2023年4月20日(木)
- 奈良県
- 田原本町・唐古・鍵遺跡(からこ・かぎいせき:第58次調査)で弥生時代中期初頭の溝から見つかったキジ科の雛の骨を分析し、ニワトリと同定。うち1点は放射性炭素年代測定により紀元前4世紀〜前3世紀。弥生時代中期初頭からニワトリを飼育。
▶日本最古のニワトリの雛を発見〜弥生文化におけるニワトリ飼育の解明へ〜 [北海道大学]
▶ Masaki Eda, Hiroe Izumi, Minoru Yoneda and Saburo Fujita (2023) The earliest evidence of domestic chickens in the Japanese Archipelago. Frontiers in Earth Science, Volume 11. [Frontiers] - 広島県
- 廿日市市・宮島で広島県が文化財保護法に基づく許可を得ず、道路の舗装工事をした件、県の西部建設事務所廿日市支所は廿日市市との協議で現状変更の申請が必要と指摘されていたのに、申請せず工事。[読売新聞]
- ブルガリア
- ブルガリアの6遺跡から出土した後期新石器時代〜後期鉄器時代の6遺跡から出土した製粉具について、製粉具で調理された植物を、植物珪酸体の分析により、同定。一部には植物の調理に用いられてない製粉具がある。
▶ Nataliya Ivanova, Cristina N. Patús, Juan José García-Granero (2023) Investigating the use of grinding tools in prehistoric Bulgaria by phytolith analysis. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 103996. [ScienceDirect] - ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)シュレースヴィヒ=フレンスブルク郡(Kreis Schleswig-Flensburg;Slesvig-Flensborg)ボリングシュテット(Bollingstedt)で、ローマ時代・2〜3世紀の農家。[WELT]
- ベルギー
- ゼムスト市(Zemst)のエレウェイト(Elewijt)でローマ時代の神殿や墓地。エレウェイトは1世紀からローマ人が定着し、東のトンゲレン(Tongeren)と西のブーローニュ(Boulogne)を結ぶ経路の分岐点に位置していたが、3世紀末にゲルマン人部族に破壊されて廃絶。[Heritage Daily]
▼フラームス=ブラバント州(Vlaams-Brabant;Brabant flamand) - ホンジュラス
- コパン遺跡(Copan)で出土したマヤ文明の漆喰について、有機物を含有することが耐久性を高めていたことを実験的に解明。
▶ Carlos Rodriguez-Navarro, Luis Monasterio-Guillot, Miguel Burgos-Ruiz, Encarnación Ruiz-Agudo, and Kerstin Elert (2023) Unveiling the secret of ancient Maya masons: Biomimetic lime plasters with plant extracts. Science Advances, Vol 9, Issue 16. [Science Advances]
2023年4月19日(水)
- 広島市
- 東区・京橋川で、川の工事中に、原爆に耐えた被爆樹木のシダレヤナギが誤って伐採されていた。発注した広島県には、被爆樹木という認識がなかった。[TBS]
- 広島県
- 廿日市市の宮島で、広島県が実施した県道の舗装工事について文化財保護法に基づく許可を得ていなかった。G7サミットの関連事業。[中国新聞]
- 宮崎県
- 宮崎市・柳迫遺跡で作業中に4/18生き埋めになった宮崎市職員は、重機で掘った長さ5.8m、幅1m、深さ約2mの穴に入って作業をしていたところ、穴の壁面が崩れ、生き埋めになった。15分後に救助されたが、意識不明。[UMKテレビ宮崎]
- フランス
- パリ(Paris)でローマ時代・2世紀の大規模な墓地。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[Le Monde]
- ノルウェー
- Djupvikで、石器時代のスレート生産遺構が見つかる。生産技術を検討。また、Djupvikや近隣の遺跡では黄土や赤色顔料も生産されており、ロックアートとのかかわりも示唆。
▶ Erlend Kirkeng Jørgensen (2023) Technological organization and initial production stages of a maritime slate tradition: insights from the first investigated Stone Age slate source in Arctic Europe (the Djupvik slate formation, Norway). Acta Borealia. [Taylor & Francis Online] - USA
- ロングアイランド湾(Long Island Sound)の海底で1900年代の潜水艦ディフェンダー(Defender)の船体。1946年に放棄。[NBC]
- ペルー
- クスコ県(Región Cusco)エスピナール県(Provincia de Espinar)アルト・ピチグア地区(Distrito de Alto Pichigua)のカナマルカ遺跡(K'anamarka)のピルワ(Pirwa)、クタカサ(Quta Q'asa)、イロカンチャ(Irokancha)の3地区で、インカとプレインカの埋葬遺跡。[Andina]
2023年4月18日(火)
- 宮崎県
- 宮崎市の遺跡発掘現場で、重機で掘った穴に入って作業をしていた宮崎市役所の職員が崩れてきた土砂に埋まる事故。[UMKテレビ宮崎]
- 韓国
- キムチの醗酵において、伝統的な陶器オンギ(甕器)の多孔質構造が乳酸菌の増殖を推進するという説を実験で実証。
▶Science confirms it: The best kimchi is made in traditional clay jars (onggi)[ars technica]
▶Soohwan Kim and David L. Hu (2023) Onggi’s permeability to carbon dioxide accelerates kimchi fermentation. Journal of Royal Society Interface, Volume 20, Issue 201. [The Royal Society] - 中国
- 山西省 長治市 襄垣県で、金時代の壁画墓。金の大定17年(1177年)築造。木造に似せた磚造りで、主室と9つの洞室からなる。「二十四孝」の浮彫を表す。[中国新聞網]
- イスラエル
- ネゲヴ高地(Negev)の古代末期の遺跡から出土したブドウの種子について、DNAと放射性炭素年代を調査。8世紀のブドウは白ブドウで、知られている限りで最古。別の種子はギリシャに由来し、ビザンティン時代に好まれた品種。
▶ Pnina Cohen, Roberto Bacilieri, Jazmín Ramos-Madrigal, Eyal Privman, Elisabetta Boaretto, Audrey Weber, Daniel Fuks, Ehud Weiss, Tali Erickson-Gini, Scott Bucking, Yotam Tepper, Deborah Cvikel, Joshua Schmidt, M. Thomas P. Gilbert, Nathan Wales, Guy Bar-Oz, and Meirav Meiri (2023) Ancient DNA from a lost Negev Highlands desert grape reveals a Late Antiquity wine lineage. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 17, e2213563120. [PNAS] - ポーランド
- 上シロンスク(Górny Śląsk;Upper Silesia)で、高精度のlidarで認識された鉱山の竪坑13864基のうち、13基を研究。炭化物や泥炭の放射性炭素年代により、ローマ時代〜民族移動時代前期・紀元前2世紀〜紀元後6世紀、中世・6〜14世紀、近世・15〜17世紀の3段階に分類。文献では12世紀以降の鉱山開発しか知られていなかった。
▶ Ireneusz Malik, Marcin Bohr, Małgorzata Wistuba, Thomas Raab, Alexander Bonhage, Wouter Verschoof-van der Vaart, Alexandra Raab & Beata Woskowicz-Ślęzak (2023) Multi-Period Ore Exploitation in Upper Silesia, Central Europe. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online] - スペイン
- エストレマドゥーラ州(Extremadura)バダホス県(Provincia de Badajoz)グアレーニャ(Guareña)のカサス・デル・トゥルニュエロ遺跡(Casas del Turuñuelo)で、紀元前8世紀〜前5世紀の人面の石彫。アクセサリーで飾ったタルテッソス(Τάρτησσος;Tartessus)の女性の姿をあらわす。[El Español]
▼カサス・デル・トゥルニュエロ遺跡関連記事→2019年8月14日 - スペイン
- カルタヘナ(Cartagena)で、ローマ時代の劇場から壁画の断片2000片が出土。[Heritage Daily]
- UK(スコットランド)
- ウェスト・ダンバートンシャー(West Dunbartonshire)クライドバンク(Clydebank)のダントチャー(Duntocher)で、アントニヌスの城壁(Antonine Wall;Vallum Antonini)の近くにローマ時代の砦を確認。Historic Environment Scotland (HES)の調査。[BBC]
- デンマーク(グリーンランド)
- グリーンランド(Greenland)のヴァイキング入植者の遺跡5か所で出土した木材を顕微鏡分析し、樹種と出自を特定。大半の家庭では在地の木材や流木を用いているが、エリート農家では北ヨーロッパや北アメリカから木材を輸入。中世に大西洋を用いたつながりがあった。グリーンランドの木材は建設や造船に不向きだったため用いず、流木や輸入木材を用いたと考えられていた。
▶ Lísabet Guðmundsdóttir (2023) Timber imports to Norse Greenland: lifeline or luxury? Antiquity, Volume 97, Issue 392, April 2023, pp. 454 - 471. [Cambridge Core] - デンマーク(グリーンランド)
- グリーンランド(Greenland)南西部の海面の上昇により、ヴァイキングが居住を放棄した。地球物理学的モデルによると、中世の温暖期(Medieval Warm Period)・900〜1250年から小氷期(Little Ice Age)・1250〜1900年に移行するとき、南グリーンランド氷床(Southern Greenland Ice Sheet)が拡大したが、この時、局所的に氷床の重さで地番が沈下し、相対的に海面が上昇し、遺跡の廃絶をもたらした。ヴァイキングは985年から15世紀半ばまでグリーンランドに居住した。
▶ Marisa Borreggine, Konstantin Latychev, Sophie Coulson, Evelyn M. Powell, Jerry X. Mitrovica, Glenn A. Milne, and Richard B. Alley (2023) Sea-level rise in Southwest Greenland as a contributor to Viking abandonment. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 17, e2209615120. [PNAS] - 訃報
- ジョー・プライス氏、4/13死去。93歳。美術収集家。伊藤若冲の作品コレクションで知られる。[日本経済新聞]
2023年4月17日(月)
- 鹿児島県
- 西之表市の馬毛島で見つかった旧石器時代の遺跡を、自衛隊基地の建設に先立ち、発掘調査へ。防衛省が鹿児島県教育委員会と4/17協定結ぶ。[NHK]
▼八重石遺跡(やえいしいせき)
▼八重石遺跡関連記事→2023年3月30日 - 日本学術会議
- 日本学術会議に対する政府の改革方針について、日本のノーベル賞受賞者8人が連名で2月に出した声明に対し、世界の61人のノーベル賞受賞者が全面的に支持するとした共同声明を出した。[朝日新聞]
- 韓国
- 高敞の茂長起包址で、朝鮮時代後期に東学農民革命軍が訓練場や宿営地で使用したとみられる井戸跡。白磁、瓦、常平通宝、住居跡など。茂長起包址は1894年に東学農民軍が布告文を朗読し、第1次東学農民革命が始まった場所。[全羅日報]
- 中国
- 湖北省 天門市・石家河遺跡で出土した4000年前の塑像の耳の下に人の指紋。公安部の専門家が確認。[網易]
▼石家河遺跡関連記事→2023年3月9日 - イラク
- ジーカール県(Dhi Qar Governorate)のウンム・アル=アカリブ遺跡(Umm al-Aqarib)が、気候変動によってもたらされた砂嵐で埋没の危機。シュメール時代の遺跡。[Hürriyet Daily News]
- イタリア
- ローマ(Rome)のクィンティリウスのウィラ(Villa dei Quintili;Villa of the Quintilii)で、ローマ時代・3世紀中ごろのサイン工場。ワインづくりを見せ物として演出。
▶ Emlyn Dodd, Giuliana Galli and Riccardo Frontoni (2023) The spectacle of production: a Roman imperial winery at the Villa of the Quintilii, Rome. Antiquity, Volume 97, Issue 392, April 2023, pp. 436 - 453. [Cambridge Core] - スペイン
- カンタブリア州(Cantabria)のエル・ミロン洞窟(El Mirón Cave)の115層で出土した旧石器時代・20000年前の石の配置から見て、骨器製作工房だった可能性。[Heritage Daily]
下部マドレーヌ文化(Lower Magdalenian)の動物遺体を分析。
▶ Emily Lena Jones, Lawrence Guy Straus, Ana B. Marín-Arroyo and Manuel R. González Morales (2023) Structuring domestic space in the Lower Magdalenian: an analysis of the fauna from Level 115 of El Mirón Cave, Cantabria. Antiquity, Volume 97, Issue 392, April 2023, pp. 280 - 294. [Cambridge Core]
▼エル・ミロン洞窟関連記事→2015年5月6日 - UK(イングランド)
- カンブリア州(Cumbria)コッカーマス(Cockermouth)で、ローマ時代・1世紀のセイレーノス神(Silenus)の胸像を表した竿秤の重り。セイレーノス神は古代ギリシャのワイン造りの神。[itv]
- USA
- ノースカロライナ州(State of North Carolina)のワカマー湖(Lake Waccamaw)の水中で、930年前のネイティヴ・アメリカンのカヌーを発見。長さ28フィートで、保存状態は良い。[FOX News]
2023年4月16日(日)
- 福井県
- 福井市・福井城址(ふくいじょうし)の坤櫓の形状や向きが、明治初期に撮影された古写真から判明。従来の研究では史料によって建物の向きが異なるなどし、形状を特定する根拠が不十分だった。[福井新聞]
- イラン
- ガズヴィーン県(Qazvīn)サグザーバード(Segzabad)のカラ・テペ遺跡(Qaratepe;Qara Tepe)で、3000年前の墳墓からこども9人、ウマ2頭、ヤギ2頭、ヒツジ1頭の遺体。
▶An important discovery by UT Department of Archaeology[University of Tehran] - イタリア
- 古代ギリシャ都市パエストゥム(Paestum)で、紀元前460年ごろのネプトゥルヌス神殿から、エロス神(Ἔρως;Eros)とイルカの像や、雄牛の頭部の像など。[ANSA]
2023年4月15日(土)
- 埼玉県
- 北本市・デーノタメ遺跡の上に道路を通す計画について、4/16告示される北本市長選挙では、計画を変更して道路を迂回させたい現職と、計画通りにすべきだとする新顔が出馬予定。[朝日新聞]
▼デーノタメ遺跡は、縄文時代の集落遺跡で、保存の良い有機物が出土しています。
▼デーノタメ遺跡関連記事→2020年2月6日 - 鹿児島県
- 種子島の縄文社会に7300年前の喜界カルデラの大噴火がいかに荒廃させたかを検証。在地の縄文社会が滅ぼされたが、周辺のコミュニティは生き残り、最終的に帰還して、被災した環境下で適応。崩壊と回復という図式だけでは一連のプロセスをとらえることは困難。
▶ Junzo Uchiyama, Mitsuhiro Kuwahata, Yukino Kowaki, Nobuhiko Kamijō, Julia Talipova, Kevin Gibbs, Peter D. Jordan and Sven Isaksson (2023) Disaster, survival and recovery: the resettlement of Tanegashima Island following the Kikai-Akahoya ‘super-eruption’, 7.3ka cal BP. Antiquity, First View, pp. 1 - 19. [Cambridge Core] - モンゴル
- タヒルティン・ホトゴル遺跡(Takhiltyn Khotgor)の貴族墓地と、ショムブージン・ベルチル遺跡(Shombuuzyn Belchir)の在地貴族墓地で、被葬者の遺伝子を調査。匈奴の遺伝的多様性が高く、身分ごとに違い。エリートに陪葬された最下層の人びとは最も多様性が高く、帝国の各地の出身者とみられる。方形墳や円形積石塚で箱型木棺に埋葬された在地エリートや貴族層は遺伝的多様性が低く、東ユーラシアに由来。ショムブージン・ベルチル遺跡では、新来の人びととの結びつきを強めるための婚姻が行われた形跡。
▶Ancient DNA reveals the multiethnic structure of Mongolia's first nomadic empire[Phys.Org]
▶ Juhyeon Lee, Bryan K. Miller, Jamsranjav Bayarsaikhan, Erik Johannesson, Alicia Ventresca Miller, Christina Warinner, and Choongwon Jeong (2023) Genetic population structure of the Xiongnu Empire at imperial and local scales. Science Advances, Vol 9, Issue 15. [Science Advances] - オマーン
- ドファール特別行政区(Dhofar Governorate)のルブアルハリ砂漠(Rub' al-Khali)で、アフリカからの最初の人類によるハンドアックス、2000年前の石像記念物trilith。ドゥクム(Duqm)のナフーン遺跡(Nafūn)で新石器時代・紀元前5000年〜前4600年の墓に円形の墓室。また、紀元前5000年〜紀元後1000年の岩刻画。
▶Czech archaeologists unearth unique finds in Oman [Czech Academy of Science] - ポーランド
- ヴロツワフ(Wrocław)のプシェドミエシュチェ・ミコワイスキエ(Przedmieście Mikołajskie)で、墓地から18世紀のオランダ、ロレーヌ、オーストリアの金貨。オーストリア継承戦争でプロイセンが併合したことに関連する墓地。[Heritage Daily]
- ポーランド
- クロトシン(Krotoszyn)の旧福音墓地(Evangelical Cemetery)で見つかった、1946年の集団墓から、少尉ジグムント・ボロストフスキ(Zygmunt Borostowski)のものとみられる遺体。レジスタンスのヒーロー。集団墓は1946年5月26日のベニツェの戦い(Battle of Benice)の後に作られたと考えられている。ベニツェの戦いは第二次世界大戦後に行われた共産主義政府とポーランド人パルチザンの間の最大の戦いの一つ。[The First News]
2023年4月14日(金)
- ロシア
- 北西コーカサスのメズマイスカヤ洞窟(Мезмайская пещера;Mezmaiskaya Cave)と北中部コーカサスのサラジ・チュコ洞窟(грот Сарадж-Чуко;Saradj-Chuko grotto)の中期旧石器時代の石器群を検討。北西コーカサスではヨーロッパ中東部に広く分布するミコック文化(Micoquian)、北中部コーカサスではアルメニア高地、小コーカサス、ザグロス山脈に分布するザグロス・ムスティエ文化(Zagros Mousterian)の特徴。北コーカサスに2種のネアンデルタール人文化があり、両者の間に接触もあった。
▶ Ekaterina V. Doronicheva, Liubov V. Golovanova, Vladimir B. Doronichev, Redzhep N. Kurbanov (2023) Archaeological evidence for two culture diverse Neanderthal populations in the North Caucasus and contacts between them. PLOS ONE, 18(4): e0284093. [PLOS ONE] - ギリシャ
- ポルト・ラフティ湾(Πόρτο Ράφτη;Porto Rafti)で、後期青銅器時代の崩壊(紀元前1200年ごろ)に続く時期に定住し、居住や手工業生産で繁栄した集落。エーゲ海の海上交易をおこなう。
▶ Sarah Murray and Bartłomiej Lis (2023) Documenting a maritime mercantile community through surface survey: Porto Rafti Bay in the post-collapse Aegean. Antiquity, First View, pp. 1 - 7. [Cambridge Core] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)オワーズ県(Oise)クレイユ(Creil)のサン・メダール教会(église Saint-Médard)の地下で中世・13世紀の城壁。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Des vestiges médiévaux au pied de l’église Saint-Médard à Creil (Oise) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)オトフォード(Otford)で、ヘンリー8世(Henry VIII)のオトフォード宮(Otford Palace)の跡。[Heritage Daily]
- アンゴラ
- アンゴラ全土の主要な地質単位のほとんどで、植物サンプル101点のストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)を測定。アンゴラ中央部の87Sr/86Srの同位体比は、大西洋の奴隷貿易アフリカン・ディアスポラ(African Diaspora)で奴隷となったアフリカ人の同位体比に一致。
▶ Xueye Wang, Gaëlle Bocksberger, Thea Lautenschläger, Manfred Finckh, Paulina Meller, Gregory E. O'Malley, Vicky M. Oelze (2023) A bioavailable strontium isoscape of Angola with implications for the archaeology of the transatlantic slave trade. Journal of Archaeological Science, Volume 154, June 2023, 105775. [ScienceDirect] - USA
- ミシガン州(State of Michigan)グランド・マレー(Grand Marais)沖のスペリオル湖(Lake Superior)で1914年11月18日に荒天で沈没した木材輸送船2隻を発見。[AP]
- ペルー
- ワヌコ県(Huánuco)ドス・デ・マヨ郡(Dos de Mayo)ラ・ウニオン(La Unión)にあるワヌコ・パンパ遺跡(Huánuco Pampa)のインカワシ地区(Inkawasi)で、インカ時代の儀礼用の浴場(armanahuasi)跡。ワヌコ・パンパ遺跡の建設は1460年ごろ建設、1536年にスペイン人の征服により中断。インカ時代の浴場跡は2例目。[Andina]
2023年4月13日(木)
- 滋賀県
- 彦根市・荒神山古墳群(こうじんやまこふんぐん)のA支群1号墳で、湖東地域で最大級の横穴式石室。江戸時代末期〜明治時代に築造唐初の姿から大きく改変。当初は奥行き6mで、胴張型だった可能性。室町時代〜戦国時代の石仏が出土し、たき火とみられる跡も。中世に祭祀空間となっていたが、廃仏毀釈で仏教に関係する痕跡を埋めたたもとも考えられる。彦根市と滋賀県立大学の調査。4/15現地説明会。[読売新聞]
- 京都市
- 山科区・旭山古墳群のB支群で調査された4基は古墳時代終末期・7世紀。方墳3基のうち2基は一辺8mで当時としては大規模。中臣氏の墓の可能性。文化財サービスの調査。[産経新聞]
- 和歌山県
- 高野町・高野山の県道で、国史跡の石柱の道標「町石」に車が激突し、破損。[朝日新聞
- 中国
- チベット高原(Tibetan Plateau)の15遺跡で出土した40人から得られた歯石(dental calculus)を分析。タンパク質から見て、3500年前から酪農。ヒツジ、ヤギ、ウシ、ヤクの乳を利用。乳製品の消費が高地の苛酷な環境でのチベット人の生存を支える。
▶Dairy Foods Helped Ancient Tibetans Thrive in one of Earth’s Most Inhospitable Environments [Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
▶ Li Tang, Shevan Wilkin, Kristine Korzow Richter, Madeleine Bleasdale, Ricardo Fernandes, Yuanhong He, Shuai Li, Michael Petraglia, Ashley Scott, Fallen K.Y. Teoh, Yan Tong, Tinlei Tsering, Yang Tsho, Lin Xi, Feng Yang, Haibing Yuan, Zujun Chen, Patrick Roberts, Wei He, Robert Spengler, Hongliang Lu, Shargan Wangdue, and Nicole Boivin (2023) Paleoproteomic evidence reveals dairying supported prehistoric occupation of the highland Tibetan Plateau. Science Advances, Vol 9, Issue 15. [Science Advances] - スペイン
- ガバ(Gavà)のCanyarsで、後期旧石器時代・39600年前の草食動物の腰骨の断片に不均一な刺し傷。動物の皮に孔をあけて衣服を作るための道具と推定。[Haaretz]
▶ Luc Doyon, Thomas Faure, Montserrat Sanz, Joan Daura, Laura Cassard, and Francesco d’Errico (2023) A 39,600-year-old leather punch board from Canyars, Gavà, Spain. Science Advances, Vol 9, Issue 15. [Science Advances] - エジプト
- ルクソール(Luxor)のドラ・アブ・アル=ナーガ墓地(Dra Abu el-Naga)で、第二中間期・第13王朝の家族墓。長さ70m、幅50mの規模。[Arkeonews]
▼ドラ・アブ・アル=ナーガ墓地関連記事→2009年6月17日 - リビア
- キレナイカ海岸(Cyrenaica)で、2つの方法論により海岸線の変化を評価。海岸の浸食により考古遺跡が危機に。近年は砂取りや都市化などの人為的な影響が大きい。キレナイカには遺跡が豊富だが、研究が必ずしも行き届いていない。
▶ Kieran Westley, Julia Nikolaus, Ahmad Emrage, Nic Flemming, Andrew Cooper (2023) The impact of coastal erosion on the archaeology of the Cyrenaican coast of Eastern Libya. PLOS ONE, 18(4): e0283703. [PLOS ONE] - USA
- コロラド州(State of Colorado)の Painted Hand Petroglyph Panel で、フォトグラメトリと3Dレーザースキャン、および発掘調査。ロックアートを3時期に分類。
1期 先ヒスパニック・1000〜1300年。プエブロ人の先祖によるが、彼らは13世紀末ごろこの地を去る。
2期 歴史時代・15/17世紀〜19世紀/20世紀初め。遊牧民のウテ人およびおそらくナバホ人。
3期 後期歴史時代。スペイン系メキシコ人、アメリカ人の伝道や、牧畜民など。
▶ Radosław Palonka, Polly Schaafsma, Vincent M. MacMillan, Robert Słaboński and Paweł Micyk (2023) Digital documentation and analysis of Native American rock art and Euro-American historical inscriptions from the Canyons of the Ancients National Monument, Colorado. Antiquity, Volume 97, Issue 393, June 2023, e17. [Cambridge Core]
2023年4月12日(水)
- イラン
- カスピ海の南岸の遺跡での発掘成果から、キビ(Broomcorn millet、Panicum miliaceum)は紀元前2050年までに、イネ(rice;Oryza sativa)は紀元前120年前に東アジアから西アジアに伝播。グローバル化の2つの波に対応し、それぞれ異なるメカニズムによる。
▶ Yunshi Huang, Zhenhua Deng, Hassan Fazeli Nashli, Dorian Q. Fuller, Xiaohong Wu and Mojtaba Safari (2023) The early adoption of East Asian crops in West Asia: rice and broomcorn millet in northern Iran. Antiquity, First View, pp. 1 - 16. [Cambridge Core] - イスラエル
- カイザリア(Caesarea)で、中世の1.5平方キロにおよぶ大規模な砂丘農場。[Heritage Daily]
- トルコ
- イスタンブル(İstanbul)のテオドシウス港(λιμήν Θεοδοσίου;Portus Theodosiacus;Theodosius Harbor)で、沈没船から1600年前の女性用のサンダルや櫛。[Arkeonews]
- イタリア
- カンパーニャ州(Regione Campania)ナポリ県(Città metropolitana di Napoli)ポッツオーリ(Pozzuoli)沖の海底で、ドゥサレス神(ドゥシャラ神;Dusares)を祭ったナバテアの神殿。ナバテアはユーフラテス川から紅海にかけて栄えたローマの同盟国であったが、ポッツオーリ港内、当時のプテオリ(Puteoli)に拠点を持っていた。[Arkeonews]
- フランス
- ノルマンディー地域圏(Normandie) ウール県(Eure)ルヴィエ(Louviers)で、旧石器時代・マドレーヌ文化・紀元前13249年〜前13012年の解体された馬の遺体。フリント製の石器が多様だが、狩猟の道具は少なく、動物の解体や皮なめしの道具が多い。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Il y a 15 000 ans, d’inattendus chasseurs de chevaux en Normandie (Eure) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía)・ネルハ洞窟(Cueva de Nerja)の洞窟生成物(speleothem)に封じ込められた炭化物と煤を分析し、ヒトの活動の履歴を推定。41218年前〜3299年前(cal. BP,)の期間、35000年にわたり繰り返しヒトが訪問。従来の想定よりも古くから居住されていた。
▶ Mª Ángeles Medina-Alcaide, Ségolène Vandevelde, Anita Quiles, Edwige Pons-Branchu, Iñaki Intxaurbe, José Luis Sanchidrián, Hélène Valladas, Damien Deldicque, Catherine Ferrier, Eva Rodríguez & Diego Garate (2023) 35,000 years of recurrent visits inside Nerja cave (Andalusia, Spain) based on charcoals and soot micro-layers analyses. Scientific Reports, volume 13, Article number: 5901. [Scientific Reports]
▼マラガ県(Provincia de Málaga)
▼ネルハ洞窟関連記事→2020年3月20日 - エジプト
- サッカラ遺跡(Saqqara)の墓地で、古代エジプト第19王朝のアメン神殿の執事パネヘシ(Panehsy)の墓。ツタンカーメン王のころの財務長官マヤの墓の北側。[Ahram Online]
- ボリビア
- カランガス地域(Carangas)の高地で、スペイン人到来以前の祭祀遺跡が集中していることが判明。聖なる山ワカ(wak'a)やこの地域へのインカの定着とも関連。
▶ Pablo Cruz, Richard Joffre and Jean J. Vacher (2023) A pre-Hispanic religious landscape on the arid Andean altiplano of Bolivia. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core]
2023年4月11日(火)
- 和歌山県
- 日高川町・東郷遺跡で、鎌倉時代〜室町時代の須恵器など。公益財団法人和歌山県文化財センターの調査。4/10現地公開。[日高新報]
- 台湾
- 嘉義市・台斗坑遺跡で、新石器時代晩期・2700年前〜2500年前の人骨13体。嘉義市内では最も古い人骨。うち1体のあごの骨に変色があり、檳榔を噛んだ痕跡の可能性。[中華日報]
▼台斗坑遺跡関連記事→2021年8月24日 - 中国
- チベット自治区(西藏) チャムド市(昌都市) マルカム県(芒康県)のナシ郷(納西郷) 覚竜村と都達郷 然堆村の石窟寺院で吐谷渾の時代の摩崖石刻3か所を発見。[新華社]
- トルコ
- チャタル・ヒュユク遺跡(Çatalhöyük)の東墳丘から出土した、先土器新石器時代(Pre-Pottery Neolithic)の埋葬用包み布や紐に、新たにニレ属(Ulmus sp.)やヤナギ科(Salicaceae)を確認。亜麻よりも樹木の靭皮繊維の方がこの時期の織物に多く使われていたという従来説を支持。
▶ Nysa N. Loudon, Michèle Wollstonecroft, Dorian Q Fuller (2023) Plants to textiles: Local bast fiber textiles at Pre-Pottery Neolithic Çatalhöyük. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 103940. [ScienceDirect] - キルギス
- ナルン州(Нарын облусу;Naryn Region)コチコル地区(Кочкор;Kochkor)タルマル・サイ集落(Тармал-Сай;Tarmal-Sai)で2500年前〜2000年前の鹿石。太陽の記号を描く。[Arkeonews]
- ドイツ
- ラインラント=プファルツ州(Land Rheinland-Pfalz)トリーア(Trier)で、ローマ時代のミトラス神(Mithras)の礼拝所。ミトラスの脇侍タウテス(Cautes)のレリーフなど出土。[WELT]
- UK(イングランド)
- ワーシー・パーク遺跡(Worthy Park)で見つかった前期アングロ・サクソンの墓地で、成人69体の病理学的特徴を分析。一時的、または永続的に障害を持つ成員に対し、支援したり、あるいは違いを許容していた可能性が高い。コミュニティ内の協力関係や、違いに対する寛容さなどを示す。
▶ Lorna Tilley, Christine Cave (2023) Helping to shine light on the Dark Ages: Applying the bioarchaeology of care approach to remains from the early Anglo-Saxon cemetery at Worthy Park. International Journal of Paleopathology, Volume 41, June 2023, Pages 88-100. [ScienceDirect]
▼ハンプシャー州(the county of Hampshire)
▼ワーシー・パーク関連記事→2017年12月13日 - スーダン
- ナイル川付近のヌビア地域(Nubia)にあるAmara West遺跡で出土した、古代エジプト新王国時代・紀元前1300年〜前1070年の銅合金、顔料、錫を基本とした合金について、微量元素の追跡と、鉛とストロンチウムの同位体分析。エジプシャンブルー(Egyptian blue)の素材に銅合金の廃材が用いられていることが判明し、ガラス、ファイアンス、エジプシャンブルーの生産の間のつながりを明らかに。
▶ Frederik W. Rademakers, Johannes Auenmüller, Neal Spencer, Kate Fulcher, Manuela Lehmann, Frank Vanhaecke, Patrick Degryse (2023) Metals and pigments at Amara West: Cross-craft perspectives on practices and provisioning in New Kingdom Nubia. Journal of Archaeological Science, Volume 153, May 2023, 105766. [ScienceDirect]
▼Amara West遺跡関連記事→2014年3月18日 - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)ティヌム市(Tinúm)のチチェン・イッツァ遺跡(Chichén Itzá)で、古典期終末期(Clásico Terminal;Terminal Classic)〜後古典期前期(Posclásico Temprano;Early Postclassic)・9世紀後半〜10世紀前半の象形文字の書かれた球戯のスコアボード。堆積岩製で、直径32.5cm、厚さ9.5cm、重さ40kg。カーサ・コロラダ(Casa Colorada)の建物群に連なるアーチに取りつけられていたと推定。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
▶Con su texto jeroglífico maya completo, descubren en Chichén Itzá un marcador de Juego de Pelota [Instituto Nacional de Antropología e Historia]
▼チチェン・イッツァ遺跡関連記事→2023年3月18日
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