2023年2月10日(金)
- 山口県
- 山口市・大内氏遺跡・凌雲寺跡(おおうちしいせき・りょううんじあと:第11次調査)で石列。寺院が一定の地割に基づいて計画的に造られた可能性山口市教育委員会の調査。2/11現地説明会。[山口新聞]
▼凌雲寺跡関連記事→2023年1月17日 - 福岡県
- 古賀市・船原古墳(ふなばるこふん)の1号土坑で出土した冑は、朝鮮半島系の竪矧板革綴冑にリング状のつばがつく、国内で類例のない形態。[西日本新聞]
▼船原古墳関連記事→2021年9月17日 - 大分県
- 大分市・下郡遺跡群(しもごおりいせきぐん:第151次調査)で、中世、近世、近代の遺構。草食動物と思われる頭蓋骨も出土。大分県立埋蔵文化財センターの調査。
▶下郡遺跡群(第151次調査)発掘調査速報 [大分県立埋蔵文化財センター]
▼下郡遺跡群関連記事→2000年1月17日 - 鹿児島県
- 姶良市・前田遺跡で、縄文時代中期後半・4500年前の木製編みかご14点。テイカカズラやヒサカキが使われ、逆円錐形。ドングリ11万個も。姶良市教育委員会2/9発表。[南日本新聞]
- エストニア
- タリン(Tallinn)のカラマヤ(Kalamaja)にあるヴァナ・カラマヤ通り(Vana-Kalamaja tänav)で、中世の敷石道路。[Eesti Rahvusringhääling]
- スペイン
- ウトレラ(Utrera)で、中世・14世紀のシナゴーグ。1492年のスペインからのユダヤ人追放まで使用。[The Jerusalem Post]
▼セビリア県(Provincia de Sevilla) - ケニア
- ニャヤンガ遺跡(Nyayanga)で、300万年前〜260万年前のオルドワン文化(Oldowan)の石器が出土。カバの解体跡や、C4植物などともかかわり、石器の使用痕からみても動植物を調理したと推定。同遺跡ではパラントロプス(Paranthropus)の化石が出土しており、同位体分析からみてC4植物を摂取。オルドワン文化の拡散は従来説より早く、使用者はパラントロプスである可能性。オルドワン文化は人類最古の石器文化として知られ、エチオピアのアファール地域(Afar)で260万年前ごろのものが知られていた。
▶ Thomas W. Plummer, James S. Oliver, Emma M. Finestone, Peter W. Ditchfield, Laura C. Bishop, Scott A. Blumenthal, Cristina Lemorini, Isabella Caricola, Shara E. Bailey, Andy I. R. Herries, Jennifer A. Parkinson, Elizabeth Whitfield, Fritz Hertel, Rahab N. Kinyanjui, Thomas H. Vincent, Youjuan Li, Julien Louys, Stephen R. Frost, David R. Braun, Jonathan S. Reeves, Emily D. G. Early, Blasto Onyango, Raquel Lamela-Lopez, Frances L. Forrest, Huaiyu He, Timothy P. Lane, Marine Frouin, Sébastien Nomade, Evan P. Wilson, Simion K. Bartilol, Nelson Kiprono Rotich, and Richard Potts (2023) Expanded geographic distribution and dietary strategies of the earliest Oldowan hominins and Paranthropus. Science, Vol 379, Issue 6632, pp. 561-566. [Science] - メキシコ
- タマウリパス州(Tamaulipas)オカンポ市(Ocampo)のエル・ナランホ遺跡(El Naranjo)で、古典期後期・ワステコ(Huasteco)文化・600〜900年の墳墓2基。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
2023年2月9日(木)
- 群馬県
- 吾妻郡 東吾妻町・岩櫃城跡(いわびつじょうあと)の本丸跡から出土した坩堝2点と銅塊4点を金属を分析。坩堝の一方は金の溶解、他方は青銅の溶解に使用。金鉱石に由来する不純物は見られず、砂金を利用したと推定。銅塊の一方は青銅、他方は純銅。また、双方の坩堝と青銅塊に亜鉛が検出され、心中が生産されていたと推定。
▶沓名貴彦, 𠮷田智哉 (2021) 群馬県岩櫃城跡出土非鉄金属生産関連遺物の非破壊分析. 国立科学博物館研究報告E類(理工学), 44巻, pp. 17-27. [J-STAGE]
▼岩櫃城跡関連記事→2021年5月14日 - 高知県
- 南国市・岡豊城跡(おこうじょうあと)の北側で大規模な造成地の跡。長宗我部元親元親が両親を祭るために建立した寺の遺跡と推定。南国市教育委員会の調査。2/12現地説明会。[NHK]
▼岡豊城跡関連記事→2013年3月10日 - トルコ
- ゴルディオン(Gordion)のミダスの古墳(Midas Mound Tumulus)で得られたビャクシンの木の年輪と同位体を分析し、過去の気候変動を推定。乾燥した時期に、紀元前1198年〜1996年の3年間、特に激しい干ばつ。後期青銅器時代・紀元前1200年ごろ都ハットゥシャ(Hattuşa)が放棄されヒッタイト帝国が崩壊したのと同時期。
▶Rare drought coincided with Hittite Empire collapse [Cornell University]
▶ Sturt W. Manning, Cindy Kocik, Brita Lorentzen & Jed P. Sparks (2023) Severe multi-year drought coincident with Hittite collapse around 1198–1196 BC. Nature. [Nature] - ルーマニア
- ボトシャニ県(Judeţul Botoşani)ドラグシェニ村(Drăguşeni)で、青銅器時代初め・ヤムナ文化(Yamnaya culture)の墳丘墓から3000年前の人骨。[Romania-Insider]
- ハンガリー
- ゾーク(Zók)にあるグラディナ遺跡(Gradina)で1920年代に出土した、後期銅石器時代/前期青銅器時代・ヴチェドル文化(Vučedol culture)・紀元前2900年〜前2500/2400年の鳥の骨製の遺物を報告。ハクチョウ属(Cygnus sp.)の右橈骨で作り、細長い筒状で、両端を丁寧に切断。楽器、把手、容器の可能性。一方、鳥形容器のような鳥の表現はヴチェドル文化の特徴で、鳥に象徴的な意味を求めて素材に選んだ可能性も。
▶ Selena Vitezović, Jelena Bulatović, Jovan D. Mitrović (2023) Bird bone artefact from the Late Eneolithic/Early Bronze Age site of Zók (Hungary). International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library]
2023年2月8日(水)
- 茨城県
- 東茨城郡 茨城町・小鶴西遺跡(こづるにしいせき)で、平安時代の竪穴建物跡や室町時代の堀跡など。公益財団法人茨城県教育財団の調査。2/22現地説明会。
▶小鶴西遺跡(茨城町)現地説明会のお知らせ 2023.2 [発掘情報いばらき]
▼小鶴西遺跡関連記事→2021年7月1日 - 千葉県
- 市川市・須和田遺跡(すわだいせき)で穴に埋められた状態で出土した奈良時代・8世紀後半のイヌ11頭のうち7頭のDNAを抽出。7頭に血縁関係なし。各地から集められて交雑しないように管理されていたか。[朝日新聞]
- 神奈川県
- 鎌倉市・大倉幕府周辺遺跡群(おおくらばくふしゅうへんいせきぐん)で、山稜部から切り出された泥岩の塊を突き固めた整地層が何層も。鎌倉時代を中心とした土器や陶磁器が出土。鎌倉市の調査。2/18現地説明会。
▶大倉幕府周辺遺跡群の発掘調査現地説明会(第2回)を開催します [鎌倉市]
▼大倉幕府周辺遺跡群関連記事→2022年7月15日 - 福井県
- 美浜町・興道寺廃寺跡(こうどうじはいじあと)が国史跡に指定されてから5年がたつが、保存活用が進まず。美浜町の会計年度任用職員を除く同町の学芸員2人のうち1人が昨年春退職したのち、人員補充ができておらず。用地買収のための補助金も見通せず。[福井新聞]
▼興道寺廃寺跡関連記事→2020年9月18日 - 堺市
- 西区の南海電鉄浜寺公園駅旧駅舎で、16歳の少年3人が柱に傷をつけ、建造物損壊容疑で逮捕された。辰野金吾が所属した建築事務所が設計し、1907年完成。国の登録有形文化財。[時事通信]
- パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- エルサレム(Jerusalem)のダビデの町にあるエメク・ツリム国立公園(Emek Tzurim National Park)で、ローマ時代の末・1600年前の金のビーズ。数十個の小さな球をつなげて作る。[The Jerusalem Post]
- イタリア
- ポッジョ・グラミニャーノ遺跡(Poggio Gramignano)の5世紀の小児墓で、口にモルタルの破片を入れられたり、岩で動かないように固定された小児の遺体。亡霊の黄泉がえりを防ぐためか。多くの者がマラリアに罹患。ルニャーノの吸血鬼と呼ばれていたが、吸血鬼ではない。[LiveScience]
▼ウンブリア州(Regione Umbria) ×ルニャーノ・イン・テヴェリーナ(Lugnano in Teverina) - オーストリア
- ニーダーエスターライヒ州(Niederösterreich)・フランツハウゼンI遺跡(Franzhausen I)で出土した前期青銅器時代の子供75人の歯978本について、歯の摩耗と口腔病理を研究。齲歯は少なく、摩耗は多い。男女差は大きくなく、全体に堅い食べ物を食べたと推定される。
▶Marlon Bas, Christoph Kurzmann, John Willman, Doris Pany-Kucera, Katharina Rebay-Salisbury, Fabian Kanz (2023) Dental wear and oral pathology among sex determined Early Bronze-Age children from Franzhausen I, Lower Austria. PLoS ONE, 18(2): e0280769. [PLOS ONE]
▼フランツハウゼンI遺跡関連記事→2022年1月29日 - ポルトガル
- フィゲイラ・ブラヴァ洞窟(Gruta da Figueira Brava;Figueira Brava cave)で、旧石器時代・9万年前のネアンデルタール人が貝類やカニを比で調理して食べた証拠。初期のホモサピエンスが海産物を食べたことにより脳が競争上優位に立ったとする説を反証。[Frontiers]
▶Mariana Nabais, Catherine Dupont and João Zilhão (2023) The exploitation of crabs by Last Interglacial Iberian Neanderthals: The evidence from Gruta da Figueira Brava (Portugal). Frontiers in Environmental Archaeology, Volume 2. [Frontiers] - UK(ウェールズ)
- ポーイス州(Powys)スランエルエズ(Llanelwedd)で、ローマ時代・2世紀に埋められた銀貨29枚。スラウエル(Llywel)では中世・13〜14世紀の銀のブローチ。ホンジ・イサブ(Honddu Isaf)では中世・13〜14世紀の金の指輪。[Brecon & Radnor Express]
2023年2月7日(火)
- 大阪府
- 豊中市・本町遺跡(第45次調査)で、古墳時代後期・6世紀の集落跡。竪穴住居と造り付カマドなど。桜井谷窯跡群の須恵器生産と密接な関わりのある集落。豊中市教育委員会の調査。2/12現地説明会。[PR TIMES]
- 岡山県
- 圓珠院が所蔵する「人魚のミイラ」は、19世紀後半に作られたもの。
▶人魚ミイラの実態解明/圓珠院所蔵『人魚のミイラ』研究最終報告 [倉敷芸術科学大学] - 韓国
- 国家登録文化財の「銀製李花文花瓶」について、「小林」の銘があることから、日本・東京の小林時計店の製品と判明。文化財登録を解除。1910年代の製品。李花文は大韓帝国の皇室を象徴しており、当時の「李王職美術品製作所」が製作したとみられていた。[聯合ニュース]
- 中国
- 湖北省 襄陽市 保康県 馬良鎮 紫陽村・穆林頭遺跡で屈家嶺文化の墓。玉器など出土。[中国社会科学院考古研究所]
▼穆林頭遺跡関連記事→2018年11月6日 - イラン
- チャムシル・ダム(Chamshir Dam)水没地で、建物跡から幼児のものとみられる墓。[Tehran Times]
▼チャムシル・ダム水没地区関連記事→2023年1月30日 - トルコ
- ガズィアンテプ(Gaziantep)で、地震によりガズィアンテプ城(Gaziantep Kalesi)が、損壊。2〜3世紀に建造が始まり、6世紀に東ローマ帝国によって城壁が作られた。[朝日新聞]
- ルーマニア
- ゴルジュ県(Judeţul Gorj)アルベニ(Albeni)で、ローマ時代・2〜3世紀の鉄製の仮面。パレード用。ブンベシュティ=ジウ(Bumbești-Jiu)のローマ時代の要塞に駐屯するローマ兵が用いたと推定。[Heritage Daily]
- スペイン
- カブラ(Cabra)のビラ・デル・ミトラ遺跡(Villa del Mitra)で、ミトラス神(Mithras)にささげられた神殿。神殿内に儀式のための饗宴跡。2世紀に作られ、3世紀末に改築。ビラ・デル・ミトラ遺跡は、ローマ都市リカブルム(Licabrum)内に所在。[Heritage Daily]
- UK(イングランド)
- ヨーク(York)のYork Barbican建設地の発掘調査で発見された人骨SK3870は中世・15世紀のの女性隠者イザベル・ジャーマン(Lady Isabel German)と判明。遺体は旧全聖人教会(All Saints Church)の後陣内、祭壇裏の小部屋にしゃがんだ姿勢で埋葬されていた。関節炎と梅毒を患う。イザベル・ジャーマンはフィッシャーゲート(Fishergate)の全聖人教会で過ごした人物。
▶Mysterious skeleton revealed to be that of unusual Lady Anchoress of York Barbican [The University of Sheffield] - UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland)Breamish Valleyの棚状の地形(Terracing)を分析。前期青銅器時代〜中期青銅器時代に、丘陵を削り、石垣を作って建設し、穀物を栽培。
▶ Antony G. Brown, Daniel Fallu, Sara Cucchiaro, Monica Alonso-Eguiluz, Rosa Maria Albert, Kevin Walsh, Ben R. Pears, Rob Scaife, Catherine Langdon, Paolo Tarolli, David Cockroft, Lisa Snape, Andreas Lang, Philippa Ascough, Pengzhi Zhao, Kristof Van Oost and Clive Waddington (2023) Early to Middle Bronze Age agricultural terraces in north-east England: morphology, dating and cultural implications. Antiquity, Volume 97, Issue 392, April 2023, pp. 348 - 366. [Cambridge Core]
2023年2月6日(月)
- 奈良県
- 大和郡山市で古民家の改装中に、子供を抱いた石像を発見。マリア観音の可能性。大和郡山市は、幕末から明治初期のキリシタン弾圧「浦上四番崩れ」で長崎市浦上地区のキリシタンが流された地域の一つ。[読売新聞]
- エストニア
- 先ローマ時代後半〜ローマ鉄器時代・紀元前250年〜紀元後450年の銅合金18試料について鉛同位体分析を分析。うち9点はローマ世界に由来する真鍮。バルト海北東部では銅を産出しないが、銅は基本的にローマ世界からもたらされ、ローマ時代初めに真鍮が登場する。スカンディナヴィアやウラルの銅はなかった。エストニア海岸は、南方とは海を利用した琥珀貿易で、東にはロシアとの川を利用したルートでつながっていた。
▶ Marcus Adrian Roxburgh (2023) A long-distance copper-alloy trade to the north eastern Baltic during the late pre-Roman and Roman Iron Age (250BC-450AD); explored with Lead Isotope MC-ICP-MS. Archaeometry. [Wiley Online Library]
2023年2月5日(日)
- 浜松市
- 浜松市博物館で資料6点を紛失した問題で、浜松市は不適切な管理をしていたとして元館長など職員4人へ訓告処分、2人に口頭注意。[TBS]
▼2024年1月1日から浜松市中央区 - 奈良県
- 奈良市・平城京跡出土の奈良時代の須恵器内面に付着した白色物を分析。水酸化アルミニウムの結晶の一種バイヤライトと銅鼎。土器の用途に関連している可能性。
▶ 大道 公秀, 橘田 規, 椎野 博, 清水 文雄, 西念 幸江, 小田 裕樹, 三舟 隆之 (2023) 平城京跡出土の奈良時代須恵器内面に存在したバイヤライト. 分析化学, 72巻1.2号, pp. 57-62. [J-STAGE] - 沖縄県
- 那覇市・第32軍司令部壕の第1坑道の床面と考えられる地層をボーリングで確認。[琉球新報]
▼第32軍司令部壕関連記事→2022年6月23日 - UK(北アイルランド)
- ロンドンデリー(Londonderry)のラフ・フォイル湖(Lough Foyle)の湖岸のクルーニー・ロード(Clooney Road)で、新石器時代・紀元前3800年の巨大な長方形住居2棟。[BBC]
- USA
- カホキア遺跡(Cahokia)のグランド・プラザ(Grand Plaza)の西端をリモートセンシング技術で調査し、空間利用を推定。ウッドランド時代後期(Terminal Late Woodland)/ミシシッピ文化出現期(Emergent Mississippian period)・925〜1050年の建物17棟、ローマン期(Lohman Phase)・1050〜1100年の建物10棟、スターリング期(Stirling Phase)・1100〜1200年の建物5棟、ムーアヘッド期(Moorehead Phase)・1200〜1275年の建物9棟を発見。[Heritage Daily]
▶ J. Grant Stauffer, Seth B. Grooms, Lorraine W. Hu, Joy Mersmann, Tristram R. Kidder and Edward R. Henry (2023) Reimagining the Development of Downtown Cahokia Using Remote Sensing Visualizations from the Western Edge of the Grand Plaza. Land, 12(2), 342. [MDPI]
2023年2月4日(土)
- 奈良県
- 高取町・与楽鑵子塚古墳(ようらくかんすづかこふん)で、横穴式石室で確認された火の痕跡は、石室内で木棺を火葬したことによるもの。6世紀後半。高取町教育委員会2/3発表。[奈良新聞]
▼奈良県高市郡高取町
▼与楽鑵子塚古墳関連記事→2011年8月3日 - イラク
- 1980年代のイラン・イラク戦争のころに出土した4000年前の粘土板2枚に書かれた古代アムル人(Amorites)の言語を解読。古バビロニアの楔形文字で記す。[Heritage Daily]
▶Andrew George, Manfred Krebernik (2023) Two Remarkable Vocabularies: Amorite-Akkadian Bilinguals! Revue d'assyriologie et d'archéologie orientale, Vol. 116, pages 113-166. [Cairn.info] - フランス
- グラン・テスト地域圏(Grand Est)ムルト=エ=モゼル県(Meurthe-et-Moselle)マルス=ラ=トゥール(Mars-la-Tour)で、1〜3世紀のガリア人の集落。メロヴィング朝の集落と墳墓。カロリング朝の集落。13〜14世紀の家。
▶Mars-la-Tour à travers les âges (Meurthe-et-Moselle) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- ナバラ州(Navarra)とアラゴン州(Aragon)の中世・11〜15世紀の墓地遺跡8か所の埋葬人骨82体を調査。サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(Camino de Santiago)に関連。82体のうち20体は、巡礼を完遂した者を象徴するホタテガイの貝殻を伴っていた。ホタテガイの副葬は11世紀に始まる。巡礼には男性も女性も等しく参加。女性の巡礼者の方が動物性たんぱく質を多く摂取。[El Español]
▶ Patxi Pérez-Ramallo, José Ignacio Lorenzo-Lizalde, Alexandra Staniewska, Mattin Aiestaran, Juantxo Aguirre, Jesús Semas Sesma, Sara Marzo, Mary Lucas, Jana Ilgner, David Chivall, Tom Higham, Ricardo Rodríguez-Varela, Anders Götherström, Francisco Etxeberria, Aurora Grandal-d'Anglade, Michelle Alexander, Patrick Roberts (2023) To the field of stars: Stable isotope analysis of medieval pilgrims and populations along the Camino de Santiago in Navarre and Aragon, Spain. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, April 2023, 103847. [ScienceDirect]
2023年2月3日(金)
- 中国
- 遼寧省 朝陽市 上朝陽溝村・上朝陽溝遺跡で、大規模な紅山文化の集落跡。12万平方m。牛河梁遺跡から6.5kmの地点。[中国新聞網]
- ポーランド
- クシシュ・ヴィエルコポルスキ7遺跡(Krzyż Wielkopolski 7)から出土した前期中石器時代(Early Mesolithic)の先ボレアル期からボレアル期の移行期の組み立て式の道具を分析。骨の破片をマツの木で作った柄に靱皮で固定し、カバの皮のタールで覆う。複雑だが耐久性があり効果的な道具。
▶ Jacek Kabaciński, Auréade Henry, Éva David, Maxime Rageot, Carole Cheval, Małgorzata Winiarska-Kabacińska, Martine Regert, Arnaud Mazuy and François Orange (2023) Expedient and efficient: an Early Mesolithic composite implement from Krzyż Wielkopolski. (2023) Antiquity, First View, pp. 1 - 19. [Cambridge Core] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ハーゲン(Hagen)のブレッターヘーレ遺跡(Blätterhöhle)で、更なる人骨のほか、炉跡を確認。[Stadt Anzeiger]
- ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt) ハルバーシュタット(Halberstadt)で球状アンフォラ文化(Kugelamphoren-Kultur;Globular Amphora culture)・4800年前の石棺墓。墓の中からアンフォラと石斧が出土。墓の周囲にウシ4頭を埋葬。[Stern]
▼ハルバーシュタット関連記事→2018年11月8日 - UK(イングランド)
- ノースヨークシャー州(North Yorkshire)リポン(Ripon)にあるソーンバラ・ヘンジズ(Thornborough Henges)にある、後期新石器時代/前期青銅器時代・紀元前3500年〜前2500年の直径200m以上の円形モニュメント3基のうち、2基が地元企業から国家に寄贈された。家畜やウサギによる浸食が懸念され、2009年にはヒストリック・イングランド(Historic England)による危機遺産リストに登録されていた。[The Guardian]
▼ソーンバラ・ヘンジズ関連記事→2006年7月20日 - USA
- ワシントン州(State of Washington)のマニス遺跡(Manis)で、マストドン像の肋骨に刺さっていた骨は、13900年前の骨製槍先。アメリカ大陸で最古の槍先で、クローヴィス文化(Clovis)の槍先より900年古いとともに、マストドン猟を行った証拠。
▶Texas A&M-Led Research Team Identifies Oldest Bone Spear Point In The Americas [Texas A&M University]
▶ Michael R. Waters, Zachary A. Newell, Daniel C. Fisher, H. Gregory McDonald, Jiwan Han, Michael Moreno, and Andrew Robbins (2023) Late Pleistocene osseous projectile point from the Manis site, Washington—Mastodon hunting in the Pacific Northwest 13,900 years ago. Science Advances, Vol 9, Issue 5. [Science Advances] - 実感考古学
- 新石器時代のヒトの頭蓋骨に加えられた鋭角の外傷について、実験的研究。石製の縦斧(stone axe)と横斧(stone adzes)による傷の識別は可能。対人暴力の研究に有用。
▶ Miguel Ángel Moreno-Ibáñez, Linda Fibiger, Palmira Saladié (2023) Unraveling Neolithic sharp-blunt cranial trauma: Experimental approach through synthetic analogues. Journal of Archaeological Science, Volume 151, March 2023, 105739. [ScienceDirect]
2023年2月2日(木)
- イタリア
- ローマの地下鉄「Metro C」建設予定地で、ローマを擬人化した女性像を表す4世紀初めの金彩ガラス出土。[ANSA]
- ポーランド
- ワルシャワ(Warszawa;Warsaw)のサスキ宮殿(pałac Saski;Saxon Palace)で、17世紀の建物基礎、壁、トイレ。バロック時代のプット(putto)像出土ヤン・アンジェイ・モルシュティン(Jan Andrzej Morsztyn)が1661年から建設。増改築を繰り返し、第二次世界大戦でドイツ軍により破壊。[Heritage Daily]
- ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)・ノイマルク・ノルト遺跡(Neumark-Nord)の湖の堆積で出土した125000年前の更新世最大のゾウ(Palaeoloxodon antiquus)の遺体に、多量のカットマーク。ネアンデルタール人は集団で行動し、ゾウを狩猟し、調理した。
▶ Sabine Gaudzinski-Windheuser, Lutz Kindler, Katharine MacDonald, and Wil Roebroeks (2023) Hunting and processing of straight-tusked elephants 125.000 years ago: Implications for Neanderthal behavior. Science Advances, Vol 9, Issue 5. [Science Advances]
▼ノイマルク・ノルト遺跡関連記事→2021年12月16日 - フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie) ガール県(Gard)ニーム(Nîmes)で古代都市ネマウスス(Nemausus)の遺構を調査。紀元前1世紀に農村であったが、その後ローマ時代・2世紀まで密集した都市。
▶Un quartier de Nemausus, entre ville gauloise et ville romaine (Gard) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- ダービーシャー州(the county of Derbyshire)のヒース・ウッド遺跡(Heath Wood)にある9世紀後半のヴァイキングの埋葬遺跡で、遺存するヒト3体と、動物3体(ウマ、イヌ、そしておそらくブタ)について、ストロンチウムを分析。ヒトのうち2人は在地であるが、残る1人と動物3頭はバルト楯状地(Baltic Shield)から渡来しブリテン島で死亡。ヴァイキングはウマやイヌを連れて北海を渡った。ヒース・ウッド 遺跡はブリテン島唯一のヴァイキングの火葬墓地で、レプトンでの873年〜874年のヴァイキングの越冬に関連。
▶ Tessi Löffelmann, Christophe Snoeck, Julian D. Richards, Lucie J. Johnson, Philippe Claeys, Janet Montgomery (2023) Sr analyses from only known Scandinavian cremation cemetery in Britain illuminate early Viking journey with horse and dog across the North Sea. PLOS ONE, 18(2): e0280589. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- ロンドンの現代美術館テート・モダンの展望台から自室がのぞかれるのはプライバシー侵害だとして、向かい側に立つ高級マンションの住民が起こした訴訟で、原告勝訴の最高裁判決。[時事通信]
- USA
- ミシガン州(State of Michigan)スペリオル湖(Lake Superior)のアイルロイヤル島(Isle Royale)にある小さな湖の堆積を分析。古期(Archaic)・6000年前に鉛汚染のピーク。ネイティヴアメリカンが大規模な銅の採掘。[Scientific American]
2023年2月1日(水)
- 宮崎県
- 宮崎市・本野原遺跡(もとのばるいせき)で出土した縄文土器179135点について、「圧痕法」による調査。マメ類を含む500点以上の種実や家屋害虫の圧痕。
▶ 小畑弘己, 宮浦舞衣 (2021) 宮崎市本野原遺跡出土の 縄文時代後期のマメ類種子多量混入土器. 植生史研究, 29巻1号, pp. 3-14. [J-STAGE] - ポーランド
- オポーレ県(Województwo opolskie)オポーレ(Opole)のオストルヴェク遺跡(Ostrówek)で1960年代に出土した11世紀と12世紀の木製仮面。について、仮面ではなく日用品の一部と推定。キリスト教信仰に深く残存した異教の痕跡とみられていた。[Haaretz]
▶ Kamil Kajkowski (2021) Maski z Opola w kontekście obrzędowości średniowiecznych Słowian. Archeologia Polski, LXV: 2020. [Archeologia Polski] - スペイン
- ア・コルーニャ県(Provincia da Coruña)とポンテベドラ県(Provincia de Pontevedra)にまたがるカストロ・バレンテ(Castro Valente)で、前期中世・5〜7世紀の広大な砦をLiDARにより確認。従来は、鉄器時代・紀元前1500年〜前500年の防御性集落とみられていた。[Heritage Daily]
▼ガリシア州(Galicia) - UK(イングランド)
- ノーサンプトンシャー州(the county of Northamptonshire)コービー(Corby)のプライアーズ・ホール(Priors Hall)で、ローマ時代・3世紀のタイル工場。名前や、女性のサンダル跡が残る。タイル工場の労働者が男性の奴隷ではなく、立派な履物を履いた読み書きのできる女性であることを示す。[BBC]
- UK(イングランド)
- ウォリックシャー州(Warwickshire)で、テューダー朝・16世紀、おそらく1521年の金のペンダント。ヘンリー8世(Henry VIII)と王妃キャサリン・オブ・アラゴン(Catherine of Aragon)のイニシャルを刻む。[Heritage Daily]
- 南アフリカ
- 東ケープ州(Mpuma-Koloni;Oos-Kaap provinse;Eastern Cape Province)のラ・ヴィ・ダントン農場(La vie D’Antan)で見つかった500年前のウシの角製の容器の内容を物を分析し、コイサン人(Khoisan)の伝統的な薬と判明。
▶ Justin Bradfield, Stephan Woodborne, Jeremy Hollmann, Ian Dubery (2023) A 500-year-old medicine container discovered near Misgund, Eastern Cape, South Africa: Residue characterisation by GC-MS. South African Journal of Science, 119(1/2). [South African Journal of Science]
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