit in Werl ausgegraben[Archaeologie Online] - UK(ウェールズ)
- ペンブルックシャー州(Pembrokeshire)のプレセリの丘(Preseli Hills)で、ローマ時代の道路。道路の幅は最大5mで、11劼傍擇屐G西譴篥‖陲鬚弔覆、鉱山も通過。ローマがウェールズのより深く西方まで進出していたことを示す。[The Guardian]
- 授賞
- 2021年度日本旧石器学会賞に、島田和高・明治大学博物館学芸員。黒曜石考古学。
明治大学博物館の島田和高学芸員が日本旧石器学会賞を受賞しました[明治大学]
2022年6月5日(日)
- 中国
- 四川省(Sichuan) 成都市(Chengdu)・双元村墓地(Shuangyuan cemetery)の東周時代の各時期の銅戈(bronze poleaxe)について分析。戦国時代(Warring States)早期から戦国時代中期前半まで、蜀人は同じ地域の鉛を使用。戦国時代中期後半には鉛の由来が大きく変化し、蜀人と楚(Chu)人の交流を示す。
cf. Xiaoting Wang, Yingdong Yang, Tianyou Wang & Wugan Luo (2022) Subdivision of culture and resources: raw material transformation and cultural exchange reflected by bronze poleaxes from the Warring States sites in the Chengdu Plain. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 14, Article number: 121. [SpringerLink] - オーストラリア
- アーネムランド(Arnhem Land)のガンバランヤ(Gunbalanya)でボールドウィン・スペンサー(Baldwin Spencer)が1912年に収集した樹皮画(バーク・ペインティング;bark painting)について、研究者が作者を同定する努力を続けている。[Australian Broadcasting Corporation]
- ウズベキスタン
- テルメズ(Termez;呾蜜)の5地域で出土した、グレコ・バクトリア/月氏、クシャーン朝、サーサーン朝、イスラーム時代・紀元前300年〜紀元後1400年の動物遺体を分析。家畜にはおもにヒツジやヤギがあり、肉、家、乳を目的としていた。そのほかにウシ、ブタ、ニワトリがいた。家畜や狩猟対象は、特殊な時期にわずかに変化するほかは、一貫している。例えばウシとウマはサーサーン朝において重視され、ブタはイスラーム時代に激減する。ニワトリは特に卵が利用されたと思われる。ラクダ類の骨はサーサーン朝を除いてほとんどない一方、ガゼルやサイガはどの時代でも狩られている。家畜の世話のためにイヌが飼われており、ご褒美として余った骨を与えられていた。
cf. Rodrigo Portero, Enrique Ariño, Mikelo Elorza, Josep M. Gurt, Verónica Martínez Ferreras, Shakir R. Pidaev (2022) Zooarchaeology of ancient Termez (Uzbekistan): From the Greco-Bactrian period to Islamic times. Archaeological Research in Asia, Volume 31, September 2022, 100384. [ScienceDirect] - ギリシャ
- コザニ県(Περιφερειακή ενότητα Κοζάνης;Κοζάνη;Kozani)のポントコミ・ヴリシ(Ποντοκώμη Βρύση;Pontokomi-Vrysi)で出土したローマ時代・1〜4世紀の人骨の古病理学的分析。変形性関節症(osteoarthritis)、椎間板疾患(intervertebral disc diseas)、骨膜炎(periostitis)、外傷は男性の方が有意に多く、男性が農業や畜産業などで重労働していたことを示す。
cf. Chryssa Vergidou, Georgia Karamitrou-Mentessidi, Sofia Voutsaki, Efthymia Nikita (2022) A bioarchaeological contribution to the social history of Roman Macedonia: the Pontokomi-Vrysi site in Kozani Prefecture, Greece. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)アンデクス(Andechs)のフリーディング(Frieding)で、鉄器時代初頭・ハルシュタット文化(Hallstatt)・紀元前8世紀の火葬墓から剣2振。うち1振は、青銅器時代の剣の形状を鉄で再現。長さ76cmと66cm、幅はいずれも6cm。短い方は、対人的な刺突武器。長い方は馬上からでも使える武器とみられる。柄に用いた骨の痕跡が残る。布に包んで副葬。
2.800 Jahre alte Schwerter aus dem Beginn der Eisenzeit gefunden[Archaeologie Online]
▼バイエルン州(Freistaat Bayern)シュタルンベルク郡(Landkreis Starnberg) - スウェーデン
- スコーネ地方(Skåne;Scania)北部のSønnebøeにある、中世の円形の石壁について発光年代測定し、15の測定値を得る。遺構周辺の堆積物の石英から8つの測定値、遺構に使用された石材から7つの測定値。これにより、環状遺構が800年前〜300年前の間に築かれたとわかる。
cf. W. K. Thompson, D. Arvidsson, A. S. Murray, A. Blidberg, V. Hansen (2022) Rock and sediment luminescence dating of an ancient circular stone-walled enclosure at Sønnebøe, northern Scania, Sweden. Quaternary Geochronology. [ScienceDirect]
2022年6月4日(土)
- 熊本市
- 熊本城本丸御殿とその周辺の石垣復元設計業務が、1年遅れることに。委託されていた山梨県の設計コンサルタント会社が履行できず契約解除。熊本市6/3発表。[熊本日日新聞]
- 鹿児島県、沖縄県
- 奄美・沖縄諸島(Amami and Okinawa Archipelagos)の貝塚時代(Shellmidden Period)の社会の複雑化の進展を研究。貝塚時代・7000年前〜1000年前のうち、最初の数千年は移動性が高く、平等性が高いが、前5期に社会の複雑化が進展。前5期以降、貝塚時代末までは、のこぎりの歯のように平等性の高い社会と複雑化した社会が周期的に繰り返され、必ずしも首長制に進展したわけではなかった。
cf. Hiroto Takamiya(盖楾土) & Takayuki Shinzato(新里貴之) (2022) Evolution of social complexity during the Shellmidden Period, the Central Ryukyus (Amami and Okinawa Archipelagos), Japan: Not simply simple, but not necessarily complex. The Journal of Island and Coastal Archaeology. [Taylor & Francis Online] - 水中遺跡
- 水中遺跡の保護を図るため、文化庁は史跡など文化財としての指定や登録を推進へ。年度内にも専門家委員会で候補を選定。[共同通信]
- オーストラリア
- 西オーストラリア州(Western Australia)パース(Perth)で、イースト・パース墓地(East Perth Cemeteries)の改葬に当たって、墓17基から出土した毛髪を分析。1881〜1899年に死亡した中国人コミュニティと長老派コミュニティのメンバーの大半は極端に亜鉛が不足しており、免疫システムが損なわれていたとみられる。人口の激増で生鮮食品が不足し人口が過密化、衛生状況の悪化と伝染病の蔓延を招いた。また、3人はナトリウム量が異常に高く、肝臓や腎臓の機能が低下していたとみられ、アルコールやアヘンの乱用によるとみられる。一部の毛髪からは希土類元素(Rare earth elements)が検出され、1890年代に貯水池から引かれた水道に用いたコンクリートに由来。植民地時代・ゴールドラッシュのころ・140年前の困難な生活が明らかに。イースト・パース墓地は1829年に開設され1899年まで利用された、植民地最初の墓地。[The West Australian]
- インド
- ビハール州(Bihar)パトナ(Patna)・クムラハール遺跡(Kumrahar)でクシャーン朝・2000年前とみられるレンガ積みの城壁。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[NDTV]
- ベルギー
- デステルベルゲン(Destelbergen)の金属器時代とガロ=ローマ時代の火葬骨について、ストロンチウムの同位体比と濃縮を分析。ガロ=ローマ時代の計測値は海水のそれに近く、金属器時代とは様相が一変。食料保存のための塩の形で、海水由来の塩分を多く摂取するようになった可能性。火葬骨の場合、有機物は高温で破壊されるので、有機物に頼った食生活復元は困難であるが、ストロンチウムはこの研究に有効。
cf. Sarah Dalle, Christophe Snoeck, Amanda Sengeløv, Kevin Salesse, Marta Hlad, Rica Annaert, Tom Boonants, Mathieu Boudin, Giacomo Capuzzo, Carina T. Gerritzen, Steven Goderis, Charlotte Sabaux, Elisavet Stamataki, Martine Vercauteren, Barbara Veselka, Eugène Warmenbol & Guy De Mulder (2022) Strontium isotopes and concentrations in cremated bones suggest an increased salt consumption in Gallo-Roman diet. Scientific Reports, volume 12, Article number: 9280. [Scientific Reports] - ケニア
- ケニアの海洋文化遺産を守るよう、モンバサ(Mombasa)開かれたアフリカ16か国の博物館関係者による会議で、専門家たちが訴え。ユネスコの水中文化遺産保護条約(Convention on Protection of Underwater Cultural Heritage)を批准するよう働きかけた。ユネスコ国内委員会の担当者ジュディ・オガナ(Judy Ogana)氏は、批准の遅れは水中文化遺産の重要性に対する理解の欠如のせいだと指摘。会議にはケニア、タンザニア、ウガンダ、ナミビア、モザンビーク、ナイジェリア、セイシェル、コモロ、ベナン、スーダン、ソマリアが出席。[The Standard]
- USA
- ダラス美術館(Dallas Museum of Art)に21歳の男が押し入り、100万ドル相当の古代ギリシャ・紀元前6世紀〜前5世紀の黒絵式のアンフォラや赤絵式のピュクシスなど土器3点と、現代ネイティヴアメリカンの陶器を破壊し、逮捕。[The New York Times]
2022年6月3日(金)
- 東京都
- 市谷本村町遺跡(いちがやほんむらちょういせき)の、17〜19世紀の武士の居住地から出土した鳥類の遺体を分析。17世紀からニワトリ(Gallus gallus domesticus)が消費されていたが、19世紀以降に食料としての消費が増加し、頻度も増したとみられ、また、対象となったニワトリは若いメスに限定されていなかった可能性。
cf. Kai-hsuan Hsu, Yoko Yamane, Masaki Eda (2022) Chickens consumed in early modern samurai residences: A study of bird remains from the Ichigaya Honmura-cho site, Tokyo, Japan. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - 熊本市
- 熊本城の宇土櫓の下の空堀から、土に埋まった石垣を発見。築造当初は石垣の高さが少なくとも25m以上。熊本市の調査。[TKUテレビ熊本]
- インドネシア
- 南スマトラ州(Sumatera Selatan;South Sumatra) パレンバン(Palembang)にあるスルタン・マフムード・バダルディンII世博物館(Sultan Mahmud Badaruddin II Museum)の敷地内で、レンガ積みの遺構。パレンバン・スルターン国(Palembang Darussalam Sultanate)・1737年に建立されたトゥンクル宮(Tengkuruk Palace)の一部と推定。[Antara News]
- イラン
- サルビーシェ平原(Sarbisheh plain)にあるカラーテ・モハマド・ラレー(Kalateh Mohammad Laleh)で旧石器が発見されたので、ほかの4遺跡と比較。キアーラーム(Kiaram)とフーニーク(Khunik)ではザグロス・ムスティエ文化(Zagros Mousterian)の特徴が見られ、カラーテ・シュール(Kalateh Shour)とチェヘル・ドフタラーン(Chehel Dokhtaran)ではルヴァロワ技法(Levallois Technique)が支配的。カラーテ・モハマド・ラレーは後者に近いが、表面採集で層位の情報を欠くことが課題。
cf. Ali Sadraei, Mohammad Farjami, Roghayeh Zafaranlou & Hossein Vahedi (2022) An Introduction to the Late Pleistocene Lithic Industries in the East of the Iranian Plateau in Light of the New Findings from Sarbisheh Plain. Lithic Technology. [Taylor & Francis Online]
▼南ホラーサーン州(Ostān-e Khorāsān-e Jonūbī;South Khorasan province)サルビーシェ郡(Sarbisheh) - 南レヴァント
- 南レヴァントで出土した鉄器時代IIB期〜IIC期・紀元前8世紀〜前6世紀前半の銀の埋納9か所について鉛同位体分析。鉄器時代IIB期・紀元前8世紀にはフェニキア人が開発していたイベリア半島の銀が市場を支配し、ユダ王国(Judah)とペリシテ人(Philistia)の主要な銀の供給源。鉄器時代IIC期には紀元前7世紀後半以降、ギリシャ本土のラウリオン(Λαύριον;Laurion)やエーゲ海のシフノス島(Σίφνος;Siphnos)を多く含むようになる。アッシリア帝国が紀元前640〜630年ごろに撤退し、サイス朝エジプトがレヴァントに進出した時、フェニキア人の銀供給における特権的な地位が失われた。
cf. Tzilla Eshel, Yigal Erel, Naama Yahalom-Mack, Ofir Tirosh & Ayelet Gilboa (2022) From Iberia to Laurion: Interpreting Changes in Silver Supply to the Levant in the Late Iron Age Based on Lead Isotope Analysis. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 14, Article number: 120. [SpringerLink] - ギリシャ
- コザニ(Κοζάνη;Kozani)で、紀元前1世紀の女性の埋葬。青銅製のベッドに載る。ベッドの脚には人魚の装飾。口に蛇を咥える鳥(アポロンを象徴)もあらわす。被葬者の頭には金の月桂樹の葉。[LiveScience]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)アンスバッハ郡(Landkreis Ansbach)で1平方mに300体の旧石器時代の獣骨。ホラアナグマ(Höhlenbär)、マンモス(Mammut)、オオカミ(Wolf)、野生のウマ(Wildpferd)、サイ(Nashorn)があり、ホラアナグマが最も多い。また、フリントの破片やフリントで傷つけられた4万年前の骨も出土。[BR24]
- スペイン
- バルセロナ県(Província de Barcelona)カペリャデス(Capellades)のアブリック・ロマニ岩陰遺跡(Abric Romaní)のQa層から出土した中期旧石器時代・58000年前(BP)の加熱された獣骨が均質な褐色を示すことに関し、実験考古学で検証。埋まった状態の獣骨が熱を受けた時に起こる現象であることがわかり、Qa層の様相は、同じ場所に居住が繰り返されたことによる。
cf. Edgar Téllez, Palmira Saladié, Antonio Pineda, Juan Marín, Josep Vallverdú, M. Gema Chacón & Eudald Carbonell (2022) Incidental burning on bones by Neanderthals: the role of fire in the Qa level of Abric Romaní rock-shelter (Spain). Archaeological and Anthropological Sciences, volume 14, Article number: 119. [SpringerLink]
▼アブリック・ロマニ遺跡関連記事→2020年5月6日
2022年6月2日(木)
- 静岡市
- 駿河区・日本平動物園で、標本展示していたサイの角が盗難にあう。同園で1999年に死んだ雄のサイ「サイ太郎」の頭骨標本の一部であったが、展示スペースのガラスやアクリルボックスが破壊されていた。サイの角は薬として闇市場で高値で取引され、サイは密猟で絶滅の危機に瀕しており、展示はこうした現状を訴える趣旨だった。[中日新聞]
- 中国
- 洛陽・竜門石窟の奉先寺で、盧舎那大仏の表面に金、銀などの元素を確認。普賢菩薩像の表面の白い物質は鉛白(胡粉)と確認。また、普賢菩薩像では、目にガラス素材を利用した例が初めて見つかる。材質は古代ガラスと一致。竜門石窟は北魏時代に始まり、唐時代に最盛期を迎えた石窟。[中国新聞網]
- フィリピン
- ルソン島(Luzon)北部のカガヤン川流域(Cagayan Valley)の新石器時代の遺跡について、放射性炭素年代により、ヒトの移動を検討。在地の狩猟採集民と、移動してきた農耕民との最初の接触と、その後の長期にわたる関係を跡付け。
cf. Hsiao-chun Hung, Cheng-hwa Tsang, Zhenhua Deng, Mary Jane Louise A. Bolunia,Rey A. Santiago, Mike T. Carson and Peter Bellwood (2022) Preceramic riverside hunter-gatherers and the arrival of Neolithic farmers in northern Luzon. Antiquity, First View, pp. 1 - 20. [Cambridge Core] - ギリシャ
- アテネ(Αθήνα;Athens)の教育機関の、ローマ時代・クラウディウス帝の治世・1世紀中ごろのある年の卒業者31人の名が、スコットランド国立博物館(National Museum Scotland)に所蔵されている大理石製の石板に古代ギリシャ語で刻まれていた。石板は同博物館に1880年代に収蔵されたが、アシュモレアン博物館(Ashmolean Museum)にあるよく似たリストの写しではないかとみられていた。[itv]
- スロバキア
- フチヴァー洞窟(Hučivá diera)で、旧石器時代 ・マドレーヌ文化(Magdalenian)の遺跡。タトラ山脈(Tatra Mountains)にも旧石器時代のヒトの痕跡があることを示す。
cf. Paweł Valde-Nowak, Mateusz Baca, Magda Cieśla, Julia Kościuk-Załupka, Anna Kraszewska, Anna Lemanik, Adam Nadachowski, Danijela Popović, Jakub Skłucki and Marian Sojak (2022) Hučivá Cave: a Magdalenian hunting camp in the Tatra Mountains. Antiquity, Volume 96, Issue 388, August 2022, pp. 1008 - 1014. [Cambridge Core] - フランス
- エーヌ川流域(Aisne)の、前期新石器時代(Early Neolithic)・線帯文土器文化(Linear Pottery culture) のフリント加工技術について研究。ムーズ川流域(Meuse)、ライン川流域(Rhine)、セーヌ川流域(Seine)の石器と比較し、エーヌ川流域の技術的伝統を特定。また、エーヌ川流域の2遺跡の居住ユニット3か所を分析し、フリント剥片群から石器製作者の異なる剥片を識別。
cf. Pierre Allard, Solène Denis (2022) Technical traditions and individual variability in the Early Neolithic: Linear pottery culture flint knappers in the Aisne Valley (France). PLoS ONE, 17(6): e0268442. [PLOS ONE] - スペイン
- マラガ県(Provincia de Málaga)・アルダレス洞窟(Cueva De Ardales)は後期旧石器時代をすっぽり覆う65000年前〜8500年前の期間にわたって利用されていた。ネアンデルタール人が中期旧石器時代・65000年前に利用を開始し、35000年前にはホモサピエンスが利用を始めた。前期完新世(early Holocene)には墓所となり、生活の証拠は乏しくなる。[Ancient Origins]
cf. José Ramos-Muñoz et al. (2022) The nature and chronology of human occupation at the Galerías Bajas, from Cueva de Ardales, Malaga, Spain. PLoS ONE, 17(6): e0266788. [PLOS ONE]
▼アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía)
▼アルダレス洞窟関連記事→2021年8月3日 - ノルウェー
- スタヴァンゲル市(Stavanger)ガウセル(Gausel)で、ヴァイキング時代の剣の柄。剣身は失われているが、柄には金で動物意匠を表し、ニエロ技法による銀の幾何学文で装飾。クロスガード(十字形の護拳)の両端には獣頭を表す。フランスかイングランドで9世紀前半に作られたものか。最もよく似たものはスコットランドのエッグ島(Eigg)で出土している。[Science Norway]
▼ローガラン県(Rogaland) - UK(イングランド)
- ポーツマス(Portsmouth)沖のソレント海(Solent)の海底で、沈没船インヴィンシブル号(HMS Invincible)の舵。船体から60mの地点。1744年にフランスで建造されたが1747年に英国が鹵獲。舵が効かなくなって座礁し1758年に沈没。[BBC]
▼沈没船インヴィンシブル関連記事→2019年12月11日 - 南アフリカ
- カラハリ砂漠(Kalahari Desert)南部にあるガ・モハナ丘陵北岩陰遺跡(Ga-Mohana Hill North Rockshelter)のMIS-2・15000年前の層から出土した、 ダチョウの卵の殻で作ったビーズを分析し、アフリカ南部のMIS-2当時の類例と比較。ガ・モハナ丘陵北岩陰遺跡ではビーズ製作のほぼすべての工程の破片が出土しており、ビーズは同遺跡で製作された。
cf. Amy Hatton, Benjamin Collins, Benjamin J. Schoville, Jayne Wilkins (2022) Ostrich eggshell beads from Ga-Mohana Hill North Rockshelter, southern Kalahari, and the implications for understanding social networks during Marine Isotope Stage 2. PLoS ONE, 17(6): e0268943. [PLOS ONE] - ウルグアイ
- メリン湖(Merín Lagoon)付近の海岸地域で出土した石器、フェル・ポイント(Fell point)を分析。地元の石材を用い、使えなくなるまで繰り返し再生して使用。海面水位の変化が植民ルートや資源開発に影響を与えている。南アメリカへの人の定着は大西洋沿いに行われた。
cf. Hugo G. Nami (2022) Fell points from Merín Lagoon, Uruguay: new data and their relevance to the peopling of south-eastern South America. Antiquity, Volume 96, Issue 388, August 2022, pp. 812 - 830. [Cambridge Core]
2022年6月1日(水)
- ベトナム
- ハノイ(Hanoi)・タンロン(Thang Long)王城遺跡のキン・ティエン殿(敬天殿;Kinh Thien Palace)の中心部で中庭を調査。李朝(nhà Lý;Ly Dynasty)・陳朝(Nhà Tran;Tran Dynasty)・黎朝(Nhà Lê;Le dynasty)の、正門である端門(Doan Mon)からキン・ティエン殿までの様相が明らかに。[Vietnam News Agency]
- イラン
- 南ホラーサーン州(Ostān-e Khorāsān-e Jonūbī;South Khorasan province)クースフ(Khūsf)で、サガルティ時代(Sagartian)・3000年前〜2500年前の岩絵2か所を発見。ヤギ、ウマ、騎乗者、狩猟場面、花などを描く。[Tehran Times]
- オマーン
- 北中部のワーディー・タヌーフ(Wādī Tanūf)にあるムガラット・アル・カーフ洞窟(Mugharat al-Kahf)を調査。放射性炭素年代によると、紀元前3千年紀前半、紀元前2千年紀前半、イスラーム時代にヒトが居住。従来の調査でもワーディー・スーク期(Wādī Sūq)・紀元前2000年〜前1600年の土器が出土していた。
cf. Takehiro Miki(三木健裕), Taichi Kuronuma(黒沼太一), Hiroyuki Kitagawa(北川浩之), Yasuhisa Kondo(近藤康久) (2022) Cave occupations in Southeastern Arabia in the second millennium BCE: Excavation at Mugharat al-Kahf, North-Central Oman. Arabian Archaeology and Epigraphy. [Wiley Online Library] - イスラエル
- ガリラヤ(Galilee)のベイト・シェアリム墓地(Beit She’arim)で、1800年前のユダヤ教への改宗者ヤコブ(Jacob the Convert)の墓標。「墓を暴いたものは呪われる」とギリシャ語で記述。[The Times of Israel]
- イスラエル
- メギド遺跡(Megiddo)で、ローマ時代・2〜3世紀のの第6軍団フェッラタ(Legio VI Ferrata)の基地から、軍事用の円形闘技場(amphitheatre)。軍事目的の円形闘技場はローマ帝国西部のドイツ、フランス、スペインでは知られているが、東部では少なく、南レヴァントでは初。[The Jerusalem Post]
▼メギド遺跡関連記事→2020年12月22日 - ロシア
- 北コーカサス(North Caucasus)で、近年の発掘で層位的に調査された終末期旧石器時代(Epipalaeolithic)の石器群を分析。石器づくりの技術が徐々に発達し、終末期旧石器時代の末には押圧剥離(pressure flaking)が採用され、器種構成が革新されて幾何学的細石器がそろう。
cf. L. V. Golovanova, E. V. Doronicheva, A. G. Nedomolkin, V. B. Doronichev, I. G. Shirobokov, A. Yu. Petrov, F. E. Maksimov (2022) The stone industry transformations at the edge of Pleistocene and Holocene: Evidence from the north-western and north-central Caucasus. Archaeological Research in Asia, Volume 31, September 2022, 100385. [ScienceDirect] - メキシコ
- チアパス州(Estado de Chiapas)のパレンケ遺跡(Palenque)で、エル・パラシオ(El Palacio)の建物Bと建物Fをつなぐ回廊から、漆喰づくりの水槽。その上から古典期後期(Clásico Tardío;Late Classic)・700〜850年の、トウモロコシの神を表した塑像の頭部。水槽は地下世界の入り口を象徴する。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
Descubren en Palenque una cabeza estucada del joven dios del maíz, vinculada a un depósito ritual.[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
▼パレンケ遺跡関連記事→2020年2月28日
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