考古学のおやつ/NEWSLINK

2023年1月20日（金）

岡山市: 北区津島に古墳時代中期後半・5世紀後半の未知の前方後円墳があった。1908年に撮影された陸軍駐屯地造営時の写真に前方後円墳が写りこんでおり、既知のお塚様古墳とは別の前方後円墳と判明。塚前古墳（つかのまえこふん）と命名。
▶津島で新たに前方後円墳を発見！ [岡山大学]
佐賀県: 上峰町・鎮西山城跡（ちんぜいざんじょうあと）で、中世山城の高度な土木技術を示す遺構。上峰町教育委員会の調査。[佐賀新聞]
▼鎮西山城跡関連記事→2022年1月29日
中国: 山西省陽泉市高新区 南楊家庄村で、元時代の紀年壁画墓3基。[光明日報]
イタリア: カンパニア州（Regione Campania）バニョーリ（Bagnoli）で、アウグストゥス帝のころの水道647m分を確認。[Il Mattino]
UK（イングランド）: ノース・ヨークシャー州（North Yorkshire）スカボロー（Scarborough）で、中石器時代・10500年前の狩猟採集民の保存の良い集落。獣骨、骨角器、石器、木工の痕跡。[Phys.Org]

2023年1月19日（木）

茨城県: 那珂市・下大賀遺跡（しもおおがいせき）で、平安時代・9世紀中ごろの竪穴住居跡から出土した石製支脚の正面に、人物の顔の線刻。公益財団法人茨城県教育財団1/18発表。[茨城新聞]
▼下大賀遺跡関連記事→2022年7月28日
埼玉県: 白岡市・中妻遺跡（なかづまいせき：第31地点）で、中世の館に伴う濠跡とみtられる溝。白岡市の調査。
▶中世館跡の縁辺を調査しました！（中妻遺跡第３１地点） [白岡市]
▼中妻遺跡関連記事→2020年4月24日
中国: 広州市南沙区南沙街で商（殷）、西周、唐宋、明清の時代の遺跡。商時代の遺存が最も豊富。[新華社]
中国: 広州市越秀区東風西路で、前漢代の南越国の排水溝や井戸など。また、南朝・唐・五代の瓦など建築材。人の手で加工された貝殻の堆積が出土しており、建築との関連が推定される。[騰訊網]
イスラエル: アラバ（Arava）のナハル・オメル遺跡（Nahal Omer）で、初期イスラーム時代・7世紀の中国由来の綿と絹。インド、スーダンに由来する綿織物も。[The Jerusalem Post]
トルコ: ヴァン県（Van ili）エルジシュ郡（Erciş）で、石灰岩に彫り込まれたウラルトゥの時代の三室構造の墓。[Arkeonews]
フランス: オクシタニー地域圏（Occitanie）エロー県（Hérault）ベジエ（Béziers）で、新石器時代の集落と、ガロ・ローマ時代・1～2世紀の農村の2遺跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶Une occupation néolithique et un établissement rural gallo-romain à Béziers (Hérault) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
スウェーデン: 近世・16世紀にスウェーデンに七面鳥が導入され、17世紀に普及した背景を、財務記録と考古資料から分析。1580年代にカール公（Duke Karl of Sweden）が初めて輸入し、1610年代には貴族層に広まった。最初の数十年は珍奇なものとして取り扱われたが、17世紀のうちに都市の上流階級に普及。
cf. Emma Maltin & Håkan Jakobsson (2023) The introduction of the turkey (Meleagris gallopavo) in early modern Sweden – historical and zooarchaeological evidence of husbandry and consumption. Post-Medieval Archaeology. [Taylor & Francis Online]
UK（イングランド）: ノース・ヨークシャー州（North Yorkshire）スカボロー（Scarborough）で中石器時代の狩猟採集民の集落。獣骨、骨角器、石器、木器など出土。当時の狩猟対象だった動物の種類がわかる。
▶Archaeologists shed light on the lives of Stone Age hunter-gatherers in Britain[The University of Manchester]
UK（イングランド）: ロンドンのハンテリアン博物館（Hunterian Museum）は、「アイルランドの巨人」と称される18世紀の巨人症の男性の骨格標本について展示を取りやめ。故人の意思を尊重すべきとの指摘を受けて。[時事通信]
エジプト: アスワン（Aswan）のクバット・アル＝ハワ（Qubbat al-Hawā）で、撹乱されていない墓から、ワニのミイラ。
cf. Bea De Cupere, Wim Van Neer, Vicente Barba Colmenero, Alejandro Jiménez Serrano (2023) Newly discovered crocodile mummies of variable quality from an undisturbed tomb at Qubbat al-Hawā (Aswan, Egypt). PLOS ONE, 18(1): e0279137. [PLOS ONE]

2023年1月18日（水）

青森県: 南部町・聖寿寺館跡（しょうじゅじたてあと）で2014年に出土した硯の裏に線刻された「堀内」の文字は三戸南部氏当主や本拠地の呼称を示している可能性。南部氏由来としては唯一の文字資料。南部町教育委員会1/18発表。[東奥日報]
▼聖寿寺館跡関連記事→2022年10月18日
三重県: 桑名市・天王平遺跡（てんのうびらいせき）で、奈良時代～平安時代の集落跡。桑名市の調査。1/28現地説明会。
▶天王平遺跡発掘調査現地説明会の開催のお知らせ [桑名市]
香川県: 坂出市・讃岐国府跡（さぬきこくふあと）で役所の施設を区画する溝は、80mにわたって直線的に伸び、8世紀前半ごろ掘られて200年間維持されていた。香川県埋蔵文化財センターの調査。[NHK]
▼讃岐国府跡関連記事→2022年12月15日
韓国: 慶尚南道咸安郡・安谷山城（アンゴクさんじょう）で、阿羅加耶の城郭の築城技法を確認。土石混築。5世紀前半に築城。[慶南日報]
▼安谷山城関連記事→2018年12月31日
中国: 山東省煙台市莱州市文昌路街道・東三嶺子墓群で、北宋～清の墳墓43基。北宋墓は磚室墓を主とし、M7号墓では北宋の紀年「熙寧元年」（1068年）の磚。[中国社会科学院考古研究所]
トルコ: ネヴァル・チョリ遺跡（Nevalı Çori）で出土した先土器新石器時代B（Pre-Pottery Neolithic B；PPNB）人骨の同位体比、放射性炭素年代、ゲノムデータを調査し、先土器新石器時代B後半の南レヴァント（ヨルダン）のバアジャ遺跡（Ba'ja）のゲノムデータと比較。先土器新石器時代Bの第1段階以降、南東アナトリアではヒトの移動が少なくなり、家畜資源への依存が高くなった。
▶ Xiaoran Wang, Eirini Skourtanioti, Marion Benz, Julia Gresky, Jana Ilgner, Mary Lucas, Michael Morsch, Joris Peters, Nadja Pöllath, Harald Ringbauer, Petrus le Roux, Michael Schultz, Johannes Krause, Patrick Roberts, and Philipp W. Stockhammer (2023) Isotopic and DNA analyses reveal multiscale PPNB mobility and migration across Southeastern Anatolia and the Southern Levant. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 4, e2210611120. [PNAS]
スペイン: バレアレス諸島（Islas Baleares；Balearic Islands）のメノルカ島（Menorca；Minorca）のコバ・デ・パス遺跡（Cova des Pas）に埋葬された青銅器時代・タライオット文化（Talayotic Culture）・3600年前～2800年前の遺体49体について、炭素（δ13C）と窒素（δ15N）の安定同位体分析。近隣の同時代のSon Mercer de Baix遺跡で出土した動物遺体と比較。ヒトは主に植物を食べ、動物性タンパク質も多く摂取。4歳までのδ15Nが高く、このころまでに離乳。性別や年齢による差は小さい。海洋性の食物をあまり摂らないことはメノルカ島のほかの遺跡と同様。[Phys.Org]
▶cf. T. Sotiriadou, C. Tornero, A. Malgosa, P. Sureda & X. Jordana (2023) Dietary reconstruction of the Bronze Age necropolis of Cova des Pas (Minorca Island): evidence from δ13C and δ15N analyses. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 15, Article number: 11. [SpringerLink]
ヨーロッパ: ヨーロッパ北西部のデンマーク、フランス、ドイツ、英国、スペイン、スウェーデンの新石器時代・8000年前～4000年前の180遺跡から出土した人骨2300体を分析。10体に1体以上に武器による傷。頭や石斧で何度も殴られたり、鏃が貫通するなど。集団墓と関連する場合があり、コミュニティ自体が廃絶することも。
▶cf. Linda Fibiger, Torbjörn Ahlström, Christian Meyer, and Martin Smith (2023) Conflict, violence, and warfare among early farmers in Northwestern Europe. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 4, e2209481119. [PNAS]
UK（スコットランド）: ボーギー・フォレスト（Borgie Forest）の地下にある鉄器時代のクラックニー地下道（Cracknie Souterrain）をレーザーで調査。AOC Archaeology Groupの調査。[Heritage Daily]
エジプト: サッカラ（Saqqara）で、無傷のパピルス文書「死者の書」。長さ16m。[Egypt Independent]
USA: シカゴ自然史博物館（The Field Museum）に100年前から展示されている剣はレプリカとみられていたが、青銅器時代の末・3000年前の本物と判明。ドナウ川に沈んでいた剣。[CBS]

2023年1月17日（火）

山口県: 山口市・凌雲寺跡（りょううんじあと：第11次調査）で、礎石建物の西側一帯を調査。山口市の調査。2/11現地説明会。
▶第2回凌雲寺跡第11次調査の現地説明会を開催します[山口市]
▼凌雲寺跡関連記事→2022年1月13日
イラン: ケルマーン州（Ostān-e Kermān）ジロフト（Jiroft）のハッジアバード・ヴァラミン遺跡（Hajjiabad-Varamin）で、紀元前3千年紀の石製品の工房。様々な石製容器や石製装飾品が出土。石製容器やアクセサリーの再生も行っていた。[Tehran Times]
▽文中に「stoneware」とあるが、「炻器」（須恵器のような材質の窯業製品）ではなく、石製容器を指して用いられている。
▼ハッジアバード・ヴァラミン遺跡関連記事→2022年8月24日
イラン: セイマレ（Seymareh）で、パルティア、サーサーン朝、初期イスラーム時代の都市遺跡。[Tehran Times]
イスラエル: ベト・シェメシュ遺跡（Tel Beth-Shemesh）の後期青銅器時代IB期～IIA期（LBA IB-IIA）の宮殿で出土した動物形土製品やオイルランプに残る指紋から、工人の年齢や性別を決定。59点のうち、成人37～46%、成人か若者46～53％、子供9～10％。また、男性51～60％、女性40～49％。
cf. Kent D. Fowler, Jon Ross, Christian Barritt-Cleary, Zvi Lederman, Shlomo Bunimovitz & Haskel J. Greenfield (2023) Age and sex determination of fingerprints on ceramic objects from the Late Bronze Age Palace at Tel Beth-Shemesh, Israel. Levant. [Taylor & Francis Online]
▼ベト・シェメシュ遺跡関連記事→2020年10月9日
ギリシャ: クレタ島、ギリシャ本土エーゲ海の島々の新石器時代～鉄器時代までのヒト102体についてゲノムを分析。クレタ島の初期の農耕民は新石器時代のエーゲ海地域と同じ先祖を共有。新石器時代末から前期青銅器時代にかけて東方のアナトリア由来の遺伝子が流入。ギリシャ本土では中期青銅器時代までに中欧・東欧に由来する遺伝子が増え、クレタ島でも本土の影響が強まった紀元前17世紀～前12世紀に同様の傾向。また、エーゲ海地域では高い頻度で血族内の婚姻が行われた。
▶cf. Eirini Skourtanioti, Harald Ringbauer, Guido Alberto Gnecchi Ruscone, Raffaela Angelina Bianco, Marta Burri, Cäcilia Freund, Anja Furtwängler, Nuno Filipe Gomes Martins, Florian Knolle, Gunnar U. Neumann, Anthi Tiliakou, Anagnostis Agelarakis, Maria Andreadaki-Vlazaki, Philip Betancourt, Birgitta P. Hallager, Olivia A. Jones, Olga Kakavogianni, Athanasia Kanta, Panagiotis Karkanas, Efthymia Kataki, Konstantinos Kissas, Robert Koehl, Lynne Kvapil, Joseph Maran, Photini J. P. McGeorge, Alkestis Papadimitriou, Anastasia Papathanasiou, Lena Papazoglou-Manioudaki, Kostas Paschalidis, Naya Polychronakou-Sgouritsa, Sofia Preve, Eleni-Anna Prevedorou, Gypsy Price, Eftychia Protopapadaki, Tyede Schmidt-Schultz, Michael Schultz, Kim Shelton, Malcolm H. Wiener, Johannes Krause, Choongwon Jeong & Philipp W. Stockhammer (2023) Ancient DNA reveals admixture history and endogamy in the prehistoric Aegean. Nature Ecology & Evolution. [Nature Ecology & Evolution]
ルーマニア: ピアトラ・ネアムツ（Piatra Neamț）で2019年発見された「ピアトラニアムツのヴィーナス」（Venus de Piatra Neamț）と呼ばれる旧石器時代・グラヴェット文化（Gravettian）・17200年前の砂岩製の像は本物と確認。旧石器時代のヴィーナス像はルーマニアでは初。ヨーロッパでは1908年のヴィレンドルフのヴィーナス以来100年ぶりの確認。[HotNews]
▼ピアトラ・ネアムツ遺跡関連記事→2022年12月1日
ノルウェー: ティーリフィヨレン湖（Tyrifjorden）近くのホレ（Hole）で、リンゲリケ（Ringerike）の砂岩に彫られた、0年～250年のルーンストーン（rune stone）。世界最古か。
▶World’s oldest rune stone found in Norway, archaeologists believe[Science Norway]
UK（イングランド）: ノーサンバーランド州（the county of Northumberland）ニューシャム（Newsham）で、鉄器時代の集落。中央に円形の倉庫。Wessex Archaeologyの調査。[ChronicleLive]
UK（スコットランド）: スコットランドで出土した、ヴァイキング時代に当たる前期中世・900年ごろの繊維の痕跡を、金属の腐食生成物の中から識別。
cf. Mary Davis, Susanna Harris (2023) Textiles in a Viking Age hoard: Identifying ephemeral traces of textiles in metal corrosion products. Journal of Archaeological Science: Reports. [ScienceDirect]
エジプト: ファイユーム（Faiyum）で、イヌ142頭とともに葬られた子供。イヌはすべて同時期に暴力的でない原因で死亡。貯水池に多い青粘土からみて、世話する子供とともに洪水に遭ったか。[Heritage Daily]

2023年1月16日（月）

福島県: 柳津町・池ノ尻地区で2022年ごろに発見され、柳津町に寄贈されていた縄文時代中期の土器が、土偶がついた形状の土器としては国内最大級とわかる。やないづ縄文館に収蔵。[NHK]
岡山県: 赤磐市・中池南遺跡（なかいけみなみいせき）で、弥生時代の土坑や古代の掘立柱建物など。赤磐市教育委員会の調査。1/26現地説明会。
▶令和4年度中池南遺跡発掘調査現地説明会を開催します（令和5年1月26日開催）[赤磐市]
イラン: ファールス州（Ostān-e Fārs）のナクシェ・ロスタム遺跡（Naqsh-e Rostam）で、岩を刻んだ墓石。パフラヴィー文字（Pahlavi script）の銘文。ハカーマニシュ朝（アケメネス朝；Achaemenid）末～イスラーム時代初めの間。[Tehran Times]
▼ナクシェ・ロスタム遺跡関連記事→2023年1月9日
授賞: 八ケ岳あおば旧石器文化賞の第3回受賞者に村瀬早紀さん。南山大学大学院で旧石器考古学を専攻し、下呂石を研究。[信濃毎日新聞]

2023年1月15日（日）

中国: 河南省洛陽市・漢魏洛陽城遺跡（かんぎらくようじょういせき）で、北魏時代の大規模な半地下の倉庫跡。[環球網]
▼漢魏洛陽城遺跡関連記事→2023年1月6日
中国: 四川省資陽市・濛渓河遺跡で、旧石器時代・4万3000年前の人類の痕跡。[新華社]
イラン: エスファハーン州（Ostān-e Eşfahān；Isfahan）アーラーン・ビードゴル郡（Ārān-o Bīdgol）ナスハバード（Nushabad）にあるセルジューク朝のモスクJameh Mosqueで、粘土板2片。[Tehran Times]
エジプト: ルクソール（Luxor）で、第18王朝の王室の墓。[Ahram Online]

2023年1月14日（土）

福井県: 美浜町・帝釈寺（たいしゃくじ）で、寺子屋の教え子が建立した筆子塚が新たに見つかる。1740年建立とみられる。[日刊県民福井]
ルーマニア: ミジル（Mizil）で、5世紀の富裕な戦士の墓。ウマの埋葬を伴う。武器や金張りの遺物などを副葬。フン族に支配されていたころに当たり、民族移動時代の支配階級とみられる。[LiveScience]
フランス: プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏（Provence-Alpes-Côte d'Azur）オート＝アルプ県（Hautes-Alpes）ガップ（Gap）で11～12世紀のLuye川の河床や、17～18世紀の石灰窯4基、練炭窯3基。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶Paysage ancien et industrie moderne à Gap (Hautes-Alpes) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
UK（イングランド）: ノーサンバーランド州（the county of Northumberland）のリンディスファーン島（Lindisfarne）で、墓から中世にさかのぼる可能性ある人骨7体。[ChronicleLive]

2023年1月13日（金）

中国: 陝西省咸陽市旬邑県・西頭遺跡で、商周時代の大規模な集落跡。[中国新聞網]
スイス: ツーク州（Kanton Zug）ヒャム（Cham）のオーバーヴィル（Oberwil）で、カエサルの時代のケルトの硬貨7枚と共和政ローマの銀貨1枚。[March24]
▼オーバーヴィル関連記事→2020年10月31日
スロバキア: リプトフ地方（Liptov）のロハーチュカ（Rohačka）で、コティニ族（Cotini）の硬貨にラテン語の銘文。リプトフ地方最古の文字。[The Slovak Spectator]
ドイツ: ライプツィヒ（Leipzig）近くで第二次世界大戦中に撃墜され、2012年に発掘されたた米軍のB-17爆撃機のパイロットについて、歯と人類学的特徴、ミトコンドリアDNAなどにより身元判明。[Phys.Org]

2023年1月12日（木）

福岡県: 粕屋郡久山町・片見鳥遺跡（かたみどりいせき）で、弥生時代～古墳時代の祭祀遺構や遺物。古墳時代中期の祭祀関連の溝から土鈴。マラカスのような音。古墳の築造に伴う祭祀遺構群か。同時期の土鈴で鈴口の無いタイプは東日本では見られるが、九州では例が少ない。久山町教育委員会の調査。1/21現地説明会。
▶片見鳥遺跡現地見学会を開催します[久山町]
▼片見鳥遺跡関連記事→2005年7月13日
中国: 吉林省図們市長安鎮磨盤村・磨盤村山城遺跡で、「東夏国」（1215-1233年）の南京城を元の軍隊が1233年に破壊した痕跡。磨盤村山城遺跡は東夏国の南京城の故地。[光明日報]
▼磨盤村山城関連記事→2018年1月3日
中国: 山西省忻州市忻府区旭来街街道・尹村遺跡（いんそんいせき）で、商代早期のすのこ状の隔壁を持つ昇炎式の窯がま3基。[中国新聞網]
中国: 陝西省・石峁遺跡の皇城台墓地で、石峁文化中期・紀元前2100年～前1800年の最高級の墓地。初期国家の段階であったことを示す。[網易]
イスラエル: ネゲヴ砂漠（Negev desert）のニツァーナ（Nitzana）で、7500年前～4000年前の炉穴の中から、調理されたダチョウの卵の殻1個。炉の周囲にも7個。調理されたダチョウの卵として最古。[Haaretz]
パレスチナ（ヨルダン川西岸地区）: エリコ（Jericho）で、ビザンティン時代・6世紀の教会跡。大規模で保存の良いモザイク床を持つ。[The Jerusalem Post]
ギリシャ: サミコン（Σαμικόν；Samikon）のクレイディ（Κλειδί；Kleidi）で、アルカイック時代のポセイドンの神殿を発見。
▶Mainz University contributes to recent discovery of the temple of Poseidon located at the Kleidi site near Samikon in Greece [Johannes Gutenberg-Universität Mainz]
マルタ: ガール・ハサン洞窟（Għar Ħasan）の先史時代の洞窟芸術で用いられた顔料を分析。分析された大半の顔料は、古代の彩色の上に全盛期に塗り足されたもの。1面だけ古いものがあるが、顔料の保存状態が悪く、評価が困難。旧石器時代にさかのぼる確実な壁画はない。
▶ Maria Guagnin, Vincent Haburaj, Huw S. Groucuttca, Philipp Hoelzmann, Ritienne Gauci, Nicholas C. Vella, Cetty Parisi, Mark Cassar, Yasmin Cassar, Gillian Asciak, Eleanor Scerrij (2023) Evaluating possible prehistoric cave art in the central Mediterranean: Analyses of pigment traces and identification of taphonomic processes at Għar Ħasan, Malta. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103815. [ScienceDirect]
スロバキア: ヴラーブレ（Vráble）のVe`lke Lehembyで、前期新石器時代・線帯文土器文化（Linear Pottery culture）・紀元前5250年～前4950年の集落を囲む溝から人骨38体。うち27体に頭部がない遺体。乱暴に投げ込まれた状態。
▶Headless skeletons in a settlement trench: A 7000-year-old mass grave? [Christian-Albrechts-Universität zu Kiel]
ゲルマニア: ローマ時代のゲルマニアの550年間のアンフォラを分析。型式からみた生産年代では、紀元前1世紀後半に始まり、紀元後1世紀初頭にピークがあり、300年にはほぼ消滅するが、出土遺構の年代でみると、紀元前1世紀に急激に上昇してピークを迎え、260年ごろまで減り続け、450年ごろまでゆっくり減少。産地別にみると、イベリア半島産が最も多く、紀元前1世紀初頭にピークがある。これに次ぐガリア産は100年ごろにピークを迎える。ドイツ産は150年ごろ突如登場する。
cf. Tyler Franconi, Tom Brughmans, Ekaterina Borisova, Laura Paulsen (2023) From Empire-wide integration to regional localization: A synthetic and quantitative study of heterogeneous amphora data in Roman Germania reveals centuries-long change in regional patterns of production and consumption. PLOS ONE, 18(1): e0279382. [PLOS ONE]
UK: ソルウェー湾（Solway）からマージー川（Mersey）にかけて中世～近世に行われた製塩法「スリーチング」（sleeching）は、満潮時の海底から塩分を多く含む砂を掘り出し、これを洗って濃縮された鹹水を作り、さらに鉛の鍋で煮沸。最盛期には100か所以上で行われていたが、18世紀にチェシャー（Cheshire）の安価な岩塩が流通したため廃絶。
cf. William D. Shannon (2023) Sleech Salt Making from the Solway to the Mersey in the Medieval and Early-Modern Period. Northern History. [Taylor & Francis Online]
USA: サウスカロライナ州（State of South Carolina）チャールストン（Charleston）のアンソンバラ（Ansonborough）で2013年に発見された植民地時代・18世紀の墓地で墓36基から出土した奴隷の遺体をDNA分析。18人のDNAが判明し、17人はアフリカ各地に先祖を持つ。また、歯のストロンチウムから見て、13人は西アフリカで生まれ育った。互いに血縁関係はない。奴隷はアフリカじゅうから拉致され、家族とともに埋葬されることもできなかった。また、アフリカ系で、母方に北米先住民の先祖を持つ者も。[LiveScience]
cf. Raquel E. Fleskes, Graciela S. Cabana, Joanna K. Gilmore, Chelsey Juarez, Emilee Karcher, La’Sheia Oubré, Grant Mishoe, Ade A. Ofunniyin, and Theodore G. Schurr (2023) Community-engaged ancient DNA project reveals diverse origins of 18th-century African descendants in Charleston, South Carolina. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 3, e2201620120. [PNAS]

2023年1月11日（水）

中国: 陝西省咸陽市渭城区・塔児坡秦墓で、戦国時代晩期の墓385基。[華商網]
中国: 四川省眉山市彭山区江口鎮・武陽遺跡で旧石器時代・5万年前の石器。[中国新聞網]
中国: 四川省遂寧市・桃花河遺跡で旧石器時代の石器や動物化石。[中国新聞網]
ギリシャ: テッサリア（Θεσσαλία；Thessaly）のフェライ（Φεραί；Pherae）で出土した、ヘレニズム時代からローマ時代の移行期・紀元前1世紀を中心とする動物遺体に対し、動物考古学的分析。ヤギを中心とした牧畜。家畜の移動範囲は限られており、小規模な牧畜が一般的だった。肉は集落内で再分配され、家族の経済状況によって消費量は異なる。小規模な牧畜と半専門的な牧畜が併存。このような特徴は、ヘレニズム時代のみならずローマ時代にも見られ、ローマの影響は見られない。
cf. Dimitris Filioglou & Canan Çakırlar (2023) Animal Economy in Hellenistic Greece: A Zooarchaeological Study from Pherae (Thessaly). Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
イタリア: エオリア諸島（Isole Eolie；Aeolian Islands）で出土した新石器時代の彩色土器16片を分析し、肉眼で識別できない顔料も検出。
cf. Francesco Armetta, Dario Giuffrida, Maria Clara Martinelli, Viviana Mollica Nardo, Maria Luisa Saladino, Rosina Celeste Ponterio (2023) Non-invasive investigation on pigments of the Aeolian Islands Neolithic pottery. Materials Letters. [ScienceDirect]
フランス: ヌーヴェル＝アキテーヌ地域圏（Nouvelle-Aquitaine）シャラント＝マリティーム県（Charente-Maritime）ブルアージュ（Brouage）で、近代・17～19世紀のブルアージュ砦（Citadelle de Brouage）北側の居住地域を発掘。
▶Des habitations de l'Époque moderne à l’intérieur de la Citadelle de Brouage (Charente-Maritime) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
ノルウェー: オスロ（Oslo）で1100年前の高位のヴァイキング墓地。男性とみられる火葬人骨が出土。ナイフ、盾、ブローチなどを副葬。[LiveScience]
チュニジア: ベンナラス県（Ben Arous Governorate）ラデス（Radès）の古代都市Maxulaでローマ時代の貯水槽。チュニジア国立文化遺産機構（Institut national du patrimoine）の調査。Maxulaは第三次ポエニ戦争でカルタゴが敗北したのち、紀元前146年に建設された。[Heritage Daily]

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