2024年3月10日(日)
- 埼玉県
- 川越市立博物館に寄託されていた市指定文化財「小川家文書」のうち、「二十四ポンド長銅筒五分一之図」がなくなった問題で、川越市教育委員会が調査報告書をまとめた。資料の乱雑な収蔵状況や専門分野以外の資料に対する希薄な意識などが紛失の原因になったと指摘。[埼玉新聞]
- UK(イングランド)
- グロスターシャー州(the county of Gloucestershire)テュークスベリ(Tewkesbury)のカウフィールド・ファーム(Cowfield Farm)で、中世の堀。木像の端の一部が遺存しており、年輪年代で15世紀中ごろ。[BBC]
▼カウフィールド・ファーム関連記事→2023年12月21日
2024年3月9日(土)
- 石川県
- 輪島市で能登半島地震により被災した輪島塗の復興に向けて、支援策を検討するプロジェクトチームを文化庁に設置へ。[NHK]
- 石川県
- 輪島市を除く能登8市町で、国や石川県、市町指定の文化財202件が能登半島地震で被災。[北國新聞]
- ギリシャ
- ラコニア(Λακωνία;Laconia)のアイオス・ヴァシレイオス北墓地(Άγιος Βασίλειος;Ayios Vasileios)について、56個の放射性炭素年代測定値を用いて、ミュケナイ文明の絶対編年を試みる。同墓地は中期ヘラディック3期(Middle Helladic III)から後期ヘラディック2B期(Late Helladic IIB)まで継続した墓地。
▶ Pınar Erdil, Michael W. Dee, Margot Kuitems, Ioanna Moutafi, Vasco Hachtmann, Efrossini Vika, Sofia Voutsaki (2024) The absolute chronology of the North Cemetery at Ayios Vasileios, Laconia. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 55, May 2024, 104457. [ScienceDirect] - ギリシャ
- テッサロニキ(Θεσσαλονίκη;Thessaloniki;Salonika)のトゥンバ遺跡(Τούμπα;Toumba)で出土した青銅器時代の石英製の石器群に関し、残留物をを分析。
▶ Ourania Palli, Ioannis Nazlis, Stelios Andreou, Kostas Kotsakis, Sevasti Triantafyllou, Georgia Kourtessi-Philippakis (2024) Micro-residues on quartz tools: The example of Bronze Age Thessaloniki Toumba. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 55, May 2024, 104470. [ScienceDirect]
▼トゥンバ遺跡関連記事→2023年8月3日 - ポーランド
- ルブシュ県(Województwo lubuskie;Lubusz)ジャガン(Żagań)の都市の防御用の城壁について、放射性炭素年代や年輪年代により研究。
▶ Andrzej Legendziewicz, Krzysztof Raszczuk & Arkadiusz Michalak (2024) Municipal Defensive Walls in Western Poland: The Example of Żagań. International Journal of Architectural Heritage. [Taylor & Francis Online] - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)マクデブルク(Magdeburg)で新石器時代・バールベルゲ文化(Baalberger Kultur)・6000年前の墓2基。また、球状アンフォラ文化(Kugelamphoren-Kultur;Globular Amphora culture)の牛2頭と成人男性1人の埋葬。[Stuttgarter Zeitung]
- ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)カールスルーエ市(Karlsruhe)のドゥルラッハ地区(Durlach)にあるヘンクスプラッツ(Hengstplatz)で人骨160体以上。15〜17世紀にあった旧ドゥルラッハ病院(Durlacher Spital)のものとみられる。
▶ Grabungen am Hengstplatz in Karlsruhe-Durlach sind abgeschlossen [Archaeologie Online] - フランス
- ガール県(Gard) エゲーズ(Aiguèze)にあるポワン洞窟(Grotte aux points;Points Cave)の石筍の一つSTM-18-04には4つの暗色層があり、洞窟内での火災を示す。火災の時期はそれぞれ14,200年前・14,100年前と12,500年前で、オールダー・ドリアス(Older Dryas)とヤンガードリアス(Younger Dryas)に対応し、後期旧石器時代の人類の活動を示す。
▶ Maïlys Richard, Edwige Pons-Branchu, Hélène Valladas, Michael B. Toffolo, Stéphan Dubernet, Arnaud Dapoigny, Jean-Pascal Dumoulin, Pierre-Antoine Beauvais, Julien Monney (2024) Chronology of Upper Paleolithic human activities recorded in a stalagmite at Points Cave (Aiguèze, Gard, France). Geoarchaeology, Early View. [Wiley Online Library]
▼オクシタニー地域圏(Occitanie) - USA
- テキサス州(State of Texas)ワシントン郡(Washington County)のブラゾス川(Brazos River)の近くで、19世紀の遺物など10000点。1836年にテキサス独立宣言(Texas Declaration of Independence)に署名されたテキサス発祥の地。[Newsweek]
- ブラジル
- トカンティンス州(Estado de Tocantins)ジャラパン(Jalapão)で新たに遺跡16か所。2000年前のロックアート、ヒトや動物の足跡。この地域でのヒトの居住が12000年前にさかのぼることもわかる。[The Art Newspaper]
2024年3月8日(金)
- 岩手県
- 花巻市・花巻城本丸跡で、本丸御殿の遺構が良好に残存していることを確認。花巻市教育委員会の調査。
▶ 花巻城本丸跡内容確認調査の結果をお知らせします(令和5年度) [花巻市]
▼花巻城本丸跡関連記事→2023年10月17日 - 千葉県
- 市川市・姥山貝塚(うばやまかいづか)で1926年に竪穴住居の床から見つかった縄文時代の人骨5体のうち、成人女性と子どもには血縁関係がない。新潟医療福祉大学などの調査。[毎日新聞]
- 岐阜県
- 高山市・松本上野遺跡で、縄文時代の土坑2基から下呂石製の石器が集中して出土。また、平安時代〜鎌倉時代のものと考えられる木炭焼成坑1基。岐阜県文化財保護センターの調査。
▶ 松本上野遺跡の調査成果を紹介します [岐阜県文化財保護センター] - 奈良県
- 奈良市・大安寺旧境内(だいあんじきゅうけいだい)の東塔跡の基壇部分に、塗料による落書き。警察が文化財保護法違反の疑いで捜査。[NHK]
▼大安寺旧境内関連記事→2024年2月5日 - 北九州市
- 門司区で出土した明治時代の初代門司駅の遺構をめぐり、遺構の一部移築費を削除した2023年度一般会計補正予算の修正案が3/8北九州市議会本会議で可決。追加の発掘調査や遺構の取り扱いについて改めて検討へ。[西日本新聞]
- 鹿児島県
- 鹿屋市・萩ヶ峰遺跡(はぎがみねいせき)で、縄文時代晩期〜弥生時代初頭・2800年前に南西諸島で作られたとみられる土器。大隅半島での出土は初。鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターの調査。[南日本新聞]
- 中国
- 山西省 忻州市 忻府区 河習頭村で、明代の紀年磚室墓から、木製の家具や文房具。[中国新聞網]
- ニュージーランド
- オタゴ海岸(Otago)のシャグ川(Shag River)河口にあった初期マーオリ人(Māori)の集落の生活層で、寄生虫を調査し2種を確認。イヌ回虫(Toxocara canis)は、持ち込まれたイエイヌ「クリー」(kurī;Canis familiaris)に関連。もう1種はStringopotaenia psittaceaによく似ており、絶滅の危機にある固有種のフクロウオウム「カーカーポ」(kākāpō;Strigops habroptilus)にかかわる。
▶ Mark Horrocks, Bronwen Presswell, Ian W.G. Smith (2024) New discoveries from the early Māori village at Shag River Mouth, New Zealand, reveal intestinal parasites. Archaeology in Oceania, Early View. [Taylor & Francis Online] - UK(イングランド)
- オックスフォードシャー州(the county of Oxfordshire)のチャーウェル川(River Cherwell)で昨年発見された剣は、850年〜975年のヴァイキングの剣。磁石で金属製品を探すマグネット・フィッシャー(magnet fisher)による発見。[LiveScience]
- エジプト
- 紅海沿岸のベレニケ(Βερενίκη;Berenike)にある後期古代・4〜5世紀の墓2基から出土したビーズと宝飾品を研究。後継沿岸と、ナイル流域のヌビア地域との関係を示す。従来から紅海沿岸の港湾遺跡で出土したインド産ビーズから北アフリカとアジアの盛んな関係が示されてきた。
▶ Joanna Then-Obłuska (2024) Adornment deposits: a study of bead and jewellery remains from Late Antiquity tombs in the Red Sea port of Berenike. Azania: Archaeological Research in Africa. [Taylor & Francis Online] - 南米
- エクアドル、コロンビア、ペルー、メキシコ、ベリーズ、パナマで出土した5900年前〜400年前の土器352点に残る残留物を分析。チョコレートの原料であるカカオ(theobroma cacao)のDNAには3つの系統がある。5000年前にアマゾン地域で栽培化されたのち、太平洋岸のヒトの移住や交易のルートに沿って急速に広がる。[Newsweek]
▶ Claire Lanaud, Hélène Vignes, José Utge, Gilles Valette, Bénédicte Rhoné, Mariella Garcia Caputi, Natalia Sofía Angarita Nieto, Olivier Fouet, Nilesh Gaikwad, Sonia Zarrillo, Terry G. Powis, Ann Cyphers, Francisco Valdez, S. Quirino Olivera Nunez, Camilla Speller, Michael Blake, Fred Jr. Valdez, Scott Raymond, Sarah M. Rowe, Guy S. Duke, Francisco Ernesto Romano, Rey Gaston Loor Solórzano & Xavier Argout (2024) A revisited history of cacao domestication in pre-Columbian times revealed by archaeogenomic approaches. Scientific Reports, volume 14, Article number: 2972. [Scientific Reports]
2024年3月7日(木)
- 北九州市
- 門司区で出土した明治時代の鉄道遺構をめぐり、遺構を移築する予算案が否決された。北九州市議会建設建築委員会は、北九州市が提案した2023年度一般会計補正予算案のうち、遺構の一部移築費を含む同委員会所管分を賛成少数で否決。[西日本新聞]
- 北九州市
- 門司区で出土した明治時代の鉄道遺構をめぐり、北九州市は遺構を一部移築する方針の理由として「地元の声」を強調してきたが、遺構の出土後はパブリックコメントや市民アンケート、住民説明会などを実施していなかった。[西日本新聞]
- 韓国
- 京畿道 城南市 福井洞(ポクチョンドン)で、百済・5世紀前半の窯跡遺跡の廃棄物艸から、日本製とみられる埴輪の破片出土。タテハケを施し、タガをめぐらせる。日本列島から渡った倭人が生産活動に従事していた可能性。[ハンギョレ]
- 中国
- 山西省 長治市 潞州区 羌城村・羌城金代墓地で、金代の仿木結構磚室壁画墓3基。[中国新聞網]
- 中国
- 山西省 呂梁市 汾陽市 杏花村鎮 東堡村・新芦家街醸酒作坊遺跡で、明清時代の酒の醸造遺構。[中国新聞網]
- ウクライナ
- ウクライナ西部のコロレヴォ遺跡(Королево;Korolevo)で、オルドワン文化(Oldowan)・140万年前の石器。ヨーロッパ最古の石器。ホモエレクトゥス(Homo erectus)が使用。[LiveScience]
▶ R. Garba, V. Usyk, L. Ylä-Mella, J. Kameník, K. Stübner, J. Lachner, G. Rugel, F. Veselovský, N. Gerasimenko, A. I. R. Herries, J. Kučera, M. F. Knudsen & J. D. Jansen (2024) East-to-west human dispersal into Europe 1.4 million years ago. Nature. [Nature] - スイス
- ヴァレー州(Canton du Valais;Kanton Wallis) シオン(Sion;Sitten)にあるアンシャン・アルスノー遺跡(Anciens Arsenaux)で、新石器時代・紀元前5千年紀初めの鋤の跡。アルプス地方に農耕牧畜社会が確立された直後に、家畜が牽引に利用されていたことを示す。従来、ヨーロッパでの動物の牽引の証拠は後期新石器時代・紀元前4千年紀以降の者が知られていた。
▶ Samuel van Willigen, Sylvain Ozainne, Michel Guélat, Anne-Lyse Gentizon Haller & Marc Haller (2024) New evidence for prehistoric ploughing in Europe. Humanities and Social Sciences Communications, volume 11, Article number: 372. [Nature] - ポーランド
- ルブシュ県(Województwo lubuskie;Lubusz) スウビツェ郡(Powiat słubicki;Słubice County)で青銅器時代・ラウジッツ文化(Kultura łużycka;Lusatian culture)の鎌3点、斧2点、ブレスレット4点、環6点など。[Heritage Daily]
- フランス
- ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏(Pays de la Loire) ロワール=アトランティック県(Loire-Atlantique)シャトーブリアン(Châteaubriant)で、中世・13世紀の城に伴うとみられる防御用の堀。第二次世界大戦当時のジグザグの塹壕も。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶ Le passé de Châteaubriant exploré par les archéologues (Loire-Atlantique) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
2024年3月6日(水)
- 長野県
- 松本市・弘法山古墳(こうぼうやまこふん)の全長は62mで、前方部がばち形に開くと判明。3世紀末に築造された前方後方墳であることを裏付け。松本市教育委員会の調査。3/15現地説明会。[信濃毎日新聞]
▼弘法山古墳関連記事→2020年12月13日 - 岡山市
- 東区・万富東大寺瓦窯跡(まんとみとうだいじかわらがまあと)で、未知の灰原を確認。東大寺の再建のため鎌倉時代初めごろに瓦を焼いた窯跡。岡山市埋蔵文化財センターの調査。3/9現地説明会。[岡山市埋蔵文化財センター]
▼万富東大寺瓦窯跡関連記事→2001年11月23日 - 北九州市
- 門司区・初代門司駅の遺構をめぐり、北九州市議会の一部の市議が、遺構の一部移築費を2023年度一般会計補正予算案から削除する修正動議を提出へ。市の移築方針決定に至る過程が問題視されている。[西日本新聞]
- 福岡県
- 大野城市・水城跡(みずきあと)で、古代水城に設置された木樋が中世以降に抜き取られた跡。埋め戻した土の直下の堆積土から12世紀の土器。大野城市3/5発表。3/10説明会。[西日本新聞]
▼水城跡関連記事→2018年3月16日 - イスラエル
- 下ガリラヤ(Lower Galilee)の死火山「ヒッティーンの角」(Horns of Hattin)で、3500年前のエジプトのファラオ・トトメス3世(Thutmose III)の印章を発見。[BNN]
- トルコ
- コンヤ県(Konya ili)チュムラ郡(Çumra)のチャタル・ヒュユク遺跡(Çatalhöyük)の第66区で見つかった日干し煉瓦建物の中のかまどから、新石器時代・8600年前のパン。[Anadolu Ajansı]
- キプロス
- キプロスの英軍基地でヘレニズム時代の墓地など。
▶ Lost tombs and quarries rediscovered on British military base in Cyprus [University of Leicester] - スロベニア
- ピラン(Piran)のポルトロシュ海岸(Portoro)沖のアドリア海の海底で、ローマ時代の土器などの遺物。[Heritage Daily]
- スロバキア
- トルナヴァ県(Trnavský kraj;Trnava region)セニツァ郡(okres Senica)で、第二次世界大戦当時のドイツ第三帝国の兵士とみられる35歳程度の男性人骨。[The Slovak Spectator]
- スウェーデン
- カルマル(Kalmar)で、15世紀の金の指輪とガラス製護符などの遺物30000点。1611年のカルマル戦争の痕跡も。[Heritage Daily]
2024年3月5日(火)
- 岐阜県
- 多治見市 ・小名田白山神社の参道脇で、15世紀末ごろの古窯跡。多治見市教育委員会の調査。3/4現地説明会。[中日新聞]
▼小名田白山神社古窯跡 - 熊本市
- 熊本城の備前堀東側で、石垣の最下段にある根石の据え方に2種類あることが判明。石垣を安定させるため、地盤に合わせて工夫した可能性。熊本城総合事務所の調査。[読売新聞]
- 宮崎県
- 都城市・菅ヶ迫遺跡(すがさこいせき)で、鎌倉時代〜室町時代の集落跡や水田跡。陶磁器や洪武通宝、笄など出土。都城市の調査。3/9現地説明会。
▶「菅ヶ迫(すがさこ)遺跡」発掘調査成果の現地説明会を開催します(3月9日・土曜日)[都城市] - 韓国
- 慶尚南道 梁山市・法基里窯址(ポプキリようし)について、管理や復元が必要であるとと、慶尚南道議会で議論。朝鮮時代・16〜17世紀に白磁を生産し、日本にも輸出した窯。[聯合ニュース]
- 中国
- 河北省 張家口市 陽原県の泥河湾盆地(Nihewan)にある嶺家湾遺跡で、110万年前の準備石核技術(Prepared core technology)。ユーラシア大陸最古。[中国新聞網]
▶ Dong-Dong Ma, Shu-Wen Pei, Fei Xie, Zhi Ye, Fa-Gang Wang, Jing-Yue Xu, Cheng-Long Deng, and Ignacio de la Torre (2024) Earliest Prepared core technology in Eurasia from Nihewan (China): Implications for early human abilities and dispersals in East Asia. Proceedings of the National Academy of Sciences, 121 (11) e2313123121. [PNAS] - 中国
- 江西省 九江市 都昌県にある鄱陽湖の金山水域にある金山船貨遺跡で、元代・1300年ごろの青白磁2万件が出土。[中国新聞網]
- イスラエル
- ハボニム北遺跡(Habonim North)の海底集落で、前期土器新石器時代(Early Pottery Neolithic)・紀元前6400年〜前5500年の居住の証拠を確認。文化内容はその後の新石器時代にも継続。8400年前の寒冷化のために前期土器新石器時代の遺跡は少ないとみられていたが、気候変動により生じた不確実性に対する海岸集落の回復力を示す。
▶ Roey Nickelsberg, Thomas E. Levy, Ruth Shahack-Gross, Anthony Tamberino, Scott McAvoy, Gal Bermatov-Paz, Nimrod Marom, Ehud Arkin Shalev, Ehud Weiss and Suembikya Frumin (2024) Continuity and climate change: the Neolithic coastal settlement of Habonim North, Israel. Antiquity, First View, pp. 1 - 20. [Cambridge Core] - ロシア
- ウラル東麓(Trans-Urals)南部のヴォルフスカヤ・ヤマ銅山(Vorovskaya Yama)で出土した後期青銅器時代・アラクル文化(Алакуль;Alakul)の獣骨を分析。ウシやイノシシは2〜2.5歳のものが多く、アラクル文化の通常の集落でのデータと同様。食肉目的で供給されたとみられる。暖かい季節に富厚されたとみられる個体が多く、鉱山労働の季節性を示す。
▶ Polina S. Ankusheva, Alexey Yu. Rassadnikov, Maksim N. Ankushev, Olga P. Bachura, Igor V. Chechushkov, Daria V. Kiseleva, Elya P. Zazovskaya & Andrey V. Epimakhov (2023) Meat Supply of Alakul Miners at the Bronze Age Vorovskaya Yama Copper Mine (Southern Trans-Urals). Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online] - ポーランド
- ルブリン県(Województwo lubelskie;Lublin)ザモシチ郡(powiat zamojski;Zamość County)ニエリシュ(Nielisz)のヴルカ・ニエリスカ(Wólka Nieliska)で、竜バジリスクを表わすバッジ。中世に巡礼が用いた護符。鉛と錫の合金。[Nauka w Polsce]
- フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne)フィニステール県(Finistère)モルレー(Morlaix)で、ジャコバン修道院教会を発掘し、墓230基を調査。ジャコバン修道院は1238年創立。
▶ Fouille de l’église du couvent des Jacobins à Morlaix (Finistère) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- バルセロナ県(Barcelona)のコバ・デルス・サラガルス(Cova dels Xaragalls)で人骨7000点。後期新石器時代・7000年前から青銅器時代・3000年前まで4000年間にわたり墓地として利用。副葬品から見て、後期銅石器時代〜青銅器時代には、身分の高い人は単独墓に、低い人は集団墓に葬られた。青銅器時代には穿頭の痕跡のある頭蓋骨も。さらに、45000年以上前のヤギの骨と炭化物も発見され、ネアンデルタール人によっても使用された可能性も。[LiveScience]
- UK
- 前期旧石器時代・アシュール文化(Acheulean)の巨大なハンドアックスについて、英国での出土例を集成。大多数が海洋酸素同位体ステージ9(MIS 9)・30万年以上前に位置付けられる。巨大ハンドアックスは、巨大でないものよりも形態上の対称性が高い。美的感覚や、前期旧石器時代から後期旧石器時代への移行に伴う認識の変化に関係する可能性。
▶ Luke Dale, Aaron Rawlinson, Pete Knowles, Frederick Foulds, Nick Ashton, David Bridgland and Mark White (2024) Big enough to matter: on the frequency and chronology of giant handaxes in the British Lower Palaeolithic. Antiquity, First View, pp. 1 - 18. [Cambridge Core] - エジプト
- ミニヤー県(Minya Governorate)のエル=アシュムネイン(el-Ashmunein)で、ラメセス2世(Ramesses II;在位前1279〜前1213年)の石灰岩製の巨像の上半身が出土。1930年代にドイツ隊が発掘した下半身と同一個体。エル=アシュムネインは古代エジプト都市クムヌ(Khemenu)で、グレコ=ローマン時代にはヘルモポリス・マグナ(Hermopolis Magna)の首都。[Reuters]
- チリ
- オソルノ(Osorno)のピラウコ遺跡(Pilauco)で、17300年前〜12800年前(cal BP)の石器。パタゴニア(Patagonia)北西部でのヒトの存在が寒冷期ヤンガー・ドリアス期(Younger Dryas)よりさかのぼることを示す。
▶ Antonio Pérez-Balarezo, Mario Pino, Ximena Navarro-Harris, Ana M. Abarzúa, Daniel Fritte, Francisco Tello and Ignacio Aguilera (2024) Revised pre-Younger Dryas chronocultural sequence at the Pilauco site, north-western Patagonia (40°-44°S). Antiquity, First View, pp. 1 - 10. [Cambridge Core]
▼ピラウコ遺跡関連記事→2019年4月28日
2024年3月4日(月)
- 静岡県
- 磐田市・社山城跡(やしろやまじょうあと)で1978年に出土した炭化米が、室町時代中期・1436〜1477年の兵糧が戦果で焼かれたものである可能性。磐田市教育委員会による放射性炭素年代測定。1501〜1503年に今川氏と斯波氏の遠江守護職を巡る抗争の舞台になったとするのが最古の記録。それよりも半世紀さかのぼる時期に軍事拠点となっていた。[静岡新聞]
- オマーン
- 南バーティナ行政区(South Al Batinah Governorate) ア・ルスターク州(Wilayat of A’Rustaq)のマナキ遺跡(Manaqi)で、鉄器時代・紀元前1千年紀の集落と30人以上の小児墓。子どもの墓のために特別の建物を建てていた。[Muscat Daily]
- サウジアラビア
- ジェッダ(Jeddah)のウスマン・ビン・アファン・モスク(Othman bin Affan Mosque)で、1200年間の修復の経過が明らかに。[Saudi Gazette]
- パレスチナ
- ユダ砂漠(Judean Desert)のマズク・ハ・ヘテキム(Mazuq Ha-he'teqim)で、バル・コクバ(Bar Kokhba;Bar Kochba)の乱・132年の硬貨。ヘブライ語で「イスラエル救済元年」「祭司エレアザル」の銘文あり。[The Jerusalem Post]
- キルギス
- オシ州(Ош;Osh)ウズゲン地区(Өзгөн;Uzgen)で、紀元前7〜前4世紀の水を貯蔵するための大型土器「フム」(Hum)。高さ1.75m。[AKIpress]
- UK(イングランド)
- ブリストル(Bristol)のグラスフィールズ(Glassfields)で2016〜2017年に粘土製パイプの窯3基などの遺構を調査。ジェームズ・ウィンチェスター(James Winchester)が経営したたばこ用のパイプ工場と判明。
▶ Jonathan Hart, Marek Lewcun, Philippa Bradley & Mary Alexander (2024) James Winchester’s clay pipe factory: excavations at Glassfields, Bristol, 2016-2017. Post-Medieval Archaeology. [Taylor & Francis Online] - エジプト
- 「京都大学総合博物館古代エジプト出土資料写真, 2011-2018」が、京都大学研究資源アーカイブで公開される。文化財写真家の寿福滋(1953-2019)が京都大学総合博物館の企画展のために撮影したもの。
▶京都大学研究資源アーカイブが「京都大学総合博物館古代エジプト出土資料写真, 2011-2018」を公開しました [京都大学] - グアテマラ
- コツマルワパ(Cotzumalhuapa)のエル・バウル(El Baúl)のアクロポリスから出土した後期古典期(Late Classic)・650〜950年の土器7点の内部の残留物を分析。3点でたばこの成分ニコチンを検出。土器の形から見て、液体で使用。麻薬として使用された可能性。[LiveScience]
▶ Adam Negrin, Oswaldo Chinchilla Mazariegos, Cameron L. McNeil, W. Jeffrey Hurst and Edward J. Kennelly (2024) Residue analysis suggests ritual use of tobacco at the ancient Mesoamerican city of Cotzumalhuapa, Guatemala. Antiquity, First View, pp. 1 - 17. [Cambridge Core]
2024年3月3日(日)
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)アルサンジャーン郡(Arsanjan)のPir-Quchで、14000年前にさかのぼる人骨や石器など、人類の痕跡。[Tehran Times]
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)のボズジャ島(Bozcaada)にある古代都市テネドス(Τένεδος:Tenedos)で、2700年前の小児墓群。ピトスやアンフォラに納めた墓や、石造りの墓があり、踊る人や楽器を演奏する人などの像を副葬。[Arkeonews]
- ノルウェー
- ヴェストラン県(Vestland)ヴィンゲン(Vingen)で、7000年前〜6000年前のロックアートが採石などの影響により破壊の危機。[The Guardian]
- パナマ
- コクレ県(Provincia de Coclé)のエル・カーニョ遺跡(El Caño)で高位の人物の墓(9号墓)。土器や金製品を副葬。エル・カーニョ遺跡には700年〜1000年の墓と石造物がある。[Heritage Daily]
▼エル・カーニョ遺跡関連記事→2013年6月21日
2024年3月2日(土)
- 岩手県
- 大槌町・旧役場庁舎跡地と民宿あかぶ跡地で進めてきた、東日本大震災の教訓を伝えるための整備活用策の検討を中断。大槌町3/1発表。[河北新報]
- 茨城県
- 結城市・結城廃寺跡(ゆうきはいじあと)で、経蔵と鐘楼の外郭部分を特定。いずれも南北に長く、寺の東西に分かれて左右対称に配置。結城市教育委員会3/1発表。3/3現地説明会。[茨城新聞]
▼結城廃寺跡関連記事→2023年12月15日 - 能登半島地震
- 能登半島地震で被災した文化財建造物について、京都府が修復をサポートする意向を府知事が3/1記者会見で示す。[読売新聞]
- 愛知県
- 豊橋市・吉田城跡(よしだじょうあと)で、本丸南側「南多門」の東側石垣から、鉄製の補強材「敷金」9点が出土。江戸時代初期・17世紀前半〜半ば。豊橋市3/1発表。[東愛知新聞]
▼吉田城跡関連記事→2019年6月29日 - 水平社宣言
- 部落解放同盟が、全国水平社創立宣言に関し、「日本を代表する歴史的文書」と評価した一方、「ジェンダー平等に対する重大な問題点を抱えていた」などとする見解を3/2第81回全国大会で採択。[時事通信]
- ブルガリア
- 古代ローマ都市「60の船の町」(Sexaginta Prista;Сексагинта Приста)で後期ヘレニズム時代・紀元前2世紀〜紀元後1世紀のピットから出土した植物遺体を分析。種子、炭化物、魚の鱗、貝類、獣骨などを確認し、ピットの使用法や当時の環境を推定。
▶ Mila Andonova-Katsarski, Varbin Varbanov, Stefan Kazakov, Ivailo Dedov & Diana Vladova (2024) Plant Remains and What Else? Environmental Archaeology of the Late Hellenistic Pit Fills of Sexaginta Prista, Northern Bulgaria. Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online]
▼60の船の町関連記事→2021年3月1日 - イタリア
- ポンペイ遺跡(Pompeii)で、ギリシャ神話のプリクソス(Φρίξος;Phrixos)とヘレー(Ἕλλη;Hellē)の兄弟を描いたフレスコ画。[The Guardian]
- UK(イングランド)
- ドーストーン・ヒル(Dorstone Hill)で、新石器時代・6000年前の水晶が多数出土。[Express]
▼ヘレフォードシャー州(Herefordshire)
▼ドーストーン・ヒル関連記事→2023年6月27日 - UK(イングランド)
- デヴォン州(county of Devon)・ケント洞窟(Kent's Cavern)で出土したアシュール文化(Acheulean)のハンドアックスについて、計量統計学的分析を行い、ほかの遺跡と対比。ハイロッジ(High Lodge)やボックスグローヴ(Boxgrove)のものよりも古いMIS 15に位置付けられる可能性。
▶ Callum Wilson, Matt Pope, Ceri Shipton (2024) Revisiting the handaxes of Kent's Cavern. Quaternary International, Volume 685, 10 March 2024, Pages 1-13. [ScienceDirect]
▼ケント洞窟関連記事→2011年11月3日
2024年3月1日(金)
- 宮城県
- 南三陸町の、東日本大震災で被災した旧防災対策庁舎について、所有・管理権を宮城県から南三陸町に戻し、震災遺構として保存する方針。南三陸町3/1発表。震災時、庁舎は津波にのまれ、住民の避難を呼び掛けていた町職員ら43人が犠牲に。現在は南三陸町の震災復興祈念公園内に骨組みの状態で残されている。[時事通信]
- 三重県
- 多気郡明和町・斎宮跡(さいくうあと:第205次調査)で、奈良時代の斎王の宮殿域から西脇殿を新たに発見。斎宮歴史博物館の調査。3/9現地説明会。
▶ 史跡斎宮跡で発掘調査現地説明会を開催します [三重県]
▼斎宮跡関連記事→2023年10月13日 - 大阪府
- 羽曳野市・誉田御廟山古墳(こんだごびょうやまこふん)で、歴史学関係の8団体の研究者が立ち入り調査。円筒埴輪などを確認。宮内庁が応神天皇陵として管理する古墳。[毎日新聞]
▼誉田御廟山古墳関連記事→2023年3月3日 - 鳥取県
- 鳥取市・青谷大平遺跡(あおやおおひらいせき)の道路遺構について、時代の判定などが難しく、古代山陰道であるとの確証は得られず。青谷養郷遺跡群の道路遺構とつながる遺構も確認できず。来年度も広範囲を広げて調査。[日本海新聞]
▼青谷大平遺跡関連記事→2021年10月20日 - 中国
- 江西省(Jiangxi) 南昌市(Nanchang)・前漢(Western Han Dynasty)海昏侯(Haihunhou)劉賀墓で2019年に出土した、木箱に納められた炭化した植物の葉を分析。ウルシ科(Anacardiaceae)ウルシ亜科(Anacardioideae)と確認。ウルシの木の葉を薬として使用したとみられ、文献に記された被葬者の健康状態と合致。
▶ Jianrong Jiang, Shuya Wei, Zhenhua Wu, Yufang Li (2024) The identification of charred plant leaves unearthed from a Western Han Dynasty tomb. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 54, April 2024, 104451. [ScienceDirect]
▼前漢海昏侯劉賀墓関連記事→2021年12月30日 - トルコ
- ヴァン要塞(Van)で出土した中期鉄器時代の土器を分析し、材料の組成、焼成温度、焼成雰囲気を推定。複数の産地の粘土を用い、大半は酸化焔焼成。ヴァン要塞はウラルトゥ王国(Ueanrtu)の首都。
▶ Özden Ormancı, Zeynep Atasayar, Özge Boso Hanyalı (2024) Investigating the Middle Iron Age ceramics of van fortress through multi-analytical techniques. Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy. [ScienceDirect] - UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland)フェルトン(Felton)で、アングロサクソン時代のかまどや建物跡。7世紀のエドウィン王(Edwin)の都カークネトン(Kirknewton)に近いアドゲフリン(Ad Gefrin)に当たる場所。[BBC]
- 研究不正
- 熊本大学の准教授が、指導する学生の卒業論文・修士論文の内容を知りつつ、自らの論文の中で先行研究無しちしていたことについて、大学側は不正を認定。
▶ 熊本大学における研究活動上の不正行為について [熊本大学]
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