考古学のおやつ/NEWSLINK

2022年9月20日（火）

千葉市: 若葉区の加曽利貝塚縄文遺跡公園の隣接地で、想定を超える広い範囲から縄文土器や竪穴住居跡など。予定していた新たな博物館の開館が1年遅れの2028年に。[千葉テレビ]
滋賀県: 彦根市・彦根城（ひこねじょう）で、天守のしっくいの一部が台風14号による強風の影響ではがれる。馬屋の木製門扉は一部破損。[共同通信]
香川県: 土庄町・小豆島西端の小瀬石丁場近くの海岸で、大坂城の石垣に使う石を運び出したとみられる突堤の跡。[毎日新聞]
中国: 江蘇省蘇州市呉中区郭巷街道・塘北遺跡で、新石器時代・崧沢文化晩期、良渚文化、馬橋文化、春秋時代、漢、明・清の6時期にわたる大規模遺跡。[人民網]
イラン: エスファハーン（Eşfahān；Isfahan）のナクシェ・ジャハーン広場（Naghsh-e Jahan）にあるアーリーガープー宮殿（Ali Qapu）で、サファヴィー朝シャー・アッバース1世（Shah Abbas I）当時の壁画の青い顔料を分析。天然のウルトラマリンブルー顔料を使用。下塗りにはハンタイト（Huntite）を使用。テンペラなどの技法も用いられていた。
cf. Alireza Koochakzaei, Yaser Hamzavi, Munir al-Sadat Sultanzadeh Mousavi (2022) Characterization of the mural blue paintings in ornamental motif of Ali Qapu palace in Isfahan, Iran, using spectroscopic and microscopic methods (a case study). Journal of Archaeological Science: Reports,Volume 45, October 2022, 103632. [ScienceDirect]
イスラエル: テル・イェフド（Tel Yehud）で2017年に出土した後期青銅器時代・紀元前14世紀の土器22点の中の遺存物を分析し、うち8点でアヘンの成分を検出。アヘンは特別の土器に入れてキプロスから輸入されたと考えられており、キプロスとレヴァントの間の麻薬貿易の証拠。[Haaretz]
cf. Vanessa Linares, Eriola Jakoel, Ron Be’eri, Oded Lipschits, Ronny Neumann, Yuval Gadot (2022) Opium Trade and Use During the Late Bronze Age: Organic Residue Analysis of Ceramic Vessels from the Burials of Tel Yehud, Israel. Archaeometry. [Wiley Online Library]
▼テル・イェフド関連記事→2022年7月3日
トルコ: エスキシェヒル県（Eskişehir il）セイイットガズィ郡（Seyitgazi）イェニケント村（Yenikent）のキュリュボア・ヒュユク遺跡（Küllüoba Höyük）で、前期青銅器時代・4500年前の土器の中から鎮痛剤の成分。 [Arkeonews]
エジプト: サッカラ（Saqqara）で、ウナス王（King Unas）のピラミッド近くから、第19王朝・紀元前13室の墓室。ラメセス2世（Ramses II）の時代の高官プタハエムウイア（Ptah-em-uya）のために作られた、花崗岩製の石棺を納める。盗掘時に蓋が破壊され、ミイラ化の時に作られた樹脂のみが残る。[Heritage Daily]

2022年9月19日（月）

滋賀県: 彦根市・彦根城（ひこねじょう）で、馬屋の門扉が強風の影響により倒れる。門扉の片側がちょうつがいから外れ、一部にひびが入っている。国の重要文化財。[京都新聞]
広島県: 呉市・旧澤原家住宅で、台風14号の接近に伴う風雨により、敷地を囲む板塀の一部が倒れるなどの被害。[中国新聞]
熊本県: 人吉市・人吉城跡（ひとよしじょうあと）で見つかった地下室は、ユダヤ教の沐浴施設ミクヴェの可能性。[朝日新聞]
▼人吉城跡関連記事→2019年12月2日
宮崎県: 都城市・都城島津家住宅御門が台風14号の影響で倒壊。国の登録有形文化財。[朝日新聞]
インド: タミル・ナードゥ州（Tamil Nadu）シヴァガンガイ県（Sivaganga district）キーラディー（Keeladi；Keezhadi）で、象牙製の管玉。[DT Next]
カザフスタン: カラガンダ州（Қарағанды；Karagandy）で、サカ族（Saka；塞人）の時代・紀元前7～前5世紀の墳墓とメンヒル。女性人骨と銅鏡が出土。[Qazaq TV]
ギリシャ: ピリッポイ（Φἱλιπποι；Philippi）で、ローマ時代・2世紀のヘラクレス（Ηρακλής；Hercules）像。[Greek City Times]
クロアチア: イストラ郡（Istarska županija：Istria）バルバリガ（Barbariga）沖のアドリア海で、ローマ時代・1世紀の桟橋。[Heritage Daily]
▼イストラ郡（Istarska županija：Istria）ヴォドニャン市（Vodnjan）ペロイ村（Peroj）バルバリガ（Barbariga）
スイス: ツーク（Zug）のリートマット（Riedmatt）で見つかった新石器時代の杭上住居遺跡（pile-dwelling site）で得られた水漬け遺物について、植物考古学的分析と同位体分析。遺跡の最初期には油脂植物（oil plant）が重要な位置を占めるが、数十年で裸性コムギ（naked wheat）、オオムギ（barley）、マメ（pea）にとってかわられる。最終段階では湿度が減少。
cf. Bigna L. Steiner, Héctor Martínez-Grau, Stefano M. Bernasconi, Eda Gross, Irka Hajdas, Stefanie Jacomet, Madalina Jaggi, Gishan F. Schaeren, Ferran Antolín (2022) Archaeobotanical and isotopic analyses of waterlogged remains from the Neolithic pile-dwelling site of Zug-Riedmatt (Switzerland): Resilience strategies of a plant economy in a changing local environment. PLOS ONE, 17(9): e0274361. [PLOS ONE]
スイス: ツーク州（Kanton Zug；Canton de Zoug）バール（Baar）で、後期新石器時代・4500年前の石蓋土坑墓。30～50歳の男性人骨が、手足を曲げて横向きに、顔を南に向けて安置。[RJB]
ポーランド: シュチェチン潟湖（Zalew Szczeciński；Szczecin Lagoon）のラグーンで、第二次世界大戦当時の米軍の爆撃機B-17G フライングフォートレス（B-17 Flying Fortress）の残骸。1944年10月7日に撃墜された機体。[The First News]
UK（スコットランド）: ケイスネス市（Caithness）プラスムター（Thrumster）にあるSwartigill遺跡で鉄器時代・2000年前のガラス玉。黄色い渦巻文を持つ。「Guido Class 13 Northern Spiral」と呼ばれる紀元前200年～紀元後200年にみられる型式で、パレスチナのガラスを再利用したとみられ、ローマ帝国とのつながりを示唆。[John O'Groat Journal and Caithness Courier]

2022年9月18日（日）

韓国: 烏山市・独山城・洗馬台跡で、山の頂上部に並ぶ朝鮮時代の石築遺構。頂上部の崩壊を防ぐために築かれたものか。[中島日報]
中国: 山西省呂梁市興県・碧村遺跡で、竜山時代晩期・4200年前～3800年前の外城門に防御的な性格。[新華社]
イスラエル: パルマヒム（Palmachim）で、後期青銅器時代IIB期・紀元前13世紀・地下の埋葬室。出エジプト記に登場するエジプト第19王朝・ラメセス2世（Ramses II）の治世に当たる。[The Times of Israel]
トルコ: キュタヒヤ県（Kütahya il）の古代都市アイザノイ遺跡（Αιζανοι；Aizanoi）を流れるコジャチャイ川（Kocaçay；ペンカラス川）で、ローマ時代の大理石製の日時計。当時、日時計は人々が集まる公共の空間に置かれていた。[Turkey Posts English]
ギリシャ: エーゲ海のイオス島（Ίος：Ios Island）の海岸で、津波の堆積層2面を確認。新しい方は紀元前1831年～前1381年（cal. BCE）に当たり、サントリーニ島（Σαντορίνη；Santorini）のミノス文明・紀元前1600年ごろの噴出物を含む。サントリーニ島以北のキクラデス諸島で、この時期の津波を示す最初の証拠。もう一つは新石器時代のCape Rivaの噴火に関連しているが、標高13mの位置に確認され、Cape Ravaの噴火の規模に関するサントリーニ島以外で初めての手掛かり。
cf. Raphaël Paris, Alessandra Smedile, Simon Falvard, Jean-Luc Devidal, Krzysztof Suchorski (2022) A Minoan and a Neolithic tsunami recorded in coastal sediments of Ios Island, Aegean Sea, Greece. Marine Geology. [ScienceDirect]
イタリア: ポンツァ（Ponza）沖のティレニア海で、ローマ時代・紀元前2世紀～前1世紀の海底遺跡。[Heritage Daily]

2022年9月17日（土）

青森県: 青森市・三内丸山遺跡（さんないまるやまいせき）で、縄文時代の竪穴建物跡3基や貯蔵穴の一部を新たに発見。[東奥日報]
長野県: 佐久市・香坂山遺跡（こうさかやまいせき）の調査で、旧石器時代の石材採取地付近に石刃製作のための1次加工所の痕跡見つからず。石材採取地から制作場所まで500mの距離、重い石材を運んでいた可能性。[信濃毎日新聞]
▼香坂山遺跡関連記事→2021年12月7日
熊本市: 中央区・熊本城跡の千葉城地区で、明治時代の石積み。古墳時代の刀など。熊本市熊本城調査研究センター9/17発表。[熊本日日新聞]
トルコ: ヴァン県（Van ili）エルジシュ郡（Erciş）ユカン・イシュクル（Yukarı Işıklı）にあるゼルナキ・テペ（Zernaki Tepe）で、2.5km×1.5kmの碁盤目状の都市計画と、パルティア時代のアラム語の銘文4つ。[Arkeonews]
スウェーデン: ロンネビュー（Ronneby）沖海底のグリブスフンデン号（Gribshunden）で大砲、銃、操舵装置など出土。船体構造をデジタル復元。1495年に沈没したデンマーク＝ノルウェー船。
▶Cutting edge science reveals Gribshunden’s shipwrecked secrets [Lunds Universitet]
▼グリブスフンデン号関連記事→2021年6月26日

2022年9月16日（金）

長野県: 富士見町・曽利遺跡（そりいせき）で、縄文時代中期中葉・5000年前の装飾付きの深鉢。井戸尻考古館の調査。9/25現地説明会。[長野日報]
▼長野県諏訪郡富士見町
▼曽利遺跡関連記事→2021年6月20日
奈良県: 川西町・島の山古墳（しまのやまこふん）の墳丘をめぐる濠の中に、出島状の施設。花園大学の水中音波探査。[朝日新聞]
▼島の山古墳関連記事→2008年3月7日
福岡県: 桂川町・天神山古墳で墓道と石室を確認。石室は横穴式石室とみられ、未盗掘の可能性高い。墓道には1回以上の追葬の痕跡。墓道の入り口近くに破砕供献の跡。古墳時代後期・6世紀中～後期の前方後円墳、全長68m。桂川町教育委員会9/15発表。9/18現地説明会。[朝日新聞]
▼福岡県嘉穂郡桂川町
▼天神山古墳関連記事→2020年9月19日
中国: 河南省・鄭州商城遺跡で、商（殷）時代中期の高位の貴族墓。[新浪網]
M2号墳から金のマスク。[環球網]
中国: 河南省偃師市・二里頭遺跡で、道路とその両側の塀が発見され、碁盤目状の街区が明らかになるとともに、赤漆の付着した土器が多数出土し、漆づくり工房の存在を示す。[中国網]
インド: マハーラーシュトラ州（Maharashtra）コンカン（Konkan）のコロシ村（Koloshi）の洞窟で石器時代のロックアートと石器。[Saudi Gazette]
パレスチナ（ガザ地区）: ガザ地区で、ビザンティン時代のモザイク床。ハマス政権の遺跡保護への無関心や、イスラエルとガザ地区の戦闘などで、遺跡は危機に。[Australian Broadcasting Corporation]
イスラエル: ベイト・グブリン（Beit Guvrin）で1991年に発見され、シナゴーグとみなされていた遺構は、ローマ時代の神殿と判明。むしろ132年にバル・コクバ（Bar Kokhba；Bar Kochba）の乱が起こった時、防衛のためローマ人が建設。この遺跡で、シナゴーグと誤認されていた建物は2棟目。[ARTNews]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ザーレ郡（Saalekreis）バート・デュレンベルク（Bad Dürrenberg）で、1934年に発見された中石器時代・9000年前の女性シャーマンの墓から、死後600年くらいで設けられた、奉納品を入れた穴。シカの骨で作ったマスク2面を収める。8350年前ごろの気温低下による危機に、過去のシャーマンに助けを求めたか。[Die Zeit]
フランス: グラン・テスト地域圏（Grand Est）ムルト＝エ＝モゼル県（Meurthe-et-Moselle）のコン・ラ・グランヴィル城（château de Cons-la-Grandville）で、教区墓地から、ナポレオン1世の時代の親衛隊の太尉ジャン＝ジャック・ゼンツ（Jean-Jacques Zentz；1787～1876）の墓を確認。負傷の痕跡も一致。
▶Sur les traces du capitaine Zentz, vétéran de la Garde impériale [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
エジプト: エスナ（Esna）の神殿で、イスラーム時代のファーティマ朝やマムルーク朝の硬貨や鋳型、分銅。近隣に造幣所や計量所があった可能性。アルメニアやオスマン朝の硬貨も含む[Heritage Daily]
▼エスナの神殿関連記事→2020年11月13日
マラウィ: カシトゥ川流域（Kasitu Valley）の洞窟3か所で発見されたガラスビーズ29個を分析。1個を除き、19世紀中ごろのヨーロッパ製。1点だけ15～17世紀の南アジアのガラスがあり、また、同地域の別の遺跡からは1341年～1150年のインド洋のタカラガイが出土したところから見て、ヨーロッパとのガラスビーズの交易は、沿岸部と内陸部を結ぶ先住民以来の貿易ルートを利用して行われた。
▶Beads show European trade in African interior used Indigenous routes [Yale University]
cf. Laure Dussubieux, Menno Welling, Potiphar Kaliba & Jessica C. Thompson (2022) European Trade in Malawi: The Glass Bead Evidence. African Archaeological Review. [SpringerLink]
カナダ: アルバータ州（Alberta）のクラニー防御性集落（Cluny Fortified Village）で、淡水産の貝製を用いた先史時代のビーズ1600個。穿孔の時、工具を手に持つ場合と軸に固定する場合で孔の仕上がりが異なるが、出土したビーズの多くでは、軸に固定したドリルを使用。また、遺跡の分析から、ビーズの製作場所、未完成品の保管場所、完成品の保管場所を認識。
cf. Margaret Patton & Shalcey Dowkes (2022) Local freshwater shell bead production at Cluny Fortified Village (EePf-1), south-central Alberta. Plains Anthropologist. [Taylor & Francis Online]
ペルー: アレキパ県（Departamento de Arequipa）のラ・レアル遺跡（La Real）で、ラクダやコンドルの骨で作られた、中期ホライゾン（Middle Horizon）前半・600～850年のの骨製の管楽器（気鳴楽器；aerophones）40点。製作工程を復元し、共同体のすべてのメンバーが製作や演奏にかかわったと推定。中期ホライゾン後半・850～1000年にはワリ（Wari）の拡大とともに、これらの楽器の使用は終了。
cf. Aleksa K. Alaica, Luis Manuel González La Rosa, Willy Yépez Álvarez, Justin Jennings (2022) The day the music died: Making and playing bone wind instruments at La Real in Middle Horizon, Peru (600–1000 CE). Journal of Anthropological Archaeology. Volume 68, December 2022, 101459. [ScienceDirect]

2022年9月15日（木）

青森県: 弘前市・清水森西遺跡（しみずもりにしいせき）で、弥生時代中期初頭の竪穴住居跡4棟など。弘前大学北日本考古学研究センターの調査。[東奥日報]
▼清水森西遺跡関連記事→2018年9月19日
群馬県: 吾妻郡東吾妻町・天竜遺跡（てんりゅういせき）で、奈良時代～平安時代の竪穴建物10棟。奈良時代・8世紀前半の5号竪穴建物から、銅鋺出土。公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団の調査。
▶天竜（てんりゅう）遺跡[公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団]
群馬県: 吾妻郡東吾妻町・小田沢遺跡（おだざわいせき）の5区で、奈良時代・平安時代の竪穴建物。平安時代の19号竪穴建物から墨書土器。「大田部」と記す。6区で古墳時代～平安時代の竪穴建物や土坑。古墳時代の30号竪穴建物では埋没土層中に6世紀初頭の榛名山噴火に伴う火山灰（Hr-FA）。301号土坑では鉄製品とともに「佛」と墨書された土器。公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団の調査。
▶小田沢（おだざわ）遺跡 [公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団]
▼小田沢遺跡関連記事→2022年8月22日
横浜市: 栄区・上郷深田遺跡（かみごうふかだいせき）は、神奈川県内唯一の古代製鉄遺跡であるが、1986～1987年の発掘調査以来、概報を作成しただけで、発掘調査報告書を作成せず、出土品整理作業も行われていない。[東京新聞]
新潟県: 上越市・蓮花寺五輪塔群（れんげじごりんとうぐん）・立場遺跡（たてばいせき）で、中世の墓跡。上越市の調査。9/23現地見学会。
▶蓮花寺五輪塔群（れんげじごりんとうぐん）・立場遺跡（たてばいせき）の現地見学会を開催します[上越市]
石川県: 金沢市・観法寺墳墓群で、弥生時代後期～終末期の墳丘墓と、弥生時代後期の円筒土坑や竪穴建物。公益財団法人石川県埋蔵文化財センターの調査。9/23現地説明会。
▶金沢市観法寺墳墓群の現地説明会を開催します [公益財団法人石川県埋蔵文化財センター]
福井県: 坂井市・舟寄遺跡（ふなよせいせき）で、縄文時代中期・4500年前の集落跡。長崎遺跡で、室町時代中期の集落跡。河川につながる深い溝。陶磁器・漆器・石製品が豊富に出土。福井県埋蔵文化財調査センターの調査。9/23現地説明会。
▶舟寄遺跡・長崎遺跡・沖布目北遺跡の発掘調査の現地等説明会を開催します[福井県埋蔵文化財調査センター]
▼舟寄遺跡関連記事→2006年3月10日
▼長崎遺跡関連記事→2020年11月24日
京都府: 木津川市・塚穴古墳で、横穴式石室の位置を特定。6世紀後半の方墳、20m。同志社大学考古学研究室の調査。[京都新聞]
沖縄県: 琉球列島では、島どうしが100km離れているところもあり、行き先が視認できず、さらに海流も強いにもかかわらず、旧石器時代・35000年前～30000年前の遺跡が存在。移動経路や、想定される船舶、移動に成功するための準備や戦略を、さまざまな研究分野の上方から推定。
cf. Yousuke Kaifu （海部陽介） (2022) A synthetic model of Palaeolithic seafaring in the Ryukyu Islands, southwestern Japan. World Archaeology. [Taylor & Francis Online]
トルコ: テキルダー県（Tekirdağ il）マルマラエレーリシ（Marmara Ereğlisi）にある古代都市ペリントス（Πέρινθος；Perinthos）で、トラキア最大の劇場跡。130m×90m。[Hürriyet Daily News]
トルコ: イスタンブル（İstanbul）のクチュクチェキメジェ（Küçükçekmece）にある古代都市バトネア（Βαθονεία；Bathonea）で、ローマ時代後期・1600年前の文房具セット。ミニチュア容器、骨製ペン、インク壺からなり、商品の所有物と思われる。赤と黒のインクの痕跡あり。557年の地震の痕跡も確認。[Anadolu Ajansı]
ギリシャ: レスボス島（Λέσβος；Lesvos）のアイイ・テオドリ城（Άγιοι Θεόδωροι；Agioi Theodoroi）＝現地名オブリオカストロ（Οβριόκαστρο；Ovriokastro）で、ビザンティン時代の門の土台近くから、長さ3.5mの大理石の楣（リンテル）。ジェノバのガッティルシオ家（Gattilusio）の紋章とビザンティン帝国のパレオロゴス朝（Παλαιολόγος；Palaiologos）の紋章を刻む。レスボス島の支配権がパレオロゴス朝からガッティルシオ家に引き継がれたことを示す。[Greek City Times]
USA: ワシントン州（State of Washington）のフォート・ヴァンクーヴァー（Fort Vancouver）で、1840年代のカトリックの遺物。[Detroit Catholic]
メキシコ: メキシコで、マヤ鉄道（Tren Maya；Mayan Train）の建設により、セノーテに水没したマヤの考古資料が危機に瀕する可能性。[AP]
ペルー: カハマルカ県（Departamento de Cajamarca）のサンタ・アポロニア（Santa Apolonia）の丘で、スペイン人到来以前の嬰児の人骨2体。[Andina]
訃報: 平良敏子さん死去。101歳。沖縄の伝統工芸品、芭蕉布の人間国宝。沖縄戦で壊滅の危機にあった芭蕉布の復興に力を尽くした。[沖縄タイムス]

2022年9月14日（水）

静岡県: 湖西市・湖西窯跡群から見つかった須恵器に関する意見交換会が行われた。愛知県豊橋市にまたがる窯跡群を同じ窯跡群として総称すことに異論は出ず。また、釉薬の使用をめぐって論議。[中日新聞]
▽一連の窯跡群ととらえるのはよいとして、律令の制定以降にも操業した窯なので、国をまたがることで、工人（住民）の管理や、税制上の立場がどうなるのかが気になります。
香川県: 丸亀市・快天山古墳（かいてんやまこふん）で、石棺を再発掘。粘土槨に納められた石棺は内部が赤色に塗られていた。4世紀中ごろの前方後円墳、100m。丸亀市の調査。10/1現地説明会。[NHK]
▼快天山古墳関連記事→2022年2月17日
トルコ: エスキシェヒル県（Eskişehir il）のカラジャヒサル城（Karacahisar Kalesi）で、オスマン帝国（Ottoman Empire）の第2代スルタン・オルハン（Orhan）の時に打刻された硬貨。[Anadolu Ajansı]
イタリア: シチリア島（Sicilia；Sicily）アグリジェント（Agrigento）で出土した後期アルカイック～クラシック時代・紀元前6～前4世紀のギリシャ式アンフォラ21点について岩石学的分析を行い、原料粘土を比較。すべて在地産。
cf. G. Montana, L. Randazzo, M. Gasparo Morticelli, V. Baldoni, B. Bechtold (2022) The production of western Greek amphorae in Agrigento (Southern Sicily): An archaeometric and archaeological characterisation of the late 6th-4th centuries BCE series. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 45, October 2022, 103627. [ScienceDirect]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ヴィーデンブリュック（Wiedenbrück）で、13世紀の道路、建物、井戸などの都市遺構。[Archäologie in Deutschland]
フランス: ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）モルビアン県（Morbihan）サンタヴェ（Saint-Avé）にあるクロゼ遺跡（Kerozer）で、青銅器時代の集落と青銅器工房。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[Ouest-France]
UK（イングランド）: ウォリックシャー州（Warwickshire）のエイヴォン川流域（Avon Valley）の初期中世の焼けた骨のうち、ビッドフォード＝オン＝エイヴォン（Bidford-on-Avon）では人骨と獣骨が混在し、ウェッスパートン（Wasperton）とアルヴェストン・マナー（Alveston Manor）では獣骨を交えないことが動物考古学で知られていたが、新たに3遺跡44埋葬から92試料を組織学的に分析し、仮説を検証。獣骨の有無は、遺跡ごとの動物利用の違いを反映。
cf. Katherine Mc Cullough French, Christian Crowder, Pam Jean Crabtree (2022) Integrating histology in the analysis of multispecies cremations: a case study from early medieval England. International Journal of Osteoarchaeology [Wiley Online Library]
UK（スコットランド）: アバディーンシャー州（Aberdeenshire）のボルブライディ遺跡（Balbridie）の新石器時代・紀元前4000年～前3400年のロングハウスから出土した穀物種子について、炭素と窒素の安定同位体分析。ボルブライディ遺跡では肥料を用いていなかったとこが判明。ブリテン諸島の別の遺跡やヨーロッパ大陸では肥料を使用。北西ヨーロッパの新石器時代の農耕は多様。[Heritage Daily]
cf. Rosie R. Bishop, Darren R. Gröcke, Ian Ralston, David Clarke, Daniel H.J. Lee, Alexandra Shepherd, Antonia S. Thomas, Peter A. Rowley-Conwy and Mike J. Church (2022) Scotland's first farmers: new insights into early farming practices in North-west Europe. Antiquity, First View, pp. 1 - 18. [Cambridge Core]
ペルー: ラ・リベルター県（Región La Libertad；La Libertad region）アスコペ郡（Ascope）カサ・グランデ（Casa Grande）のチカマ渓谷（Chicama）にあるリカパ2遺跡（Licapa II）で、モチーカ文化（cultura Mochica；Mochica culture）の土器と金工の専門工人の工房。[Andina]

2022年9月13日（火）

北海道: 根室市・根室国後間海底電信線陸揚施設（陸揚庫）で、門の扉止めにあたる「戸当たり石」2点など。根室市の調査。[北海道新聞]
▼陸揚庫関連記事→2021年10月9日
北朝鮮: 羅先市羅津区域ヘヤン洞の草島で、青銅器時代の墓。人骨2体。[朝鮮新報]
ベトナム: ホーチミン市（Ho Chi Minh；HCM）カンゾ県（Can Gio）のGiong Ca Vo遺跡で、ドンナイ文化（Dong Nai culture）・2300年前の人骨。[VietnamPlus]
イラン: エスファラーイェン郡（Esfarayen）のバム村（Bam）のShahr-e Belqeysで、中世の地下通路。長さ18km。セルジューク朝（Seljuk）やイルハン朝（IlKhanid）の土器が出土。[Tehran Times]
エジプト: ギザ（Giza）のサッカラ（Saqqara）で、第26王朝・2600年前のチーズの塊。[The National]
USA: ミシガン州（State of Michigan）のセント・ジョセフ砦（Fort St. Joseph）で、18世紀の「ジェズィット・リング」（Jesuit Ring）。セント・ジョセフ砦は1680年にフランスの砦として建設され、1781年に放棄。[The Charlotte Observer]

2022年9月12日（月）

岩手県: 北上市・岡田遺跡（おかだいせき）で、縄文時代の3タイプの落とし穴。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。
▶岡田遺跡 [公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター]
長崎県: 大村市が文化財資料を保管する収蔵庫を計画し、市議会に補正予算案を計上。現状は市内3か所に分散保管しているが、いずれの施設も雨漏りなど老朽化が進む。[長崎新聞]
フィリピン: パラワン島（Palawan Island）のピランドゥク洞窟（Pilanduk Cave）で、旧石器時代の居住。最終氷期最盛期（Last Glacial Maximum）・25000年前～20000年前には専門的なシカ狩猟と淡水産の貝の消費が行われた。気候・環境変動への適応の一例。
▶New last ice age findings in Palawan cave[University of the Philippines Diliman]
cf. Janine Ochoa, Jane Carlos, Myra Lara, Alexandra de Leon, Omar Choa, Patricia Cabrera, Maria Rebecca Ferreras, Dante Ricardo Manipon, Trishia Gayle Palconit, Gaddy Narte and Ame Garong (2022) Tropical island adaptations in Southeast Asia during the Last Glacial Maximum: evidence from Palawan. Antiquity, First View, pp. 1 - 15. [Cambridge Core]
トルコ: チョルム県（Çorum）ボアズカレ郡（Boğazkale）にあるヒッタイトの都市ハットゥシャ（Hattuşa）のイェルカプ・トンネル（Yerkapı Tunnel）で、3500年前の象形文字249個を発見。[Arkeonews]
エジプト: ギーザ県（Giza）のミート・ラヒーナ（Mit Rahina）で盗掘犯の逮捕をきっかけに新王国時代・ラメセス2世（Ramses II）の治世・紀元前1292年～前1069年のトンネルを発見。[Al-Monitor]

2022年9月11日（日）

南アメリカ: 南アメリカのミイラに、暴力的な死の痕跡。ドイツのマールブルク大学（Marburg University）に所蔵された1体（男性、996～1147年ごろ）とスイスのドレモン美術館（Delémont Museum）に所蔵された2体（女性、1224～1282年ごろ；男性、902～994年ごろ）を三次元CTで調査。男性2人は暴力的な死を遂げた。マールブルク大学の男性ミイラは死亡時20～25歳。2人がかりで殺された。ドレモン美術館の男性ミイラは、首の後ろに打撃。[Ancient Origins]
cf. Anna-Maria Begerock, Robert Loynes, Oliver K. Peschel, John Verano, Raffaella Bianucci, Isabel Martinez Armijo, Mercedes González and Andreas G. Nerlich (2022) Trauma of bone and soft tissues in South American mummies—New cases provide further insight into violence and lethal outcome. Frontiers in Medicine. [Frontiers]

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