考古学のおやつ/NEWSLINK

2024年7月31日（水）

新潟県: 南魚沼市・六日町藤塚遺跡（むいかまちふじづかいせき：第9・第10次調査）で、溝で区切られた飛鳥時代の集落跡。古代魚沼地域の拠点だったことを証明。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団の調査。[新潟日報]
長野県: 中野市・南大原遺跡（みなみおおはらいせき）で、弥生時代・2000年前と平安時代・1200 年前の竪穴建物跡など。長野県埋蔵文化財センターの調査。8/10現地説明会。
▶ 中野市南大原遺跡の現地説明会を8月10日(土)に開催します。[長野県埋蔵文化財センター]
▼南大原遺跡関連記事→2021年3月16日
静岡県: 磐田市・甑塚古墳（こしきづかこふん）から1959年に出土した埴輪が盾持ち人埴輪と判明。東海地方では珍しい。近畿地方との交流を示す。従来は「盾形埴輪」と「円筒埴輪」の別個体と考えられていた。磐田市教育委員会7/30発表。[静岡新聞]
中国: 甘粛省（Gansu）・西山遺跡（Xishan）で出土したヒト11体、ブタ9体の歯のエナメル質についてストロンチウム同位体により、在地と非在地を識別。一部のヒトは、ストロンチウム同位体や埋葬習慣から見て、外部から渡来。隴東地方（Longdong）の戎（Rong）や、中原の周の残党とのかかわりを想定。初期の秦（Qin）が、秦、周、戎の人々からなることを示す。
▶ Yijun Li, Keyu Liu, Hongwei Hou, Congcang Zhao, Peng Lv, Liang Chen, Xue Ling (2024) Strontium isotope analysis on the migration of ancient Qin people from the Xishan site in Gansu Province, China. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 58, October 2024, 104696. [ScienceDirect]
イラン: ケルマーンシャー州（Ostān-e Kermānshāh）のSang-e Madan遺跡で、旧石器時代・100万年前～4万年前の遺物。しかし遺跡は開発や無関心によって既存の危機に。[Tehran Times]
イスラエル: ナハル・エフェ遺跡（Nahal Efe）で出土した先土器新石器時代・紀元前8000年～前7700年（cal. BCE）のアスファルト36試料の地球化学的分析し、ほかの遺跡とも比較。ナハル・エフェ遺跡のすべての試料に死海（Dead Sea）産のアスファルトを含む。ネゲブでの最古の使用は紀元前8000年の狩猟採集民にさかのぼる。
▶ Jacques Connan, Ferran Borrell, Jacob Vardi, Samuel Wolff, Steven M. Ortiz, Michael Engel, Renaud Gley, Alex Zumberge (2024) Geochemical analysis of bituminous samples from the Pre-Pottery Neolithic B site of Nahal Efe (Northern Negev, Israel): Earliest evidence in the region and an example of alteration of the Dead Sea bitumen. Organic Geochemistry, Volume 195, September 2024, 104844. [ScienceDirect]
トルコ: マルディン県（Mardin il）ミドヤット郡（Midyat）で2020年に発見された地下洞窟で、50以上の地下室と、120mの通路。アナトリア最大の地下都市。地下都市の建設は新アッシリア帝国（Neo-Assyrian Empire）のアッシュル・ナツィルパル2世（Ashurnasirpal II：在位紀元前883年～前859年）の治世にさかのぼる。[Hürriyet Daily News]
トルコ: アイドゥン県（Aydın il）カラカス（Karacasu）の古代都市アフロディシアス（Ἀφροδισιάς；Aphrodisias）で、アフロディテの神殿の西50mから、2～3世紀の大理石製のゼウス神の頭部。[Arkeonews]
イタリア、スイス、オーストリア、スロベニア、ドイツ: 紀元前2300年～前800年の埋納遺構1000基以上から出土した金属製品20000点以上を分析。紀元前1500年以降、金属製品は10gを単位とした倍数になように意図的に断片化。貨幣の登場以前から市場経済が存在した可能性。
▶ Press release: Natural born consumers [Universität Göttingen]
▶ Nicola Ialongo & Giancarlo Lago (2024) Consumption patterns in prehistoric Europe are consistent with modern economic behaviour. Nature Human Behaviour. [Nature Human Behaviour]
ポーランド: ルブリン県（Województwo lubelskie；Lublin）クシェンシュポル（Księżpol）でローマ時代・2世紀の大量の銀貨と、西ゴート族の硬貨。[CBS News]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ジュラ県（Jura）オルジュレ（Orgelet）で、後期青銅器時代の集落とメロヴィング朝・6～7世紀の集落。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ Habitats protohistorique et mérovingien à Orgelet (Jura) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
スペイン: レオン（León）のプエンテ・カストロ（Puente Castro）で、ユダヤ人地区が1196年に暴力的に攻撃された証拠。[Heritage Daily]
UK（スコットランド）: ハイランド地方（Highlands）ローズマーキー（Rosemarkie）のグリーンサイド（Greenside）で出土した青銅器時代・紀元前1000年ごろの埋納品を分析。青銅製ブレスレット9個と頸飾に植物繊維の紐が巻きついていた。GUARD Archaeologyの調査。[Ancient Origins]
USA: ヴァージニア州（Commonwealth of Virginia）の歴史公園コロニアル・ウィリアムズバーグ（Colonial Williamsburg）で、1660年ごろの建物跡や銀のスプーン。 [LiveScience]
地震学: 元和二年の仙台地震で「津波が発生した」とするのは資料の誤記が通説につながった。ほかの地震の時の津波と間違えられたうえ、日付がすり替わるなどした過程を跡付け。
▶ 「元和二年仙台地震で津波が発生した」根拠はなかった ―誤った通説が形成された過程も明らかに―
▶ （プレスリリース）「元和二年仙台地震で津波が発生した」根拠はなかった―誤った通説が形成された過程も明らかに―（pdf） [東北大学]

2024年7月30日（火）

奈良県: 大和郡山市・奈良県立民俗博物館が保管する収蔵品約45000点について、奈良県が収集や保存に関するルールを策定する方針。[NHK]
▶ 奈良県立民俗博物館の展示室一時休止－民俗資料の収集・保存のこれまでと今後の方向性－ [奈良県]
島根県: 松江市・八幡鹿島山古墳（やわたかしまやまこふん）が古墳時代・5世紀の大型古墳であることが判明。周堤部分を含む一辺60m以上。周堤に円筒埴輪をめぐらす。松江市の調査。8/3現地説明会。
▶ 八幡鹿島山古墳 [松江市]
熊本県: 上益城郡嘉島町・上官塚遺跡（じょうかんづかいせき）で、古墳時代中期・5世紀前半の家形埴輪と囲形埴輪がセットで出土、囲形埴輪の中に家形埴輪が収まる。両者がセットで出土したのは熊本県内初。嘉島町教育委員会の調査。
▶ 広報かしま令和6年7月号 [嘉島町]
国立大学: 国立大学の財務状況の悪化や相対的な研究力の低下などが課題になっているとして、文部科学省は有識者会議を立ち上げ、対応策を議論。[NHK]
▽国からの運営費交付金の削減が主原因なのだから、文部科学省の有識者会議で対応できる部分は限られる。▽研究経費に比べ教育経費の増加に対応する財源の伸びがないことも指摘。▽運営費交付金を増額するしかない。
韓国: 光州市北区 蓮堤洞（ヨンジェドン）で、初期鉄器時代～朝鮮時代の遺物。近隣の調査で青銅器時代～三国時代の成果が多く、百済の近肖古王が征服したという記録とは異なり、在地の独自勢力が長く存続したことを実証。[聯合ニュース]
ギリシャ: シフノス島（Σίφνος；Sifnos）沖の水深163mで、第一次世界大戦中にドイツ軍のUボートによって沈められた英国の遠洋定期船アルカディアン（Arcadian）を発見。[Greek City Times]
ルーマニア: ムレシュ県（Judeţul Mureş）シギショアラ （Sighişoara）で、1849年7月30日～31日のシェゲシュヴァールの戦い（Battle of Segesvár）の場所を特定。ハンガリー軍とロシア軍の配置も判明。[Hungary Today]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ミンデン＝リュベッケ郡（Kreis Minden-Lübbecke）ペータースハーゲン市（Petershagen）ヴィントハイム（Windheim）で、青銅器時代の墳丘に、鉄器時代・ニーンブルク群（Nienburger Gruppe）・紀元前7世紀～前5世紀と前2世紀～前1世紀の火葬墓。[ANTIKE WELT & Archäologie in Deutschland]
ドイツ: バイエルン自由州（Freistaat Bayern） ニュルンベルク（Nürnberg）で、ヨーロッパ最大級のペスト墓地。1632～1633年の遺体2000体以上。[WELT]
UK（イングランド）: サフォーク州（the county of Suffolk）サーストン（Thurston）で、第二次世界大戦中の1994年7月19日に墜落した重爆撃機B-17フライン・フォートレス「リトルボーイブルー」（Little Boy Blue）の乗組員の遺品を発見。
▶ No Man Left Behind: Recovering and commemorating the crew of ‘Little Boy Blue’[Cotswold Archaeology]

2024年7月29日（月）

京都府: 福知山市・稚児野遺跡（ちごのいせき）で、旧石器時代の生活を示す近畿地方2例目の環状ブロックを検出。京都府内で最古級の後期旧石器時代の石器製作遺跡。公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センターの調査。8/3現地説明会。
▶ 稚児野遺跡現地説明会のご案内[公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター]
▼稚児野遺跡関連記事→2021年12月1日
奈良県: 安堵町・中家住宅で火災。枯草を燃やした火が燃え移る。17世紀中ごろに建てられたとされるかやぶきの建物。国の重要文化財。[NHK]
イラン: ザグロス山脈（Zāgros Mountains）のバルヴェ・テペ遺跡（Barveh Tepe）で出土した前期青銅器時代の土器を分析し、土器製作技術や焼成温度を推定。石灰質粘土と非石灰質粘土の2種の粘土で製作され、焼成温度は600℃～1100℃の範囲。石灰質粘土は比較的低温で焼成された。
▶ Hossein Barani, Hamid Reza Ghorbani, Fatemeh Moradi, Maryam Mortazavi Mehrizi, Mahnaz Sharifi, Caroline Lievens (2024) Archaeometric analysis of pottery sherds from Barveh Tepe: Insights into Early Bronze Age pottery-making techniques and firing temperatures. Archaeometry, Early View. [Wiley Online Library]
▼バルヴェ・テペ遺跡関連記事→2021年9月7日
トルコ: サムスン県（Samsun il）ヴェジールキョプリュ（Vezirköprü）のオイマーアチ遺跡（Oymaağaç）＝ヒッタイトの神聖都市ネリク（Nerik）の鉄器時代・3500年前の神殿にあるトンネルで、聖なる水を発見。3000年前のハシバミの殻が発見され、長期にわたって使用されたとみられる。[Anatolian Archaeology]
▼ネリク関連記事→2013年10月12日
ボスニアヘルツェゴビナ: ボスニア北部で出土した中期旧石器時代～後期旧石器時代のチャート製打製石器の出自を調査。
▶ Chatzimpaloglou Petros, Rajkovača Tonko, Pandžić Ivana (2024) A provenance investigation on Middle-Upper Paleolithic chipped chert tools from North Bosnia. Geoarchaeology, Early View. [Wiley Online Library]
イタリア: マルケ州（Regione Marche）アンコーナ県（Provincia di Ancona）コリナルド（Corinaldo）のコリナルド墓地（Corinaldo Necropolis）で、前期鉄器時代・紀元前7世紀のピケニ人（Piceni）の王墓。チャリオット2台を伴う。[Arkeonews]
▼コリナルド墓地関連記事→2020年1月23日
ドイツ: バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）シェルクリンゲン（Schelklingen）のホーレ・フェルス洞窟（Hohle Fels）で、旧石器時代・40000年前のマンモスの牙で作ったカワウソ像。[DerStandard.de]
▼バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）アルプ＝ドナウ郡（Alb-Donau-Kreis）
UK（イングランド）: ニューアーク（Newark）のストッドマン・ストリート（Stodman Street）で、アングロサクソン時代の獣骨や瓦など。[Radio Newark]
▼ノッティンガムシャー州（Nottinghamshire）

2024年7月28日（日）

福島県: 福島市・西久保遺跡（にしくぼいせき）で、奈良時代のものとみられる水場遺構。木や石による段状の構造。福島市と福島市振興公社の調査。7/27現地説明会。[福島民報]
▼西久保遺跡関連記事→2024年4月19日
沖縄県: 大宜味村・大兼久遺跡（おおがねくいせき）で、沖縄貝塚時代前期・3300年前の集石炉跡や、伊波式土器。集石炉は、食材をバナナ葉などで包む石蒸し焼き調理で使われた。大宜味村教育委員会の調査。[琉球新報]
韓国: 忠清南道青陽郡・牛山城（ウサンソン：第1次調査）で、百済が築造した城壁。その後、統一新羅～朝鮮時代にも修築・使用された。城内では百済の獣脚硯出土。百済の古良夫里県の治所と推定される城。[中部毎日]
トルコ: カフラマンマラシュ県（Kahramanmaraş il）オニキシュバト郡（Onikişubat）Döngelのディレクリ洞窟（Direkli Cave）で、13000年前の骨製の縫い針などの裁縫道具。[Daily Sabah]
▼ディレクリ洞窟関連記事→2009年8月17日
イタリア: サッソ・ピンツート（Sasso Pinzuto）のエトルリア・紀元前7～前6世紀の墓地（Necropoli di Sasso Pinzuto）で、石造りの神殿オイコス（οἶκος；oikos）の基礎跡。彩色で儀式や鏡縁を描いた粘土板も出土。[Heritage Daily]
▼ラツィオ州（Lazio）ヴィテルボ県（Provincia di Viterbo）トゥスカーニア（Tuscania）
ドイツ: メクレンブルク＝フォアポンメルン州（Mecklenburg-Vorpommern）ロストック（Rostock）で、バロック時代の建物遺構。[Nordkurier]
ポルトガル: アレンテージョ地方（Alentejo）エヴォラ（Évora）のカルモ修道院（Convento da Carmo）周辺で、13世紀以降の街路、墓地、住宅。[The Portugal News]
▼アレンテージョ地方（Alentejo）エヴォラ県（Distrito de Évora）
UK（イングランド）: グロスターシャー州（the county of Gloucestershire）で、ローマ時代のムタティオ（mutatio；馬を乗り換えるための拠点）。ウマの骨や馬具、飼育に関連した遺物が出土。ローマ時代集落自体は1世紀半ば/後半に始まり、ムタティオとしての使用は2世紀以降で、3～4世紀に最盛期を迎える。[The Past]
コロンビア: ソアチャ（Soacha）で、バロン・デル・ソル（Varón del Sol）の2000年前の岩絵に落書き被害。[El País]
▼クンディナマルカ県（Departamento de Cundinamarca）
コロンビア: リサラルダ県（Departamento de Risaralda）ペレイア（Pereira）のマテカーニャ遺跡（Matecaña）で紀元前1000年～紀元後600年の火葬骨壺4個を分析。葬送にはおおきく分けて、死去～骨化、火葬、納骨の3プロセス、細かく見ると11ステップが存在。
▶ Ana María Rincón-Jaramillo, Juliana Gómez-Mejía (2024) Cremation during the early period (1000 bc-600 ad) in the archaeological site of Matecaña (Pereira, Colombia). International Journal of Osteoarchaeology, Early View. [Wiley Online Library]
ペルー: ラ・リベルター県（Región La Libertad；La Libertad region）チカマ（Chicama）のリカパ2遺跡（Licapa II）で、モチーカ文化（Mochica）・500年ごろの成人女性の人骨。銅板が副葬されており、手工業生産の存在を示す。[Andina]
▼リカパ2遺跡関連記事→2024年7月18日

2024年7月27日（土）

新潟県: 新潟市・佐渡島の金山が世界文化遺産に登録へ。[時事通信]
北九州市: 門司区の初代門司秋関連遺構をめぐり、「門司港レトロ」に関わる11団体が、計画見直しを求めて書名1260筆を北九州市に7/26提出。[西日本新聞]
トルコ: アドゥヤマン県（Adıyaman ili）で、ローマ時代・1800年前の境界石。[Anatolian Archaeology]
イタリア: ナポリ湾の古代ローマ都市バイアエ（Baiae）で、ローマ時代・紀元前3世紀のオプス・セクティレ技法（Opus sectile）による大理石造りの床。[IFLScience]
▼バイアエ関連記事→2023年4月10日
スペイン: リェイダ県（Província de Lleida）のピレネー山麓にあるアブリク・ピサロ遺跡（Abric Pizarro）について、3つの年代測定を実施し、MIS 4のネアンデルタール人の遺跡と確認。4つの考古学的ユニットについて動物化石と石器を分析し、ネアンデルタール人の生業と環境に対する回復力を示す。
▶ Sofia C. Samper Carro, Susana Vega Bolivar, Jezabel Pizarro Barbera, Eboni Westbury ,Simon Connor, Ethel Allué, Alfonso Benito-Calvo, Lee J. Arnold, Martina Demuro, Gilbert J. Price, Jorge Martinez-Moreno, Rafael Mora (2024) Living on the edge: Abric Pizarro, a MIS 4 Neanderthal site in the lowermost foothills of the southeastern Pre-Pyrenees (Lleida, Iberian Peninsula). Journal of Archaeological Science, Volume 169, September 2024, 106038. [ScienceDirect]
スウェーデン: ヴェン島（Ven）に建てられた天文学者ティコ・ブラーエ（Tycho Brahe；1546～1601年）の実験室ウラニボリ（Uraniborg）跡で出土したガラス破片の内外面に銅、アンチモン、金、水銀、ニッケル、亜鉛、錫、タングステン、鉛の9元素。ブラーエの錬金術実験の手がかり。
▶ Archaeological dig at Tycho Brahe’s island lab reveals some of his alchemical secrets [Chemistry World]
▶ Kaare Lund Rasmussen & Poul Grinder-Hansen (2024) Chemical analysis of fragments of glass and ceramic ware from Tycho Brahe’s laboratory at Uraniborg on the island of Ven (Sweden). Heritage Science, volume 12, Article number: 228. [SpringerOpen]
実験考古学: 土器をX線マイクロコンピュータ断層撮影（Micro-computed tomography）することによって、ろくろの使用によって見えにくくなった成形技法も推定できることを、レプリカを使った実験により証明。
▶X-Ray MicroCT unveils ancient pottery techniques [Università Ca' Foscari]▶ Ilaria Caloi, Federico Bernardini (2024) Revealing primary forming techniques in wheel-made ceramics with X-ray microCT. Journal of Archaeological Science, Volume 169, September 2024, 106025. [ScienceDirect]

2024年7月26日（金）

岩手県: 北上市・秋子沢遺跡（あきこざわいせき）で、縄文時代の狩猟用落とし穴や食料貯蔵穴、平安時代の竪穴住居跡。北上市立埋蔵文化財センターの調査。7/25現地説明会。[岩手日日新聞]
新潟県: 南魚沼市・六日町藤塚遺跡（むいかまちふじづかいせき：第9・第10次調査）で、飛鳥時代から鎌倉時代の溝・柱穴など。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団の調査。8/3現地説明会。
▶ 南魚沼市六日町藤塚遺跡発掘調査現場の一般公開及び説明会の御案内 [公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団]
▼六日町藤塚遺跡関連記事→2022年10月7日
リトアニア: ヴィリニュス（Vilnius）の大シナゴーグ（Vilniaus Didžioji sinagoga；Great Synagogue of Vilna）で、装飾された壁や床、儀式に水を供給する貯水槽などの遺構。大シナゴーグは1630～1633年に建立され、第二次世界大戦中にナチスによって破壊され、ソヴィエト連邦によって完全に解体された。[Heritage Daily]
▼ヴィリニュスの大シナゴーグ関連記事→2021年8月27日
ヨーロッパ: 中石器時代・紀元前9800年～前3800年（cal BC）の墳墓と葬送儀礼について、文化的伝統、地域による違いなどを概説。
▶ Judith M. Grünberg (2024) Mesolithic burials and mortuary practices: Traditions, developments and individuality of the early postglacial hunter-fisher-gatherers in Europe. L'Anthropologie. [ScienceDirect]
エジプト: サッカラ（Saqqara）に葬送周壁（Gisr el-Mudir）に、堆積や水をせき止めるダムの機能。古王国時代の階段ピラミッド（Pyramid of Djoser）は、水力を利用したリフトを使って建造された可能性。階段ピラミッドは古代エジプトの最初のピラミッドとされている。[Heritage Daily]
USA: ウィスコンシン州（State of Wisconsin）アルゴマ（Algoma）沖のミシガン湖（Lake Michigan）の水深15mで、1893年に沈んだスクーナー、「マーガレットAミュア号」（Margaret A. Muir）を発見。[CNN]

2024年7月25日（木）

青森県: 弘前市・弘前城（ひろさきじょう）で縄文時代晩期の盛土遺構。[RAB青森放送]
▼弘前城関連記事→2023年8月4日
福井県: 越前市・越前国府跡（えちぜんこくふあと）で、平安時代前期の溝の続きを検出。緑釉容器、須恵器、土師器出土。越前市の調査。7/28現地説明会。[PRTIMES]
大阪府: 大阪府所蔵の現代美術作品が地下駐車場に保管されていた問題で、大阪府が専門家の意見をまとめた最終報告書を公表。作品の一部に変形やカビを確認。学芸員を配置する必要性を指摘。[毎日新聞]
▶ 「大阪府20世紀美術コレクションの活用・保全について（アート作品の活用・保全に向けた最終報告）」の公表について
▶ 大阪府20世紀美術コレクションの活用・保全について（アート作品の活用・保全に向けた最終報告）（PDF：408KB）[大阪府]
岡山県: 津山市・津山城跡（つやまじょうあと）の石垣の一部が7/15崩落したことを受けて休園していた鶴山公園が、7/27から通常通り開園。石垣が崩落した二の丸にある長柄櫓周辺は引き続き立ち入り禁止。[OHK岡山放送]
▼津山城跡関連記事→2024年7月18日
福岡県: 糸島市・深江石町遺跡（ふかえいしまちいせき）で、弥生時代後期前半・1世紀前半ごろの木製鎧。保存処理が完了し、公開へ。
▶ 弥生時代の木製鎧（木甲（もっこう））を特別公開します。 [伊都国歴史博物館]
チェコ: ドルニー・ヴェストニツェ遺跡（Dolní Věstonice）で出土した旧石器時代・グラヴェット文化（Gravettian）・30000年前～25000年前の焼成粘土のヴィーナス像「ドルニー・ヴェストニツェのヴィーナス」をCTスキャン。素地の混和材に称さな岩石や化石を含むが、混和材とみられるものはない。旧石器時代としては最大の、焼成粘土製品。
▶ Petr Neruda, Petr Hamrozi, Zuzana Patáková, Grzegorz Pyka, František Zelenka, Šárka Hladilová, Martin Oliva, Eva Orságová (2024) Micro-computed tomography of the fired clay venus of Dolní Věstonice (Czech Republic). Journal of Archaeological Science, Volume 169, September 2024, 106034. [ScienceDirect]
▼ドルニー・ヴェストニツェ遺跡関連記事→2023年6月23日
フランス: グラン・テスト地域圏（Grand Est）モゼル県（Moselle）ファメック（Fameck）で、中期旧石器時代の遺跡。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ Découverte d’un site du Paléolithique moyen à Fameck (Moselle) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼ファメック関連記事→2023年4月21日
スペイン、ポルトガル: 古代ローマのガラエキア属州（Gallaecia）で、ローマ帝政期・1～4世紀の主要な製塩地であったことを示す製塩所遺構や道具類などの考古学的証拠。[La Brújula Verde]
▶ Brais X. Currás Refojos, Antonio Rodríguez-Fernández, Mar Cortegoso, Ana Almeida, Miguel Costa, Tiago Brochado, Jorge Machado, Pedro Brochado, Rafael Rodríguez-Martínez, Carlos A. Brochado de Almeida (2024) The roman saltworks of the Atlantic coast of Gallaecia: Traces and evidence of a large sea salt production complex. Quaternary Science Reviews, Volume 339, 1 September 2024, 108832. [ScienceDirect]
エジプト: ディムヤート（Damietta）のテル・エル＝ディール遺跡（Tel El-Dir）で、古代エジプト第26王朝の墓から金箔。古代エジプトの神を描いたものや、さまざまな形の護符。さらに小像、硬貨、鏡など。交易の中心地であったと確認。[Heritage Daily]
メキシコ: キンタナ・ロー州（Estado de Quintana Roo）のマヤ鉄道（Tren Maya；Maya Train）建設予定地にあるコフンリッチ遺跡（Kohunlich）で、ペテン様式（Petén）・300/600年～900/1000年の建物跡5棟。
▶Modifican el camino a la estación Kohunlich del Tren Maya, para preservar cinco estructuras prehispánicas [Instituto Nacional de Antropología e Historia]
コロンビア: グアビアーレ県（Departamento del Guaviare）セラニア・デ・ラ・リンドサ（Serranía de La Lindosa）にあるセッロ・アスル遺跡（Cerro Azul）の紀元前10500年のロックアートに、ヒトや多様な動物が黄土で描かれる。近隣で出土した動物遺体は多様な食生活を示すが、壁画の画題とは一致せず。ヒトと動物の間の複雑な関係を示す。
▶ Rock art and archaeological record reveal the complex relationship between humans and Amazonian animals [University of Exeter]
▶ Mark Robinson, Jamie Hampson, Jo Osborn, Francisco Javier Aceituno, Gaspar Morcote-Ríos, Michael J. Ziegler, José Iriarte (2024) Animals of the Serranía de la Lindosa: Exploring representation and categorisation in the rock art and zooarchaeological remains of the Colombian Amazon. Journal of Anthropological Archaeology, Volume 75, September 2024, 101613. [ScienceDirect]
授賞: 第36回濱田青陵賞に、森先一貴・東京大学大学院准教授。先史考古学。[朝日新聞]

2024年7月24日（水）

静岡県: 沼津市文化財センターに勤務する副主任級の学芸員が、遺跡発掘をめぐり業者に発注量を水増しすることで業者からパソコンなどを受け取ったとして懲戒免職などの処分。[テレビ静岡]
中国: 四川省広漢市・三星堆遺跡（さんせいたいいせき）で、遺存する城壁から推定して、3000年前のに明確な都市計画。[中国共産党新聞網]
ブルガリア: ヴァルナ（Варна；Varna）の聖コンスタンティヌスと聖ヘレナ海岸（Св. св. Константин и Елена：Saints Constantine and Helena）で、ローマ時代・2～3世紀の石棺。豊かな浮き彫り装飾を持つ。[Actualno.com]
エストニア: タリン（Tallin）で、スウェーデン統治時代・17世紀～18世紀初めの大型墓地。大半の遺体は伝染病か飢饉によるとみられる。エストニアの一部は1561年から、全土は1645年からスウェーデン支配下に入り、大北方戦争中の1710年まで続いた。[Eesti Rahvusringhääling]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ベックム（Beckum）で、中世・8～9世紀の墓。Ruhr24]
フランス: プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏（Provence-Alpes-Côte d'Azur）ブーシュ＝デュ＝ローヌ県（Bouches-du-Rhône）クードゥー（Coudoux）で古代・2～4世紀と中世・9～10世紀の墓地。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶ Deux ensembles funéraires antique et médiéval à Coudoux (Bouches-du-Rhône) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2024年7月23日（火）

韓国: 全北扶安郡・鎮西里窯跡（チンソリようせき）5区域で、高麗青磁の窯1基と12世紀中ごろ～13世紀中ごろの青磁破片を発見。三国時代・6～7世紀の炭窯2基も。[全北日報]
中国: 陝西省・石峁遺跡（Shimao）で新石器時代～青銅器時代・紀元前2千年紀の骨針の工房。
▶ Hua Wang, Wen Li, Zhouyong Sun, Jing Shao, Min Li (2024) Craft Specialization in the Highland Longshan Society: Perspective from the Bone Needle Workshop on the Central Mound at the Shimao Site, Shaanxi, China. Journal of Anthropological Archaeology, Volume 75. [ScienceDirect]
中国: 四川省・三星堆遺跡（さんせいたいいせき）の月亮湾地点で、商代中期・3500年前～3400年前の玉石器の工房。メノウの石材を治めた土坑や、石斧の完成品を治めた土坑、製作時の廃棄部度の堆積など。[新華社]
▼三星堆遺跡関連記事→2022年8月27日
トルコ: ハタイ県（Hatay il）・アトチャナ遺跡（Aççana Höyüğü；Tell Atchana）で、後期青銅器時代・紀元前15世紀の楔形文字で書かれたアッカド語文書に、買い物リスト。[Heritage Daily]
ブルガリア: デヴェルト（Дебелт；Debelt）にある古代都市デウルトゥム（Deultum；Деултум）で、2世紀後半～3世紀前半の銀製の護符。丸められた状態で墓から出土。十字架とギリシャ語の銘文があり、キリストへのブルガリアで最初の言及。[Heritage Daily]
▼ブルガス州（Област Бургас；Oblast Burgas）スレデツ（Средец；Sredets）
▼デウルトゥム関連記事→2020年10月7日
ポーランド: ヴィエルコポルスカ県（Województwo wielkopolskie）コニン郡（powiat koniński；Konin County）トミスワヴィツェ（Tomisławice）で、ラウジッツ文化（Kultura łużycka；Lusatian culture）・3300年前の防御性集落。[Nauka w Polsce]
UK（イングランド）: スキプトン（Skipton）のホーバンク・フィールド（Hawbank Field）で、ローマ時代・2ッ世紀～4世紀後半/5世紀前半の集落。溝や土塁によって囲まれた区画の周囲に展開。3～4世紀の墓を伴う。
▶ Matt Wells, Diane Alldritt, Denise Allen, Ann Clarke, Chris Cumberpatch, Gail Drinkall, Malin Holst, Ruth Leary, Gerry McDonnell, Jo Mills, Phil Mills, Paola Ponce, and Jane Richardson (2024) A Romano-British Settlement at Hawbank Field, Skipton. Yorkshire Archaeological Journal. [Taylor & Francis Online]

2024年7月22日（月）

奈良県: 奈良市・奈良県立大学が、過去に「県立自然博物館をつくる会」から奈良県が寄贈を受け、同大学で管理していた植物標本を誤って廃棄。
▶ 植物標本の誤廃棄について[奈良県立大学]
県のレッドリストで「絶滅」とされる種も含む。標本は植物研究家の岩田重夫氏（1916～1988）が1950～80年代に採集した標本。岩田氏が亡くなった後に奈良植物研究会が預かり、2001年から奈良県立大学が保管していた。奈良植物研究会が2010年まで同大に通い、種類の特定作業を続けてきた。[朝日新聞]
奈良県: 奈良市・奈良県立大学による植物標本の廃棄に対して、奈良植物研究会が要望書。
▶故岩田重夫氏の植物標本廃棄についての要望書の提出について [奈良植物研究会]
▶ 故岩田重夫氏の植物標本廃棄についての要望書（pdf） [奈良植物研究会]
イラン: ケルマーンシャー州（Ostān-e Kermānshāh）ハルシーン郡（Harsin）のゲニル遺跡（Genil）で、先土器新石器時代～新石器時代の集落。[Tehran Times]
パレスチナ（ヨルダン川西岸地区）: エルサレム（Jerusalem）のダビデの町（City of David）と神殿の丘（Temple Mount）を区切る、中期青銅器時代・3800年前の大規模な堀を発見。幅30m、深さ9m。ユダ王国のころに当たる。[Heritage Daily]
（再掲）▶ Yuval Gadot, Efrat Bocher, Liora Freud & Yiftah Shalev (2023) An Early Iron Age Moat in Jerusalem between the Ophel and the Southeastern Ridge/City of David. Tel Aviv, Volume 50, Issue 2, Pages 147-170. [Taylor & Francis Online]
カザフスタン: アクモラ州（Ақмола облысы；Akmola Oblast）サンディクタウ地区（Сандықтау ауданы；Sandyktau District）で、青銅器時代とみられるヒトの顔を刻んだ花崗岩。[Heritage Daily]
キプロス: クロラカ（Χλώρακα；Chloraka）の「パルレス地区」（Palloures）で紀元前3000年の墓[Philenews]
イタリア: ローマのラテラノ大聖堂（San Giovanni in Laterano；Archbasilica of St John Lateran）外側の広場で、ヴァティカン以前の教皇庁の遺構。9～13世紀に建てられ、1305年のアヴィニョン移転まで使用。[Euronews]
イタリア: ナポリ県（Città metropolitana di Napoli）ジュリアーノ・イン・カンパーニア（Giugliano in Campania）のフレグレオ・ドミティアーナ地区（Flegreo Domitiana）にある「ケルベロスの墓」（Tomba del Cerbero）で、被葬者の遺体を発見。
▶ Nuovi dati dalla TOMBA DEL CERBERO a GIUGLIANO [Soprintendenza Archeologia Belle Arti e Paesaggio per l'Area Metropolitana di Napoli]
▼カンパーニャ州（Regione Campania）

2024年7月21日（日）

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