2022年7月31日(日)
- 奈良県
- 奈良市・興福寺で、興福寺創建期の築地塀跡と、中世以降の改修の跡。奈良文化財研究所の調査。[奈良新聞]
- オランダ
- オランダで発見されたローマ時代の立方体の骰子28個について、非対称性を分析。ゲルマン人のフリシイ族(Frisii)のサイコロと、非対称性の頻度は同じ。1と6の目が広い面に描かれる頻度が高い。23人の学生によって実験したところ、非対称の骰子を与えられた彼らは、最も広い面に1や6の目を描く割合が大きかった。ローマ時代の非対称な骰子は、いかさまのために作られたわけではなく、特に気にせず作ったら1や6が広い面になってしまった。ローマ人は、骰子の目は神の意思であり、コントロールできないと考えていた。[Haaretz]
cf. Jelmer W. Eerkens & Alex de Voogt (2022) Why are Roman-period dice asymmetrical? An experimental and quantitative approach. Archaeological and Anthropological Sciences, volume 14, Article number: 134. [SpringerLink]
2022年7月30日(土)
- 奈良県
- 奈良市・平城宮跡の内裏東方東大溝地区で出土した木球は、西洋のポロに似た遊戯「打毬」に使われた可能性。[共同通信]
- インド
- アーンドラ・プラデーシュ州(Andhra Pradesh)南部のハヌマントゥニパドゥ遺跡(Hanumanthunipadu)で中期更新世・24万7000年前の石器。中期旧石器時代のルヴァロワ石核、尖頭器、剥片が出土。
cf. Devara Anil, Naveen Chauhan, P. Ajithprasad, Monika Devi, Vrushab Mahesh, Zakir Khan (2022) An Early Presence of Modern Human or Convergent Evolution? A 247 ka Middle Palaeolithic Assemblage from Andhra Pradesh, India. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 45, October 2022, 103565. [ScienceDirect] - トルコ
- イズミル県(İzmir il)の古代都市スミュルナ(Σμύρνα;Smyrna)劇場跡の東側出入り口ウォミトリウム(vomitorium)から、2世紀に作られた聖霊サテュロス(Σάτυρος;Satyrus)像の頭部。[Arkeonews]
- スペイン
- マラガ県(Provincia de Málaga) アンテケーラ(Antequera)のメンガ・ドルメン(Dolmen de Menga;Menga Dolmen)について、複数の方法で年代測定。築造年代は新石器時代・紀元前3800年〜3600年と判明。[El País]
▼メンガ・ドルメン関連記事→2020年9月21日 - エジプト
- アブ・ゴラブの神殿(Abu Ghorab)で、古代エジプト第5王朝のニウセルラー王(Niussere)の日干し煉瓦。第5王朝の4つの太陽の神殿(solar temple)の一つである可能性。[Egypt Today]
- USA
- オレゴン州(State of Oregon)グラント郡(Grant County)プレーリー・シティ(Prairie City)に1912〜1930年にあった製材会社の町ベイカー・ホワイト・パイン・ミル(Baker White Pine Mill)の跡で、日本人家族の痕跡。[KUOW]
2022年7月29日(金)
- 山梨県
- 中央市・二又第1遺跡(ふたまただいいちいせき)で、15世紀の集落。石列や溝で区画された屋敷群。山梨県埋蔵文化財センターの調査。8/6、9/4現地説明会。
二又第1遺跡発掘調査現場公開 [山梨県埋蔵文化財センター]
▼二又第1遺跡関連記事→2021年3月11日 - マリアナ諸島
- マリアナ諸島で発見された、紀元前1500年ごろのタカラガイ(cowrie)の殻で作った遺物は、タコ漁のためのルアー。繊維の紐で石錘と釣り針につなげる。この種の遺物として世界最古。チャモロ人(CHamoru)が、新しい環境に適応する中で考案か。
MARC study: Octopus lures from the Marianas are the oldest in the world [University of Guam]
cf. Mike T. Carson & Hsiao-chun Hung (2021) Let’s catch octopus for dinner: ancient inventions of octopus lures in the Mariana Islands of the remote tropical pacific. World Archaeology, Volume 53, Pages 599-614. [Taylor & Francis Online] - アフガニスタン
- バーミヤン遺跡の東大仏から見つかった胎内経と麻袋が、昨年8月のタリバン福建語に盗まれていた。[共同通信]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のシオン山(Mount Zion)で、新石器時代・7000年前のフリント製の石鏃。エルサレムで最古の出土品。[Haaretz]
- トルコ
- アドゥヤマン県(Adıyaman ili)ギョルバシュ郡(Gölbaşı)Örenli 村で、盗掘をきっかけに、ローマ時代・1700年前の大型墓を発見。岩に彫り込んだ墓壙から人骨27体出土。[Arkeonews]
- チェコ
- モラヴィア地方(Moravia)の、後期銅石器時代・縄目文土器文化(Corded Ware culture)の墓から出土した人骨と、青銅器時代の集落から出土した人骨を分析。2つの試料の間で生物浸食(bioerosion)の在り方に違いがあり、墓の出土品ではほとんど見られない。生物浸食の差で墓を識別できる可能性。
cf. Anna Pankowská, Andrea iková, Jaroslav Kapusta, Martin Moník (2022) Variation in human bone bioerosion during the Late Eneolithic/Bronze Age in Moravia (Czech Republic): A novel approach to BSE-SEM image quality and quantity assessment. Archaeometry. [Wiley Online Library] - イタリア
- サルデーニャ島(Sardegna;Sardinia)で出土した、フェニキア(Phoenician)とカルタゴ(Punic)・紀元前8〜前3世紀の土器片368点を分析。ローマ以前のハチの巣(beehive)製品の直接証拠。蜂蜜(beeswax)のデカンテーションに用いられた可能性のある器種も特定。
cf. Leonardo Bison, Mélanie Roffet-Salque, Massimo Botto, Emanuele Madrigali, Gianfranca Salis, Lucy J. E. Cramp (2022) Direct evidence of the use of beehive products in pre-Roman Sardinia. Archaeometry.[Wiley Online Library] - スイス
- アールガウ州(Kanton Aargau)メリンゲン(Mellingen)で、1230年に建てられた円形の塔「魔女の塔」(Hexenturm)の周辺から12世紀にさかのぼる遺物。[Aargauer Zeitung]
- スイス
- ウーリ州(Kanton Uri) シャットドルフ(Schattdorf)で1520年の納骨堂。スペインの巡礼地カラバカ・デ・ラ・クルス(Caravaca de la Cruz))の十字架出土。付近のベツリンゲン(Bötzlingen)では16〜18世紀の硬貨25枚。 アルトドルフ(Altdorf)では中世の暖炉や舗装の他、14世紀のジェノバの金貨、ローマ時代の土器。[Luzerner Zeitung]
- フランス
- グラン・テスト地域圏(Grand Est)オー=ラン県(Haut-Rhin)コルマール(Colmar)のサン・マルタン大聖堂(cathédrale Saint-Martin)近くで、中世・1212年ごろの墓地を囲む塀。河原石を積んでモルタルで固める。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Un ancien mur d'enclos du cimetière médiéval mis au jour à Colmar (Haut-Rhin)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - スペイン
- カタルーニャ州(Cataluña)リェイダ県(Província de Lleida)ラ・ノゲラ(La Noguera)のコバ・グラン・デ・サンタ・リーニャ遺跡(Cova Gran de Santa Linya)で、後期旧石器時代・14000年前のヤギの姿を線刻された石板。持ちこまれた石灰岩にフリントで刻む。[El Español]
▼コバ・グラン・デ・サンタ・リーニャ遺跡関連記事→2021年8月7日
2022年7月28日(木)
- 茨城県
- 那珂市・下大賀遺跡(しもおおがいせき)で、古墳時代時代や奈良・平安時代の集落跡。茨城県教育財団の調査。8/22現地説明会。
令和4年度発掘調査現地説明会のお知らせ下大賀遺跡[発掘情報いばらき]
▼下大賀遺跡関連記事→2018年6月14日 - 栃木県
- 大田原市・東山道駅路(とうさんどうえきろ)で、以前に確認された区画溝の内側に新たな区画溝を確認。2つの溝は南北方向に平行し、同時期の可能性が高い。大田原市教育委員会の調査。[下野新聞]
▼東山道駅路関連記事→2021年12月17日 - 京都市
- 東山区・妙法院庫裏(みょうほういんくり)で、16世紀末のかまど跡。豊臣秀吉が1595年に大規模な先祖供養を行った際のものである可能性。京都府教育委員会7/28発表。[産経新聞]
- イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)マルヴダシュト郡(Marvdasht)ゴルマカーン(Golmakan)で、原エラム(Proto-Elamite)・バネシュ期(Banesh)の土器2点。[Tehran Times]
- デンマーク
- ヴァイキング時代の高位の墓6基から出土した毛皮のケラチンを分析し、アメリカビーバー(North American beaver;Castor canadensis)の毛皮など、北米の種を含むことを確認。毛皮貿易の証拠。
cf. Luise Ørsted Brandt, Alberto J. Taurozzi, Meaghan Mackie, Mikkel-Holger S. Sinding, Filipe Garrett Vieira, Anne Lisbeth Schmidt, Charlotte Rimstad, Matthew J. Collins, Ulla Mannering (2022) Palaeoproteomics identifies beaver fur in Danish high-status Viking Age burials - direct evidence of fur trade. PLOS ONE, 17(7): e0270040. [PLOS ONE] - UK(イングランド)
- ベッドの上に遺体を葬るベッド葬(bed burial)は、7世紀にキリスト教の普及とともにイングランドに伝播。ヨーロッパ全域、スロバキアからイングランドまでのベッド葬72基を調査。イングランドのベッド葬は女性に限られる。イングランドのトランピントン(Trumpington)などの例では十字架を副葬。イングランドの3例では同位体分析により、女性たちはイングランド以外の出身。キリスト教徒の女性が非キリスト教徒の男性と結婚したことによりベッド葬がイングランドに普及。最古のベッド葬は5世紀の東ヨーロッパに始まり、6〜7世紀にヨーロッパ大陸に広まる。[LiveScience]
cf. Emma Brownlee (2022) Bed Burials in Early Medieval Europe. Medieval Archaeology, Volume 66, Issue 1, Pages 1-29. [Taylor & Francis Online] - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)ティシミン市(Tizimín)・クルバ遺跡(Kulubá)が、観光資源となるはずが、修復は進まず、アクセスも悪いまま。州知事も交代し、放置された状態。[Mexico News Daily]
▼クルバ遺跡関連記事→2022年1月11日
2022年7月27日(水)
- 福岡県
- 朝倉市・山後山古墳群(やまのうしろこふんぐん)で古墳5基。副葬品として土器や馬具が出土。朝倉市教育委員会の調査。8/7現地説明会。
▶山後山(やまうしろやま)古墳群 現地説明会について[朝倉市] - 韓国
- 忠清北道 忠州市 中央塔面 楼岩里・楼岩里古墳群タ-11号墳は、円墳、10m。斜面に石列・石築施設で平坦面を作り、石室を築造して土をかぶせ、護石・内護石をめぐらす。石室は方形で中央羨道。楼岩里古墳群は、6世紀中ごろに新羅が漢江流域に進出したことを示す遺跡。国立中原文化財研究所の調査。[文化財庁]
▼国立中原文化財研究所は2024年5月17日から国立中原文化遺産研究所
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼楼岩里古墳群関連記事→2008年11月25日 - サウジアラビア
- ルブアルハリ砂漠(Rub al-Khali)の端にあるアル・ファーウ遺跡(Al-Faw)で、岩に彫りこんで作った石造りの神殿跡。祭祀や儀式を行った場所とみられ、碑文も伴う。アル・ファーウ遺跡はキンダ王国(Kingdom of Kindah)の都だった遺跡。また、新石器時代・8000年前の集落も発見。[Saudi Gazette]
- フランス
- ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏(Bourgogne-Franche-Comté)コート=ドール県(Côte-d'Or)ディジョン(Dijon)で、1世紀〜20世紀初頭の居住痕跡。
▶2000 ans d’occupation sous la cour de la Préfecture à Dijon (Côte-d’Or)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - USA
- メリーランド州(State of Maryland) ハワード郡(Howard County) エルクリッジ(Elkridge)で、18〜19世紀に奴隷が生活した小屋2棟を調査。[WJLA]
- USA
- ユタ州(State of Utah) にある米国空軍の訓練場ユタ・テスト・アンド・トレーニング・レンジ(Utah Testing and Training Range)内で、更新世(Pleistocene)のヒトの足跡88個。成人と子供のものがあり、家族とみられる。浅い水の中を歩き、すぐに砂で足跡が埋まったとみられるが、遺跡はグレートソルトレイク砂漠(Great Salt Lake Desert)内にあり、浅い水がたまるような環境は最近1万年間にはなかった。足跡は12000年以上前。
▶Ice Age human footprints discovered in Utah desert[Cornell University]
2022年7月26日(火)
- 愛知県
- 豊橋市・境松遺跡(さかいまついせき)で、弥生時代後期〜古墳時代前期の竪穴建物跡群や独立棟持柱をもつ掘立柱建物跡。
▶境松遺跡の現地説明会を開催します[豊橋市文化財センター]
▼境松遺跡関連記事→2019年12月14日 - 三重県
- 名張市・薦生遺跡(こもおいせき)で、奈良時代の竪穴建物、中世の柱穴や井戸など。中世の柱穴や井戸は、「薦生庄」(こもおのしょう)の実態を知る上で貴重な成果。三重県埋蔵文化財センターの調査。8/6現地説明会。
▶薦生遺跡(名張市薦生)で発掘調査現地説明会を開催します[三重県]
▼薦生遺跡関連記事→2021年7月20日 - 三重県
- 亀山市 昼生地区で、太平洋戦争末期に海軍が掘ったとみられる地下壕2か所。[中日新聞]
- 神戸市
- 東灘区・住吉宮町遺跡(すみよしみやまちいせき)で、5世紀後半〜6世紀後半の古墳群。6世紀の洪水に覆われた7基。6世紀後半に整地を行い墓域を整備。飛鳥〜奈良時代、鎌倉時代の集落。神戸市の調査。7/30現地説明会。
▶東灘区住吉宮町遺跡発掘調査現場の公開[神戸市]
▼住吉宮町遺跡関連記事→2021年4月21日 - 韓国
- 京畿道 坡州市 積城面 舟月里・六渓土城(ユッケどじょう)で、版築技法を確認。風納土城と共通点と相違点。百済初期・3世紀後半〜4世紀前半に築造されたと確認。国立文化財研究院7/26発表。六渓土城は、蛇行する臨津江に臨む突出部に所在する平地土城。[聯合ニュース]
▼六渓土城関連記事→2000年10月12日 - トルコ
- アンタルヤ県(Antalya il)アランヤ郡(Alanya)にあった古代都市シエドラ(Σύεδρα;Syedra)で164平方メートルの1つの画面にヘラクレス(Ηρακλής;Hercules)の12の功業(12 labors)を表すモザイク床。[Arkeonews]
▼シエドラ関連記事→2020年12月2日 - キルギス
- キルギスで、鉄道建設中に、スキタイ(Scythian)の墳墓を発見。[24kg]
- ドイツ
- リューベク(Lübeck)のトラーヴェ川(Trave)の水深11mの川底で、17世紀の沈没船。長さ20m、幅8mの木造で、典型的な貨物船。シュレースヴィヒ=ホルシュタイン(Schleswig-Holstein)産のオーク材とスウェーデン産の松材を用いる。積み荷の樽には生石灰。
▶Sensationsfund in der Trave[Hansestadt Lübeck] - UK(イングランド)
- ヘレフォードシャー州(Herefordshire)のウェリントン・クオーリ(Wellington Quarry)で、アングロ・サクソン時代・9世紀前半と700年ごろの水車。マーシア王オッファ(King Offa)の治世・757〜796年に使われていた可能性も。[Gloucestershire Live]
- 授賞
- 第34回濱田青陵賞に、堀大介・佛教大学歴史学部歴史文化学科教授。受賞理由は「考古学に立脚した古代地域史像及び初期神仏習合・白山信仰史の学際的研究」。
▶報道発表『第34回濱田青陵賞受賞者の決定』[岸和田市]
2022年7月25日(月)
- 京都府
- 京丹後市・靍尾遺跡(つるおいせき)で、奈良時代の掛け算の九九が表裏に書かれた木簡1点、公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター7/25発表。[共同通信]
- ベトナム
- タインホア省(Thanh Hoa)にある胡朝の城塞(Ho Dynasty Citadel)で、「王の道」(Ngu Dao)を確認。緑の石で埋め、粘板岩で舗装。瓦、磚など出土。[Nhân Dân]
▼胡朝の城塞関連記事→2022年2月10日 - イラン
- ヴァラミン平原(Varamin Plain)のAhmadabad-e Kuzehgaran 遺跡と Chaltasian 遺跡で出土した銅石器時代・シアルクIII期(Sialk III Period)の彩色土器を研究し、テペ・シアルク(Tappeh Sialk)と同時期であることを示す。
cf. Nolwen Rol, Reinhard Bernbeck, Lisa Wolff-Heger, Hassan Akbari, Morteza Hessari, Susan Pollock & Daniel Schäfer (2022) Chalcolithic Painted Pottery of the Sialk III Period: Quantifying Stylistic Continuities and Changes on the Northern Central Plateau. Iran. [Taylor & Francis Online] - イラン
- ファールス州(Ostān-e Fārs)マルヴダシュト郡(Marvdasht)のファールーク村(Faruq)で、サーサーン朝(Sassanid)の石造りの柱の基礎。[Tehran Times]
- イスラエル
- ハイファ(Haifa)沖の海底で、ローマ皇帝アントニヌス・ピウス(Antoninus Pius)の治世・144年または145年にアレクサンドリアで打刻された銅貨。裏面に月の女神ルナ(Luna)と、かに座(Cancer)を表す。
Spectacular rare coin depicting the moon goddess discovered off the Carmel coast[Arutz Sheva]
2022年7月24日(日)
- ブルガリア
- ルセ州(Русенска област;Rucenska Oblast) メチカ村(Мечка;Mechka)にあるローマ時代の砦トリマムミウム(Trimammium)がトレジャーハンターに荒らされたことを受けて、ブルガリアと英国の専門家が救済発掘。砦トリマムミウムは、ドナウ沿いのローマ国境を守るため2世紀末に建設。[Novinite]
▼トリマムミウム関連記事→2018年1月10日
2022年7月23日(土)
- 三重県
- 松阪市・松坂城跡(まつさかじょうあと)で、中御門跡に排水溝を確認。また、金の間櫓跡の石垣の内部にたくさんの石が詰められていた。松阪市の調査。7/24現地説明会。[中日新聞]
- 京都市
- 伏見区・淀藩家老屋敷では、18世紀末に砂でかさ上げした地盤に、石柱を使った関東特有の免震構造で再建されていた。公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所の調査。[産経新聞]
- ロシア
- シベリアのイヌは、中期完新世までに、更新世のオオカミよりもはるかに小さくなり、小型の獲物を捕食するようになる。犬の炭素と窒素の同位体分析によると、イヌの食生活は更新世のオオカミよりも多様。中期完新世までには海水や淡水の資源を日常的に摂取し、後期完新世にはC4食物に依存するなど、ヒトの食事の残り物に依存するようになる。
cf. ROBERT J. LOSEY, TATIANA NOMOKONOVA, ERIC GUIRY, LACEY S. FLEMING, SANDRA J. GARVIE-LOK, ANDREA L. WATERS-RIST, MEGAN BIERAUGLE, 5PAUL SZPAK, OLGA P. BACHURA, VLADIMIR I. BAZALIISKII, NATALIA E. BERDNIKOVA, NATAL’IA G. DIATCHINA, IAROSLAV V. FROLOV, VADIM V. GORBUNOV, OLGA I. GORIUNOVA, SERGEI P. GRUSHIN, ANDREI V. GUSEV LARISA G. IAROSLAVTSEVA, GRIGORII L. IVANOV, ARTUR V. KHARINSKII, MIKHAIL V. KONSTANTINOV, PAVEL A. KOSINTSEV, EVGENII V. KOVYCHEV, BORIS LAZIN, IURII G. NIKITIN, DMITRI V. PAPIN, ALEXANDR N. POPOV, MIKHAIL V. SABLIN, NIKOLAI A. SAVEL’EV, ARKADY B. SAVINETSKY, AND ALEXEY A. TISHKIN (2022) The evolution of dog diet and foraging: Insights from archaeological canids in Siberia. Science Advances, Vol 8, Issue 29. [Science Advances] - ベラルーシ
- フロドナ州(Гродна;Grodno)ストリエウカ(Стрыеўка;Striyevka)にあった、第二次世界大戦中の抵抗組織ポーランド国内軍(Armia Krajowa;Home Army)の記念碑が破壊されていることについて、ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相(Mateusz Morawiecki)がベラルーシを強く批判。[The First News]
- フランス
- グラン・テスト地域圏(Grand Est)ムルト=エ=モゼル県(Meurthe-et-Moselle)モントルー(Montreux)で、ガリア時代・紀元前2世紀の土器。14世紀の荘園の屋敷跡と、その後19世紀までの建て替え履歴も判明。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Un manoir seigneurial des XIVe-XIXe siècles à Montreux (Meurthe-et-Moselle)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
2022年7月22日(金)
- 福島県
- 北塩原村・桧原湖の湖底で、墓石の一部や石垣の一部を確認。明治時代に磐梯山の噴火の影響で水没した宿場町「桧原宿」。[NHK]
- イタリア
- 古代ガビイ(Gabii)で出土した、鉄器時代〜アルカイック時代・紀元前8世紀〜前6世紀の炭化した穀物について、植物考古学と同位体分析。穀物の多くはオオムギで、農業生産が強化されたとされるこの時期にも、穀物の選択には大きな変化は認めらない。穀類とマメ類の双方を耕作していた可能性も。
cf. Fanny Gavériaux, Laura Motta, Phyllida Bailey, Mauro Brilli & Laura Sadori (2022) Crop Husbandry at Gabii During the Iron Age and Archaic Period: The Archaeobotanical and Stable Isotope Evidence. Environmental Archaeology. [Taylor & Francis Online] - ポーランド
- ドルヌィ・シロンスク県(Województwo dolnośląskie;Dolny Śląsk;Lower Silesia) レビン・クウォツキ(Lewin Kłodzki)で、初代ポーランド王ボレスワフ1世(Bolesław I)の治世・11世紀前半の騎士のものと見られる長い剣。当時、この地域をめぐってポーランドのピャスト朝(Piasts)はボヘミアと戦っていた。[The First News]
- フランス
- パリ盆地(Bassin parisien;Paris Basin)のバロイ遺跡(Balloy)とヴィニュリ遺跡(Vignely)で出土した中期新石器時代の人骨について、炭素、窒素、硫黄の同位体分析。淡水資源が離乳食(weaning food)に用いられたことを示す。また、蛋白質をベースとした離乳食が一般的。
cf. Christina Cheung, Estelle Herrscher, Aline Thomas (2022) Compound specific isotope evidence points to use of freshwater resources as weaning food in Middle Neolithic Paris Basin. American Journal of Biological Anthropology. [Wiley Online Library] - スペイン
- セビリア(Sevilla;Seville)の古代ローマ都市ヒスパリス(Hispalis)にあるパティオ・デ・バンデラス遺跡(Patio de Banderas,)では、200〜225年に公共建物が大規模に破壊されたが、砂質層とシルト質層が交互になった堆積層がみられ、よその地域の建築の残骸も見られることから見て、3世紀に巨大な津波がセビリアを襲い、海から25マイル内陸に及び、ローマ都市ヒスパリス(Hispalis)を破壊したと解釈。1970年代にエシハ(Écija)=ローマ時代のアスティギ(Astigi)で見つかった245〜253年の銘文でバイティカ属州(Baetica)を免税としていたことがわかっていたが、理由は明らかでなかった。[El País]
cf. Mario Gutiérrez-Rodríguez, José N. Pérez-Asensio, Francisco José Martín Peinado, Enrique García Vargas, Miguel Ángel Tabales, Antonio Rodríguez Ramírez, Eduardo Mayoral Alfaro & Paul Goldberg (2022) A Third Century AD Extreme Wave Event Identified in a Collapse Facies of a Public Building in the Roman City of Hispalis (Seville, Spain). In: Álvarez-Martí-Aguilar, M., Machuca Prieto, F. (eds) Historical Earthquakes, Tsunamis and Archaeology in the Iberian Peninsula. Natural Science in Archaeology. Springer, Singapore. [SpringerLink] - フィンランド
- フィンランド南部のレパー(Lepaa)で出土した、後期中石器時代(Late Mesolithic)の野生のトナカイ(reindeer;Rangifer tarandus)の角を加工した動物形遺物「Lepaa antler」は、物語を語るため影絵芝居(shadow play)のように用いられた可能性。
cf. Marja Ahola & Katri Lassila (2022) Mesolithic shadow play? Exploring the performative attributes of a zoomorphic wild reindeer (Rangifer tarandus) antler artefact from Finland. Time and Mind. [Taylor & Francis Online] - 訃報
- 大塚初重・明治大学名誉教授7/21死去。95歳。考古学者。登呂遺跡などを調査。[共同通信]
2022年7月21日(木)
- 秋田県
- 横手市・堀田1遺跡で平安時代の竪穴建物跡や土坑からなる集落跡。中世以降の掘立柱建物跡や墓跡。横手市教育委員会の調査。7/23現地説明会。
▶堀田1遺跡現地公開の開催について[横手市] - 新潟市
- 秋葉区・潟端遺跡(かたはしいせき)で奈良〜平安時代の集落跡。[新潟日報]
- 新潟県
- 柏崎市・丘江遺跡(おかえいせき)で、鎌倉時代の金箔が押された木製塔婆。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団7/20発表。[新潟日報]
▼丘江遺跡関連記事→2018年8月30日 - 長野県
- 山形村・清水寺古道沿いにあると地元に言い伝えられてきた山城を、山形村史談会が調査。古道の一部が堀切の底を通り、道の横にもう一つの堀切があることや、主郭・副郭を確認。[市民タイムスWEB]
- 島根県
- 松江市・朝酌矢田II遺跡(あさくみやだにいせき)のE区で、弥生時代の配石木棺墓。島根県埋蔵文化財調査センターの調査。7/23朝酌地区住民限定の現地説明会。
▶110 朝酌矢田(あさくみやだ)彊篝廚婆鐇源代の配石木棺墓(はいせきもっかんぼ)を確認[島根県]
▼朝酌矢田II遺跡関連記事→2020年12月23日 - 鹿児島県
- 曽於郡大崎町・照信院跡で、東西に各1条の溝。溝の内側に玉砂利状の小礫が多く敷き詰められ、薩摩焼や土師器が出土。溝を挟んだ内側は聖域として区画された場所の可能性。『三国名勝図会』と発掘調査の成果が一致。6/24現地公開。[上野原縄文の森]
- インド
- ハリヤーナー州(Haryana) ファテーハバード県(Fatehabad)・クナール遺跡(Kunal)の初期ハラッパー文化(Early Harappan)の銅滓を分析。ガラス状のものと粒状のものがあり、ガラス状のものには鉄橄欖石と磁鉄鉱が多く、粒状のものには方解石が多い。いずれも古代の銅滓に特有の硫黄は見られない。
cf. Aditya Prakash Kanth, Manager Rajdeo Singh, Buddha Rashmi Mani (2022) Archaeometallurgical characterisation of ancient copper slags from pre-Harappan site, Kunal, India. Analytical Science Advances. [Wiley Online Library] - UK(スコットランド)
- マレー州(Moray)エルギン(Elgin)のロッキンヴァー・クエリー (Lochinver Quarry)は、青銅器時代から鉄器時代にかけて2000年間金属加工が行われていたが、突然廃絶し、建物は焼失。ローマ軍がカレドニア人(Caledonians)を破った83年のグラウピウス山の戦い(Battle of Mons Grapius)が契機か。[BBC]
- アイルランド
- ダブリン県(Dublin)フィンガル郡(Fingal)ドナバト(Donabate)のコーバリス(Corbalis)で、初期歴史時代とみられる地下の墓室。墓室内に5〜10世紀のオガム文字(ogham)の銘文。住宅建設が計画され、住民が反対している地域。[Dublin Gazette]
- エジプト
- ルクソール(Luxor)のドゥラ・アブル・ナガ墓群(Dra' Abu el-Naga';Draa Abul Naga)で出土した第25王朝のミイラを調査。25〜40歳の女性。脳卒中のため左半身が麻痺してから数年間生存。虚血性脳卒中(ischemic stroke)の最古の症例。内臓除去とミイラ化は正確に行われ、専門的に行われた高度なもの。ミイラに伴う木の板は、祭祀用と考えられていたが、松葉杖であった可能性。ツタンカーメン王墓でも多数出土。[Al-Monitor]
cf. Jesús Herrerín, Miguel A. Sánchez, Salima Ikram (2022) A Possible Stroke Victim from Pharaonic Egypt. World Neurosurgery. [ScienceDirect] - USA
- イリノイ州(State of Illinois)・カホキア遺跡(Cahokia)のモンクス・マウンド(Monks Mound)の北側広場は、ほぼ常に水没していたことが判明。
▶North 'plaza' in Cahokia was likely inundated year-round, study finds[University of Illonois Urbana Champaign]
cf. Caitlin Gail Rankin (2022) The exceptional environmental setting of the North Plaza, Cahokia Mounds, Illinois, USA. World Archaeology. [Taylor & Francis Online]
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