考古学のおやつ/NEWSLINK

2023年8月20日（日）

イタリア: ポンペイ遺跡（Pompeii）にある邸宅チヴィタ・ジュリアーナ（Civita Giuliana）で、奴隷が用いたとみられるの寝室。劣悪な衛生状態だったが、拘束具などはない。[The Guardian]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ザーレ郡（Saalekreis）のランツベルク城（Burg Landsberg）で、カロリング朝末期～オットー朝・9～11世紀の要塞。ランツベルク城が築かれたとされる12世紀よりもさかのぼる。[Archaeologie Online]
UK（ウェールズ）: モンマスシャー州（Monmouthshire）チェプストウ（Chepstow）のワイ川（River Wye）で、ローマ時代の橋の跡。直立する木材を発見。[The Forester]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）ラウジー島（island of Rousay）のスワンドロ湾（Swandro Bay）で、ヴァイキングに破壊されたピクト人の円形住居や集落。[The Scotsman]
メキシコ: ゲレーロ州（Estado de Guerrero）でテプステコ文化（Tepuztecos）の長さ34mの城壁。城壁の充填材から人骨や獣骨、また、付近から3～4歳の小児墓。[Heritage Daily]

2023年8月19日（土）

神奈川県: 伊勢原市・上粕屋・和田内下遺跡で、縄文時代中期の縄文土器の内面に炭化した大量の球根が付着した状態で出土。多年草「ツルボ」の球根。球根を食料にするため土器で大量に煮ていたと推定。公益財団法人かながわ考古学財団の調査。[毎日新聞]
富山県: 氷見市で、中世の塚「一刎宮格内塚」を発見。[富山新聞]
トルコ: チョルム県（Çorum）のシャピヌワ遺跡（Şapinuva）の工房地区で、3500年前の土を掘って作った穀物倉庫。内部から坩堝、鋳型、金属器も出土。シャピヌワ遺跡は、ヒッタイトの都だったこともある都市。[Hürriyet Daily News]
トルコ: メルスィン県（Mersin il）アイドゥンジュク郡（Aydıncık）にある古代都市ケレンデリス（Κελενδερίς；Kelenderis）で、ヘレニズム時代・2300年前の頭3つを持つヘカテ女神（Ἑκάτη；Hecate）の像や、土器など出土。[Arkeonews]
▼ケレンデリス関連記事→2022年6月24日
ギリシャ: ペロポネソス半島の古代都市ヘリケ（Ἑλίκη；Helike）で、古代ギリシャのポセイドン神の神殿。従来から紀元前710年の建物、紀元前750年の祭壇が知られていたが、さらに紀元前850年ごろから祭祀に用いられていたことがわかる。銅製のイヌ像、土製の女性像、銅製のヘビの頭など出土。ヘリケは紀元前373/372年に地震で崩壊。[Greek Reporter]
ドイツ: ロッテンブルク・ジーベンリンデン遺跡（Rottenburg-Siebenlinden）で出土した前期中石器時代のチャート石材の熱処理。より広範な石材に熱処理が行われていたことが判明。
▶ Hannah Huber, Yvonne Tafelmaier, Claus-Joachim Kind & Patrick Schmidt (2023) Heat Treatment of Chert in the Early Mesolithic at Rottenburg-Siebenlinden (Southwest Germany). Lithic Technology. [Taylor & Francis Online]
バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）テュービンゲン郡（Landkreis Tübingen）ロッテンブルク・アム・ネッカー（Rottenburg am Neckar）
ドイツ: 北フリースラント（Nordfriesland；North Frisia）のワッデン海（Wattenmeer：Wadden Sea）で、1362年に水没した中世の交易拠点ルングホルト（Rungholt）の教会の基礎を発見。[TAZ]
スウェーデン: ストックホルムで1930年に発見されたリッダールホルメン船（Riddarholmen Ship）の構造について検討。16世紀前半のよろい張りの戦艦で、マスト3本を持つ。
▶ Niklas Eriksson (2023) Recent Advancements in the Riddarholmen Ship Puzzle: A New Interpretation of the Architecture of an Early 16th-century Clinker-Built Gun-Carrying Warship. International Journal of Nautical Archaeology. [Taylor & Francis Online]
UK（イングランド）: デヴォン州（county of Devon）のカソル・クリフ（Cathole Cliff）で、1990年に沈没船を調査。18世紀の貿易船「ドラゴン」（Dragon）とみられる。ロンドンとジャマイカを定期的に往来。記録によるとチャンバーズ家の子供たちが乗船しており、七年戦争のときに危機を避けてジャマイカからイングランドまで渡航していた。
▶Christine Milton, Bill Bunting & Mary Martell (2023) Cathole Cliff Shipwreck, South Devon, UK: The Possible 18th-Century Trade Vessel Dragon. International Journal of Nautical Archaeology. [Taylor & Francis Online]
ペルー: ラ・リベルター県（Región La Libertad；La Libertad region）のワカ・トマバル遺跡（huaca Tomabal）で、後期先土器時代・4500年前の彩色壁画。[Andina]

2023年8月18日（金）

北海道: 道央地方で出土した続縄文時代のガラスビーズ98点について、化学組成よりガラスの原料採取地や製作地の推定。アルミナソーダ石灰ガラス（Na2O-Al2O3-CaO-SiO2系）、ソーダ石灰ガラス（Na2O-CaO-SiO2系）、カリガラス（K2O-SiO2系）の3タイプに分類され、同時期の北海道道央地方と本州以南では同様の起源をもつガラスが流通。
▶ 今井藍子・柳瀬和也・馬場慎介・中井泉・中村和之・小川康和・越田賢一郎 (2017) 北海道道央地方で出土した続縄文時代ガラスビーズの考古化学的研究. X線分析の進歩、48 巻、pp.235-248. [J-STAGE]
長野県: 長野市・戸隠神社の奥社参道沿いに、院坊（小寺院）が広範囲に立ち並んでいたとみられる痕跡。[信濃毎日新聞]
愛知県: 額田郡幸田町・島原藩主深溝松平家墓所のうち、松平忠利が祀られている肖影堂の解体修理に関連して発掘調査。肖影堂創建よりも後に外周の基壇を拡張したと考えられる痕跡。また、忠利の墓壙の可能性の高い遺構を確認。幸田町の調査。8/17現地説明会。
▶史跡島原藩主深溝松平家墓所肖影堂発掘調査現地説明会 [幸田町]
京都府: 京都府出土の中世以降のガラスについてポータブル蛍光X線分析を用いて非破壊化学組成分析し、他地域の中世のガラスと比較。カリ鉛ガラス（K2O-PbO-SiO2）、カリ石灰ガラス（K2O-CaO-SiO2）、アルミナソーダ石灰ガラス（Na2O-Al2O3-CaO-SiO2）の3種を確認。アルミナソーダ石灰ガラスは古代からの伝世品である可能性。
▶ 馬場慎介・澤村大地・村串まどか・柳瀬和也・井上暁子・竜子正彦・山本雅和・中井泉 (2017) p-XRFを用いた京都府出土の中世ガラスの考古化学的研究、X線分析の進歩、48巻、pp. 284-307．[J-STAGE]
大阪府: 大阪府所蔵の美術作品が咲洲庁舎の地下駐車場に置かれている問題で、専門家らによる「アート作品活用・保全検討チーム」を8/18初会合。大阪府の上山特別顧問は売却なども含めて検討することを提案したが、ほかの委員は反対。[毎日新聞]
▽大阪府の特別顧問、美術品を処分って何さ▽そもそもこの人、なぜ「専門家らで作る『アート作品活用・保全検討チーム』」の一員なの？▽
中国: 天津市武清区河西務鎮の十四倉遺跡で、元時代の「漕倉」跡を確認。[中国新聞網]
イスラエル: カイザリア（Caesarea）の海岸で、ローマ時代の水道橋のアーチが崩壊。紀元前20年にヘロデ王が建設し、紀元後130年にローマ帝国のハドリアヌス帝が大規模に改修・増築。[The Jerusalem Post]
トルコ: チャナッカレ県（Çanakkale il）アイヴァジュク郡（Ayvacık）にある古代都市アッソス（Assos）で、アゴラの東側にあるローマ時代の泉ニンファエウム（Nymphaeum）で、紀元前3世紀の鉛製の計量用の重り。重さ320gあり、グリフォンの姿を描き、都市名アッソスを表す銘文「ASS」も。[Hürriyet Daily News]
キプロス: ラルナカ（Λάρνακα；Larnaca）のDromolaxia-Vyzakia遺跡で後期青銅器時代・紀元前14世紀の支配者の墓から多くの輸入品。エジプトの金や象牙、アフガニスタンやインド、シナイ半島の宝石（ラピスラズリ、紅玉髄、トルコ石）、バルト海の琥珀など。青銅器時代の交易拠点であったことを示す。[Greek City Times]
ロシア、トルコ、ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニア: コーカサス地方で出土したマイコープ文化（Maykop culture）の金属製大釜に遺存したたんぱく質を分析。饗宴の材料をシカ、ヒツジ、ヤギと乳製品と特定。放射性炭素年代で紀元前3520年～前3350年。[Interesting Engineering]
コソボ: 古代都市ウルピアナ（Ulpiana）で、6世紀のバシリカから古代の銘文。東ローマ帝国のユスティニアヌス帝とのかかわりを示す。[Balkan Insight]
スペイン: カンタブリア州（Cantabria）のラ・パシエガ洞窟（La Pasiega）にある旧石器時代の洞窟絵画について、ステレオ撮影により、従来は見えにくかった動物の絵を確認。従来部分的に見えていた意匠も再解釈が可能に。
▶ Raquel Asiain, Roberto Ontañon and Pedro Saura (2023) Animals hidden in plain sight: stereoscopic recording of Palaeolithic rock art at La Pasiega cave, Cantabria. Antiquity, First View, pp. 1 - 16. [Cambridge Core]
ペルー: ラ・リベルター県（Región La Libertad；La Libertad region）カサ・グランデ（Casa Grande）のチカマ渓谷（Chicama）にあるリカパ2遺跡（Licapa II）で、モチーカ文化の手工業職人の居住区と、儀式を行う人々の私的な空間とを分ける壁。[Andina]
▼リカパ2遺跡関連記事→2023年8月4日
ペルー: アマソナス県（Región Amazonas）チャチャポヤス郡（Provincia de Chachapoyas）チリキン地区（Chiliquín）のショイマル遺跡（Shoymal）で、4000年前～3800年前の神殿。[Andina]

2023年8月17日（木）

三重県・和歌山県: 和歌山県高野町・金剛峯寺で、台風7号の影響により、木が倒、塀が壊れる被害。和歌山市・旧柳川家住宅、新宮市・旧西村家住宅、広川町・濱口家住宅など国指定文化財5件でも被害。三重県では伊勢市・神宮祭主職舎本館で瓦が破損するなど8件の被害。[NHK]
兵庫県: 丹波市の古墳を調べている考古学研究家が、同市の市島地域の古墳分布調査報告書を自費出版。[丹波新聞]
鹿児島県: 種子島にある広田遺跡（ひろたいせき）で出土したヒトの頭蓋を分析。意図的な頭蓋骨変形の可能性。性別による違いは見られず。
▶種子島の広田遺跡における古代の人為的な頭蓋変形習慣を解明する画期的研究 [九州大学]
▶ Noriko Seguchi, James Frances Loftus III, Shiori Yonemoto, Mary-Margaret Murphy (2023) Investigating intentional cranial modification: A hybridized two-dimensional/three-dimensional study of the Hirota site, Tanegashima, Japan. PLOS ONE, 18(8): e0289219. [PLOS ONE]
沖縄県: 那覇市・首里高校の敷地内で、櫨園跡から運ばれてきた土に混じって、ヤコウガイの中から琉球王朝時代の炭化したウルシ属の種子。沖縄県教育委員会8/16発表。[琉球新報]
イスラエル: テル・シムロン（Tel Shimron）で、中期青銅器時代・3800年前の高さ5mの穹窿天井を持つ日干しレンガ造りの建物。[The Times of Israel]
イスラエル: テル・ラキシュ遺跡（Tel Lachish）の南側傾斜面で、ユダ王国・レハブアム王代・紀元前10世紀の城壁。テル・ラキシュ遺跡はユダ王国の有力都市。[国民日報]
▼テル・ラキシュ遺跡関連記事→2023年3月1日
ブルガリア: ペルペリコン遺跡（Перперикон；Perperikon）で、ローマ時代・2～3世紀の聖なる泉ニンファエウム（nymphaeum）。[Bulgaria Posts English]
UK: ロンドンの大英博物館（The British Museum）で、職員が収蔵品を盗むなどしていた。同館はこの職員を解雇。[NHK]
▶Press release: Announcement regarding missing, stolen and damaged items [The British Museum]
アイルランド: ウェックスフォード県（County Wexford）のジェームズタウン城（Johnstown Castle）で、850年前の秘密の部屋を発見。ゴシック・リバイバル様式の城。[RTÉ]
投槍器: 投槍器アトラトル（átlatl）の使用如何による効果を測るため、108人により2160回の射出実験。同じ飛び道具でも投げ槍とは異なり、アトラトルを用いると男性と女性の発射速度が同等になることを確認。投げ槍からアトラトルへの転換は、労働の分離よりも統一を示しており、アトラトルを副葬する女性墓と男性墓は同等に解釈できる。
▶ Michelle R. Bebber, Briggs Buchanan, Metin I. Eren, Robert S. Walker & Dexter Zirkle (2023) Atlatl use equalizes female and male projectile weapon velocity. Scientific Reports, volume 13, Article number: 13349. [Scientific Reports]

2023年8月16日（水）

滋賀県: 彦根市・彦根城（ひこねじょう）で、天秤櫓の漆喰壁の一部がはがれ落ち、瓦1枚が落下。台風7号の影響。[京都新聞]
京都市: 中京区・二条城（にじょうじょう）で、築地西塀重門の漆喰の一部が台風7号の影響ではがれる。右京区・木嶋神社でも倒木。[京都新聞]
大阪府: 大阪府所蔵の美術作品105点が地下駐車場に6年間も置かれていた問題に関連。大阪府には美術を専門とする学芸員が不在。[毎日新聞]
鳥取県: 大山町沖の日本海で、終戦直前に米軍機の銃撃で沈没した貨物船「第二伊勢丸」とみられる船体の撮影に成功。[BSS山陰放送]
高知県: 高知県内に残る戦争遺跡を3Dデータにして保存、公開する動き。[高知新聞]
戦争遺跡: 47都道府県のうち10道県（北海道、滋賀、和歌山、鳥取、島根、高知、福岡、長崎、宮崎、沖縄）が戦争遺跡について全容把握のための調査を独自に実施。[共同通信]
韓国: 済州市の旧市街で、耽羅国時代に築造された「七星台」と推定される遺跡。都城の中の7か所に北斗七星になぞらえて配置。[聯合ニュース]
中国: 山西省襄汾県・陶寺北墓地で、春秋時代の墳墓3基。うち1基（M3022号墓）の被葬者は生前に悪性腫瘍を患っていた可能性。[中国新聞網]
▼陶寺北墓地関連記事→2022年6月7日
インドネシア: アロール島（Alor Island）のマクパン洞窟遺跡（Gua Makpan；Makpan Cave）から、更新世終末期（Terminal Pleistocene）・12000年前の、オウムガイ（Nautilus pompilius）の殻で作ったビーズ。ティモール島やキサール島のビーズと技法が共通。海を渡った交流の証拠。
▶Sea sequin ‘bling’ links Indonesian islands’ ancient communities [Griffith University]
▶ Michelle C. Langley, Shimona Kealy, Mahirta and Sue O'Connor (2023) Sequins from the sea: Nautilus shell bead technology at Makpan, Alor Island, Indonesia. Antiquity, Volume 97, Issue 394, August 2023, pp. 810 - 828. [Cambridge Core]
イラン、イラク: ザグロス山脈にあるイランのバワ・ヤワン岩陰遺跡（Bawa Yawan）とイラクのシャニダール洞窟（Shanidar）で出土したヤギの草食動物のエナメル質の炭素と酸素の同位体を分析。中期旧石器時代のネアンデルタール人と後期旧石器時代のホモサピエンスとは、同じような環境下でヤギを狩猟しており、気候の変化による影響は見出されなかった。
▶ Michaela Ecker, Nemat Hariri, Saman Heydari-Guran, Elham Ghasidian, Noreen Tuross, Melinda Zeder, Cheryl A. Makarewicz (2023) Herbivore enamel carbon and oxygen isotopes demonstrate both Homo sapiens and Neanderthals exploited similar habitats in the Zagros Mountains. Journal of Quaternary Science. [Wiley Online Library]
トルコ: メルスィン県（Mersin il）シリフケ（Silifke）の古代都市オルバ（Olba）で、2世紀の女性像や、フリーズの破片。ヘレニズム時代のオルバ王国の中心地。[Hürriyet Daily News]
トルコ: ヴァン湖（Van Gölü；Lake Van）の湖底で古代の墓地や集落。[Arkeonews]
キプロス: Dromolaxia-Vyzakiaで後期青銅器時代・紀元前13～前12世紀の排水システム。[in-cyprus]
ギリシャ: テッサロニキ（Θεσσαλονίκη；Thessaloniki；Salonika）のインヴル・ピガディ遺跡（Ίμβρου Πηγάδι；Imvrou Pigadi）の中期新石器時代の土器工房について分析。製作の標準化・専門化を示しており、共同体との協力関係もうかがわれる。
▶ Evita Kalogiropoulou, Niki Saridaki, Dimitris Roussos & Nina Kyparissi-Apostolika (2023) Craftmanship, Operation, and the Configuration of Social Space: The Case of the Middle Neolithic Pottery Workshop Site of Imvrou Pigadi, Thessaly, Greece. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]
ポーランド: スタラ・ジェカ（Stara Rzeka）で、2000年前のゴート族（Goth）の墓50基。墓内に大量の宝飾品。[The First News]
エチオピア: ティグライ州（Tigrai）東部のグロ・マケダ（Gulo Makeda）にあるメズベル遺跡（Mezber）などの成果により、アクスム王国以前（Pre-Aksumite）・紀元前2千年紀中ごろ～前1千年紀後半の先住民の文化を解明。
▶ A. Catherine D’Andrea, Lynn Welton, Andrea Manzo, Helina S. Woldekiros, Steven A. Brandt, Alemseged Beldados, Elizabeth A. Peterson, Laurie A. Nixon-Darcus, Michela Gaudiello, Shannon R. Wood, Habtamu Mekonnen, Stephen Batiuk, Yemane Meresa, Abel Ruiz-Giralt, Carla Lancelotti, Abebe Mengistu Taffere & Lucas M. Johnson (2023) The Pre-Aksumite Period: indigenous origins and development in the Horn of Africa. Azania: Archaeological Research in Africa. [Taylor & Francis Online]
メキシコ: カンペチェ州（Estado de Campeche）にある古代マヤ都市エル・ティーグレ（El Tigre；イツァムカナク；Itzamkanac）で、後期古典期（Late Classic）・600～800年の生贄を葬った墓。土器に遺体を納め、翡翠の指輪を身につける。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。[Heritage Daily]
USA: ハワイ州（Hawaii）マウイ島（Maui）の山火事で、島の歴史の証人となる文化財の大半が被災。Lahaina Restoration Foundationが監督する14の博物館・遺跡のうち、4つの博物館が失われた。山でトンネルや灌漑システムを作るのに尽力した中国人移民の博物館や、地域で現存する最古の建物、旧ハワイ王国が合衆国に併合された時に撤去されたハワイ王国の国旗、伝統的な生活や、プランテーションでお労働を示す資料など。[Time]

2023年8月15日（火）

京都市: 北区・雲林院跡（うりんいんあと）で、平安時代の雲林院最盛期の遺構。正方位を向く溝があり、計画的な区画が存在。[京都市]
兵庫県: 小野市・河合廃寺で出土した鴟尾は県内最古の作例。7世紀中ごろ。[毎日新聞]
中国: 周口市（Zhoukou）淮陽区（Huaiyang）・平粮台古城（Pingliangtai）で、新石器時代・竜山文化・4000年前に土製の水道管や排水溝のシステムを家屋に沿って配置し雨水を管理。社会の階層化や中央集権の成立以前に複雑な工事。
▶China’s oldest water pipes were a communal effort [University College London]
▶ Chunxia Li, Yanpeng Cao, Chi Zhang, Ling Qin, Zhenhua Deng, Yan Chen, Shuzheng Zhu, Wei Li, Junping Yuan, Hai Zhang & Yijie Zhuang (2023) Earliest ceramic drainage system and the formation of hydro-sociality in monsoonal East Asia. Nature Water. [Nature Water]
中国: 杭州（Hangzhou）の六和塔（Liuhe Pagoda）に用いられた南宋時代・1152年の彫刻磚を分析。磚に白漆喰を塗り、さらに黒くコーティングしている。漆喰の主成分はCaCO3で、黒塗りには漆を含む。風化生成物を分析し、CaSO4 ・ 2H2Oを確認。水と水溶性の塩が六和塔の彫刻磚の風化の主たる要因。
▶ Xinxin Fang, Lina Xie, Bingjian Zhang, Jiajia Li, Weixiang Chen (2023) Investigation and Analysis of Ancient Brick Carvings of the Liuhe Pagoda in Hangzhou. Archaeometry. [Wiley Online Library]
オーストラリア: 南オーストラリア州（South Australia）のエンカウンター湾（Encounter Bay）で、同州最古の沈没船サウス・オールトレイリアン（The South Australian）を調査。1837年沈没。[Mirage News]
▶ James W. Hunter III, Kieran Hosty, Rick Bullers, Irini Malliaros, Adam Paterson, Chris Wilson, Tim Zapor, Katarina Jerbic & Wendy van Duivenvoorde (2023) Unearthing South Australia’s Oldest Known Shipwreck: The Bark South Australian (1837). Historical Archaeology, volume 57, pages95–125. [SpringerLink]
イスラエル: キルヤット・ガト（Kiryat Gat）のテル・エラニ遺跡（Tel Erani）で、前期青銅器時代・5500年前の都市の門。市壁は日干しレンガ造りであるが、門は石造り。[Haaretz]
▼テル・エラニ遺跡関連記事→2020年12月22日
トルコ: アイドゥン県（Aydın il）チネ郡（Çine）のテペジク遺跡（Tepecik Höyük；Tepecik Mound）で、後期青銅器時代・紀元前13世紀の宮殿または神殿跡。[Arkeonews]
トルコ: トルコ西部のディディマ（Δίδυμα；Didyma）近くにあるパノルモス墓地（Πάνορμος；Panormos）で出土したアルカイック時代の人骨遺体13人の歯のエナメル質について、炭素と酸素の同位体比を分析。従来知られていた以上に多様な食生活。パノルモス墓地の被葬者の一部は、子供時代にエーゲ海地域以外の場所、黒海や小アジア内陸部で過ごしたことがある。アルカイック時代の古代ギリシャ人の植民活動に関連か。
▶ David Meiggs, Anja Slawisch, Toby Wilkinson (2023) A preliminary assessment of ancient diet and mobility in Archaic period Asia minor: A view from Panormos, near Didyma. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104169. [ScienceDirect]
ロシア: タマン半島（Таманский полуостров；Taman Peninsula）の古代ギリシャ都市ファナゴリア（Φαναγόρεια；Фанагория；Phanagoria）で、第二神殿時代のシナゴーグの土台や壁。大理石製のメノラーや、礼拝用テーブル、大理石の石碑など。7世紀にフン族にファナゴリアが破壊されるまで建っていた。石碑の一つは5世紀のもので、ヘブライ語で「シナゴーグ」の銘文。西暦16年や51年の碑文も。[Heritage Daily]
▼ファナゴリア関連記事→2022年10月19日
ベルギー: 第二次世界大戦中の1944年12月16日～1945年1月25日のバルジの戦い（Battle of the Bulge）の古戦場をLiDARで調査。森林の中で940基の遺構を発見し、その多くを現地調査で確認。
▶ Birger Stichelbaut, Dries Coucke, David G. Passmore, Jonas Van de Winkel and Guy De Mulder (2023) LiDAR and conflict archaeology: the Battle of the Bulge (1944–1945). Antiquity, Volume 97, Issue 394, August 2023, pp. 945 - 963.[Cambridge Core]

2023年8月14日（月）

中国: 河南省安陽市・洹北商城で、商代晩期・殷墟期の大型の祭祀溝を初めて発見。[河南省人民政府]
中国: 陝西省・石峁遺跡（Shimao；竜山文化後期～青銅器時代前期）の中心地とみなされる皇城台（Huangchengtai）で出土した大量の土器を分析。大半の土器は巻き上げや型作りであるが、一部に、轆轤挽きの土器。しかし、同時期には近隣で轆轤技術は存在しない。また、石峁遺跡の轆轤成形土器は中原の竜山文化の土器を継承したものである。したがって石峁遺跡の轆轤技術は中原に由来する。
▶ Meng Guo, Zhouyong Sun, Jing Shao (2023) Use of the potter's wheel at Shimao, Shaanxi, China. Archaeological Research in Asia, Volume 36, December 2023, 100468. [ScienceDirect]
▼石峁遺跡関連記事→2023年1月12日
イラン: 北ホラーサーン州（Ostān-e Khorāsān-e Shomālī；North Khorasan province）のアトラク川上流域（Upper Atrak Valley）の岩絵は牧畜生活に関連している可能性。ゼイネカーンル（Zeynekānlu）の岩絵は後期銅石器時代・紀元前3500年ごろまたは初期青銅器時代・紀元前3000年ごろで、ヤギの狩猟場面を描く。マルドカーンル（Mardkānlu）岩陰遺跡とバーシュ・マハレ岩絵（Bāsh Mahalle）は後期鉄器時代・紀元前6～前2世紀で、単純な記号を描くが。古代末期～初期中世・3～8世紀に書き加えられた可能性。
▶ Ali A. Vahdati (2023) Newly found rock painting sites in the upper Atrak Valley, Northern Khorasan, North- eastern Iran. Archaeological Research in Asia, Volume 36, December 2023, 100469. [ScienceDirect]
イタリア: オスティア・アンティカ遺跡（Ostia Antica）で、新たに碑文史料ファステ・オステエンセス（Fasti Ostienses）の断片2片を発見。[Leggo]
▼オスティア・アンティカ遺跡関連記事→2023年6月26日
ドイツ: シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州（Land Schleswig-Holstein）ディトマールシェン郡（Kreis Dithmarschen）ハイデ（Heide）で、ローマ時代～民族移動時代・2000年前～1700年前の遺跡。[NDR]
UK（ウェールズ）: アングルシー島（Anglesey）で鉄器時代・紀元前60年～前20年に打刻されたギリシャのスタテル金貨15枚。コリエルターヴィ族（Corieltavi）が使用していたものと推定。[LiveScience]
サントメ・プリンシペ: ギアナ湾のサントメ（São Tomé）にある最も大きな製糖所プライア・メラン（Praia Melão）は、ポルトガルが奴隷を使役して16～19世紀に操業したプランテーション。考古学的調査が初めて実施された結果、建物は巨大で、奴隷を監視できるよう窓が機能的に配置されている。砂糖を作るための陶製の型が大量に発見され、蛍光X線分析によりポルトガルのアヴェイロ県（Aveiro）オヴァール（Ovar）で作られた型と判明。[Heritage Daily]
▶ M. Dores Cruz, Larissa Thomas and M. Nazaré Ceita (2023) Bitter legacy: archaeology of early sugar plantation and slavery in São Tomé. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core]
メキシコ: プエブラ州（Estado de Puebla）フアン・N・メンデス（Juan N. Méndez）で、オルメカ文明（Olmec）の祭祀場。ピラミッド跡と4面の長方形の球球戯場、高さ5ｍのマウンドなどが豪雨で露わに。[Heritage Daily]

2023年8月13日（日）

南九州: 南九州のシラス台地上の山城跡で見つかる竪穴土坑は、シラスの透水性を生かした雨水処理施設の可能性。[南日本新聞]
ポーランド: プウォンスク（Płońsk）で14世紀後半にさかのぼる石畳の広場や市庁舎跡。勅許が与えられて町が開かれたとされる1400年よりもさかのぼる。[Nauka w Polsce]
スペイン: バルセロナ（Barcelona）のエル・ボルン遺跡（El Born）のカーサ・リエラ（Casa Riera）で出土した中世・13世紀の動物遺体を分析。動物遺体は大半がウサギとイヌ科で、ウサギの骨の分析から、明らかに毛皮生産に供された。この地域は13世紀には市街地のすぐ外側にあり、重要な水路とつながっていた。史料では、当時のバルセロナ郊外で多数のなめし皮工場があるとされていた。
▶ Lluís Lloveras, Jordi Nadal, Vanesa Triay, Philip Banks, Andreu Falcó, Carme Miró, Santiago Riera (2023) The first archaeological and taphonomic evidence for rabbit Fur production in medieval Barcelona (Spain). Quaternary Science Advances. [ScienceDirect]

2023年8月12日（土）

福岡県: 沖ノ島付近の水深80mの海底で、日露戦争中の1904年に沈んだ陸軍御用船・常陸丸の船体を発見。[TBS]
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）プドゥコーッタイ県（Pudukkottai）のポルパナイコッタイ遺跡（Porpanaikottai）の北東部で、レンガ積みの水路。深さ57cm、長さ255cmを確認。直径230cmの半円形を描く。タミル・ナードゥ州考古学局（Tamil Nadu State Department of Archaeology）の調査。[DT Next]
▼ポルパナイコッタイ遺跡関連記事→2023年7月9日
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ブルゲンラント郡（Burgenlandkreis）ゴゼック（Goseck）で、中期新石器時代・刺突文土器文化（Stichbandkeramik-Kultur）・紀元前4900年～前4600/4550年の円形環濠複合体。多数のピットから獣骨や土器が発見され、遺跡が聖域であった可能性を示す。特にウシが多く見つかり、また竪穴から人骨も。また、冬至の日の出、日の入りの方角に通路を設ける。
▶ Norma Henkel (2023) Die mittelneolithische Kreisgrabenanlage von Goseck, Burgenlandkreis. Veröffentlichungen des Landesamtes für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhalt – Landesmuseum für Vorgeschichte, Band 88.
▶Opferstätte und astronomisches Observatorium [Archaeologie Online]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）マンスフェルト＝ズュートハルツ郡（Landkreis Mansfeld-Südharz）アルシュテット（Allstedt）のカルテンボルン修道院（Kloster Kaltenborn）で遺構を調査。12世紀前半にロマネスク様式で建てられ、その後ゴシック様式で増築。15～16世紀にかけて、修道院生活にそぐわない色とりどりのタイルが出土。修道院の規律が崩れ、宗教改革にも対抗できなかった。同修道院は1118年に創設され、1526年の農民戦争で破壊された。
▶Prachtvolle Romanik und Bauernkriegsfuror im untergegangenen Kloster Kaltenborn bei Allstedt [Archaeologie Online]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ジーゲン＝ヴィトゲンシュタイン郡（Kreis Siegen-Wittgenstein）ジーゲン（Siegen）のオーバーシェルデン地区（Oberschelden）で、中世のものとみられる竪穴式の木炭窯の跡。
▶Der Mensch braucht Energie - heute wie gestern [Archaeologie Online]
チュニジア: カルタゴ遺跡のトフェ・ド・サランボー（Tophet de Salammbô）で、カルタゴ・紀元前3世紀の金貨5枚。タニト神やバアル神に奉納されたと推定。[La Presse de Tunisie]

2023年8月11日（金）

群馬県: 嬬恋村・鎌原遺跡（かんばらいせき）で、延命寺跡（えんめいじあと）の寺屋敷の境目と考えられる2m以上の段差。1873年の浅間山大噴火で大半が埋没。嬬恋村教育委員会の調査。[読売新聞]
兵庫県: 南あわじ市・門崎砲台（とざきほうだい）で、穹窖砲台。大砲を守るドーム形の構造物をもち、国内最大級。門崎砲台は1899年設置。南あわじ市教育委員会8/11発表。 [朝日新聞]
▶門崎砲台現地説明会を開催します [南あわじ市]
イスラエル: アラバハ渓谷（Wadi Arabah）にあるナハル・アムラム遺跡（Nahal ‘Amram）のナバテア（Nabataea）の銅採掘遺跡で出土した、採掘用の鉄製ピックについて、化学的、同位体、製作技法を分析。
▶ Ivan Stepanov, Uzi Avner, Michael Brauns, Nicole Lockhoff, Adi Eliyahu-Behar (2023) Nabataean iron picks for copper mining from Nahal ‘Amram, Israel; Chemical, isotopic and production technology analysis. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104166. [ScienceDirect]
トルコ: ハタイ県（Hatay il）のアトチャナ遺跡（Aççana Höyüğü；Tell Atchana）の墳墓から、3800年前のアッカド語の楔形文字を刻んだ粘土板。アトチャナ遺跡は中期青銅器時代～後期青銅器時代のムキシュ王国（Mukish）の首都アララハ（alalakh）に当たる。[Anadolu Ajansı]
ギリシャ: ペロポネソス半島南部のミストラス（Μυστρᾶς；Mystras）の宮殿から出土した13世紀半ば～19世紀の不透明/半透明のガラス9試料を分析。原材料と製作工程にばらつき。遺物の年代はミストラス専制公領（Δεσποτάτο του Μυστρά；Despotate of Mystras）の中心地としてミストラスが建設された以降の期間に当たる。この時期の不透明ガラスはギリシャではまれで、対象遺物の多くがE棟から出土していることから、宮殿の行為の人物が使用していたと推定。
▶ Eleni Palamara et al. (2023) Fragments of luxury: Opaque glass from the Palace of Mystras, Greece. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104145. [ScienceDirect]
アルバニア: オフリド湖（Liqeni i Ohrit；Lake Ohrid）で新石器時代・紀元前6000年～前5800年の集落発見。人口200～500人程度。逆茂木で防衛。ヨーロッパ最古の杭上住居の存在を示す。地中海やアルプスで知られておるものより数百年古い。[Euronews]
イタリア: サルデーニャ島（Sardegna；Sardinia）のジェンニ（Gannì）で、銅石器時代・紀元前3千年紀の墓3基に埋葬された人骨10体について、同位体分析。δ15Nのグループ内での偏差が西地中海で最も大きい。特に動物性たんぱく質の摂取に大きな差。別々の墓に葬られた2つのグループ間に身分の差があった。
▶ Luca Lai, Emanuele Pittoni, Ethan Goddard, David Hollander, Luca Medda, Giuseppa Tanda, Maria Rosaria Manunza (2023) An isotopic investigation on diet and inequality: The human remains from Gannì (Sardinia, 3rd millennium BC). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 51, October 2023, 104143. [ScienceDirect]
リトアニア: ケルナヴェ（Kernavė）の19世紀のクリヴェイキシュキス荘（Kriveikiškis）跡から、13～14世紀の銀の棒イルガシス（Ilgasis；複数形はイルギエイilgieji）4本の埋納。16世紀まで通貨として用いられた。ケルナヴェは中世にリトアニア大公国の首都だった。[LRT]
▼ヴィリニュス郡（Vilniaus apskritis；Vilnius County）シルヴィントス地区自治体（Širvintos）
ポーランド: ヴロツワフ（Wrocław）の旧市街で、14世紀のシナゴーグのレンガ積みの壁。中央ヨーロッパで最大級の規模。ピャスト朝の宮殿の一部に再利用されていた。[The First News]
カナダ: アルバータ州（Alberta）で出土した更新世後期と完新世前期の黒曜石を携帯型蛍光X線分析装置（pXRF）で分析し、産地を推定。オレゴン、アイダホ、アラスカとの関係を示す。アルバータ州には黒曜石の露頭がないが、アルバータ州を通る北アメリカの無氷回廊（Ice-Free Corridor）の南北端は黒曜石の露頭に近く、無氷回廊を通じたヒトの拡散の手がかりになる。
▶ Todd J. Kristensen, Timothy E. Allan, John W. Ives, Robin Woywitka, Gabriel Yanicki & Jeffrey T. Rasic (2023) Late Pleistocene and Early Holocene Obsidian in Alberta and Human Dispersal into North America’s Ice-Free Corridor. PaleoAmerica. [Taylor & Francis Online]
USA: シンシナティ（Cincinnati）上空で1500年前に爆発した彗星がホープウェル文化（Hopewell culture）の崩壊を招いたという説に対し、科学者らが反論。タンカーズリー教授の説で例示された11遺跡のいずれも、住居の焼けた兆候なし。隕石はさまざまな時点で持ち込まれたとみられ、遺跡の放射性炭素年代にもばらつき。意図的にデータを操作した可能性すら指摘。[Phys.Org]
▶ Kevin C. Nolan, Andrew Weiland, Bradley T. Lepper, Jennifer Aultman, Laura R. Murphy, Bret J. Ruby, Kevin Schwarz, Matthew Davidson, DeeAnne Wymer, Timothy D. Everhart, Anthony M. Krus & Timothy J. McCoy (2023) Refuting the sensational claim of a Hopewell-ending cosmic airburst. Scientific Reports, volume 13, Article number: 12910. [Scientific Reports]
▼彗星によるホープウェル文化の崩壊関連記事→2022年2月2日

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