2023年7月10日(月)
- インドネシア
- スマトラ島(Sumatra)のハリマウ洞窟(Gua Harimau)で、先新石器時代(Preneolithic)、新石器時代(Neolithic)、初期金属器時代(Paleometalic;early metal age)の3次にわたる人の居住痕跡。
▶ Mohammad Ruly Fauzi, Adhi Agus Oktaviana, Mohammad Mirza Ansyori, Sofwan Noerwidi, Dyah Prastiningtyas, Sigit Eko Prasetyo, Budiman, Harry Widianto, Retno Handini, Rokhus Due Awe, Truman Simanjuntak (2023) The Excavation of Gua Harimau's Western Gallery: A Contribution to the Terminal Pleistocene-Early Holocene archaeological records in Sumatra. L'Anthropologie. [ScienceDirect] - イスラエル
- ガリラヤ(Galilee)のフコック(Huqoq)にある後期ローマ時代・400年ごろのシナゴーグで、寄進者や芸術家の名を記したアラム語銘文や、ヘブライ語聖書『士師記』15:4のサムソンの物語を示したモザイク。シナゴーグは後期中世・マムルーク朝・14世紀前半に再建され、拡大。カイロとダマスカスを結ぶ街道が整備されたことや、近隣に預言者ハバクク(Habakkuk)の墓があるという伝承のため、ユダヤの巡礼の中心地の一つとなったことに関連するとみられる。
▶Carolina-led archaeological dig in Galilee uncovers mosaics of Samson and commemorative inscriptions [University of North Carolina at Chapel Hill] - UK(イングランド)
- ヴィンドランダ砦(Vindolanda Roman fort)で、ローマ時代・90〜105年の銅合金の獅子頭形の柄頭。バタウィ族の第9歩兵隊がヴィンドランダ砦に駐屯していた時に当たる。バタウィ族第9歩兵隊は、オランダ、ナイメーヘン近くのライン河口から来た歩兵・騎兵からなる部隊。[Heritage Daily]
▼ヴィンドランダ砦関連記事→2023年6月17日 - USA
- ケンタッキー州(Commonwealth of Kentucky)で、南北戦争当時に埋められた金貨や銀貨700枚の埋納を発見。1840〜1863年の貨幣。南軍からの襲撃に備えて埋納か。[LiveScience]
2023年7月9日(日)
- 東京都
- 台東区・浅草寺で本堂の天井に描かれた川端龍子の「龍之図」の一部が剥がれ落ちる。[TBS]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)プドゥコーッタイ県(Pudukkottai)ポルパナイコッタイ(Porpanaikottai)で、サンガム時代(Sangam era)の砦。金の花形の鋲や、織物に用いられた骨針、紅玉髄の玉が出土。紅玉髄はグジャラート州からの交易品か。[The Hindu]
▼ポルパナイコッタイ遺跡関連記事→2021年8月13日 - イラク
- ニムルド遺跡(Nimrud)でアッシリアの建物跡2棟。アダド・ニラリ3世(Adad-nirari III)の治世・2800年前に建てられた建物と、イシュタル神に奉納され紀元前612年の侵略軍に破壊された神殿。[Ancient Origins]
- ノルウェー
- アグデル県(Agder)セーテスダール地域(Setesdal)のヴァレ自治体(Valle)で発見されたヴァイキングの墓では、新たに装身具、斧、盾、数本のナイフなど。すでに見つかっていた槍と県を合わせれば、武器一式。さらに、ビーズ100個や、いくつもの楕円形ブローチ。装身具の一部は木箱に納められていた。農具の鎌や、伊都紬に使う紡錘車、用途不明の丸石「ペット・ロック」、さらにフライパンのような鉄製品も出土。男女の合葬墓の可能性も。[Science Norway]
- メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)ティシミン市(Tizimín)の古代都市クルバ遺跡(Kulubá)で、古典期後期(Clásico Tardío;Late Classic)・600〜900年と古典期終末期(Clásico Terminal;Terminal Classic)・850〜1050年のフリント製や黒曜石製のナイフ16本。いずれも地元にはない素材で、未使用。[Efe]
- アルゼンチン
- サンタ・クルス州(Provincia de Santa Cruz)中西部の完新世後期のさまざまな時代の石棺墓から出土した狩猟採集民集団の成人39人について食生活を分析。グアナコ(Lama guanicoe)が最も多く消費された動物。過去千年間では特に女性において植物食が増加。
▶ Cecilia Chaile, Augusto Tessone (2023) Using mixing models to study human paleodiets in central-western Santa Cruz (Argentina) during Late Holocene. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library]
2023年7月8日(土)
- 岩手県
- 平泉町・毛越寺(もうつうじ)の敷地内で、枯れ枝などの焼けた跡5か所。いずれも特別史跡、特別名勝、世界遺産「平泉の文化遺産」構成資産の指定範囲内にあり、平泉町は文化庁に文化財保護法に基づく毀損届を提出。不審火の可能性も。[岩手日報]
- レバノン
- ビブロス(Byblos)、ベイルート(Beirut)、ティール(Tyre)のローマ時代の墳墓から出土した成人145人の遺体について、歯の病気や食生活を研究。ビブロスは、ベイルートやティールよりも歯の疾患や摩耗が著しく、炭水化物の摂取量の多さや、衛生上の問題などによるとみられ、都市の政治経済的地位に関連。いずれの地域でも、女性の方が罹患率が高い。
▶ Mahmoud Mardini, Ali Badawi, Tania Zaven, Raffi Gergian, Efthymia Nikita (2023) Dental disease and dietary patterns in coastal Phoenicia during the Roman period. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - トルコ
- イスタンブル(İstanbul)のファティ地区(Fatih)にあるサラチハネ考古学公園(Saraçhane Arkeoloji Parkı;Sarachane Archeology Park)で、墓碑3片。女性像を描き、3〜5世紀と推定。ローマ帝国の皇女アニキア・ユリアナ(Ανικία Ίουλιανή;Anicia Juliana)に関連している可能性も。[Hürriyet Daily News]
- ポルトガル
- アレンテージョ地方(Alentejo)のレゲンゴス・デ・モンサラーシュ(Reguengos de Monsaraz)にあるペルディゴンインス遺跡(Perdigões)の16号ピットから出土した炭化物を分析し、銅石器時代・紀元前3千年紀中ごろの火葬骨の二次堆積と確認。また、オリーブ属(Olea europaea)、オーク(Quercus spp.)、フランスカイガンショウ(Pinus pinaster)、トネリコ属(Fraxinus cf. angustifolia)、イチゴノキ(Arbutus unedo)、ゴジアオイ属(Cistus sp.)、マメ科(Fabaceae)の7つを認識。木材の燃焼温度を実験とも対比して推定し、2回以上の埋葬、または2回以上の堆積があったと推定。
▶ Ginevra Coradeschi, Nicasio T. Jiménez Morillo, Cristina Barrocas Dias, Massimo Beltrame, Anabela D. F. Belo, Arturo J. P. Granged, Laura Sadori, António Valera (2023) Anthracological study of a Chalcolithic funerary deposit from Perdigões (Alentejo, Portugal): A new analytical methodology to establish the wood burning temperature. PLOS ONE, 18(7): e0287531. [PLOS ONE]
▼エヴォラ県(Distrito de Évora) - メキシコ
- カンペチェ州(Estado de Campeche)バラムク(Balamkú)で見つかった古典期・250〜1000年の都市オコムトゥン(Ocomtún)で、マヤの象形文字を刻んだ巨石を発見。文中の「Maatz’」がオコムトゥンの古名である可能性。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Heritage Daily]
▼オコムトゥン関連記事→2023年6月22日
2023年7月7日(金)
- 岐阜県
- 岐阜市・芥見町屋遺跡(あくたみまちやいせき)で、土坑の底から赤く塗られた壺。弥生時代後期から古墳時代初頭にかけての「パレス・スタイル土器」とみられる。岐阜県文化財保護センターの調査。
▶土坑の底から赤く塗られた壺が出土しました【芥見町屋遺跡】 [岐阜県]
▼芥見町屋遺跡関連記事→2022年11月18日 - キプロス
- ハラ・スルターン・テケ(Hala Sultan Tekke)に近いドロモラクシア・ヴィザツィア(Dromolaxia Vizatzia)で紀元前1500年〜前1300年ごろの王墓。当時、銅の貿易で繁栄していた。副葬品のうち、金や象牙はエジプトから、貴石はアフガニスタン、インド、シナイ半島から、琥珀はバルト海から輸入。[Heritage Daily]
▼ドロモラクシア・ヴィザツィア関連記事→2010年7月5日 - イタリア
- アウグスト・インペラトーレ広場(piazza Augusto Imperatore)で、パリアン大理石製の彫像頭部。アフロディテ女神像か。ローマ時代・アウグストゥス帝当時のもの。[La Repubblica]
- フランス
- ノルマンディー地域圏(Normandie)カルヴァドス県(Calvados)ウイストルアム(Ouistreham)のル・プラニトル遺跡(le Planitre)の海岸地域で前期新石器時代から現代までの遺構。前期新石器時代には、貝殻をビーズに加工するためのドリルも出土。特に前期青銅器時代・紀元前1950年〜前1650年と居住が密集。紀元前1900年〜前1600年には墓地も造営され、この時期珍しい小児墓も含む。さらに青銅器時代の製塩遺構も。この地域では最古例。後期鉄器時代・紀元前250〜前50年にはガリア人集落で、やはり製塩の証拠。第二次世界大戦中に築かれた、上陸した連合軍を守る対空砲台も。
▶Archéologie du littoral à Ouistreham (Calvados) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(北アイルランド)
- アーマー州(County Armagh) ラーガン(Lurgan)のKilmocholmóg 遺跡で、金や銀のインゴットやガラスを生産した証拠。[BBC]
- アイルランド
- ダブリン(Dublin)のカペル・ストリート(Capel Street)で、中世・11世紀にさかのぼる人骨100体。聖マリア修道院(St Mary’s Abbey)が12世紀に建設されるよりも以前からキリスト教徒が居住していることを示す。オラニエ公ウィレムがイングランド王になったのちに入植者が建てた17世紀の建物も発見。[Irish Examiner]
- USA
- オレゴン州(State of Oregon)ライリー(Riley)にあるリムロック・ドロー岩陰遺跡(Rimrock Draw Rockshelter)で、石器とともに出土した動物の歯のエナメル質の放射性炭素年代は18250年前。北米最古のヒトの居住痕跡か。[NonStop Local News]
▼リムロック・ドロー岩陰遺跡関連記事→2015年4月1日
2023年7月6日(木)
- 群馬県
- 高崎市・倉賀野浅間山古墳(くらがのせんげんやまこふん)で、後円部の外堀は幅60m。高崎市の調査。[朝日新聞]
- 福井県
- 鯖江市・天神山古墳群の三ツ禿支群で50年前に出土した鉄製品は古墳時代後期・6世紀後半の鉄鐸と判明。鯖江市教育委員会7/5発表。[福井新聞]
- 島根県
- 出雲市・旧日本海軍大社基地跡で、地下足袋やはだしの足跡20個以上。女性や子どものものとみられる足跡も含み、建設に巻き込まれた人々の痕跡とみられる。[読売新聞]
- 広島県
- 福山市・正藤遺跡(しょうといせき)で、弥生時代を中心とした、大型の溝状遺構を伴う集落跡など。公益財団法人広島県教育事業団埋蔵文化財調査室の調査。7/22現地説明会。
▶正藤遺跡の現地見学会を開催します [福山市] - 佐賀県
- 吉野ケ里遺跡で見つかった弥生時代後期の石棺墓に用いられた石の蓋4枚のうち3枚は、もともとは1枚だった。多良岳で採石し、有明海経由で運搬。佐賀県7/6発表。[毎日新聞]
- 鹿児島県
- 天城町・下原洞穴遺跡(したばるどうけついせき)で、後期旧石器時代〜縄文時代の移行期に当たる17000年前〜16000年前の炉跡。アマミノクロウサギの骨を含んでおり、旧石器人がアマミノクロウサギを食べていた可能性。天城町教育委員会7/5発表。[南日本新聞]
- オーストリア
- グムンデン(Gmunden)にあるハルシュタット遺跡(Hallstatt)で、鉄器時代の高位の人物の火葬墓。青銅製の副葬品は意図的に壊されたり曲げられ、獣骨や食物とともに置かれていた。[Heritage Daily]
- ポーランド
- ワルシャワ(Warszawa;Warsaw)のアニエレヴィツァ通り(ulica Anielewicza)にあった旧ゲットーで、戦前・戦中の刃物工房。保存状態がよく、木製の床や機械の土台が残る。 [Nauka w Polsce]
- ドイツ
- ミュンヘン(München)で、ヒトラーにより破壊されたシナゴーグの跡。柱や、十戒を刻んだ石板などを発見。ヒトラーの命令で1938年に破壊。[BBC]
- スペイン
- バレンシナ(Valencina)で2008年に発見された、象牙、琥珀、ダチョウの卵の殻、水晶製短剣などを持つ銅石器時代・5000年前の首長「象牙男」(Ivory Man)は、歯のエナメル質のアメロゲニン・ペプチド分析(amelogenin peptide analyses)により、女性と判明。死亡時17〜25歳。[Science]
紀元前2900年〜前2650年。やや後のモンテリリオのトロス(Montelirio tholos)でも、同様に高い地位の女性。
▶ Marta Cintas-Peña, Miriam Luciañez-Triviño, Raquel Montero Artús, Andrea Bileck, Patricia Bortel, Fabian Kanz, Katharina Rebay-Salisbury & Leonardo García Sanjuán (2023) Amelogenin peptide analyses reveal female leadership in Copper Age Iberia (c. 2900–2650 BC). Scientific Reports, volume 13, Article number: 9594. [Scientific Reports] - スペイン
- サラマンカ県(Provincia de Salamanca)のセロ・デ・サン・ビセンテ遺跡(Cerro de San Vicente)の前期鉄器時代の集落を分析。海岸地帯のフェニキア人との交流により地中海の長距離ネットワークにつながって発展してきたことや、その背景に女性の移動があったことを推定。従来、紀元前1千年紀前半にフェニキア人がいベルア半島に定着したことに対し、内陸の先住民は受け身であるか、孤立していたとみられていた。
▶ Antonio Blanco-González, Juan Jesús Padilla-Fernández and Alberto Dorado-Alejos (2023) Mobile craftspeople and orientalising transculturation in seventh-century BC Iberia. Antiquity, First View, pp. 1 - 19. [Cambridge Core] - UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)フリンズベリー(Frindsbury)で、30万年前のフリント製の巨大なハンドアックス。最大のものは29.5cm。
▶Giant stone artefacts found on rare Ice Age site in Kent [University College London]
後期アシュール文化
▶ Letty Ingrey, Sarah M. Duffy, Martin Bates, Andrew Shaw and Matt Pope (2023) On the Discovery of a Late Acheulean 'Giant' Handaxe from the Maritime Academy, Frindsbury, Kent. Internet Archaeology, 61. [Internet Archaeology] - スーダン
- スーダンの文化遺産が戦闘の激化で危機に瀕する。図書館は焼き討ち、博物館は閉鎖された。[Reuters]
2023年7月5日(水)
- 福井県
- 鯖江市でかつて出土していた鉄製品は古墳時代の鉄鐸。[FBC福井放送]
- 京都市
- 右京区・仁和寺(にんなじ)の国宝金堂を6/13に傷つけたとして、京都府警右京署は、器物損壊と文化財保護法違反の疑いで、京都市右京区の無職の男を追送検。寺の男性職員を殴った疑いで現行犯逮捕されていた。[京都新聞]
▼仁和寺金堂の損傷関連記事→2023年6月14日 - 韓国
- 慶州市 沙正洞・興輪寺跡(フンニュンサあと)の西側で、鉄釜の中に、高麗時代・11世紀以降の青銅製供養具54点。また、統一新羅時代の金銅仏や、「靈廟寺」銘の瓦も出土。[聯合ニュース]
▶慶州 興輪寺西側で高麗時代供養具遺物54点出土 [文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - 韓国
- 慶尚南道 咸安郡 代山面 玉Nい亮Т鑞卆廚把鮮時代の粉青沙器の窯1基、廃棄場3か所、建物跡1棟。世宗実録地理志に記載のある「貢納磁器所」を確認。「長興庫」「司膳」などの銘文のある朝鮮時代の粉青沙器出土。[慶南日報]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) アリヤルール(Ariyalur)にあるガンガイコンダチョーラプラム(Gangaikonda Cholapuram)のマリガイムドゥ村(Maaligaimedu;Maligaimedu)、ウトコッタイ遺跡(Utkottai)で、 チョーラ朝の石柱。長さ6.4m、幅72cm。[LatestLY]
- イスラエル
- テオミン洞窟(Te’omim Cave)で、後期ローマ時代・2〜4世紀の無傷のオイルランプ120個以上。いずれも岩の裂け目に意図的に置かれ、武器、土器、人骨などを伴う。後期ローマ時代の黒魔術で用いられたものとみられ、テオミン洞窟が死霊神託の場ネクロマンテイオン(nekyomanteion)だった可能性。
▶ Eitan Klein and Boaz Zissu (2023) Oil Lamps, Spearheads and Skulls: Possible Evidence of Necromancy during Late Antiquity in the Te’omim Cave, Judean Hills. Harvard Theological Review, Volume 116, Issue 3, July 2023, pp. 399 - 421. [Cambridge Core]
2023年7月4日(火)
- 奈良県
- 奈良市・平城京跡(へいじょうきょうあと)で、「修理」と書かれた瓦。最大時の敷地に沿った塀と推定。元興寺文化財研究所の調査。[時事通信]
- 韓国
- 慶州市・チョクセム地区44号墳で出土したタマムシの翅の装飾は、タマムシの翅で花弁を表現し、竹を編んだ障泥を飾っていた。金銅冠では、被葬者の髪の毛や、三色の経錦も確認。新羅・5世紀後半。[聯合ニュース]
▼チョクセム44号墳関連記事→2020年12月7日 - 中国
- 甘粛省 張家川回族自治県・圪墶川遺跡(Gedachuan)で出土した新石器時代の雑穀の同位体分析と放射性炭素年代を調査。仰韶文化早期〜中期・6300年前〜5500年前にキビ(Broomcorn millet)の集約的な農耕が発達。また生産性の高いアワ(foxtail millet)の集約的な農耕が、5300年前以降の黄土高原(Loess Plateau)西部の急速な人口増加につながった。
▶ Minmin Ma, Jiajia Dong, Yishi Yang, Martin K. Jones, Jia Wang, Guoke Chen, Gang Li, Letian He, Wenyu Wei, Yongxiang Xu, Yongxiu Lu, Lele Ren, Guanghui Dong, Fahu Chen (2023) Isotopic evidence reveals the gradual intensification of millet agriculture in Neolithic western Loess Plateau. Fundamental Research. [ScienceDirect] - インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) ティルネルヴェーリ県(Tirunelveli) ラーダープラム郡(Radhapuram)スルクカーパッティ(Thulukkarpatti)で、タミル文字の銘文を刻んだ土器片。[DT Next]
- イラン
- ギーラーン州(Ostān-e Gīlān) アムレシュ郡(Amlesh)のモトラ・クー(Motla-Kuh)のふもとで、パルティア〜サーサーン朝のバックギャモンに用いる骨製のさいころ。[Tehran Times]
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)の初期イスラーム時代にさかのぼるとみられる岩絵に、「アッラー」(Allah)の銘文。[Tehran Times]
- イスラエル
- エルサレム近郊(Jerusalem)のエラ要塞(Khirbet Qeiyafa;Elah Fortress)、ベト・シェメシュ遺跡(Beth Shemesh)、テル・ラキシュ遺跡(Tel Lachish)、テル・エン・ナシュベ遺跡(Tel en-Naṣbeh)、キルベト・エッ・ダッワラ遺跡(Khirbet ed-Dawwara)は、いずれもソロモンやダビデが活躍した紀元前10世紀前半にさかのぼり、相似た都市計画。これらがダビデらの王国の範囲を示すとの見解。従来から、ダビデらは小さな村の族長であったという説や、聖書に書かれ、後のイスラエル王国とユダ王国を合わせた規模の大国だったという説がある。今回の説にも異論が寄せられている。[Haaretz]
▶ Garfinkel, Y. (2023) Early City Planning in the Kingdom of Judah: Khirbet Qeiyafa, Beth Shemesh 4, Tell en-Naṣbeh, Khirbet ed-Dawwara, and Lachish V. Jerusalem Journal of Archaeology, Volume 4, pp. 87-107. [Jerusalem Journal of Archaeology] - トルコ
- マルディン県(Mardin il)シュケフタ・エロブラヒモ洞窟(Şıkefta Elobrahimo)で、中期旧石器時代に人類が居住した証拠。
▶ Ergul Kodaş (2023) New evidence of Pleistocene hominin occupation in Mardin Province, south-east Turkey: Şıkefta Elobrahimo Cave. Antiquity, First View, pp. 1 - 7. [Cambridge Core] - キルギス
- バトケン(Баткен:Batken)のKyzylKoshuun谷で、1世紀〜4世紀の墓地、建物跡、岩絵など、ヒトの居住の痕跡。[MENAFN]
- UK(イングランド)
- ベッドフォードシャー州(the county of Bedfordshire)ハウトン・リージズ(Houghton Regis)のリンメア遺跡(Linmere)で、中石器時代・8000年前のピット25基。幅5m、深さ1.85m。500m以上にわたって並ぶ。土坑の底からは獣骨出土。狩猟用、貯蔵用などの諸説あり。[BBC]
- エジプト
- サッカラ遺跡(Saqqara)で出土した古代エジプトの土器3点について、さまざまな分析手法により、化学組成や保存状態を調査。斜長石が使用されていることからナイル粘土が原料であるが、ケイ素、鉄、カルシウムの濃度がそれぞれ異なる。焼成温度は800℃以上。
▶ Hamdy Mohamed Mohamed & Sherif Omar (2023) Multi-analytical techniques for characterization of ancient Egyptian pottery objects from Cairo University excavations at Saqqara. Spectroscopy Letters. [Taylor & Francis Online]
2023年7月3日(月)
- 群馬県
- 高崎市・倉賀野浅間山古墳(くらがのせんげんやまこふん)で、墳丘の中軸線に対称となる二重の堀。古墳時代・4世紀末ごろの前方後円墳。高崎市教育委員会の調査。[上毛新聞]
- 長野県
- 小県郡長和町と諏訪郡下諏訪町の境の和田峠(わだとうげ)産の黒曜石2点がシーボルトが日本で収集したコレクションに含まれていた。[信濃毎日新聞]
- 鹿児島県
- さつま町・大願寺跡(だいがんじあと)で、室町時代〜江戸時代のものとみられる硬化面など。[南日本新聞]
土坑や溝跡、中世・近世のピット(柱穴)など。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。6/24現地説明会。[上野原縄文の森] - 鹿児島県
- 天城町・下原洞穴遺跡(したばるどうけついせき)で17000年前の炉跡。奄美群島最古の炉跡。また1、万年前〜9000年前の波状条線文土器。天城町教育委員会の調査。[奄美新聞]
▼下原洞穴遺跡関連記事→2019年3月15日 - 中国
- 泉州市 北峰街道の西姑山遺跡で唐〜宋元の建物跡。[台海網]
- イラン
- ケルマーン州(Ostān-e Kermān) シャハダード(Shahdad)で、銅石器時代〜青銅器時代の銅溶解工房。[Tehran Times]
- ウクライナ
- キーウ(キエフ;Київ;Kyiv)南方の森林で、第二次世界大戦当時ソヴィエト連邦に供与された英国空軍のハリケーン戦闘機8機。金属探知機で不発弾を探索中に見つかる。武器貸与法(Lend Lease Scheme)に基づいて英国からソヴィエト連邦に供与され、使用後に有用な装備を取り外し、解体して埋められていた。[Heritage Daily]
- セルビア
- ベオグラード(Београд;Belgrade)で、ローマ時代・2世紀の水道と3〜4世紀の豪勢な墓。ベオグラードが古代都市シンギドゥヌム(Singidunum)と呼ばれていた時代。また、17〜18世紀のオスマン帝国のころの集落や、第二次世界大戦中のナチス占領下での連合軍の爆撃の痕跡も。[LiveScience]
- UK(イングランド)
- ベッドフォードシャー州(the county of Bedfordshire)のLinmere遺跡で、中石器時代・12000年前〜6000年前の大型土坑25基。[The Guardian]
2023年7月2日(日)
- 青森県
- 青森市・郷山前村元遺跡(ごうさんまえむらもといせき)で、底面に「大」の字に似た刻書がある平安時代の土師器の坏や、縄文時代の土坑など。青森県埋蔵文化財調査センターの調査。7/8現地説明会。[陸奥新報]
▼郷山前村元遺跡関連記事→2023年6月16日 - 中国
- 内モンゴル自治区 赤峰市 バイリン左旗(巴林左旗) 林東鎮 ・遼上京遺跡の皇城南部で、遼・金時代の大型建物群。[網易]
▼遼上京遺跡関連記事→2023年2月15日 - インド
- 奈良県天理市・天理大学附属天理参考館が所蔵する仏像3点が、インド北部・マトゥラーで2〜3世紀に作られたものとわかった。[読売新聞]
- ヨルダン
- 東バディーヤ(Eastern Badiyah)の建物遺構W-80は、ヤルムーク文化(Yarmukian culture)・紀元前6千年紀中ごろと判明。[The Jordan Times]
- イスラエル
- エイラート(Eilat)のティムナ・パーク(Timna Park)にあるSite 25で、古代の岩刻画2点と現代の落書きをを3Dスキャンし、専用に開発したソフトウェア「ArchCUT3-D」で分析。岩刻画の刻線がさまざまな技法で刻まれていることが判明し、製作工程の推定も可能に。[The Jerusalem Post]
▶ Lena Dubinsky, Marcelo David & Leore Grosman (2023) Recognizing technique variation in rock engravings: ArchCUT3-D for micromorphological analysis. Humanities and Social Sciences Communications, volume 10, Article number: 316. [Humanities and Social Sciences Communications] - スペイン
- セビリア県(Provincia de Sevilla)ロス・モラーレス(Los Molares)にあるカニャーダ・レアル(Cañada Real)の新石器時代・紀元前4000年〜前3500年のドルメン墓周辺で、地下に別の遺構を確認。ドルメン墓とみられる2基のほか、住居とみられる円形遺構も。科学研究高等評議会(Consejo Superior de Investigaciones Científicas - CSIC)の地中レーダー(Ground Penetrating Radar;GPR)による地球物理探査。[Heritage Daily]
▼カニャーダ・レアルのドルメン墓関連記事→2021年11月19日 - エジプト
- フスタート遺跡(Fustat)で出土したストーンペースト土器(stonepaste pottery)11点について、素地や釉薬を光学顕微鏡や走査電子顕微鏡により観察。ストーンペースト土器の技術発展の諸段階を明らかに。さらに、フスタート遺跡の例とほかのイスラーム地域についても比較。
▶ Moujan Matin, Mary Ownby (2023) Early stonepaste ceramic technology in Fustat, Egypt. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 50, August 2023, 104105. [ScienceDirect]
▼フスタート遺跡関連記事→2022年6月23日
2023年7月1日(土)
- 愛媛県
- 伊方町・佐多岬半島で、宇和島藩の狼煙場遺構12か所を調査。藩主の参勤交代の際の船の運航状況をつかむために用いた。[毎日新聞]
- フィリピン
- パラワン島(Palawan Island)のタボン洞窟(Tabon Cave)で出土した更新世後期39000年前〜33000年前の石器の使用痕を分析。植物繊維を補足するための現代の技術を実験的に再現した痕跡に合致。籠やロープづくりの間接的な証拠。
▶ Hermine Xhauflair, Sheldon Jago-on, Timothy James Vitales, Dante Manipon, Noel Amano, John Rey Callado, Danilo Tandang, Céline Kerfant, Omar Choa, Alfred Pawlik (2023) The invisible plant technology of Prehistoric Southeast Asia: Indirect evidence for basket and rope making at Tabon Cave, Philippines, 39–33,000 years ago. PLoS ONE, 18(6): e0281415. [PLOS ONE] - インドネシア
- スンバ諸島(Sumba)のランバナプ(Lambanapu)、メレロ(Melolo)、カンバニル(Kambaniru)、ムボロバクン(Mborobakung)、ウンガ(Wunga)で、オーストロネシア語族(Austronesian)のものとみられる人骨、土器棺など。3000年前にオーストロネシア語族がスンバ島に住んでいたことを示す。
▶ Retno Handini, Sofwan Noerwidi, Harry Octavianus Sofian, M. Ruly Fauzi, Unggul Prasetyo, I Made Geria, Marlon Ririmasse, Devi Ayu Aurora Nasution, Restu Ambar Rahayuni, Truman Simanjuntak (2023) New evidence on the early human occupation in Sumba Islands. L'Anthropologie. [ScienceDirect] - イスラエル
- ホルバト・ツァリト遺跡(Horvat Tsalit)とナハル・ヤティル遺跡(Nahal Yattir)で出土した鉄製遺物12点(武器、農具、非実用品など)を分析。低炭素鋼の半製品を用いて鍛造。たがいに隣接する両遺跡は1世紀後半〜2世紀前半に営まれ、ローマ時代のユダヤ属州(Iudaea)に属していたが、バル・コクバの乱(Bar-Kokhba revolt)のときに破壊された。
▶ Yarden Pagelson, Yuval Goren, Peter Fabian (2023) Assessing the iron-working skills at Roman Iudaea: An archaeometallurgical study of two Bar-Kokhba revolt assemblages from Israel. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 50, August 2023, 104090. [ScienceDirect] - ウクライナ
- ザポリッジャ市(Запоріжжя)のドニプロ川(Дніпро;ドニエプル川)で、1000年以上前に作られたとみられるオーク製の船。[Ukrinform]
- イタリア
- シチリア州(Sicilia;Sicily)セジェスタ(Segesta)で、紀元前1世紀のギリシャ風の祭壇。[Greek City Times]
- イタリア
- トレンティーノ=アルト・アディジェ自治州/南ティロル自治州(Regione Autonoma Trentino-Alto Adige;Autonome Region Trentino-Südtirol)のオーラ(Ora;Auer)で2010年に調査された、銅石器時代・紀元前3000年〜前2700年の墓では成人男性2人と乳児1人の遺体が出土したが、成人2名についてDNA検査によりし、双方とも男性で血縁関係にあり、父と息子とみられると推定。
▶ A. Paladin, S. Zingale, M. Croze, C. Marzoli, U. Tecchiati, A. Zink, V. Coia (2023) Archaeological questions and genetic answers: Male paternal kinship in a copper age multiple burial from the eastern Italian Alps. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 50, August 2023, 104103. [ScienceDirect] - フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie)エロー県(Hérault)ロデーヴ(Lodève)で、18世紀の司教管区(évêché)の庭園、中世の建物、古代都市ルテウァ(Luteva)の遺構。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Des vestiges modernes, médiévaux et antiques à Lodève (Hérault) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- コルドバ(Cordoba)の考古学博物館が所蔵するローマ時代と中世の獣骨を確認し、ラクダ科動物(camelid)9個体を確認。安定同位体によると、ローマ時代のものは帝国内のほかの地域から、中世のもののうちいくつかは、北アフリカから来た。ラクダ科動物は運搬や、道具作りのために利用された。
▶ José Antonio Riquelme Cantal, Juan Manuel Garrido Anguita, Antonio Delgado Huertas, Laura Aparicio Sánchez, Eduardo Ruiz Nieto, Arsenio Granados Torres, Laura Arenas Gallegos, Adrián Ruiz Expósito, Alejandro Beltrán Ruiz, Rocío Ávila Ramírez, José Clemente Martín de la Cruz (2023) Camelids in the south of the Iberian Peninsula in Roman and medieval times. Osteological evidence from the city of Cordoba (Spain). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 50, August 2023, 104101. [ScienceDirect] - ノルウェー
- アグデル県(Agder)セーテスダール(Setesdal)で、ヴァイキング時代・1200年前の墓。副葬品の剣や装身具が出土。[Science Norway]
- メキシコ
- オアハカ州(Estado de Oaxaca)・ミトラ遺跡(Mitla)の地下で、物理探査により、サポテク文明(Zapotec civilization)の死の国リオバ(Lyobaa)につながるというトンネルを発見。[Ancient Origins]
- メキシコ
- チチェン・イッツァ遺跡(Chichén Itzá)近くの陥没・サンアンドレス(San Andrés)のセノーテの中にある水中洞窟で、木造船や、マヤ文明の祭祀にかかわる人骨、アルマジロ、シチメンチョウ、イヌ、ワシの骨を発見。カヌーは放射性炭素年代で16世紀と判明したが、周囲の環境の影響がないか調査中。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Newsweek]
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