2023年5月20日(土)
- 高知県
- 南国市・高知県立歴史民俗資料館の収蔵スペースが不足し、収容しきれない一部の資料は廃校舎で保管。高知県が検討組織を立ち上げ。[高知新聞]
- 宮崎県
- 都城市・八幡遺跡(はちまんいせき)で、都城島津家が編さんした地誌「庄内地理志」の絵図に符合する江戸時代の道路遺構。都城市教育委員会の調査。[南日本新聞]
▼八幡遺跡関連記事→2023年5月10日 - スペイン
- ベニドルム (Benidorm)のトッサル・デ・ラ・カラ(El Tossal de la Cala)にあるローマ時代の砦で、岩に刻まれた顔やコルヌコピア、男根などを発見。トッサル・デ・ラ・カラは、セルトリウス戦争(Sertorian Wars)中の紀元前77年ごろ、クィントゥス・セルトリウス(Quintus Sertorius;Quinto Sertorio)が築造。[Heritage Daily]
- ペルー
- リマ県(Departamento de Lima)ワラル郡(Provincia de Huaral)のマカトン遺跡(Macatón)で、チャンカイ文化(Chancay)・1100〜1400年のエリート女性の墓。7m四方で深さ6m。ヒト5人とリャマ4頭の生贄。土器25点や木製のオールを副葬。[El Español]
2023年5月19日(金)
- 韓国
- 慶尚南道 咸安郡 漆西面 会山里と漆原邑 柳原里にまたがる漆原山城(チルォンさんじょう)で、阿羅加耶が築造した土城(外城)と石城(内城)を確認。朝鮮時代の石城も確認。[韓国社会福祉ジャーナル]
- ドイツ
- ケルン(Köln)のノイマルクト(Neumarkt)で、中世の街路。市場で販売した布につけるマークや、計算に用いたトークン(Rechenpfennig;jeton)、各時代の土器など出土。[T-Online]
- スペイン
- バルドカッロスII遺跡(Valdocarros II)で、アシュール文化・245000年前に有機物が不完全燃焼した地球化学的証拠。炉とみられる2か所の遺構から。人類が、肉食動物からの防御と食物の調理のため火を制御していた。
▶ Lavinia M. Stancampiano, Susana Rubio-Jara, Joaquín Panera, David Uribelarrea, Alfredo Pérez-González & Clayton R. Magill (2023) Organic geochemical evidence of human-controlled fires at Acheulean site of Valdocarros II (Spain, 245 kya). Scientific Reports, volume 13, Article number: 7119. [Scientific Reports] - スウェーデン
- ブーヒュースレーン地方(Bohuslän)で、岩に刻んだ巨大な岩絵。船、ウマ、ヒト、戦車など40の図。北欧青銅器時代(Nordic Bronze Age)・紀元前8〜前7世紀と推定。[Heritage Daily]
- USA
- デラウェア州(State of Delaware)のエイヴリーズ・レスト遺跡(Avery’s Rest)で出土した1675年〜1725年ごろの人骨11体の遺伝子を調査。従前の研究で、南墓群には母系でつながった8人のヨーロッパ系、15〜20フィート離れた北墓群には父系でつながった3人のアフリカ系が埋葬されていると知られていたが、さらなる調査で北西ヨーロッパと西〜西中部アフリカと遺伝的に近い。ヨーロッパ系では母系の祖母・母・子供の関係が確認され、アフリカ系の被葬者には、父系の父・子関係が確認された。
▶ Raquel E. Fleskes, Douglas W. Owsley, Karin S. Bruwelheide, Kathryn G. Barca, Daniel R. Griffith, Graciela S. Cabana, Theodore G. Schurr (2023) Historical genomes elucidate European settlement and the African diaspora in Delaware. Current Biology, volume 33, issue 11, pp. 2350-2358. [Cell]
2023年5月18日(木)
- 石川県
- 金沢市・南森本遺跡(みなみもりもといせき)と木越光徳寺遺跡(きごしこうとくじいせき)で、鎌倉時代・13世紀に家屋や土地の差し押さえに使われた「点定札」の木簡。国内初の出土。金沢市埋蔵文化財センターの調査。[北國新聞]
- 中国
- 山東省 聊城市 茌平区・焦庄墓地で、明・清時代の磚室墓。元の双室磚室墓も1基あり、墓内に彩色壁画あり。[網易]
- ヨルダン、サウジアラビア
- ヨルダンのジベル・アル・ハシャビヤ(Jibal al-Khashabiyeh)やサウジアラビアのジェベル・アッ・ジリヤ(Jebel az-Zilliyat)で、狩猟用の罠デザートカイト(desert kite)を描いたとみられる8000年前〜7000年前の線刻画。世界最古の設計図か。ヨルダンの遺跡のサンプルは8000年前で、デザートカイトと同時期。[Scientific American]
▶ Rémy Crassard, Wael Abu-Azizeh, Olivier Barge, Jacques Élie Brochier, Frank Preusser, Hamida Seba, Abd Errahmane Kiouche, Emmanuelle Régagnon, Juan Antonio Sánchez Priego, Thamer Almalki, Mohammad Tarawneh (2023) The oldest plans to scale of humanmade mega-structures. Plos One, 18(5): e0277927. [PLOS ONE] - イタリア
- ラツィオ州(Regione Lazio)リエーティ県(Provincia di Rieti)ポッジョ・ナティーヴォ(Poggio Nativo)のバッティフラッタ洞窟(Grotta di Battifratta)で、新石器時代・7000年前の土偶。イタリアでは珍しい発見。
▶Nel Lazio raro ritrovamento di una statuina in argilla risalente a 7000 anni fa [Sapienza Università di Roma] - UK(イングランド)
- サフォーク州(the county of Suffolk)ラックスフィールド(Laxfield)で、中期青銅器時代以前の焼いた石で築いた墳丘や、鉄器時代の円形住居など。Cotswold Archaeologyの調査。[Heritage Daily]
- UK(イングランド)
- ノースヨークシャー州(North Yorkshire)フューストン(Fewston)の教会墓地で出土した人骨には、8〜20歳で死亡した子供を高い割合で含む。貧困層の見習い労働者(pauper apprentices)とみられる。大半の子どもは同位体比が非在地的で、墓碑銘で名の知れる在地の人々比べて動物性たんぱく質の少ない食生活。また、これらの子どもたちには、成長の遅れや、幼少時の困窮に由来する病変、職業病である呼吸器疾患などが多い。貧困層の見習い労働者の生活を考古学的な証拠で示した研究。18世紀後半〜19世紀前半、急速な工業化に伴い英国では大規模な児童労働が行われた。この時期、貧困層の子供が都市の救貧院からイングランド北部の農村の織物工場(textile mill)に連れ去られ働かされることが多かった。
▶ Rebecca L. Gowland, Anwen C. Caffell, Leslie Quade, Alysa Levene, Andrew R. Millard, Malin Holst, Poppy Yapp, S. Delaney, Chloe Brown, Geoff Nowell, Colin McPherson, Heidi A. Shaw, Nicolas A. Stewart, Sally Robinson, Janet Montgomery, Michelle M. Alexander (2023) The expendables: Bioarchaeological evidence for pauper apprentices in 19th century England and the health consequences of child labour. PLoS ONE, 18(5): e0284970. [PLOS ONE] - アルゼンチン
- リオネグロ州(Provincia de Río Negro)バリローチェ(Bariloche)のカンチャ・デ・ペロタ・ジャオ・ジャオ遺跡(Cancha de Pelota Llao Llao)について、植物考古学と年輪年代により、空間と木材の利用について研究。ナウエル・ウアピ湖(Nahuel Huapi)のほとりにあるスペイン人入植地。
▶ Laura Caruso Fermé, Marcia Bianchi Villelli, Ricardo Villalba & María Eugenia Aciar (2023) Archaeobotanical and Dendrochronological Studies of a Spanish Colonial Settlement in Nahuel Huapi (Patagonia, Eighteenth Century). Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online] - ペルー
- リマ市(Lima)アンコン地区(Ancon)で、イチマ文化(cultura Ychsma;Ychsma culture)後期・500年前の墓。[Andina]
2023年5月17日(水)
- 栃木県
- 小山市・長福城跡(ちょうふくじょうあと)で、鎌倉時代〜室町時代の遺構。小山市教育委員会の調査。5/27現地説明会。
▶長福城跡発掘調査現地説明会 [小山市] - 埼玉県
- 秩父市・熊倉城跡での違法の疑いのあるユーチューブチャンネル「宝探しちゃんねるATENALES」の動画について、人気YouTuberが謝罪。[J-CASTニュース]
▼熊倉城跡関連記事→2023年5月16日 - 奈良県
- 下北山村・大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)にある石垣を下北山村が無許可で修復。国史跡であるが、史跡範囲外と勘違い。文化財保護法に抵触する可能性。[読売新聞]
▼大峯奥駈道関連記事→2003年9月17日 - 中国
- 河北省・新廟庄遺跡で、旧石器時代・12万年前から1万年前の編年を確立。[中国新聞網]
▼新廟庄遺跡関連記事→2023年2月19日 - 中国
- 山西省 交口県 水頭鎮 劉家庄・明代宋氏家族墓で、明時代の石室墓。「大明嘉靖三十四年」の銘文あり。墓誌の記載により、被葬者の宋倫と宋虎は生前に地元で「老人」の職にあり、現代中国の居民委員会に当たる住民組織。中国新聞網]
- イラク
- アル・シルカット郡(al-Shirqat)カルアトシェルカート(Qala’at Sherqat)のアッシュル遺跡(Aššur;Ashur)のジッグラト(ziggurat)の基礎から1914年に出土した前期青銅器時代・紀元前1800年〜前1750年の琥珀玉を分析し、バルト海の琥珀(succinite)と判明。南西アジアでは最も古く、最も遠い場所から発見されたバルト海産琥珀。紀元前1550年以前には地中海地域や中東では琥珀は珍しく、中央ヨーロッパのウーニェティツェ文化(Únětice culture)や西ヨーロッパのウェセックス文化(Wessex Culture)が流通を制御していた。紀元前1550年以降には琥珀は地中海地域や中東に大量に流通するようになった。[Heritage Daily]
▼アッシュル遺跡関連記事→2022年6月24日
▶ Jan-Heinrich Bunnefeld, Jörg Becker, Lutz Martin, Regine-Ricarda Pausewein, Stefan Simon, and Harald Meller (2023) Baltic Amber in Aššur. Forms and Significance of Amber Exchange between Europe and the Middle East, c.2000–1300 BC. Acta Archaeologica, 92(2), 228-243. [BRILL] - パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- エルサレム(Jerusalem)のダビデの町(City of David)にある神殿の丘(Temple Mount)に向かうPilgrimage Roadで、19世紀末の発掘跡に残されていた石材から、第二神殿時代末・2000年前のヘブライ語銘文。領収書とみられる。もとは遺骨を納める石櫃の一部を再利用したものか。
▶2000-year-old receipt discovered on Jerusalem's Pilgrimage Road[Arutz Sheva] - イスラエル
- シャミール遺跡(Shamir)とケラ遺跡(Kela)で、ドルメンの墓室内の堆積に対し、光刺激ルミネセンス(optically stimulated luminescence;OSL)による年代測定。中間期青銅器時代(Intermediate Bronze Age;IB)に位置付けられる。南レヴァントのドルメンの年代については、新石器時代から鉄器時代以降まで、議論の幅があった。
▶ Kristina S. Reed, Uri Berger, Gonen Sharon, Naomi Porat (2023) Radiometric dating of Southern Levant dolmens – Applying OSL to resolve an old debate. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 104019.[ScienceDirect] - 英王室属領ガーンジー
- オルダニー島(Alderney)ロンギス(Longis Common)で、ローマ時代の土器1000点。[BBC]
- エジプト
- ベニ・スエフ県(Beni Suef)のIhnasia遺跡で、ホルス神(Horus)の4人の子どもイムセティ(Imsety)、ハピ(Hapi)、ドゥアムトエフ(Duamutef)、ケベフセヌエフ(Qebehsenuef)の像とカノポス壺。像はアラバスター製で、顔は石灰岩。Ihnasiaは第9王朝・第10王朝・紀元前2242年〜前2452年のエジプトの首都。[Sada ElBalad english]
▼Ihnasia関連記事→2008年2月24日
2023年5月16日(火)
- 埼玉県
- 秩父市・熊倉城跡とみられる場所で「宝探し」をして地面を掘り返す様子がYouTubeで公開されていることについて、文化財保護法や文化財保護条例に違反する恐れがあるとして、埼玉県が注意喚起の呼びかけ。[弁護士ドットコムニュース]
- 長野県
- 岡谷市・岡屋考古館が、10月まで月1回開館へ。開設当時の運営団体が自然消滅し、数十年にわたり一般公開されなぬなっていたが、一般社団法人大昔調査会により毎月第3日曜日に開館。[信濃毎日新聞]
- 奈良県
- 橿原市・橿原神宮の第一鳥居の柱に傷。器物損壊容疑で捜査。[毎日新聞]
- 長崎県
- 外海に潜伏キリシタンの信仰の対象として伝わる古い華南三彩壺に、ミサなどで使う「聖香油」を示唆するアルファベットの墨書「Escencia」。長崎県5/16発表。[朝日新聞]
- インドネシア
- インドネシアの木像や織物、装飾品など、故・金守世士夫氏が収集した2000点のコレクションが国立民族学博物館に寄贈された。[富山新聞]
- ロシア
- 国立トレチャコフ美術館が保管する15世紀のイコン「至聖三者」を、ロシア正教会に引き渡すことをプーチン大統領が決定。文化財の保存に懸念の声。[時事通信]
- イタリア
- ポンペイ遺跡(Pompeii)のカスティ・アマンティ地区(Casti Amanti)で、地震による破壊で圧死した犠牲者2人の遺体。建設工事に従事していたとみられる。[Euronews]
- ノルウェー
- オスロ(Oslo)のビョルヴィーカ(Bjørvika)で発見された中世の王の桟橋が、発掘直後に破壊。木材が大きすぎて置き場がなく、保存のための経費も不足。桟橋は12〜13世紀の王の領地に連なり、また、14世紀末〜15世紀初めの地滑りの層に埋まっていた。木材の一部は年輪年代測定へ。[Science Norway]
▼ビョルヴィーカ関連記事→2023年3月7日 - UK(イングランド)
- ケンブリッジシャー州(Cambridgeshire)ニーディングワース(Needingworth)で、前期新石器時代〜中期新石器時代・紀元前3500年〜前3000年のピーターバラ土器(Peterborough Ware)や、紀元前2900年〜前2400年の刻文土器(Grooved Ware)。ケンブリッジ考古学ユニット(Cambridge Archaeological Unit)の調査。[Heritage Daily]
- エジプト
- 古代エジプトの古王国時代・紀元前3千年紀〜ローマ時代・4世紀までの1歳〜14歳の子どものミイラ21体を全身CTスキャン。子どものミイラの7体に貧血の兆候があり、健康上のさまざまな問題があったと推定。[LiveScience]
▶ Stephanie Panzer, Karl O. Schneider, Stephanie Zesch, Wilfried Rosendahl, Randall C. Thompson, Albert R. Zink (2023) Anemias in ancient Egyptian child mummies: Computed tomography investigations in European museums. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - 仏領海外県
- マルティニーク県(Martinique)フォール・ド・フランス(Fort-de-France)のラ・サヴァーヌ(La Savane)で、1761年の地図に描かれていた都市の区画を発見。18世紀の陶磁器出土。港の近くでは港湾に関連した工具も出土。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Une fouille archéologique à Fort-de-France (Martinique) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
2023年5月15日(月)
- 台湾
- 花蓮県・崇徳遺跡でガラス環や瑪瑙玉、宋時代の銅銭「熙寧元寶」。900年前の貿易を示す。[中央通訊社]
- パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- ナーブルス(Nablus)のエバル山(Mount Ebal)で1980年代の発掘の廃土から折りたたまれた鉛板。X線撮影により、初期ヘブライ語の銘文を判読し、呪いの定型文と判明。後期青銅器時代にさかのぼり、従来知られた例を200年さかのぼる。[The Jerusalem Post]
▶ Scott Stripling, Gershon Galil, Ivana Kumpova, Jaroslav Valach, Pieter Gert van der Veen & Daniel Vavrik (2023) “You are Cursed by the God YHW:” an early Hebrew inscription from Mt. Ebal. Heritage Science, volume 11, Article number: 105. [SpringerOpen] - イスラエル
- ベイト・ヤナイ(Beit Yanai)沖200mの地中海の海底で、ローマ時代・2世紀中ごろの大理石の柱。沈没船の積み荷で、トルコからイスラエルに向かっていたものと見られる。[The Times of Israel]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)ミュンヘン(München)で、紀元前3〜前2世紀のケルト人の火葬墓からはさみや、折りたたんだ剣。県は熱してから折りたたむ。[LiveScience]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ハルターン・アム・ゼー(Haltern am See)の水軍基地ホーフェシュタット(Hofestatt)は、ローマ時代に異なる平面規格で4回再建された。[Heritage Daily]
▼ハルターン・アム・ゼー関連記事→2023年5月6日 - UK(イングランド)
- グロスターシャー州(the county of Gloucestershire)ハレスフィールド(Haresfield)のクイジェリー・イースト(Quedgeley East)で、中世の農場跡。検地帳ドゥームズデイ・ブック(Domesday Book)に記載された3つの土器生産地のうち1つに該当する遺跡。[The Past]
- USA
- ペンシルベニア州(Commonwealth of Pennsylvania)ファイェット郡(Fayette)ノース・ユニオン(North Union)の発掘調査で、マスケット弾などが出土。1754年のジュモンヴィルグレンの戦い(Jumonville Glen)の場所を確認。[TribLIVE]
2023年5月14日(日)
- インド
- テランガーナ州(Telangana State)ムルグ(Mulugu)で、巨石時代の珍しい人形メンヒル。[Telangana Today]
- コロンビア
- コロンビア中部のマグダレナ川(Magdalena)の段丘にあるS5UF2遺跡で、968〜1046年の保存の良い子どもの骨。顕微鏡と断層撮影により、頭蓋骨に2つの孔を確認。神経管欠損と封入嚢胞に対応する。
▶ Claudia M. Rojas-Sepúlveda, L. Buitrago-Orjuela (2023) Differential diagnosis for two ‘holes in the head’ of a child from 982 to 904 BP in northern South America. International Journal of Paleopathology, Volume 41, June 2023, Pages 117-122. [ScienceDirect]
2023年5月13日(土)
- アルメニア
- アルマヴィル地方(Armavir)のメツァモル(Metsamor)で紀元前11世紀〜紀元前9世紀初めの列柱を持つ建物。火災により廃絶しており、堆積した灰は大量の小麦粉と判明。3.5tの小麦粉を貯蔵していたと推定。パン工房として転用されていた建物と推定。メツァモールは銅石器時代・紀元前4千年紀にさかのぼる防御性集落。後期青銅器時代から前期鉄器時代にかけては宗教や経済の中心地になった。[Heritage Daily]
▼メツァモル関連記事→2023年3月16日 - オーストリア
- モント湖(Mondsee)にあるムースヴィンケル(Mooswinkel)の後期新石器時代の柱上住居(pile dwelling)で得られたコケ植物(Bryophyte Flora)を分析。16種を識別し、コケ植物の使用法や採取場所を推定。
▶ Thorsten Jakobitsch & Harald Zechmeister (2023) A First Detailed Study of an Austrian Neolithic Pile Dwelling’s Bryophyte Flora. Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online]
▼ムースヴィンケル関連記事→2023年2月13日 - ドイツ
- シェーニンゲン(Schöningen)で前期旧石器時代前半・30万年前の人類ホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)のものとみられる足跡と哺乳類の足跡化石。
▶ Flavio Altamura, Jens Lehmann, Bárbara Rodríguez-Álvarez, Brigitte Urban, Thijs van Kolfschoten, Ivo Verheijen, Nicholas J. Conard, Jordi Serangeli (2023) Fossil footprints at the late lower Paleolithic site of Schöningen (Germany): A new line of research to reconstruct animal and hominin paleoecology. Quaternary Science Reviews. [ScienceDirect]
▼ニーダーザクセン州(Land Niedersachsen) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)フェアル(Verl)で、中世・9〜10世紀の集落。1088年に初めて史料に登場するよりも以前から集落が存在。
▶Vorstoß in Verls älteste Vergangenheit [Archaeologie Online (@ArchaeologieOn)]
▼ギュータースロー郡(Kreis Gütersloh) - スペイン
- メリダ(Mérida)のカサ・デル・ミトレオ(Casa del Mitreo)で、ローマ時代・1世紀末〜2世紀初めに建てられたドムスから、ローマ時代の財布を確認。硬貨を顕微鏡観察をしたところ、財布の断片とみられる繊維を発見。エジプトのリネンを使用。イベリア半島全体でも2例目の確認。ローマ時代にはエジプトだけでなくシリアやパレスチナもリネン生産の中心地となっており、また、財布自体がそれらの土地で作られたのか、リネンを輸入して財布を製作したのか、判然としない。硬貨は3世紀末のもので、ドムスが放棄された3世紀後半〜4世紀はじめという年代に合致。 メリダはローマ時代のエメリタ・アウグスタ(Emerita Augusta)に当たり、紀元前25年に設立。[Heritage Daily]
▼エストレマドゥーラ州(Extremadura)バダホス県(Provincia de Badajoz)
▼カサ・デル・ミトレオ関連記事→2021年4月10日 - ペルー
- チャンカイ川下流のミラフローレス遺跡(Miraflores)で、4000年前のU字形神殿。チャカナ(chacana)と呼ばれる階段状の十字形を刻む。アンデスでは最古のチャカナの例。[Australian Broadcasting Corporation]
2023年5月12日(金)
- オーストラリア
- 西オーストラリア州(Western Australia)ロッキンガム(Rockingham)のピールハースト遺跡(Peelhurst)で、19世紀後半の遺物。[The West Australian]
- トルコ
- オスマニエ県(Osmaniye il) カディリ郡(Kadirli) デレ(Dere)で、ローマ時代・1〜2世紀の邸宅跡からトロヤ戦争の英雄アイネイアース(Αἰνείας;Aeneas)を描いた3世紀のモザイク床。ローマ時代の都市フラウィアポリス(Flaviapolis)に当たる。[Hürriyet Daily News]
▼デレ関連記事→2019年1月8日 - トルクメニスタン、カザフスタン
- トルクメニスタンのメルヴ(Merv)、カザフスタンのオトラル(Otrar)で、モンゴル帝国による12世紀前半の中央アジア征服の後、14世紀までかけて、泥で作った建物が改築や、時には破壊の痕跡を示しつつ徐々に放棄されていく。モンゴルによる直接的な破壊の証拠は見いだせず(ロシアや東欧には例がある)、むしろ人口減少の方が原因で、社会を維持管理できなくなったため都市が荒廃。モンゴル帝国の分裂による経済的、政治的、環境的ストレスが状況を悪化させ、都市の衰退を速めた可能性。[Heritage Daily]
▶Katie Campbell (2023) The Impact of the Mongol Conquests on Earthen Cities in Central Asia. International Journal of Islamic Architecture, Volume 12, p. 393 - 414. [Intellect Discover] - ポーランド
- クラクフ郡(Powiat krakowski;Kraków County) スウォムニキ(Słomniki)で、線帯文土器文化(Linear Pottery culture)・7000年前の保存状態良好な人骨。[The First News]
- ベルギー
- ルーヴェン市(Leuven)ヘーフェルレー(Heverlee)のアーレンベルク城(Kasteel van Arenberg)で16世紀の砦。[The Brussels Times]
- UK(イングランド)
- コッカーマス(Cockermouth)で、ローマ時代の鋳物工房や軍営跡など。石像や硬貨など出土。女性像は右手にパテラ、左手にコルヌコピアを持ち、マントをまとっており、フォルトゥナ女神(Fortuna)とみられる。銅合金の香合も出土。[Times & Star]
▼カンブリア州(Cumbria)
▼コッカーマス関連記事→2023年4月17日
2023年5月11日(木)
- 千葉県
- 君津市・久留里城(くるりじょう)のしゃちほこの尾が、千葉県で5/11早朝に起こった地震で折れる。[毎日新聞]
- 韓国
- 「加耶古墳群」について、世界遺産への登録を勧告したと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から韓国の文化財庁に5/10通知。対象は7つの古墳群からなる。周辺国と共存しつつ自律的で水平的な独特の体系を維持してきた加耶をよく表しており、東アジア古代文明の多様性を示す重要な証拠と評価。9月の第45次世界遺産委員会で最終決定の予定。
▶国際記念物遺跡協議会(ICOMOS)、「加耶古墳群」世界遺産「登録勧告」 [文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - 中国
- 遼寧省 錦州市 凌海市 金城街道 梁山村・梁山村漢墓で、後漢時代の磚室墓8基と明・清時代の窯跡1基。梁山墓地は東花漢墓群に属す。[中国社会科学院考古研究所]
- ヨーロッパ
- 北ヨーロッパ平野からスカンディナヴィア南部にかけてみられる、新石器時代の銅について、鉛同位体を分析し出自を推定。前期新石器時代・紀元前4100年〜前3300年にはセルビアの銅を使用。中期新石器時代・紀元前3300年〜前2800年には例は少ないがスロバキア、セルビア、東アルプス。後期新石器時代〜前期青銅器時代・紀元前2300年〜前1700年にはスロバキア、東アルプス。紀元前2000年以降はウェールズのグレート・オームの銅も現れる。
▶ Jan Piet Brozio, Zofia Stos-Gale, Johannes Müller, Nils Müller-Scheeßel, Sebastian Schultrich, Barbara Fritsch, Fritz Jürgens, Henry Skorna (2023) The origin of Neolithic copper on the central Northern European plain and in Southern Scandinavia: Connectivities on a European scale. PLoS ONE, 18(5): e0283007. [PLOS ONE] - ポーランド
- ルブリン県(Województwo lubelskie;Lublin)クラスヌィスタフ郡(Powiat krasnostawski;Krasnystaw County) で、青銅器時代・紀元前1600年〜前1300年の青銅製短剣。ドナウ地域のハンガリー、チェコ、オーストリア、スロバキアなどの地域からもたらされたと推定。
▶Lublin Province/ Detectorists find 3.5 thousand years old dagger in forest[Nauka w Polsce] - ポーランド
- コウォブジェク郡(powiat kołobrzeski;Kołobrzeg County)ブジストヴォ(Budzistowo)で、墓地から14世紀の教皇ボニファティウス9世(Bonifacius IX;Boniface IX)の時代の印章。鉛製で、サルデーニャ、キプロス、ギリシャ、スペインで作られた可能性。18世紀に書かれた年代記によると、ボニファティウス9世は1397年にブジストヴォの修道女に贖宥状(免罪符)を発行しており、その時の勅書文書の封印に用いられていた可能性。[The First News]
▼西ポモージェ県(Województwo zachodniopomorskie) - フランス
- グラン・テスト地域圏(Grand Est)マルヌ県(le département de la Marne)シャロン=アン=シャンパーニュ(Châlons-en-Champagne)で、ローマ時代・紀元前1世紀のアグリッパ街道(Via Agrippa)、中世・15〜18世紀のサン・ジャック門、13〜18世紀の城壁、墓地や集落。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Archéologie urbaine à Châlons-en-Champagne (Marne) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(ウェールズ)
- モンマスシャー(Monmouthshire)ラントリサント・ヴァウル(Llantrisant Fawr)で、鉄器時代の金属容器やローマ時代の硬貨など。1世紀後半にローマが征服した時にまとめて埋めたものと推定。[WalesOnline]
- メキシコ
- スロアガ山脈(Zuloaga mountains)の洞窟シマ・デ・ラス・ゴロンドリナス(Sima de las Golondrinas)で、完新世前期のホモ属の骨。また最終氷期最盛期の末〜ヤンガー・ドリアス期の動物骨には、ヒトの手による切断や加工の痕跡。うち2点は16000年前以前で、アメリカ大陸最古級の芸術の可能性。
▶ Ciprian F. Ardelean, Joaquin Arroyo-Cabrales, Irán Rivera-González, Corina Solís-Rosales, María Rodríguez-Ceja, Juan Ignacio Macías-Quintero, Valeria M. Sánchez-Vázquez, Alejandro Mitrani, José Luis Ruvalcaba-Sil (2023) Oldest art or symbolic expressions in North America? Pleistocene modified bones and a human remain at Sima de las Golondrinas cave, Zacatecas, Mexico. L'Anthropologie. [ScienceDirect]
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