2022年6月20日(月)
- 群馬県
- 伊勢崎市・西上之宮遺跡(にしかみのみやいせき)で、6号墳の東側周堀外で、古代から中世にかけての井戸や掘立柱建物。また、6号古墳の墳丘上で確認された平安時代の竪穴建物には、円筒埴輪をカマドの袖材として転用。[公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団]
▼西上之宮遺跡関連記事→2022年5月23日 - 石川県
- 珠洲市・珠洲市立珠洲焼資料館では、6/19の地震(震度6弱)により、展示品の4割が倒れ、中には破損しているものも。6/20の地震(震度5強)では被害確認されず。[NHK]
- イラン
- ブーシェフル州(Ostān-e Būshehr)・シーラーフ(Sīrāf)でサーサーン朝(Sassanid)の港から、魚雷形の土器。液体の輸出に使われた容器と推定。インドやスリランカで類例出土。タイで出土した類例にはサーサーン朝のパフラヴィー語(Pahlavi)の銘文。[Tehran Times]
- トルコ
- アダナ県(Adana il)ユレイル郡(Yüreğir)の古代都市マシス(Misis)で、3000年前のブドウ、レンズマメ、ソラマメ、エンドウマメ、コムギ、オオムギの種子。ジェイハン川(Ceyhan)沿いに港があり、作物を交易していたことを示す。[Hürriyet Daily News]
- ギリシャ
- アンティキティラ島(Αντικύθηρα;Antikythera)近くの沈没船から、大理石のヘラクレス像の頭部や、ヒトの歯など出土。ヘラクレスの頭部は、1900年に発見された首のないヘラクレス像と同一個体か。アンティキティラ沈没船はローマ時代・紀元前1世紀の船。[Greek Reporter]
- アルバニア
- シュコドラ州(Shkodër;Scodra)ブシャト(Bushat)で、丘の上にヘレニズム時代・紀元前3世紀後半〜前2世紀前半の石造建築物2棟。イタリアの紀元前3〜前2世紀のアンフォラや、ギリシャ産のスキュフォスなどが出土。いずれも法量が小さく、玩具か、あるいは奉納品。古代イリュリア(Ἰλλυρία;Illyria)の重要都市、バッサニア(Bassania)とみられる遺跡。[Nauka w Polsce]
- オランダ
- ヘルダーラント州(Gelderland)ゼーフェナール(Zevenaar)のHerwen-Hemelingで、ローマの防衛線防衛線リメス(Limes)の近くから、ローマ時代の神殿2棟。祭壇や武器・武具も出土。また。220〜230年の井戸。[NOS]
- アイルランド
- ゴールウェイ県(County Galway)ゴート(Gort)のバレン低地(Burren Lowlands)にある大規模な砦は青銅器時代・紀元前1200年〜前800年。規模は南北400m、東西110mで、数百人を収容可能。季節によって現れる湖トゥーロッホ(turlough)に囲まれており、トゥーロッホをも防御施設として利用。[RTÉ]
2022年6月18日(土)
- 中国
- 山西省(Shanxi)・横水墓地(Hengshui)で出土したイヌ7頭、ヒト82人の骨の同位体分析により、西周時代(Western Zhou)の「彭」国(Peng)の社会階層ごとの食生活を分析。2人の彭伯(Peng Bo)からは最高支配層の食生活の証拠。ヒトとイヌの食生活は主にC4植物主体の食生活であるが、動物性蛋白質とC3植物の摂取は貴族に多く、平民に少ない。また、彭伯墓の殉葬者(SH-A)は、ほかの貴族墓の殉葬者(SH-B)よりも多くの蛋白質やC3植物を摂取しており、殉葬者SH-Aと彭伯との強い関係がうかがわれる一方、SH-Bよりも平民の方が動物性蛋白質を多く摂取。彭伯墓の殉葬者に貴族出身者を含む可能性。
cf. Liangliang Hou, Yuze Sun, Xiaofan Sun, Shiyu Yang, Haiyue Wang, Yaoting Xie, Hong Zhu, Quanchao Zhang (2022) Social hierarchy of the Peng state in the Western Zhou Dynasty: Stable isotope analysis of animals and humans from the Hengshui Cemetery, Shanxi, China. Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 44, August 2022, 103522. [ScienceDirect] - イラン
- ボジュヌールド(Bojnourd)で、イルハン朝(Ilkhanid)の土器や、地下水道カナート(qanat)。[Tehran Times]
- トルコ
- ヴァン県(Van il)アラキョイ(Alaköy)のガリビン・テペ(Garibin Tepe)で、ウラルトゥ(Urartu)・紀元前7世紀のハルディ神(Ḫaldi)の神殿。トレジャーハンターの盗掘中に発見。近隣にあるウラルトゥ王ルサ2世(Rusa II)の城に関連か。[Arkeonews]
- ベルギー
- ワーテルローの戦い(1815年6月18日)の墓地について、史料を基に研究。大きな墓のうちいくつかは、19世紀前半にヒトやウマの遺体をリン酸肥料の原料として利用していた。
cf. Tony Pollard (2022) These spots of excavation tell: using early visitor accounts to map the missing graves of waterloo. Journal of Conflict Archaeology. [Taylor & Francis Online] - ジブチ
- ディキル州(Dikhil Region)の中世都市ハンドガ(Handoga)で、遊牧民にルーツを持つ、大規模な都市計画を持つ集落。遊牧民に由来することを示す円形住居。イエメン、中東、中国と交流し、11世紀の中国銭など出土。ダース・ビヨ(Daas Biyo)では、古墳からサーサーン朝とのつながりを示す遺物。[El País]
- メキシコ
- メキシコシティー(Ciudad de México;Mexico City)のテノチティトラン(Tenochtitlán)にあるテンプロ・マヨール遺跡(Templo Mayor)で、アステカ時代(Aztec)の木製品や奉納品。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Heritage Daily]
- アルゼンチン
- パタゴニア(Patagonia)海岸のゴルフォ・ヌエボ海域(Golfo Nuevo)西部にある沈没船遺跡バイア・ガレンシス(Bahía Galenses)で、年輪により沈没船の年代と出自を推定。2区の沈没船は、アメリカ北東部で19世紀半ばに建造された捕鯨船。1850年にロードアイランド州(The State of Rhode Island and Providence Plantations)ウォーレン(Warren)で建造されたドルフィン号(Dolphin)に対応。
cf. I. A. Mundo, C. Murray, M. Grosso, M. P. Rao, E. R. Cook, R. Villalba (2022) Dendrochronological dating and provenance determination of a 19th century whaler in Patagonia (Puerto Madryn, Argentina). Dendrochronologia. [ScienceDirect]
2022年6月17日(金)
- 沖縄県
- 今帰仁村・古宇利島沖で第二次世界大戦中に日本軍の特攻(Kamikaze Attacks)により沈んだ米国の駆逐艦エモンズ(USS Emmons)について、三次元形状を復元。戦闘の実情を明らかにする端緒を得る。
cf. Chiaki Katagiri(片桐千亜紀), Yumiko Nakanishi(中西裕見子), Shin Yoshizaki(吉崎伸), Hayate Kimura(木村颯) & Hironobu Kan(菅浩伸) (2022) Reconstructing a Second World War Sea Battle: The Underwater Site of USS Emmons and a Japanese Special Attack Airplane. International Journal of Nautical Archaeology. [Taylor & Francis Online] - 中国
- 新疆ウイグル自治区(Xinjiang)トゥルファン(吐魯番;Turfan)・洋海墓群(Yanghai Tombs)のIM164号墓から出土した、初期鉄器時代・蘇貝希文化(Subeixi culture)・紀元前1千年紀の植物性の頸飾を分析。ハマビシ科(Zygophyllaceae)のハクシ(Nitraria tangutorum)の核果(drupe)171個を連ねたと判明。ハクシの頸飾は中央アジアで初の発見。
cf. Yuyang Tian, Guilin Zhang, Palidanmu Shading, Xiyong Wang, Hongen Jiang (2022) Early Iron-Age ornaments of the Yanghai people in Xinjiang, China: A necklace made of drupes from Nitraria tangutorum (Zygophyllaceae). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103526. [ScienceDirect]
▼洋海墓群関連記事→2022年2月18日 - モンゴル
- ショロンバンバガルI古墳・ショロンバンバガルII古墳(Shoroon Bumbagar I, II)で出土した7世紀後半の陶俑や壁の石灰モルタルを分析。陶俑は在地で生産。トール川(Туул гол;Tuul River)を挟み、数十年隔てた2基の古墳で出土した唐三彩から、別々の職人集団が、地域の伝統を取り入れてそれぞれ在地で製作したことを推定。
cf. Saran Solongo, Saran Tengis, Galbadrakh Enkhbat, Baatarjav Orgil, Lkhagvasuren Erdenebold (2022) Multi-method characterization of terracotta figurines and lime mortar from the elite burials Shoroon Bumbagar I and II, Mongolia. Archaeometry. [Wiley Online Library] - オマーン
- アル・フータ洞窟(Al Hoota Cave)の石筍(stalagmite)を分析し、6世紀初頭に30年間の旱魃があったことがわかる。数年間の旱魃があったことを記す520年の史料や、死海の水位データとも合致。アラビア半島南部のヒムヤル王国(Himyarite)は、この乾燥化がもとで衰退し、エチオピアのアクスム王国により滅亡(525年)。その後の政治的・社会的変化がイスラームの台頭につながった。
Dürren im 6. Jahrhundert ebneten den Weg für den Islam
Droughts in the sixth century paved the way for Islam[Universität Basel]
cf. Dominik Fleitmann, John Haldon, Raymond S. Bradley, Stephen J. Burns, Hai Cheng, R. Lawrence Edwards, Christoph C. Raible, Matthew Jacobson and Albert Matter (2022) Droughts and societal change: The environmental context for the emergence of Islam in late Antique Arabia. Science, Vol 376, Issue 6599, pp. 1317-1321. [Science] - カザフスタン
- 東カザフスタン州(Шығыс Қазақстан облысы;East Kazakhstan Region)クルシュム郡(Күршім;Kurchum)のトゥイエタス(Түйетас;Tuyetas)で、中世の馬具。キメク・ハン国・9〜10世紀のものに近い。
cf. Gani Omarov, Bauyrzhan Besetayev, Bakyt Khassenova, Azat Aitkali, Krym Altynbekov, Samat Sapatayev, Symbat Sagyndykova (2022) Horse equipment of medieval nomads of the Kazakh Altai (based on materials from the Tuyetas burial ground). Archaeological Research in Asia, Volume 31, September 2022, 100389. [ScienceDirect] - スイス
- バーゼル(Basel)でローマ時代の神殿。ローマ帝国の領域がライン川まで退いた3世紀に荒廃した都市アウグスタ・ラウリカ(Augusta Raurica)から運ばれたと思われる石材。また中世の墓地。[Basler Zeitung]
- チェコ
- プラハ(Praha;Prague)のクルチ(Krč)で見つかった円形環濠ロンデル(rondel;roundel)2基の溝の放射性炭素年代をベイズ分析し、同時期に存在したことを示す。ロンデルは中央ヨーロッパで新石器時代・紀元前5千年紀中ごろに存在する。
cf. Václav Vondrovský, Lenka Kovačiková and Lubor Smejtek (2022) Neolithic rondels in Central Europe and their builders: an analysis of multi-rondel sites. Antiquity, Volume 96, Issue 389, October 2022, pp. 1105 - 1123. [Cambridge Core] - チェコ
- プラハ(Praha;Prague)のフラッチャニ地区(Hradčany)の廃棄土坑4基から出土した1500年〜1775年の窓ガラス101点の化学組成を分析。うち93試料は灰を主原料とする。カリガラスとみられるもの5試料、ソーダガラス2試料、低アルカリガラス1試料。ほかのヨーロッパ諸国で低アルカリガラスが優勢であることと好対照。
cf. Zuzana Zlámalová Cílová, Gabriela Blaková (2022) Chemical Composition of Early Modern and Modern Window Glass from Archaeological Excavations in Prague-Hradčany, Czech Republic. Archaeometry. [Wiley Online Library] - ポーランド
- ワルシャワ(Warszawa;Warsaw)のムラヌフ地区(Muranów)のワルシャワ・ゲットー(Getto Warszawskie;Warsaw Ghetto)跡にあるアニエレヴィッチュ・バンカー(Anielewicz Bunker)で、第二次世界大戦当時の10歳のユダヤ人少女の靴。1943年にユダヤ人が蜂起した場所。[The First News]
- フィンランド
- オーランド諸島(Landskapet Åland)にある Bartsgårda で見つかった後期鉄器時代・550〜1050年の建物跡2棟について、土壌の地球化学的分析。一方は頻繁に使用されて出土品も多く、居住に使用。他方は出土遺物が少なく、儀式専用の場と見られていたが、土壌の分析からも、両者の間でヒトの活動に違いがあることを実証。
cf. Elisabeth Holmqvist & Kristin Ilves (2022) Social Buildings: Soil Geochemistry and Anthropogenic Patterns from Late Iron Age Finland. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online] - 南アフリカ
- ドリモレン古洞窟(Drimolen palaeocave)で、新たに初期ホミニンの歯24本。
cf. Angeline B. Leece, Jesse M. Martin, Andy I. R. Herries, Alessandro Riga, Colin G. Menter, Jacopo Moggi-Cecchi (2022) New hominin dental remains from the Drimolen Main Quarry, South Africa (1999–2008). American Journal of Physical Anthropology. [Wiley Online Library]
▼ドリモレン古洞窟関連記事→2021年7月26日 - USA
- オレゴン州(State of Oregon)マンザニータ(Manzanita)の海岸で、17世紀の沈没船。いわゆるマニラ・ガレオン(Galeón de Manila;Manila galleon)の「サント・クリスト・デ・ブルゴス号」(Santo Cristo de Burgos)。陶磁器や蜜蝋を載せて1693年にマニラを出航。[The Astorian]
2022年6月16日(木)
- 名古屋市
- 名古屋市の男性学芸員が同僚の女性にセクハラ行為をしたとして減給の懲戒処分。[CTV中京テレビ]
- 京都市
- 上京区・同志社大学新町キャンパスの体育館建替地で、室町時代・14〜16世紀の大溝。中世の持明院大路に沿う。また、安土桃山時代〜江戸時代初頭・16世紀末〜17世紀初頭の土蔵基礎4棟以上。同志社大学歴史資料館の調査。6/25現地説明会。
同志社大学新町キャンパス内発掘でみつかった 室町時代(14〜16世紀)の大溝と現地説明会の開催について[同志社大学] - 韓国
- 慶州・東宮と月池の2016年の出土遺物に新羅・8世紀の同一個体の金箔。3.6cm×1.17cmの金箔に、髪の毛よりも細い0.05mmの線で花鳥図を描く。20m離れて出土。国立慶州文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶尚南道 咸安郡 代山面 大沙里にある磁器窯跡で、朝鮮時代の粉青沙器の窯1基と廃棄場2か所。「長興庫」「仁壽府」など官署名が記された粉青沙器が多数出土。貢納用の陶磁器工房として『世宗実録』地理志に記載された「下品磁器所」に当たると推定。[聯合ニュース]
- カンボジア
- シェムリアップ州(Siem Reap Province)・アンコール・トム(Angkor Thom)の西大門(Takav Gate)で、ジャヤーヴァルマン7世(Jayavarman VII)の治世の土台に地鎮に用いる独特の石材。両面に孔9個があり、薄い金板で覆う。中央の孔には三叉戟の柄を立てる。9個の孔は九曜を表す。[Khmer Times]
- イラク
- ウル遺跡(Ur)の初期王朝時代(Early Dynastic)・紀元前2900年〜前2350年の、王室と王室以外の墓から出土した動物の歯のエナメル質の酸素、炭素、ストロンチウム同位体分析。家畜管理のさまざまな戦略や習慣が読み取れ、王室と王室以外の差との相関もない。
cf. Tina L. Greenfield, Augusta M. McMahon, Tamsin C. O’Connell, Hazel Reade, Chris Holmden, Alexandra C. Fletcher, Richard L. Zettler, Cameron A. Petrie (2022) Were there royal herds? Understanding herd management and mobility using isotopic characterizations of cattle tooth enamel from Early Dynastic Ur. PLoS ONE, 17(6): e0265170. [PLOS ONE] - イスラエル
- ヨルダン川流域(Jordan Valley)のベテ・シュアン(Beit She'an)渓谷の南にあるテル・ツァフ遺跡(Tel Tsaf;Tel Zaf)で出土した銅石器時代・7000年前の炭化物を分析し、オリーヴ(Olea europaea)とイチジク(Ficus carica)の木と判明。オリーヴはヨルダン川流域で自然に生育できず、ヒトの手で栽培されていた。また、イチジクの枝は薪や道具などに利用できないので、大量の枝は、剪定行為の存在を示す。オリーブの実やオリーブ油、乾燥イチジクは保存がきき、長距離貿易や課税にも適していた。
Olive Trees Were First Domesticated 7,000 Years Ago[Tel Aviv University]
cf. Dafna Langgut & Yosef Garfinkel (2022) 7000-year-old evidence of fruit tree cultivation in the Jordan Valley, Israel. Scientific Reports, volume 12, Article number: 7463. [Scientific Reports] - トルコ
- イズミル県(İzmir il)ボルノヴァ郡(Bornova)のイェシロヴァ遺跡(Yeşilova)で、8200年前の軟玉(nephrite)などで作った石器の製作地。[Hürriyet Daily News]
- キルギス
- イシク・クル湖(Ysyk-Köl;Иссык-Куль;Issyk Kul)近くの、1338年〜1339年の墓碑に伝染病の記述がある墓地のうち、カラ・ジガチ墓地(Kara-Djigach)とブラナ墓地(Burana)の被葬者7人についてDNA分析。ペスト菌(Yersinia pestis)がかかわっていることを証明。ヨーロッパを襲った黒死病(Black Death;1346〜1353年)の起源。
cf. Maria A. Spyrou, Lyazzat Musralina, Guido A. Gnecchi Ruscone, Arthur Kocher, Pier-Giorgio Borbone, Valeri I. Khartanovich, Alexandra Buzhilova, Leyla Djansugurova, Kirsten I. Bos, Denise Kühnert, Wolfgang Haak, Philip Slavin & Johannes Krause (2022) The source of the Black Death in fourteenth-century central Eurasia. Nature>. [Nature] - イタリア
- スタビアエ(Stabiae)の邸宅ウィッラ・アリアンナ(Villa Arianna)のローマ時代初期の庭園について、庭園に面した建築物に付着した石膏から花粉分析して植物を復元。さらに帝国東部のカイザリア(Caesarea)、ヘロディウム(Herodium)、イェリコ(Jericho)と比較。植物はぜいたく品として帝国各地から輸入。ウィッラ・アリアンナはヴェスヴィオ地域で最大のペリスタイル(peristyle)の庭園で、79年の噴火で火山灰に埋没。
cf. Dafna Langgut (2022) Prestigious Early Roman gardens across the Empire: The significance of gardens and horticultural trends evidenced by pollen. Palynology. [Taylor & Francis Online]
▼スタビアエ関連記事→2020年1月24日 - スウェーデン
- メーラレン湖(Mälaren)のビェルケ島(Björkö)にあるビルカ遺跡(Birka)で、ヴァイキング時代の造船所跡。凹みに石を敷き詰め、底には木製の滑走台。未使用や使用済みの鋲、砥石、木工具など出土。
Unik vikingatida varvsplats upptäckt vid Birka
Unique Viking Age shipyard discovered at Birka[Stockholms universitet] - UK(イングランド)
- バッキンガムシャー州(the county of Buckinghamshire)ウェンドバー(Wendover)アングロ・サクソン時代・5〜6世紀の墳墓138基。土葬された141人と火葬墓5基。鋭い鉄製品が脊椎に刺さったままの男性の遺体も。[The Independent]
- アイルランド
- リムリック州(County Limerick)バリーナモナ(Ballynamona)で、1000年以上前の円形城塞(Rath/Cashel)、通称フェアリー・フォート(Fairy Fort)がブルドーザーで違法に破壊される。[LimerickLive]
2022年6月15日(水)
- 大阪府
- 豊中市・大阪音楽大学の楽器資料館縮小問題。隣接する国有地(後の森友問題の舞台となる)を10年前に購入できなかったことも影響。[毎日新聞]
- 徳島県
- 徳島市・南蔵本遺跡(みなみくらもといせき)で、弥生時代初期紀元前6世紀〜前5世紀の糸玉。弥生時代のものは全国初。[JRT四国放送]
▼南蔵本遺跡関連記事→2021年4月15日 - 韓国
- 益山・弥勒寺跡の木塔基壇の築造方法が判明。弥勒寺跡は、百済の武王が7世紀前半に建立。木塔の東西に石塔を配置し、金堂と門も3か所ずつ置く三院並列の伽藍配置。木塔は石塔より先に設置。国立扶余文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 上都遺跡(Xanadu)近くの砧子山古墓群(Zhenzishan)で出土した人骨9体(うち3体は頭蓋顔面形態から見てヨーロッパ系)のゲノムを分析。ゲノムから4つのグループに分かれる。母系は主に東アジア系で、一部に西ユーラシアの特徴。父系は主に西ユーラシア系で、東アジアの特徴は乏しい。上都の住民の多様性を示す。上都フビライ・ハンの都。
cf. Jiawei Li, Hong Zhu, Jian Wei, Dawei Cai, Hui Zhou (2022) Ancient genomes reveal complex genetic history of an international metropolis at Kublai Khan's Upper Capital (Xanadu). American Journal of Biological Anthropology. [Wiley Online Library]
▼内モンゴル自治区シリンゴル盟(錫林郭勒盟) ドロンノール県(多倫県) - ニュージーランド
- クライストチャーチ(Christchurch)で1850年代にさかのぼる便器やサラダ油の瓶、磁器の人形など。1854年にクライストチャーチ女子学校(Christchurch Ladies’ School)が設立された場所で、学校関係の遺物も。ヨーロッパ人到来以前は久しくマーオリ人(Māori)のガーイ・タフ族(Ngāi Tahu)の食料採集場所「マヒガ・カイ」(mahinga kai)のあった場所とされているが、今回の調査ではマーオリの遺物は見つからず。Southern Pacific Archaeological Research (SPAR)の調査。[Stuff]
- シリア
- パルミュラ遺跡(Palmyra)で20世紀初めに出土した2〜3世紀の神殿の石製祭壇に刻まれたアラム語の銘文で、決まり文句で言及されていた神の正体はベール(Bel)/マルドゥク(Marduk)と解明。[The First News]
- トルコ
- ヴァン県(Van il)カーン村(Khan)で、イルハン朝(Ilkhanid;フレグ・ウルス)の創始者フレグ(Хүлэгү;Hülegü)の夏の宮殿跡。[News.mn]
- ウズベキスタン
- ホラズム地域(Xorazm;Khwarazm)のアムダリアデルタ(Amu-Darya Delta)にあるコクチャ3遺跡(Kokcha 3)の後期青銅器時代・タザバグヤブ文化(Tazabag'yab culture)の墳墓を分析。葬送儀礼は被葬者の性別によって異なっていた可能性が高く、合葬墓は、追葬によるものである可能性が高い。墓域は男性墓、女性墓、合葬墓の区域に分けられていた。
cf. Finn Schreiber (2022) Social and chronological aspects of the Late Bronze age burial site of Kokcha 3 (Uzbekistan). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103508. [ScienceDirect] - フランス
- ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏(Nouvelle-Aquitaine) ジロンド県(Le département de la Gironde)ヴィルナーヴ=ドルノン(Villenave-d’Ornon)のガロンヌ河畔(Garonne)で、中世・7〜8世紀の沈没船。12mが残存。推定長15m。外洋航海も可能な貨物帆船。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。ヴィルナーヴ=ドルノンはボルドー(Bordeaux)の南。
Villenave-d’Ornon : une épave de bateau du haut Moyen Âge au sud de Bordeaux (Gironde)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- ドーセット州(the county of Dorset)の12世紀の教会跡ノウルトン・チャーチ(Knowlton Church)が、金属探知家らによって荒らされる被害。[Daily Echo]
- 授賞
- 第12回日本考古学協会賞が発表。大賞に岩本崇氏、奨励賞に丸山浩治氏と福永将大氏、優秀論文賞に榊田朋広氏、高瀬克範氏。[日本考古学協会]
2022年6月14日(火)
- 京都市
- 上京区・立本寺で仏像「月天子」が盗まれた事件で、窃盗の疑いで同区の無職の男を逮捕。[京都新聞]
- オーストラリア
- 西オーストラリア州(Western Australia)キンバリー地域(Kimberley)のウィドギンガリ1岩陰遺跡(Widgingarri 1)で、5万年前の人の居住の証拠。オーストラリアを含む旧サフル大陸(Sahul)で最古の磨製石斧と、その製作時の剥片が出土。現在は海岸地帯にあるが、後期更新世(Late Pleistocene)の海岸線からは100km内陸。キンバリー地域でのヒトの居住は気候や海面水位の変化に伴う。
cf. Kasih Norman, Ceri Shipton, Sue O'Connor, Wudugu Malanali, Peter Collins, Rachel Wood, Wanchese M. Saktura, Richard G. Roberts, Zenobia Jacobs (2022) Human occupation of the Kimberley coast of northwest Australia 50,000 years ago. Quaternary Science Reviews, Volume 288, 15 July 2022, 107577. [ScienceDirect] - イラン
- ギーラーン州(Ostān-e Gīlān) ルード・サル(Rudsar)で見つかっていた墓室群は、ヒジュラ暦3世紀〜11世紀(816年〜1688年)の、イスラームのさまざまな時代にわたると判明。[Tehran Times]
- イラン
- ハマダーン州(Hamedan)ニハーヴァンド(Nahavand)のテペ・ナガレチ遺跡(Tepe Naqarechi)で見つかっていた、セレウコス朝(Seleucid)の高官のものとみられる墓に、被葬者の痕跡は見当たらず。ナーセロッディーン・シャー(Nasser al-Din Shah)の治世・1848〜1896年に、棺や一部副葬品が持ち出されていた。[Tehran Times]
▼テペ・ナガレチ遺跡関連記事→2022年5月16日 - 南レヴァント
- 南レヴァントの前期青銅器時代IV期(EB IV)から中期青銅器時代I期(MB I)への移行について、集落パターン、生業、葬送儀礼、物質文化などから分析。南レヴァントでのこの時期の移行(EV IV→MB I)は、地域間の違いがかなり大きく、外部からの影響と、内在的な発展が組み合わさったもの。
cf. Susan L. Cohen (2022) The Early Bronze IV — Middle Bronze I transition in the southern Levant: analysis and assessment. Levant. [Taylor & Francis Online] - イスラエル
- エヴロン(Evron)で出土した後期旧石器時代のフリント製石器26個と動物遺体87個のを分析し、加熱の形跡を見出す。80万年前の火の使用の痕跡。[Arutz Sheva]
cf. Zane Stepka, Ido Azuri, Liora Kolska Horwitz, Michael Chazan and Filipe Natalio (2022) Hidden signatures of early fire at Evron Quarry (1.0 to 0.8 Mya). Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 119, No. 25, e2123439119. [PNAS] - カザフスタン
- 東カザフスタンのアクバウル(Ак-баур;Ak-Baur)で、前期青銅器時代・紀元前7世紀〜前6世紀の大型建物。石造りの溶解炉10基。サカ族(Saka;塞人)の金属生産遺跡。[Qazaq TV]
▼アクバウル遺跡関連記事→2019年6月15日 - フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne) フィニステール県(Finistère) カレ(Carhaix)で、ローマ時代・紀元前1世紀末〜紀元後4世紀のオシスミ族(Osismii;Osismes)の都市ウォルギウム(Vorgium)の一角を調査。南北道路と東西道路で区画し、多数の建物。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Un nouveau pan de l’histoire de Vorgium dévoilé à Carhaix (Finistère)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - USA
- ジョージア州(State of Georgia)・コールド・スプリングズ遺跡(Cold Springs)の、議会議事堂として用いられた円形建物跡は、出土遺物の放射性炭素年代により西暦500〜700年と判明。1500年前に、西洋とは別に、アメリカ大陸由来の民主的な集団統治も存在した可能性。しかし、西暦1000年ごろからは首長が登場。
UGA study asks: Did democracy have a separate origin in the Americas?[University of Georgia]
cf. Victor D. Thompson, Jacob Holland-Lulewicz, RaeLynn A. Butler, Turner W. Hunt, LeeAnne Wendt, James Wettstaed, Mark Williams, Richard Jefferies and Suzanne K. Fish (2022) The Early Materialization of Democratic Institutions among the Ancestral Muskogean of the American Southeast. American Antiquity, First View, pp. 1 - 20. [Cambridge Core] - USA
- フロリダ州(State of Florida)のビッグ・タルボット島(Big Talbot Island)にある、先住民モカマ族(Mocama)のものとされる集落サラベイ(Sarabay)で、新たに長さ50〜60フィートの大型建物の跡。集会の可能性。1580〜1620年の先住民の土器が出土したほか、スペインのオリーブ油容器、マヨルカ陶器、ヨーロッパの影響を受けて先住民女性が製作したコロノウェア土器(Colonoware)、骨器、貝器、カトリックの図像のある貝製品など出土。モカマ族は、1560年代にヨーロッパの探検家がフロリダで初めて出会った先住民とされている。UNF Archaeology Labの調査。[Heritage Daily]
- 英領フォークランド諸島(Falkland Islands)
- タンブルダウン山(Mt Tumbledown)で、フォークランド戦争(Falklands War)のタンブルダウン山の戦い(Battle of Mount Tumbledown)の跡を発掘調査。[BBC]
2022年6月13日(月)
- 長野県
- 長野市・百瀬地区で山城の跡とみられる曲輪の跡。[信濃毎日新聞]
- 韓国
- 慶尚南道 咸安 ・伽倻里遺跡で34か所を調査。大部分で柱穴や盛り土を確認し、阿羅加耶王宮土城は、周囲が2km以上と判明。加耶の高霊主山城は周囲1.8劼覆里如阿羅加耶王宮土城が加耶で最大規模。新羅の慶州月城や百済の扶余扶蘇山城は周囲2.4kmなので、それらに匹敵。王宮跡では5世紀後半〜6世紀初めの建物跡や木柵跡などの遺構が発見されている。国立加耶文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 四川省 広漢市・三星堆遺跡で新たに6基の祭祀坑。うち4基は商代晩期。また、小型の祭祀坑群も確認。200試料について放射性炭素年代を測定し、紀元前1131年〜前1012年。[中国新聞網]
- ネパール
- ルンビニ州(Lumbini)カピラバストゥ郡(Kapilvastu District)ティラウラコット(Tilaurakot)で、マウリヤ朝(Mauryan empire)のレンガ積み城壁を発見。ティラウラコットは釈迦族の都で、釈迦が出家前に過ごしたとされる場所。[The Kathmandu Post]
▼ティラウラコット関連記事→2020年2月26日 - サウジアラビア
- マッカ(メッカ;Mecca)のOlaya Palaceで、第3代カリフのウスマーン・イブン・アッファーン(Uthman bin Affan)の治世・ヒジュラ暦24年(西暦644/645年)の銘文。イスラームの銘文として3番目に古い。[Gulf News]
- キプロス
- Dromolaxia-Vyzakiaで、後期青銅器時代・紀元前15世紀〜前14世紀の地中海貿易での繁栄を示す証拠。[Greek City Times]
- アイルランド
- コーク県(County Cork)コーク(Cork)のバラック・ストリート(Barrack Street)で、昨年10月にパブの地下の浅い墓から出土した人骨6体のうち4体は18〜25歳で、暴力的な死を遂げ、後ろ手に縛られて、一つの大型墓に埋葬。放射性炭素年代で1447年〜1636年。この時期は第一次デズモンドの乱(1569〜1573年)、第二次デズモンドの乱(1579〜1583)、九年戦争(1593〜1603年)が起こった血塗られた時代で、1603年にはイングランドの支配に対してコーク市で反乱が起こった。また、長さ24mの溝が新たに見つかり、11〜12世紀のアイルランド=スカンディナヴィア系(Hiberno-Scandinavian)の集落と関連した防御用の堀の可能性。[The Journal]
- エジプト
- カイロ(Cairo)のマタリヤ地区(El Matariya)の古代ヘリオポリス(Heliopolis)で、太陽の神殿と、オスマン朝までの各時代の遺物。また、第4王朝のクフ王(Khufu)の治世・紀元前2580年ごろの石材ブロックを発見。クフ王の時代の遺物がヘリオポリスで発見されるのは初。[Ahram Online]
▼ヘリオポリス関連記事→2019年12月2日
2022年6月12日(日)
- 愛媛県
- 伊予市・市場南組窯跡群(いちばみなみぐみかまあとぐん)で、県内最古の窯跡を確認。古墳時代中期・5世紀。伊予市教育委員会などの調査。[愛媛新聞]
▼市場南組窯跡群関連記事→2022年5月17日 - トルコ
- イズミル県(İzmir il)セルチュク郡(Selçuk)のアヤスルク・テペ遺跡(Ayasuluk Tepe)で、青銅器時代・ミュケナイ文明(Μυκηναϊκός πολιτισμός;Mycenaean civilization)・紀元前1200年の小像。アヤスルク・テペ遺跡に青銅器時代の集落があったことを示す。ヒッタイト(Hittites)と提携していたアルザワ王国(Arzava)の首都アパサス(Appasas)がセルチュクやエフェソスの地域にあり、ヒッタイトやミュケナイ文明との貿易拠点であった可能性。[Arkeonews]
- ギリシャ
- イピロス地方(Ήπειρος;Epirus)のアラフトス川(Άραχθος;Arachthos)で、ヘレニズム時代(Hellenistic)の墓石。墓石は保存状態がよく、被葬者2人の名や、2人の共通の父の名が読み取れる。[Greek Reporter/a>]
- ハンガリー
- 南部のヴァールドンブ村(Várdomb)で、ヴァイキングのノルウェー王ハーラル3世苛烈王(Harald Hardråde)の名を表した1046〜1066年銀貨。「HARALD REX NO」の文字とトリケトラ文(triquetra)を表す。ノルウェー、トロンハイム(Trondheim)のニダメス(Nidarnes)またはニダロス(Nidaros)で打刻。ハンガリーでスカンディナヴィアの硬貨が見つかるのは初。ヴァールドンブ村には中世の交易拠点ケステルツ(Kesztölc)が所在。中世のハンガリー王シャラモン(Salamon;Solomon;統治1063〜1087年)が1074年にケステルツに野営していた時にもたらされたか、あるいは一般の旅行者か。[LiveScience]
▼トルナ県(Tolna megye) - フィンランド
- ピルカンマー県(Pirkanmaa)ヴァルケアコスキ(Valkeakoski)のトッポランマキ遺跡(Toppolanmäki)の初期中世の墓地で、1930年代に発掘された2基の墓を2017年と2018年に再発掘し、土壌サンプルを分析。花粉と胞子の分析から墓に苔とビャクシンの枝を使用。土壙墓での苔の検出は、墓壙内に繊維のカーペットを用いていたことを示すか。ビャクシンの使用は鉄器時代からの伝統。
cf. Ulla Moilanen, Tytti Juhola, Sanna Pätsi, Santeri Vanhanen & Teija Alenius (2022) ‘The Color of the Grave is Green’ – Moss and Juniper in Early Medieval Graves at Toppolanmäki, Finland. Environmental Archaeology, [Taylor & Francis Online] - UK(イングランド)
- ケンブリッジシャー州(the county of Cambridgeshire)のバー・ヒル(Bar Hill)で、中期〜後期鉄器時代・紀元前400年〜紀元後43年の円形住居跡の近くで、長さ14mの溝から、カエルの骨8000個。解体や加熱の跡はなく、食用とは考えられない。炭化穀物から見て、住民は害虫が好む穀物を調理しており、害虫除けにカエルを利用していた可能性。あるいは、カエルの大量移動中の事故、冬眠中の極寒、カエルの伝染病などの説も。[The Guardian]
- UK(イングランド)
- レスターシャー州(the county of Leicestershire)レスター(Leicester)のレスター大聖堂(Leicester Cathedral)で、墓120基以上。University of Leicester Archaeological Services (ULAS) の調査。[LeicestershireLive]
2022年6月11日(土)
- 中国
- 河南省 漢魏洛陽故城の千秋門区域で、魏晋時代の大型の石造りの暗渠遺構3条。北魏の地理学者・酈道元が著した『水経注』の記述に合致。千秋門区域では漢代や北魏時代の水道遺構も確認。[新華社]
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)のマルヴダシュト高地(Marvdasht plain)のTall-e Qalehで紀元前5千年紀〜前2千年紀の遺物。トレンチ調査ではエラム時代(Elamite)の日干し煉瓦造りの遺構。また、いくつかの墳墓。[Tehran Times]
- ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
- ブゴイノ自治体(Bugojno)のグラチャニツァ(Gračanica)にあるストゥピチ遺跡(Stupić)で、複数の中世・14〜15世紀の石棺墓。切妻形に石材を組み、小児墓とみられる。[SarajevoTimes]
- イタリア
- カンパニア州(Regione Campania)のヴィヴァラ島(Vivara)西岸にあるプンタ・ダラカ遺跡(Punta d’Alaca)で、青銅器時代の土器生産を専門とする集落を発見。カンパニア州の材料で土器を作ったが、在地産の土器とともに輸入土器も出土。トルマリン(Tourmaline)を含む土器はトスカーナ(Toscana;Tuscany)南部のティレニア海(Mar Tirreno;Tyrrhenian Sea)沿岸のもので、遺跡が地中海の交易で栄えたことを証明。
cf. Chiara Germinario, Alberto De Bonis, Celestino Grifa, Vincenza Guarino, Massimiliano Marazzi, Carla Pepe, Concetta Rispoli, Monica Scotto di Covella, Vincenzo Morra (2022) The Mediterranean trading centre of Vivara (southern Italy): New insights on the production and circulation of pottery during the Bronze Age (16th – 15th century BCE). Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 44, August 2022, 103516. [ScienceDirect] - ラトビア
- ズヴェイニエキ墓地(Zvejnieki)で出土した中石器時代・新石器時代(土器の有無で区分)のヒトの歯の象牙質により、炭素と窒素を同位体分析し、離乳時期を推定。生後6〜12か月はもっぱら母乳で養育され、3歳までに完全に離乳。中石器時代と新石器時代では窒素の安定同位体比(δ15N)に違いがあり、土器の導入に関連している可能性。副葬品として動物の歯の垂飾を伴う人物に比べ、伴わない人物は幼少期に多くの淡水資源を摂取。幼児期の食生活の違いが、青年期まで社会的役割やアイデンティティの違いに関連していることが推定される。
cf. Rowena C. Henderson, Gunita Zariņa, Andrea Czermak, Rick J. Schulting, Peter A. Henderson, Dardega Legzdiņa, Ilga Zagorska, Julia Lee-Thorp (2022) Life histories at stone age Zvejnieki based on stable isotope profiles of tooth dentine. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103496. [ScienceDirect] - エチオピア
- ティグライ州(Tigray Region)のマリヤム・アンザ遺跡(Maryam Anza)の墓地から出土したガラスビーズを分析。アクスム(Aksum)・4世紀中ごろ〜5世紀、インド洋(Indian Sea)貿易が盛んな時期に、南アジアからアラビアの複数の港を経て北アフリカに至ったもの。また、マリヤム・アンザ遺跡は紅海(Red Sea)の港、エリトリアのアドゥリス(Adulis)に近く、エジプトや東地中海のガラスも輸送できたので、インドやスリランカのガラスの北アフリカにおける主要な集積地となった。
cf. Joanna Then-Obłuska, Jacke Phillips & Katie Tucker (2022) Imported ornaments of a Late Antiquity community in Christian Ethiopia. Azania: Archaeological Research in Africa. [Taylor & Francis Online]
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