考古学のおやつ/NEWSLINK

2023年8月31日（木）

群馬県: 高崎市・宮元町遺跡で、江戸時代の職人が手がけた鞘や刀装具などと加工のための道具。高崎市の調査。[上毛新聞]
福井県: 若狭町・脇袋古墳群の上ノ塚古墳で、周濠から水を排出する水路の遺構。西に隣接する西塚古墳に向けて延びる。古墳完成後の5世紀前半～奈良時代の間に掘削。花園大学考古学研究室の調査。9/2現地説明会。[日刊県民福井]
滋賀県: 近江八幡市・御館前遺跡（みたちまえいせき）で、古墳時代中期～後期の竪穴建物跡12棟。千僧供古墳群の墓域内にあたり、古墳造営に関わった人々の短期的な居住地だった可能性。公益財団法人滋賀県文化財保護協会8/31発表。9/3現地説明会。[共同通信]
▶近江八幡市御館前遺跡の現地説明会のお知らせ[公益財団法人滋賀県文化財保護協会]
京都府: 長岡京市・長岡京跡（右京第1277次調査）で、六条条間小路の南側溝のほか、弥生時代、古墳時代、奈良時代、平安時代、中世などの遺構や遺物。公益財団法人長岡京市埋蔵文化財センターの調査。9/2現地説明会。[公益財団法人長岡京市埋蔵文化財センター]
愛知県: 幸田町・本光寺の肖影堂で、深溝松平家五代当主、松平忠利の墓壙とみられる遺構。[中日新聞]
大分県: 宇佐市・川部・高森古墳群（かわべ・たかもりこふんぐん）の史跡周辺で古墳時代の箱式石棺1基、土坑墓2基、石蓋土坑墓1基。墳墓群の広がりを示す。大分県立歴史博物館の調査。9/10現地説明会。
▶川部・高森古墳群発掘調査現地説明会 [大分県立歴史博物館]
中国: 張王庄遺跡（Zhangwangzhuang）で出土した仰韶文化早期～中期・6300年前～5600年前の堆積31試料からプラントオパールを分析し、黄淮平原（Huanghuai Plain）でのイネとキビの混作の起源を研究。仰韶文化早期・6300年前には混作が存在し、キビ（Broomcorn millet、Panicum miliaceum）やイネ（rice；Oryza sativa）が豊富に存在。2期にイネは激減し、3期・4期には継続的に増加。3期・4期の増加率は周辺の遺跡よりもはるかに高く、豊富な水に恵まれていたためとみられる。この地域でのキビ栽培の開始は仰韶文化の南下によるとみられ、6000年前には温暖湿潤な気候から冷涼で冷涼で乾燥した気候への変化を背景にキビ栽培が拡大。
▶ Binggui Sun, Xingtao Wei, Yuzhang Yang, Weiya Li, Yingxue Gong, Jindou Li, Wanli Lan, Xin Zhou, Juzhong Zhang (2023) Phytolith evidence for crop structure at the Zhangwangzhuang site during the early and middle Yangshao cultural periods on the southwestern Huanghuai Plain, China. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104181. [ScienceDirect]
中国: 陝西省楡林市の新石器時代集落30か所から出土した新石器時代・泉護2期（Quanhu Phase II）・廟底溝2期（Miaodigou Phase II）～石峁文化（Shimao）の白色石灰岩の表面の添加物を分析。4000年以上前にすでに建築用モルタルにタンパク質を添加。カゼインとゼラチンが一般的。また、中国最古の澱粉モルタルも。
▶ Hui Lu, Ningwu Kang, Bingjian Zhang, Mingzhi Ma, Yulan Hu (2023) Organic additives to Neolithic white lime surfaces in Yulin, Shaanxi, China. Journal of Archaeological Science, Volume 158, October 2023, 105841. [ScienceDirect]
イラン: マーザンダラーン州（Ostān-e Māzandarān）の洞窟で旧石器時代の遺物。[Tehran Times]
パレスチナ（ヨルダン川西岸地区）: エルサレム（Jerusalem）のダビデの町（City of David）で、2800年前の水路。ヨアシュ王またはアマツヤ王の治世に当たる。[Arkeonews]
イタリア: シチリア島（Sicilia；Sicily）の古代ギリシャ植民都市セリヌンテ（Selinunte；Selinunt）で、大理石造りのライオンの頭部。未製品で、神殿の屋根の排水用とみられる。[Heritage Daily]
オーストリア: ザンクト・ペルテン（Sankt Pölten）で調査された後期青銅器時代・紀元前1430年と前1260年（cal. BCE）の火葬墓2基の蔵骨器を分析。被葬者は若い成人女性と10～12歳の子供で、いずれも生理的ストレスを受け、在地の人。8種の野生植物と5種の栽培植物があり、供物や火の促進材とみられる。
▶ Lukas Waltenberger, Marjolein D. Bosch, Michaela Fritzl, André Gahleitner, Christoph Kurzmann, Maximilian Piniel, Roderick B. Salisbury, Ladislav Strnad, Hannah Skerjanz, Domnika Verdianu, Christophe Snoeck, Fabian Kanz, Katharina Rebay-Salisbury (2023) More than urns: A multi-method pipeline for analyzing cremation burials. PLOS ONE, 18(8): e0289140. [PLOS ONE]
UK（イングランド）: デヴォン州（Devon）ダートムーア国立公園（Dartmoor National Park）内のラスリー（Lustleigh）で、石器時代・8000年前の人びとが祈りのために景観を眺めた場所。フリント80片以上出土し、石器製作の場所と推定。[The Guardian]

2023年8月30日（水）

北海道: 伊達市・有珠モシリ遺跡（うすもしりいせき）で、貝塚を初めて確認。[北海道新聞]
▼有珠モシリ遺跡関連記事→2022年2月1日
韓国: 全羅南道順天市黄田面・竹内里遺跡（チュンネリいせき）で、百済・6～7世紀の石室墓が群集。[NEWSIS]
スペイン: ブルゴス県（Provincia de Burgos）メリンダー・デ・ソトスクエバ（Merindad de Sotoscueva）のオホ・グアレニャ（Ojo Guareña）の入り口であるパロメラ洞窟（Cueva Palomera）で、前期青銅器時代・紀元前2000年～前1750年の成人男性の人骨2体。ともに死亡直前の外傷があり、死因となった可能性が高い。暴力的な紛争の存在を示す。
▶ Borja González-Rabanal, Ana B. Marín-Arroyo, Marco Vidal-Cordasco, Miguel Ángel Martín, Ana Isabel Ortega (2023) Early Bronze Age violence in Ojo Guareña (Merindad de Sotoscueva, Burgos, Spain). perimortem modifications in two male individuals. Quaternary Science Advances. [ScienceDirect]
USA: ミシガン州のヒューロン湖（Lake Huron）の湖底から、第二次世界大戦中に墜落した戦闘機P-39エアコブラ（P-39 Airacobra）のエンジンを引き上げ。タスキーギ（Tuskegee）の基地にいた米国最初の黒人パイロットらが訓練飛行中の1944年墜落。[LiveScience]
メキシコ: メキシコシティー（Ciudad de México；Mexico City）のテンプロ・マヨール遺跡（Templo Mayor）で、アステカ帝国・1440～1469年の石櫃から奉納品として配置されたメスカラ様式（Mezcala）・紀元前700年～前200年の人形15体。アステカ人はメスカラの遺物を珍重し、ゲレーロ州のメスカラ文化の遺跡から人形を掘り出し、奉納品とした。[Heritage Daily]
メキシコ: ユカタン州（Estado de Yucatán）のチチェン・イッツァ遺跡（Chichén Itzá）で、アトラス型の彫刻。[Heritage Daily]
▶Localizan escultura de atlante en sendero que conducirá a nueva sección de Chichén Itzá[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
メキシコ: チアパス州（Estado de Chiapas）のパレンケ遺跡（Palenque）で初めて、マヤ文明・後期古典期・600年～850年の、トウモロコシの神を擬人化した鼻飾ナリゲラ（nariguera）が出土。ヒトの骨で作る。
▶Por primera vez, en Palenque hallan una nariguera; debió usarse para personificar al dios maya del maíz[Instituto Nacional de Antropología e Historia]

2023年8月29日（火）

長野県: 伊那市・老松場古墳群（ろうしょうばこふんぐん）の2号墳で、埋葬施設と副葬品用の埋納施設を確認。5世紀後半の円墳。関西大学文学部考古学研究室の調査。[中日新聞]
▼老松場古墳群関連記事→2021年9月28日
韓国: 居次頓の殉教碑をRTI（Reflectance Transformation Imaging）撮影し、あらたに79字を解読。64字の釈読を訂正。居次頓の本名「厭髑」も明記していた。建立は元和13年（818）とされるものの碑文は摩耗して読めなかったが、「十三」の文字を確認。[京郷新聞]
キプロス: ニコシア地区（Eπαρχία Λευκωσίας；Nicosia District）のペラ・オリニス（Πέρα Ορεινής；Pera Orinis）で、フランギサ（Φράγγισσα；Frangissa）のアポロン神殿を再発見。[Greek City Times]
▶Excavation at the Sanctuary of Apollo at the locality of Frangissa, in the area of Pera Orinis [Γραφείο Τύπου και Πληροφοριών]
ドイツ: ブレーメン（Bremen）の学校の砂場で8歳の少年がローマ帝国マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝（Marcus Aurelius Antoninus）の治世・161～1800年の銀貨を発見。[LiveScience]
ドイツ: テューリンゲン州（Freistaat Thüringen）キフホイザー郡（Kyffhäuserkreis）バート・フランケンハウゼン（Bad Frankenhausen）で、キフホイザー城（Kyffhäuserburg）内にザーリアー朝ハインリヒ4世惟の治世・11世紀後半の礼拝城跡。1937/38年にナチスによって大部分破壊されていた。[Ostthüringer Zeitung]

2023年8月28日（月）

岐阜県: 不破郡関ケ原町・不破関跡（ふわのせきあと）で8世紀前半の遺構を初めて確認。掘立柱建物で、庇を配す。[岐阜新聞]
滋賀県: 彦根市の文化財課に所属する課長補佐級の職員が、埋蔵文化財の調査に関するうその報告書4件を作り、印刷費を市に支出させたとして、停職1か月の懲戒処分。[中日新聞]
長崎県: 雲仙市・内屋敷遺跡（うちやしきいせき）で、中世の墓跡。室町時代から戦国時代にかけての墓穴100基以上。雲仙市教育委員会の調査。[西日本新聞]
韓国: 江華島・伝妙智寺跡（でんミョジサあと）で、オンドルを備えた高麗時代・13世紀の建物遺構。高麗の元宗王が1264年に滞在したと『高麗史』に記される遺跡。国立ソウル文化財研究所の調査。[聯合ニュース ]
▼妙智寺跡関連記事→2022年11月28日
中国: 青海省海西モンゴル族チベット族自治州都蘭県巴隆郷のシャルヤマカブ遺跡（夏爾雅瑪可布）で、3か所の墓地。先秦時代の墓合計3228基を発見。諾木洪文化・紀元前1500年～前1000年の遺跡として知られる。[新京報]
▼シャルヤマカブ遺跡関連記事→2011年1月4日
イエメン: ワーディー・バイハーン（Wādī Bayḥān）で、紀元前700年ごろにいくつかの集落が廃絶。気候変動への対応や、地域の政治史に関連するとみられる。イエメン内陸低地の採集社会は紀元前6千年紀に牧畜を採用、紀元前3千年紀あるいはそれ以前には潅漑農耕を始める。
▶ Jean-François Breton, Brigitte Coque-Delhuille & Christopher Edens (2023) Settlement Discontinuities in Southwestern Arabia during the Middle and Late Holocene: The Bayḥān (Yemen) Region. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
パレスチナ: ヨルダン川西岸地区、エルサレム（Jerusalem）のギヴァト・ハマトス（Givat Hamatos）で、第二神殿時代の水道を300mにわたり発見。一連のまま見つかった部分として最長。水需要の増加に応じて建設。第一次ユダヤ戦争当時の硬貨も出土。[The Jerusalem Post]
トルコ: ディヤルバクル県（Diyarbakır）エルガニ（Ergani）のチャヨニュ遺跡（Çayönü）で、前期青銅器時代の墓を新たに5基発見。[Daily Sabah]
▼チャヨニュ遺跡関連記事→2022年11月5日
クロアチア: フヴァル島（Hvar）のスタリー・グラード（Stari Grad）で、古代ギリシャ都市ファロス（Φάρος；Pharos）の紀元前5世紀～前4世紀の西城壁と城門。[Croatia Week]
ポーランド: ヴィシリツァ（Wiślica）にある中世の砦跡から銀貨12枚。うち11枚はポーランド王ボレスワフ2世（Bolesław II Szczodry；Bolesław the Bold）の治世・1076～1079年、もう1枚はポーランド公ヴワディスワフ1世ヘルマン（Władysław Herman）の治世・1079～1102年のもの。また、ローマ時代の留め針も。[The First News]
フランス: マルヌ県（le département de la Marne）マレ・ド・サン＝ゴン（Marais de Saint-Gond）で新石器時代の集落。[The Business Post]
ポルトガル: アルガルヴェ地方（Algarve）東部のサン・ブラーズ・デ・アルポルテル（São Brás de Alportel）で、新石器時代・5500年前のメンヒル。[Portugal Resident]

2023年8月27日（日）

島根県: 松江市・松江城で、石垣の一部に変形が見つかる。[NHK]
中国: 河南省新鄭市・鄭韓故城の黄帝故里遺跡で編鍾3セットなどの楽器類をおさめた春秋時代中晩期の祭祀坑1基。2.6m×1.4mで深さ0.8m。[中国青年報]
イタリア、クロアチア、スロベニア、セルビア: イタリア、クロアチア、スロベニア、セルビアで出土したナトロンガラス1357試料を分析。1～16世紀におよび、最盛期は4～7世紀。1～3世紀はレヴァント産とエジプト産が同程度だが、3世紀末～4世紀初めにレヴァント産は激減。アドリア海では「Foy 2.1」と「HIMTa」のガラスが一貫して貿易された。バルカン半島では「Foy 3.2」ガラスを貿易。イタリアの南北海岸には、別のガラスが輸入された。
▶ Elisabetta Gliozzo, Margherita Ferri, Francesca Giannetti, Maria Turchiano (2023) Glass trade through the Adriatic Sea: preliminary report of an ongoing project. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104180. [ScienceDirect]

2023年8月26日（土）

茨城県: 結城市・結城廃寺跡（ゆうきはいじあと）で奈良時代初頭の新羅土器と推定される坏の口縁部破片が出土。二重の沈線文をめぐらす。結城市教育委員会8/25発表。8/27現地説明会。[茨城新聞]
▶国史跡結城廃寺跡　発掘調査現地説明会 [結城市]
▽写真では口縁部が直立しているように見える▽奈良時代初頭にあたる8世紀の統一新羅土器であれば、このような器形もなくはないが、口縁部が端反りのものも登場する時期である▽7世紀後半には多い器形。
▼結城廃寺跡関連記事→2022年12月22日
横浜市: 中区・米海軍病院跡地で、複数の医療器具。瓶は熱で変形したものが多く、震災で被災した状況を示す。病院は1872年開設。1909年にレンガ造りで建設され、1923年の関東大震災で倒壊。[東京新聞]
鳥取県: 鳥取市・青谷上寺地遺跡（あおやかみじちいせき）で出土した動物骨によると、弥生人はイノシシやシカの肉を好んで食べ、クジラやマグロも食卓に上っていた。ムササビやタヌキなどの毛皮を利用し、イヌを使って狩猟。[産経新聞]
沖縄県: 豊見城市・豊見城グスク（とみぐすくぐすく）で、城壁の一部を発見。戦中戦後に採石場として使用され、城壁はほぼ残っていないと思われてきた。豊見城市教育委員会8/25発表。[琉球新報]
指定文化財: 全国にある国宝や重要文化財に指定された656か所の建物が、大雨による浸水や土砂災害のリスクが高い区域にある。奈良文化財研究所の研究。[NHK]
研究支援: 経済産業省は先端技術の研究開発を支援する補助金制度で、目標を達成した場合のみ給付する「懸賞金型」を2024年度に本格導入。[日本経済新聞]
▽元手を準備しないと研究資金を回収できない仕組みにするというだけ。
非正規公務員: 国や自治体で働く非正規公務員を中心にした団体非正規公務員VOICESが職場でのハラスメントの状況について中間報告。不当な扱いを受ける深刻な実態。[東京新聞]
中国: 河南省新鄭市・鄭韓故城の後端湾鋳鉄遺跡で、戦国時代の脱炭窯を発見。中国でのダクタイル鋳鉄の年代を200年さかのぼらせる。従来もっとも古いとされていたのは前漢中晩期の河南省鞏義市・鉄生溝冶鉄遺跡。[大河網]
イラン: タペ・サンギ・チャハマック遺跡（Tappeh Sang-e Chakhmaq）で出土した新石器時代・紀元前8千年紀～前6千年紀末の石鎌を分析。ほとんどの石鎌は完熟状態の穀物を収穫するために使用。高度な穀物栽培技術を示す。
▶ Fiona Pichon, Juan José Ibáñez Estevez, Patricia C. Anderson, Akira Tsuneki (2023) Harvesting cereals at Tappeh Sang-e Chakhmaq and the introduction of farming in Northeastern Iran during the Neolithic. PLoS ONE, 18(8): e0290537. [PLOS ONE]
トルコ: チュクリチ・ヒュユク遺跡（Çukuriçi öyük）ほかでの、前期青銅器時代の家庭内での金属生産を分析。金属加工が男性の空間で男性に担われたという既存の民族誌的な知見とは異なり、さまざまな性別、年代の人が金属生産に従事した。
▶ Sabina Cveček (2023) No place like home for metalworkers: Household-based metal production at Early Bronze Age Çukuriçi Höyük and beyond. History and Anthropology. [Taylor & Francis Online]
▼チュクリチ・ヒュユク遺跡関連記事→2012年11月9日
ロシア: トゥヴァ共和国（Республика Тыва；Tuva Republic）のトゥラン・ウユク盆地にあるチンゲ・テイ墳丘墓（Chinge Tey）に葬られた鉄器時代の遊牧民エリート12人の食生活を、放射性炭素年代と炭素と窒素の安定同位体分析で推定。陸生のC3/C4食物場混じった食生活で、年齢・性別による差は少ない。
▶ L. Oleszczak, D. Pokutta, K. Chugunov, A. Götherström (2023) The food culture of the Iron Age nomadic elite from the ‘Valley of the Kings’ in Tuva: radiocarbon dating, stable carbon and nitrogen analysis of the Chinge Tey barrows (Turan-Uyuk Basin, Russia). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104186. [ScienceDirect]
ポーランド、ウクライナ: ポーランドとウクライナの25遺跡から得られた青銅器時代・紀元前2300/2200年～前1200年のヒトのゲノム91試料を分析。ポーランドとウクライナには、新石器時代末・5000年前に草原地帯から移住した遊牧民の子孫が住んでいたが、前期青銅器時代と中期青銅器時代の移行期・3800年前に狩猟採集民の大規模な流入があったことがわかる。移住者の大半は男性。[Nauka w Polsce]
▶ Maciej Chyleński, Przemysław Makarowicz, Anna Juras, Maja Krzewińska, Łukasz Pospieszny, Edvard Ehler, Agnieszka Breszka, Jacek Górski, Halina Taras, Anita Szczepanek, Marta Polańska, Piotr Włodarczak, Anna Lasota-Kuś, Irena Wójcik, Jan Romaniszyn, Marzena Szmyt, Aleksander Kośko, Marcin Ignaczak, Sylwester Sadowski, Andrzej Matoga, Anna Grossman, Vasyl Ilchyshyn, Maryna O. Yahodinska, Adriana Romańska, Krzysztof Tunia, Marcin Przybyła, Ryszard Grygiel, Krzysztof Szostek, Miroslawa Dabert, Anders Götherström, Mattias Jakobsson & Helena Malmström (2023) Patrilocality and hunter-gatherer-related ancestry of populations in East-Central Europe during the Middle Bronze Age. Nature Communications, volume 14, Article number: 4395. [Nature Communications]
ハンガリー: バラトン湖（Lake Balaton）近くの5世紀の墓地3か所で出土した墳墓38基の被葬者の遺伝子データを分析。6世紀中ごろの遺跡の38基と、同時代のデータ550人と比較。埋葬習慣の共通性にもかかわらず、4つの墓地の遺伝的多様性は、同時代のヨーロッパよりも幅広い。北ヨーロッパからパンノニア（Pannonia）への遺伝子の流入も認められる。
▶ Deven N. Vyas, István Koncz, Alessandra Modi, Balázs Gusztáv Mende, Yijie Tian, Paolo Francalacci, Martina Lari, Stefania Vai, Péter Straub, Zsolt Gallina, Tamás Szeniczey, Tamás Hajdu, Luisella Pejrani Baricco, Caterina Giostra, Rita Radzevičiūtė, Zuzana Hofmanová, Sándor Évinger, Zsolt Bernert, Walter Pohl, David Caramelli, Tivadar Vida, Patrick J. Geary, Krishna R. Veeramah (2023) Fine-scale sampling uncovers the complexity of migrations in 5th–6th century Pannonia. Current Biology. [Cell]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）オッホトルップ（Ochtrup）で18世紀末～19世紀末のレンガ積みの井戸。[Soester Anzeiger]
UK: ロンドンの大英博物館（The British Museum）で、職員が収蔵品を盗むなどしていた問題を受け、ハルトビッヒ・フィッシャー館長（Hartwig Fischer）が、辞任へ。[時事通信]
カナダ: ブリティッシュコロンビア州バラード海峡（Burrard Inlet）にあるtəmtəmíxʷtən集落で出土したサケの脊椎骨245個を分析。3000年にわたり優先的にサケ（Oncorhynchus keta）を捕獲。海岸セイリッシュ人（Coast Salish）のツレイル・ウォウトゥス族（Tsleil-Waututh）は、ヨーロッパ人との接触（1792年）以前に100世代にわたり持続的にサケ漁を行っていた。
▶ Meaghan Efford, Spencer Taft, Jesse Morin, Micheal George, Michelle George, Hannah Cavers, Jay Hilsden, Lindsey Paskulin, Doris Loewen, Jennifer Zhu, Villy Christensen, Camilla Speller (2023) Archaeology demonstrates sustainable ancestral Coast Salish salmon stewardship over thousands of years. PLOS ONE, 18(8): e0289797. [PLOS ONE]
USA: アラスカ州コディアック島（Kodiak Island）のカルルーク湖（Karluk Lake）近くで、アリュティーク人（Alutiiq）の住居跡から、床に敷かれていたとみられる3000年前の草を編んだマット。[Alaska Native News]
ペルー: カハマルカ県（Departamento de Cajamarca）チョタ郡（Provincia de Chota；Chota Province）ケロコト（Querocoto）にあるパコパンパ遺跡（Pacopampa）で3000年前の神官の墓。[Andina]

2023年8月25日（金）

青森県: 青森市・三内丸山遺跡で縄文時代晩期のものとみられる竪穴建物跡。同遺跡で晩期の遺構は初。[東奥日報]
福岡県: 粕屋町・阿恵遺跡（あえいせき）で、新たに飛鳥時代～奈良時代とみられる建物群跡。古代糟屋郡衙とされる阿恵官衙遺跡と同時期で、関連施設と考えられる。粕屋町教育委員会の調査。8/26現地説明会。[西日本新聞]
▼阿恵遺跡関連記事→2023年7月26日
イスラエル: ハイファ湾（Haifa Bay）で水中から木造船。マルセイユにある工場からイスラエルのハイファ、エルサレム、シャローナのテンプル騎士団に屋根瓦を運搬。[i24]
ロシア: アルタイ山脈（Altai）東南部のRudny Logでの大規模な鏡鉄鉱（specularite）鉱山に関する研究。紀元後1千年紀に大規模な採掘・溶解がされ、350の坑道を確認を確認。1～2世紀ごろが最古。Rudny Logと、ほかの未知の鉱山2か所の鉄を加工した工房5か所を確認。鉱山から20～125kmの場所で溶解。匈奴（Xiongnu）の拡大と関連。
▶ Evgeny V. Vodyasov, Ivan S. Stepanov, Mikhail V. Vavulin, Olga V. Zaitceva, Alexander V. Ebel, Evgenia M. Asochakova, Andrey A. Pushkarev, Evgenia S. Rabtsevich, Mikhail A. Rassomakhin (2023) Large-scale mining and smelting of specularite ores in the Altai mountains during the 1st millennium AD. Journal of Archaeological Science, Volume 158. [ScienceDirect]
ロシア: 南シベリアの鉄溶解炉を集成し、保存状態のより159基を9型式に分類。放射性炭素年代によると、鉄の加工技術はスキタイではなく、匈奴時代・紀元前2世紀～紀元後2世紀に始まる。3～6世紀に盛んとなり、同時期に多くの型式の鉄溶解炉がみられる。南シベリアでは突厥・7世紀に鉄生産が突然、かつほとんど消滅する。
▶ Evgeny V. Vodyasov, Petr B. Amzarakov, Timur R. Sadykov, Yuri V. Shirin, Olga V. Zaitceva, Christian Leipe, Pavel E. Tarasov (2023) Nine types of iron smelting furnaces in southern Siberia in the first millennium AD: A review of archaeological and chronological data. Archaeological Research in Asia, Volume 36, December 2023, 100479. [ScienceDirect]
スイス: ツーク州（Kanton Zug）ヒャム（Cham）のオーバーヴィル（Oberwil）で、大規模なローマ時代・2000年前の遺跡。[Heritage Daily]
リトアニア: 紀元前1000年～紀元後200年の防御性集落9遺跡で出土した、土器に残る炭化した遺存物の安定同位体を分析し、食生活を推定。後期青銅器時代・紀元前1100年～前500m年にはキビを消費しているが、紀元前1000年ごろに食生活の変化。穀物栽培が紀元前1300年～前1250年ごろに導入されたのち、防御性集落は初期農耕民の行動を特徴づけるもの。
▶ Vytenis Podėnas, Andrius Garbaras, Viktorija Micelicaitė, Karolis Minkevičius, Justina Šapolaitė, Žilvinas Ežerinskis, Agnė Čivilytė (2023) Diet of the fortified settlement communities in Lithuania from 1000 cal. BC to 200 cal. AD. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104184. [ScienceDirect]
スペイン: グアダラハラ県（Provincia de Guadalajara）のレコポリス遺跡（Reccopolis）で出土した中世・西ゴート王国・6世紀後半の貨幣146枚を分析。堆積との関係で、貨幣使用の文脈を推定。
▶ Manuel Castro-Priego, Pilar Diarte-Blasco & Lauro Olmo-Enciso (2023) Coins from the multi-stratified medieval site of Reccopolis: analysis of long-term numismatic records. Journal of Medieval Iberian Studies. [Taylor & Francis Online]
メキシコ: タバスコ州（Tabasco）バランカン（Balancán）のモラル・レフォルマ遺跡（Moral-Reforma）にある後期古典期・600～900年ののマヤ文明のピラミッドで、斬首の儀式の証拠。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。[Heritage Daily]
▼モラル・レフォルマ遺跡関連記事→2023年4月21日

2023年8月24日（木）

京都府: 舞鶴市・田辺城跡（たなべじょうあと）で見つかった戦国武将・細川幽斎時代の石垣を一部移設して保存へ。[京都新聞]
中国: 山西省運城市夏県で魏～西晋初めの墓2基。[中国新聞網]
ベトナム: トゥアティエン＝フエ省（Thua Thien-Hue）フエ市（Hue）の阮朝の皇城のうち勤政殿（Can Chanh Palace）を調査。[VietnamPlus]
マレーシア: サラワク州のグア・シレ洞窟（Gua Sireh Cave）のロックアートを年代測定し。11670～1830年。マレー系エリートの開拓による暴力と、山岳先住民の紛争を描く。
▶Malaysian rock art found to depict elite-Indigenous conflict [Griffith University]
▶ Jillian Huntley, Paul S. C. Taçon, Andrea Jalandoni, Fiona Petchey, Emilie Dotte-Sarout, Mohammad Sherman Sauffi William (2023) Rock art and frontier conflict in Southeast Asia: Insights from direct radiocarbon ages for the large human figures of Gua Sireh, Sarawak. PLOS ONE, 18(8): e0288902. [PLOS ONE]
トルコ: 小アジア西部の古代都市プリエーネー（Πριήνη；Priene）で、紀元前4世紀～前1世紀の調理用具の生産と流通を研究。後期クラシック～前期ヘレニズム、中期ヘレニズム、後期ヘレニズム～前期ローマ帝政期の3つの時期に分けて分析。在地の土器の変遷を知る一方、他の地域からも輸入されており、歴史的出来事とも関連。
▶ Silvia Amicone, Noémi S. Müller, Lars Heinze, Gerwulf Schneider, Svenja Neumann, Nina Fenn, Evangelia Kiriatzi (2023) Four centuries of cooking wares at Priene: Tracing transformation in supply and trade patterns in western Asia minor (Turkey). Advances in Archaeomaterials. [ScienceDirect]
スロバキア: コシツェ県（Košický kraj；Košice Region）ヴァラリキ（Valaliky）で、ハンガリー・10世紀の大規模な墓地をはじめとして、さまざまな文化の痕跡。[The Slovak Spectator]
ラトビア: バルト海で2021年に発見された出土した19世紀中ごろとみられる沈没船を、ラトビアに保存のため適当な博物館がないため再び水に沈めるバルト海沿岸国でラトビアだけが海洋博物館を持たない。[LSM ziņu portāls]
フランス: コレーズ県（Corrèze）メマック（Meymac）で、レジスタンスの遺物。[Franceinfo]
フランス: ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）イル＝エ＝ヴィレーヌ県（Ille-et-Vilaine） プルームル（Pleumeleuc）で、鉄器時代1期～鉄器時代2期・紀元前6世紀～前2世紀の集落と火葬墓。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶Un habitat et une nécropole de l'âge du Fer à Pleumeleuc (Ille-et-Vilaine) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2023年8月23日（水）

北海道: 枝幸町・目梨泊遺跡（めなしどまりいせき）で、オホーツク文化の竪穴式住居跡。近くから焼いたクマの骨が多数見つかり、住居内の「骨塚」から流出したとみられる。[読売新聞]
▼目梨泊遺跡関連記事→2022年11月27日
中国: 長葛・石固遺跡（Shigu）について、仰韶文化・6400年前～5300年前の植物遺体と放射性炭素年代測定により、農業経済の確立過程を研究。植物遺体はキビ、アワ、イネなどの植物が主をなすが、イネの割合は少ない。キビとアワを植物資源の主力とする農業経済が6400年前に確立。6000年前にイネは激減しており、気候変動に関連。[Phys.Org]
▶ Yuzhang Yang, Miaomiao Yang, Binggui Sun, Weiya Li, Zhijie Cheng, Ling Yao, Wanli Lan, Xin Zhou & Juzhong Zhang (2023) Mixed farming of rice and millets became the primary subsistence strategy 6400 years ago in the western Huanghuai Plain of Central China: New macrofossil evidence from Shigu. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 15, Article number: 122. [SpringerLink]
イラク: ニムルド（Nimrud）にある古代都市カルフ（Kalhu）のアッシュル・ナツィルパル2世（Ashurnasirpal II）の宮殿で出土した紀元前879年～前869年の日干し煉瓦から古代のDNAを抽出し、植物34種を同定。当時栽培されていた植物の多様性を示す。
▶Researchers extract ancient DNA from a 2,900-year-old clay brick, revealing a time capsule of plant life [University of Oxford]
▶ Troels Pank Arbøll, Sophie Lund Rasmussen, Nadieh de Jonge, Anne Haslund Hansen, Cino Pertoldi & Jeppe Lund Nielsen (2023) Revealing the secrets of a 2900-year-old clay brick, discovering a time capsule of ancient DNA. Scientific Reports, volume 13, Article number: 13092. [Scientific Reports]
▼ニーナワー県（Nineveh）
イタリア: エミリア＝ロマーニャ州（Regione Emilia-Romagna）フォルリ＝チェゼーナ県サルシナ（Sarsina）で、ローマ時代・紀元前1世紀のカピトリウム神殿（capitolium）と、中世初期の建物跡。[Heraldo]
ドイツ: ヘーゼビュー遺跡（Hedeby）＝ハイタブ遺跡（Haithabu）で、ヴァイキング時代のスカンディナヴィア中部および北部からの交易品が出土し、長距離交易の存在を証明。9世紀の角製の櫛は大半がトナカイの角製品と判明。ヘーゼビュー遺跡での角を用いた生産時の廃棄物はほとんどがアカシカの角であることから、トナカイの角製の櫛ははるか北方の製品と考えられる。
▶ Mariana Muñoz-Rodriguez, Samantha Presslee, Krista McGrath, Niklas Hausmann, Volker Hilberg, Sven Kalmring, Lena Holmquist, Jessica Hendy and Steven Paul Ashby (2023) In the footsteps of Ohthere: biomolecular analysis of early Viking Age hair combs from Hedeby (Haithabu). Antiquity, First View, pp. 1 - 16. [Cambridge Core]
ノルウェー: トロンデラーグ県（Trøndelag）のヴィニェーラ（Vinjeøra）で、石器時代・11500年前～10000年前の石器。[Norwegian SciTech News]

2023年8月22日（火）

石川県: 金沢市・金沢21世紀美術館で退職するスタッフが相次ぎ、補充が追い付かない状況。[北國新聞]
▽記事の末尾、この美術館固有の問題かと思わせるような「一部の声」の前フリの後、もっと重大な指摘が。▽学芸課長が欠員だが「全国的に40代後半から50代前半で業務経験を積んだ中堅層の学芸員の人数が少ない」。▽就職氷河期のころ、公共機関の独立行政法人化や公務員の削減なども進んでいたため、この世代の人々には安定した職に着いたり業務経験を積む機会を奪われた人が多い▽ならば、けっして金沢だけの問題ではない。
静岡県: 沼津市で、沼津市文化財センターの職員が、遺跡の発掘調査を業務委託した業者にデジタルカメラなどを買わせ、使用するなどの不適正処理。買い替えが必要な機材について予算が通らなかったため。沼津市教育委員会8/22発表。[静岡朝日テレビ]
研究費: 生命科学・医学分野に配分された1991年以降の科研費を分析。高額研究費を得るほど多くの成果を創出できる一方で、投資効率としては、少額研究費を多くの研究者に配る方が効果が高い。科研費（20K00266）による研究。
▶ノーベル賞級の研究成果やイノベーションの創出を促す研究費配分を解明 [筑波大学]
▶ Ryosuke L. Ohniwa, Kunio Takeyasu, Aiko Hibino (2023) The effectiveness of Japanese public funding to generate emerging topics in life science and medicine. PLOS ONE, 18(8): e0290077. [PLOS ONE]
中国: 内モンゴル自治区赤峰市松山区・彩陶坡遺跡で、紅山文化早期の竜形蚌飾。以前に出土した玉竜より古い。[中国新聞網]
中国: 江蘇省興化市千垛鎮草王村・草堰港遺跡で新石器時代・7000年前の土器・骨器・木器。江淮東部では最古の新石器遺跡。[新華社]
オマーン: ウスタ行政区（Al-Wusta）のナフン（Nafun）近くで、新石器時代・紀元前5000年～前4600年の墓。2つの墓室に数十人を埋葬。近隣から岩刻画。[News.DayFR]
トルコ: チャナッカレ県（Çanakkale il）のインカヤ洞窟（İnkaya Cave）で、中期旧石器時代・86000年前のさまざまな目的で用いたフリント製石器。人類が生活した痕跡。[Hürriyet Daily News]
▼インカヤ洞窟関連記事→2022年10月26日
ロシア: ウラル（Ural）のネプルイェフスキー墓地（Nepluyevsky）のクルガン墓で出土した青銅器時代・3800年前の被葬者32人の遺伝子を分析。6人の兄弟とその妻、子、孫と判明。長兄とみられる男性は2人の妻、8人の子を持つが、妻のうち1人はアジアのステップ地帯出身。ほかの兄弟の妻は1人だけで、子供も少ない。長兄は明らかに地位が高く、一方、女性はみな外の地域出身で互いに血縁関係にない。父系制社会を示す。
▶Bronze Age family systems deciphered: Mainz palaeogeneticists analyse a 3,800-year-old extended family[Johannes Gutenberg-Universität Mainz]
▶ Jens Blöcher, Maxime Brami, Isabelle Sofie Feinauer, Eliza Stolarczyk, Yoan Diekmann, Lisa Vetterdietz, Marina Karapetian, Laura Winkelbach, Vanessa Kokot, Leonardo Vallini, Astrid Stobbe, Wolfgang Haak, Christina Papageorgopoulou, Rüdiger Krause, Svetlana Sharapova, and Joachim Burger (2023) Descent, marriage, and residence practices of a 3,800-year-old pastoral community in Central Eurasia. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 120, No. 36, e2303574120. [PNAS]
ロシア: ヴラジーミル州（Владимирская область；Vladimir Oblast）ムーロム（Муром；Murom）のオカ川（Ока；Oka）左岸で、ムーロマ族（Мурома；Muromian）の墳墓。人骨13体が出土し、多くは男性。槍、斧、硬貨、鉛の重りなどを副葬。硬貨は10世紀初めのイスラームのディルハム硬貨で、当時はヨーロッパでも流通し、ヴァイキングの遺跡でもみつかる。ムーロマ族はヴォルガ・フィン人に属す。11～12世紀ごろ東スラヴ人に同化。[Heritage Daily]
ギリシャ: エウボイア湾のミトルー遺跡（Μήτρου；Mitrou）の中期ヘラディック（Middle Helladic；MH）・紀元前2100年～前1700年の土器を分析し、エーゲ海南部との交流を3段階（MH I、MH II初葉～中葉、MH II末葉～MH III）に分離。第1段階は、キクラデス諸島南部との頻繁ではないが的を絞った黄龍。第2段階はアイギナ島（Αίγινα；Aegina）やキクラデス諸島西部・中部とも交流が広がるが、比較的集約度は低い。第3段階には交流が増し、特にケア島（Κέα）やアエギナ島との交流が多い。
▶ Christopher Mark Hale (2023) Pottery imports from the southern Aegean islands at Middle Bronze Age Mitrou. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104174. [ScienceDirect]
ギリシャ: デスポティコ島（Δεσποτικό；Despotiko）で、アポロン神の神殿から、後期アルカイック時代（late Archaic）・紀元前480年ごろの裸体のクーロス像など出土。大理石はパロス島（Πάρος;；Paros）産。デスポティコ島はエーゲ海のキュクラデス諸島にある無人島。[Heritage Daily]
メキシコ: カンペチェ州（Estado de Campeche）サンクベ（Cansacbé）で、古典期後期（Clásico Tardío；Late Classic）・600～900年の守護神ワイ（wahyis）を表す皿。
▶Descubren plato milenario con la representación de un wahyis o ser protector, en Cansacbé, Campeche[Instituto Nacional de Antropología e Historia]

2023年8月21日（月）

山形県: 東置賜郡川西町・中洗2遺跡（なかあらいにいせき）で、古墳時代の大型竪穴住居跡。公益財団法人山形県埋蔵文化財センターの調査。9/2現地説明会。
▶お知らせ:中洗2遺跡の発掘調査説明会（9月2日） [公益財団法人山形県埋蔵文化財センター]
愛知県: 岡崎市美術博物館で、壁面ガラスが破損。警察医被害届を提出。
▶美術博物館の壁面ガラスが破損被害に遭いました。[岡崎市]
鳥取県: 鳥取市、倉吉市、湯梨浜町、三朝町、大山町で、台風7号により19件の文化財や名勝、史跡に被害。8/17現在。[日本海新聞]
宮崎県: 宮崎市の発掘現場で4月に土砂が崩れ、作業中の職員が土砂に巻き込まれた事故を受けて、宮崎市は新たな基準を設けた。[NHK]
イラン: マーザンダラーン州（Ostān-e Māzandarān）ラムサール（Ramsar）のイズガム・ダシュト遺跡（Izgam Dasht）で中期青銅器時代～鉄器時代の墳墓17基。[Tehran Times]
イタリア: カンパーニャ州（Regione Campania）で打刻された紀元前5世紀末～紀元前3世紀初めの銀貨8枚をマクロX線蛍光分析（MA-XRF）。
▶ Jessica Brocchieri, Rosa Vitale, Carlo Sabbarese (2023) MA-XRF analysis of ancient silver coins minted in southern Italy. X-Ray Spectrometry. [Wiley Online Library]
イタリア: カンパーニャ州（Regione Campania）ナポリ県（Città metropolitana di Napoli）ノーラ（Nola）で中世・6～7世紀の工芸地域。[Il Roma]
バルト海: バルト海沿岸の中石器時代の銛28点と年代不明の銛144点の形態を分析。逆刺（かえし）によって年代・地理的なグルーピング。また銛のシルエットが機能や材料にかかわる大まかな分類得を可能に。
▶ Fredrik Lundström, Norman MacLeod, Sven Isaksson, Aikaterini Glykou (2023) The harpoon stands yonder: Shape variation and functional constraints in Mesolithic complex weapon points from the circum-Baltic Sea area. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104148. [ScienceDirect]
UK（イングランド）: ケンブリッジシャー州（the county of Cambridgeshire）キングス・ヘッジズ（King's Hedges）で、ローマ時代・2世紀中ごろ～4世紀後半の遺物に混じって首長竜プレシオサウルス（plesiosaur）の骨が出土。ローマ人が収集していた可能性。[Cambridgeshire Live]

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