考古学のおやつ/NEWSLINK

2022年7月10日（日）

UK（イングランド）: ロンドン（London）で発見されたブルームバーグ木簡（Bloomberg Tablet）は、ローマ時代・50～80年の木簡405枚で、うち88枚が判読可能。木片に塗った蜜蝋に文字を彫りこむ。契約や金融・借金などの記述。62年10月22日の契約書では、ウェルラリウム（Verularium）、現在のセント・オールバンズ（St. Albans）からロンドンまで荷物20個を輸送するというものであるが、イケニ族（Iceni）の女王ブーディカ（Boudicca）がケルト人を率いて反乱を起こした時期に当たり、乱に関するタキトゥス（Tacitus）の記述を裏付け。[Ancient Origins]
UK（イングランド）: ブリストル（Bristol）のベドミンスター（Bedminster）で、19世紀の金属生産会社Bedminster Smelting Worksの跡。Wessex Archaeologyの調査。[Bristol Live]
リビア: リビアの古代遺産が、政治的な不安定や紛争のため危機に。国連教育科学文化機関（ユネスコ）は2016年に5つの世界遺産を危機遺産リストに入れる。[Al-Monitor]

2022年7月9日（土）

茨城県: 笠間市の旧日本海軍の航空隊の跡地で、新たに地下室の一部を発見。[NHK]
▼筑波海軍航空隊関連記事→2020年1月14日
石川県: 小松市・八日市地方遺跡（ようかいちじかたいせき）で、環濠から弥生時代中期の石製指輪（小型環状石製品）。緑色凝灰岩製。小松市埋蔵文化財センター7/8発表。7/10現地説明会。[北國新聞]
八日市地方遺跡発掘調査現地説明会のご案内[小松市埋蔵文化財センター]
兵庫県: 揖保郡太子町・吉福西遺跡で、平安時代の掘立柱建物と、土器を用いた祭の跡。鎌倉時代以降の畑跡。太子町教育委員会の調査。7/3地元説明会。[太子町]
徳島県: 藍住町・勝瑞城館跡（しょうずいじょうかんあと）の大規模庭園跡は、出土土器の年代から15世紀～16世紀半ば。細川氏の守護館と判明。藍住町教育委員会の調査。[徳島新聞]
韓国: 忠清北道清州で、忠清北道議会と忠清北道庁の新庁舎敷地内から、高麗時代、朝鮮時代、日帝強占期の建物跡などの遺構。[聯合ニュース]
パレスチナ（ガザ地区）: ガザ地区（Gaza）ジャバリア（Jabaliya）の難民キャンプで、ローマ時代・2000年前の墓地。100基近く。[Al-Monitor]
エジプト: ワルシャワ大学（Uniwersytet Warszawski）が所蔵しポーランド国立美術館（Muzeum Narodowe w Warszawie；National Museum in Warsaw）に貸し出されている古代エジプトの女性ミイラで、顔の骨が大きく欠損しているのは、鼻咽頭癌（nasopharyngeal cancer）の痕跡である可能性。このミイラは1826年または1827年にヤン・ヴェンジク＝ルズキ（Jan Wężyk-Rudzki）がポーランドに持ちこんだ。近年の研究で女性であることがわかり、2021年には、この女性が妊娠していることもわかっている。[Nauka w Polsce]

2022年7月8日（金）

千葉県: 市原市・稲荷第1号墳の出土品を持ちだしていた男性が、1年後に出土品を古墳を引き渡すことに。市原市が男性を訴えていた訴訟で和解。遺物の返還によって報告書の作成が可能となり、市原市は有銘鉄剣「王賜銘鉄剣」の重要文化財指定を目指す。男性は調査団のメンバーとして稲荷台1号墳の発掘調査を担当し、その後、市原市文化財センターの嘱託職員として在籍していた1990年、市原市の許可を得ず出土品を運び出した。2019年に強制執行で差し押さえたが、須恵器など4点が見つからず、2020年に提訴していた。[毎日新聞]
▽チバニアンの地層に関連して地質学者同士のもめごとに巻き込まれたのも市原市でしたね。お疲れ様です。
奈良県: 奈良市・西大寺（さいだいじ）の食堂院（じきどういん）ある井戸から8世紀末のモモの核が大量に出土。一部の者は側面に穴。[朝日新聞]
広島市: 中区・旧陸軍輸送部隊「中国軍管区輜重兵補充隊（輜重隊）」施設の被爆遺構の保存が不十分だったとして、日本考古学協会が広島市に、文化財保護体制の充実や被爆遺構の保存・継承を求める要望書。[中国新聞]
中国: 湖南省耒陽市・禁山墓群で、後漢～唐の墳墓14基。 [中国社会科学院考古研究所]
イスラエル: シャアル・ハゴラン（Sha’ar HaGolan）で、ヤルムーク文化（Yarmukian culture）・8000年前の地母神像。[The Jerusalem Post]
トルコ: アダナ県（Adana il）タシュキョプリュ（Taşköprü）のテペバー遺跡（Tepebağ）で、3800年前の円筒印章出土。ヒッタイト資料に言う「Uru Adaniya」と同一の場所とみられる遺跡。[Arkeonews]
ベラルーシ: フロドナ州（Гродна；Grodno）Kaczyczeにある、第二次世界大戦中のポーランド人兵士の墓が、最近1週間以内に破壊された。ポーランド外務省はベラルーシを非難。ここでは1945年1月にソ連内務人民委員部НКВД（NKVD）との戦闘で、抵抗組織ポーランド国内軍（Armia Krajowa；Home Army）の兵士89人が殺害された。[The First News /a>]
スペイン: アタプエルカ山脈（Sierra de Atapuerca）にあるシマ・デル・エレファンテ遺跡（Sima del Elefante）で140万年前の人類の顎の骨。ヨーロッパ最古の人類。[El Español]
▼シマ・デル・エレファンテ遺跡関連記事→2021年7月26日

2022年7月7日（木）

山形県: 南陽市・長岡南森遺跡（ながおかみなみもりいせき）は、祭祀の場所を兼ね備えた集落遺跡の可能性。古墳の盛土の形跡はみつからず。東北地方最大級の前方後円墳の可能性を視野に調べてきた。南陽市教育委員会7/6発表。[毎日新聞]
▼長岡南森遺跡関連記事→2021年7月15日
高知県: 香南市・北地遺跡（きたじいせき）で、弥生時代中期・2200年前の土偶。目の下に入れ墨などを表現。香南市教育委員会の調査。[高知さんさんテレビ]
▼北地遺跡関連記事→2003年9月25日
韓国: ソウル市松坡区・夢村土城で、集水池から三国時代の高句麗のものと見られる木製犂（すき；唐鋤）。集水池の自然科学的年代は469～541年で、犂以外の出土遺物から見ても高句麗が構築・使用した集水池。漢城百済博物館の調査。[聯合ニュース]
ベトナム: ドンタップ省（Dong Thap）のハウ川（Hau River）で、ドンソン文化（Dong Son）・2300年前～2000年前の銅鼓の鼓面。ヘーガーI式（Heger I）。[Vietnam News Agency]
イラン: ザグロス衝上断層（Zagros Thrust）のバフティヤーリー高地（Bakhtiari）にあるMiankouhに中期旧石器時代の遺跡。西南アジアでもっとも標高の高い位置にある中期旧石器時代の遺跡。標高の異なる地点を季節ごとに移動していた可能性。
cf. Mohsen Bahraminia, Kamal Aldin Niknami, Alireza Khosrowzadeh, Andreas Nymark (2022) High altitude Middle Palaeolithic open-air locales of the Miankouh, Thrust Zagros Mountains, Iran. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103537. [ScienceDirect]
イラン: アフヴァーズ（Ahvaz）で、パルティア朝（Parthian）巨大な甕棺墓。ミトラ教（Mithraism）に基づく埋葬か。[Tehran Times]
ドイツ: シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州（Land Schleswig-Holstein）リューベク（Lübeck）で、2000前の集落跡。建物跡や炉跡を確認。[Die Zeit]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ソーヌ＝エ＝ロワール県（Saône-et-Loire）オータン（Autun）にあるサン・ピエール・レウトリエ墓地（Saint-Pierre-l’Estrier）の47号墓で、4世紀の金の糸で織った布が鉛棺を覆っていた。繊維の芯に金の細帯を巻き付けて作ったが、繊維は腐り、金だけが遺存。
Dévoilement au public du tissu d’or antique mis au jour lors de la fouille de Saint-Pierre-l’Estrier à Autun (Saône-et-Loire)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
ノルウェー: ネットオークションで購入した宝飾品のコレクションの中に、後期鉄器時代の末＝ヴァイキング時代の金の指輪。[Bergensavisen]

2022年7月6日（水）

京都府: 亀岡市・法貴北古墳群で、横穴式石室を埋葬施設に持つ円墳2基、木棺墓1基などを確認。古墳2基は古墳時代後期・6世紀後半に築造され、うち1基は飛鳥時代中ごろ・7世紀まで追葬。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センターの調査。7/9現地説明会。
法貴北古墳群現地説明会[公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター]
兵庫県: 加西市・姫路海軍航空隊鶉野飛行場周辺に建設された防空壕が、市道建設のため解体されることに。加西市の方針。[神戸新聞]
山口県: 山口市・周防鋳銭司跡（すおうのじゅぜんじあと：第4次調査）で、2018年に出土した金属片は、平安時代の貨幣「饒益神宝」（じょうえきしんぽう）の鋳損じ銭。鋳張りが残っており、鋳損じ銭と断定。「饒益神宝」の鋳損じ銭は初。山口大学と山口市7/6発表。[共同通信]
「饒益神宝」は859年～870年に鋳造。すでに判明していた「承和昌宝」（835年初鋳）、「長年大宝う」（848年初鋳）に加え、周防鋳銭司跡で最長35年間銭貨が生産されていたと判明。
史跡周防鋳銭司跡における新たな銭種「饒益神宝」の発見について [山口市]
▼周防鋳銭司跡関連記事→2022年2月10日
イスラエル: ガリラヤ（Galilee）のフコック（Huqoq）にあるシナゴーグで、4世紀後半～5世紀前半のモザイク床。聖書の『士師記』（Book of Judges）第4章を表す。登場する女性、デボラ（Deborah）とヤエル（Jael）の描写を初めて確認。マムルーク朝（Mamluk）・14世紀にシナゴーグは再建・拡張されるが、近隣に預言者ハバクク（Habakkuk）の墓があるという伝承のため、ユダヤの巡礼の中心地の一つとなったことに関連するとみられる。初めて発見されたマムルーク朝時代のシナゴーグ。
Excavations by UNC-Chapel Hill archaeologist reveal first known depictions of two biblical heroines, episode in ancient Jewish art[University of North Carolina at Chapel Hill]
メキシコ: パレンケ遺跡（Palenque）のエル・パラシオ（El Palacio）の建物Dで、屋根が本来赤く塗られていたことが判明。酸化鉄とそのほかの鉱物を混ぜた顔料が漆喰層の中に残っていた。[Heritage Daily]
▼チアパス州（Estado de Chiapas）
▼パレンケ遺跡関連記事→2022年6月1日

2022年7月5日（火）

中国: 焦家遺跡（Jiaojia）と金寨遺跡（Jinzhai）で出土した、新石器時代・大汶口文化（Dawenkou）・紀元前4300年～前2400年の白陶（white pottery）について、希土類元素、ストロンチウム、鉛の同位体により、出自を検討。焦家遺跡の白陶は地元の材料を用いて在地生産されているが、金寨遺跡の白陶の場合は複数の出自があり、在地生産ではない。金寨遺跡の白陶のうち1例は、300km離れた焦家遺跡の白陶の特徴に合致。長距離交易の存在を示す。
cf. Xiaotong Wu, Fengshou Ji, Xiaolei Zhang, Fen Wang, Fanzhen Feng, Qingyu Lu, Shijie Zhao, Yunyi Zhang, Chen Wang, Fang Huang, Xingxiang Zhang (2022) Geochemical evidence reveals a long-distance trade of white pottery in Neolithic China 5,000 years ago. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103533. [ScienceDirect]
▼焦家遺跡は山東省済南市
▼金寨遺跡は安徽省宿州市
中国: 山西省運城市絳県横水鎮横北村・横水西周墓地で、西周時代の諸侯「倗」（Peng）国の中級貴族の墓M2055号墓。被葬者は男性で35～40歳。腰坑にイヌ1頭を殉葬。墓内に殉葬者2名。出土した青銅礼器には銘文あり。うち、短剣には「楚公逆□□中戈」の銘文。「楚公逆」はこの短剣の作者で、晋侯墓地M64号墓で出土した楚公逆編鍾や、嘉魚県で出土した楚公逆鍾の作者と同一人物と推定。横水西周墓地のM2158号墓は「倗」国の君主「倗伯」の墓と推定される。楚公逆短剣を出土したM2055号墓は、これよりは小規模でありながら腰坑や殉葬者をもつので、中級貴族の墓とみられる。[中国新聞網]
カンボジア: プレアヴィヒア州（Preah Vihear Province）のコ・ケー遺跡（Koh Ker）で、タ・メン寺院（Ta Men temple）の中央の塔の南側扉に、994年に書かれた古代クメール文字を発見。[Khmer Times]
パプアニューギニア: 高地にあるNombe岩陰遺跡で出土した炭化したサツマイモ（sweet potato；Ipomoea batatas）のマイクロCTスキャン分析とAMS年代。年代は300年前～148年前で、ヨーロッパ人の到来以後。
cf. ALEESE BARRON, MARY-JANE MOUNTAIN, TIM DENHAM (2022) MicroCT scanning and direct AMS dating of charred sweet potato (Ipomoea batatas ) fragments from Nombe rockshelter in the highlands of Papua New Guinea. Archaeology in Oceania. [Wiley Online Library]
イラン: チャムシル・ダム水没地区にある、サーサーン朝やイスラーム時代の遺跡の70%が、地域の農業活動により、毀損されている。[Tehran Times]
カザフスタン: 紀元前11世紀～紀元後4世紀のいずれかの時期の、遊牧民の女性戦士の墓。弓、鏃、短剣、金箔ガラス玉などを副葬。墳丘は直径22～25mで、被葬者は小集団の指導者とみられる。[Qazaq TV]
ロシア: オネガ湖（Онежское озеро；Lake Onega）のユジュニ・オレニ島（Южный Олений остров；Yuzhniy Oleniy Ostrov）で1930年代に出土した、後期中石器時代（Late Mesolithic）・8200年前の骨製垂飾のアミノ酸を分析。分析した37試料のうち12試料までが人骨。動物の歯や骨だけでなく、人骨も加工し垂飾として利用しており、使い方は人骨もほかの動物の骨・歯も同様。摩耗が激しく、食人に関連したカットマークは発見されず。
[Helsingin Yliopisto]
cf. Mannermaa Kristiina, Malyutina Anna, Zubova Alisa, Gerasimov Dmitriy (2022) First evidence of human bone pendants from Late Mesolithic Northeast Europe. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 43, June 2022, 103488. [ScienceDirect]
▼カレリア共和国（Республика Карелия；Republic of Karelia）
▼ユジュニ・オレニ島関連記事→2022年1月28日
ベラルーシ: ミクリシュキ（Мікулішкі；Mikuliszki）で、第二次世界大戦中に抵抗組織ポーランド国内軍（Armia Krajowa；Home Army）の司令部があった場所が破壊され更地に。説明板も取り外される。ポーランド外務省がベラルーシ当局に説明求める。[The First News]
UK（イングランド）: ヨークシャー・デイルズ（Yorkshire Dales）の西端のウェストモーランド・デイルズ（Westmorland Dales）を、ドローンによるLiDAR調査。知られていなかったヘンジ、先史時代の集落、中世の農場を確認。[The Yorkshire Post]
UK（ウェールズ）: グウィネズ州（Gwynedd）のクリクキエス（Criccieth）で、先史時代の石棺墓。石皿や、加工されたチャートも出土。Gwynedd Archaeological Planning Serviceの調査。[Nation.Cymru]

2022年7月4日（月）

長崎県: 五島市に、「阿古木隠れキリシタンの里　浜辺の資料館」が開館。潜伏キリシタン信仰の歴史を後世に伝えようと、元長崎市職員が私費を投じて建設した。[長崎新聞]
トルコ: イズミル県（İzmir il）ボルノヴァ郡（Bornova）のイェシロヴァ遺跡（Yeşilova）とヤステペ遺跡（Yassıtepe）で、8200年前の骨製の針。[Daily Sabah]
▼イェシロヴァ遺跡関連記事→2022年6月16日
ベラルーシ: ヴィーツェプスク州（Віцебск；Vitebsk）Dubrovskyで、第二次世界大戦当時、ベラルーシ解放のため従軍したカザフ人兵士の墓所は18基を確認。[Qazaq TV]
マダガスカル: 北部のラシカジ文化（Rasikajy）・8～15世紀の轆轤引きされた石製三足容器の岩石学的分析。
cf. Christoph Nitsche, Guido Schreurs & Vincent Serneels (2022) The Enigmatic Softstone Vessels of Northern Madagascar: Petrological Investigations of a Medieval Quarry. Journal of Field Archaeology. [Taylor & Francis Online]

2022年7月3日（日）

イラン: ギーラーン州（Ostān-e Gīlān）にある古代都市マースーレ（Masuleh）で、金属を溶解した工房。[Tehran Times]
イスラエル: テル・イェフド（Tel Yehud）の墓地から出土した後期青銅器時代（Late Bronze Age）IIA期・紀元前14世紀の土器について残存有機物を分析。オピオイド（opioid）と、その分解による生成物を検出。アヘン（opium）の取引と使用の証拠。また、アヘンの貯蔵に用いられたのはベース・リング・ジャグレット（Base-Ring juglet）に限らず、貯蔵甕や水差しで希釈されていた。アヘンの利用が大規模であったことを示す。
cf. Vanessa Linares, Eriola Jakoel, Ron Be’eri, Oded Lipschits, Ronny Neumann, Yuval Gadot (2022) Opium Trade and Use During the Late Bronze Age: Organic Residue Analysis of Ceramic Vessels from the Burials of Tel Yehud, Israel. Archaeometry. [Wiley Online Library]
ウクライナ: リヴィウ州（Львівська область；Львів；Lviv region）ヴェリカ・ディブロヴァ（Велика Діброва；Velyka Dibrova）で、プシェヴォルスク文化（Kultura Przeworska；Przeworsk Culture）・1800年前の墓。破壊した武器を副葬。プシェヴォルスク文化は2300年前からポーランドに登場し、1世紀ごろに西ウクライナに及ぶ。ケルト文化の影響で、意図的に壊された武器を副葬する。プシェヴォルスク文化は、ゲルマン人のルギイ族（Lugii）またはヴァンダル族（Vandal）のものとみられている。[Haaretz]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Nordrhein-Westfalen）アーヘン郡（Aachen）エシュヴァイラー（Eschweiler）で、青銅器時代末の建物跡と鉄器時代初めの建物跡。[Aachener Nachrichten]
ヨーロッパ: 後期更新世（Late Pleistocene）と前期完新世（early Holocene）に、ヒトの上腕骨の頑丈さが非対称でなくなっていくのは、弓矢の使用によって左の上腕骨が頑丈になったためである可能性。これを検証するため現代の男性の射手の筋肉を調査。後期旧石器時代と新石器時代の丸木弓のレプリカを右利きの射手が引き絞った時の筋肉の活性化を表面筋電図法で計測。
cf. Vladimír Sládek, Martin Hora, Dominik Véle, Thomas Rocek (2022) Bow and muscles: Observed muscle activity in archers and potential implications for habitual activity reconstruction. Journal of Archaeological Science, Volume 144, August 2022, 105638. [ScienceDirect]
研究職のパワハラ: 仙台市にある大学の工学研究科で特任助教だった人物は、専門に近い経済研究科の研究職の公募に応募したが、工学研究科長の要望で同科採用に変更。与えられた仕事は、プロジェクトの運営管理という事務作業で、研究時間が作れず、嫌がらせのような対応を受けた。大学のハラスメント対策委員会に被害を申し立てたが進展のないまま任期満了退職。[河北新報]

2022年7月2日（土）

トルコ: ヴァン県（Van il）ギュルプナール郡（Gürpınar）Örmeliにあるカラ山（Kara Dağ、黒い山）の標高3300mで、ウラルトゥの砦を発見。道路跡、城壁、貯水池を確認。後の時代にも再利用された痕跡。[Arkeonews]
トルクメニスタン: ムルガプ（Murghab）のオジャクリ遺跡（Ojakly）で、後期青銅器時代・紀元前1900年～前1000年のキャンプ・サイトから出土した動物相を分析。ヒツジ/ヤギの専業的な牧畜で、肉と骨髄の消費を重視。ウシの消費は不規則で、しかも、食用ではない。
cf. Lynne M. Rouse, Helina S. Woldekiros, Barbara Cerasetti (2022) Faunal remains from Ojakly, a Late Bronze Age mobile pastoralist campsite in the Murghab region, Turkmenistan. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 44, August 2022, 103531. [ScienceDirect]
スロバキア: スヴォディーン遺跡（Svodín）の、後期新石器時代（Neolithic）・レンジェル文化（Lengyel culture）・紀元前4900年～前4700年に埋葬された50代以上の女性人骨に、さまざまな治癒段階にある複数の外傷。負傷するような状況に繰り返し置かれていたか、あるいは虐待されていた。社会的に弱い立場に置かれていた可能性があり、斜頭症（plagiocephaly）の外見と関連していたか。
cf. Zuzana Hukeľová (2022) Were some individuals more vulnerable than others in the late Neolithic society? Osteobiography of an elderly female sustaining multiple fractures. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library]

2022年7月1日（金）

北海道: 奥尻町・宮津遺跡（みやづいせき）、青苗砂丘遺跡（あおなえさきゅういせき）と、出土したオホーツク土器を調査。独特の装飾技法が、十和田式に始まり、沈線文土器や貼付文土器の段階まで継続。青苗砂丘遺跡が季節的なキャンプではなく、永続的な集落であることを示す。拠点の形成はオホーツク土器の出現期である鈴谷式にさかのぼる。青苗のオホーツク人は道北だけでなく道東とも交流。
cf. 種石悠 (2022) 奥尻島のオホーツク文化. 北海道立北方民族博物館研究紀要31巻, pp. 43-58. [J-STAGE]
長野県: 松本市・松本城三の丸跡（土居尻15次発掘調査）で、江戸時代中期の中級武士の武家屋敷跡から、半地下の蔵跡や、金箔を施した酒器の破片。松本市教育委員会の調査。7/3現地説明会。[信濃毎日新聞]
土居尻15次発掘調査。
松本城三の丸跡で、発掘調査の現地説明会を開催します！[松本市]
▼松本城三の丸跡関連記事→2020年2月22日
大分県: 玖珠郡玖珠町・伐株山城跡（きりかぶやまじょうあと）で、新たに虎口や畝状竪堀群を発見。玖珠町の調査。7/23現地説明会。
伐株山城跡の現地説明会を開催します[玖珠町]
▼（2022年7月22日補足）新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえ、延期。
中国: 湖北省にある、楚の都城「郢」に当たる紀南城で、戦国早期の城壁。初築年代の手がかり。[湖北日報]
カンボジア: バタンバン州（Battambang） Sangkae県のバセット寺院（Baset temple）付近で、アンコール朝以前・8～9世紀のクメール人（Khmer）の平民の土壙墓群。当時の生活の手がかり。バセット寺院は11世紀にアンコール朝のスーリヤヴァルマン1世（Soryavarman I）の治世に建立された。[Khmer Times]
太平洋: 太平洋地域の古代と現代の300人のゲノムを分析。3000年間に少なくとも5つのグループが行きかう。一つの島に定着すると、女性はとどまって女系の系譜を維持し、男性は遠方から渡来する。
Female lineages anchored Pacific islands for 2000 years[Science]
ウズベキスタン: サマルカンド（Samarkand）のカフィル・カラ（Kafir Kala）墓地で、15世紀の女性の墓。カザフスタンでは農地開発のため遺跡が破壊される例が多い。[Nillei Asia]
ロシア: ロシア国内での古生物研究は、外国研究者との協力によって行われてきたが、ロシアのがウクライナに侵攻して以来、外国の研究者との連絡が困難に。また、DNAやアミノ酸の分析は西欧や北米の研究機関に委託してきたが、それも困難に。
Russia’s war in Ukraine is disrupting studies of ancient life[Nature]
スロバキア: トルナヴァ県（Trnavský kraj；Trnava region）スカリツァ郡（Okres Skalica）で、前期青銅器時代（Early Bronze Age）の扇形銅斧。いわゆるサクソン・タイプ（Saxon-type axe）の銅斧として最古の例。[The Slovak Spectator]
ドイツ: ヘッセン州（Land Hessen）マイン＝タウヌス郡（Main-Taunus-Kreis）ホーホハイム（Hochheim）で、新石器時代・ミヒェルスブルク文化（Michelsberger Kultur）・紀元前4400年～前3500年の集落と女性人骨出土。[Frankfurter Neue Presse]
UK（イングランド）: ノーフォーク州（Norfolk）ノリッチ（Norwich）で、ローマ時代・紀元前1世紀末～紀元後1年初めの硬貨11枚。発見地はイケニ族（Iceni）の領域。ローマが紀元後43年に侵入する数十年前にもたらされ、埋納。[BBC]

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