2023年1月31日(火)
- 岐阜県
- 岐阜市・岐阜城跡(ぎふじょうあと)の一ノ門の脇に岩盤を掘りぬいた隅丸方形の穴。天守東側で、池田輝政の時期に築かれた石垣。天守台南西部で、織田信長の時期に築かれた天守台の規模や構造が明らかに。石垣を描いた『稲葉城址之図』が精密であることも改めて確認。岐阜市の調査。1/31-2/5一般公開。
▶令和4年度 岐阜城跡山上部発掘調査成果を発表しました![岐阜市] - 兵庫県
- 明石市で弥生時代・2世紀後半の高地性集落。竪穴住居跡2棟を確認。明石市の調査。[神戸新聞]
▼東野町遺跡 - 福岡市
- 博多区・高畑遺跡(たかばたけいせき:第23次調査)で、弥生時代後期・1〜2世紀の広形銅戈の鋳型。福岡市1/30発表。[読売新聞]
- 長崎県
- 観音寺から盗まれた高麗時代の金銅観音菩薩像の所有権に関し、韓国の大田高裁は、1審判決を覆し、所有権が日本側にあると判決。瑞山の浮石寺が韓国政府を相手取った裁判で、1審判決は浮石寺に所有権を認めるものだった。[聯合ニュース]
- 韓国
- 昌寧・校洞・松峴洞古墳群(キョドン・ソンヒョンドンこふんぐん)のうち、5世紀後半〜6世紀前半の63号墳から出土した、非火加耶の支配層が用いた金銅冠は、新羅のものに比べ、鍍金層が薄く、色調も一致しない。昌寧で製作された可能性。[聯合ニュース]
▶昌寧校洞・松峴洞古墳群出土金銅冠分析結果公開[文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼校洞・松峴洞古墳群関連記事→2021年11月30日
2023年1月30日(月)
- 新潟県
- 佐渡市で、2022年末の大雪により35件の文化財被害。[新潟日報]
- 奈良県
- 奈良市・富雄丸山古墳(とみおまるやまこふん)に隣接する2・3号墳は一体の前方後円墳の可能性。6世紀後半。[奈良新聞]
- 広島市
- 中区・広島城三の丸に広島市が建設する歴史館などの整備計画を巡り、日本考古学協会が見直しを求め要望書。[中国新聞]
- 中国
- 河南省・曹操高陵(そうそうこうりょう)の西側に宋・金・元時代に用いられた建物の基礎。宋の太祖趙匡胤が9663年に歴代帝王のために設置した守陵戸の跡の可能性。[搜狐]
▼曹操高陵関連記事→2019年2月20日 - イラン
- Köhne Shahar遺跡から出土した、初期青銅器時代(Early Bronze Age)・クラ・アラクセス文化(Kura-Araxes culture)のウシやヤギの歯について、酸素(δ18O)と炭素(δ13C)の同位体分析。酸素の同位体分析によると、ウシとヤギは異なる水を利用。炭素の同位体分析によると、家畜の垂直移動は1日以内に限られる。ヤギとウシの食べる牧草地はほぼ重複。長距離移動の証拠はなく、長距離移動を前提とした従来の地域間交流の説明は通用しない。
▶ Siavash Samei, Natalie D. Munro, Karim Alizadeh, Gideon Hartman (2023) Highland pastoralism in the Early Bronze Age Kura-Araxes cultural tradition: Stable oxygen (δ18O) and carbon (δ13C) isotope analyses of herd mobility at Köhne Shahar in northwestern Iran. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103773. [ScienceDirect]
▼Köhne Shahar遺跡関連記事→2020年3月5日 - イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs) のペルセポリス(Persepolis)近くのタレ・アジョリ遺跡(Tall-e Ajori)で、巨大な建物の基礎2基。[Tehran Times]
▼タレ・アジョリ遺跡関連記事→2021年2月9日 - イラン
- チャムシル・ダム(Chamshir Dam)水没地で、遊牧民の季節的な集落跡。[Tehran Times]
▼チャムシル・ダム水没地区関連記事→2022年7月5日 - パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- サマリア(Samaria)で、盗掘犯の犯行現場から千年前の石棺。[The Jerusalem Post]
- トルコ
- アール県(Ağrı ili)パトノス(Patnos)またはムシュ県(Muş ili)で出土したとみられる、ウラルトゥ(Urartu)のアルギシュティ1世(Argišti I;在位紀元前786〜前764年)の青銅製の盾に、未知の国名「カリニ」(Qarini)を記す銘文。レザン・ハス博物館(Rezan Has Müzesi;Rezan Has Museum)の所蔵品。[Arkeonews]
- UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)ライミング(Lyminge)のアングロ・サクソンの修道院で出土した、屠殺された動物骨の放射性炭素年代。7世紀後半の修道院建築後、2世紀にわたって修道院での生活が続く。804年のヴァイキングの襲撃後も、従来の想定以上の長期にわたって持ちこたえていた。9世紀末ごろに修道院は放棄された。
Viking brutality failed to wipe out community, dig finds[The University of Reading]
▶Gabor Thomas (2023) In the shadow of saints: the long durée of Lyminge, Kent, as a sacred Christian landscape. Archaeologia, vol. 112. [Society of Antiquities London]
▼ライミング関連記事→2019年8月21日
2023年1月29日(日)
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)マルヴダシュト郡(Marvdasht)で、サーサーン朝の岩絵。聖なる結婚に関する願いを表す。[Tehran Times]
- オランダ
- ユトレヒト(Utrecht)とフェルウェ(Veluwe)で青銅器時代の墳丘墓1200基。先史時代の農地38平方キロメートル以上、木炭づくり遺構900基。市民科学プロジェクト「Heritage Ques」で、市民ボランティアたちが地図や高解像度画像により研究。[Arkeonews]
- ベルギー
- フランデレン地域のコルテッセム(Kortessem)で、ローマ時代・1600年以上前の青銅製の正12面体(dodecahedron)出土。中空で各面に大きな孔。同様のものが北ヨーロッパで過去200年に100個以上出土。占いや呪術の儀式に用いられた可能性。[LiveScience]
2023年1月28日(土)
- 兵庫県
- 西宮市・津門大塚町遺跡(つとおおつかちょういせき)で、古墳時代中期〜後期の鉄を生産する工房。鞴の羽口や鉄滓、朝鮮半島の陶質土器も出土。兵庫県教育委員会1/27発表。2/4現地説明会。[神戸新聞]
▶津門大塚町遺跡の発掘調査成果と現地説明会等 [兵庫県教育委員会]
▼津門大塚町遺跡関連記事→2022年11月7日 - トルコ
- ブルサ県(Bursa il) イズニク郡(İznik)で、ビザンティン時代・1500年前の硬貨や、十字と小児像を表した板状の遺物。[Arkeonews]
- イタリア
- ローマのアッピア街道州立公園(Parco Regionale dell'Appia Antica;Appia Antica Park)で、ローマ帝政期・紀元前27年〜紀元後476年の帝政期・等身大のヘラクレス像出土。ライオンの皮と棍棒を持っており、デキウス帝(Gaius Messius Quintus Traianus Decius;在位249〜251年)をヘラクレスに擬して表現している可能性も。[Heritage Daily]
- ポーランド
- クヤヴィ・ポモージェ県(Województwo kujawsko-pomorskie)ヘウムノ(Chełmno)で、泥炭地からラウジッツ文化(Kultura łużycka;Lusatian culture)・紀元前6世紀の青銅製の装飾品多数と、人骨。数世代にわたって生贄を含む供物を沈めたと推定。[The First News]
- UK(イングランド)
- イースト・サセックス州(the county of East Sussex)イーストボーン(Eastbourne)沖水浸103フィートに沈む「Unknown Wreck off Eastbourne」を、オランダの戦艦Klein Hollandiaと確認。1656年建造。第二次英蘭戦争(1665〜1667)で活躍。1672年の奇襲で沈んだ。ヒストリック・イングランド(Historic England)1/27発表。[CBS]
- UK(イングランド)
- カーライル(Carlisle)でローマ時代・2000年前の浴場の排水溝から、入浴者の紛失した宝石30個。[The Guardian]
2023年1月27日(金)
- 埼玉県
- 行田市・埼玉古墳群(さきたまこふんぐん)の二子山古墳(ふたごやまこふん)で、後円部墳頂中央部と墳頂東側の2か所に掘削跡。年1回の状況確認(昨年3/4以来)で判明。文化財保護法に違反する行為として警察に通報。古墳時代・6世紀前半の前方後円墳。123.3m。
▶特別史跡埼玉古墳群の二子山古墳のき損被害について [埼玉県]
▼埼玉古墳群関連記事→2020年8月21日 - 熊本市
- 中央区・熊本城跡の千葉城地区で2022年に出土した古墳時代の鉄刀に「甲子年五□□」の象嵌銘文。604年に製作された可能性。古墳時代の横穴墓にあった可能性。熊本城調査研究センター発表。[熊本日日新聞]
▶熊本城NHK跡地出土の紀年銘象嵌鉄刀について [熊本大学]
▼熊本城跡関連記事→2022年9月17日 - 大分県
- 豊後大野市・左右知遺跡(そうちいせき)で縄文時代早期〜弥生時代後期の竪穴住居跡や土器など。1/21現地説明会。[大分合同新聞]
- 中国
- 山東省の膠東半島(Jiaodong Peninsula)にある三埠李家遺跡(Sanbulijia)で出土した西周時代早期の墓から、成人女性H49-1とその嬰児H49-2の遺体。DNAと出土状況から親子関係と推定。嬰児は女性の両脚の間に埋葬され、出産直後に死亡と推定。
▶ Lin Guo, Gaohua Qi, Xiaotian Feng, Yu Peng, Xiaowei Mao, Zhangqiaochu Yang, Wen Zeng, Yongsheng Zhao (2023) Case study of a special burial resulting from obstetric death at the Sanbulijia site, Shandong Province, China. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - フランス
- ラヴァル城(Château de Laval)で1988年に発掘された、1619年に亡くなったアンヌ・ダレグル(Anne d'Alègre)の遺体を調査。歯が抜けるのを防ぐため金線で歯を固定。象牙で作った差し歯も使用。金線は何度も締めなおす必要があり、社交界のため外見を維持するため苦労。[CBS News]
▶ Rozenn Colleter, Antoine Galibourg, Jérôme Treguier, Mikaël Guiavarc'h, Éric Mare, Pierre-Jean Rigaud, Florent Destruhaut, Norbert Telmon, Delphine Maret (2023) Dental care of Anne d'Alègre (1565–1619, Laval, France). Between therapeutic reason and aesthetic evidence, the place of the social and the medical in the care in modern period. Journal of Archaeological Science: Reports. [ScienceDirect] - スウェーデン
- ブレーキンゲ県(Blekinge län)ロンネビュー(Ronneby)沖のStora Ekön島近くのバルト海の底にある沈没船グリブスフンデン号(Gribshunden)に、遠方から運んできたサフラン、ショウガ、チョウジなどの香辛料。グリブスフンデン号はデンマーク=ノルウェー王ハンス(Hans)の旗艦で1495年沈没。スウェーデンの王位も認めさせて北欧三国を手中に収めるため、カルマル(Kalmar)に向かう途中だった。
▶ Mikael Larsson, Brendan Foley (2023) The king’s spice cabinet–Plant remains from Gribshunden, a 15th century royal shipwreck in the Baltic Sea. PLOS ONE, 18(1): e0281010. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- レスターシャー州(the county of Leicestershire)レスター(Leicester)のレスター大聖堂(Leicester Cathedral)で、鉛棺。ヴィクトリア朝・19世紀の更生施設の外科医エドワード・ウィルキンソン(Edward Entwistle Wilkinson:1796〜1846年)の遺体を納める。[BBC]
▼レスター大聖堂関連記事→2022年6月12日 - アイルランド
- ダブリン県(County Dublin)のキルシェイン遺跡(Kilshane)で出土した中期新石器時代・紀元前4千年紀の動物遺体を調査。牽引のために大型の雄ウシを育てていたと推定。ウシの牽引力を農業のための土地管理や、巨石建造物のために用いた。
▶ Fabienne Pigière, Jessica Smyth (2023) First evidence for cattle traction in Middle Neolithic Ireland: A pivotal element for resource exploitation. PLOS ONE, 18(1): e0279556. [PLOS ONE]
▼キルシェイン遺跡関連記事→2022年1月11日 - エジプト
- サッカラ遺跡(Saqqara)で、4300年前のヘカシェペス(Hekashepes)という人物の金箔張りのミイラ。エジプトで王族以外では最も古い完全なミイラ。ほかに3体のミイラも出土。[BBC]
- メキシコ
- チアパス州(Estado de Chiapas)のパレンケ遺跡(Palenque)で、後期古典期(late Classic)マヤ・7〜9世紀の土器10000点以上。編年の手がかりに。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Heritage Daily]
▼パレンケ遺跡関連記事→2022年7月12日
2023年1月26日(木)
- 栃木県
- 大田原市・上侍塚古墳(かみさむらいづかこふん)で、葺石や土器の一部などが出土。後方部が3段築成であることも確認。4世紀の前方後方墳。公益財団法人とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センターの調査。1/28現地説明会。[下野新聞]
▼上侍塚古墳関連記事→2022年4月3日 - 長野県
- 飯田市・恒川官衙遺跡(ごんがかんがいせき)で、奈良時代の正倉と考えられる掘立柱建物3棟と、正倉院を取り囲む溝の跡など。古代の役所「伊那郡衙」と考えられる遺跡。飯田市教育委員会の調査。2/26現地説明会。
▶史跡恒川官衙遺跡の発掘調査現地説明会を開催します[飯田市]
▼恒川官衙遺跡関連記事→2020年12月4日 - 滋賀県
- 大津市・里西遺跡(さとにしいせき)で弥生時代後期〜終末期・2世紀〜3世紀前半の平面五角形の竪穴建物跡。床面中央部に熱を受けて赤く変色した土。鉄製品も出土しており、簡易な鍛冶作業をした炉があった可能性。公益財団法人滋賀県文化財保護協会1/26発表。1/29現地説明会。[産経新聞]
弥生時代〜室町時代の集落。▶大津市里西遺跡の現地説明会の開催について(2023.01.29) [公益財団法人滋賀県文化財保護協会] - 韓国
- 浮石寺(プソクサ)にある国宝・祖師堂の、高麗時代の壁画について、壁体構造を確認。[文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt) ベルデ郡(Landkreis Börde) ハルデンスレーベン(Haldensleben)のヴェードリンゲン(Wedringen)で、レッセン文化(Rössener Kultur;Rössen culture)・6500年前の円形の溝。直径60m。溝の内側に3重の円形の柵跡がめぐり、中央に直径40mの空間。[Die Zeit]
- UK(イングランド)
- サフォーク州(the county of Suffolk)イースト・ブリッジ(Eastbridge)のサイズウェル(Sizewell)で、鉄器時代・紀元前400年〜前100年の馬車(chariot)の木製の車軸。[BBC]
▼サイズウェル関連記事→2008年6月25日 - エジプト
- サッカラ(Saqqara)のGisr Al-Mudirで、古王国時代・第5〜第6王朝の高官や神官らの墓。彫刻12体出土。[Ahram Online]
2023年1月25日(水)
- 愛知県
- 豊川市・三河国分寺跡(みかわこくぶんじあと)で、南大門の東西の幅12.6mと判明。塔跡の基礎部分は16.8m四方。豊川市教育委員会の調査。1/29現地説明会。[東愛知新聞]
▶令和4年度史跡三河国分寺跡発掘調査の現地説明会を実施します [豊川市]
▼三河国分寺跡関連記事→2022年1月28日 - 奈良県
- 奈良市・富雄丸山古墳(とみおまるやまこふん:第6次調査)の造り出しから埋葬施設。木棺を覆う粘土の中から、長さ64cmの盾形の銅鏡と全長2.37mの蛇行剣。4世紀後半の円墳。円墳として日本最大。奈良市埋蔵文化財調査センターと奈良県立橿原考古学研究所1/25発表。[朝日新聞]
1/28-29現地公開。
▶富雄丸山古墳の発掘調査(第6次)現地公開の開催について [奈良市]
▼富雄丸山古墳関連記事→2022年2月3日 - 韓国
- 慶尚南道 金海市・亀山洞支石墓(クサンドンしせきぼ)で昨年起こった毀損事件について、現状変更の許可期間が過ぎても以降の解体・移動が行われ、埋蔵文化財を毀損したと指摘。また、慶尚南道職員は現地調査のとき金海市職員の話だけ聞いて現場を見ていなかった。公務員6名に懲戒、3名に訓戒、2名に注意処分。慶尚南道による監査結果。[聯合ニュース]
▼亀山洞支石墓の毀損事件関連記事→2022年8月5日 - 韓国
- 済州市・梧登洞寺跡で、最初に建てられた3号建物から金銅多層小塔、北宋時代の銅銭「咸平元宝」「皇宋通宝」「治平元宝」を発見。高麗時代・11世紀前半〜半ばに創建されたと推定。大韓文化財研究院の調査。[NEWSIS]
- 中国
- 山西省 翼城県・大河口西周墓地(Dahekou)のM2号墓で出土した、西周時代の玉製の垂飾「組玉佩」に用いられた黄色のビーズ67個について分析。瑪瑙や紅玉髄とみられていたが、実際は蛍石(Fluorite)であった。王畿と陝西省中部、山西省南部では蛍石の使用が一般的だが、西周文化の影響下でも瑪瑙や紅玉髄が豊富な地域では蛍石は見られないので、蛍石はそれらの素材の代替品とみられる。
▶ Rong Wang, Xiang Li, Yiwen Xu, Yaoting Xie (2023) Study on the yellow beads in the jade pendant set (組玉佩) of the Western Zhou Dynasty: Fluorite beads from M2 in Dahekou cemetery, Yicheng County, Southern Shanxi. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, April 2023, 103825. [ScienceDirect]
▼大河口西周墓地関連記事→2011年4月23日 - パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- エルサレム(Jerusalem)旧市街のスルタン・スレイマン通りで、10世紀の堀から、石材に刻み込まれた手形。[The Times of Israel]
- アルバニア
- ブトリント遺跡(Butrint)のあるブトリント国立公園に関する利権を、文化省からアルバニア・アメリカ開発基金(AADF)の設立したブトリント管理基金(BMF)に移すという政府の決定について、野党が憲法裁判所に提訴。[IntelliNews]
- イタリア
- ローマのカラカラ浴場近くにある、アッピア街道(Via Appia;Appian Way)の最初の部分で、地下水のため発掘が阻まれ、調査が断念される可能性。[Reuters]
- オランダ
- 湿地ハルディンクスフェルト=ヒセンダム(Hardinxveld-Giessendam)の後期中石器時代の Polderweg 遺跡と De Bruin 遺跡で出土した動物のコラーゲンを放射性炭素年代測定。動物の家畜化が始まる集落の最終段階は、従来説より遅く、紀元前4000年ごろと判明。
▶ Merita Dreshaj, Michael Dee, Nathalie Brusgaard, Daan Raemaekers, Hans Peeters (2023) High-resolution Bayesian chronology of the earliest evidence of domesticated animals in the Dutch wetlands (Hardinxveld-Giessendam archaeological sites). PLOS ONE, 18(1): e0280619. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- カンブリア州(Cumbria)グレート・アーズウィック(Great Urswick)にあるヒーニング・ウッド・ボーン洞窟(Heaning Wood Bone Cave)で出土した埋葬人骨7体と巻貝を放射性炭素年代測定。埋葬は中石器時代のごく初期・11000年前、前期新石器時代・5500年前、前期青銅器時代・4000年前の3時期。巻貝も11000年前。中石器時代の埋葬は英国北部最古の人骨。
▶Earliest human remains discovered in northern Britain [University of Central Lancashire] - エジプト
- ルクソール(Luxor)のドゥラ・アブル・ナガ墓群(Dira’ Aboul Naga)で、第二中間期(Second Intermediate Period)・第13王朝の家族墓。[Egypt Independent]
- エジプト
- ルクソール(Luxor)でローマ時代・2〜3世紀の都市を調査。居住用の建物や2つの塔を完掘。金属工房や、土器、銅貨も出土。[Middle East Eye]
- エジプト
- 1916年に発掘された古代エジプト、プトレマイオス朝の「Golden Boy」と呼ばれる少年のミイラをCTスキャンで調査。護符49個を伴っていたことが判明。黄金のマスクを伴っていたので「Golden Boy」と呼ばれる。14〜15歳と推定。[LiveScience]
▶ Sahar N. Saleem, Sabah Abd el-Razek Seddik and Mahmoud el-Halwagy (2023) Scanning and three-dimensional-printing using computed tomography of the “Golden Boy” mummy. Frontiers in Medicine, Volume 9. [Frontiers]
2023年1月24日(火)
- 神奈川県
- 伊勢原市・上粕屋・秋山遺跡で、縄文時代後期の敷石住居と配石群。公益財団法人かながわ考古学財団の調査。2/2-3現地公開。[公益財団法人かながわ考古学財団]
- 中国
- 寧波(Ningbo)の大榭遺跡(Daxie)における海水による製塩について研究。紀元前2900年ごろに居住が始まり、狩猟、漁撈、石器生産を行った。紀元前2400年ごろに海面が上昇すると、新石器時代人らはマウンドを構築し、海水による特殊な製塩技術を創始。海面上昇に対する適応戦略として製塩を行った。
▶ Tongtong Zheng, Shao Lei, Zhanghua Wang, Wenjing Li, Shuwen Mei, Jiehua Wang, Michael E. Meadows (2023) Prehistoric sea-salt manufacture as an adaptation strategy to coastal flooding in East China. Quaternary Science Reviews, Volume 302, 15 February 2023, 107966. [ScienceDirect]
▼大榭遺跡関連記事→2021年7月31日 - イラク
- テル・アル・ヒバ遺跡(Tell al-Hiba)の古代ラガシュ(Lagash)で紀元前2700年の居酒屋跡。冷蔵庫の役割をする「zeer」、かまど、貯蔵容器など。
▶At a southern Iraq site, unearthing the archaeological passing of time[University of Pennsylvania] - ベルギー
- ウェスト=フランデレン州(West-Vlaanderen;West Flanders)ルーセラーレ(Roeselare)のDe Ruiter地区で、ローマ時代の建物基礎、堀、炭焼き窯、火葬壺棺墓と中世・10〜12世紀の堀と穴。[The Brussels Times]
- フランス
- ジロンド県(Le département de la Gironde)ボルドー(Bordeaux)のサン・スラン教会(église Saint-Seurin)近くで、中世・6〜8世紀の墓地。[Sud Ouest]
▼アキテーヌ地域圏(Aquitaine)
2023年1月23日(月)
- 東京都
- 豊島区・南池袋遺跡(みなみいけぶくろいせき)で、煉瓦造基礎の遺構。東洋乾板株式会社の研究棟の基礎部分と推定。豊島区の調査。2/4現地説明会。
▶南池袋遺跡(南池袋二丁目C地区再開発南街区)遺跡見学会を開催します! [豊島区] - 三重県
- 桑名市・天王平遺跡(てんのうびらいせき)で、30棟以上の住居跡。漁具など出土。奈良時代から平安時代を中心とした集落跡。桑名市の調査。1/28現地説明会。
▶天王平遺跡発掘調査現地説明会の開催のお知らせ [桑名市]
▼天王平遺跡関連記事→2023年1月18日 - 中国
- 広西チワン族自治区(Guangxi) 崇左市(Chongzuo) の左江(Zuojiang)流域で出土した新石器時代のヘビの骨を研究。現代と同様のヘビが棲息。ヒトがヘビ猟を行っていた可能性も。
▶ Jing-Song Shi, Jing Li, Qing-Ping Yang, Ning Liu & Xi Chen (2023) Prehistoric snake bones from Zuojiang River Basin, Guangxi, China. Historical Biology. [Taylor & Francis Online] - 後期青銅器時代
- 後期青銅器時代の剣(sword)と短剣(dirk)が骨に及ぼすカットマークの違いを実験的に研究。両者は明確に識別できず、カットマークに基づく従来の研究に再考の余地。
▶ Rebecca L.J. Strong, , Linda Fibiger (2023) An experimental investigation of cutmark analysis of sharp force trauma in the Bronze Age. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, April 2023, 103843. [ScienceDirect] - ルーマニア
- クルジュ=ナポカ(Cluj-Napoca)で、ローマ時代 ・2000年前の道路。板石、川原石、モルタルで作る。ナポカは106年にローマ帝国に征服され、「ムニキピウム・アエリウム・ハドリアヌム・ナポカ」(Municipium Aelium Hadrianum Napoca)となった。[Arkeonews]
- イタリア
- ラティウム(Latium)のボッコーネ・デル・ポヴェロ(Boccone del Povero)で出土したローマ時代・1〜2世紀の人骨42体について、歯石と安定同位体分析により、1〜2世紀の食生活を分析。C3陸生タンパク質に基づく雑食性の食事であるが、一部の個人ではC4植物の消費も。
▶ Alessia D'Agostino, Marica Baldoni, Gabriele Di Marco, Gabriele Scorrano, Iuri Icaro, Mauro Brilli, Giuseppina Scano, Alessandra Nardi, Paola Catalano, Michela Rustici, Andreina Ricci, Olga Rickards, Antonella Canini, Cristina Martinez-Labarga, Angelo Gismondi (2023) Dental calculus and isotopes reveal information about ancient diet of Boccone del Povero community (1st-2nd century CE, Latium, central Italy). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, 103845. [ScienceDirect] - スロバキア
- トルナヴァ(Trnava)で旧石器時代・4万年前のフリント製の槍先。[The Slovak Spectator]
2023年1月22日(日)
- ウズベキスタン
- サマルカンド(Samarkand)のカフィル・カラ砦(Kafir Kala)とチョラクテパ地域(Cholaktepa)で出土した8世紀前半のガラスを分析。2試料がナトロンで作られていたのを除くと、すべての試料がシリカソーダ石灰ガラス。組成は、現地生産が想定されるフェルガナ渓谷とのつながりを示す。
▶ Tania Chinni, Sara Fiorentino, Alberta Silvestri, Simone Mantellini, Amriddin. Berdimuradov, Mariangela Vandini (2023) Glass from the Silk Roads. Insights into new finds from Uzbekistan. Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 48, April 2023, 103841. [ScienceDirect]
2023年1月21日(土)
- 埼玉県
- 川越市・大正浪漫夢通りで1/20火災が発生し、川越市の指定有形文化財「加藤家住宅」の建物を使ったイタリア料理店「ウッドベイカーズ川越本店」を含む2棟が全焼。[朝日新聞]
- 奈良県
- 奈良市・平城京跡(へいじょうきょうあと)で、朱雀門の南側、左京三条一坊二坪に当たる位置から奈良時代〜平安時代の小型建物1棟。奈良文化財研究所の調査。1/20現地見学会。[奈良新聞]
- 奈良県
- 宇陀市・六孫王五輪塔の石材に残った矢穴の痕跡から見て、破壊されたのは幕末ではなく戦国時代。秋山城の改修で石材の一部が持ち去られた可能性。五輪塔は南北朝時代〜室町時代に作らた。[共同通信]
- 奈良県
- 宇陀市・伝六孫王五輪塔は高さ4.8mに復元できる。従来の想定より大きい。南北朝時代末期〜室町時代前期ごろに建立。[奈良新聞]
- 福岡県
- 久留米市・両替町遺跡(りょうがえまちいせき)で、キリシタンが用いたとみられるガラス製のロザリオ玉2点。徳川幕府の禁教令以前のキリスト教会遺構に関連。久留米市の調査。[共同通信]
- ギリシャ
- コリントス(Κόρινθος;Corinth)の古代都市テネア(Τενέα;Tenea)で、ローマ時代の大規模な公共建築。また、5〜6世紀の小像や硬貨2100枚などの奉納品。それらの下層にはアルカイック時代〜クラシック時代の土器や、紀元前4世紀の硬貨。さらにローマ時代の墳墓も。[Heritage Daily]
▼テネア関連記事→2019年10月23日 - ドイツ
- ブランデンブルク州(Land Brandenburg)ウッカーマルク郡(Landkreis Uckermark) グロス・フレデンヴァルデ(Groß Fredenwalde)の中石器時代・8000年前の墓地について、持ち帰ったブロックの室内調査が継続。12人の遺体を確認。ドイツ最古の埋葬遺跡で、中石器時代の埋葬としてドイツ最大。
▶Neues vom ältesten Gräberfeld Deutschlands[Archaeologie Online]
▼グロス・フレデンヴァルデ関連記事→2019年9月7日 - スペイン
- アラゴン州(Aragón) ウエスカ県(Provincia de Huesca)カンポダルベ(Campodarbe)にあるクエバ・デ・ラ・シエラ洞窟(Cueva de la Sierra)にある後期新石器時代〜前期銅石器時代・紀元前4千年紀の墳墓に散布された、4400±30年前の赤色顔料を分析し、辰砂(cinnabar)と確認。アラゴン州最古の辰砂。硫黄の同位体分析により、500km離れたイベリア半島北西部産出の辰砂。エブロ川(Ebro)流域が情報伝達ルートとなっていた。
cf. José María Rodanés-Vicente, José Antonio Cuchí-Oterino, Takeshi Minami, Kazuya Takahashi, Jesús Martín-Gil, José Ignacio Lorenzo-Lizalde, Pablo Martín-Ramos (2023) Use of cinnabar in funerary practices in the Central Pyrenees. Analysis of pigments on bones from the prehistoric burial of the Cueva de la Sierra cave in Campodarbe (Huesca, Spain). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 48, April 2023, 103849. [ScienceDirect] - UK(イングランド)
- ウォリックシャー州(Warwickshire)コージル・マナー(Coleshill Manor)の中世の門楼(gatehouse)で、17世紀のイングランド内戦(English Civil War)初期のピストルやマスケット弾の痕200か所跡。近隣で弾丸も40個以上出土。1642年に内戦の最初の戦闘となったカードワース橋の戦い(Battle of Curdworth Bridge)はコージルの近隣で起こった。Wessex Archaeologyの調査。[itv]
▶HS2 archaeologists uncover scars of early Civil War battle in Warwickshire[HS2 Ltd]
▼コージル・マナー関連記事→2021年1月27日 - UK(イングランド)
- ベッドフォードシャー州(the county of Bedfordshire)で鉄器時代の水漬けになった遺物。木製の井戸やはしごが遺存。昆虫、手指、植物、花粉なども良好に遺存。Museum of London Archaeology (Mola)の調査。[Heritage Daily]
- UK(イングランド)
- ケンブリッジシャー州(Cambridgeshire)セント・ニーアツ(St Neots)のウィントリンガム(Wintringham)で、鉄器時代〜ローマ時代の集落。ローマ時代・3世紀の墓から、複数の頭部のない遺体。Oxford Archaeologyの調査。[BBC]
- エチオピア
- アワシュ川上流(Upper Awash)メルカ・クントゥレ(Melka Kunture)のシンビロIII遺跡(Simbiro III)のC層で、120万年以上前に黒曜石の採掘が急増。
cf. Margherita Mussi, Eduardo Mendez-Quintas, Doris Barboni, Hervé Bocherens, Raymonde Bonnefille, Giuseppe Briatico, Denis Geraads, Rita T. Melis, Joaquin Panera, Laura Pioli, Andrea Serodio Domínguez & Susana Rubio Jara (2023) A surge in obsidian exploitation more than 1.2 million years ago at Simbiro III (Melka Kunture, Upper Awash, Ethiopia). Nature Ecology & Evolution. [Nature Ecology & Evolution] - USA
- 米国南西部の古代プエブロ(Ancestral Pueblo)とモゴヨン(Mogollon)の地域に見られる Corrugated vessels の巻き上げ成形(coiling)の方向を分析し、圧痕の角度など、ほかの属性との関係を研究。圧痕の角度と巻き上げの方向には関連があるが、密接ではなく、圧痕を巻き上げ方向の指標にできるほどではない。巻き上げ方向はほぼ一貫して反時計回りであるが、米国南西部の北端と南端では例外があり、一時的に時計回りになる傾向がみられる。
▶cf. Genevieve Woodhead (2023) Potter Gestures and Work Direction in Southwest Ceramics with Exposed Coiling and Corrugation. KIVA. [Taylor & Francis Online] - グアテマラ
- ペテン県(Departamento de Petén)のミラドール=カラクムル・カルスト盆地で、古代マヤ文明・紀元前1000年〜紀元後150年の964の居住地群や道路をLiDARで確認。[共同通信]
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