2023年5月10日(水)
- 京都市
- 右京区・周山城(しゅうざんじょう)で、城の入り口に食い違い虎口。明智光秀が築いた城。[京都新聞]
- 宮崎県
- 都城市・八幡遺跡(はちまんいせき)で、古絵図と符合する江戸時代の道路状遺構や、武家屋敷に付随すると考えられる大型の竪穴状遺構、溝状遺構など。都城市教育委員会の調査。5/13現地説明会。
▶八幡遺跡現地説明会を開催します [都城市] - 韓国
- 慶尚北道 慶州市・皇龍寺跡(ファンニョンサあと)の西回廊西側で、新羅時代の灯明皿1712点。国立慶州文化財研究所の調査。[東亜日報]
- ウクライナ
- ヴェルテバ洞窟(Печера Вертеба;Verteba Cave)で、ククテニ=トリポリエ文化(культурна спільність Кукутень-Трипілля;Cucuteni-Tripolje-Kultur;Cucuteni-Trypillia culture)・5000年前のイノシシの牙で覆われた女性土偶。ククテニ=トリポリエ文化では、イノシシの骨は稀だが、2016年にはイノシシの小像も出土している。イノシシに重要な意味を持たせていた可能性。[Haaretz]
▼テルノーピリ州(Тернопільська область;Ternopil Oblast) - スイス
- トゥールガウ州(Kanton Thurgau)シュラット(Schlatt)で、後期ローマ時代の物見櫓。
▶Wachturm aus spätrömischer Zeit in Schlatt entdeckt[Kanton Thurgau] - ドイツ
- フロンメンハウゼン(Frommenhausen)で、中期新石器時代・紀元前4500年ごろの集落 。[Schwarzwälder Bote]
2023年5月9日(火)
- 和歌山県
- 伊都郡九度山町・慈尊院近世堤防(じそんいんきんせいていぼう)で、江戸時代に築かれた石積の堤防から、江戸時代の絵図に描かれた水制遺構。和歌山県教育委員会の調査。5/14現地説明会。
▶慈尊院近世堤防 発掘調査現地説明会を開催します! [和歌山県] - 中国
- 山西省 運城市 万栄県 賈村郷 西思雅村で、北魏の汾州刺史だった薛懐吉の墓。陶俑や墓誌が出土。[中国新聞網]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)マイン=シュペッサルト郡(Landkreis Main-Spessart)で、前期中世・カロリング朝・751〜919年の列状埋葬墓地。[BR24]
- ポルトガル
- エストレマドゥーラ地域(Estremadura)トーレス・ノーヴァス(Torres Novas)のアルモンダカルスト系(Almonda karst system)にあるオリヴェイラ洞窟(Gruta da Oliveira)の中期旧石器時代のネアンデルタール人、ガレリア・ダ・システルナ遺跡(Galeria da Cisterna)の後期旧石器時代・後期マドレーヌ文化(Late Magdalenian)のホモサピエンス、さらにそれらと関連する動物遺体について、レーザーアブレーション・ストロンチウム同位体分析により、中期旧石器時代〜後期旧石器時代のヒトの移動を推定。同位体比(87Sr/86Sr)からみて、中期旧石器時代のヒトは約600km2の範囲を歩き回り、後期旧石器時代のヒトは季節ごとに移動し300km2の小範囲を開発。後期旧石器時代に人口密度が増加したためと推定。
▶ Bethan Linscott, Alistair W. G. Pike, Diego E. Angelucci, Matthew J. Cooper, James S. Milton, Henrique Matias, and João Zilhão (2023) Reconstructing Middle and Upper Paleolithic human mobility in Portuguese Estremadura through laser ablation strontium isotope analysis. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 20, e2204501120. [PNAS] - ノルウェー
- ヴェストラン県(Vestland)で、8歳の少女Eliseさんが新石器時代・3700年前ののフリント製の短剣を発見。フリントはノルウェーでは産出せず、短剣はデンマークから北海を渡ってもたらされたものと推定。[LiveScience]
2023年5月8日(月)
- 沖縄県
- 与那国町・伝サガムトゥ村遺跡の土地を、防衛省が将来的な地対空誘導弾(ミサイル)部隊配備に必要な用地として取得予定。16世紀後半から17世紀の集落で、採集遺物には八重山式土器や外来陶磁器、石器・鉄製品、鉄かすがある。[八重山毎日新聞]
- 韓国
- ソウル 鍾路区 新営洞(シニョンドン)で発見された高麗時代とみられる建物遺構は、13世紀前半以降に設置され、高麗後期まで使用。王室の行事に関連している可能性。[聯合ニュース]
▼新営洞の高麗時代遺構関連記事→2023年3月20日 - クロアチア
- コルチュラ島(Korčula)沖のアドリア海の海底に沈むソリネ遺跡(Soline)で、新石器時代・紀元前4900年の幅4mの敷石道路。水没したフヴァル文化(Hvar culture)の集落とコルチュラ島をつなぐ。[Total Croatia News]
- スペイン
- ギプスコア県(Gipuzkoa)パサイア港(Pasaia)で見つかったガレオン船の木材を調査し、1621年以降に建造された軍艦と推定。[El Español]
2023年5月7日(日)
- エジプト
- クースィーヤ(Qusiya)のメイル遺跡(Meir)で、上層から修道士の利用した建物。壁にコプト語の銘文。下層には墳墓。[Ancient Origins]
- 学術誌
- 学術誌を発刊するElsevier社が掲載料の値下げを拒否したことに抗議し、一流の科学者40人が編集委員会を耳飾。[The Guardian]
2023年5月6日(土)
- 石川県
- 珠洲市立珠洲焼資料館で、地震により珠洲焼など50点が点灯し、一部は破損。[NHK]
- アラブ首長国連邦
- ウンム・アル=カイワイン首長国(Umm al-Quwain)にあるテル・アブラク遺跡(Tell Abraq)で、ヘレニズムのモチーフを持つ銅合金の小像が出土。ヘレニズムのモチーフが先イスラーム時代終わりごろ・紀元前3世紀〜紀元後3世紀のアラビア半島で流通したが、正確な意味は理解されておらず、在地の神やエリートの姿として受け入れられた。
▶ Alexia Pavan, Michele Degli Esposti (2023) Copper-alloy figurines from Tell Abraq (Umm al-Quwain, UAE) and the circulation of Hellenistic motifs in late pre-Islamic Arabia (300 bc–300 ad). Arabian Archaeology and Epigraphy. [Wiley Online Library]
▼テル・アブラク遺跡関連記事→2022年8月1日 - エストニア
- ペルヌ川(Pärnu)下流域で出土した、新石器時代のスロッテッド・ポイント(slotted point)を模造した骨製品を分析。放射性炭素年代により紀元前8800年〜前8550年(cal BC)で、エストニアにヒトが居住し始めたころのものと判明。もとは黄土と針葉樹の樹脂を混ぜたもので覆われており、これらは柄をつけるための接着剤だったとみられる。
▶ Tõnno Jonuks, Shidong Chen, Aivar Kriiska, Ester Oras, Samantha Presslee, Andres Uueni (2023) Stone Age imitation of a slotted bone point from Pärnu River (south-western Estonia). Estonian Journal of Archaeology, 2023, 27, 1, 54-79. [Estonian Academy Publishers] - ポーランド
- ルブリン県(Województwo lubelskie;Lublin)オポーレ郡(powiat opolski;Opole County)クルチュコヴィツェ(Kluczkowice)で、古代エジプト・紀元前1千年紀ののオシリス神のブロンズ像2体と、ローマ時代・1世紀のローマ神話のバックス神(Bacchus)のブロンズ像1体。第二次世界大戦までクルチュコヴィツェ宮に保管されていたクレニエフスキ家(Kleniewski)のコレクションの一部と判明。クレニエフスキ家は1942年にナチスに財産を没収され、ワルシャワに逃れた。
▶Lubelskie/ W Kluczkowicach odkryto egipskie figurki Ozyrysa[Nauka w Polsce] - ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt) ハルバーシュタット(Halberstadt)で5000年前の埋葬小屋(Totenhütte)。[Die Zeit]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ハルターン・アム・ゼー(Haltern am See)で、ローマ時代の砦の近くから水軍基地の跡。
▶Viermal komplett neu aufgebaut [Archaeologie Online]
▼ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)レックリングハウゼン郡(Kreis Recklinghausen) - スペイン
- 東ピレネーのサルダーニャ地域(La Cerdanya)のマランガス(Meranges)にある標高2425mのモリェレス2遺跡(Molleres II)で、中期新石器時代の末までに築かれた牧畜集落。中世にも2度目の居住。
▶ Valentina Pescini, Arnau Carbonell, Lídia Colominas, Natalia Égüez, Alfredo Mayoral, Josep Maria Palet (2023) Neolithic livestock practices in high mountain areas: A multi-proxy study of pastoral enclosures of Molleres II (Eastern Pyrenees). Quaternary International. [ScienceDirect] - スペイン
- アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía) アンテケーラ(Antequera)のピエドラス・ブランカス遺跡(Piedras Blancas)で、新石器時代・紀元前3000年の墓。3時期にわたって埋葬され、紀元前1950年〜前1180年に放棄。[Ancient Origins]
▶ Leonardo García Sanjuán, David W. Wheatley, José Antonio Lozano Rodríguez, Lucy S. Evangelista, Antonio César González García, Marta Cintas-Peña, Marta Díaz-Guardamino, Verónica Balsera Nieto, Raquel Montero Artús and Fabian Kanz (2023) In the bosom of the Earth: a new megalithic monument at the Antequera World Heritage Site. Antiquity, First View, pp. 1 - 20. [Cambridge Core] - スペイン
- パレンシア県(Palencia)アギラル・デ・カンポー(Aguilar de Campoo)のモンテ・ベルノリオ遺跡(Monte Bernorio)の後期鉄器時代のオッピドゥムと、テルエル県(Provincia de Teruel)セージャ(Cella)にあるエル・セリート窯跡(El Cerrito)で出土した土器生産関連遺物を分析。均質な粘土で轆轤作りの土器がイベリア高原北部に広がっているが、それぞれの在地の土器伝統とは隔絶。モンテ・ベルノリオ遺跡では、在地とは異なる粘土を持ち込んで土器作り。技術的な二極化は、閉鎖的な技術システムを持つ工房の出現を表す。
▶ Beatrijs G. de Groot, Kamal Badreshany, Jesús F. Torres-Martínez, Manuel Fernández-Götz (2023) Capturing technological crossovers between clay crafts: An archaeometric perspective on the emergence of workshop production in Late Iron Age northern Spain. PLoS ONE, 18(5): e0283343. [PLOS ONE] - ノルウェー
- ミョーサ湖(Mjøsa)の水深410mで、14世紀以前の沈没船。長さ10m、幅2.5m。[Heritage Daily]
- エジプト
- イスマイリア県(Ismailia Governorate)のテル・エル・マスフータ遺跡(Tell el-Maskhuta)で、後期王朝時代とグレコローマン時代の大量の土器。ローマ時代の交易の拠点。[Sada ElBalad english]
▼テル・エル・マスフータ遺跡関連記事→2017年12月16日
2023年5月5日(金)
- 鹿児島県
- さつま町・虎居城跡(とらいじょうあと)で、庭園とみられる遺構。外部から持ち込んだ安山岩を「かませ石」に載せて造営。中世の山城。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。[南日本新聞]
▼虎居城跡関連記事→2008年11月9日 - カンボジア
- プレアヴィヒア州(Preah Vihear) クーレン郡(Kulen) クーレン・トボン(Kulen Tboung)で、砂岩で築いた寺院。[Khmer Times]
- トルコ
- アヤニス城(Ayanis Kalesi;Ayanis fortress)で出土したウラルトゥ王国(Urartu)のルサ2世(Rusa II;紀元前680年〜前640年)のときの青銅製品を分析。錫・銅合金であるが、錫(Sn)と銅(Cu)の比は遺物ごとに異なる。用途ごとに配合を変えていた可能性。制作時には冷間加工と焼きなましを繰り返した。
▶ Üftade Muşkara, Oğuz Aras, Mehmet Işıklı (2023) Chemical analyses of Urartian bronze objects from the Ayanis fortress. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 104018. [ScienceDirect]
▼ヴァン県(Van il)トゥシュバ郡(Tuşba)
▼アヤニス城関連記事→2022年9月8日 - ウクライナ
- ウクライナの考古遺産について、ロシア連邦の侵攻後の破壊を占領から解放された地域でモニタリングするにも数多くの問題。国家的な長期計画が必要。
▶ Pavlo S. Shydlovskyi, Serhii A. Telizhenko & Vsevolod H. Ivakin (2023) Archaeological Monitoring in War-Torn Ukraine. The Historic Environment: Policy & Practice. [Taylor & Francis Online] - セネガル
- 海岸地域のバルニー1遺跡(Bargny 1)で、アフリカ中期石器時代(Middle Stone Age)・15万年前の石器。その時点でアフリカ各地と共通の内容。同様の石器群は1万年前まで継続。生態学的な南定性を示す。
▶Research Reveals Longstanding Cultural Continuity at Oldest Occupied Site in West Africa [ Max-Planck-Institut für Geoanthropologie]
▶ Khady Niang, James Blinkhorn, Mark D. Bateman & Christopher A. Kiahtipes (2023) Longstanding behavioural stability in West Africa extends to the Middle Pleistocene at Bargny, coastal Senegal. Nature Ecology & Evolution. [Nature Ecology & Evolution]
2023年5月4日(木)
- 北海道
- アイヌ民族の遺骨を返還することに決定したことに関し、オーストラリア国立博物館のマシュー・トリンカ館長がメディア取材に答え、「先住民に敬意を払うことは重要だ。それは日本の人々にとってだけでなく、先住民が暮らす豪州の人々にとっても重要だ」と述べた。[時事通信]
- 中国
- 乾陵(Qianling)の永泰公主墓で出土した唐時代の木偶を分析。顔料は辰砂、マラカイト、藍銅鉱、針鉄鉱、カーボンブラック、硫酸鉛鉱を用いる。塗装には顔料の下にメンディパイトの下塗り。接着剤にはイボタ蝋、膠、安息香を用いる。
▶ Yanli Li, Xiaobin Hou, Xin Zhang, Lijun Wang, Jiaxin Li, Gele Teri, Kezhu Han, Zhihui Jia, Xiaolian Chao, Huiping Xing & Yuhu Li (2023) Analytical Characterization of Wooden Figurines Excavated from the Tomb of Princess Yongtai, Qianling Tomb, China. Analytical Letters. [Taylor & Francis Online]
▼永泰公主は唐の皇女で、乾陵に陪葬された。 - ロシア
- デニソワ洞窟(Денисова пещера;Denisova Cave)で出土した後期旧石器時代のシカの歯で作った垂飾から、シカと、着用したヒトのミトコンドリアDNAを検出。これにより、垂飾の年代を2500年前〜19000年前と推定。また、核DNAからみて、着用者は女性で、同時代の北ユーラシアとの遺伝的なつながりが強い。
▶ Elena Essel, Elena I. Zavala, Ellen Schulz-Kornas, Maxim B. Kozlikin, Helen Fewlass, Benjamin Vernot, Michael V. Shunkov, Anatoly P. Derevianko, Katerina Douka, Ian Barnes, Marie-Cécile Soulier, Anna Schmidt, Merlin Szymanski, Tsenka Tsanova, Nikolay Sirakov, Elena Endarova, Shannon P. McPherron, Jean-Jacques Hublin, Janet Kelso, Svante Pääbo, Mateja Hajdinjak, Marie Soressi & Matthias Meyer (2023) Ancient human DNA recovered from a Palaeolithic pendant. Nature. [Nature] - マルタ
- フグラ(Fgura)で。中世のものと見られるアラビア語の銘文。クーフィー体(Kufic)。マルタではラバト(Rabat)以外ではわずか2例目のアラビア語銘文。[Arkeonews]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ハーゲン(Hagen)のブレッターヘーレ遺跡(Blätterhöhle)で、旧石器時代末のヤンガードリアス(Younger Dryas)のころの石器群。この地域では珍しく、西ヨーロッパのラボリアン文化(Laborian)および後期ラボリアン文化(Late Laborian)に類似。
▶ Michael Baales, Wolfgang Heuschen, Martin Kehl, Annika Manz, Nadine Nolde, Daniel Riemenschneider, Holger Rittweger, Jörg Orschiedt (2023) Western visitors at the Blätterhöhle (city of Hagen, southern Westphalia) during the Younger Dryas? A new final palaeolithic assemblage type in western Germany. PLoS ONE, 18(5): e0284479. [PLOS ONE]
▼ブレッターヘーレ遺跡関連記事→2019年10月3日 - UK(イングランド)
- ヨークシャー(Yorkshire)で、マーストン・ムーアの戦い(Battle of Marston Moor)のときのものとみられる墓穴を、サーモカメラを搭載したドローンで確認。マーストン・ムーアの戦いは三王国戦争(Wars of the Three Kingdoms;1639〜1653;清教徒革命)中の1644年にヨークシャーで起きた戦い。[Heritage Daily]
- ヨーロッパ
- ホモサピエンスはヨーロッパに54000年前、45000年前、42000年前の3度にわたって渡来。従来は原オーリニャック文化(Protoaurignacian)・42000年前にヨーロッパに渡来したと長らく考えられていた。2022年の研究で、フランスのマンドラン洞窟(Grotte Mandrin)でネロン文化(Neronian)・54000年前の石器が知られていたが、マンドラン洞窟の石器とレバノンのクサル・アキル遺跡(Ksar Akil)の同時期の石器は類似すると判明(第1波)。原オーリニャック文化の石器はレバノンのアハマル文化(Ahmarian)の石器に類似(第3波)。両者の間の時期、ヨーロッパのシャテルペロン文化(Châtelperronian)の石器がレバントの後期旧石器時代初めの石器に類似。従来、シャテルペロン文化はネアンデルタール人の文化と考えられてきたが、ホモサピエンスによる第2波の渡来と解釈。[LiveScience]
▶ Ludovic Slimak (2023) The three waves: Rethinking the structure of the first Upper Paleolithic in Western Eurasia. PLoS ONE, 18(5): e0277444. [PLOS ONE] - メキシコ
- タマウリパス州(Estado Libre y Soberano de Tamaulipas)のウイサチャル・キャニオン(Huizachal Canyon)にある岩陰遺跡で35〜40歳程度の男性の人骨と石器。ハナンブレ文化(Janambre)のものとみられる。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Heritage Daily]
2023年5月3日(水)
- 韓国
- 慶尚南道 金海市・亀山洞支石墓(クサンドンしせきぼ)で、毀損された敷石の地下から青銅器時代の集落。松菊里型住居や焼成遺構、竪穴など。亀山洞支石墓は初期鉄器時代に築造。
▶金海亀山洞支石墓の下部から青銅器時代の集落確認[文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼亀山洞支石墓関連記事→2023年3月8日 - トルコ
- ブルサ県(Bursa il) イズニク郡(İznik)のイズニク湖(İznik Gölü;Lake Iznik)の水位が下がり、湖底からヘレニズム時代と9世紀の硬貨。[Arkeonews]
▼イズニク湖関連記事→2020年9月12日 - イタリア
- ナポリ(Napoli;Naples)のリオーネ・サニタ(Rione Sanità)の地下にある2500年前の古代ギリシャ人の墓や、ローマ時代の初期キリスト教のカタコンベを、宇宙線ミューオンを利用して調査。[LiveScience]
▶ Valeri Tioukov, Kunihiro Morishima, Carlo Leggieri, Federico Capriuoli, Nobuko Kitagawa, Mitsuaki Kuno, Yuta Manabe, Akira Nishio, Andrey Alexandrov, Valerio Gentile, Antonio Iuliano & Giovanni De Lellis (2023) Hidden chamber discovery in the underground Hellenistic necropolis of Neapolis by muography. Scientific Reports, volume 13, Article number: 5438. [Scientific Reports] - USA
- メリーランド州(State of Maryland) セントメアリーズ郡(St. Mary's County)で、17世紀の15歳程度の少年の墓。1634年の3月にメリーランドに初めて到達したヨーロッパ人植民者の一人である可能性。[The Washington Post]
- USA
- フロリダ州(State of Florida)ドライ・トートゥガス(Dry Tortugas)にあるガーデン・キー島(Garden Key)近くの水没した島から隔離病院とジェファーソン砦墓地(Fort Jefferson Post Cemetery)の跡。[Heritage Daily]
▼ドライ・トートゥガス関連記事→2009年3月22日 - USA
- グレートプレーンズ(Great Plains)中部の13〜15世紀の土器の口縁部と体部上半の装飾モチーフを分析し、当時の社会集団との関係を研究。グレートプレーンズ中部の北・西側と南・東側という対立構造があり、これらにネブラスカ州北東部のポンカ・クリークの大規模遺跡群が加わる。北・西と南・東との対立は墓制の違いに対応しており、別々の社会集団を表す。ポンカ・クリークではグレートプレーンズ中部のほかオネオタ様式やそのほかの地域型式も混在し、多民族社会であることが示唆される。
▶ Douglas B. Bamforth (2023) Thirteenth and fourteenth century ceramic decoration and social groups in the central great Plains. Plains Anthropologist. [Taylor & Francis Online] - USA
- アラスカ州(State of Alaska)のロイヤーズ洞窟(Lawyer's Cave)で1990年代に見つかった、3000年前のクマの骨と思われていたものは、遺伝子分析によりネイティヴアメリカンの女性のものと判明。先住民トリンギット人(Tlingit)に連なる。トリンギットの言葉で「洞窟の若い女性」を意味する「Tatóok yík yées sháawat」と命名。[LiveScience]
▶ Alber Aqil, Stephanie Gill, Omer Gokcumen, Ripan S. Malhi, Esther Aaltséen Reese, Jane L. Smith, Timothy T. Heaton, Charlotte Lindqvist (2023) A paleogenome from a Holocene individual supports genetic continuity in Southeast Alaska. iScience, Volume 26, Issue 5, 19 May 2023, 106581. [ScienceDirect]
2023年5月2日(火)
- 沖縄県
- 那覇市・旧日本軍第32軍司令部壕で、坑道の大半が土砂で埋没。沖縄県5/2発表。[共同通信]
▼第32軍司令部壕関連記事→2023年2月5日 - 韓国
- 慶尚南道 巨済市・芳下里古墳群(パンハリこふんぐん)で、加耶と新羅の遺物。小加耶の勢力圏が新羅によって再編成される過程を示す。[慶南日報]
- ミクロネシア連邦
- ポンペイ州(Pohnpei state)の人工島群ナンマトル(Nan Madol)で、王宮を構成するサンゴ試料148点をウラン・トリウム年代測定法により測定、1055〜1075年。11世紀にはすでに作られていた。建設終了は1411年。シャウテレウル朝(Saudeleur Dynasty)の都で、玄武岩とサンゴで作られた人工島。従来は伝承や放射性炭素年代により、13〜14世紀に建設され、16〜17世紀に廃絶したと考えられてきた。[derStandard.at]
- イラン
- ペルシャ湾地域(Persian Gulf)やマクラン海岸(Makran)で先史時代、サーサーン朝、イスラーム時代の遺跡。[Tehran Times]
- イスラエル
- メギド遺跡(Megiddo)のK区(Area K)で、中期青銅器時代の屋内埋葬。家の床下に死者を葬る。宮殿建築に近いH区(Area H)では、石組の墓室が発見され、土器の中の遺存物を分析。
▶Ayala Amir, Rachel Kalisher, Melissa S. Cradic, Matthew J. Adams, Mario A. S. Martin, Ronny Neumann, Yuval Gadot, Israel Finkelstein (2023) Burial Offerings in Intramural Tombs at Middle Bronze Age Megiddo. Archaeometry. [Wiley Online Library]
▼メギド遺跡関連記事→2023年2月23日 - ギリシャ
- キクラデス諸島のシロス島(Σύρος;Syros)にあるカストリ遺跡(Καστρί:Kastri)で出土した、前期青銅器時代II期の後半・紀元前3千年紀半ばの黒曜石製品149点を分析。大半がスタ・ニヒア(Στα Νύχια;Sta Nychia)産で、ごくわずかにゼメネガキ(Δεμενεγάκι;Dhemenegaki)産。キクラデス諸島やクレタ島での黒曜石の選択と共通するが、西アナトリアのそれとは異なる。ミロス島(Μήλος;Melos)の2か所の原産地、スタ・ニヒア産とゼメネガキ産の黒曜石で使われ方が大きく異なることが知られていた。
▶ Tristan Carter, Rose Moir, Marisa Marthari (2023) Defining cultural traditions in the Early Bronze Age Aegean: Characterizing obsidian consumption at Early Cycladic Kastri (Syros, Greece). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 103987. [ScienceDirect] - エジプト
- ギザ(Giza)のヘテプヘレス1世(Hetepheres I)の墓から出土した古王国時代・紀元前2600年ごろの銀製ブレスレットを分析。含有する鉛の同位体分析から、銀の由来はギリシャのキュクラデス諸島(Cyclades)の可能性が高く、アッティカのラウリオン(Λαύριον;Lavrion)の可能性もある。コールドワークと焼きなましを繰り返して作る。紀元前3千年紀前半の東地中海の交易にはエーゲ海地域も含んだ。ヘテプヘレス1世はクフ王の母。エジプトでは銀鉱石を産出しない.
▶ Karin Sowada, Richard Newman, Francis Albarède, Gillan Davis, Michele R. Derrick, Timothy D. Murphy, Damian B. Gore (2023) Analyses of queen Hetepheres’ bracelets from her celebrated tomb in Giza reveals new information on silver, metallurgy and trade in Old Kingdom Egypt, c. 2600 BC. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 49, June 2023, 103978. [ScienceDirect] - スーダン
- ヌビア(Nubia)の中世アルワ王国(Aρουα;Alwa)の都・ソバ(Soba)で、2019年〜2022年にガラス片30点以上と化粧用のガラス瓶が出土。分析により、いくつかのグループに分かれる。大半は植物灰ソーダガラスで、中東(イラン、イラク)で9〜10世紀、東地中海(レヴァントやエジプト)で10世紀中ごろ〜12世紀中ごろに作られたもの。7点はエジプトで9世紀に作られたミネラルどーだ石灰ガラス、3点は高鉛ガラスで、9〜11世紀とみられる。
▶ Joanna Then-Obłuska, Laure Dussubieux (2023) Islamic glass in the Christian Kingdom of Alwa – chemistry of shards from Soba, Nubia, Sudan. Archaeometry. [Wiley Online Library]
2023年5月1日(月)
- 神奈川県
- 厚木市・及川伊勢宮遺跡(第3地点)で、古墳時代前期・1600年前ごろの前方後円墳、37m。公益財団法人かながわ考古学財団の調査。5/20見学会。
▶及川伊勢宮遺跡第3地点の見学会について [厚木市]
▼及川伊勢宮遺跡関連記事→2022年4月21日 - 大阪府
- 富田林市・喜志南遺跡(きしみなみいせき)で、5世紀末の古墳、浮ヶ澤古墳(うきがさわこふん)を発見。7種類17体の形象埴輪出土。富田林市教育委員会の調査。[産経新聞]
▶浮ヶ澤古墳(喜志南遺跡内)の埴輪見学会を行います(文化財課) [富田林市] - 奈良県
- 桜井市・纒向遺跡(まきむくいせき)で2014年に見つかった建物跡は、位置や形態が伊勢神宮の御饌殿に共通。大王の食事を準備する場だったと推定。黒田龍二・神戸大学名誉教授の研究。[奈良新聞]
- インド
- ヒマラヤのピトラガル(Pithoragarh)にある洞窟の石筍で酸素、炭素、カルシウムの同位体を分析し過去の雨量を調査。4200年前以降の200年間で、25〜90年間にわたる干ばつが3回。長引く干ばつで青銅器時代のインダスの巨石文明が衰退した可能性。[Heritage Daily]
- イタリア
- ローマのフォルム・ユリウム(Forum Iulium;Forum of Caesar)で、ルネサンス時代・500年前の医療廃棄物。容器の半分以上が泌尿器の検査をする尿瓶マトゥーラ(matula)。[LiveScience]
▶ Cristina Boschetti, Laura di Siena, Jan Kindberg Jacobsen, Gloria Mittica, Giovanni Murro, Claudio Parisi Presicce, Rubina Raja and Massimo Vitti (2023) Disease control and the disposal of infectious materials in Renaissance Rome: excavations in the area of Caesar's Forum. Antiquity, First View, pp. 1 - 17. [Cambridge Core]
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