考古学のおやつ/NEWSLINK

2024年5月10日（金）

カンボジア: アンコール・トム（Angkor Thom）で、神像の頭部。アプサラ機構（Apsara National Authority）の調査。[The Phnom Penh Post]
フィジー: シンガトカ砂丘群（Sigatoka Sand Dune）の墓地1から1987年と1988年に出土した西暦1千年紀の人骨を分析。AMS年代で1888年前～1277年前（cal BP）。食生活は海洋資源に特化しており、性的分業を反映した男女差がある。
▶ Estelle Herrscher, Frédérique Valentin, Wanda Zinger, Baptiste Pradier, Guy André (2024) Life histories in Fiji as reconstructed from first millennium CE Sigatoka Sand Dune burials using isotopes. PLOS ONE, 19(5): e0300749. [PLOS ONE]
トルコ: ブルサ県（Bursa il）イェニシェヒル郡（Yenişehir）のバルジュン・ホユック遺跡（Barcın Höyük）で出土した新石器時代・紀元前6600年～前6000年の土器805点について脂肪酸分析。どの器種が酪農に関連した貯蔵、加工、消費に用いられたかを分析。
▶ Hadi Özbal, Adria Breu, Laurens Thissen, Fokke Gerritsen, Elisha van den Bos, Alfred Galik, Turhan Doğan, Muhiddin Çergel, Adnan Şimşek, Ayla Türkekul, Rana Özbal (2024) From bowls to pots: The dairying revolution in Northwest Turkey, a view from Barcın Höyük, 6600 to 6000 BCE. PLOS ONE, 19(5): e0302788. [PLOS ONE]
▼バルジュン・ホユック遺跡関連記事→2019年8月20日
ギリシャ: パデス（Πάδες；Pades）にある聖母マリア被昇天教会に用いられた木材を年輪年代測定。その結果、入口の銘文1784年は、建設開始年代と推定。19世紀初頭までにいくつかの建設段階があった。もっとも古い部材は15世紀前半。
▶ A. Elzanowska, E. Tsakanika, A. Christopoulou, Y Özarslan, T. Ważny (2024) Dendrochronological examination of the Assumption of the Virgin Mary orthodox church in the village of Pades, Greece. Dendrochronologia, Available online 10 May 2024, 126212. [ScienceDirect]
UK（イングランド）: ベッドフォードシャー州（the county of Bedfordshire）のA428号線改良工事の敷地で、中世・1066～1485年の堀をめぐらせた風車。マウンドの中央に立てた支柱を風の方に向けられる。[Heritage Daily]

2024年5月9日（木）

イラン: トレ・チェガー・ソフラー遺跡（Tol-e Chega Sofla）で出土した、紀元前5千年紀後半の人為的に変形された頭蓋骨を分析。
▶ Mahdi Alirezazadeh, Hamed Vahdati Nasab, Abbas Moghaddam (2024) Using the morphometric approach to analyze artificially modified crania from the late fifth millennium BCE settlement of Chega Sofla, southwestern Iran. International Journal of Osteoarchaeology, Early View. [Wiley Online Library]
▼トレ・チェガー・ソフラー遺跡関連記事→2022年9月2日
レバノン: ティール遺跡（Tyre）で出土した、フェニキアとハカーマニシュ朝（アケメネス朝）の白大理石ブロック2点を研究。
▶ Hany Kahwagi-Janho (2024) Two Phoenician white marble blocks from Tyre. Levant. [Taylor & Francis Online]
ロシア: ヴォロネジ州（Воронежская область；Voronezh Oblast）のコステンキ遺跡（Костенки；Kostenki）で出土した旧石器時代の居住跡と葬送の多様性について分析。
▶ Mariia N. Zheltova (2024) “Houses” for the living and the dead in the Palaeolithic of Kostenki. L'Anthropologie, Available online 9 May 2024, 103260. [ScienceDirect]
スペイン: バレンシア州（Valencia）ラ・アルクディア（La Alcudia）のイリシ遺跡（Ilici）で、紀元前500年にさかのぼる都市跡。
▶ Las excavaciones arqueológicas en La Alcudia descubren la ciudad ibera fundacional del yacimiento [Universidad de Alicante]
UK（イングランド）: コヴェントリー（Coventry）で、中世のオガム文字（ogham）が4面惟刻まれた砂岩。オガム文字は中世に主にアイルランド語を表記するために用いられた。[The Irish Times]
チリ: アサパ渓谷（valle de Azapa；Azapa Valley）の墳墓で発見されたカブサ期（CABUZA）・900年～1200年の土器、植物性容器、スプーンに残る微小植物を分析。ティワナク時代（Tiwanaku）・500～1000年を継承した葬送儀礼を示す可能性。
▶ Juan Pablo Ogalde, Fiorella Valeria Villanueva, Luis Ramón Huaman Mesía, Natalia Carolina Aravena Sanchez (2024) Microbotanical analysis in artifacts of the CABUZA phase (900-1200 ce), Azapa Valley, northern Chile: Vessels and rites of “eating and drinking with the dead” in post-Tiwanaku times. Archaeometry, Early View. [Wiley Online Library]

2024年5月8日（水）

長野県: 飯田市・川原遺跡（かわらいせき）で、縄文時代の配石遺構。13個の石が半円を描くように並び、中央に青色の石が置かれる。敷石住居にしては、炉や柱穴を欠く。長野県埋蔵文化財センターの調査。5/11現地説明会。[中日新聞]
▼川原遺跡関連記事→2024年5月2日
愛知県: 田原市・伊川津貝塚（いかわづかいづか）で、縄文時代後期の土面の一部が出土。[中日新聞]
▼伊川津貝塚関連記事→2023年11月14日
奈良県: 明日香村・高松塚古墳（たかまつづかこふん）の壁画のうち、西壁男子群像が手にする杖状の持ち物は、ポロのマレットの可能性。[奈良新聞]
北九州市: 門司区で見つかった明治時代の旧門司駅のものとみられる遺構について日本イコモス国内委員会が会見し、北九州市の対応を批判。全面的な発掘調査を必要性を強調。日本イコモス国内委員会はフランスのイコモス本部にヘリテージ・アラートの発出を求めるため準備中。[NHK]
韓国: 京畿道金浦市大串面・新雁里遺跡（シナンニいせき）で新石器時代の集落跡。国内最大規模の新石器遺跡の可能性。[聯合ニュース]
韓国: 全北扶安市・柳川里窯跡（ユチョンニようせき）で、高麗青磁の窯4基と工房跡。工房跡は、陶磁器の素地を加工した施設と推定。12世紀中ごろ～13世紀前半の器が出土し、高麗の明宗（1202年）や熙宗（1270年）の陵墓から出土した青磁に似る。[全北日報]
韓国: 慶尚北道慶州市西面 舎羅里（サラリ）124-2番地遺跡の1号木槨墓から銅鏡の破片。紀元前1世紀の中国製の「清白鏡」。また漆鞘鉄剣も。[聯合ニュース]
イラン: マーザンダラーン州（Ostān-e Māzandarān）アーモル郡（Amol）のハラーズ川流域（Haraz Valley）で、洞窟住居群29遺跡。ハカーマニシュ朝（アケメネス朝）から現在まで時間幅があり、ミトラ教やゾロアスター教との関係も推定される。[Tehran Times]
イスラエル: ユダヤ砂漠における完新世のヒョウ狩猟についてOSL年代測定、分布モデル、DNAを用いた研究。罠の年代測定から見て、完新世中期からヒョウ狩猟が始まる。完新世後期に盛んに。歴史時代にはヒョウが滅亡に瀕するほど減少。
▶ Uri Davidovich, Ido Wachtel, Romi Halevi, Royi Zidon, Ignacio A. Lazagabaster, Valentina Rovelli, Meirav Meiri, Roi Porat, Micka Ullman, Yael Jacobi, Amiyaal Ilany, Nimrod Marom, Naomi Porat (2024) Leopard traps in the Judean Desert reveal long-term impact of humans on top predator populations. Quaternary Science Reviews, Volume 333, 1 June 2024, 108667. [ScienceDirect]
ベルギー: クノック・ヘイスト（Knokke-Heist）のヘイスト・ウィレムパーク（Heist Willemspark）で、第二次世界大戦のドイツ軍のVF2a型の掩体壕3基を無傷で発見。[Heritage Daily]
スペイン: アンダルシア州（Andalucía）グラナダ県（Provincia de Granada）のバランコ・デ・ビスナル谷（Barranco de Víznar）で、スペイン内戦時の後ろ手に縛られ、頭を銃撃された犠牲者10人の遺体。
▶ UGR researchers exhume bodies of 10 victims from a mass grave in Granada, shot in the head with their hands tied [Universidad de Granada]
UK（イングランド）: グロスターシャー州（the county of Gloucestershire）コッツウォルズ（Cotswolds）のA417号線建設予定地で、ローマ時代のクピド像や青銅製爪切りなど。中石器時代から第二次世界大戦におよぶ。[Anatolian Archaeology]
▶ A417 Missing Link unveils Gloucestershire’s hidden treasures [Cotswold Archaeology]
UK（イングランド）: ドーセット州（the county of Dorset）サウス・ポートン・ファーム（South Poorton Farm）で、イングランド内戦（English Civil War；1642～1651）中に隠された、チャールズ1世の金貨など、17世紀の硬貨1000枚以上。[LiveScience]
アイスランド: 大統領官邸ベッサスタージル（Bessastaðir）の構内で、母と娘とみられる人骨。18世紀のアンナ・ヘレナ（Anna Helena）とアンナ・ヴィヘルミナ（Anna Vilhelmína）のものか。そのほか、古い教会跡など。[Iceland Review]

2024年5月7日（火）

東京都: 台東区・北稲荷町遺跡で、近世の大寺院の墓や、関東大震災後の建築を調査。台東区の調査。7/20現場見学会。
▶ 文化財講座「北稲荷町遺跡（旧下谷小学校地点）遺跡発掘調査現場見学会」を開催します [台東区]
岐阜県: 飛騨市・飛騨みやがわ考古民俗館で、管理人が常駐しない無人開館が本格化。Iot機器を活用。[中日新聞]
京都市: 東山区・京都国立博物館の敷地内から、後白河法皇の御所や豊臣秀吉が創建した寺関連の遺構。文化庁が新設を目指す「文化財修理センター」（仮称）の建設が模索されている場所。公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所の試掘調査。[産経新聞]
韓国: 忠清南道牙山市・邑内洞幢竿支柱（ウムネドンどうかんしちゅう）の周辺で、統一新羅～高麗時代の集線文瓦、魚骨文瓦、観音寺銘瓦、鬼面紋軒丸瓦、蓮華文軒丸瓦などが出土。寺院に関連した建物遺構も。[聯合ニュース]
韓国: 蔚山市北区で青銅器時代の生活遺構や墳墓、三国時代の石室墓など。[聯合ニュース]
中央アジア: 日本の東洋学者・長澤和俊（1928～2019）・早稲田大学名誉教授が生涯にわたって収集した中央アジア古代文化交流史資料4万件が韓国の国立文化財研究院に寄贈された。[聯合ニュース]
トルコ: カラマン県（Karaman ili）のカラダー山（Karadağ）北斜面にあるビザンティン時代の教会跡から、石4個ににアラビア語で「アッラー」の文字。[Anatolian Archaeology]
ポーランド: トルン（Toruń）で、16～17世紀の絹織物や靴。トルンがハンザ同盟の重要都市であったことを示す。[Heritage Daily]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ヨンヌ県（Yonne）トネール（Tonnerre）で、ガリア時代末期から15世紀までの密集した居住跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ 1500 ans d’histoire sur l’oppidum de Tonnerre (Yonne) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
スペイン: コルドバ県（Córdoba）ベルメス（Belmez）のロス・エスコリアレス・デ・ドニャ・ラマ（Los Escoriales de Doña Rama）で出土したローマ時代・1世紀のインゴットを分析し、同地を含むフエンテ・オベフナ・アスアガ地域（Fuente Obejuna-Azuaga）で産出したことを推定。地中海貿易に供され、ローマ世界で利用された鉛がコルドバ産であることを証明。
▶ ROMAN LEAD WAS CORDOVAN [Universidad de Córdoba]
▶ Antonio Monterroso-Checa, Claude Domergue, Christian Rico, Mar Zarzalejos-Prieto, Fernando Palero-Fernández, Sabine Klein, Isabel María García-Magdaleno, Pier Renato Trincherini, Massimo Gasparini, Francesca Marchegiani, Juan Carlos Moreno-Escribano, Stefano Nisi and José Rafael Ruiz-Arrebola (2024) La societas Sisaponensis, los lingotes de Doña Rama-Belmez y la explotación minera de los montes de Corduba. Journal of Roman Archaeology, First View, pp. 1 - 40. [Cambridge Core]
UK（イングランド）: オックスフォードシャー州（the county of Oxfordshire）ベンソン（Benson）で、後期青銅器時代の木製井戸。Oxford Archaeologyの調査。
▶ Bronze-age wooden well found in Benson [Oxfordshire County Council]
UK（イングランド）: エクセター（Exeter）のエクセター大聖堂（Exeter Cathedral）の修道院庭園で、ローマ時代・50～75年の軍団の砦。[LiveScience]
エジプト: カラニス遺跡（Καρανίς；Karanis）の放射性炭素年代を紹介。5世紀なかば以降も居住されて7世紀半ばに及んでおり、この地域の政治や環境における変化の時期に相当。
▶ Laura Motta, Tyler Duane Johnson, Shannon Burton, Paula J. Reimer, Paul Erdkamp and Frits Heinrich (2024) Re-dating Roman Karanis, Egypt: radiocarbon evidence for prolonged occupation until the seventh century AD. Antiquity, First View, pp. 1 - 19. [Cambridge Core]

2024年5月6日（月）

兵庫県: 洲本市・洲本城跡（すもとじょうあと）で、石塁の内部から大量の瓦。1596年の伏見地震で崩れた瓦の処理に困って詰めたものか。洲本市教育委員会の調査。[神戸新聞]
▼洲本城跡関連記事→2023年10月26日
鹿児島県: 日置市・沈寿官窯（ちんじゅかんがま）の敷地にあるほこらに記された制作年人名を三次元計測でデータ化し解読。玉山神社の棟札とされる陶板に書かれている年代、人物名と一致。[南日本新聞]
▶ 国際文化学科中園聡教授（考古学）研究室と卒業生が薩摩焼の解明に寄与 [鹿児島国際大学]
中国: 山西省運城市芮城県古魏鎮・太安遺跡で出土した竜山時期の土器に、三里橋文化の特徴。[中国新聞網]
イスラエル: Berner地域で、五芒星の描かれたファーティマ朝・9～10世紀の緑釉の鉢。[Heritage Daily]
イタリア: カンパニア州（Regione Campania）ベネヴェント県（Provincia di Benevento）アモロージ（Amorosi）のヴァッレ・テレジナ（Valle Telesina）で、鉄器時代・竪穴墓文化（Pit Tomb Culture）・紀元前8世紀～前7世紀の大規模墓地。直径15mのストーンサークルで区切られた墳丘墓2基を含み、エリート層の存在を示す。[Heritage Daily]
エジプト: ギザ（Giza）の西墓地で物理探査。L字形の浅い遺構と、その下の深い遺構を確認。浅い遺構は深い遺構の入り口部分である可能性。
▶ Motoyuki Sato, Ryuma Saito, Abbas Mohamed Abbas, Hany Mesbah, Ayman Taha, Wael R. Gaweish, Mohamed Aldeep, Ahmed M. Ali, Hiromasa Kurokouchi, Kazumitsu Takahashi, Gad El-Qady, Sakuji Yoshimura (2024) GPR and ERT Exploration in the Western Cemetery in Giza, Egypt. Archaeological Prospection. [Wiley Online Library]
ペルー: リマ県（Lima）のチャンカイ地区（Distrito de Chancay）のラウリ遺跡（Lauri ）で、チャンカイ文化（Chancay culture）の土器10点。[Heritage Daily]

2024年5月5日（日）

鹿児島県: 鹿屋市・名主原遺跡（みょうずばるいせき）で、直径20mの溝に囲まれた遺構。墳丘は失われているが、県内最古級の古墳の可能性。肝付町・塚崎古墳群（つかざきこふんぐん）に近いか、さかのぼる。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。[南日本新聞]
▼名主原遺跡関連記事→2022年11月30日
イラン: アラス川（Araxes River）流域のコーネ・テペシ遺跡（Kohne Tepesi）について、前期青銅器時代・クラ・アラクセス文化（Kura-Araxes culture）・紀元前3千年紀の葬送習慣を分析。また、クルガン時代前期の象徴的慣習や社会的行為の変化が、自然発生的なものではなく、クラ・アラクセス文化末期に根ざすことを指摘。
▶ Sepideh Maziar, Ali Zalaghi, Bayram Aghalari, Sepideh Asgari, Shiva Sheikhi & Marjan Mashkour (2024) Mortuary Practices, Rituality, and Commemorative Places: A View of Kohne Tepesi in the Southern Basin of the Araxes River, Iran. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
オランダ: 新石器時代・フラールディンゲン文化（Vlaardingen Culture）・紀元前3400年～前2500年（BCE）の3遺跡で出土したフリント製の石器を分析し、骨器生産に使用された石器を特定。メタポディウム技法（metapodium technique ）は、シカが取れた場合にのみ用いられており、シカが取れない遺跡ではメタポディウム技法は確認されない。鑿の生産などの際にシカの骨の代用として牛の骨が用いられる場合があったが、このときもメタポディウム技法は用いられない。
▶ Lasse van den Dikkenberg, Annelou van Gijn (2024) Deer ghosts: Invisible bone tools from the Vlaardingen Culture (3400-2500 BCE), bone-working, toolkits, and cultural preferences. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 56, June 2024, 104569. [ScienceDirect]

2024年5月4日（土）

ロシア: コステンキ遺跡（Костенки；Kostenki）の後期旧石器時代前半の細石器技術を研究。
▶ Anton R. Lada, Alexander A. Bessudnov, Rob Dinnis, Andrei A. Sinitsyn (2024) Development of the microlithic technology in the Early Upper Palaeolithic of Kostenki (European Russia). L'Anthropologie, Available online 4 May 2024, 103257. [ScienceDirect]

2024年5月3日（金）

オーストリア: オーバーエスターライヒ州（Oberösterreich）ヴェルス（Wels）で20年前に発掘された墓は、ローマ時代・2～3世紀の、ヒトの母（40～60歳）と娘（20～25歳）とウマの合葬墓。従来は中世の墓と考えられていた。ウマを伴う埋葬はローマ時代には珍しい。ヴェルスはローマ都市オヴィラワ（Ovilava）に当たる。[ORF]
▶ D. Hagmann, B. Ankerl, N. Kirchengast, O. Cheronet, M. Greisinger, R. Miglbauer, S. Kirchengast (2024) Double feature: First genetic evidence of a mother-daughter double burial in Roman period Austria. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 55, May 2024, 104479. [ScienceDirect]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）コート＝ドール県（Côte-d'Or）ディジョン（Dijon）の旧サン＝ベニーニュ修道院（abbaye Saint-Bénigne）で、前期中世の墳墓群の近くから工房跡。
▶ Dijon : découvertes inédites sur le bourg de Saint-Bénigne au XIe siècle (Côte-d’Or) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼旧サン＝ベニーニュ修道院関連記事→2019年5月30日
UK（イングランド）: カーライル（Carlisle）のカーライル・クリケット・クラブ（Carlisle Cricket Club）でローマ時代のピンポン玉大の貝紫（Tyrian purple）のかたまり、ローマ時代の巻貝を利用した染料を初確認。[BBC]
▼カンブリア州（Cumbria）
フランス: オー＝ド＝フランス地域圏（Hauts-de-France）パ＝ド＝カレー県（Pas-de-Calais）モントルイユ＝シュル＝メール（Montreuil-sur-Mer）で、中世と近代のレンガなどの窯跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ Une production céramique médiévale et moderne à Montreuil-sur-Mer (Pas-de-Calais) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2024年5月2日（木）

北海道: 函館市・四稜郭（しりょうかく）で、焚火をした跡がみつかる。1m四方にわたり芝生が焼け、枝を集めて燃やした跡。四稜郭は国の史跡に指定され、下記の使用が禁止されている。[HTB北海道テレビ]
長野県: 飯田市・川原遺跡（かわらいせき）で、縄文時代から古墳時代の建物跡や墓跡。縄文時代後期の敷石住居跡。北東北地域の十腰内式土器に似た土器も出土。長野県埋蔵文化財センターの調査。5/11現地説明会。
▶ 飯田市川原遺跡現地説明会 [長野県埋蔵文化財センター]
岐阜県: 各務原市・薬師寺で所蔵する観音像は、平安時代後期に製作。江戸時代の仏像と思われていたが、修復の過程で、頭の十一面観音が攻勢に取り付けられたものと判明。[岐阜新聞]
カザフスタン: ジャンブール州（Жамбыл облысы；Zhambyl region）サルス郡（Сарысу ауданы；Sarysu district）アクトガイ村（Ақтоғай；Aktogay）で、青銅器時代・4000年前の岩絵。[Arkeonews]
ポーランド: チュリツェ（Czulice）で、フン文化（Hunnic culture）の合葬墓。被葬者1は7～9歳、被葬者2は8～9歳で頭蓋変形あり。遺伝的にいずれも男児で、被葬者1の先祖はヨーロッパ、被葬者2の先祖はアジア。ストロンチウム同位体から見て、被葬者1は在地人ではないが、被葬者2は在地人か、パンノニア盆地出身。放射性同位体により、年代は395～418年で、同様の墓としてポーランド最古。イヌ、ネコ、カラスを陪葬。カルパチア山脈の北側に古くからフン族がいた。
▶ Jakub M. Niebylski, Halina Dobrzańska, Anita Szczepanek, Maja Krzewińska, Paweł Gan, Marta Barszcz, Ricardo Rodríguez-Varela, Zoé Pochon, Maria Lityńska-Zając, Danuta Makowicz-Poliszot, Anna Pankowska, Anna Rauba-Bukowska, Michał Wasilewski, Magdalena Kozerska, Andrzej Urbanik, Piotr Włodarczak, Danijela Popović, Mateusz Baca, Anders Götherström (2024) Unveiling Hunnic legacy: Decoding elite presence in Poland through a unique child’s burial with modified cranium. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 56, June 2024, 104563. [ScienceDirect]
ポーランド: ナチスの司令部ヴォルフスシャンツェ（Wolfsschanze；Wolf's Lair）の中にあるヘルマン・ゲーリング（Hermann Wilhelm Göring）の家の地下から、切断された死体が発見され、調査開始。[The Jerusalem Post]
USA: ニューメキシコ州（State of New Mexico；Estado de Nuevo México）のチャコ・キャニオン（Chaco Canyon）で、チャコ人の5集落での貝製ラッパの音の伝わりを研究。各集落のグレートハウス（great house）からのラッパの音が集落全体に伝わることを確認。古代プエブロ人は貝殻のラッパでコミュニケーションをとった。[Heritage Daily]
▶ Ruth M. Van Dyke, K.E. Primeau, Kellam Throgmorton and David E. Witt (2024) Seashells and sound waves: modelling soundscapes in Chacoan great-house communities. Antiquity, First View, pp. 1 - 18. [Cambridge Core]
▼チャコ・キャニオン関連記事→2023年2月23日
メキシコ: キンタナ・ロー州（Estado de Quintana Roo）トゥルム（Tulúm）の洞窟の中の25号遺構「Casa del Halach Uinic,」で、袋状遺構チュルトゥン（chultún）。直径2.48m、深さ2.39m。[Mexico News Daily]

2024年5月1日（水）

北海道: 浦幌町・霧止山チャシ跡（きりどめやまちゃしあと）が損壊。民間企業の社有林の中にあるが、森林の作業で削られた可能性。[北海道新聞]
京都市: 東山区・法住寺殿跡（ほうじゅうじどのあと）で、平安時代末期～鎌倉時代の井戸3基。公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所の調査。[京都新聞]
▼法住寺殿跡関連記事→2016年1月15日
鳥取県: 境港市で1969年に発見され、その後行方不明となっていた後期旧石器時代の女性人骨「夜見ケ浜人」が、東京都新宿区・早稲田大学文学部考古学研究室にあった段ボール箱の中から発見。[日本海新聞]
香川県: 丸亀市・岡田東下土居遺跡（おかだひがししもどいいせき）で、平安時代・10世紀頃と江戸時代・18世紀後半の土坑・柱穴跡。須恵器・土師質土器・陶磁器など出土。5/25現地説明会。
▶ 岡田東下土居遺跡現地説明会を開催します [香川県埋蔵文化財センター]
韓国: 全羅南道霊岩郡郡西面馬山里・馬山里土器窯跡（マサンリどきようせき）で、統一新羅時代・7～8世紀の窯10基と遺物堆積層。民族文化遺産研究院の調査。[聯合ニュース]
▼馬山里土器窯跡関連記事→2022年12月2日
トルコ: ムシュ県（Muş ili）のヤイグン・パザル墓（Yaygın Pazar Tumulus）で、地下にトレジャーハンターが盗掘坑を掘りこみ、破壊。[Hürriyet Daily News]
セルビア: ヴォイヴォディナ自治州（Војводина；Vojvodina）ヤルコヴァツ（Јарковац；Jarkovac）のタミシュ川（Тамиш；Tamiš）近くで、後期新石器時代・ヴィンツァ文化（Vinča Culture）・紀元前5400年～前4400年の11～13ヘクタールに及ぶ大規模集落。[Arkeonews]

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