え に っ 記 

orthopedics

2007年3月にめでたく無事初期研修が終了。私の前の学年から、研修制度はスーパーローテーションと いう形になり、内科・外科・小児科・産婦人科・麻酔科・精神科・地域医療+選択科の研修後に 3年目からそれぞれの科に進むようになりました。実質的には2年目に進む科を選択科として 1年半目ごろから専門に入る人も結構いますが、卒業時に進む科を決める必要はなくなりました。

何人かの先輩達が言うには「どの科がおいしいとかは時代で変わるし、どの科も極めれば深くて面白い。 結局のところ、自分が何が好きか、生活も含めてどんな風にやって行きたいかで決めた方が良い」

私は大学での内科、外科、麻酔・救急科の研修を終えた1年目終了の時点でも、まだ科が 決まらない状態で、2年目は比較的選択科の設定が自由にできる外病院に赴任。

どの科もそれぞれ面白い。なかでも骨と免疫が好きなので、膠原病リウマチ内科が面白いなーと思いつつ、 保存療法も外科療法も、病気も怪我もの整形外科も魅力的。

そして振り返ると進路を暗示する数々のエピソードが。

医学部1年生。しょっぱなから ウシガエルの骨にはまっています。持ち帰って子どもにウシガエルの股関節や膝の関節を見せてます。 そして秋、大学祭の解剖展で初めて人骨に触れている所。→
海洋実習でサメやエイなどの、 骨格が軟骨である生き物というグループの存在に気付いてチェックしています。その年の終わり初めて読んだ 英語の論文、図書室でフィーリングで適当に選んだのは 軟骨を制御する遺伝子の話。 本当に面白くて夢中になりました。そして春休み、 湿布療法の国ごとの違いを嬉々として調べています。

2年生。息子の単純性膝関節炎 に遭遇し、あたふた。脳の中の松果体から出る メラトニンというホルモンに注目。松果体はもともと光を感じる器官なので、不足すると 日内リズムが狂うのはともかく、背中の骨がよじれるのが不思議。

3年生。専門科に上がった最初の実習 骨学にかなり惚れてる様子。 家での話題に骨ネタ が増えたのはもちろん、昼休みに一人実習室に侵入して骨の絵を描いたりしています。 ターミネーターの手の骨格 を思い出したりしてますが、あれはかかとの骨を機械に置き換えたデザインも面白かった!
ふとしたことから 精巣を持ち上げる筋肉について考察

そして、初めて本格的に細胞レベルの骨代謝に触れた 難治疾患研修所の実習→。骨ってこんなにも複雑な仕組みで日々変動しているのかと 驚きでいっぱいでした。それに進化の秘密に迫るようなところが多々あるのがとても楽しい。


秋の解剖展では 骨の展示・説明係をするまでに成長(!?)
そして 銭湯では人の体の形の面白さにあらためて感心。


4年生。息子の初めての将棋大会の時、 暇つぶしに会場のロビーで読んでいたのはブルーバックスの「関節はふしぎ」ほんとに面白い本でした。→
選択実習では、人工関節と骨の再生、生体材料などの研究をしている 生体材料工学研究所 へ。ここで"硬いもん好き"と認定されました。また、病棟実習が始まり初めて「治った」 患者さんを診たのが印象深かった、 整形外科 。授業での 人工関節の手術にも興味津々、ついでにシャーロックホームズに絡めた話題も。冬休みにはハリーポッター の映画に出てくる 骨の再生治療に注目。これは今も良く思い出す憧れの技です。春休みにはスポーツクラブで発見の連続。 映画ではバレエ・ダンサー の体と動きに大注目。

5年生。今度は生の舞台で 男性バレエ・ダンサ−の筋骨格と運動能力に感心しきり。

6年生。院外実習で行った Jリーガー御用達の病院での整形外科実習とても楽しかったです。内分泌内科ではカルシウム代謝 異常の患者さんを担当させてもらい大変勉強になりました。

研修医1年目。はじめに回った膠原病リウマチ内科が非常に興味深く、ここで決まりかなーと思い 始めた頃。内科にしては珍しく、皮膚に潰瘍等が出来る人の処置に回ることが多かったのですが 指導医の先生の「先生(私)は、本当〜に傷(の治療)が好きねえ〜」という言葉を、(そうなんだよ なぁ〜)と後々常に反芻することに。 また呼吸器内科の研修中、私の担当患者さんは整形外科から来たり併診する人がたまたま 固まりました。腕が痛くてたまらない、という初発症状で発覚した肺癌数名。異常なしと言われて いた腰痛で、ある日突然下肢麻痺になった肺癌の脊髄転移。ひどい脊椎側湾症で肺が変形している人。 肺癌が頚髄に転移して徐々に麻痺が足から腕に向かってあがってきている人。広がった癌で腕の血管が つまって腕が腫れ上がってしまった人。同期の人たちに「また整外なの?」とよく言われたものです。
血管外科の研修では、足などが痛い原因が、骨でも神経でもなく血流である場合もいかに多いかを たくさん経験できました。そういう着眼点で診察すること、検査をすること、切断する前にできること・・ あまり学生の頃なじみのなかった科だけに貴重な機会でした。

研修医2年目。「とりあえず4月から4ヶ月整形外科やって、それからその後の選択科組めば?」と 笑顔で奨めてもらって始まった研修。すごく多彩な疾患を担当している先生の元での内科2ヶ月も 面白かったのですが、もうはじめの4ヶ月でほとんど決まってしまいましたね。結局更に整形外科 研修を3ヶ月追加。救急車の受け入れも多い活発な病院で、雰囲気も良く、恵まれたいい出会いで あったと思います。

というわけで、Orthopedics -整形外科- にようやく決定。初期研修卒業となりました。



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