考古学のおやつ/NEWSLINK

2022年8月20日（土）

鹿児島県: 与論町・与論城跡で、柱の跡や石垣の一部と見られる石積みの痕跡、土地を造成した状況などを確認。与論町教育委員会の調査。[奄美新聞]
▼与論城跡関連記事→2021年12月16日
スロバキア: ニトラ県（Nitriansky kraj；Nitra）レビツェ（Levice）のコハーリホ通り（Koháryho）で、紀元前5000年にさかのぼる、さまざまな時代の集落。砦の堀や、人骨の遺存する墓も。[The Slovak Spectator]
ドイツ: トゥットリンゲン郡（Landkreis Tuttlingen）ガイジンゲン市（Geisingen）グートマディンゲン（Gutmadingen）で、新石器時代・縄目文土器文化（Corded Ware culture）・紀元前3千年紀の墓と土器、石器。また、初期中世（民族移動時代）・500～600年の墓140基と、武器、装飾品など。グートマディンゲンの最初の記録は1273年までしかさかのぼらない。[LiveScience]
▼バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）のネス・オブ・ブロッガー遺跡（Ness of Brodgar）で、新石器時代のクジラの骨や石段。石段は英国最古の階段。[BBC]
USA: ルイジアナ州（State of Louisiana）・ルイジアナ州立大学（Louisiana State University）の構内にある高さ20フィートの2つの墳丘を分析。堆積中には、植物や人骨を焼いた痕跡が見つかり、祭祀に用いられたと推定。墳丘Bは11000年前に築造が始まり、数千年かけて築造。8200年前の寒冷化のころに放棄。墳丘Aは7500年前に築造が始まり、また墳丘Bも再建し、いずれも6000年前に完成。北米で最古の、人工の墳丘。
▶NEW RESEARCH SHOWS LSU CAMPUS MOUNDS AS THE OLDEST KNOWN MAN-MADE STRUCTURES IN NORTH AMERICA [Louisiana State University]
cf. Brooks B. Ellwood, Sophie Warny, Rebecca A. Hackworth, Suzanne H. Ellwood, Jonathan H. Tomkin, Samuel J. Bentley, Dewitt H. Braud and Geoffrey C. Clayton (2022) The LSU campus mounds, with construction beginning at ∼11,000 BP, are the oldest known extant man-made structures in the Americas. American Journal of Science, 322 (6) 795-827. [American Journal of Science]
ペルー: リマ県（Lima）ワウラ郡（Huaura）・ビチャマ遺跡（Vichama）で葬送に関する遺跡。奉納品には、ヒキガエル、綿を加工する道具、海洋生物など。[Andina]

2022年8月19日（金）

新潟県: 柏崎市・丘江遺跡（おかえいせき：第11次調査）で弥生時代の流路と大量の自然木や加工材。公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団の調査。9/3一般公開。
柏崎市丘江遺跡発掘調査現場の一般公開及び説明会の御案内[公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団]
浜松市: 浜松市博物館で収蔵資料が紛失し、職員がその事実を隠していた問題で、不明の資料5点のうち3点が収蔵庫内で発見された。所定の保管場所とは別の未整理資料の中から発見。[静岡新聞]
▼浜松市中区；2024年1月1日から浜松市中央区
宮崎県: ▽タイトルにびっくり。「旧石器時代の土器も！」って何だ？！……と思ったら、「石器」の書き間違い。▽主催者の努力や取材陣の苦労を踏みにじったタイトルをつけるな！FNNよ。[FNN]
トルコ: ヴァン県（Van il）ギュルプナール郡（Gürpınar）で、ウラルトゥ（Urartu）・2800年前の岩に掘りこんだ横穴墓や水路。[Daily Sabah]
トルコ: イズミル県（İzmir il）ボルノヴァ郡（Bornova）のヤステペ遺跡（Yassıtepe）で、 5000年前の大理石の偶像。[Hürriyet Daily News]
▼ヤステペ遺跡関連記事→2022年7月4日
スペイン: 旱魃により、ヴァルデカニャス貯水池（Embalse de Valdecañas；Valdecañas Reservoir）の水位が下がり、水没していた紀元前5000年のストーンサークル、グアダルペラルのドルメン（Dolmen de Guadalperal）が露わに。[Reuters]
スウェーデン: イェムトランド県（Jämtland）Kalffällenで、ヴァイキング女性の火葬墓。9世紀のブローチや焼いた人骨など出土。これまで同じ山中ではヴァイキング男性の墓しか発見されていなかった。[Expressen]
UK（イングランド）: ケンブリッジ（Cambridge）にあるアウグスティヌス派修道院（Augustinian friary）の墓地の13～16世紀の修道士19体と、オールセインツ・バイ・ザ・カッスル教区墓地（All Saints by the Castle parish cemetery）の10～14世紀の市民25体について、腸内寄生虫を分析。修道士の58％、市民の32％に寄生虫が検出され、修道士の方が倍程度寄生虫が多い。
cf. Tianyi Wang, Craig Cessford, Jenna M. Dittmar, Sarah Inskip, Peter M. Jones, Piers D. Mitchell (2022) Intestinal parasite infection in the Augustinian friars and general population of medieval Cambridge, UK. International Journal of Paleopathology. [ScienceDirect]

2022年8月18日（木）

滋賀県: 彦根市・佐和山城跡（さわやまじょうあと）で、外堀の一部とみられる大規模な溝。溝から16世紀末～17世紀初めの陶磁器や土器など出土。公益財団法人滋賀県文化財保護協会8/18発表。[共同通信]
8/20現地説明会。
▶彦根市佐和山城跡現地説明会の案内（2022.08.20）[公益財団法人滋賀県文化財保護協会]
▼佐和山城跡関連記事→2020年11月13日
奈良県: 橿原市・称念寺で、本堂の基壇の下から、本堂創建の17世紀中ごろより以前に存在した建物跡。奈良県立橿原考古学研究所の調査。[奈良新聞]
ドイツ: フォーゲルヘルト洞窟（Vogelherdhöhle；Vogelherd Cave）で出土したオーリニャック文化（Aurignacian）の石器群と、ランデッカー・マール（Randecker Maar）で出土したマドレーヌ文化（Magdalenian）の石器群について、赤外分光法（infrared spectroscopy）により分析。また、フォーゲルヘルト洞窟で出土したチャートをドイツのチャート産出地3か所と比較。従来の観察法の問題点を指摘。
cf. Benjamin Schürch, Stefan Wettengl, Simon Fröhle, Nicholas Conard, Patrick Schmidt (2022) The origin of chert in the Aurignacian of Vogelherd Cave investigated by infrared spectroscopy. PLOS ONE, 17(8): e0272988. [PLOS ONE]
▼フォーゲルヘルト洞窟関連記事→2020年11月28日
フランス、イタリア: フランス、アルデシュ県（Ardèche）のアブリ・デュ・マラ遺跡（Abri du Maras）、サンマルセル洞窟（Saint-Marcel）と、イタリア、ヴェローナ県（Provincia di Verona）のリパロ・タリエンテ遺跡（Riparo Tagliente）の3遺跡で出土した中期旧石器時代後半の獣骨から、ネアンデルタール人が骨髄を得るために骨を割ったかどうかを検証。アブリ・デュ・マラ遺跡とサンマルセル洞窟では骨髄を得るため骨を割っていたが、それぞれ別個に発達した伝統をもつ。一方、リパロ・タリエンテ遺跡では、明確な伝統は看取されなかった。
cf. Delphine Vettese, Antony Borel, Ruth Blasco, Louis Chevillard, Trajanka Stavrova, Ursula Thun Hohenstein, Marta Arzarello, Marie-Hélène Moncel, Camille Daujeard (2022) New evidence of Neandertal butchery traditions through the marrow extraction in southwestern Europe (MIS 5–3). PLOS ONE, 17(8): e0271816. [PLOS ONE]
▼アブリ・デュ・マラ遺跡関連記事→2020年9月27日
UK（スコットランド）: グレンリベット蒸留所（Glenlivet distillery）で、1824年に製造終了した遺構を発見。200年前のウイスキー製造工程が明らかに。[Herald Scotland]

2022年8月17日（水）

石川県: 金沢市・チカモリ遺跡で、金沢市緑と花の課が、文化財保護法に定められた文化庁への申請を怠ったまま国の史跡内で遊具や看板など9設備を設置し、掘削工事も行っていた。文化財保護課が7月に気づき、関連部署に聞き取り調査を行って発覚。チカモリ遺跡は縄文時代後期～晩期の集落遺跡。今年5月には高尾城跡（たこうじょうあと）で金沢市森林再生課が同様の問題を起こし遺構を一部損壊。[北國新聞]
▼チカモリ遺跡関連記事→2009年7月12日
▼高尾城跡関連記事→2022年5月24日
長野県: 飯田市・飯田市平和祈念館で、関東軍防疫給水部（731部隊）の証言などを印刷したパネル展示が取りやめられていた。住民有志で作る飯田市平和資料収集委員会が展示を求めていたが、飯田市教育委員会は事実関係が確定していないなどとして見送った。[信濃毎日新聞]
戦時中、731部隊の少年隊に所属していた清水氏は、「マルタ」と呼ばれた中国人やロシア人の捕虜の人体実験後の標本を見たことがあり、また自身も実験台になった経験を持つ。そうした証言がパネル展示される予定だった。[信濃毎日新聞]
三重県: 津市・高茶屋大垣内遺跡（たかぢゃやおおがいといせき：第5次調査）で、飛鳥・奈良時代の竪穴建物・掘立柱建物や平安時代末期の道路など。三重県埋蔵文化財センターの調査。8/27現地説明会。
▶高茶屋大垣内遺跡（津市城山１丁目）で発掘調査現地説明会を開催します [三重県]
愛媛県: 上島町・宮ノ浦遺跡（みやんないせき）で、平安時代末期～鎌倉時代初期の人骨出土。20歳以上の男性。愛媛大学考古学研究室と上島町教育委員会の調査。[愛媛新聞]
韓国: 慶尚南道金海市・亀山洞支石墓（クサンドンしせきぼ）の毀損問題では、重機により上石周辺の敷石がはがされ、文化層の大部分、20cm程度を失ったと文化財庁が確認。金海市長を告発へ。[聯合ニュース]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
▼亀山洞支石墓の毀損事件関連記事→2022年8月7日
オーストラリア: 木製のブーメランが、石器づくりで整形のために用いられたことを実験的に検証。骨製の調整具（born retoucher）と同様の痕跡が残ることを確認。
▶Wood sharpens stone: boomerangs used to retouch lithic tools[Griffith University]
cf. Eva Francesca Martellotta, Yinika L. Perston, Paul Craft, Jayne Wilkins, Michelle C. Langley (2022) Beyond the main function: An experimental study of the use of hardwood boomerangs in retouching activities. PLOS ONE, 17(8): e0273118. [PLOS ONE]
イラン: ガズヴィーン州（Ostān-e Qazwīn）アーヴァジュ（Avaj）のガルエ・コルド洞窟（Qal-e Kord Cave；Qaleh Kord Cave）で出土した人類の痕跡は、電子スピン共鳴法やウラニウム/トリウム法により40万年前。イラン最古の人類で、ネアンデルタール人より古い可能性。[Tehran Times]
▼ガルエ・コルド洞窟関連記事→2019年7月8日
イラン: ギーラーン州（Ostān-e Gīlān）にある古代都市マースーレ（Masuleh）で、セルジュール朝・ヒジュラ暦5世紀末～6世紀初め（1100年ごろ）の鉄溶解工房。[Tehran Times]
イスラエル: Tell Iẓṭabbaにあるセレウコス朝（Seleucid）の都市Nysa-Scythopolisがハスモン朝（Hasmoneans）に破壊された年と季節を、さまざまな方法により、紀元前107年の春～初夏と推定。
cf. Achim Lichtenberger, Henk Mienis, Andrea Orendi, Miriam Pines, Oz Rittner and Oren Tal (2022) For everything there is a season: more than a year of destruction at Seleucid Tell Iẓṭabba (Israel). Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core]
トルコ: ビトリス県（Bitlis ili）アフラト（Ahlat）のセルジューク広場墓地（Seljuk Meydan Cemetery）で、新たに41基の墓。うち18基は子供の墓。墓地は第一次世界大戦中にロシア軍によって破壊されている。[Daily Sabah]
▼セルジューク広場墓地関連記事→2021年11月8日
ブルガリア: クルジャリ州（Област Кърджали；Oblast Kardzhali）のペルペリコン遺跡（Перперикон；Perperikon）で、新たな神殿を発見。5世紀初めにキリスト教が受容されたときに埋め立てられた。[Bulgarian News Agency]
ブルガリア: ヴォルヤク（Волуяк；Volujak）・ドラゴマン（Драгоман；Dragoman）間の鉄道建設予定地で、様々な時代の遺跡10か所を発見。[The Sofia Globe]
ポーランド: クヤヴィ＝ポモージェ県（Województwo kujawsko-pomorskie）クルシン（Kruszyn）で、新石器時代のフリント製石器を7歳の考古学好き少女コルネリアちゃん（Kornelia）が発見。[The First News]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）シュテンダール郡（Landkreis Stendal）デッベリン（Döbbelin）で4000年前の集落。住居跡8棟、倉庫跡6棟、炉跡2基。また、シェーンフェルト文化（Schönfelder Kultur）の火葬墓1基。ウーニェティツェ文化（Aunjetitzer Kultur；Únětice culture）・4300年前～3500年前の青銅短剣も出土。[Süddeutsche Zeitung]
ドイツ: バーデン＝ヴュルテンベルク州（Land Baden-Württemberg）ルートヴィヒスブルク郡（Landkreis Ludwigsburg）キルヒハイム・アム・ネッカー（Kirchheim am Neckar）で、前期中世の円形周溝に囲まれた合葬墓「リュッセン」（Lüssen）を調査。北側の木室に女性、南側の木室に男性を埋葬。
▶Frühmittelalterliches Doppelgrab in Kirchheim am Neckar freigelegt [Archaeologie Online]
USA: ロードアイランド（Rhode Island）沖に沈む・キャプテン・クック（Captain Cook）のエンデバー号（HMS Endeavour）とみられる沈没船に、フナクイムシ（shipworm）の被害。
▶Could shipworms be destroying the wreck of Captain Cook’s Endeavour?[University of Plymouth]

2022年8月16日（火）

韓国: 慶尚北道亀尾市・黄桑洞古墳群のうち74号墳と77号墳が、昨年8月に盗掘により一部毀損されていた。三国時代の新羅・4～6世紀の古墳群で木槨墓と石槨墓、計271基からなり、2006年に史跡に指定されている。[聯合ニュース]
中国: 長江下流域の田螺山遺跡（Tianluoshan）で出土した、新石器時代中期・6000年以上前の繊維生産の工具について、製作工程のどの段階で用いられたかを識別し、製作の各段階を復元。
cf. Judith Cameron and Guoping Sun (2022) Textile production and craft specialisation at Tianluoshan in the lower Yangzi Valley. Antiquity, First View, pp. 1 - 18. [Cambridge Core]
▼田螺山遺跡関連記事→2022年3月8日
イスラエル: マレシャ遺跡（Maresha）の地下の洞窟群から、ヘレニズム時代・2300年前のヒツジやウシの指の骨が大量に出土。アストラガリ（astragali）と呼ばれ、骰子として用いられた。ギリシャ語の銘文があり、神々の名や、ゲームの指示などが記されていた。アラム語の銘文を記した陶片とともに出土。[Arutz Sheva]
cf. Lee Perry-Gal, Ian Stern & Adi Erlich (2022) Gaming and divination in the Hellenistic Levant: the case study of the astragalus assemblage from Maresha, Israel. Levant, Volume 54, Issue 1, Pages 65-79. [Taylor & Francis Online]
ジョージア: バトゥミ（Batumi）の修道院で発見された、スターリン時代・1937年の大粛清（Great Purge）の犠牲者27人のうち3人の身元を、遺伝子で同定。
▶Geneticists identify three victims of Stalin-era crimes from Georgia[Nauka w Polsce]
ラトビア: グロビニャ（Grobiņa）で、ポラン族（Porani）の墓地と、鉄器時代・7～9世紀の集落。[LSM]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）ハルツ郡（Landkreis Harz）のハルツゲローデ（Harzgerode）とクヴェートリンブルク（Quedlinburg）で、数世紀前の絞首台跡から絞首刑に処された人骨。ハルツゲローデの絞首台は1650年から19世紀初頭まで、クヴェートリンブルクの絞首台は1660年ごろから1809年ごろ使用。当時は処刑された人は埋葬を許されず、長期間吊るされたままの場合もあった。[Mitteldeutscher Rundfunk]

2022年8月15日（月）

奈良県: 桜井市・纒向遺跡から出土した古墳時代初頭のイヌの骨を分析。体高48cmで中型犬の大きさ。弥生時代までは小型犬が主流で、纒向遺跡のような中大級は古墳時代になって大陸からもたらされた可能性。[共同通信]
広島県: 府中市・備後国府跡（びんごこくふあと）の金龍寺東地区で、奈良から平安時代の掘立柱建物跡4棟と、工房に関係すると考えられる遺構。府中市教育委員会の調査。8/21現地説明会。
▶備後国府跡（金龍寺東地区）発掘調査の現地説明会を開催します [府中市]
イラン: テヘラン州（Ostān-e Tehrān）ロバート・キャリーム郡（Robat Karim）のテペ・パランダク（Tepe Parandak）で、新石器時代～エラム時代・紀元前5千年紀～前3千年紀前半の遺跡。[Tehran Times]
イラン: アバルクーフ（Abarkuh）で地下の貯水槽や水供給システム。[Tehran Times]
▼ヤズド州（Ostān-e Yazd）
パレスチナ（ヨルダン川西岸地区）: ユダ砂漠（Judean Desert）の戦死の洞窟（Cave of the Warrior）で調査された後期銅石器時代・紀元前4500～前3900年の墓から出土した副葬品により、生涯を復元。サンダルの底に草食動物の糞の成分がついていたことから、被葬者は羊飼いとわかる。花粉から見て、洞窟西側の丘陵地帯に居住と推定。[Ancient Origins]
cf. Hai Ashkenaz, Dafna Langgut, Simcha Lev-Yadun, Ehud Weiss, Nili Liphschitz, Gila Kahila Bar-Gal, Yuval Goren (2021) Microhistory in Archaeology and Its Contribution to the Archaeological Research: The Burial from “The Cave of the Warrior” as a Test Case. Journal of Eastern Mediterranean Archaeology and Heritage Studies, 9 (4): 376–394. [Scholarly Publishing Collective]
イスラエル: ガリラヤ湖で、聖ペテロの出生地を確認か。ベツサイダ（Bethsaida）にあるとされる使徒教会を表す銘文発見。[artnet]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya il）カシュ郡（Kaş）・パタラ遺跡（Πάταρα；Patara）のテペジク（Tepecik）地域で、紀元前6世紀のサメ2頭とアカエイ1頭の脊椎骨。パタラは古代リュキア（Λυκία；Lycia）連合の首都。[Daily Sabah]
トルコ: チャナッカレ県（Çanakkale il）アイヴァジュク（Ayvacık）の古代都市アッソス（Assoss）で、ローマ時代・2200年前の噴水。[Anadolu Ajansı]
▼アッソス関連記事→2021年9月10日
セルビア: ヴォイヴォディナ自治州（Војводина；Vojvodina）北バナト郡（Севернобанатски округ；North Banat District）キキンダ（Кикинда；Kikinda）のモクリン（Мокрин；Moklin）で、前期青銅器時代の墓地。
▶NEW RESEARCH AT THE EARLY BRONZE AGE CEMETERY AT MOKRIN, SERBIA [European Association of Archaeologists]

2022年8月14日（日）

沖縄県: 「旧首里城正殿鐘」（万国津梁の鐘）など琉球鐘の多くが、琉球に渡った豊前の小倉系鋳物師作されたとみられる。[毎日新聞]

2022年8月13日（土）

中国: 黒龍江省ハルビン市（哈爾浜市）方正県天門郷沿江村の望江楼東北遺跡で、初めて唐から遼に至る期間の女真族の集落遺跡。[新華社]
イラン: テヘラン州（Ostān-e Tehrān）ロバート・キャリーム郡（Robat Karim）で、5600年前の建物。行政にかかわる建物か。[Iran Front Page]
キプロス: ラオナ古墳（Λαόνα；Laona）は、紀元前4世紀末～3世紀初頭の城壁の上に構築されていた。[Cyprus Mail]
ウズベキスタン: 天山山脈（Tian Shan）の西麓、チャトカル山脈（Chatkal Range）にあるククサライ2遺跡（Куксарай 2；Kuksaray 2）で、中期旧石器時代と後期旧石器時代初頭の石器群。フリントの露頭の近く。
cf. Konstantin Pavlenok, Małgorzata Kot, Piotr Moska, Michał Leloch, Gayrathon Muhtarov, Sergey Kogai, Mukhiddin Khudjanazarov, Azbiddin Holmatov and Karol Szymczak (2022) New evidence for mountain Palaeolithic human occupation in the western Tian Shan piedmonts, eastern Uzbekistan. Antiquity, First View, pp. 1 - 9. [Cambridge Core]
ルーマニア: ビホル県（Județul Bihor）ビハリア（Biharia）で、新石器時代・ティサポルガール文化（Tiszapolgár culture）・紀元前4500年～前4000年の女性の墓。髪を金の環169個で飾り、銅の腕輪、金のビーズ2個、骨製ビーズ800個など出土。[Heritage Daily]
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ: コピロ遺跡（Kopilo）で、青銅器時代の墓地。火葬墓だけでなく土葬墓もある。紀元前9世紀～前8世紀には鉄生産も盛んであるが、骨壺墓地文化（Urnenfelderkultur；Urnfield culture）の影響は乏しい。[Wiener Zeitung]
クロアチア: ダルマチア（Dalmatia）北部海岸の新石器時代の6遺跡で出土した動物遺体41081点を分析。紀元前6000年～前4700年（cal BC）の間に家畜の管理が拡大し、文化的、経済的変化も伴う。いずれの遺跡でも大多数の動物遺体はヒツジとヤギ。前期新石器時代～中期新石器時代にはウシやブタは少数にとどまるが、後期新石器時代に増加。どの時期でも開地遺跡では4～10％程度が野生種で、かなりの量のノロジカ（roe deer；Capreolus capreolus）を含む。
cf. Sarah B. McClure, Emil Podrug, Jelena Jović, Shayla Monroe, Hugh D. Radde, Nicholas Triozzi, Martin H. Welker, Emily Zavodny (2022) The Zooarchaeology of Neolithic farmers: Herding and hunting on the Dalmatian coast of Croatia. Quaternary International. [ScienceDirect]
UK（イングランド）: サフォーク州（the county of Suffolk）ロング・メルフォード（Long Melford）で、鉄器時代・2000年前の建物基礎から、イヌの頭蓋骨。ガロ・ベルジック土器（Gallo Belgic pottery；ヨーロッパ大陸のガリア人の土器）を伴う。[East Anglian Daily Times]

2022年8月12日（金）

青森県: 青森市・三内丸山遺跡のうち「南盛土」「子どもの墓」「大人の墓」が、大雨の影響で浸水。損壊や流失はない。子どもの墓は見学中止。[共同通信]
神奈川県: 小田原市・谷津金ノ台遺跡（第III地点）で、古墳時代初頭・3世紀末の前方後円墳を確認。墳丘は削られていたが、周溝の形状を確認。底部穿孔土器出土。小田原市内で前方後円墳の確認は初。神奈川県内で2番目に古い前方後円墳。
▶【市内初】前方後円墳を発見―谷津金ノ台遺跡第Ⅲ地点―[小田原市]
京都市: 伏見区で、『日本後紀』に記載の水運拠点「淀津」の遺構。公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所8/12発表。[読売新聞]
高知県: 香南市・北地遺跡（きたじいせき）で、1945年の上岡空襲に伴う「爆弾池」の遺構。米軍機が投下した爆弾によって生じた地面の穴。高知県では初の確認。香南市教育委員会の調査。[高知新聞]
▼北地遺跡関連記事→2022年7月7日
韓国: 京畿道・南漢山城の城郭近くで、集中豪雨のため土砂崩れ。文化財庁が緊急補修に乗り出す。扶余陵山里の王陵苑では2か所で土砂の流出。[聯合ニュース]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁
中国: ハルビン市（哈爾浜市；Harbin）で出土した松花江2号人骨（Songhuajiang II）は、AMS年代で11095年前～10745年前（BP）、最古級の人為的な頭蓋変形（intentional cranial deformation；artificial cranial modification）。ほかの例とも比較して、頭蓋変形の習慣が北東アジアで長く続いた可能性。
cf. Qiyu Yin, Qiang Li, Hucai Zhang, Ning Ma, Wei Zhang, Xijun Ni (2022) A 10 ka intentionally deformed human skull from Northeast Asia. International Journal of Osteoarchaeology, Volume32, Issue4, Pages 932-937. [Wiley Online Library]
中国: 山西省運城市聞喜県桐城鎮上郭村・上郭遺跡で、仰韶文化・5200年前の石彫のカイコの像。養蚕が仰韶文化にさかのぼる可能性。[中国社会科学院考古研究所]
ロシア: クリコヴォの戦い（1380）の故地近くで集落跡。金属製の十字架、鋳鉄製ポット、青銅製のバックルなど出土。クリコヴォの戦いでは、モスクワ大公ドミートリー1世とジョチ・ウルスのママイが戦った。[AsumeTech]
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ: コピロ遺跡（Kopilo）で青銅器時代～鉄器時代・紀元前11世紀～前5世紀の墳墓46基。ほかのヨーロッパ各地と違い、火葬ではなく土葬。石造りの丸い遺構の中に2～5基を造営。骨の状況から見て、埋蔵後に追葬のため墓が開かれることがあった。また、小児墓を多く含み、小児も社会の一人前のメンバーとして扱われていたことを示す。[Nau]
フランス: ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）フィニステール県（Finistère）カンペルレ（Quimperlé）で、カプチン会修道院の基礎。鉛の銘板に、基礎が築かれた1654年5月を示す「Ia maii anni MDCLIIII」の銘文。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。
▶Découverte du dépôt de fondation du couvent des Capucins de Quimperlé (Finistère)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
ノルウェー: オスロ（Oslo）のビョルヴィーカ（Bjørvika）で、オーク材の木造船。外板の木材を重ね合わせるよろい張り構造で、ヴァイキング以来の伝統。船の年代は中世にさかのぼる可能性。ノルウェー海洋博物館の調査。[Norway Today]
UK（イングランド）: スウィンドン（Swindon）で、ローマ時代の道路。[Swindon Advertiser]
▼ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）

2022年8月11日（木）

神奈川県: 小田原市で、古墳時代・3世紀末の前方後円墳、35m。墳丘は失われ周溝が遺存。前方後円墳は小田原市内初。神奈川県内で2番目の古さ。小田原市の調査。[tvkテレビ神奈川]
石川県: 白山市・鳥越城跡（とりごえじょうあと）の本丸西側斜面が8/4の大雨の影響で崩落。1570年当時の地表面迄影響が及んでいるかは不明。[北陸中日新聞]
▼鳥越城跡関連記事→2002年9月29日
中国: 鄭州・洛陽地区の仰韶後期・紀元前3千年紀のヒトの食生活と穀物について、安定同位体と植物考古学により分析。中心集落では、キビとキビ以外の穀物（コメやダイズ）を組み合わせた安定的な農業がおこなわれ、食生活も多様であるが、通常集落ではキビのみの農耕で、食生活は均質。集落の階層性は、農業の集約度や食生活の多様性と対応している。
cf. Dawei Tao, Junjie Xu, Qian Wu, Wanfa Gu, Qingli Wei, Yawei Zhou, Michael P. Richards, Guowen Zhang (2022) Human diets, crop patterns, and settlement hierarchies in third millennium BC China: Bioarchaeological perspectives in Zhengluo region. Journal of Archaeological Science, Volume 145, September 2022, 105647. [ScienceDirect]
イスラエル: ヨルダン川流域（Jordan Valley）のテル・ツァフ遺跡（Tel Tsaf）で出土した、中期銅石器時代（Middle Chalcolithic）・紀元前5200年～前4700年（cal BC）のカンラン石（olivine）製のビーズを分析。すべて同じ産地で、アフリカ北東部からアラビア半島西部にかけての可能性が高いが、なかでもエチオピアと推定。南レヴァントの長距離交易の証拠。
cf. Danny Rosenberg, Yael Elkayam, Yossi Garfinkel, Florian Klimscha, Vesna Vučković, Yaakov Weiss (2022) Long-distance trade in the Middle Chalcolithic of the southern Levant: The case of the olivine beads from Tel Tsaf, Jordan Valley, Israel. PLOS ONE, 17(8): e0271547. [PLOS ONE]
トルコ: イズミル県（İzmir il）トルバル郡（Torbalı）の古代都市メトロポリス（Metropolis）で、ヘレニズム時代の劇場の近くから、1800年前の浴場の燃焼室出土。浴場は1世紀に狭い面積で始まり、2世紀に拡張。燃焼室はローマ時代の床下暖房（hypocaust）と同様の方式。[Arkeonews]
▼メトロポリス関連記事→2021年6月12日
トルコ: アダナ県（Adana ili）に所在する古代都市アナバルザ（Anavarza）で，円形闘技場（amphitheater）の近くから、剣闘士（gladiator）の墓を発見。[Daily Sabah]
トルコ: バルケスィル県（Balıkesir il）の古代都市ダスキュレイオン（Daskyleion）で、2500年前の水路。[Yeni Şafak]
ギリシャ: クレタ島（Κρήτη；Crete）で出土した、後期青銅器時代・後期ミノス文明の人骨の同位体分析。硫黄とストロンチウムの同位体から見て、この時期のヒトは外来の要素は少なく、新石器時代以来継続。しかし、アルメノイ（Αρμένοι；Armenoi）で出土した後期青銅器時代・後期ミノスIII期のヒト4体は、独特の硫黄同位体比。この墓地では、宮殿以外ではほとんど出土しない、新導入の線文字Bがみられるなど、ギリシャ本土からの影響がみられ、4人の出自を示唆。ただし、ミトコンドリアDNAでアルメノイの被葬者8人を調査したところ、クレタ島の他の人々と区別はできなかった。
cf. Michael Richards, Colin Smith, Olaf Nehlich, Vaughan Grimes, Darlene Weston, Alissa Mittnik, Johannes Krause, Keith Dobney, Yannis Tzedakis, Holley Martlew (2022) Finding Mycenaeans in Minoan Crete? Isotope and DNA analysis of human mobility in Bronze Age Crete. PLOS ONE, 17(8): e0272144. [PLOS ONE]
スロバキア: ポプラト郡（okres Poprad）ヤーノウツェ村（Jánovce）で、ラ・テーヌ文化（La Tène）・紀元前1世紀の集落跡。遺物3000点。[The Slovak Spectator]
▼プレショウ県（Prešovský kraj；Prešov）
スロバキア: プリエヴィザ郡（okres Prievidza）のシヴィー・カメニュ城（hrad Sivý Kameň）で、旧城門近くから、ハプスブルク朝のレオポルト1世（Leopold I）の治世・1679年にクレムニツァ（Kremnica）で打刻されたデナリウス硬貨（denarius）。シヴィー・カメニュ城が牢獄として使われていたころに当たる。城は14世紀中ごろに建設。[The Slovak Spectator]
▼トレンチーン県（Trenčiansky kraj；Trenčín Region）
ベルギー: スヘルデ川（Schelde；Escaut；Scheldt）下流域の新石器化の過程を示す紀元前6千年紀～前4千年紀の4遺跡の石器群を分析。紀元前5千年紀から紀元前4千年紀前半にかけて、原材料使用や石器製作技術、器種構成に継続性と変化を読み取る。南方の農耕グループの影響で在地の狩猟採集民に文化変容が起こったという説を支持。
cf. Liesbeth Messiaen, Hans Vandendriessche & Philippe Crombé (2022) The Neolithization Process in the Lower-Scheldt Basin (Belgium, mid-6th to mid-4th Millennium cal BC) from a Lithic Technological Perspective. Lithic Technology. [Taylor & Francis Online]
スーダン: ヌビア地方（Nubia）のバンガナルティ（Banganarti）のキリスト教巡礼遺跡で出土した、中世・マクリア王国（Kingdom of Makuria）・6世紀中ごろ～14世紀のガラス玉20点について化学組成を分析し、多様な出自を推定。
cf. Joanna Then-Obłuska, Laure Dussubieux (2022) Beads from a Mediaeval pilgrim centre: chemical composition and provenance of glass from Banganarti, Nubia, Sudan. Archaeometry. [Wiley Online Library]
▼バンガナルティ関連記事→2020年2月19日
UK（イングランド）: ヘレフォードシャー州（Herefordshire）ドーストーン・ヒル（Dorstone Hill）で、前期新石器時代・6000年前の墳墓で、フリントと同様に敲打で加工された水晶（rock crystal）。石器として加工されたわけではなく、また、300年間にわたって堆積。ふさわしい大きさの水晶は、英国では北ウェールズのスノードニア（Snowdonia）と南西ウェールズのセント・デイヴィッズ・ヘッド（St David’s Head）のみで産出。墳墓に供えるため長距離を移動。
▶Prehistoric Brits used rare rock crystals to mark burial sites, research finds [The University of Manchester]
cf. Nick J. Overton, Elizabeth Healey, Irene Garcia Rovira, Julian Thomas, Julie Birchenall, Dana Challinor, Tim Hoverd and Keith Ray (2022) Not All That Glitters is Gold? Rock Crystal in the Early British Neolithic at Dorstone Hill, Herefordshire, and the Wider British and Irish Context. Cambridge Archaeological Journal, First View, pp. 1 - 20. [Cambridge Core]
USA: ミシガン州（State of Michigan）マッキノー市（Mackinaw）・ミキリマキナック砦（Fort Michilimackinac）で、1781年の層から袖口のボタン出土。また、赤色土器、王冠と「GR」のしるしを持つ真鍮製の分銅なども。[UpNorthLive]
▼ミキリマキナック砦関連記事→2021年7月6日
機械学習: 石器と自然石の識別を機械学習によって行うため、エジプト、オーストラリア、ニュージーランドの石器について実験し、人の目で行った場合と100%の一致を見た。
cf. Joshua Emmitt, Sina Masoud-Ansari, Rebecca Phillipps, Stacey Middleton, Jennifer Graydon, Simon Holdaway (2022) Machine learning for stone artifact identification: Distinguishing worked stone artifacts from natural clasts using deep neural networks. PLOS ONE, 17(8): e0271582. [PLOS ONE]

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