2022年12月20日(火)
- イラン
- セムナーン州(Ostān-e Semnān)マフディーシャフル郡(Mahdishahr)のMersinchal墓地で、鉄器時代〜パルティア時代の墓49基と人骨。人骨は男性24、女性15、小児2、性別不明7。[Tehran Times]
▼Mersinchal墓地関連記事→2021年10月31日 - イラン
- ロバート・セフィード(Robat-e Sefid)のバーゼー・フール(Bazeh Hur)村近くで、サーサーン朝の火の神殿。チャハルタック(chahartaq)構造で、壁画や漆喰細工も。[Tehran Times]
- イスラエル
- キブツ(Kibbutz)で2000年前のオイルランプ。[The Jerusalem Post]
- トルコ
- ヴァン県(Van ili) ムラディエ郡(Muradiye)ウルシャール(Uluşar)にあるキョルズュト城(Körzüt kalesi;Körzüt Castle)で、ウラルトゥ(Urartu)・紀元前8世紀のメヌア王(Menua)の第2の神殿と、石室墓。[Daily Sabah]
- ルーマニア
- プロイエシュチ(Ploiești)・ブザウ(Buzău)間の道路予定地で、民族移動時代(Migration_Period)の武将の墓。ウマの遺体を伴い、武器、金製装身具などを副葬。[Romania-Insider]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern) フュルステンフェルトブルック郡(Landkreis Fürstenfeldbruck) ゲルメリング(Germering)で、中期青銅器時代の紀元前1800年〜前1200年の井戸。内部から、祭祀のときに納めたとみられる青銅製ピン26個と土器70点以上。[Die Welt]
- フランス
- オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏(Auvergne-Rhône-Alpes)サヴォワ県(Savoie)ヴィラロダン=ブルジェ(Villarodin-Bourget)のレ・ティエルス遺跡(Les Tierces)で、後期中世・14〜16世紀の住居や道路。宗教戦争で廃絶したとみられる。また、近代のサン・ジャック礼拝堂(chapelle Saint-Jacques)。
▶Un village déserté du bas Moyen Âge et une chapelle d’époque moderne à Villarodin-Bourget (Savoie) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - エジプト
- ディムヤート(Damietta)のテル・エル・デイル(Tel el-Deir)で、後期王朝時代(Late Period)サイス朝(Saite era)=第26王朝の墓20基。[Ahram Online]
▼テル・エル・デイル関連記事→2018年12月31日 - カナダ
- ヌナブト準州(Nunavut)キングウィリアム島(King William Island)で発見された、難破船エレバス号(HMS Erebus)からフランクリン探検隊(1845 Franklin Expedition)の遺品275点を引き上げ。Parks Canadaの調査。[CBC]
▼エレバス号関連記事→2021年5月6日 - USA
- ノースカロライナ州(State of North Carolina)の1718年の難破船「アン女王の復讐号」(Queen Anne’s Revenge)=31CR314遺跡で出土した石炭の出自を研究。アイルランドやポルトガルの無煙炭と合致。また、難破船の近くの ビューフォート郡(Beaufort County)は南北戦争当時の石炭基地だったので、1860年代に重要になるペンシルバニアの無煙炭も論理的には可能性がある。
▶ Kimberly P. Kenyon, Rod Hatt, Trent M. Garrison & James C. Hower (2022) Queen Anne’s Revenge Coal Conundrum: Origins of Coal Found in Association with a Historic Shipwreck. International Journal of Nautical Archaeology, Volume 51, 2022 - Issue 2, Pages 255-266. [Taylor & Francis Online]
▼アン女王の復讐号関連記事→2020年7月1日 - 研究不正
- 福井大学教授が国際学術誌に投稿した自分の論文の「査読」に関わったとされる問題で、福井大学は論文6本に査読操作があったとの調査結果を12/20公表。千葉大学教授、金沢大学元教授、浜松医科大学元教授が査読者として関与。[福井新聞]
▶福井大学における研究活動の不正行為疑いに係る調査結果について [福井大学]
▼福井大学教授の研究不正関連記事→2022年6月10日
2022年12月19日(月)
- 熊本市
- 熊本城の完全復旧は、石垣の耐震診断指針や新たな工法の検討などに時間がかかることから、15年遅れに。[共同通信]
- イラン
- コルデスターン州(Ostān-e Kordestān;Kurdistan)のテペ・ゲシュラーグ遺跡(Tepe Gheshlagh)で出土した後期銅石器時代の黒曜石の産地を、トルコのヴァン湖北側にあるネムルト山(Nemrut Dağ)とメイダン山(Meydan Dağ)に比定。
cf. Amir Saed Mucheshi, Amir Esna-Ashari, Mahnaz Sharifi, Abbas Motarjem, Michael D. Glascock (2023) Sources of Late Chalcolithic obsidian artefacts from Tepe Gheshlagh, Kurdistan province, western Iran. Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 47, February 2023, 103702. [ScienceDirect] - スペイン
- エストレマドゥーラ地域(Estremadura)のマルトラビエソ洞窟(Cueva de Maltravieso)で見つかった8つの図形を描くために用いられた顔料を分析。洞窟内で得られる様々な自然の物質を組み合わせて色を作り出しており、図形ごとに用いられた技術は異なり、それぞれ時期を異にするとみられる。
cf. Pierluigi Rosina, Hipólito Collado, Sara Garcês, Hugo Gomes, Virginia Lattao, Maria Nicoli, Negar Eftekhari, Carmela Vaccaro (2022) Pigment spectography analyses in Maltravieso cave, Spain. L'Anthropologie. [ScienceDirect]
▼マルトラビエソ洞窟関連記事→2022年3月5日 - 訃報
- 鈴木嘉吉・元奈良国立文化財研究所長12/16死去。93歳。[奈良新聞]
2022年12月18日(日)
- 茨城県
- 結城市・結城廃寺跡(ゆうきはいじあと)で、僧坊と講堂を結ぶ通り道「軒廊」跡を発見。平安時代。結城市教育委員会の調査。12/25現地説明会。[東京新聞]
▼結城廃寺跡関連記事→2022年12月9日 - 長野県
- 飯田市・飯田市平和祈念館で、旧関東軍防疫給水部(731部隊)の元隊員が証言した記録の展示が見送られている。[共同通信]
▼飯田市平和祈念館関連記事→2022年8月17日 - 韓国
- ソウル市 松坡区・風納洞土城が史跡指定し整備工事が続いていることで住民の財産権が侵害されているとして、住民らが文化財庁に規制解除を求める。[韓国経済新聞]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼風納洞土城(風納土城)関連記事→2022年1月4日 - 中国
- 西安の唐長安城の東市遺跡で、生活用品数百件や、仏像の埋納1か所。[華商網]
- イラン
- ガズヴィーン県(Qazvīn)ガズヴィーン(Qazvīn)のモスクの地下に、さかのぼる時期の床や壁などの遺構。モスクは807年にアッバース朝のカリフが建設を命じた。[Tehran Times]
- パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- エルサレム(Jerusalem)のダビデの町(City of David)で、2007年に発見された石板は、紀元前8世紀のヒゼキヤ王(King Hezekiah)の業績を記すと解読。[Arkeonews]
- イスラエル
- ヨルダン川流域(Jordan Valley)のテル・ツァフ遺跡(Tel Tsaf)で7000年前の木綿の繊維。中東最古の木綿の証拠。インダス地域、現代のパキスタン産とみられる。[The Times of Israel]
▼テル・ツァフ遺跡関連記事→2022年8月11日 - トルコ
- ビレジク県(Bilecik ili)インヒサール郡(İnhisar)・ゲディッカヤ洞窟(Gedikkaya Cave)で、終末期旧石器時代(Epipalaeolithic)・紀元前14500年の埋納坑から石製の偶像。人が座った姿をあらわし、ヨーロッパの後期旧石器時代のヴィーナス像と、アナトリアの新石器時代の地母神蔵の間をつなぐ存在。[Arkeonews]
- ルーマニア
- ティミシュ県(Județul Timiș)フォエニ・テル(Foeni Tell)で出土した後期新石器時代〜前期銅石器時代・紀元前4720〜前4457年(cal BC)の土器のうち、フォエニ文化群(Foeni cultural group)・紀元前4920/4675年〜前4580/4460年の土器と、地元の粘土材料を分析し、これらの土器が在地産であることを示す。ヴィンツァ文化(Vinča Culture)の後半、C期末〜D期末に並行。
cf. Dan Vlase, Gabriela Vlase, Gabriela Ursuţ, Paula Sfirloaga, Florin Manea, Mihaela Budiul, Andrei Rotaru, Titus Vlase (2022) The in-depth study of Romanian prehistoric ceramics: Late Neolithic/Eneolithic pottery and clay materials from the Foeni Tell-Orthodox cemetery in Timiș county. Ceramics International. [ScienceDirect] - ドイツ
- ドレスデン城内から2019年11月に盗難されたザクセン王家の18世紀の宝物の相当部分が回収される。[時事通信]
- スーダン
- 中世ヌビア(Nubia)・680〜1275年のガザーリ修道院(Ghazali monastery)の第2墓地で37人分の遺体について 87Sr/86Sr と δ18O を調査し、エナメル質形成期の居住地を分析。人びとがナイル川流域、隣接する砂漠地帯、さらに遠方などから移動してきたという説に疑問。
cf. Robert J. Stark, Joanna A. Ciesielska, Artur Obłuski (2022) Monks on the move? An assessment of mobility at the medieval Nubian monastery of Ghazali, Sudan (ca. 680-1275 CE).Archaeometry. [Wiley Online Library]
▼ガザーリ修道院関連記事→2021年5月19日
2022年12月17日(土)
- 兵庫県
- 三木市・三木城跡で、二の丸跡に相当する位置から堀の遺構を確認。内枡形虎口を構成する堀とみられる。戦国時代の播磨の城郭には見られない構造。三木合戦後に城が改修されたことを示す。[神戸新聞]
- 中国
- 内モンゴル自治区 シリンゴル盟(錫林郭勒盟) ソニド右旗(蘇尼特右旗) 額仁淖爾ソムで、匈奴の大規模な墓群。20基を発掘。すべて竪穴土坑墓で1人ずつを葬る。[中国新聞網]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ヴァーレンドルフ郡(Kreis Warendorf)ゼンデンホルスト(Sendenhorst)で中世の集落跡。[Radio WAF]
- フランス
- プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(Provence-Alpes-Côte d'Azur) ブーシュ=デュ=ローヌ県(Bouches-du-Rhône)オバーニュ(Aubagne)のカンプ・ドサルリエ通り(camp de Sarlier)で、新石器時代の集落と、青銅器時代末〜鉄器時代初めの墓地。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Nouvelles découvertes remarquables au camp de Sarlier à Aubagne (Bouches-du-Rhône) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
2022年12月16日(金)
- 千葉県
- 千葉大学附属図書館で、円安の影響により海外雑誌600タイトル以上を来年度購読取りやめへ。研究活動への影響も懸念。[NHK]
- 大阪市
- 城東区・大阪公立大学森之宮キャンパスで、事業開始後に想定外の埋蔵文化財や地下埋設物、不発弾など。予定の開設時期に間に合わず、2025年4月の開設予定を半年間延期。
▶大阪公立大学森之宮キャンパスの開設延期及び工業高等専門学校の移転延期について [大阪公立大学] - 岡山市
- 造山古墳(つくりやまこふん)をLiDARで調査。古墳築造に、周辺の地形が関係していることが明らかに。周囲に凹みがあり、周濠が存在した可能性。5世紀の前方後円墳。
cf. Jun Mitsumoto, Joseph Ryan, Yuji Yamaguchi and Akira Seike (2022) LiDAR survey of the fifth-century Tsukuriyama mounded tomb group in Japan. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core] - 岡山市
- 岡山県立美術館と岡山県立図書館は、指定管理者の公募に当初は応募がなく、管理料を増額してようやく、美術館に5事業者、図書館に3事業者が応募。[山陽新聞]
- 福岡県
- 太宰府市・大宰府条坊跡(だざいふじょうぼうあと:第346次調査)で、奈良時代の掘立柱建物跡、柵跡、溝跡。土器、瓦、漆紙が出土。太宰府市教育委員会の調査。12/24現地説明会。
▶発掘調査の現地説明会をおこないます [太宰府市]
▼大宰府条坊跡関連記事→2018年8月20日 - 沖縄県
- 沖縄市・大工廻八所集落跡(だくじゃくやとぅくるーしゅうらくあと)で、戦前の民家の遺構や香炉など。アメリカ軍嘉手納弾薬庫に所在。[TBS]
- 中国
- 内モンゴル自治区 開魯県にある恒源牧場で、遼時代の墓3基。金銀器、銅器、漆器、石器、鉄器、土器が出土。[中国新聞網]
- ハンガリー
- 木の年輪から当時の気候を再構築。ドナウ地域のローマの属州で430年代〜450年代の深刻な干ばつにより穀物生産や牧草の生育が減少し、経済を破壊。フン族(Huns)が中央ヨーロッパに侵入する原因に。
▶Drought encouraged Attila’s Huns to attack the Roman empire, tree rings suggest[University of Cambridge]
cf. Susanne E. Hakenbeck and Ulf Büntgen (2022) The role of drought during the Hunnic incursions into central-east Europe in the 4th and 5th c. CE. Journal of Roman Archaeology, First View, pp. 1 - 21. [Cambridge Core] - ドイツ
- ニーダーザクセン州(Land Niedersachsen)シェーニンゲン(Schöningen)でゾウの骨角製とともに出土した、前期旧石器時代・30万年前の微小なフリント石材の剥片57個と、石器調整用の骨器3点を分析。剥片の15点には木材を切った痕跡、1点には動物組織(おそらくゾウ)を切った使用痕。[Phys.Org]
cf. Flavia Venditti, Bárbara Rodríguez-Álvarez, Jordi Serangeli, Stella Nunziante Cesaro, Rudolf Walter & Nicholas J. Conard (2022) Using microartifacts to infer Middle Pleistocene lifeways at Schöningen, Germany. Scientific Reports, volume 12, Article number: 21148. [Scientific Reports] - UK(イングランド)
- ウィルトシャー州(the county of Wiltshire)アプトン・ロヴェル(Upton Lovell)で青銅器時代・ウェセックス文化(Wessex Culture)・紀元前1850年〜前1700年の墓から1802年に出土した副葬品を再分析。5つの遺物に微小な金の痕跡を確認。使用痕から見て、金を加工した証拠。従来はシャーマンの墓とみなされていた。[The Guardian]
▼G2a号墓
cf. Rachel J. Crellin, Christina Tsoraki, Christopher D. Standish, Richard B. Pearce, Huw Barton, Sarah Morriss and Oliver J.T. Harris (2022) Materials in movement: gold and stone in process in the Upton Lovell G2a burial. Antiquity, First View, pp. 1 - 18. [Cambridge Core]
2022年12月15日(木)
- 茨城県
- 土浦市・武者塚古墳(むしゃづかこふん)で直線の溝を確認。22m四方の方墳と推定。古墳時代終末期・7世紀中期。従来は円墳とみなされていた。土浦市教育委員会と筑波大学の調査。12/18現地説明会。[茨城新聞]
▶武者塚古墳の現地説明会を開催します[上高津貝塚ふるさと歴史の広場考古資料館]
▼武者塚古墳関連記事→2012年9月27日 - 京都市
- 南区・東寺(教王護国寺)の南大門で、門をペットボトルのようなもので叩いていた男が、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕。南大門の壁面にへこみ傷約20か所。文化財保護法違反の疑いでも捜査。[共同通信]
- 和歌山県
- 美浜町・吉原遺跡で弥生時代中期から古墳時代初めごろの方形周溝墓や古代の火葬墓。公益財団法人和歌山県文化財センター12/14発表。12/17現地説明会。[朝日新聞]
- 島根県
- 松江市・名分丸山1号墳(みょうぶんまるやまいちごうふん)で、後方部の墳頂から埋葬施設2か所を確認。儀礼に用いられた土器が出土し、4世紀前半。前方部前端が大きく平面形。古墳時代前期の前方後方墳、40m。島根県古代文化センターの調査。12/18現地説明会。
▶137 名分丸山(みょうぶんまるやま)1号墳で埋葬施設を確認 [島根県] - 香川県
- 坂出市・讃岐国府跡(さぬきこくふあと)で、古代の溝状遺構など。香川県埋蔵文化財センターの調査。1/7現地説明会。
▶讃岐国府跡発掘調査現地説明会を開催します。 [香川県埋蔵文化財センター]
▼讃岐国府跡関連記事→2020年10月30日 - 韓国
- 慶尚南道 咸安郡 漆西面・武陵山城 (ムルンさんじょう)が、 6世紀中ごろに新羅が築城した石積み山城とわかる。新羅の西進に関連した拠点。[慶南日報]
- フランス
- ノルマンディー地域圏(Normandie)カルヴァドス県(Calvados)ジョール(Jort)で、ガリア時代末の子供の墓と、中世・10〜13世紀の居住跡。中世の貯蔵庫からはヤギの骨で作った笛。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Une nécropole d’enfants de la fin de l’époque gauloise et des vestiges d’habitat médiévaux à Jort (Calvados) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - エジプト
- アマルナ(Amarna)の北の王宮(North Palace)の「緑の間」(Green Room)に描かれた第18王朝・紀元前14世紀末の壁画について、1920年代に作られた模写を利用し、鳥の種を同定。アマルナは第18王朝・アクエンアテン王(Akhenaten)の都アケトアテン(Akhetaten)。
cf. Christopher M. Stimpson and Barry J. Kemp (2022) Pigeons and papyrus at Amarna: the birds of the Green Room revisited. Antiquity, First View, pp. 1 - 16. [Cambridge Core] - アフリカ
- アフリカ全土の100以上の遺跡について、アフリカ中期石器時代(Middle Stone Age)・50万年前〜4万年前の黄土(ochre)の出土例を分析し、明らかな3段階、「initial phase」(50万年前〜33万年前)、「emergent phase」(33万年前〜16万年前)、「habitual phase」(16万年前〜4万年前)を認識。黄土を出す遺跡は徐々に増加し、空間的にも広がる。アフリカの南部、東部、北部では16万年前以降、習慣的な使用が始まり、ホモサピエンスによる祭祀行為の増加を示す。
cf. Rimtautas Dapschauskas, Matthias B. Göden, Christian Sommer & Andrew W. Kandel (2022) The Emergence of Habitual Ochre Use in Africa and its Significance for The Development of Ritual Behavior During The Middle Stone Age. Journal of World Prehistory. [SpringerLink] - カナダ
- オンタリオ州(Province of Ontario)南部のナイアガラ半島(Niagara Peninsula)にあるマウント・アルビオン・ウェスト遺跡(Mt. Albion West)で出土した1万年前ごろの石器に残された有機物や使用痕から使用方法を推定。長鼻目(proboscideans)=ゾウとイヌ科に関連。ゾウを解体していた可能性。
cf. Ronald F. Williamson, Peter L. Storck, Danielle A. Macdonald, Cam Walker, John L. Fagan, Andrea Carnevale, Andrew Stewart, Peter H. von Bitter, Robert I. MacDonald (2022) New insights into early paleoindian (Gainey) associations with proboscideans and canids in the niagara peninsula, southern ontario, canada. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103785. [ScienceDirect]
2022年12月14日(水)
- 愛知県
- 豊橋市・三ツ山古墳(みつやまこふん)の横穴式石室は、埋葬が最初の1回だけ。入口の石積みに取り外された痕跡なし。6世紀前葉の前方後円墳、38m。豊橋市文化財センター12/13発表。12/25現地説明会。[東日新聞]
▼三ツ山古墳関連記事→2000年7月11日 - 兵庫県
- 三木市・三木城二の丸跡で、出入り口となる内枡形虎口を形成する堀を発見。三木合戦後の改修。三木市立みき歴史資料館の調査。12/24現地説明会。
▶三木城二の丸跡の発掘調査現地説明会を開催 [三木市] - 鳥取県
- 琴浦町・斎尾廃寺跡(さいのおはいじあと)の南側の区画溝で、溝を掘り直した跡。斎尾廃寺跡は7世紀後半の創建と考えられ、法隆寺と同じ伽藍配置。9世紀ごろまで存続。琴浦町教育委員会の調査。[朝日新聞]
▼鳥取県東伯郡琴浦町
▼斎尾廃寺跡関連記事→2022年12月7日 - 熊本県
- 水俣市・久木野山上遺跡で、石器やその石材、縄文早期の土器片など。水俣市教育委員会の調査。12/17現地説明会。
▶水俣市久木野山上遺跡発掘調査現地説明会のお知らせ [水俣市] - 沖縄県
- 那覇市・航空自衛隊那覇基地の敷地内から古い墓群。「宮城村」と書かれた厨子甕が出土し、戦前あった宮城村集落の人びとの墓群と推定。那覇市の調査。[NHK]
- 韓国
- 忠清北道 陰城郡にある100年前の韓屋聖堂が撤去される恐れ。1910年に最初に茅葺の聖堂が建てられ、信者の念願で1923年に礼拝堂が建てられた。ステンドグラスなども設置されている。韓屋聖堂は典型的な韓屋の特徴を備えつつ、ヨーロッパのバシリカ様式を再現した、韓国だけの建築様式であるが、文化財としての保護を受けておらず、維持が困難に。[MBC]
- 韓国
- 忠清南道 扶余郡 扶余邑 軍守里・軍守里寺址(クンスリじし)で、中門跡と南回廊跡を確認。[文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼軍守里寺址関連記事→2007年9月14日 - 中国
- 湖南省 郴州市 安仁県 永楽江鎮 排山村・苗竹山墓群で、墓13基を発見。磚室墓10基、土坑墓3基。うち11基は後漢時代の墓。[中国社会科学院考古研究所]
- 中国
- 四川省 成都市・字庫街遺跡で、秦時代の灰坑から簡牘260片。成都で発見されたもっとも古い簡牘。「成都」「西工」などの文字がみられ、秦時代の「蜀郡西工」の位置の手がかり。[中国新聞網]
- 南レヴァント
- メギド遺跡(Megiddo)、ゲゼル遺跡(Gezer)、シロ遺跡(Shiloh)の調査成果から、南レヴァントでは銀の交換手段としての利用が中期青銅器時代末のMBIII期・紀元前1700/1650年〜前1600/1550年にさかのぼる。一方、テル・エル=アジュール遺跡(Tell el-‘Ajjul)では、そのわずか後の中期青銅器時代から後期青銅器時代への移行期・MB/LB期〜LB I期・紀元前1600/1550年〜前1400年まで存続するが、中期青銅器時代の銀がアナトリア産だったのに対し、中期・後期の移行期からはアナトリア・エーゲ・カルパチア産となる。ミュケナイ文明の王墓とテル・エル=アジュール遺跡の銀は、同じ産地からキプロスを経由して入手したとみられる。
cf. Tzilla Eshel, Ayelet Gilboa, Ofir Tirosh, Yigal Erel, Naama Yahalom-Mack (2023) The earliest silver currency hoards in the Southern Levant: Metal trade in the transition from the Middle to the Late Bronze Age. Journal of Archaeological Science, Volume 149, January 2023, 105705. [ScienceDirect]
▼メギド遺跡関連記事→2022年6月1日 - ドイツ
- ラウフハイム市(Lauchheim)のミッテルホーフェン墓地(Mittelhofen)で出土した前期中世・メロヴィング朝・5〜8世紀の70人の被葬者を調査。30%以上が病気にかかっており、7人は2つ以上の病気を併発。古代末期以降の気候変動が影響か。[LiveScience]
cf. Joanna H. Bonczarowska, Julian Susat, Barbara Mühlemann, Isabelle Jasch-Boley, Sebastian Brather, Benjamin Höke, Susanne Brather-Walter, Valerie Schoenenberg, Jonathan Scheschkewitz, Gabriele Graenert, Dirk Krausse, Michael Francken, Terry C. Jones, Joachim Wahl, Almut Nebel & Ben Krause-Kyora (2022) Pathogen genomics study of an early medieval community in Germany reveals extensive co-infections. Genome Biology, volume 23, Article number: 250. [BMC] - デンマーク
- コペンハーゲン首都圏(Region Hovedstaden)のスティーンリュース(Stenløse)で、見つかったボグ・ボディ(bog body)は、フリント製石斧や獣骨などを伴い、新石器時代・5000年以上前の祭祀で生贄となった人物と推定。[LiveScience]
▼スティーンリュースのボグ・ボディ関連記事→2022年12月7日 - エジプト
- ナイル・デルタのアトリビス遺跡(Ἄθρριβις;Athribis;Tell Atrib)の工房で発見された窯はファイアンスを焼成。また、同遺跡で出土したプトレマイオス朝のファイアンス製品7試料を分析。材料の石英は東部砂漠の金鉱山のものに一致。ファイアンスは金鉱山の選鉱後の石英を用いるなど、金生産と関連。
▶Polish scientists reveal what Egyptian faience have to do with gold[Nauka w Polsce]
cf. Jerzy Trzciński, Małgorzata Zaremba, Krzysztof Nejbert and Grzegorz Kaproń (2022) Source of Raw Materials and Its Processing for the Manufacturing of Ptolemaic Faience Bowls from Tell Atrib (Nile Delta, Egypt). Materials, 15(18), 6251. [MDPI]
▼アトリビス遺跡関連記事→2022年2月1日
2022年12月13日(火)
- 埼玉県
- 白岡市・山遺跡(やまいせき:第18地点)で、縄文時代中期の住居跡2棟。白岡市の調査。
▶縄文時代の住居跡を発見しました!(山遺跡第18地点)[白岡市]
▼山遺跡関連記事→2000年9月23日 - 韓国
- 京畿道内の文化財のうち、軍部隊内の非指定文化財214件を、2023年1月から文化財庁の管理から外す。出入りが困難なため。専門家は憂慮。[京畿日報]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- ユダヤ砂漠(Judaean Desert)のWadi Muraabat洞窟で、木製容器から2200年前のマカバイ戦争(Maccabean revolt)のころの銀貨15枚。エジプトのプトレマイオス4世の時に打刻されたもので、彼の叔父アンティオコス4世がセレウコス朝を倒置hしていた。もっとも古く打刻されたものは紀元前176年で、新しいものは紀元前171〜前170年。[The Jerusalem Post]
- パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
- 東エルサレム・ダビデの塔(Tower of David)で、箱の中に入れられたまま忘れられていた銅鏃と鉄鏃60点。マカバイ戦争(Maccabean revolt)のころ。[The Times of Israel]
▼東エルサレムはイスラエルが実効支配している。 - イタリア
- ナポリ(Napoli;Naples)のポジッリポ(Posillipo)にあるパウシリポン考古学公園(Parco Archeologico Pausilypon)のうち、ヴェディウス・ポリオ(Vedius Pollio;紀元前15年死去)の邸宅で、共和制ローマ後期〜アウグストゥス時代・紀元前1世紀の最初の建築段階にさかのぼるモザイク床出土。[Heritage Daily]
- ポーランド
- ヴィエロヴィエシ(Wielowieś)で出土した300年前の謎のネプトゥルヌス像は、ヴロツワフ(Wrocław)のノヴィ・タルク広場(plac Nowy Targ)の噴水を装飾していたもの。ヨハン・バプティスタ・レンバーガー(Johann Baptista Lemberger)の作で、1732年設置。[The First News]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)マンヒンク(Manching)の2000年前のケルト人集落オッピドゥム(Oppidum)で、土器片が道具に再利用したり、樽を井戸枠に再利用した証拠。[Stern]
- フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)エーヌ県(Aisne)のヴィレ=コトレ(Villers-Cotterêts)の城では、フランソワ1世(Fran)の時代の遺構が中世にさかのぼる遺構とが組み合わさっていた。
▶Archéologie du bâti à Villers-Cotterêts [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - デンマーク
- 前期鉄器時代の湿地の祭祀場10遺跡で出土した獣骨154点の放射性炭素年代。各遺跡の祭祀への仕様は鉄器時代に限定され、紀元前5/4世紀にはじまり、800年間。堆積層の中の獣骨は99%が家畜。動物の種は意図的に選ばれていた。
cf. Jacob Kveiborg, Jesper Olsen (2023) Targeted radiocarbon dating of animal bones from ritual wetland depositions in early Iron Age (Denmark). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103766. [ScienceDirect] - エジプト
- ミニヤー県(Minya Governorate)アマルナ(Tell El-Amarna)の古代エジプト第18王朝の成人女性の墓から、金や凍石の宝飾品。アマルナはアクエンアテン王の都。[Ahram Online]
▼アマルナ関連記事→2019年12月11日 - ジンバブエ
- グレート・ジンバブエ遺跡(Great Zimbabwe)での水の使用を研究。2千年紀中ごろの集落出現以降、大型のダッカピット(dhaka pit)を水の管理に利用。気候に応じた採水と貯水を行い、泉や井戸の利用も、水不足を防ぐために継続。
▶ Innocent Pikirayi, Federica Sulas, Bongumenzi Nxumalo, Munyaradzi Elton Sagiya, David Stott, Søren M. Kristiansen, Shadreck Chirikure, Tendai Musindo (2022) Climate-smart harvesting and storing of water: The legacy of dhaka pits at Great Zimbabwe. Anthropocene, Volume 40, December 2022, 100357. [ScienceDirect]
▼グレート・ジンバブエ遺跡関連記事→2021年10月21日 - メキシコ
- アステカ時代(Aztec)、山々を観測所として利用し、シエラ・ネバダ山脈(Sierra Nevada)から昇る朝日を記録することで太陽を正確に観測して農業暦を作る。写本や神殿での遺構の配置から推定。
▶Precise solar observations fed millions in ancient Mexico [University of California, Riverside]
cf. Exequiel Ezcurra, Paula Ezcurra, and Ben Meissner (2022) Ancient inhabitants of the Basin of Mexico kept an accurate agricultural calendar using sunrise observatories and mountain alignments. Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 119, No. 51, e2215615119.[PNAS]
2022年12月12日(月)
- 鹿児島県
- 西之表市・馬毛島の、石器とみられる遺物が発見された場所周辺について、鹿児島県教育委員会は、周知の埋蔵文化財包蔵地とし、名称を「八重石遺跡(やえいしいせき)」と決定。[南日本新聞]
▼馬毛島関連記事→2022年11月25日 - 韓国
- 慶尚北道 高霊郡 大伽倻邑 池山里の主山城の南側の峰で、大加耶・6世紀の祭儀施設とみられる祭壇と石積み。周囲270m、幅40〜60m。大加耶の祭儀施設は、昨年見つかった大伽倻邑 延詔里の例に続く2例目。[NEWSIS]
- オマーン
- ムサンダム特別行政区(Musandam governorate)ディバー(Dibba)の大型墓CG2で紀元前1千年紀の香炉、銅斧、銅製品、凍石製品などの遺物。大型墓CG2は長さ24m、深さ3m以上。インド、ペルシャ、メソポタミアなどとの交易拠点。[Times of Oman]
- パレスチナ
- ガザ地区でローマ時代の墳墓63基。ガザ地区を支配するハマス政権当局による。[The Jerusalem Post]
- フィンランド
- トゥルク(Turku)のハーガ地区(Haaga)で、アウラ川(Aurajoki;Aura River)近くの岩山の頂上に、青銅器時代・紀元前1500年〜前500年の積石塚(cairn)。10m×7m。[yle]
2022年12月11日(日)
- 沖縄県
- 糸満市・「轟の壕」の周辺での落石による事故を防止するため、2023年4月以降、観光ボランティアガイド友の会による案内を中止。民有地であるため市による土地の取得や整備も困難。沖縄戦末期に避難民や敗残兵が隠れ、沖縄県庁が解散した場所。[琉球新報]
- イラン
- アルダビール州(Ostān-e Ardabīl)のオルタン砦(Oltan)の近くでサーサーン朝の墓地。砦に住む人により使用されたとみられる。[Tehran Times]
▼オルタン砦関連記事→2022年9月22日 - イスラエル
- ヨルダン川上流のNahal Mahanayeem Outletで出土した中期旧石器時代後半のルヴァロワ・ポイント(Levallois points)について、衝撃破壊を研究し、武器の速度が遅かったと推定。
cf. Alla Yaroshevich, Maya Oron, Gonen Sharon (2023) Big-game hunting during the late Middle Paleolithic in the Levant: Insights into technology and behavior from Nahal Mahanayeem Outlet, Upper Jordan River, israel. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103777. [ScienceDirect] - トルクメニスタン
- コペトダグ山脈(Köpetdag;Kopet Dag)の山麓地域にあるIlgynly-Depe遺跡で、前期銅石器時代・紀元前3千年紀初めの層から、トラの骨2点を発見。動物の皮をはぐときの特徴的な傷があり、最初のトラ猟の証拠。
cf. Aleksei K. Kasparov, Natalia F. Solov'yova (2022) First evidence of hunting a tiger in the Early Eneolithic of the foothill zone of the Kopet Dagh. International Journal of Osteoarchaeology. [Wiley Online Library] - ポーランド
- ヴィエルコポルスカ県(Województwo wielkopolskie)ブルシュチェボ(Bruszczewo)の防御性集落で、前期青銅器時代に金製品を作った証拠。大型石器によって、金属を加工した可能性。中央ヨーロッパでは金は産出せず、前期青銅器時代・紀元前2200年〜前1800年に金などの金属製品の生産は有力な拠点集落に限られていた。
cf. Johannes Müller, Selina Delgado-Raack, Nicolau Escanilla, Lorenz Kienle, Jutta Kneisel, Janusz Czebreszuk, Mateusz Jaeger, Marzena Szmyt, Ulrich Schürmann (2023) First evidence for the forging of gold in an Early Bronze Age Site of Central Europe (2200–1800 BCE). Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103748. [ScienceDirect]
▼ブルシュチェボ関連記事→2015年12月23日 - スペイン
- イベリア半島北東部の前期新石器時代・紀元前6千年紀後半〜前5千年紀前半の土器168点を分析。10遺跡で、わずかながらマツ科(Pinaceae)の樹脂の存在を確認。針葉樹の樹脂が土器に付着していた一方で、当時の燃料としては別の樹種が選択されたと考えられているので、樹脂は土器の内容物であったか、土器焼成後の防水加工で用いられた可能性があり、同時代特有の接着技術の存在が示唆される。
cf. Adrià Breu, Antoni Rosell-Melé, Carl Heron, Ferran Antolín, Ferran Borrell, Manel Edo, Marta Fontanals, Miquel Molist, Núria Moraleda, Francesc Xavier Oms, Carles Tornero, Josep Maria Vergès, Oriol Vicente a, Anna Bach-Gómez (2023) Resinous deposits in Early Neolithic pottery vessels from the northeast of the Iberian Peninsula. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 47, February 2023, 103744. [ScienceDirect]
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