考古学のおやつ/NEWSLINK

2021年11月30日（火）

福井県: 坂井市・舟寄正堺遺跡で、弥生時代後期～古墳時代前期の集落。福井県埋蔵文化財調査センターの調査。12/4現地説明会。
舟寄正堺遺跡の現地説明会を開催します[福井県]
浜松市: 中区・浜松市博物館で、収蔵庫内から「浜松城二の丸絵図」など所蔵品6点を紛失。収蔵庫は施錠され、防犯システムを備えていて、同館関係者でなければ開けられない。盗難の可能性。浜松市11/29発表。[静岡新聞]
▼2024年1月1日から浜松市中央区
韓国: 昌寧郡・校洞・松峴洞古墳群（キョドン・ソンヒョンドンこふんぐん）のうち、63号墳から、被葬者とは別に石槨を設けて殉葬されたイヌ3頭。古墳を守護する意味で埋葬されたと推定。非火加耶の最高支配層の墓域とみられる加耶古墳。同じ古墳群では、ヒトを殉葬した例も知られている。国立加耶文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
▼校洞・松峴洞古墳群関連記事→2021年9月29日
中国: 河北省滄州市運河区にある京杭大運河の近隣で、宋・金時代のものとみられる沈没船。土器、銅銭、磁器、水滴形板状碇など出土。[中国社会科学院考古研究所]
ギリシャ: マヴロヴニ山（Μαυροβούνι；Mavrovouni）の麓のアイオカンポス（Αγιόκαμπος；Agiokampos）で、ヘレニズム時代・紀元前3～前2世紀の神殿。アラバスターや地元の石材を用いる。陶器店の名を表す印章を入れたタイルが出土。うち一つにテッサリア（Θεσσαλία；Thessaly）にあった古代都市メリボイア（Μελίβοια；Melivoia）を表す「ΜΕΛΙΒΟΙΑΣ」の文字。メリボイアはホメロス（Όμηρος；Homer）の「イリアス」（Iλιάς；Iliad）に登場する地名。[Heritage Daily]
ルーマニア: コンスタンツァ県（Judeţul Constanţa）のトロパエウム・トライアニ（Tropaeum Traiani）、カルシウム（Carsium）、ウルメトゥム（Ulmetum）、アルティヌム（Altinum）で出土したローマ時代・1～6世紀のガラス21点を即発ガンマ線放射化分析（Prompt Gamma Activation Analysis (PGAA)）。ローマ時代や古代末のさまざまな組成のガラスがあるが、植物灰ガラス（plant ash glass）も1点あり、サーサーン朝から輸入。
cf. R. Bugoi, G. Talmaţchi, V. Szilágyi, I. Harsányi, D. Cristea-Stan, S. P. Boţan, Zs. Kasztovszky (2022) An archaeometric perspective on selected Roman and Late Antique glass finds from Dobrudja. Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms, Volume 511, 15 January 2022, Pages 84-90 [ScienceDirect]
ボリビア: ティティカカ湖（Lake Titicaca）南岸のタラコ半島（Taraco Peninsula）にある紀元前1400年～紀元後1100年の墓で出土したヒトの歯を分析。ティティカカ湖の魚とトウモロコシが蛋白質と食物繊維の主な供給源。さらにキヌア、ジャガイモ、リャマの肉も利用しており、湖の資源にのみ頼っていたわけではなかった。
The superfoods that fueled ancient Andeans through 2,500 years of turmoil[University of California, Berkeley]
cf. Melanie J. Miller, Iain Kendall, José M. Capriles, Maria C. Bruno, Richard P. Evershed, and Christine A. Hastorf (2021) Quinoa, potatoes, and llamas fueled emergent social complexity in the Lake Titicaca Basin of the Andes. Proceedings of the National Academy of Sciences, December 7, 2021 118 (49) e2113395118 [PNAS]

2021年11月29日（月）

韓国: 大邱市北区・鳩岩洞古墳群の5号墳で、積石封土墳の墳丘を高く積み上げるため、墳丘を放射状に区画して作業区域の担当を分ける、「区画築造」の技法を用いる。周辺では小型の陪葬墓8基[大邱新聞]
▼鳩岩洞古墳群関連記事→2020年11月23日
中国: 寧夏回族自治区隆徳県神林郷双村・周家嘴遺跡で、仰韶文化の土器づくり集落。[中国社会科学院考古研究所]

2021年11月28日（日）

2021年11月27日（土）

マレーシア: ペラ州（Perak）で、洞窟絵画500以上。[The Star]
インド: ハリヤーナー州（Haryana）ヤムナーナガル県（Yamunanagar）のサンダイ村（Sandhai）で、クシャーン朝（Kushan）からグルジャラ・プラティーハーラ朝（Gurjara Pratihara dynasty）の硬貨や彫像など。[The Times of India]
インド: カルナータカ州（Karnataka）Teggarseで、ヴィジャヤナガラ帝国（Vijayanagara Empire）のヒーローストーン。亡くなった英雄の物語を描く。[Deccan Herald]
イラン: チェル・アーバード塩山（Chehrābād）で、サーサーン朝（Sassanid）の坑道から獣骨と藁。塩の搬出のために動物を利用。[Tehran Times]
▼チェル・アーバード塩山関連記事→2021年5月1日
イスラエル: イズレル谷（Jezreel Valley）で、後期ローマ時代・1600年前のガラス窯など。イスラエル古代遺跡管理局（Israel Antiquities Authority）の調査。[Heritage Daily]
ギリシャ: ラリサ県（Λάρισα；Larissa）アイア市（Αγιά；Agia）カト・ポリデンドリ（Κάτω Πολυδένδρι；Kato Polydendri）にあるスキアタス遺跡（Σκιαθάς；Skiathas）で、ヘレニズム時代（Hellenistic）・紀元前3～前2世紀の聖域の遺構。[Greek Reporter]
ドイツ: テューリンゲン州（Freistaat Thüringen）ゼメルダ郡（Landkreis Sömmerda）で、ローマ帝政期にさかのぼる都市の門を発見。新石器時代・紀元前5500年～前5000年の線帯文土器（Linienbandkeramik）も。[Mitteldeutscher Rundfunk]
フランス: ヴァンデ県（Vendée）タルモン＝サン＝ティレール（Talmont-Saint-Hilaire）で中世の城の麓に10世紀の港。1628年に解体。木造・石造で、木材の保存状態がよい。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Un port médiéval découvert en Vendée, à Talmont Saint-Hilaire[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
ペルー: リマ（Lima）で800年前の墓からミイラ。全身をロープで縛られ、両手で顔を覆う。土器や野菜、石器などの副葬品。[The Guardian]

2021年11月26日（金）

沖縄県: 名護市・嘉陽上グスク（かよううえぐすく）で、11世紀後半～16世紀前半の建物跡や、鉄の残滓。グスク時代、第一尚氏、第二尚氏前半に何度も建て替えられた。石垣のない「土のグスク」のひとつ。名護市教育委員会の調査。[琉球新報]
韓国: 江原道鉄原郡の非武装地帯にある白馬高地の頂上で、塹壕の中で射撃の姿勢のままの、朝鮮戦争時の二等兵の遺体。[東亜日報]
ラオス: シエンクワーン県（Xieng Khouang）Ban Pha Tai村で石壺（stone jar）9基を発見。うち1基を発掘し、鉄器、土器片、ガラス玉、火葬骨など出土。放射性炭素年代により、鉄器時代・紀元前500年～紀元後500年または歴史時代・100年以後。
cf. Dougald O'Reilly, Louise Shewan, Mailo Khamphouvong, Amphai Butphachit, Thonglith Luangkoth, Nicholas Skopal, Souliya Bounxayhip (2021) Ban Pha Tai: The excavation and dating of a buried megalithic jar in Xieng Khouang, Lao PDR. Archaeological Research in Asia [ScienceDirect]
イラク: ジーカール県（Dhi Qar Governorate）のアル・リファイ（Al Rifai）で、ヒジュラ暦60年＝西暦679年の土づくりのモスク。イスラームの拡大初期に当たる。[The National]
パレスチナ: エルサレム（Jerusalem）のダマスカス門（porte de Damas）に刻まれたボードゲームのルールについて新たな仮説。古代エジプトにも類例があるチェッカーゲームの可能性。正方形を16等分しそれぞれを対角線で分割。ダマスカス門はローマ時代・2世紀に建立。ゲームの線刻は1980年代に発見され、サトゥルヌス神にかかわるサイコロ遊びなどの可能性が指摘されていた。[Futura Sciences]
ロシア: サハリン南部で、日本統治時代の建造物や墓石が壊されているのが、相次いで見つかり、住民から「歴史的な遺産を保全すべきだ」と批判を浴びている。[北海道新聞]
ポーランド: スタイニャ洞窟（Jaskinia Stajnia；Stajnia Cave）で2010年に出土した後期旧石器時代（Upper Palaeolithic）・オーリニャック文化（Aurignacian）のマンモスの牙製の垂飾は、放射性炭素年代により紀元前40000年。ユーラシア最古の装身具。霜などの自然現象のため出土層位を特定できていなかった。[Ancient Origins]
cf. Sahra Talamo, Mikołaj Urbanowski, Andrea Picin, Wioletta Nowaczewska, Antonino Vazzana, Marcin Binkowski, Silvia Cercatillo, Marcin Diakowski, Helen Fewlass, Adrian Marciszak, Dragana Paleček, Michael P. Richards, Christina M. Ryder, Virginie Sinet-Mathiot, Geoff M. Smith, Paweł Socha, Matt Sponheimer, Krzysztof Stefaniak, Frido Welker, Hanna Winter, Andrzej Wiśniewski, Marcin Żarski, Stefano Benazzi, Adam Nadachowski & Jean-Jacques Hublin (2021) A 41,500 year-old decorated ivory pendant from Stajnia Cave (Poland). Scientific Reports, volume 11, Article number: 22078 [Scientific Reports]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ザルツラント郡（Salzlandkreis）ベルンブルク（Bernburg）で、新石器時代・4300年前の男性の遺体。青銅器時代・3000年前の箱式石棺墓からは青銅製腕輪。[Bild]
ボリビア: 中部アンティプラーノ（Central Altiplano）の5遺跡で出土したヒト27人と動物23頭について、炭素と窒素の安定同位体分析し、ラクダ牧畜民の食生活を推定。紀元前1300年～紀元後1200年の間、ヒトと動物双方の同位体組成に重要な多様性。トウモロコシは必ずしも安定的には消費できず、1100年以後にアンデス山脈間の低地との食糧の交換が始まった。初期のラクダ牧畜民は、アカザ属、塊茎類などの栽培植物や、げっ歯類、鳥、魚に依存していた。
cf. José M. Capriles, Melanie J. Miller, Jake R. Fox, David L. Browman & Cassady Yoder Urista (2021) Evaluating Dietary Diversity among Andean Central Altiplano Early Camelid Pastoralists Using Stable Isotope Analysis. Environmental Archaeology [Taylor & Francis Online]

2021年11月25日（木）

島根県: 松江市・崎田遺跡（さきだいせき）で、中海に面する丘陵地の尾根上に古墳時代の竪穴建物跡が1棟のみ発見。居住の形跡がなく、眺望を楽しむ建物だった可能性。丘陵の麓の種前遺跡（たねまえいせき）では、古墳時代の竪穴建物跡や江戸時代の掘立柱建物など。松江市埋蔵文化財調査室11/25発表。11/27現地説明会。[山陰中央新報]
韓国: 慶州・皇竜寺の西回廊西側地区で、廃棄物の土坑から、統一新羅時代・8～9世紀の灯明皿150個。国立慶州文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
中国: 周口店（Zhoukoudian）上洞で発見され、第二次世界大戦中に失われた後期旧石器時代の装身具を、裴文中（Pei Wen Chung）の記録と17個のキャスト、さらに周口店遺跡博物館の所蔵品により再検討。周口店遺跡博物館で再発見された3点には垂飾ではなく衣服に縫いつけたもので、は黄土が付着。化石化した歯に最近の穿孔がされている2点はフェイクと解釈。穿孔方法も文化層ごとに変化。
cf. Francesco d’Errico, Africa Pitarch Martí, Yi Wei, Xing Gao, Marian Vanhaeren, Luc Doyon (2021) Zhoukoudian Upper Cave personal ornaments and ochre: Rediscovery and reevaluation. Journal of Human Evolution, Volume 161, December 2021, 103088 [ScienceDirect]
イラン: 北ホラーサーン州（Ostān-e Khorāsān-e Shomālī；North Khorasan province）ファールージ（Faruj）のヴィランシャフル（Viran-Shahr）で、パルティアとサーサーン朝の建物跡。[Tehran Times]
▼ヴィランシャフル関連記事→2020年11月7日
トルコ: イズミル県（İzmir il）のペルガモン遺跡（Πέργαμον；Pergamon）で出土した2000年前の人骨を分析。炭水化物と植物に依存した生活。[Anadolu Ajansı]
トルコ: 2021年にトルコの水中発掘で遺物255点出土。[Anadolu Ajansı]
オーストリア: ニーダーエスターライヒ州（Niederösterreich）トライスマウアー（Traismauer）のシュトルホーフェン墓地（Stollhofen）で、ローマ帝政期の多くの火葬墓。4～5世紀にはキリスト教化の影響で土葬となり、副葬品が乏しくなる。Novetus GmbHの調査。[derStandard.at]
ドイツ: レンツブルク＝エッケルンフェルデ郡（Kreis Rendsburg-Eckernförde）ゴーセフェルト（Goosefeld）で、新石器時代・フンネルビーカー文化（Trichterbecherkultur；Funnelbeaker culture）・5000年前の巨石墓。[Die Zeit]
UK（イングランド）: ラトランド州（Rutland）でローマ時代・3～4世紀の邸宅からホメロスのイリアス（Iliad）の場面を表す11m×7mのモザイク床。アキレス（Achilles）とヘクトル（Hector）の戦いの場面。レスター大学考古学サービス（University of Leicester Archaeological Services）の調査。
Extraordinary Roman mosaic and villa discovered beneath farmer's field in Rutland[University of Leicester]
UK（スコットランド）: パースシャー（Perthshire）のブレアゴウリー（Blairgowrie）で3000年前の円形住居と金属加工工房。焼失後に再建された住居跡や、炉や羽口が出土。GUARD Archaeologyの調査。[The Courier]
UK（スコットランド）: ハイランド地方（Highland）インヴァネス（Inverness）南郊のカルドゥセル（Culduthel）で見つかった鉄器時代の村では、優れた腕前で鉄製品、青銅製品、ガラス製品を製作し、ローマ世界などとの国際貿易に供給。Headland Archaeologyの調査。 [The Press and Journal]

2021年11月24日（水）

茨城県: 桜川市・真壁城跡（まかべじょうあと）で、三の丸の庭園にあった池のうち南側の池は東西22m、南北11m。池の中から茶道具の陶磁器破片、周辺から大筒の弾丸が出土。桜川市教育委員会11/18発表。12/4現地説明会。[茨城新聞]
▼真壁城跡関連記事→2020年11月20日
群馬県: 沼田市・沼田城跡（ぬまたじょうあと）で、天和2年（1682）に沼田城が破城された際に本丸内に崩された石垣の石材を確認。沼田市教育委員会の調査。11/28現地説明会。
令和3年度沼田城跡発掘調査現地説明会[沼田市]
▼沼田城跡関連記事→2021年2月21日
長野県: 長野市・長沼城跡で、中世から近世の堀跡や、陶磁器や銭貨などの生活道具。長野県埋蔵文化財センターの調査。12/6-7現地説明会。
長野市長沼城跡現地説明会のお知らせ[長野県埋蔵文化財センター]
岐阜県: 郡上市・篠脇城跡で庭園跡と推測される景石や池状のくぼ地。郡上市教育委員会11/22発表。11/27現地説明会。[岐阜新聞]
▼篠脇城跡関連記事→2020年11月25日
中国: 山東省沂水県・跋山遺跡で、中期旧石器時代・9万9000年前の磨製骨器。象牙製のスコップ（鏟）など、象牙や鹿角を加工した骨角器。[新華社]
中国: 山東省済寧市鄒城市・邾国故城西崗墓地の1号戦国墓で、副葬品の原始磁器の碗の中に、茶葉を煮だした遺存物。戦国時代早期の早い段階・紀元前453年～前410年に当たり、世界最古の茶葉。従来の知見より300年さかのぼる。山東大学の調査。[山東大学]
中国: 浙江省・舟山市白泉鎮・王家園遺跡で、新石器時代の遺跡。舟山群島の歴史が新石器時代・河姆渡文化早期・6000年前までさかのぼる。[新浪網]
イラン: ホルモズガーン州（Ostān-e Hormozgān）ホルムズ島（Hormuz Island）のチャンド・デラフト海岸（Chand-Derakht）沖で、中期旧石器時代の石器。[Tehran Times]
ウクライナ: ポルタヴァ州（Полтавська область；Poltava Oblast）ビルスク（Більськ；Bilsk）で、紀元前8～前4世紀の城塞都市から、富裕で有力な女性の墓。[Haaretz]
イタリア: カンパニア州（Campania）海岸部のカラ・ダルコンテ遺跡（Cala d’Arconte）、カポ・グラッソ遺跡（Capo Grosso）、カーラ・ビアンカ遺跡（Cala Bianca）について、層序の再検討と再発掘により、ハンドアックスとルヴァロワ技法（Levallois technologies）の関係を分析。カーラ・ビアンカ遺跡の再発掘で出土したルヴァロワ技法の遺物は中期旧石器時代・ムスティエ文化（Mousterian）の地層に属す。カーラ・ブランカ遺跡とカポ・グロッソ遺跡で地表採集されたルヴァロワ遺物と両面加工石器（biface）も、それぞれ別の時期に属すとみられる。以前の調査では、ハンドアックスとルヴァロワ技法の剥片から、前期旧石器時代・アシュール文化（Acheulean）と推定されていた。
cf. Leonardo Carmignani, Ivan Martini, Vincenzo Spagnolo, Clarissa Dominici, Matteo Rossini, Sem Scaramucci, Adriana Moroni (2021) Middle and early upper Pleistocene human occupations in Southern Italy. A reassessment of the assemblages from Cala d’Arconte, Capo Grosso and Cala Bianca. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 40, Part A, December 2021, 103256 [ScienceDirect]
ドイツ: フライブルク（Freiburg）で、中世の人骨400体。1251年に最初に言及され、三十年戦争中の1632年に焼失したハンセン病療養所に関連。また、オーストリア継承戦争中の1744年フライブルク包囲で死亡したフランス兵の遺体も。[Stern]
フランス: ドルドーニュ県（Dordogne）のキュサック洞窟（la grotte de Cussac；the cave of Cussac）で見つかった、後期旧石器時代・グラヴェット文化（Gravettian）・31000年前～28000年前（cal BP）のヒトの足跡を分析。洞窟内を移動する際、軟らかい履物を履いていた可能性。
cf. Lysianna Ledoux, Gilles Berillon, Nathalie Fourment, Xavier Muth & Jacques Jaubert (2021) Evidence of the use of soft footwear in the Gravettian cave of Cussac (Dordogne, France). Scientific Reports, volume 11, Article number: 22727 [Scientific Reports]
UK（イングランド）: サフォーク州（the county of Suffolk）バードウェル（ardwell）で、鉄器時代・1世紀のケルト（Celts）の戦争用ラッパ、カルニクス（carnyx）。先端がイノシシの頭の形。イングランドでは初の出土。[Suffolk News]
UK（イングランド）: ハートフォードシャー州（the county of Hertfordshire）ロイストン（Royston）で、青銅器時代・紀元前1300年の斧65個の埋納を発見。[BBC]
幼児死亡率: 過去10年間の97カ国に関する国連のデータを調査したところ、先史時代の乳児死亡率が特に高いとは言えない、先史時代の母親は、子供の世話をこれまで考えられていた以上にしていた。
Prehistoric mums cared for kids better than we thought[the Australian National University]
cf. Clare McFadden, Brianna Muir, Marc F. Oxenham (2021) Determinants of infant mortality and representation in bioarchaeological samples: A review. American Journal of Biological Anthropology [Wiley Online Library]

2021年11月23日（火）

岐阜県: 山県市・大桑城跡（おおがじょうあと）の、同城最大級の曲輪「台所」から、庭園と建物との遺構。曲輪群は緩傾斜の谷地形を利用し、平たん地が棚田状に分布。16紀前半の中国や国内の陶磁器や素焼きの皿250点以上出土。大桑城は、美濃国守護の土岐頼芸が16世紀前半に築いたとされる城。山県市11/22日発表。11/28一般公開。[岐阜新聞]
令和3年度大桑城跡発掘調査現場の一般公開について[山県市]
韓国: 世宗市・李城で、百済泗沘都邑期・7世紀の、12角形で多層の建物跡。[聯合ニュース]
▼李城関連記事→2020年11月6日
韓国: 京畿道驪州市大神面川西里・婆娑城（第9次調査）で、円形の貯水池2基。1号貯水池からは木簡と、壬辰倭乱ごろの「右」字銘の白磁が出土。朝鮮時代の宣祖25年（1592年）に宰相・柳成龍の発議で僧兵長・義巖が大々的に築城したという記録に符合。2号貯水池からは統一新羅時代の印花文土器や瓦、獣骨が出土。婆娑城は三国時代の石城。漢城文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
▼婆娑城関連記事→2000年6月2日
韓国: 忠清北道沃川郡・已城山城（イソンさんじょう）の木槨庫は、新羅・5世紀末～6世紀初めの食糧倉庫と推定。内部から獣骨と2種の種子。432cm×441cm、深さ298cm。[聯合ニュース]
▼已城山城の木槨庫関連記事→2020年6月22日
▼最近の已城山城関連記事→2020年12月7日
中国: 海岱地区（Haidai region）の竜山文化の遺跡25か所の植物試料を分析。4.2 kイベントの環境変化の後、西海岱と東海岱で竜山文化の崩壊時期が異なる理由を解明。西海岱ではキビを生産し、回復力が強く、新たな耕地を開拓して岳石期・3800年前～3600年前（BP）まで存続。東海岱ではイネを生産し、人口移動で食糧不足を緩和し、竜山後期・4100年前/4000年前～3800年前（BP）で中断。
cf. Jingping An, Wiebke Kirleis & Guiyun Jin (2021) Understanding the Collapse of the Longshan Culture (4400-3800 BP) and the 4.2 ka Event in the Haidai Region of China – from an Agricultural Perspective. Environmental Archaeology [Taylor & Francis Online]
カタール: アル・ジャサシヤ（Al Jassasiya）の砂漠に岩絵900か所。[CNN]
イスラエル: エルサレム（Jerusalem）のダビデの町（City of David）で、ローマとユダヤの間のユダヤ戦争（Great Revolt）中、67～68年の銀貨。[Jewish Telegraphic Agency]
イスラエル: ユダヤ山地（Judean Mountains）の麓のラキシュの森（Lachshish Forest）にあるヘレニズム時代の砦で火災の跡。セレウコス朝（Seleucid Empire）に対する紀元前2世紀のユダヤの反乱、マカバイ戦争（Maccabean revolt）の証拠。[LiveScience]
トルコ: カラビュック県（Karabük il）エスキパザール郡（Eskipazar）の古代都市ハドリアノポリス（Ἁδριανούπολις ἐν Παφλαγονίᾳ；Hadrianopolis in Paphlagonia）の砦で、3世紀初めのローマ兵の鉄製マスク。戦車に乗るときに使用したと推定。[INEnternainment]
▼ハドリアノポリス関連記事→2020年12月21日
トルコ: シャンルウルファ県（Şanlıurfa）ハッラーン（Harran）で、ザンギー朝（Zengid era）・12世紀のマドラサ（Madrassa）。24部屋からなる。トルコでは最古。マドラサはイスラーム世界の高等教育機関。ハッラーンには5か所のマドラサがあるとして知られていたが、遺構の確認は初。[Anadolu Ajansı]
トルコ: アドゥヤマン県（Adıyaman ili）のペッレ（Πέρρη；Perre）で、1500年前のワイン工房やパン工房。パン工房では、ドアに装飾を固定する釘も出土。[Daily Sabah]
▼古代都市ペッレ関連記事→2021年11月9日
トルコ: イズミル県（İzmir il）のディキリ（Dikili）とベルガマ（Bergama）の間にある洞窟で、終末期旧石器時代（Epipalaeolithic）・14000年前の生活層。
14,000-year-old settlement site discovered for the first time on Turkey's west coast[Deutsches Archäologisches Institut；DAI]
イタリア: フェラーラ（Ferrara）のエステンセ城（Castello Estense）の前で、サン・ベルナルディーノ・ダ・フェルトレ（San Bernardino da Feltre）の18世紀の礼拝堂（Oratorio）の跡。[Finestre sull'Arte]
▼エミリア＝ロマーニャ州（Regione Emilia-Romagna）フェラーラ県
UK（イングランド）: ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）・ダーリントン・ウォールズ（Durrington Walls）を中心に、直径2kmの大きな円形に配置された新石器時代・4500年前の柱穴群。[The Guardian]
ペルー: カラル（Caral）のチュパシガロ遺跡（Chupacigarro）の紀元前500年ごろの墓地で出土した小児の遺体48体の歯を分析。生後6か月までは母乳のみで育てられ、2.6歳で離乳。当時の授乳方式が、現代のアンデスの農民のそれと共通している。[La Prensa Latina]

2021年11月22日（月）

福島県: 喜多方市・藤権現遺跡（ふじごんげんいせき）で縄文時代後期・4000年前の大型墓地。石棺墓や土器埋設遺構、土偶など。喜多方市教育委員会の調査。[福島民友新聞]
▼藤権現遺跡関連記事→2020年12月11日
岡山市: 北区・造山古墳に伴う造山第二古墳の南側から新たに埴輪列。5世紀前半の方墳、35m。2段築成で、周溝が巡る。岡山市教育委員会の調査。11/28現地説明会。[山陽新聞]
韓国: 慶尚南道金海市上東面墨方里で、朝鮮時代・18世紀前半～中ごろの白磁の窯跡。白磁窯1基、廃棄場2か所。上東面に存在した大規模窯業団地「甘勿也村」の一部と推定。見つかった窯は「甘勿也村」の操業期間のうち遅い時期に当たる。特殊用途の器形が出土しておらず、民需用の白磁窯とみられる。東亜細亜文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
1号窯は分焔柱をもつ窯で、窯の西側の1号廃棄場には失敗品、東側の1号廃棄場には窯の壁体破片をそれぞれ廃棄。[NEWSIS]
パキスタン: カイバル・パクトゥンクワ州（Khyber Pakhtunkhwa）スワト県（Swat）バリコット（Barikot）の古代都市バジラ（Bazira；Bazeera）で、アレクサンドロス大王のころの排水システム。[The Nation]
▼バジラ関連記事→2019年11月15日
ロシア: オカ川（Ока；Oka）上流のトゥーラ（Тула；Tula）の森林で古代ローマ・4世紀末～5世紀初めの銅貨。ローマ帝国の国境から1000km離れた場所。ローマの傭兵に雇われた者が持ち帰ったか。[Sputnik]
アイスランド: 東アイスランド地方（Austfirðir；Øst-Island）セイジスフィヨルズル（Seyðisfjörður）にあるフィヨルズル（Fjörður）で、ヴァイキングが入植した当時の墓4基。うち1基は船葬墓で、高い地位の人物。また、1基は女性の墓。ノルウェー文化遺産研究所（Norsk institutt for kulturminneforskning；Norwegian Institute for Cultural Heritage Research） (NIKU)の調査。
Rikt gravfunn fra landnåmstid på Island[Norsk institutt for kulturminneforskning]
エジプト: ハトシェプスト女王葬祭殿の地下で、中王国初期から新王国第18王朝までの多数の遺物。
Egipt/ Liczne znaleziska archeologów w grobowcu pod świątynią Hatszepsut[Nauka w Polsce]

2021年11月21日（日）

石川県: 羽咋市・柳田シャコデ廃寺跡（やないだしゃこではいじあと）で、南門と西門の遺構が見つかり、東西96m、南北78mの大規模寺院だったと判明。平安時代後期・10～11世紀に創建。近くの善正寺に移されている心礎石に対応する時期（奈良時代）の土器は出土せず、心礎石はほかの場所から運んで転用されていた可能性。羽咋市教育委員会の調査。11/20現地説明会。[北陸中日新聞]
▼柳田シャコデ廃寺跡関連記事→2020年12月4日
静岡県: 沼津市・上原遺跡で、弥生時代中期の方形周溝墓、古墳時代後期の竪穴住居跡など。静岡県埋蔵文化財センターの調査。[静岡新聞]
中国: 吉林省吉林市豊満区江南郷永安村・永安遺跡で、夫余時代の遺構を多数発見。[新浪網]
シンガポール: ドーヴァー・フォレスト（Dover Forest）で、1860年代の花崗岩製の境界標示。慈善家・陳金声（Tan Kim Seng）の土地境界を示す。[The Straits Times]
トルコ: ハタイ県（Hatay il）レイハンル郡（Reyhanlı）・アトチャナ遺跡（Aççana Höyüğü；Tell Atchana）で、3250年前のヒッタイトの王子のものとみられる印章と、ミタンニ帝国（Mitanni Empire）・3400年前のアッカド語の楔形文字文書。[Daily Sabah]
ギリシャ: キルキス（Κιλκίς；Kilkis）で古代都市の遺跡。古典期（Classic）後半～ヘレニズム（Hellenistic）初期・紀元前4世紀後半～前3世紀前半にヴォティエア（Βοττιαία；Vottiaia）が栄えた場所。[Greek Reporter]

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