2023年3月10日(金)
- 山梨県
- 甲府市・山梨県立考古博物館に収蔵されていた縄文土器が盗まれた事件で、山梨県と、窃盗容疑で逮捕された元県職員が甲府地裁で和解。元職員は縄文土器2点をネットオークションに出品し売却。県は所有者から買い戻し、買い戻し費用の支払いを求めて元県職員を提訴。元職員は解決金を払うことに同意。[読売新聞]
- 滋賀県
- 米原市・鎌刃城跡(かまはじょうあと)付近で行方不明になっていた男性を、城跡東約120mの山中の崖下で発見。死亡を確認。誤って転落したとみられる。[京都新聞]
- オランダ
- 北ホラント州(Noord-Holland)ホーフワウト(Hoogwoud)で2021年に中世・1000〜1050年ごろの金製耳飾り4個、金箔1枚、13世紀の銀貨39枚発見。貨幣による国際ネットワークの存在を示す。[Dutch News]
- スペイン
- アストゥリアス州(Principado de Asturias)のエル・ブッシュ洞窟(Cueva de El Buxu)で出土したソリュートレ文化(Solutrean)の尖頭器を分析。すべて人為的に廃棄されたもので、使用に破損したか、製作時の失敗で使い物にならなくなったもの。第2層の、使用後に廃棄された尖頭器の茎の背面には、ある種の接着剤を確認。粘着性のある自然素材で尖頭器を柄に装着した。
▶Francisco Javier Muñoz, Verónica Rubio, Carmen Gutiérrez, Antonio Hernanz, Mario Menéndez (2023) THE POINTS FROM EL BUXU CAVE (ASTURIAS, SPAIN): First evidence of adhesive as hafting material in the Solutrean. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 103901. [ScienceDirect] - 北海
- 北海に沈む旧石器時代の終わりから中石器時代の陸地ドッガーランド(Doggerland)について、磁場の分析によって地形や水没した遺構の存在を知ることができる可能性。[Heritage Daily]
▼ドッガーランド関連記事→2021年9月26日 - ペルー
- リマ県(Lima)バランカ郡(Provincia de Barranca)セロ・コロラド遺跡(Cerro Colorado)で、紀元前2500年〜前2200年の日干し煉瓦積みの神殿。内部には、772年〜989年とみられる、上質の繊維で包まれ、遺体を彩色された墓。放棄された祭祀場を墓として再利用。[Heritage Daily]
▼セロ・コロラド遺跡関連記事→2023年2月17日
2023年3月9日(木)
- 福島県
- 相馬市・雷神社で、本殿の屋根から1935年の銅板がはがされ盗まれる。[福島民報]
- 岐阜県
- 関市のシシ垣が、作業道の工事で250mにわたり破壊。「シシ垣」はイノシシなどの野生生物が田畑を荒らすのを防ぐため、山の中に石を積み上げて築いたもの。[NHK]
- 兵庫県
- 姫路市・銀の馬車道で、明治時代〜大正時代の道路の路面部分を確認。日本初とされる産業専用道路。姫路市埋蔵文化財センター3/9発表。[神戸新聞]
- 山口県
- 防府市の市役所庁舎建て替えに伴う発掘調査で、古墳時代・4世紀の木製くわ先。しかし、発見場所に近い一部区域では未調査のまま工事が進行し、建設地の地下から出た木は「流木」として処分。文化庁は不適切と指摘。[中国新聞]
- 愛媛県
- 今治市・別名端谷1遺跡(べつみょうはしだにいちいせき)で、「奉□□大般若経六百巻 天文拾五丙午歳月吉□」と墨書された木札。1546年に当たる。大般若経を収める容器の外面などに打ち付けられていた可能性。公益財団法人愛媛県埋蔵文化財センター (@ehime_maibun)3/9発表。[愛媛新聞]
- 韓国
- 世宗市 燕西面 月河里・鳥致院飛行場の統合移転予定地で、住居、耕作痕跡など148基と、遺物288点。[聯合ニュース]
- 中国
- 山西省 朔州市 朔城区 后寨村・後寨墓地で、東周時代の墓321基。土器からみて3種に分類。A組は内モンゴル自治区の東周墓と似たものがあり、B組は「白狄」に関連、C組は在地の「趙」国に関連。中原と北方文化の融合を示す。農耕文化と遊牧文化が接する地点に当たる。[中国新聞網]
▽「白狄」は「中山国」を建国し、春秋時代の「晋」にも入り込んでいたものの、戦国時代に「晋」を分割した国の一つ「趙」に滅ぼされたそうです。(知らなかった……)
▼後寨墓地関連記事→2022年4月6日 - 中国
- 湖北省 天門市・石家河遺跡にある石家河古城は、面積が120万平方メートルとみられていたが、348.5万平方メートルと確認。5000年前の長江中流域では最大。下流の良渚文化の古城に匹敵。[中国新聞網]
▼石家河古城関連記事→2023年2月18日 - セルビア
- ヴィトコヴォ遺跡(Витково;Vitkovo)、プロチュニク遺跡(Плочник;Pločnik)、ヴィンチャ・ベロブルド遺跡(Винча-Бело брдо;Vinča-Belo brdo)で出土した、後期新石器時代・ヴィンツァ文化(Vinča Culture)の骨製の尖頭器の製作技法を検討。
▶ Selena Vitezović (2023) Bone technology in the Late Neolithic Vinča culture: Manufacturing pointed tools. Quaternary International. [ScienceDirect]
▼ヴィンチャ・ベロブルド遺跡関連記事→2022年3月8日 - フランス
- クロマニョン岩陰遺跡(Cro-Magnon)で1868年に出土した後期旧石器時代・33000年前〜31000年前のクロマニョン人8人のうち頭蓋骨1個の損傷は、接合されて分析が難しくなっていたが、最新のCTスキャンによって三次元モデルを作成。傷口は死亡直前の傷によると判明。南北戦争の犠牲者の頭部外傷に類似。打撃を受けて数週または1か月程度で死亡。傷の場所から見て、不慮の事故ではなく、鈍器による打撃で殺害された。[IFLScience]
▶ Christopher J. Knüsel, Adrien Thibeault, Sébastien Villotte (2023) A cranial injury from the earliest Gravettian at the Cro-Magnon rock shelter (Vézère Valley, Dordogne, southwest France). Journal of Human Evolution. Volume 177, April 2023, 103329. [ScienceDirect] - デンマーク
- イェリング(Jelling)のヴィンデレフ(Vindelev)で出土した4世紀の金のメダルにルーン文字で、オーディン神(Odin)を表す最古の銘文。従来の最古例を100年さかのぼる。[Videnskab]
- UK(イングランド)
- ランカスター市(Lancaster)のローマ時代の砦の近くで、地中レーダーにより、ローマ時代のケルトの神殿を発見。[Heritage Daily]
2023年3月8日(水)
- 東京都
- 東京都が、東京大空襲について1990年代に収集した体験者の証言映像や資料5000点以上を非公開のままにしている。平和祈念館設立の構想が凍結状態。2023年度からデジタル化に乗り出し、活用を模索へ。[毎日新聞]
- 静岡県
- 湖西市・大知波峠廃寺跡(おおちばとうげはいじあと)の池を棚田のように改変したことを認める人物の存在が浮上。「魚がかわいそうだから、水をためています」などと言っていたとの証言。[TBS]
- 島根県
- 大田市・石見銀山遺跡(いわみぎんざんいせき)内の羅漢町橋付近で、観光していた女性が川に転落し、死亡。腐食した木製の防護柵にもたれ掛かったところ柵が折れた。[山陰中央新報]
- 大分県
- 中津市・長者屋敷官衙遺跡(ちょうじゃやしきかんがいせき)で、奈良時代〜平安時代の役所とみられる大型の四面廂建物跡。幅21m、奥行き11m。下毛郡衙の主要な施設の可能性。中津市教育委員会の調査。3/18現地説明会。[NHK]
▼長者屋敷官衙遺跡関連記事→2019年5月18日 - 韓国
- 全羅北道 高敞郡・鳳徳里古墳群(ホンドンニこふんぐん)の3号墳は、南北85m、東西70m。馬韓の墳丘墓として最大規模。墳丘は格子状に区画し、それぞれの内側に土を突き固める。盛土から3世紀中ごろ〜後半の木棺と土器。5世紀の甕棺まで250年間埋葬を継続。[NEWSIS]
▼鳳徳里古墳群関連記事→2009年12月4日 - 韓国
- 慶尚南道 金海市・亀山洞支石墓(クサンドンしせきぼ)の毀損事件について、慶尚南道警察庁と文化財庁が合同捜査。敷石1000枚紛失。文化層の破壊や敷石の毀損は著しい。世界最大の支石墓。[釜山日報]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼亀山洞支石墓関連記事→2023年1月25日 - 中国
- 河南省 安陽・八里庄遺跡で、新石器時代・裴李崗文化・7800年前の遺跡。裴李崗文化の北限。[中国新聞網]
- 中国
- 河南省 三門峡市・陝州城墓地遺跡で、春秋時代から戦国時代の境目のころの「戎人」の墓(M368号墓)。墓制や副葬品から見て、中原化の傾向がみられる。ほかに、春秋戦国、前漢・後漢、唐、明・清時代の墓570基。うち、春秋戦国時代の墓は228基を占め、主に長方形竪穴土坑墓。戦国時代早期には、「魏」国の墓地。少数ながら工人の思われる人物の墓。[中国新聞網]
- イタリア
- ヴェローナ県(Provincia di Verona)・フマーネ洞窟(Grotta di Fumane;Fumane Cave)で、ウルッツァ文化(Uluzzian)〜原オーリニャック文化(Protoaurignacian)・42000年前〜41000年前(cal BP)の初期のホモサピエンスの生存について検討。晩春から夏にかけて洞窟内に居住。アイベックスやシャモアを近隣で狩猟。
▶ Ana B. Marín-Arroyo, Gabriele Terlato, Marco Vidal-Cordasco & Marco Peresani (2023) Subsistence of early anatomically modern humans in Europe as evidenced in the Protoaurignacian occupations of Fumane Cave, Italy. Scientific Reports, volume 13, Article number: 3788. [Scientific Reports]
▼ヴェネト州(Regione del Veneto)
▼フマーネ洞窟関連記事→2021年12月28日 - メキシコ
- カサス・グランデス遺跡(Casas Grandes)=パキメ遺跡(Paquimé)の南のサンディエゴ遺跡(San Diego)で、ビエホ時代(Viejo period)の公共建物。1000年前の遺物。250マイル離れた太平洋の貝を用いたビーズも出土。
▶Ancient artifacts uncovered by BYU archaeologists reveal the 'roots of Casas Grandes'[Brigham Young University]
▼チワワ州(Estado Libre y Soberano de Chihuahua)カサス・グランデス市(Casas Grandes)
2023年3月7日(火)
- 千葉県
- 我孫子市・別当地遺跡(べっとうちいせき:第49次調査)で、奈良時代〜平安時代の竪穴建物跡6棟。すべてカマドを北側に向ける。我孫子市教育委員会の調査。
▶別当地遺跡発掘調査速報 [我孫子市]
▼別当地遺跡関連記事→2019年1月15日 - 静岡県
- 湖西市・大知波峠廃寺跡(おおちばとうげはいじあと)の池が無断で改変され、文化財保護法違反の疑いで湖西市が文化庁に報告。大知波峠廃寺跡は10世紀中ごろ〜11世紀末の山寺。[毎日新聞]
- 滋賀県
- 野洲市・永原御殿跡(ながはらごてんあと)で、本丸「乾角御矢倉」とされる隅櫓の遺構を発見。野洲市教育委員会の調査。3/18現地説明会。
▶令和4年度 国史跡永原御殿跡発掘調査現地説明会(3月18日)[野洲市]
▼永原御殿跡関連記事→2021年2月25日 - 大阪府
- 柏原市・大県郡条里遺跡・山ノ井遺跡で、古墳時代の円形周溝墓や縄文時代の土偶など。大阪府文化財センターの調査。3/18現地公開。[公益財団法人大阪府文化財センター]
- 岡山市
- 南区・彦崎貝塚(ひこさきかいづか)の縄文時代前期の地層から、瀬戸内海には生息しないマダラの耳石。日本海側との交流を示す。岡山市教育委員会3/7発表。[山陽新聞]
▼彦崎貝塚関連記事→2019年3月25日 - 韓国
- 慶尚南道 陜川郡 三嘉面・三嘉邑城(サムガゆうじょう)で、建物16棟、高床建物跡1棟、歩道2条。朝鮮時代の地図に記された官庁の建物「衙舎」の跡を確認。また、市弊矯捄碑が出土。[聯合ニュース]
- オーストラリア
- 西オーストラリア州(Western Australia)ガスコイン(Gascoyne)の海岸で、中国の明・15世紀の青銅製の仏像。1421年の鄭和の遠征時に残したものという意見も。その場合、オランダ人ディルク・ハルトフ(Dirk Hartog)が1616年に到着するよりも以前に中国人がオーストラリアを訪れていたことになる。[Daily Mail]
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)マルヴダシュト郡(Marvdasht)のサーサーン朝の岩絵に、木を植え保護するという道徳的な教えの描写や、騎馬人物。[Tehran Times]
- ノルウェー
- オスロ(Oslo)のビョルヴィーカ(Bjørvika)で、オスロフィヨルドの海底に中世・14世紀の木製の桟橋を26フィートにわたり確認。王によって建設されたと推定。有力候補はホーコン5世(Håkon V;Haakon V;在位1299〜1319年)。[Arkeonews]
▼ビョルヴィーカ関連記事→2022年8月12日 - UK(イングランド)
- レスターシャー州(the county of Leicestershire)レスター(Leicester)のレスター大聖堂(Leicester Cathedral)墓地の地下で、ローマ時代の建物の地下から祭壇。レスターはローマ時代のラタエ(Ratae)[BBC]
2023年3月6日(月)
- 茨城県
- 東海村・戸ノ内古墳の周溝跡から、古墳時代後期・6世紀ごろの男女を表す人物埴輪。東海村教育委員会の調査。[東京新聞]
- 群馬県
- 前橋市・南部拠点地区遺跡群で、平安時代の水田や古墳時代の集落跡。前橋市教育委員会の調査。[上毛新聞]
- 韓国
- ソウル市・光化門(クァンファムン)の月台で、日帝時代に敷設された電車の線路を発見。1917年〜1966年に存在した。[聯合ニュース]
▶文化財庁が、ソウル市とともに光化門月台および周辺部の発掘調査現場を公開 [文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - ベトナム
- タインホア省(Thanh Hoa)ビンロック県(Vinh Loc)にある胡朝の城塞(Ho Dynasty Citadel)で、4つの門と「王の道」を調査。胡朝の城塞は1397年に大虞(Dai Ngu)の首都として建設された。[VietnamPlus]
▼胡朝の城塞関連記事→2022年7月25日 - ポーランド
- ラドフフ洞窟(Jaskinia Radochowska;Radochów Cave)は、旧石器時代に意図的に置かれたホラアナグマ(cave bear)の頭蓋骨で著名であるが、出土遺物を再検討し、2時期の動物相を認識。▶ Adrian Marciszak, Aleksandra Kropczy, Wiktoria Gornig, Krzysztof Demidziuk & Dariusz Nowakowski (2023) Carnivores record and Palaeolithic bear cult in Europe: a review from Radochowska Cave (Sudety Mts, SW Poland). Historical Biology. [Taylor & Francis Online]
▼ドルヌィ・シロンスク県(Województwo dolnośląskie;Dolny Śląsk;Lower Silesia) - エジプト
- ケナ県(Qena Governorate)のデンデラの神殿(Dendera)で、ローマ時代の石灰岩造りの建物。内部にスフィンクス像。スフィンクスの微笑んだ顔はローマ帝国のクラウディウス帝(Claudius)を描写している可能性。[The Nationa]
2023年3月5日(日)
- フィリピン
- セブ島(Cebu)のダアンバンタヤン(Daanbantayan)のポブラシオン地区(Barangay Poblacion)で、完全な人骨。貝輪の未製品や、龍泉窯青磁も。人骨はセブアノ人(Cebuano)か。龍泉窯青磁はホロ島(Jolo)やボルネオ島(Borneo)からイスラーム商人が持ち込んだ可能性も。[SunStar]
- タイ
- ナコーンラーチャシーマー県(Nakhon Ratchasima)のHin Perng洞窟で、先史時代の洞窟絵画。ヒト、動物、幾何学文を壁に描く。[Thai PBS World]
- イスラエル
- テル・ラキシュ遺跡(Tel Lachish)で出土した、ダレイオス1世(Δαρείος;Darius I)の名を刻んだ土器片は本物ではない、古代アラム語の専門家が昨年夏に刻んだ。[Business Insider]
- ポーランド
- ルブリン県(Województwo lubelskie;Lublin)ザニュフカ(Zaniówka)で、土器の中に17世紀の硬貨1000枚。[Heritage Daily]
- アルゼンチン
- メンドーサ州(Provincia de Mendoza)で、インカ帝国(Inca Empire;Tahuantinsuyo)の建築物。インカ帝国ははこれまでの想定より数百キロメートル東南まで到達していた。[Globe Live Media]
- 授賞
- 第40回東恩納寛惇賞に、當眞嗣一氏。グスク研究所主宰。[琉球新報]
2023年3月4日(土)
- 岡山県
- 真庭市・荒木山西塚古墳(あらきやまにしづかこふん)の後円部墳裾で、外表施設の石列を確認。壺形土器2点出土。4世紀の前方後円墳。真庭市などの調査。3/4現地説明会。[山陽新聞]
- イスラエル
- カルメル海岸(Carmel)の水中遺跡で出土した青銅器時代の石製碇の出自を鉱物学や地球化学的証拠から推定。中期青銅器時代のByblian型式の7個はチョーク石灰岩(chalky limestone)のみで作られ、大半が地元のもの。後期青銅器時代のUluburun型式の10個はチョーク石灰岩、風成岩、ビーチロックからなる。Byblian型式では均一な調達戦略に対し、Uluburun型式では多様な戦略。
▶ Sara Macke, Assaf Yasur-Landau, Ehud Galili, Gal Yasur, Tami Zilberman, Ruth Shahack-Gross (2023) Provenance of Bronze Age stone anchors, a case study from the Carmel coast, Israel. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, April 2023, 103891. [ScienceDirect] - ポントス・カスピ海草原
- ブルガリアからカザフスタンに及ぶポントス・カスピ海草原(Pontic-Caspian steppe)で39遺跡から出土した人骨217体を分析。「horsemanship syndrome」とよばれる6つの特徴から、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーのヤムナ文化(Yamnaya culture)・紀元前3000年の5人はウマに騎乗した。ヤムナ文化の拡散=インドヨーロッパ語の拡散にウマが大きな役割を果たしたという仮説を補強。[LiveScience]
クルガン墓から出土した・紀元前3021年〜前2501年の人骨。
▶ Martin Trautmann, Alin Frînculeasa, Bianca Preda-bălănică, Marta Petruneac, Marin Focşǎneanu, Stefan Alexandrov, Nadezhda Atanassova, Piotr Włodarczak, Michał Podsiadło, János Dani, Zsolt Bereczki, Tamás Hajdu, Radu Băjenaru, Adrian Ioniță, Andrei Măgureanu, Despina Măgureanu, Anca-Diana Popescu, Dorin Sârbu, Gabriel Vasile, David Anthony, and Volker Heyd (2023) First bioanthropological evidence for Yamnaya horsemanship. Science Advances, Vol 9, Issue 9. [Science Advances] - ギリシャ
- ミュケナイ遺跡(Μυκῆναι;Mycenae)のPetsas Houseにある、後期青銅器時代の井戸から出土した動物遺体を分析。ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、イヌの骨。地震の被害にあったのち、がれきを投入したとみられるが、イヌの遺体は比較的無傷で、別の時期に投入されており、ほかの動物とは異なる扱い。[Heritage Daily]
▶ Jacqueline S. Meier, Gypsy C. Price, Kim Shelton (2023) “Well” off in animals: A taphonomic history of faunal resources and refuse from a well feature at Petsas House, Mycenae (Greece). PLOS ONE, 18(3): e0280517. [PLOS ONE]
▼ミュケナイ遺跡関連記事→2016年6月15日 - ルーマニア
- アルバ・ユリア(Alba Iulia)の墓地で、ローマ時代・2世紀の石棺や、石造りのメドゥーサの頭部。[Romania-Insider]
- イタリア
- トスカーナ州(Regione Toscana;Tuscany) ピサ(Pisa)のドゥオモ広場(Piazza del Duomo)で出土したフェニキア・カルタゴのアンフォラを分析。地中海、特にティレニア海での貿易や文化の流通においてエトルリア時代のピサの役割を示す。ピサでは紀元前8世紀半ば以降、フェニキア・カルタゴのアンフォラが出土する。
▶ E. Taccola, D. Miriello, R. De Luca, F. Cicogna, S. Coiai, G. Girimonte, S. Raneri (2023) Phoenician-Punic amphorae in Northern coastal Etruria: new evidence from Pisa.Italy). Archaeometry. [Wiley Online Library] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)で鉄器時代・紀元前400年の集落。州南部で最大の集落で、調査により予想よりさらに大規模と判明。
▶Das größte Siedlungsgebiet der Eisenzeit in Südwestfalen wächst weiter [Archaeologie Online] - UK(イングランド)
- コルチェスター(Colchester)で1853年にローマ時代の墓から出土した土器は、160年〜200年に地元の粘土で作られたと判明。剣闘士(gladiator)2人の名を焼成前に刻む。この地域で剣闘士が戦ったことを記念したもの。ローマ時代・2世紀後半のブリテン島に剣闘士がいた証拠。[The Guardian]
▼エセックス州(the county of Essex)
2023年3月3日(金)
- 栃木県
- 大田原市・上侍塚古墳(かみさむらいづかこふん)で、2列の円形浮文を持つ土器片。栃木県内初。公益財団法人とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センターの調査。3/4現地説明会。[朝日新聞]
▼上侍塚古墳関連記事→2023年2月21日 - 横浜市
- 栄区・上郷深田遺跡(かみごうふかだいせき)を含む地域で東急建設が進めていた上郷開発事業について、同社は主要部分の事業継続を断念。[東京新聞]
▼上郷深田遺跡関連記事→2022年10月5日 - 大阪府
- 羽曳野市・誉田御廟山古墳(こんだごびょうやまこふん)で日本考古学協会など8団体の研究者が立ち入り調査。濠をボートで渡って墳丘に立ち入り。宮内庁が応神天皇陵として管理する古墳。[毎日新聞]
▼誉田御廟山古墳関連記事→2011年2月24日 - 和歌山県
- 白浜町・勝山城跡は、曲輪を囲むように土塁に柵を張り巡らせ、敵を警戒する見張り台が立つなど、防御性の高い山城。熊野水軍の一翼を担った安宅氏の山城。白浜町教育委員会の調査。3/11現地説明会。[紀伊民報]
▼勝山城跡関連記事→2023年2月24日 - 広島県
- 福山市・地頭分津ノ尾古墳群(じとうぶつのおこふんぐん)で、古墳時代・5世紀の人物の全身骨格。父親が渡来系、母親が縄文系の形質をもつ人物。[中国新聞]
- 山口県
- 山口市・凌雲寺跡(りょううんじあと)で新たな石列。 一定の地割りに基づいて造られた可能性が高い。山口市教育委員会の調査。[中国新聞]
▼凌雲寺跡関連記事→2023年2月10日 - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt) ハルバーシュタット(Halberstadt)で後期青銅器時代・3000年前の謎の柱穴列。[Frankfurter Rundschau]
- エジプト
- クフ王のピラミッドのシェブロンと呼ばれる石組み構造(切妻構造)の背後にある未知の空間の位置と形状を、多地点宇宙線イメージングの技術により高い精度で特定。
▶クフ王ピラミッドにある未知の空間を、 多地点宇宙線イメージングの技術により、高い精度で詳細に特定! [名古屋大学]
▶ Sébastien Procureur, Kunihiro Morishima, Mitsuaki Kuno, Yuta Manabe, Nobuko Kitagawa, Akira Nishio, Hector Gomez, David Attié, Ami Sakakibara, Kotaro Hikata, Masaki Moto, Irakli Mandjavidze, Patrick Magnier, Marion Lehuraux, Théophile Benoit, Denis Calvet, Xavier Coppolani, Mariam Kebbiri, Philippe Mas, Hany Helal, Mehdi Tayoubi, Benoit Marini, Nicolas Serikoff, Hamada Anwar, Vincent Steiger, Fumihiko Takasaki, Hirofumi Fujii, Kotaro Satoh, Hideyo Kodama, Kohei Hayashi, Pierre Gable, Emmanuel Guerriero, Jean-Baptiste Mouret, Tamer Elnady, Yasser Elshayeb, Mohamed Elkarmoty (2023) Precise characterization of a corridor-shaped structure in Khufu’s Pyramid by observation of cosmic-ray muons. Nature Communications. [Nature Communications] - エジプト
- ギザのクフ王のピラミッド内に、通路のような空間を発見。ミュー粒子を利用しピラミッド内部を「透視」する名古屋大学の技術により、未知の空間の存在が確認され、スコープによる内部撮影で実証された。[時事通信]
▼クフ王のピラミッド関連記事→2017年11月2日
2023年3月2日(木)
- 秋田県
- 美郷町・一丈木遺跡(いちじょうぎいせき)で出土した土製品は、鹿角市・大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)で出土した土版と似た構造。一丈木遺跡のものは大湯環状列石のものより500年ほど古い。[秋田魁新報]
- 山梨県
- 山梨県立美術館で収蔵品をデータベースをもとに確認。絵画2点が所在不明と判明。また、データベースに登録されていない作品が444点、登録内容に不備がある作品が7635点。山梨県立美術館3/2発表。昨年の盗難事件を受けて、全作品を確認した。[NHK]
- 岡山市
- 中区・金蔵山古墳(かなくらやまこふん)で、後円部の墳頂から直径50cmの埴輪。大型の円筒埴輪や形象埴輪とみられる。4世紀後半の前方後円墳、158m。岡山市埋蔵文化財センターの調査。3/4現地説明会。[山陽新聞]
▼金蔵山古墳関連記事→2022年2月22日 - 日本
- 明治時代の人名録『人事興信録』に基づいて明治維新期における社会的流動性を検証。新体制発足後は平民からエリート層への流入が増加したものの、新体制が固まるにつれ、旧体制下のエリートの子息の割合が増加し、実力主義の影響が低下。
▶明治維新により社会的流動性は高まったが、実力主義の影響は次第に低下した〜体制転換の段階による社会的流動性のちがいを実証〜 [東京理科大学]
▶ Tomoko Matsumoto, Tetsuji Okazaki (2023) Elite mobility and continuity during a regime change. British Journal of Sociology. [Wiley Online Library] - 中国
- 江蘇省 蘇州市 相城区 元和塘地区・元和塘古窯跡群で、南宋の大規模な古窯跡群。南宋時代の『中興礼書』に記載された「平江官窯」に当たると推定。[新華社]
▼元和塘古窯跡関連記事→2022年5月9日 - インド
- オリッサ州(Odisha)コラプト県(Koraput)で、いくつかの古代寺院が、州の考古学局により修繕の名目で破壊されていると専門家が指摘。建造物は解体され、新しい建物のために加工。[Sambad English]
- イラン
- コフギールーイェ・ブーイェル=アフマド州(Kohgiluyeh-Boyer Ahmad)ディシュモク(Dishmok)で、サーサーン朝の水差し。[Tehran Times]
- ギリシャ
- クレタ島(Κρήτη;Crete)シティア(Σητεία;Siteia)のペトラス墓地(ΠετράςPetras)で、ミノス文明・先宮殿時代(Pre-palatial)〜古宮殿時代(Protopalatial)・紀元前2900年〜前1700年の埋葬人骨を分析。すべての遺体が、完全または部分的に腐敗した状態で二次葬。同時期や隣接の墓でも葬送行為は異なる場合がある。
▶ Sotiria Kiorpe, Sevasti Triantaphyllou (2023) From excavating bones to reconstruct funerary practices: Contextualizing skeletal evidence for the post-funerary treatment of the dead at the Pre- and Protopalatial Petras cemetery (2900–1700 BCE), Siteia, Crete. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, April 2023, 103896. [ScienceDirect] - イタリア
- ポンペイ遺跡(Pompeii)9区(Regio IX)にある「Insula 10」で、ローマ時代・2000年前の洗濯屋(fullonica)跡。古代ローマではヒトや動物の尿を集めて、洗濯液として利用。[Heritage Daily]
- ドイツ
- シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)のハイタブ遺跡(Haithabu)=ヘーゼビュー遺跡(Hedeby)で、ビザンティン時代・1100年ごろの金の耳飾りや、ムワッヒド朝(Almohad)の金貨の模造品。デンマーク王ヴァルデマー2世(Valdemar II)の銀貨など。1234年以降に埋納と推定。遺跡は1066年に廃絶したヴァイキングの遺跡であるが、廃絶後も交易の拠点だった。[LiveScience]
▼ハイタブ遺跡(ヘーゼビュー遺跡)関連記事→2017年8月8日
2023年3月1日(水)
- 埼玉県
- 川越市・川越市立博物館に寄託されていた「小川家文書」のうち、「二十四ポンド長銅筒五分一之図」が所在不明。幕末に川越藩が発注した洋式銃砲の図面。2004年の企画展で展示したのち、所在確認せず。[埼玉新聞]
- 富山県
- 射水市・沖塚原東B遺跡(おきつかはらひがしびーいせき)で出土した鎌倉時代の網代団扇に、中国の詩人白居易の漢詩が書かれていた。射水市2/28発表。[富山新聞]
- 和歌山県
- みなべ町・南部高校で花壇に使われていた石に刻まれた文字は、日清戦争の戦勝記念の可能性。[紀伊民報]
- 福岡県
- 広川町の洞窟で、礼拝所の石仏をけり倒したとして、県内の男子高校生を礼拝所不敬の疑いで書類送検。[朝日新聞]
- 佐賀県
- 唐津市・馬渡島(まだらしま)で、潜伏キリシタン期の墓とみられる遺構。十字架や洗礼名とみられる文字が刻まれた墓石を確認。[佐賀新聞]
- イスラエル
- テル・ラキシュ遺跡(Tel Lachish)で、2500年前の土器にダレイオス1世(Δαρείος;Darius I)の名の銘文。アラム語で「ダレイオス24年」(紀元前498年)の年紀。5世紀初頭にハカーマニシュ朝(アケメネス朝;Achaemenid)がラキシュを支配していた証拠。[Arutz Sheva]
- ポルトガル
- ロシャ・ド・ヴィジオ遺跡(Rocha do Vigio)で、終末期青銅器時代(Final Bronze Age)・紀元前900年の鋼の鑿。当時のイベリア半島の石碑(stela)には、硬い石材に鋼でなければ不可能な加工をしたものがある。ヨーロッパでの鋼の使用は2900年前にさかのぼる。
▶Steel Was Already Used in Europe 2900 Years Ago [Universität Freiburg]
▶ Ralph Araque Gonzalez, Bastian Asmus, Pedro Baptista, Rui Mataloto, Pablo Paniego Díaz, Vera Rammelkammer, Alexander Richter, Giuseppe Vintrici, Rafael Ferreiro Mählmann (2023) Stone-working and the earliest steel in Iberia: Scientific analyses and experimental replications of final bronze age stelae and tools. Journal of Archaeological Science. Volume 152, April 2023, 105742. [ScienceDirect]
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