2023年5月31日(水)
- 岩手県
- 一関市・骨寺村荘園遺跡(ほねでらむらしょうえんいせき)で、13世紀の灯明皿。一関市の調査。6/17現地説明会。
▶令和5年度骨寺村荘園遺跡現地説明会[一関市]
▼骨寺村荘園遺跡関連記事→2018年1月27日 - 香川県
- 丸亀市・丸亀城跡(まるがめじょうあと)の栃ノ木御門跡石垣の東側斜面で、掘削した痕跡。瓦を収集する目的で文化財保護法に違反して掘られた可能性。[KSB瀬戸内海放送]
▼丸亀城跡関連記事→2022年7月19日 - 佐賀県
- 佐賀市の新馬場通りで、銅製鳥居の基礎の可能性のある石組み遺構。佐賀市の調査。[佐賀新聞]
- 韓国
- 忠清南道 公州市・石壮里遺跡(ソクチャンニいせき)で、旧石器時代の文化層を確認。石英製打製石器70点をはじめ、多様な石器が出土。[NEWSIS]
- 中国
- ▽考古学情報を発信しているAncient Originsが、 中国 、江蘇省 宜興 の周處墓(しゅうしょ ぼ)の帯金具をアルミニウム製とし、その謎が解明されていないと報道。▽おいおい。中国ではとっくの昔に、このなぞは解明済み。アルミニウムが検出されたのは形のない小片で、立派な西晋代の帯金具は銀製品。「考古学のおやつ」でも紹介済み。▽しかも帯金具の写真がさかさま。
▶The Enigma of the Nanjing Belt: How Could this Out of Place Artifact Exist?[Ancient Origins] - トルクメニスタン
- カイル岩陰遺跡(Kaylu)で出土した後期中石器時代〜新石器時代のDidacna属(Didacna sp.)の貝殻で作ったビーズについて、製作方法や使用方法を分析。狩猟採集民のビーズと農耕民のビーズの間の様式上の明らかな変化を確認。また、カスピ海の北・東・西と南との間に明らかな違いがあり、それぞれ別個の文化伝播ルートがあった。カスピ海南岸は農業が拡散する主要ルート上にあるが、カスピ海の北側にも別のルートが存在。特定型式のビーズが急速に広まるのは、カスピ海で長距離の海洋航海があったことを示す。[Phys.Org]
▶ Solange Rigaud, Alain Queffelec, François-Xavier Le Bourdonnec, Saltanat Alisher kyzy, Stanley H. Ambrose, Ronan Ledevin, Redzhep Kurbanov, Alexandra Buzhilova, Natalia Berezina, Rustam H. Ziganshin and Svetlana Shnaider (2023) Exploring Hypotheses on Early Holocene Caspian Seafaring Through Personal Ornaments: A Study of Changing Styles and Symbols in Western Central Asia. Open Archaeology. [De Gruyter] - ポーランド
- ヴォリン島(Wolin)近くのHangmen’s Hillで、木造建築が炭化した痕跡。10世紀の城壁が焼失したとみられ、伝説のヴァイキング集落ヨムスボルグ(Jomsborg)の可能性。ヨムスボルクは、アイスランドの12〜13世紀のサーガによると、デンマークのハラール1世青歯王(Harald Blåtand;Harald Bluetooth)が960年代に建設。1043年にデンマーク=ノルウェー王マグヌス1世(Magnus den gode);Magnus the Good)により破壊。[Heritage Daily]
▼西ポモージェ県(Województwo zachodniopomorskie)カミェン郡(Powiat kamieński;Kamień County)ヴォリン(Wolin) - ポーランド
- ポーランドから第二次世界大戦中にドイツによって持ち出され、遺失品となっていた16〜17世紀の絵画「聖母子」(アレッサンドロ・トゥルキ筆)が日本国内で見つかり、ポーランド側に無償で返還された。[朝日新聞]
- UK
- ブリテン島のペスト菌(Yersinia pestis)のゲノムを分析。LNBA系統(後期新石器時代〜青銅器時代)は4000年前(cal. BP)以前のものがあり、うち2例はサマセット州(the county of Somerset) チャーターハウス・ウォーレン(Charterhouse Warren)の異常な大型墓から、1例はカンブリア州(Cumbria)リーヴァンズ(Levens)のリングケルンの地下から出土した。いずれも中央ヨーロッパの青銅器時代に関され系統に属す、同様のペスト菌はさらに東アジアで3200年前にも見られる。
▶ Pooja Swali, Rick Schulting, Alexandre Gilardet, Monica Kelly, Kyriaki Anastasiadou, Isabelle Glocke, Jesse McCabe, Mia Williams, Tony Audsley, Louise Loe, Teresa Fernández-Crespo, Javier Ordoño, David Walker, Tom Clare, Geoff Cook, Ian Hodkinson, Mark Simpson, Stephen Read, Tom Davy, Marina Silva, Mateja Hajdinjak, Anders Bergström, Thomas Booth & Pontus Skoglund (2023) Yersinia pestis genomes reveal plague in Britain 4000 years ago. Nature Communications, volume 14, Article number: 2930. [Nature Communications]
2023年5月30日(火)
- 栃木県
- 真岡市・高田山専修寺(たかださんせんじゅじ)にある国重要文化財「楼門」が1691年に建立され、過去5回修理されていたことがわかる。建立以前の溝や建物跡の遺構も。真岡市教育委員会の調査。[下野新聞]
- 京都府
- 宇治市・平等院の鳳凰堂の柱に、口を開いて歯を見せて歌うような仏の絵。[朝日新聞]
- 韓国
- ソウル・光化門(クァンファムン)の月台跡の下から、朝鮮時代前期の痕跡。国立ソウル文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
▶光化門月台の下から朝鮮前期の遺構確認 [文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼光化門関連記事→2023年4月25日 - 中国
- 北京市 豊台区・新宮遺跡で、大坨頭文化(夏・商代)・紀元前1500年〜前1300年の二重環濠を持つ集落。また、竪穴土坑墓27基。[搜狐]
- 中国
- 陝西省 楡林市 清澗県・寨溝遺跡で、商(殷)時代晩期・李家崖文化の高級貴族の墓地。[人民網]
- オーストラリア
- アーネムランド(Arnhem Land)Awunbarnaの岩絵の中にインドネシア東部のマルク諸島(Kepulauan Maluku;Moluccas;モルッカ諸島)の南東マルク県(Maluku Tenggara)の船の描写を確認。スラウェシ島マカッサル以外の東南アジアからの人の往来を示す証拠。
▶Archaeologists identify Moluccan boats on NT rock art drawings[Flinders University]
▶ Mick de Ruyter, Daryl Wesley, Wendy van Duivenvoorde, Darrell Lewis & Iain Johnston (2023) Moluccan Fighting Craft on Australian Shores: Contact Rock Art from Awunbarna, Arnhem Land. Historical Archaeology. [SpringerLink] - イスラエル
- ガリラヤ地方(Galilee)のクファル・カナ(Kafr Kanna) にあるマシュハド村(Mashhad)でローマ時代の石灰岩製の石櫃や洞窟埋葬を発見。[Heritage Daily]
- エストニア
- ナルヴァ・ヨエスーIIB遺跡(Narva-Jõesuu IIB)の集落と墳墓で出土した、石器時代・縄目文土器文化(Corded Ware culture)・紀元前2800年〜前2000年の植物遺体を研究。オニビシ(Trapa natans)やセイヨウハシバミ(Corylus avellana)の殻を確認。さらに針葉樹や原野の植物などを確認し、遺跡周辺のモザイク状の環境を反映。野生植物のみを採集・利用しており、栽培の兆候は確認できなかった。▶ Santeri Vanhanen, Aivar Kriiska & Kerkko Nordqvist (2023) Corded Ware Culture Plant Gathering at the Narva-Jõesuu IIB Settlement and Burial Site in Estonia. Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online]
- 南アフリカ
- ガーデンルート国立公園(Garden Route National Park)で発見された、ホモサピエンスの最古の足跡を光刺激ルミネセンス(optically stimulated luminescence;OSL)による年代測定で、153000年前の足跡と判明。[LiveScience]
2023年5月29日(月)
- 佐賀県
- 神埼市・吉野ヶ里町にまたがる吉野ケ里遺跡(よしのがりいせき)で、弥生時代後期後半〜終末期・2世紀後半〜3世紀中ごろの可能性が高い石棺墓。佐賀県5/29発表。[毎日新聞]
- マレーシア
- ジョホール州の沖に無許可で停泊していて拿捕された中国籍の大型船に、戦時中に沈没したイギリス海軍の戦艦から金属や砲弾などを違法に引き揚げていた疑い。[TBS]
- マルタ
- マルサシュロック(Marsaxlokk)のタ・シルク遺跡(Tas-Silġ)で、クラシック時代のものとみられる採石場跡。[Arkeonews]
▼タ・シルク遺跡関連記事→2021年10月8日 - スペイン
- バニョラス(Banyoles)のラ・ドラガ遺跡(La Draga)で出土した前期新石器時代・紀元前5300年〜前4700年のゲッケイジュ(Laurus nobilis)の杭の表面に、工具の傷跡。木を伐採する前に付いたものと推定。森林管理の最古の証拠。
▶ Oriol López-Bultó, Patrick Gassmann, Ingrid Bertin, and Raquel Piqué (2023) Sorting the Trees: The Role of Laurus nobilis in the Woodland Management Practices at La Draga (Banyoles, Spain). International Journal of Wood Culture, 3(1-3), 329-348. [BRILL]
▼ラ・ドラガ遺跡関連記事→2020年8月17日
2023年5月28日(日)
- 栃木県
- 小山市・長福城跡(ちょうふくじょうあと)で、東西2カ所の土塁。13〜14世紀の土器が出土。小山市教育委員会の調査。下野守護・小山氏の居城の一つ。[朝日新聞]
▼長福城跡関連記事→2023年5月17日 - 鹿児島県
- 南九州市・飯倉神社に伝わる馬上杯2点は、中国・元時代に景徳鎮で焼かれた青白磁。透かし彫りとビーズ紐繋が特徴。[南日本新聞]
- トルコ
- 古代フリュギア(Φρυγία;Phrygia)の都市ヒエラポリス(Ἱεράπολις;Hierapolis)の3地域で出土した初期ビザンティン時代・5〜7世紀の卵形アンフォラ21点について、遺存物を分析。松脂でコーティングされブドウの成分を含み、一部のものからは植物油が検出された。
▶ Florinda Notarstefano, Serena Perrone, Francesco Messa, Grazia Semeraro (2023) Production and exchange of goods in Early Byzantine Hierapolis of Phrygia (Turkey): Organic residue analyses on local/regional ovoid amphorae. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 104048. [ScienceDirect]
2023年5月27日(土)
- 沖縄
- 沖縄沖の海中で見つかった沈没船は第二次世界大戦当時の米海軍の駆逐艦マナート・L・エベール(USS Mannert L. Abele)。1943年12月9日に起工。1944年4月23日沈没。[Heritage Daily]
- パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- エルサレム(Jerusalem)のアルモン・ハナチーブ(Armon Hanatziv)で発掘された、鉄器時代・ユダ王国(Kingdom of Judah)マナセ王(Manasseh)の治世・紀元前7世紀のトイレ跡と、アヒエルの家(House of Ahiel)の、紀元前8世紀ごろに作られ、紀元前586年にバビロニアのネブカドネザル2世(Nebuchadnezzar II)により破壊されたトイレから、ランブル鞭毛虫(Giardia duodenalis)を検出。赤痢(dysentery)が流行した最古の証拠。[The Jerusalem Post]
▶ Piers D. Mitchell, Tianyi Wang, Ya'akov Billig, Yuval Gadot, Peter Warnock and Dafna Langgut (2023) Giardia duodenalis and dysentery in Iron Age Jerusalem (7th–6th century BCE). Parasitology, First View, pp. 1 - 7. [Cambridge Core] - ジョージア
- アジャリア自治共和国(Adjara)のアプサロス砦(Ἄψαρος;Apsaros)で、ローマ時代の第10軍団フレテンシス(Legio X Fretensis)の駐屯の証拠となる硬貨出土。[Heritage Daily]
- ギリシャ
- トリコス(Θορικός;Thorikos)で鉄器時代・紀元前10〜前9世紀の住居跡。アテネやアッティカでは最古。
▶Presseinformation: Einzigartiger archäologischer Fund in Thorikos [Georg-August-Universität Göttingen]
▼トリコス遺跡関連記事→2016年2月11日 - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ハーゲン(Hagen)のブレッターヘーレ遺跡(Blätterhöhle)で、後期旧石器時代・12000年前の7歳程度の子供の下あごの骨と歯。
▶Neue Menschenfunde an der Blätterhöhle in Hagen [Archaeologie Online] - エジプト
- サッカラ(Saqqara)で、第30王朝とプトレマイオス朝のミイラづくり工房。古王国時代第5王朝と新王国時代・第18王朝の墓。[Ahram Online]
2023年5月26日(金)
- 北海道
- 利尻富士町で、旧石器時代・2万年前〜1万8000年前と思われる石器スクレーパー。利尻富士町と東京大学の調査。[北海道新聞]
- 奈良県
- 明日香村・甘樫丘遺跡群で、7世紀後半の建物跡。蘇我氏の滅亡後の土地利用の手がかり。明日香村教育委員会と関西大学5/26発表。[朝日新聞]
- イタリア
- エミリア=ロマーニャ州(Regione Emilia-Romagna)で、洪水の被害に遭った古書や手稿を産業用フリーザーで凍結し保管。[The Guardian]
- ポーランド
- ポーランドの2か所で第二次世界大戦当時の大型墓。グダニスク(Gdańsk)スタロガルト・グダンスキ(Stargard Gdański)のシュペンガフスクの森(Szpęgawskiで、長さ10m、幅5m、深さ2mで、84人を埋める。大人や子供など様々な世代。頭に銃弾を受ける。1939年12月〜1940年1月のドイツ軍によるポーランド人虐殺の犠牲者。また、ヴロツワフ(Wrocław)で、ドイツ人の兵士や市民の遺体120体以上。1945年のブレスラウの戦い(Battle of Breslau)のときの爆撃で死亡し、3月16日〜5月3日の間に埋葬。ブレスラウはヴロツワフのドイツ名。[The First News]
- 西ヨーロッパ
- ケシ(Papaver somniferum)の栽培化について、地中海地域北西部とアルプス周辺の新石器時代・紀元前5300年〜前2300年(cal. BC)の10遺跡から出土したケシの種子295試料と、後期青銅器時代・紀元前1070年の種子の形態を比較。地中海地域には、野生種に似た大きめの種子、アルプス周辺には栽培種に似た大きめの種子。細胞の数は後期新石器時代・紀元前3300年〜前2300年に増加し、後期青銅器時代に・紀元前1050年〜前800年には大きめの栽培種が支配的となる。形態の変化は後期青銅器時代の例にのみ明瞭に観察される。前期新石器時代には西地中海地域でケシが栽培されていた可能性はあるが、明確な兆候は見いだせない。
▶ Ana Jesus, Vincent Bonhomme, Allowen Evin, Raül Soteras, Stefanie Jacomet, Laurent Bouby, Ferran Antolín (2023) Morphometrics of waterlogged archaeological seeds give new insights into the domestication and spread of Papaver somniferum L. in Western Europe. Plos One, 18(5): e0286190. [PLOS ONE] - ペルー
- リマ県(Departamento de Lima)ワラル郡(Provincia de Huaral)・ミラフローレス遺跡(Miraflores)で出土した階段状のアンデス十字チャカナ(chacana)は、ペルー海岸地域に4000年〜3000年前にアイマラ人(Aimara)が居住し、その後アンデスのプーノ県やボリビアに移動した可能性を示す。[Andina]
▼ミラフローレス遺跡関連記事→2023年5月13日 - ペルー
- アマソナス県(Región Amazonas)バグア郡(Provincia de Bagua)のラス・フンタス遺跡(Las Juntas)で、スペイン人到来以前のバグア様式(Bagua)の集団墓地[Andina]
- 石器づくり
- 石器づくりによる負傷のコストについて、現代において石器づくりをしている人々173人に31問の質問。多くの人が保護具を使用しているものの、石器づくりの際の負傷のリスクは無視できない。不詳の可能性は全身に及び、回答者の1/4はフリントの加工中の負傷で専門医の診療を受けた。
▶ Nicholas Gala, Stephen J. Lycett, Michelle R. Bebber and Metin I. Eren (2023) The Injury Costs of Knapping. American Antiquity, Volume 88, Issue 3, July 2023, pp. 283 - 301. [Cambridge Core]
2023年5月25日(木)
- 長野県
- 飯田市・川原遺跡(かわらいせき)で、縄文時代から古墳時代の建物跡や墓。百済土器出土。長野県埋蔵文化財センターの調査。6/3現地説明会。
▶飯田市川原遺跡現地説明会 [長野県埋蔵文化財センター] - 大阪府
- 寝屋川市・上垣内遺跡(かみがいといせき)で、古墳時代後期・6世紀後半の横穴式石室を持つ古墳。公益財団法人大阪府文化財センターの調査。5/27現地公開。
▶上垣内遺跡発掘現場の『現地公開』を開催いたします。[公益財団法人大阪府文化財センター]
▼上垣内遺跡関連記事→2015年7月2日 - 奈良県
- 生駒市・北田原城跡(きたたはらじょうあと)で、戦国時代・16世紀中ごろの石積み遺構。幅3.5m。曲輪を区切る。生駒市教育委員会の調査。[朝日新聞]
- 韓国
- 全羅南道 康津郡 大口面 沙堂里の10号高麗青磁窯跡(第5次調査)で、高麗後期の青磁窯とともに、瓦葺き建物を初めて検出。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶尚南道 居昌郡 居昌邑 大東里・盆山城(第2次調査)で城壁を確認。[慶南日報]
- 中国
- 遼寧省 錦州市 凌海市 金城街道 梁山村・梁山墓地で、後漢代の密集した磚室墓8基と、遼・金時代の磁器窯1基。[新華社]
▼梁山墓地関連記事→2023年5月11日 - インド
- テランガーナ州(Telangana State)ハイデラバード(Hyderabad)の岩陰遺跡で新石器時代・紀元前4000年の石器。市内で新石器時代にさかのぼる遺物の出土は初。[The Hindu]
- イスラエル
- メギド遺跡(Megiddo)の墓で出土した青銅器時代・3500年前の土器にワインの成分。死者にワインをささげていた。[Haaretz]
▼メギド遺跡関連記事→2023年5月2日 - イスラエル
- ネゲヴ高地(Negev Highlands)の4遺跡、ナハル・ボケル66遺跡(Nahal Boqer 66)の前期青銅器時代〜中間期青銅器時代前半(Early Intermediate Bronze Age)・紀元前3200年〜前2200年の66試料、エン・ツィク遺跡(Ein Ziq)の中間期青銅器時代前半・紀元前2500年〜前2200年、マシャベイ・サベ遺跡(Mashabe Sade)の中間期青銅器時代前半・紀元前2500年〜前2200年、ハロア遺跡(Haroa)の鉄器時代IIA期(Iron Age IIA)・紀元前10世紀後半〜前9世紀の花粉サンプル44試料により、青銅器時代と鉄器時代の人口動態を研究。穀物栽培の証拠はなく、野生生物を採集して食べていた可能性。ナハル・ボケル66遺跡では動物の糞が検出されており、放牧がおこなわれたことを示す。4遺跡はいずれも晩冬から春にかけて居住。紀元前3千年紀のネゲヴ高地はアラバハ渓谷(Wadi Arabah)での銅生産と、エジプトなど隣接地との交易に関連。
▶ Dafna Langgut, Israel Finkelstein (2023) Environment, subsistence strategies and settlement seasonality in the Negev Highlands (Israel) during the Bronze and Iron Ages: The palynological evidence. Plos One, 18(5): e0285358. [PLOS ONE] - レバノン
- ベイルート(Beirut)で発見された大規模なローマ時代の墓地から出土した人骨19体に対し、酸素とストロンチウムの同位体分析。ローマ帝国内のさまざまな地域からの移住者。同位体による情報と物質文化を比較すると、移住者のアイデンティティは必ずしも埋葬には反映されない。
▶Vana Kalenderian, Christophe Snoeck, Sanne W.L. Palstra, Geoff M. Nowell, Assaad Seif (2023) Migration and mobility in Roman Beirut: The isotopic evidence. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 104044. [ScienceDirect] - ポーランド
- ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie) ミコワイキ(Mikołajki)のオジシュ通り(ulica Orzyszowa)で、鉄器時代の信仰にかかわる花崗岩製の石柱と、石臼、土器など。土器は西バルト文化(West Baltic Barrow culture)やボガチェヴォ文化(Bogaczewo culture)。また、後期中世の集落。
▶Archaeologists discover traces of prehistoric settlements Mikołajki [Nauka w Polsce] - ドイツ
- ドルトムント(Dortmund)の第二次世界大戦時の防空壕で、バーを発見。1940〜1941年に市民が建設。[Newsweek]
2023年5月24日(水)
- 神奈川県
- 鎌倉市・大倉幕府周辺遺跡群(おおくらばくふしゅうへんいせきぐん)で、鎌倉時代を中心とした道路と考えられる整地層や、それらと並行する柵の柱穴、門と考えられる建物跡など。6/3現地説明会。
▶大倉幕府周辺遺跡群の発掘調査現地説明会(第3回)を開催します [鎌倉市]
▼大倉幕府周辺遺跡群関連記事→2023年2月8日 - 長野県
- 茅野市・永明中学校校庭遺跡(えいめいちゅうがっこうこうていいせき)で、弥生時代後期・3世紀の石を積み上げて作ったような墓。茅野市教育委員会の調査。5/28現地説明会。[信濃毎日新聞]
▼永明中学校校庭遺跡関連記事→2023年3月15日 - 中国
- 新疆ウイグル自治区(Xinjiang)トゥルファン(吐魯番;Turfan)・洋海墓群(Yanghai Tombs)で、蘇貝希文化(Subeixi culture)の女性の墓から出土した革製の鞍は、放射性炭素年代で紀元前724年〜前396年。スキタイの鞍よりもさかのぼり、世界最古。騎乗者は被葬者の女性。 [LiveScience]
▶ Patrick Wertmann, Maria Yibulayinmu, Mayke Wagner, Chris Taylor, Samira Müller, Dongliang Xu, Irina Elkina, Christian Leipe, Yonghong Deng, Pavel E. Tarasov (2023) The earliest directly dated saddle for horse-riding from a mid-1st millennium BCE female burial in Northwest China. Archaeological Research in Asia, Volume 35, September 2023, 100451. [ScienceDirect]
▼洋海墓群関連記事→2022年6月17日 - フランス
- シャラント県(Charente)のル・プラカール遺跡(Le Placard)、ロット県(Lot)のプチ・クル・バラ遺跡(Petit Cloup Barrat)と「カーヴ・ア・エンディヴ」遺跡(Cave à Endives)で出土した、後期旧石器時代・マドレーヌ文化(Magdalenian)、ソリュートレ文化(Solutrean)、バドグール文化(Badegoulian)・約22000年前のオープンリング(open ring;objet arciforme)12個は、シカの角で作られ、「Ω」形。民族誌と比較し、実験も行った結果、投槍器(Spearthrower)の指をひっかける環であった可能性を指摘。
▶PUZZLING RINGS MAY BE FINGER LOOPS FROM PREHISTORIC WEAPON SYSTEMS, RESEARCH FINDS [The University of Kansas]
▶ Justin Garnett & Frederic Sellet (2023) Exploring the Possible Function of Paleolithic Open Rings as Spearthrower Finger Loops. Journal of Paleolithic Archaeology, volume 6, Article number: 9. [SpringerLink] - スペイン
- ペナギラ(Penáguila)で新石器時代・7000年前の洞窟絵画をドローンで発見。人物、シカ、ヤギなどを彩色で表す。アリカンテ大学(Universidad de Alicante)の調査。[Heritage Daily]
- スペイン
- セビリア県(Provincia de Sevilla)カルモナ(Carmona)で2019年にローマ時代の墓から出土した石英製の容器ウンゲンタリウム(Unguentarium)の内容物を分析。香水の一種パチョリ油(patchouli)と推定。容器の栓はドロマイトで、アスファルトで封印。▶ Daniel Cosano, Juan Manuel Román, Fernando Lafont and José Rafael Ruiz Arrebola (2023) Archaeometric Identification of a Perfume from Roman Times. Heritage, 2023, 6(6), 4472-4491. [MDPI]
- UK(イングランド)
- カンブリア州(Cumbria)カーライル(Carlisle)で、ハドリアヌスの城壁(Hadrian’s Wall)近くのローマ時代の浴場跡からローマ時代・200年ごろの砂岩製の彫像。[Grampion Online]
- エジプト
- 古代エジプトの棺の蓋がイスラエルでCTスキャンにより調査されたとイスラエルメディアが報道したことについて、エジプト政府は、エジプトからイスラエルへ棺が輸送されたことを否定。[Ahram Online]
- ペルー
- クスコ県(Departamento de Cusco)ラ・コンベンシオン郡(Provincia de La Convención)ビルカバンバ町(Distrito de Vilcabamba)のYuraq Rumi Ñusta Hispana遺跡で発見された儀式用の容器の中から、金属製ブレスレット3個。[Andina]
2023年5月23日(火)
- 鳥取県
- 米子市・尾高城跡(おだかじょうあと)で、本丸と二の丸の跡から石垣を新たに確認。米子市の調査。戦国時代に尼子氏と毛利氏が争奪戦を繰り広げた城。[NHK]
- 中国
- 甘粛省 霊台県・橋村遺跡(Qiaocun)で出土した、竜山文化早期の瓦片5000点からさまざまな形の瓦を組み合わせた瓦屋根を復元。AMS年代で紀元前2400年〜前2200年にあたり、竜山文化早期・廟底溝2期文化。さまざまな形の瓦による瓦屋根の最古例。その後、西周時代に瓦は大きく発展し、ほかのアジア諸国にも伝わった。
▶北大考古文博学院与甘粛省文物考古研究所合作復原世界最早複合陶瓦屋頂
▶PKU researchers reconstruct earliest known composite-tiled roofs [北京大学]
▶ Yijing Xu, Jing Zhou, Jianlong Zhao, Guoke Chen, Wen Li, Mingzhi Ma, Francesca Monteith, Shengyu Liu, Minghao Peng, Andrew Bevan & Hai Zhang (2023) Reconstructing the earliest known composite-tiled roofs from the Chinese Loess Plateau. Scientific Reports, volume 13, Article number: 8163. [Scientific Reports] - カンボジア
- アンコール遺跡群(Angkor)のスラ・スラン遺跡(Kandal Srah Srang)で、アンコール朝の遺物1000点。アプサラ機構(Apsara National Authority)の調査。[Heritage Daily]
▼スラ・スラン遺跡関連記事→2020年5月9日 - フィリピン
- マニラ(Manila)のラウトン(Lawton)にあるマニラ中央郵便局(Manila Central Post Office)の建物で火災。1926年に建てられた歴史的建造物。2018年に国立博物館により重要文化財(Important Cultural Property)に認定。[The Philippine Star]
- ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)アシャースレーベン(Aschersleben)にあるケーニヒスアウエ(Königsaue)で出土した、中期旧石器時代のネアンデルタール人がつくったシラカバ製タールを分析し、ネアンデルタール人が採用したのは、最も簡便な精製方法でく、偶然の産物としてタール精製を会得したわけではなかった。
▶ Patrick Schmidt, Tabea J. Koch, Matthias A. Blessing, F. Alexandros Karakostis, Katerina Harvati, Veit Dresely & Armelle Charrié-Duhaut (2023) Production method of the Königsaue birch tar documents cumulative culture in Neanderthals. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 15, Article number: 84. [SpringerLink] - ドイツ
- 北フリースラント(Nordfriesland;North Frisia)のワッデン海(Wattenmeer:Wadden Sea)で、1362年に水没した中世の交易拠点ルングホルト(Rungholt)の教会の場所を特定。
▶Lost since 1362: Joint scientific project locates the sunken church of Rungholt in the North Frisian Wadden Sea in Germany [Christian-Albrechts-Universität zu Kiel]
▶ Dennis Wilken, Hanna Hadler, Tina Wunderlich, Bente Majchczack, Michaela Schwardt, Annika Fediuk, Peter Fischer, Timo Willershäuser, Stefanie Klooß, Andreas Vött, Wolfgang Rabbel (2023) Lost in the North Sea—Geophysical and geoarchaeological prospection of the Rungholt medieval dyke system (North Frisia, Germany). Plos One, 17(4): e0265463. [PLOS ONE] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)パ=ド=カレー県(Pas-de-Calais) テルアンヌ(Thérouanne)で、古代の手工業地区。テルアンヌはモリニ族(Morini;Morins)の都。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Un quartier artisanal antique sous les alluvions de la Lys à Thérouanne (Pas-de-Calais) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - USA
- ペンシルベニア州(Commonwealth of Pennsylvania)・フォート・ネセシティ国立古戦場(Fort Necessity National Battlefield)で、ジュモンヴィルグレンの戦い(Jumonville Glen)の跡を確認。18世紀の弾丸など出土。フレンチ・インディアン戦争(French and Indian War:1754〜1763年)の最初の弾丸。
▶Recent archaeology project uncovers first shots of the French and Indian War[Fort Necessity National Battlefield] - プエルトリコ
- モナ島(Isla de Mona)で出土した土器40点に残る残留物を分析。1490〜1520年のオリーブ用土器にワインの成分。アメリカで最古のワインを飲んだ痕跡。土器の中に魚の痕跡はなし。タンパク質は先住民タイノ人の伝統を引き継ぐバーベキューで焼いた。
▶Earliest evidence of wine consumption in the Americas found in Caribbean [Cranfield University]
▶ Lisa Briggs, Jago Cooper, Oliver E. Craig, Carl Heron, Alexandre Lucquin, María Mercedes Martínez Milantchi & Alice Samson (2023) Molecular evidence for new foodways in the early colonial Caribbean: organic residue analysis at Isla de Mona, Puerto Rico. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 15, Article number: 70. [SpringerLink] - ペルー
- リマ県(Departamento de Lima)ワラル郡(Provincia de Huaral)・マカトン墓地(Macatón)で、チャンカイ文化(Chancay)・1100〜1400年のエリートの墓。7m四方で深さ6m。ヒト5人とリャマ4頭の生贄。副葬土器5個と木製オール。被葬者は漁撈活動に関係した人物か。[Andina]
▼マカトン遺跡関連記事→2023年5月20日
2023年5月22日(月)
- ルーマニア
- ブザウ県(Județul Buzău)のクルロマネシュティ(Cârlomăneşti)とピエトロアサ・ミカ(Pietroasa Mică)で出土した紀元前3世紀〜紀元後1世紀のガラス製品6個を分析。これらはヘレニズム時代に典型的なレシピで作られたナトロンガラス。
▶ Roxana Bugoi, Despina Măgureanu, Sebastian Matei, Decebal Iancu, Dragoş Mirea (2023) A pilot study on glass finds discovered in the Geto-Dacian settlements from Cârlomăneşti and Pietroasa Mică, Buzău County, Romania. Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms, Volume 541, August 2023, Pages 126-133. [ScienceDirect] - ペルー
- クスコ県(Región Cusco)の Ak'awillay 遺跡で出土した、ワリ(Wari)以前およびワリの拡大期・1千年紀の骨角器を分析。骨角器を、織物づくり、食物調理、儀式などの道具として開発。公共の空間では食料が調理され、私的な空間では家族で織物生産の知識が共有された。
▶ Aleksa K. Alaica, Véronique Bélisle (2023) Bone and antler artifact use in the 1st millennium CE of Cusco, Peru: Insights on textile production and food processing from the site of Ak'awillay. Quaternary International. [ScienceDirect]
2023年5月21日(日)
- 中国
- 南京で出土した初期青磁5件を、越窯の49サンプルと比較し、出自を推定。越窯の青磁の胎土は長期にわたって安定的に同じ産地から得られているが、南京出土の初期青磁のうち2点のみ浙江地域に由来。
▶ Xiaoling Gao, Letian Zhu, Bin Zhang, Shuang Wu, Jianming Zheng (2023) PIXE and FCA study on the provenance of early celadons unearthed from Nanjing, China. Journal of Cultural Heritage, Volume 62, July–August 2023, Pages 65-71. [ScienceDirect] - 中国
- 海南省 三亜市沖の南海の水深1500mの深海2か所で沈没船を発見。[新華社]
- フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne)のラ・シャペル=デ=フジュレッツ(la Chapelle-des-Fougeretz)のローマ時代・紀元前1世紀後半〜紀元後4世紀の神殿は、マルス神を祀っているとみられていたが、実際は多くの神々を祀っていた可能性。青銅のマルス像が出土していたが、その他にウェヌス女神の粘土像も出土した。
▶ROMAN TEMPLE THOUGHT TO BE DEDICATED TO MARS COULD ACTUALLY HAVE BEEN USED TO WORSHIP MANY GODS [University of Winchester] - スペイン
- サラマンカ県(Provincia de Salamanca)のマティッリャ・デ・ロス・カニョス・デル・リオ城(Castill de Matilla de los Caños del Río)で、完全に揃った16世紀の甲冑。クロスボウやナイフを伴う。このほか内城壁と外城壁、門跡、貯水池、円塔、武器庫などを確認。しかし、アラブ人が占拠していた証拠はない。従来、この城はアラブ人によるイベリア半島征服直後の711〜732年に築かれたと考えられていたが、詳しいことはわからず、史料によるとアラゴン王フェルナンド2世(Fernando II)の命令で1505年に破壊された。[Heritage Daily]
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