考古学のおやつ/NEWSLINK

2024年3月31日（日）

インド: テランガーナ州（Telangana State）ナルゴンダ県（Nalgonda）ティルマガギリ（Tirumalagiri）のパニギリ（Phanigir）で、2000年前の仏教遺物。鉛製の硬貨3700枚。[Hub News]
トルコ: チャタル・ヒュユク遺跡（Çatalhöyük）の新石器時代の集落の人口推定を再検討。中期・紀元前6700年～前6500年（cal BC）ではチャタル・ヒュユク遺跡の東集落に平均600～800人が居住と推定。従来、3500人や10000人と推定され、新石器時代を都市化と結びつけていた議論を覆す。
▶ Ian Kuijt, Arkadiusz Marciniak (2024) How many people lived in the world’s earliest villages? Reconsidering community size and population pressure at Neolithic Çatalhöyük. Journal of Anthropological Archaeology, Volume 74, June 2024, 101573. [ScienceDirect]
▼チャタル・ヒュユク遺跡関連記事→2024年3月6日
スロバキア: リマフスカー・ソボタ（Rimavská Sobota）で、中世・11～13世紀の集落やローマ時代の炉跡。[The Slovak Spectator]

2024年3月30日（土）

福島県: 福島市・西久保遺跡（にしくぼいせき）で出土した「鎮兵」の文字が書かれた木簡で、新たに5文字を解読し、全文を「陸奥国司牒下野国司　鎮兵死□衆之状不罪郡?郷?」と推定。陸奥国司が発した文書と推定。福島市3/29発表。[福島民報]
▼西久保遺跡関連記事→2023年11月18日
イタリア: ブラッチャーノ湖（Lago di Bracciano）近くのラ・マルモッタ遺跡（La Marmotta）で出土した新石器時代の木製鎌から採取された接着剤を分析。これらは穀物の収穫に使用されており、オオムギ型（Hordeum-type）とカラスムギ・コムギ型（Avena-Triticum-type）の花粉を検出。接着剤として用いられた樹脂にはセリ型（Oenanthe-type）の花粉が見られ、毒性や向精神性のある植物を収穫。
▶ Daniele Arobba, Rosanna Caramiello, Lionello F. Morandi, Juan F. Gibaja, Mario Mineo, Niccolò Mazzucco (2024) Pollen analysis of neolithic adhesives and comparative experimental archaeology: Insights from La Marmotta (Lake Bracciano, Rome). Journal of Archaeological Science, Volume 165, May 2024, 105970. [ScienceDirect]
▼ラ・マルモッタ遺跡関連記事→2024年3月21日
ポーランド: ルブリン県（Województwo lubelskie；Lublin）フルビェシュフ郡（Powiat hrubieszowski；Hrubieszów County）のマッツェ（Matcze）で、紀元前4～前3千年紀の銅斧。ポーランド最古の銅製の遺物。南東ヨーロッパのククテニ＝トリポリエ文化（Cucuteni-Trypillia culture）に関連。[Heritage Daily]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ウンナ郡（Kreis Unna）ヴェルネ（Werne）のベリングホルツ（Bellingholz）で、前期中世の農業集落と鉄器時代の墓。[Archaeologie Online]

2024年3月29日（金）

栃木県: 小山市・琵琶塚古墳（びわづかこふん）で小山市が文化庁に現状変更許可を受けず整備事業に着手していた問題で、栃木県考古学会と日本考古学協会が要望書を提出。[下野新聞]
▼琵琶塚古墳関連記事→2023年12月23日
京都府: 福知山市・川上南古墳群笹尾矢見所城跡で、古墳時代後期・6世紀半ばの古墳4基を発見。3/30現地説明会。
▶川上南古墳群笹尾矢見所城跡発掘調査現地説明会を開催します！ [福知山市]
ギリシャ: カヴァラ県（Καβάλα；Kavala）のピリッポイ（Φἱλιπποι；Philippi）で、2世紀～3世紀前半の大理石製のアポロン神の頭部。[Arkeonews]
イタリア: シチリア州（Regione Sicilia；Sicily）シラクーザ県（Siracusa）ノート自治体（Noto）のヴェンディカーリ（Vendicari）海域の水深5mで、中世・15世紀後半～17世紀の冑。[Soprintendenza del Mare]
UK（イングランド）: ウェスト・サセックス州（the county of West Sussex）チチェスター地区（Chichester District）のタングミア村（Tangmere）で、ローマ時代の集落や、青銅器時代、鉄器時代の遺物。[Sussex World]
セネガル: ファレメ渓谷（Falémé）のトゥンブラ1-2017遺跡（Toumboura I-2017）とラヴァン・ド・サンサンデ遺跡（Ravin de Sansandé）で、更新世末・アフリカ後期石器時代の遺跡。トゥンブラ1-2017遺跡は17000±1000年前～16000±1000年前、ラヴァン・ド・サンサンデ遺跡は13000±1000年前～12000±1100年前。西アフリカでアフリカ後期石器時代の遺跡は従来あまり調査されていなかった。
▶ Matar Ndiaye, Laurent Lespez, Chantal Tribolo, Michel Rasse, Irka Hadjas, Sarah Davidoux, Éric Huysecom, Katja Douze (2024) Two new Later Stone Age sites from the Final Pleistocene in the Falémé Valley, eastern Senegal. PLOS ONE, 19(3): e0294346. [PLOS ONE]

2024年3月28日（木）

東京都: JR東日本が推進する品川開発プロジェクトの第II期事業予定地で高輪築堤跡の遺構の存在が想定されることから、日本考古学協会が3/25、遺構遺存の可能性を踏まえた事業計画策定を求める会長声明。
▶ 品川開発プロジェクト第Ⅱ期事業予定地における高輪築堤跡の保存を求める会長声明 [日本考古学協会]
韓国: 全羅南道海南郡海南邑・揖湖里古墳群（ウポリこふんぐん）で、馬韓時代・5世紀の移動式かまど。新羅や加耶では見つかっていたが、全羅南道では初。[聯合ニュース]
▼揖湖里古墳群関連記事→2021年9月28日
中国: 河北省雄安新区で城郭遺跡8か所を新たに発見。南陽遺跡、古賢遺跡、城子遺跡、雄州古城遺跡、安州古城遺跡、新安古城遺跡、鄚州城遺跡、古州城遺跡。[新華社]
イラン: 南ホラーサーン州（Ostān-e Khorāsān-e Jonūbī；South Khorasan province）ビールジャンド（Birjand）のTappe Takhchar-Abadで、ハカーマニシュ朝の円形の日干し煉瓦建物。同様の建物はホラーサーン地域に後期鉄器時代からハカーマニシュ朝にかけてみられ、バクトリアから伝わったものとみられる。
▶ Mohsen Dana, Seyyed Reza Rafei, Aliasghar Mahmoudinasab and Marjan Mashkour (2024) Cultural coherence of architecture in Greater Khorasan from Bactria to South Khorasan in Iran during the Late Iron Age/Achaemenid period. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core]
イタリア: アイスマン「エッツィ（Ötzi；Oetzi）」に施された5500年前ののタトゥーに、現代的なタトゥー技術「ハンド・ポーキング」（hand-poking）。[LiveScience]
▶ Aaron Deter-Wolf, Benoît Robitaille, Danny Riday, Aurélien Burlot and Maya Sialuk Jacobsen (2024) Chalcolithic Tattooing: Historical and Experimental Evaluation of the Tyrolean Iceman's Body Markings. European Journal of Archaeology, First View, pp. 1 - 22. [Cambridge Core]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ザーレ郡（Saalekreis）オッピン（Oppin）で、鐘状ビーカー文化（Glockenbecherkultur；Bell Beaker culture）・4200年前の「ゾンビの墓」。脚に重い石を置いて復活を防ぐ。[Mitteldeutscher Rundfunk]
スウェーデン: ヨンショーピング県（Jönköpings län）ビシングショ島（Visingsö）のBrahekyrkanで、男性の墓から中世・1150～1180年ごろの銀貨170枚出土。
▶ Coin treasure at Brahekyrkan - sensational find on Visingsö [Jönköpings läns museum]
UK（イングランド）: ケンブリッジシャー州（the county of Cambridgeshire）リットルジー（Whittlesey）のマストファーム遺跡（Must Farm）で、青銅器時代・3000年前の木製容器に金属器のスクラップ。金属をリサイクルするためか。[BBC]
UK（スコットランド）: ヘブリデス諸島（Hebrides）のリスモア島（Isle of Lismore）で、7～10世紀の石造りの修道院跡。St Moulagが562年に創立したものとみられる。リスモア島はゲール人のダルリアダ王国（kingdom of Dalriada）で、信仰の中心地だった。[Heritage Daily]
エジプト: 東部砂漠（Eastern Desert）のワジ・アブ・スベイラ（Wadi Abu Subeira）で、アフリカ前期石器時代～中期石器時代に繰り返しヒトが住んだ痕跡。
▶ Alice Leplongeon, Maxence Bailly and Gwenola Graff (2024) Raw-material exploitation in the Earlier and Middle Stone Age in the Eastern Desert of Egypt: evidence from Wadi Abu Subeira. Antiquity, First View, pp. 1 - 7. [Cambridge Core]
▼ワジ・アブ・スベイラ関連記事→2019年5月8日

2024年3月27日（水）

イスラエル: Scorpions Ascentで、ローマ時代・1600年前のオイルランプ。ローマ兵が用いたものと推定。[The Jerusalem Post]
トルコ: トゥンジェリ県（Tunceli ili）で、要塞化した集落2か所を発見。マスム・パク遺跡（Masumu-Pak）は鉄器時代。アシャウ・ハリク遺跡（Aşağıı Harikは鉄器時代と中世。いずれもウラルトゥ・紀元前7世紀の屋外の祭祀場を備える。[Heritage Daily]
UK（イングランド）: ケンブリッジシャー州（the county of Cambridgeshire）ピーターバラ（Peterborough）のマストファーム遺跡（Must Farm）で出土した後期青銅器時代・3000年前のガラス玉はイラン産。[BBC]
UK（イングランド）: イースト・ヨークシャー（East Yorkshire）フル・サットン（Full Sutton）で、4500年前の人骨。[BBC]

2024年3月26日（火）

兵庫県: 姫路市で遺跡の発掘調査報告書の作成が完了したと偽り、市内の印刷業者に委託費約を支払う不適切な会計処理をしたとして、姫路市埋蔵文化財センターの館長に懲戒処分。職員2名にも戒告。[神戸新聞]
奈良県: 奈良市・富雄丸山古墳（とみおまるやまこふん）の蛇行剣の把頭が、後の時代の剣と刀の特徴をあわせもった形状。[NHK]
島根県: 出雲市・上塩冶築山古墳（かみえんやつきやまこふん）で出土した、古墳時代の金銀荘捩環頭大刀の鞘に赤い顔料を使用。[NHK]
▼上塩冶築山古墳関連記事→2007年2月21日
韓国: 慶州・月池（ウォルチ）で1976年に出土した遺物33000点を再調査し、高麗時代の瓦200点を確認。10世紀後半の「玉看窰」銘瓦、日輝文軒丸瓦8点を含む。高麗時代にも新羅の王宮の一部が残存していた可能性。前王朝の王宮は徹底的に破壊したという従来説を覆す。[東亜日報]
ウズベキスタン: 古ゼラフシャンデルタ（Old Zerafshan Delta）にあるキミレク・クム遺跡（Kimirek-kum-1）で、終末期青銅器時代～前期鉄器時代の集落。銅合金、鉛、金など出土。
▶ Sören Stark, Lynne М. Rouse, Sirojiddin J. Mirzaakhmedov, Zachary Silvia, Sydney А. Hunter, Tomáš Bek, Husniddin Rakhmanov & Narges Bayani (2024) The Final Bronze/Early Iron Age in the Old Zerafshan Delta, Uzbekistan: Pilot Investigations at Kimirek-kum-1. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
ウクライナ: マリウポリ（Маріуполь；Мариуполь；Mariupol）で、ロシア軍が紀元前5千年紀の古墳Kurhan Didを破壊。[Espreso]
ギリシャ: ラヴリオ（Λαύριο；Lavrio）のトリコス遺跡（Θορικός；Thorikos）で鉄器時代・紀元前950年～前825年の石造りの建物跡。[ARTNews]
▼トリコス遺跡関連記事→2023年5月27日
フランス: ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）モルビアン県（Morbihan）ヴァンヌ（Vannes）のエルミーヌ城（Château de l’Hermine）で、遺構の配置を確認。国立予防考古学研究所の調査。ブルターニュ公ジャン4世（Jean IV de Bretagne）が1380年ごろ築城。
▶ À Vannes, le château de l’Hermine refait surface (Morbihan) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
UK（イングランド）: マストファーム遺跡（Must Farm）で、青銅器時代・紀元前850年ごろの杭上集落。[LiveScience]
▼ケンブリッジシャー州（the county of Cambridgeshire）リットルジー（Whittlesey）
UK（イングランド）: オックスフォードシャー州（the county of Oxfordshire）グローヴ（Grove）で、ローマ時代・1世紀の邸宅。Red River Archaeology Groupの調査。[BBC]
メキシコ: メキシコシティ（Ciudad de México；Mexico City）・トラテロルコ地区（Tlatelolco）で、スペイン人到来以前の運河網と埠頭。[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
メキシコ: プエブラ州（Estado de Puebla）ロス・テテレス・デ・アビラ・カスティージョ（Los Teteles de Ávila Castillo）のテテリクティク遺跡（Tetelictic）で、ピラミッド形の遺構。天文観測用の施設の可能性。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。[Heritage Daily]

2024年3月25日（月）

ネパール: ジャパ郡（Jhapa）バドラプール自治体（Bhadrapur Municipality）のKichak Badhで、クシャーン朝・2000年前の宮殿や砦。5世紀に地震で崩壊。[The Kathmandu Post]
アラブ首長国連邦: ウンム・アル＝カイワイン首長国（Umm al-Quwain）で出土した新石器時代の貝製品について、用途を推定。実験成果と比較すると、貝製品は、動物の解体、木工、皮革の加工など様々な用途に使用。多くの貝製品には植物繊維を切断した痕跡。
▶ Kevin Lidour, David Cuenca Solana, Jesús Setién Marquínez, Ana Cimentada Hernéndez, Vincent Charpentier, Sophie Méry (2024) Shell tool technology and new insights into techno-cultural strategies during the Neolithic in Eastern Arabia. An initial case study from Umm al-Quwain (United Arab Emirates). Archaeological Research in Asia, Volume 38, June 2024, 100520. [ScienceDirect]
トルコ: コジャエリ県（Kocaeli il）カンドゥラ郡（Kandıra）ケルペ（Kerpe）沖で、黒海の海底から紀元前4世紀～紀元後12世紀の桟橋やアンフォラなど。[Arkeonews]
スペイン: グラナダ県（Provincia de Granada）の古代後期の墓地4か所、コロメラ（Colomera）のコルティホ・デル・チャポ遺跡（Cortijo del Chopo）、モンテフリオ（Montefrío）のエル・カスティヨン遺跡（El Castillón）、アタルフェ（Atarfe）のマルガン遺跡（Marugán）、ロハ（Loja）のフエンテ・サンタ遺跡（Fuente Santa）から出土した琥珀52点を分析し、バルト海の琥珀と判明。古代の地域間交流を示す。
▶ Elena Vallejo-Casas, Gisela Ripoll, Margarita Sánchez Romero, Mercedes Murillo-Barroso (2024) BALTIC AMBER IN HISPANIA DURING LATE ANTIQUITY. CONTACTS, NETWORKS AND EXCHANGE. Oxford Journal of Archaeology, Early View. [Wiley Online Library]

2024年3月24日（日）

青森県: 鰺ヶ沢町・舞戸正八幡宮で2022年8月に震災被害に遭った文書約400点が修復作業を終え、3/27同神社に引き渡しへ。[東奥日報]
埼玉県: 東松山市・原爆の図丸木美術館で、元職員（昨年彫解雇処分）が外部団体から受けた助成金などヤク169万円を着服していた。[埼玉新聞]
アゼルバイジャン: ナヒチェバン自治共和国（Nakhchivan）の青銅器時代の墓地から出土した女性遺体に、鏃や短剣、こん棒などの武器を副葬。ギリシャ神話に言うアマゾン族の女戦士は実在した可能性。[The Guardian]
ベルギー: アントウェルペン（Antwerpen；Antwerp）で、オースターヴェール線（Oosterweel Link）予定地から、1930年の英国のロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道（London North Eastern Railway）で用いられた貨車を発見。[Heritage Daily]

2024年3月23日（土）

フランス: オクシタニー地域圏（Occitanie）オード県（Aude）ナルボンヌ（Narbonne）で、紀元前1世紀～後4世紀のコロニア・ナルボ・マルティウス（Colonia Narbo Martius）の城壁や貯蔵・交易の場。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ Découverte de l’enceinte du Haut Empire de Narbonne et d’entrepôts dans le quartier du port urbain antique (Aude) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
フランス: ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏（Pays de la Loire）ヴァンデ県（Vendée）サンティレール＝ド＝リエ（Saint-Hilaire-de-Riez）の教会広場で人骨出土。[actu]
UK（イングランド）: ロンドンのウェストミンスター（Westminster）で発見されたテューダー朝（Tudor）のウマの墓地で出土したウマの骨を分析。半数以上はスカンジナビア、アルプス、その他の北ヨーロッパ、東ヨーロッパなど、外国に期限があり、国際的なウマ取引市場の存在を示す。
▶ Tudor era horse cemetery in Westminster revealed as likely resting place for elite imported animals [University of Exeter]
▶ Alexander J. E. Pryor, Carly Ameen, Robert Liddiard, Gary Baker, Katherine S. Kanne, J. Andy Milton, Christopher D. Standish, Bastian Hambach, Ludovic Orlando, Lorelei Chauvey, Stephanie Schiavinato, Laure Calvière-Tonasso, Gaetan Tressières, Stefanie Wagner, John Southon, Beth Shapiro, Alan Pipe, Oliver H. Creighton, and Alan K. Outram (2024) Isotopic biographies reveal horse rearing and trading networks in medieval London. Science Advances, Vol 10, Issue 12. [Science Advances]

2024年3月22日（金）

滋賀県: 野洲市・永原御殿跡（ながはらごてんあと）で、本丸の北西側から、家光が寝所としたとされる「御休息所」（ごきゅうそくじょ）の遺構。野洲市教育委員会3/18発表。3/24現地説明会。[朝日新聞]
▼永原御殿跡関連記事→2023年3月16日
岡山県: 倉敷市・大原美術館は4/1に大原芸術研究所を設立。公益財団法人名は「大原芸術財団」に改め、倉敷考古館と合併。研究所が2つのミュージアムを運営へ。大原美術館3/22発表。[日本経済新聞]
北九州市: 門司区で出土した明治時代の鉄道遺構をめぐり、北九州市議会の議長と副議長が連名で北九州市長に対し、遺構の文化財としての取り扱いや「一部移築」方針を決めた過程、その後の対応について「丁寧に市民と議会に説明すべきだ」とする申し入れ。[西日本新聞]
長崎県: 長崎市・旧長崎医科大学被爆遺構について、遺構を撤去し、長崎大学医学部の施設建設工事を再開へ。大学構内の別の工事現場からは旧通用門の門柱が出土し、現状保存を検討。長崎大学3/21発表。[読売新聞]
ヨルダン: ムグル・エル・ハママー遺跡（Mughr el-Hamamah）で出土した後期旧石器時代前半・45000年前～39000年前（cal BP）の動物遺体を調査。ガゼル（Gazella sp.）が最も多く、ペルシアダマジカ（Dama mesopotamica）やヤギ（Capra sp.）がこれに次ぐ。ガゼルは幼獣が1/3を占める。中期旧石器時代から後期旧石器時代への移行期に、動物の利用戦略が徐々に変化。
▶ Jamie L. Clark, Gideon Hartman, Liv Nilsson-Stutz, Aaron J. Stutz (2024) The fauna from Mughr el-Hamamah, Jordan: Insights on human hunting behavior during the Early Upper Paleolithic. Journal of Human Evolution, Volume 190, May 2024, 103518. [ScienceDirect]
フランス: ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏（Pays de la Loire）メーヌ＝エ＝ロワール県（Maine-et-Loire）ディストレ（Distré）で、中世の建物や農耕・牧畜の跡、さらに地下通路など。井戸から多数の有機物。
▶ Un habitat et son réseau souterrain du premier Moyen Âge à Distré (Maine-et-Loire) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
エジプト: ダハシュール（Dahshur）で古王国時代の第5王朝末～第6王朝初めのネブネブアフ（neb-neb-af）とその妻イドゥト（Idut）の日干しレンガ造りのマスタバ墓を発見。[Heritage Daily]
チュニジア: スファックス（Sfax）で、ローマ時代・2～4世紀の墓地やモザイク床、貯水池、ワイン圧搾機など。チュニジア国立文化遺産機構（Institut national du patrimoine）の調査。[Webdo]

2024年3月21日（木）

神奈川県: 小田原市・清閑亭（せいかんてい）で、民間事業者が営業許可を得ずに飲食物を提供。神奈川県小田原保健福祉事務所から食品衛生法違反の疑いで行政指導。[神奈川新聞]
富山県: 富山市で、江戸時代初期の富山城の外堀跡の一部を発見。1605年に前田年長が整備したとみられる。富山市埋蔵文化財センターの調査。[北日本新聞]
中国: 安徽省（Anhui）・禹会村遺跡（Yuhuicun）で出土した双墩文化（Shuangdun Culture）・7300年前～6800年前（BP）の動物骨の同位体分析により、ブタ飼育戦略を推定。ブタ（Sus）の多くはC3植物を食べており、大型・中型のシカと同様。豚の飼育は緩やかなもので、その食生活は野生のイノシシと変わらない。生業の多くが採集に依存し、農耕は小規模であったためと推定。双墩遺跡の3頭のみC3植物とC4植物が混ざった食生活だったが、同遺跡は拠点集落だったのでさまざまな資源に接触できた。
▶ Lingling Dai, Xinran Li, Dong Zhang, Zhipeng Li (2024) Domestic pig husbandry strategy during the Shuangdun Culture period (ca. 7300-6800 BP) from the stable isotopic perspective: A case study of the Yuhuicun site in Anhui Province, China. Archaeological Research in Asia, Volume 38, June 2024, 100515. [ScienceDirect]
セルビア: ニシュ（Ниш：Niš）のペシュトゥリナ洞窟（Пештурина；Pešturina）で、堆積物やハイエナの糞石を利用してMIS 5eからMIS 3の植生を復元。
▶ Juan Ochando, José S. Carrión, Donatella Magri, Ana B. Marín-Arroyo, Federico Di Rita, Manuel Munuera, Fabrizio Michelangeli, Gabriela Amorós, Stefan Milošević, Katarina Bogićević, Vesna Dimitrijević, Draženko Nenadić, Mirjana Roksandic, Dušan Mihailović (2024) Balkan Neanderthals: The Late Pleistocene palaeoecological sequence of Pešturina Cave (Niš, Serbia). Quaternary Science Reviews, Volume 330, 15 April 2024, 108600. [ScienceDirect]
▼ニシャヴァ郡（Нишавански округ；Nišavanski okrug）ニシュ（Ниш：Niš）
▼ペシュトゥリナ洞窟関連記事→2020年2月18日
イタリア: ラ・マルモッタ遺跡（La Marmotta）で、出土した新石器時代の木造船5隻を研究。さまざまな樹種を用いた丸木舟。年代は紀元前5700年～前5100年。新石器時代・7000年前に地中海洗顔で、洗練された木造船を用いて移動や交易に用いた。[Heritage Daily]
▶ Juan F. Gibaja, Mario Mineo, Francisco Javier Santos, Berta Morell, Laura Caruso-Fermé, Gerard Remolins, Alba Masclans, Niccolò Mazzucco (2024) The first Neolithic boats in the Mediterranean: The settlement of La Marmotta (Anguillara Sabazia, Lazio, Italy). PLOS ONE, 19(3): e0299765. [PLOS ONE]
▼ラ・マルモッタ遺跡関連記事→2023年2月24日
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ヨンヌ県（Yonne）オセール（Auxerre）のフィリップ・ルクレール広場（place du Maréchal Leclerc）で、2世紀以来2000年間の都市の変遷が明らかに。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ 2 000 ans d’histoire sous la place du Maréchal Leclerc à Auxerre (Yonne) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
エチオピア: シンファ・メテマ1遺跡（Shinfa-Metema 1）で、アフリカ中期石器時代（Middle Stone Age）で、乾燥した時期に適応していきぬいた人々の遺跡。74000年前のトバ山（Toba）巨大噴火を生き抜いた人々の痕跡。乾燥時に水を求めて移動したことが出アフリカを促した可能性。また、石鏃も出土。
▶ Surviving a Volcanic Supereruption May Have Facilitated Human Dispersal Out of Africa [University of Texas at Austin]
▶ John Kappelman et al. (2024) Adaptive foraging behaviours in the Horn of Africa during Toba supereruption. Nature.[Nature]
チリ: ラパ・ヌイ（Rapa Nui）＝イースター島（Easter Island）のアナケナ遺跡（Anakena）で出土した1000～1300年の黒曜石に付着していたデンプンを分析。ラパ・ヌイの植物のほか、ポリネシアのほかの島から持ち込まれた植物や、南アメリカの植物が調理されていた。1000年前からラパ・ヌイと南アメリカとの恒常的な交流があった。[LiveScience]
▶ Paloma Berenguer, Claudia Clavero, Mónica Saldarriaga-Córdoba, Antonio Rivera-Hutinel, Daniela Seelenfreund, Helene Martinsson-Wallin, Patricia Castañeda, Andrea Seelenfreund (2024) Identification of breadfruit (Artocarpus altilis) and South American crops introduced during early settlement of Rapa Nui (Easter Island), as revealed through starch analysis. PLOS ONE, 19(3): e0298896.[PLOS ONE]

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