考古学のおやつ/NEWSLINK

2021年11月10日（水）

宮城県: 東松島市・赤井官衙遺跡群（あかいかんがいせきぐん）で、7世紀ごろの倉庫とみられる大型の建物跡。南北6.6m、東西6.3m。牡鹿郡家時代以前の建物跡も出土。遺跡群の西側地区には郡家などの中心施設跡がある可能性。東松島市教育委員会の調査。10/23現地説明会。[河北新報]
山形県: 米沢市・舘山城跡（たてやまじょうあと）で、山城西側の曲輪2北西部で舘山城に伴う深さ約1mの横堀跡。米沢市教育委員会の調査。11/19現場見学会。[米沢市教育委員会]
長野県: 長野市・富士ノ塔砦跡で、防災行政無線のデジタル化工事で、文化財保護法が定める必要な手続きをせず、曲輪の一部を破損。事前に長野市教育委員会との協議をしていなかった。長野市11/9発表。富士ノ塔砦は戦国時代に使われた山城とされる。[信濃毎日新聞]
イラン: チャハール＝マハール・バフティヤーリー州（Chaharmahal-Bakhtiari）アルダル（Ardal）で、10000年前の10ヘクタールに及ぶ大規模な遺跡。[Tehran Times]
イラン: ケルマンシャー（Kermanshah）で前期旧石器時代・アシュール文化（Acheulean）の石器。ホモエレクトゥス（Homo erectus）が用いたとみられる。[Tehran Times]
ドイツ: バイエルン州（Bayern）アウクスブルク（Augsburg）でローマ時代・1～2世紀の銀貨5600枚、15kg。バイエルン州では最大規模の銀貨の埋納。ラエティア属州（Raetia；Rhétie）の中心地としての重要性を示す。[Sciences et Avenir]
オランダ: ゼーラント州（Zeeland）トーレン市（Tholen）ポールトフリート（Poortvliet）で、後期鉄器時代の農場。ガラス製腕輪出土。[Omroep Zeeland]
スペイン: コルドバ県（Córdoba）カレラ（Calera）のペニャカレラ洞窟（cueva Peñacalera）で、5400年前の辰砂で赤く染められた織物。イベリア半島最古の織物。[El Español]
cf. Margarita Gleba, M. Dolores Bretones-García, Corrado Cimarelli, Juan Carlos Vera-Rodríguez & Rafael M. Martínez-Sánchez (2021) Multidisciplinary investigation reveals the earliest textiles and cinnabar-coloured cloth in Iberian Peninsula. Scientific Reports, volume 11, Article number: 21918 [Scientific Reports]

2021年11月9日（火）

福島県: 大熊町・西平窯跡で、大堀相馬焼を焼いたとみられる巨大な登り窯。8室が連結する連房式登り窯。大熊町教育委員会の調査。[福島民報]
茨城県: つくばみらい市・鎌田遺跡（かまたいせき）で、縄文時代や奈良・平安時代の集落跡。公益財団法人茨城県教育財団の調査。11/25現地説明会。[発掘情報いばらき]
千葉市: 若葉区・加曽利貝塚（かそりかいづか）のうち、南貝塚中央部のくぼ地は、10000年以上前の関東ローム層のすぐ上から、縄文時代晩期・3000年前の土器などを含む黒い土の地層。不自然に平らな部分や、祭事に使われたとされる石剣7点。縄文人が意図的に土を削って整備し、祭祀などに使っていた可能性。千葉市教育委員会の調査。11/27現地説明会。[東京新聞]
韓国: 水中発掘で沈没船から見つかった高麗陶器189点のうち半数程度の97点は海南・珍山里窯跡で製作された可能性が高い。形態や製作技法が同じ。[聯合ニュース]
韓国: 慶尚南道梁山市多芳洞貝塚で、加耶前期の高地性集落。[釜山日報]
▼多芳洞貝塚関連記事→2021年2月23日
タイ: タイ東北部のムン川流域（Mun）で、最初の農耕から初期国家に至る時期の埋葬習俗を分析し、社会的不平等が激しくなった時代を2時期見出す。青銅器時代初頭には、外来の貴重品の所有がエリートに限られ、鉄器時代の後半には乾燥化が進んだことにより農業革命が起こり、国家形成につながった。
cf. Mattia Fochesato, Charles Higham, Amy Bogaard, and Cristina Cobo Castillo (2021) Changing social inequality from first farmers to early states in Southeast Asia. Proceedings of the National Academy of Sciences, November 23, 2021 118 (47) e2113598118 [PNAS]
イスラエル: ラキシュ（Lachish）遺跡で、アッシリアによる紀元前701の攻城戦の時の斜面の築造方法を復元。アッシリアのセンナケリブ王（Sennacherib）が300万個の石材で建設。聖書の記述、戦闘シーンのレリーフ、アッカド語の碑文、発掘成果、航空写真などを利用。ラキシュはユダ王国（Judah）の重要拠点の一つ。[The Times of Israel]
cf. Yosef Garfinkel, Jon W. Carroll, Michael Pytlik, Madeleine Mumcuoglu (2021) CONSTRUCTING THE ASSYRIAN SIEGE RAMP AT LACHISH: TEXTS, ICONOGRAPHY, ARCHAEOLOGY AND PHOTOGRAMMETRY. Oxford Journal of Archaeology [Wiley Online Library]
トルコ: アドゥヤマン県（Adıyaman ili）のペッレ（Πέρρη；Perre）で、6～7世紀の地震で破壊された遺構。ペッレはコンマゲネ王国（Kομμαγηνή；Commagene）の5大都市のひとつ。[Anadolu Ajansı]
▼古代都市ペッレ関連記事→2021年7月2日
ジョージア: イメレティ州（Imereti region）のサツルブリア洞窟（Satsurblia Cave）とズズアナ洞窟（Dzudzuana Cave）で出土した、後期旧石器時代（Upper Palaeolithic）のペンダントを分析。歯や骨で作られており、衣服に取り付けて用いた個人用の装身具と推定。北コーカサスと南コーカサスの装身具が類似しており、石器の類似性で予測されていた両地域の文化的結びつきを傍証。
cf. José-Miguel Tejero, Guy Bar-Oz, Ofer Bar-Yosef, Tengiz Meshveliani, Nino Jakeli, Zinovi Matskevich, Ron Pinhasi, Anna Belfer-Cohen (2021) New insights into the Upper Palaeolithic of the Caucasus through the study of personal ornaments. Teeth and bones pendants from Satsurblia and Dzudzuana caves (Imereti, Georgia). PLoS ONE, 16(11): e0258974. [PLOS ONE]
▼サツルブリア洞窟関連記事→2021年7月13日
▼ズズアナ洞窟関連記事→2009年9月11日
UK（イングランド）: カンタベリー大聖堂（Canterbury Cathedral）にあるエドワード黒太子（Edward of Woodstock；Black Prince；1330～1376）の墳墓の金属製の彫像（effigy）の成分を分析し、黒太子の父エドワード3世（Edward III；在位1327～1377年）の彫像と組成が一致。彫像の様式などから、エドワード3世とエドワード黒太子の彫像は同時期に同じ人物によって作られた。エドワード3世の墓を作るための大理石は1386年に船で運ばれたので、両像は1386年ごろ、黒太子の息子のイングランド王リチャード2世（Richard II；在位1377～1399年）の権威を高めるためプロパガンダのために作られた可能性。エドワード黒太子はフランスとの百年戦争で活躍。遺言で、金属製の彫像の製作を望んだというが、死後すぐに作られたわけではなかった。 [LiveScience]
cf. Jessica Barker, Emily Pegues, Graeme Mcarthur (2021) ‘Fully armed in plate of war’: making the effigy of the Black Prince. The Burlington Magazine, Vol. 163, No. 1424 [The Burlington Magazine]
UK（イングランド）: ヘレフォードシャー州（Herefordshire）レントワダイン（Leintwardine）の3か所から、ローマ時代・紀元前1世紀～後2世紀の銀貨20枚。[Hereford Times]
UK（イングランド）: リンディスファーン島（Lindisfarne）で、ノーサンブリア王国（Northumbria）の王エズバート（Eadberht）の銀貨。[ChronicleLive]
UK（スコットランド）: アバディーンシャー州（Aberdeenshire）のディー川（Dee）で、中石器時代（Mesolithic）・10000年前～6000年前のフリント製石器1200点出土。[BBC]

2021年11月8日（月）

宮城県: 岩沼市・原遺跡（第6次調査）で、7世紀後半と考えられる大型竪穴建物跡や、8世紀の大きな溝のコーナー部分。東海地方で生産されたフラスコ型の長頸瓶や、灰釉陶器が出土。岩沼市の調査。11/13-14現地説明会。[岩沼市]
京都市: 上京区・平安宮跡から、皇后らの住む「登華殿」とみられる建物跡。公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所の調査。[産経新聞]
沖縄県: うるま市・藪地洞穴遺跡（やぶちどうけついせき）で、貝塚時代・1万年前～9000年前の人骨。沖縄県内では旧石器時代・14000年前と貝塚時代・7000年前の人骨の間の空白時代を埋める。うるま市教育委員会11/8発表。[琉球新報]
▼藪地洞穴遺跡関連記事→2016年9月10日
トルコ: ビトリス県（Bitlis ili）アフラト（Ahlat）のセルジューク広場墓地（Seljuk Meydan Cemetery）で、新たにセルジューク朝（Seljuk）の小児墓30基。アフラトはセルジューク朝のアナトリア征服において重要な拠点だった。[Daily Sabah]
▼セルジューク広場墓地関連記事→2021年8月14日
トルコ: イズミル県（İzmir il）メネメン郡（Menemen）のパナズテペ遺跡（Panaztepe）で、初期青銅器時代（Early Bronze Age）・紀元前3000年の遺構。パナズテペ遺跡は現在は10km内陸だが、かつては港湾都市で、東地中海、エーゲ海西部、コーカサスなどと交易。[Anadolu Ajansı]

2021年11月7日（日）

ヨルダン: ショウバック（Shawbak）で5000年前の巨石墓から土器やフリント、骨など。
Krakowscy naukowcy przebadali jordańskie megality[Nauka w Polsce]
▼マアーン県（Ma’an Governorate）

2021年11月6日（土）

長野県: 伊那市・天庄II遺跡で、縄文時代中期の竪穴住居跡6軒や、埋甕炉、縄文土器など。太陽光発電施設の建設予定地が埋蔵文化財包蔵地だったにもかかわらず、市に提出された届け出と異なる工事が行われ、埋蔵文化財が損傷した問題を受けて、伊那市教育委員会が調査。11/13現地説明会。[長野日報]
朝鮮半島: 更新世終末～完新世前期の人口動態からみて、寒冷期には人口が増加し、温暖期には減少している。この時期に土器が見られないのは人口の減少に関連。朝鮮半島の沿岸部で新石器時代に土器が定着するのは、8200年前に寒冷化したことにかかわると推定。
▶ Jangsuk Kim a, Chuntaek Seong (2022) Final Pleistocene and early Holocene population dynamics and the emergence of pottery on the Korean Peninsula. Quaternary International, Volumes 608-609, 20 January 2022, Pages 203-214. [ScienceDirect]
クロアチア: フヴァル島（Hvar）の洞窟バビナ・シュピリヤ（Babina Špilja）で、初期新石器時代の土器や獣骨。中石器時代の可能性のある礫も。[Total Croatia News]
イタリア: ポンペイ遺跡（Pompeii）のチヴィタ・ジュリアーナ（Civita Giuliana）で1世紀の奴隷の部屋。
LA STANZA DEGLI SCHIAVI – L’ULTIMA SCOPERTA DI CIVITA GIULIANA[Parco archeologico di Pompei]
▼チヴィタ・ジュリアーナ関連記事→2021年2月27日
スロバキア: ブラチスラバ（Bratislava）で、1809年のナポレオンによるプレスブルク（Pressburg）包囲のときの要塞システムを、LiDARや歴史資料により調査。城壁、溝、堡塁など、要塞システムを確認。
cf. Igor Murín, Martin Neumann, Conor Brady, Jozef Bátora, Matej Čapo, Dominik Drozd (2021) Application of magnetometry, georadar (GPR) and geoelectrical methods in archaeo-geophysical investigation of a Napoleonic battlefield with fortification at Pressburg (Bratislava, Slovakia). Journal of Applied Geophysics, Available online 6 November 2021, 104493 [ScienceDirect]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ソーヌ＝エ＝ロワール県（Saône-et-Loire）フルールヴィル（Fleurville）のマリニー城（château de Marigny）の地下から、ガロ＝ロマ時代の邸宅とモザイクを発見。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
Une riche villa antique sous le château de Marigny à Fleurville (Saône-et-Loire)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
UK（イングランド）: ケント州（the county of Kent）ディール海岸（Deal）沖のグッドウィン・サンズ（Goodwin Sands）にある難破船レストレーション号（HMS Restoration）などに保存の危機。レストレーション号は1678年に建造された戦艦。[Express]
エジプト: カイロ（Cairo）のマタリヤ地区（El Matariya）にあるネクタネボ1世（Nectanebo I）の神殿の西側と北側の正面から、玄武岩のブロック。ネクタネボ王の13年、14年を示す銘文。[Egypt Today]

2021年11月5日（金）

岐阜県: 岐阜市・芥見町屋遺跡（あくたみまちやいせき）で、弥生時代から古代の竪穴建物群。岐阜県文化財保護センターの調査。11/13現地見学会。
芥見町屋遺跡の現地見学会を開催します[岐阜県文化財保護センター]
滋賀県: 大津市・錦織遺跡（にしこおりいせき）で、古墳時代前期後半・4世紀後半とみられる古墳の周濠と大量の埴輪。埴輪には家形埴輪と円筒埴輪。大津市教育委員会の調査。[読売新聞]
▼錦織遺跡関連記事→2021年10月29日
岡山県: 総社市・こうもり塚古墳の規模が判明。吉備最大の後期古墳。岡山県古代吉備文化財センターの調査。11/26現地説明会。
国指定史跡こうもり塚古墳の規模が明らかに！－吉備最大の後期古墳の現地説明会を開催します－[岡山県]
福岡県: 小郡市・干潟猿山遺跡（ひかたさるやまいせき）で、飛鳥～奈良時代・1400年前～1300年前のL字形かまどが設置された竪穴住居13軒。朝鮮半島由来の可能性。渡来人の子孫が使ったか。小郡市教育委員会の調査。11/13現地説明会。[朝日新聞]
中国: 河北省黄驊市・大左庄製塩遺跡で、唐時代の計量用の銅製や石製の環状の重り。石製のものは塩を、銅製のものは塩取引のための金銀を軽量するための重りとみられる。[新華社]
中国: 河北省廊坊市安次区で、遼・金時代の古墓群。[中国社会科学院考古研究所]
トルコ: デニズリ県（Denizli il）の古代都市ヒエラポリス（Ἱεράπολις；Hierapolis）で、ヘレニズム時代の建物2棟。オリーブ油生産の跡や石臼も確認。[Anadolu Ajansı]
ペルー: リマ（Lima）のラ・ビクトリア地区（Distrito de La Victoria）で、2000年前の墳墓遺跡。人骨6体と蔵骨用の土器が出土。ブランコ・ソブレ・ロホ文化（Blanco sobre Rojo；White on Red）に関連するとみられる。[France24]
訃報: 中根千枝氏10/12死去。94歳。社会人類学。「タテ社会の人間関係」の著者。[毎日新聞]

2021年11月4日（木）

川崎市: 高津区・橘樹官衙遺跡群（たちばなかんがいせきぐん）で、飛鳥時代の倉庫遺構。川崎市教育委員会の調査。11/6現地説明会。[神奈川新聞]
▼橘樹官衙遺跡群関連記事→2015年9月25日
新潟県: 燕市・渡部橋付近で、古墳時代後期・6～7世紀の土師器などが出土。石港遺跡の範囲内か。燕市教育委員会の試掘調査。[新潟日報]
石川県: 七尾市・七尾城跡（ななおじょうせき）の調度丸跡を区切る曲輪が、城中心部と同時期の築城初期段階に造られた可能性。七尾市教育委員会の調査。[中日新聞]
▼七尾城跡関連記事→2019年12月22日
韓国: 京畿道広州市退村面元堂里で、朝鮮時代の胎室の遺構を3基発見。胎室は、王室の子孫が出生した時、胎盤やへその緒を容器に入れて地中に安置した場所。京畿文化財研究院の調査。[京畿日報]
中国: 内モンゴル自治区ホリンゴール県（和林格爾県）大紅城村で漢墓31基。土坑竪穴墓、土洞墓、磚壁墓、磚室墓からなる。磚壁墓は珍しく、土洞墓から磚室墓への過渡的な形態か。[中国新聞網]
モンゴル: カラコルム（Karakorum；Хархорин）で、モンゴル帝国（Mongol Empire）・13世紀の都とその周辺を、詳細に地球物理学的探査。予想よりも大規模で、城壁より外側にも広がり。カラコルムはモンゴル帝国のオゴデイ（Ögödei）が建設し、モンケ（Möngke）の時に完成。
cf. Jan Bemmann, Sven Linzen, Susanne Reichert and Lkh. Munkhbayar (2021) Mapping Karakorum, the capital of the Mongol Empire. Antiquity, First View, pp. 1 - 20 [Cambridge Core]
インドネシア: スマトラ島（Sumatra）のムシ川（Musi River）で、シュリーヴィジャヤ王国（Srivijaya Empire）・7～11世紀の金製指輪やビーズなど。[Smithsonian Magazine]
オーストラリア: 南オーストラリア州（South Australia）のキニパパ川（Kinipapa）＝クーパー・クリーク（Cooper Creek）の河床で見つかったブーメラン（boomerang）4本は、1650～1830年。この土地へのヨーロッパ人の到達以前。使用痕などから見て、ブーメランは投げる道具であるとともに、戦闘、狩猟、掘削、火の管理、儀式などに用いられた。
Rare non-returning boomerangs analysed for new clues[Cosmos]
cf. Amy Roberts, Sean Freeman, Daryl Wesley, Vladimir Levchenko, Linda Barry, Luc Bordes, Katheryn Litherland, Jason Litherland, Joshua Haynes & Aaron Paterson (2021) Morphological analysis and radiocarbon dating of non-returning boomerangs from Cooper Creek/Kinipapa (Northeast South Australia). Australian Archaeology [Taylor & Francis Online]
トルコ: イズミル県（İzmir il）の古代都市スミュルナ（Σμύρνα；Smyrna）の紀元前2世紀から紀元後5世紀まで用いられた劇場跡で、俳優用のトイレ跡を発見。[Anadolu Ajansı]
ドイツ: シュトラールズント（Stralsund）の聖カタリナ修道院（Katharinenklosters）の敷地内で、古い礼拝堂の基礎。市内最古の建物基礎。[Die Zeit]
▼メクレンブルク＝フォアポンメルン州（Land Mecklenburg-Vorpommern）
UK（イングランド）: ノーフォーク州（Norfolk）で、アングロサクソン時代・600年ごろの金貨131枚と金製品4点の埋納。大半はフランク王国の金貨で、一部にビザンティン帝国の金貨を含む。[Evening Standard]
UK（スコットランド）: カロデン（Culloden）で、カロデンの戦い（Battle of Culloden；1746年）の戦場跡から鉛製のマスケット弾2個。うち1点には衝撃の痕跡。[BBC]
USA: サウスカロライナ州（State of South Carolina）ビューフォート郡（Beaufort County）ヒルトンヘッド島（Hilton Head）のミッチェルヴィル（Mitchelville）で、レンガ積みの炉跡。コンクリートの一種「タビー」を作るためのものと推定。ミッチェルヴィルは南北戦争中の1862年に建設された、解放奴隷の都市。1893年にハリケーンにより壊滅。[The Island Packet]

2021年11月3日（水）

青森県: 青森市・内真部城館群（うちまんぺじょうかんぐん）で、方形居館を相次いで確認。陸奥湾西岸部で方形居館が確認されたのは初。南北朝から室町時代にかけて、長く内真部城館群が機能していた可能性。[東奥日報]
▼内真部城館群関連記事→2019年10月18日
ヨルダン: ショーバック（Shoubak）近郊で、未完成のものを含むドルメンを調査。土器やフリント製石器、人骨が出土。ヤギェウォ大学（Uniwersytet Jagielloński w Krakowie；Jagiellonian University）の調査。
Breakthrough discovery of Kraków archaeologists in Jordan[Uniwersytet Jagielloński w Krakowie]
イタリア: シチリア自治州（Regione Siciliana）アグリジェント県（Provincia di Agrigento）の神殿の谷（Valle dei Templi；Valley of the Temples）で、アルカイック時代（Archaic）・紀元前6世紀後半のヘラ女神の神殿。[Meteo Web]
▼神殿の谷関連記事→2021年6月23日
フランス: ヴァンデ県（Vendée）タルモン＝サン＝ティレール（Talmont-Saint-Hilaire）で保存の良い木材。近隣ではワインなどの貿易の痕跡がみられ、中世の港があった可能性。[The Connexion]
▼ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏（Pays de la Loire）
USA: ウィスコンシン州（State of Wisconsin）マディソン（Madison）のスプリング・ハーバー・ビーチ（Spring Harbor Beach）で、メンドータ湖（Lake Mendota）の水深27フィートの湖底から、ウッドランド時代後期（late Woodland Period）・800年ごろの丸木舟。年代は木片の放射性炭素年代による。船の内部で見つかった楕円形の石は漁撈に用いる重りの可能性。ホーチャンク族（Ho-Chunk）の先祖が使用した可能性。[Milwaukee Journal Sentinel]

2021年11月2日（火）

中国: 山東省済南市萊蕪区で後漢晩期、金・元、清の墳墓29基。後漢晩期の10種類あまりの花文磚や画像磚。[中国新聞網]
イスラエル: テル・エス・サフィ遺跡（Tell eṣ-Ṣâfi）＝古代都市ガテ（Gath）で出土した初期青銅器時代の石製品について、製作に使われた道具が金属か石かを判別。EBIII期には石製品の加工に金属器は使われていなかった。
cf. Jeremy A. Beller, Haskel J. Greenfield, Aren M. Maeir (2021) Evaluating manufacture marks on ground stone objects as a new proxy for the spread of metal technology in the southern Levant. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 40, Part B, December 2021, 103233 [ScienceDirect]
▼テル・エス・サフィ遺跡関連記事→2021年8月4日
イスラエル: ティベリア（Tiberias）近くで、古代都市マグダラ（Magdala）を発掘。1世紀のシナゴーグ。5～63年の硬貨。ヘロデ王（Herod the Great；在位前37～前4年）のころの、ギリシャ・ローマの影響を受けたモザイク。[Greek Reporter]
シリア: ゴラン高原（Golan Heights）ミズペ・ガボット（Mitzpe Gadot）で、1967年の六日戦争（Six Day War；第三次中東戦争）の時のシリア軍の大規模な防空壕を発見。内部に大量の武器が残る。[The Jerusalem Post]
▼ゴラン高原は、国連安保理決議ではシリア領。イスラエルは領有を主張。
ギリシャ: エギオ（Αίγιο；Aegio）のトラペザ遺跡（Τράπεζα；Trapeza）で、ミュケナイ文化（Mycenaean）の墓地から紀元前12世紀～前12世紀の青銅製の剣。トラペザ遺跡は古代都市リュペス（Ῥύπες；Rypes）に当たるとみられている。[Greek Reporter]
▼トラペザ遺跡関連記事→2020年10月27日
メキシコ: ウェショトラ（Huexotla）で、磁器測定によりプラットフォームを発見。
cf. Denisse L. Argote-Espino, Alberto Juárez-Osnaya, Alejandro García-Serrano (2021) Finding evidence of an ancient platform through magnetometry in Huexotla, Central Mexico. Archaeological Prospection, Early View [Wiley Online Library]
メキシコ: クアウテモック王（Cuauhtémoc）の頭飾りとみられていた羽根で作った円形の遺物「penacho de Cuauhtémoc」は、放射性炭素年代で1626～1810年。クアウテモック王は征服者エルナン・コルテス（Hernán Cortés）の命令で1525年に処刑されており、彼のものではない。それどころか、頭につけることは不可能で、頭飾りですらない。南米で製作されたと推定。メキシコ皇帝マキシミリアンのもとで働いたアートディーラーのウジェーヌ・ボバン（Eugène Boban）が取引し、クアウテモック王の頭飾りと主張したが、価格を引き上げるための言い分で、彼の扱った作品にはフェイクが多い。遺物は現在、フランスの国立ケ・ブランリ美術館（Musée du quai branly）からメキシコの国立人類学博物館（Museo Nacional de Antropología）に貸し出し中。[Mexico News Daily]

2021年11月1日（月）

カザフスタン: アクモラ州（Ақмола облысы；Akmola Oblast）・クラスニ・ヤル遺跡（Красний Яр；Krasnyi Yar）でボタイ文化（Botai culture）の槍先、鏃や骨針。[Qazaq TV]
▼クラスニ・ヤル遺跡関連記事→2006年10月27日
ルーマニア: イストリア（Histria）で出土した古代後期・4～6世紀のガラス36点を分析し、大半はエジプトの工房で作られたと推定。
cf. Roxana Bugoi, Alexandra Ţârlea, Veronika Szilágyi, Ildikó Harsányi, Laurenţiu Cliante, Zsolt Kasztovszky (2021) CHEMICAL ANALYSES ON LATE ANTIQUE GLASS FINDS FROM HISTRIA, ROMANIA. Archaeometry [Wiley Online Library]
クロアチア: ラブ島（Rab）ポドシロ湾（Podšilo）にあるローマ時代・1～3世紀の邸宅で、西ローマ帝国の崩壊後に移住者が建てた木造の仮設建築物。出土したビザンティン帝国や東ゴートの硬貨などからみて、ダルマチア（Dalmatia）から東ゴート族（Ostrogot）に脅かされて逃げてきた人々のものと推定。粗末な建物だが、アフリカ産の油容器、ワイン容器やガラス、硬貨、青銅製品などを持ち、生活水準は高い。7世紀には、バルカン半島に侵入したスラヴ人（Slavs）やアヴァール人（Avars）を避けた新たな移住者が邸宅を修築。[Nauka w Polsce]
スイス: グラウビュンデン州（Kanton Graubünden；Canton des Grisons）で、ローマ時代の戦場跡。短剣、弾丸、硬貨、盾などが散在。紀元前15年にローマと在地部族ラエティア人（Raetian）が戦った痕跡と推定。[swissinfo]
スペイン: カスティーリャ・ラ・マンチャ州（Comunidad Autónoma de Castilla-La Mancha）シウダー・レアル（Ciudad Real）のモンティエル（Montiel）にあるラ・エストレヤ城（castillo de La Estrella）内で、13世紀に建てられたサンティアゴ騎士団（Orden de Santiago）の教会。[El Español]
UK（イングランド）: スタッフォードシャー州（the county of Staffordshire）バートン（Burton）で、1943年に出土した女性の頭蓋骨「グレタ」（Greta）は、放射性炭素年代で1041～1163年と判明。従来14000年前とみられていたが、発掘の状況から考えて、何者かがフェイクとして埋めた可能性。もともと中世とみられていたグレタを10000年前ごろと最初に位置づけたのは人類学者のアーサー・キース卿（Sir Arthur Keith）で、捏造されたピルトダウン人（Piltdown Man）とのかかわりも疑われる人物。[StaffordshireLive]

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